05/11/30 胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(泌尿器・生殖器部会)第5回議事録   胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(第5回泌尿器・生殖器部会)議事録 1 日時  平成16年11月30日(火)15:00〜16:45 2 場所  厚生労働省専用第17会議室 3 出席者 医学専門家:秋葉 隆、石田 仁男、木元 康介、関 博之、松島 正浩              (50音順)       厚生労働省:菊入閲雄、渡辺輝生、神保裕臣、菊池泰文 他 4 議事内容 ○医療監察官(神保)  胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(第5回泌尿器・生殖器部会)を始めさせ ていただきます。それでは、松島先生よろしくお願いいたします。 ○松島座長  先生方には月末のお忙しい中、胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会の第5回泌 尿器・生殖器部会にご参集いただきまして、まことにありがとうございます。討議に入 る前に、まず、事務局から提出資料の確認をお願いいたします。 ○障害係  資料1「泌尿器・生殖器部会第5回の論点」、資料2「泌尿器・生殖器分野の障害認 定に関する専門検討会報告書たたき台(案5)」、資料3「生殖器の障害の取扱いのた たき台(素案)」、資料4「勃起障害のメカニズムと病態生理等」、資料5「第4回議 事要旨」です。  資料3でワープロミスがありますので、訂正をさせていただきます。25頁(4)「認定基 準」の所、「陰茎が」となっていますが、正しくは「陰萎が」です。もう1点、33頁中 程ですが、「さらに」から始まる所で、「さらに、射精障害は業務上の傷病以外の原因 によっても生じるから勃起障害が」とありますが、正しくは「射精障害が」です。以上 です。 ○松島座長  本日は前回ご討議いただきました、尿管・膀胱及び尿道とじん臓の障害の取扱いにつ いてご議論を踏まえた修正点について確認をいただきました後に、新たな議題として は、生殖器の障害の取扱いについて議論をしたいと思います。まず、尿管、膀胱及び尿 道とじん臓の障害の取扱いのうち、修正した箇所について、事務局より説明をお願いし ます。 ○医療監察官  まず、字句の修正です。6頁ですが、木元先生より、GFRは率ではないのではないか というご指摘がありまして、泌尿器科用語集に沿いまして、「濾過値」ということに替 えました。同様の関係として19頁、こちらも泌尿器科用語集に沿いまして、「清潔間欠 (自己)導尿等」という形の用語に改めました。用語については以上です。  中身にまいりまして、9頁の「現行の認定基準の問題点」、1側のじん臓の亡失をど うして高く設けていたのかということで、前回ご指摘いただいた3点。理念的にはあっ たのだけれども、臨床的にきちんと評価できるような状態ではなかった。かつ、その研 究段階ということで、評価の方法も定まっていなかった。今日ではその評価の方法等も 確立しているということで、こちら、修文をいたしました。  10頁、「慢性じん盂じん炎」については、今日では稀ですよという先生方のご指摘を 踏まえて、その文を追加しました。11頁、「水じん症」についても、基本的に清潔間欠 (自己)導尿が広く行われるようになった今日においては、非常に少なくなっていると いうところを加えました。17頁、これは抜けていたということで、前回、次回は入れる ということについて報告いたしましたが、尿道カテーテル留置について、外尿道口形成 術と同様に、11級の9とするのが適当ですということを書かせていただきました。  22頁、前回の先生方のご指摘を踏まえまして、萎縮膀胱は基本的には重篤な結核の後 遺症で生じるのだけれども、非常に少なくなっているということと、業務上の事由によ って生じるものに限り行うものであることからすると、萎縮膀胱については独自の認定 基準を定める理由に乏しいというところを加えました。修正点については以上です。 ○松島座長  先生方、何かご指摘の点がございますか。ただいまの事務局のとおりの修正につい て、もし何かありましたらご検討いただきますが、何もなければ、これは訂正だけです から、これでよろしいのですか。 ○医療監察官  はい。 ○松島座長  いかがでしょうか。石田先生、木元先生、よろしいですか。 ○石田委員 結構です。 ○木元先生  はい。 ○松島座長  この件に関してはよろしいということです。続きまして、「生殖器の著しい障害」、 特に勃起障害についての検討に移りたいと思いますが、この点に関して事務局よりご説 明をお願いします。 ○医療監察官  資料1「泌尿器・生殖器部会(第5回)の論点」と、資料3の25頁以下、「生殖器の 障害の取扱いのたたき台」です。第1点目についてご討議、ご確認をいただきたいと考 えているのは、これからご議論をいただくに当たりまして、現行の規定の趣旨をどのよ うに考えていくのか、という点です。  25頁、「現行省令及び認定基準の概要等」ということで載っています。(1)と(2)だけ が省令で、以下は認定基準、通達で定められているということですが、7級の13は「両 側のこう丸を失ったもの」、9級の12は「生殖器に著しい障害を残すもの」という規定 になっています。それを見たときに、26頁に「検討の視点」ということで書いてあるわ けです。「両側のこう丸の亡失(第7級)」と規定する一方で、「生殖器の著しい障害 (第9級)」と規定しているということで、個別の器官の欠損に着目して障害の程度を 認定をしているのか。生殖器、あるいは生殖の機能の程度、喪失の程度に着目して行う のかというのが、必ずしも明確ではない。  ここには書いてないのですが、お手元の「認定必携」の191頁です。こちらに現行の 省令が出ていますが、1級から11級まで決まっているわけです。11級を除きまして、例 えば3級の4というのは、胸腹部臓器の機能に著しい障害を残して、終身労務に服する ことができない。7級の5は、胸腹部臓器の機能に障害を残して、軽易な労務以外の労 務に服することができない。9級の7の3は、胸腹部臓器の機能に障害を残して、服す ることができる労務が相当な程度に制限されるものということで書いています。労務の 支障の程度を、基本的には胸腹部臓器本体の省令は規定している。  一方で、先ほど見ていただきましたように、生殖器については7級は、「両側のこう 丸を失ったもの」とだけ規定していますし、9級の12については、「生殖器に著しい障 害を残す」とだけ規定をしているということで、労務の支障の程度との関係が省令上明 確ではないということで、現行省令などを踏まえながら、生殖器の障害がどういう形で 評価したらいいのかについてご検討をいただければということです。  事務局で用意いたしました考え方ですが、26頁の(4)「検討の内容」以下を読み上 げまして、提案をしたいと思います。 ○障害係  26頁(4)のアから27頁の(ウ)の前まで朗読 ○医療監察官  これ以降、完全喪失あるいは著しい障害についてご議論をいただくのですが、例えば 7級の13というのが、器質的に失ったものだけを7級にすると考えるのだということに なると、なくなったことだけ考えましょうと、機能的に落ちても駄目ですよ、全廃して も駄目ですよということになるのですが、ここでは機能喪失も含めて、原因がなくなっ た、あるいは働かなくなった業務上の傷病で、生殖機能が完全に喪失すれば7級。9級 については、いまは性交不能に着目しているようにも見えるのですが、生殖機能は残っ ているが、普通の性交では生殖はできないのだとすると、例えばあとからご議論をいた だきます、こういう考え方解釈からすると、射精障害みたいなものも出てくる。性交で きるという話だと、射精障害だけの人は、逆に言うと評価されない。性交だけというふ うに考えてしまう。  いま提案しているような、生殖機能は残っているのだけれども、いろいろな方法でサ ポートをしてあげないと生殖はできないというのが9級。11級は1側のこう丸の亡失と いうことを考えると、普通の性交でも生殖は可能なのだけれども、一定以上喪失されて いるというようなものを11級にしているのではなかろうかというのが、事務局の用意し ました考え方なのですが、こういう理解でよろしいのかどうか、先生方にご議論をいた だければと思っています。 ○松島座長  ただいまのご説明に関して、ご質問、ご意見がいろいろあると思いますが、木元先 生、いかがですか。 ○木元先生  前にお話したと思うのですが、実際にある先生の教科書で、勃起障害は9級と理解し て書いてあるのですね。だから、いま日本全国の多くの先生はこれを見て、勃起障害さ えあれば9級に上がるのだと理解されているから、これを直すとなると、また大変だな という感じがするのです。自賠責ですと、かなり高い、すごくいいらしいのです。この 間ある先生から聞いたところによると、外来に来て、これを見せて、その先生は9級と 思っているから、9級と言ったら、自賠責はもっとよかった、なんで労災はこんなに低 いのだということで、その患者が怒り出した。 ○医療監察官  基本的には自賠責は労災準拠になっているものですから、少し違うところはあるので すが、それほど違っているというのは、逆にないのかなという感じはするのです。た だ、例えば勃起障害だけではなくて、他の障害がある場合にはそのような評価もあると は思います。また、これは勃起障害の例ではないのですが、例えば労災の場合、曲が る、曲がらないだけで評価していますが、ところが身障者のほうは力が入る、入らない というのもやっています。自賠責の基準を正面から見ると、準拠しているというので、 本来からいうと、曲がる、曲がらないしか評価するはずがないのですが、実は診断書の 中には、なぜか力が入る、入らないというのも書いてやらせるようにしているので、そ ういう意味ではだいぶそこが運用として変わってしまっている可能性はあるのかなと思 います。 ○木元先生  この古い考え方というのは、要するに子どもがつくれるかどうかをものすごく重きを 置いているという感じなのですか。 ○松島座長  そうですね。 ○木元先生  生活の質とかいうことは全く考慮していないのですね。 ○医療監察官  そうですね。生殖器に着目していまの省令は作られている。それの最大限というか、 いまは逆に言うと、お子さんが出来ても11級なのだけれども、勃起障害は14級だという ことなので、そこは明らかな逆転現象が生じているだろうということで、そこは少なく とも9級まで上げたらどうかというのが、今日ご提案しているものなのです。  報告書上にいろいろなものがあるというのはここの所でも、実は本来からいうと、私 どもの労災の考え方から言えば、若干異質であると。労働能力の喪失の程度でやるのだ と言いながら、昭和22年に作ったときの解説としてここに書きましたような、労働能力 の喪失の程度は大したことはないのだけれども、生殖能力を完全に失って精神的なショ ックも大きいので7級ということなのです。そういう意味では、いまの労働能力の喪失 の程度ということでいくと、ここを変えていくのはなかなか難しい。ということで、い まの省令の規定を前提にして、その中で非常に合理的な解釈でできる運用をしていった らどうかというのが、いまご提案しているものなのです。 ○松島座長  いかがですか。 ○関先生  私は男性はわからないのですが、女性の場合は生殖能力がなくなるということは卵巣 機能が欠落するということで、これだけで自律神経失調症をかなり強く起こす人がいる のです。普通の労働がきちんとできなくなる可能性の方も出てくるわけです。これが生 殖機能が保たれていて、例えば片側でも卵巣機能が残っていれば、ホルモナールには全 く問題はないので、労働の条件としては変わらないのだけれども、完璧になくなってし まうと、果たして労働条件が全く変わらないかというと、若干そうとは言い切れない。 ただ、かなり個人差がありますので、どのぐらい労働能力として落ちたか、平均を評価 するのは難しいと思うのですが、生殖だけという問題では、女性の場合はないと思いま す。ホルモン欠落は絶対ある。  男性はあまり診たことがないので、私はわからないのですが、男性のほうがたぶん力 が落ちるとかいうことがあっても、女性でいう更年期障害的な症状は、そう強く出てこ ないから、労働力としてあまり落ちたとかいう評価をされにくいかもしれませんが、女 性の場合はかなり体調を崩す方がいることは事実なので、それまでやっていた仕事が十 分に出来なくなるということがあると思います。 ○松島座長  実際にこういう障害を受ける方というのは、どのぐらいいるのですか。非常に珍しい 類の労災に入ると思うのです。特に卵巣を両方欠落するというのは相当な何かがない限 りは、もう死亡に至ってしまうのではないか。医学的に考えれば、落盤でも何でもいい のですが、そんな所にダメージを受けるような障害を受けたときには、それこそグチャ グチャになっちゃっているわけでしょう。そういうイメージがあるのです。男性の場合 には上から落ちたとか、高層の鳶職の人とかが実際に来ますが、大体は尿道の断絶が多 いのです。精巣だけがすっ飛んでしまったとかありますか。オートバイなどに乗ってい たり。 ○石田先生  私はそんな患者は診たことがあります。精巣を取って、陰嚢の所の形成をした患者で す。 ○松島座長  それは先生、どういう症例。 ○石田先生  だいぶ前に診たのですが、認定されています。 ○松島座長  私が1例知っているのは仕事中に単車に乗っていて、ガソリンタンクの所にボーンと ぶつかったら、いうなれば精巣が脱臼して両方とも飛び出てしまったというケースで す。あれもやはり労災なのでしょうね。宅配だか何か、運んでいる最中に追突したとか いうことで起るのです。ちょっと珍しいケースですが、当時の医学的なレベルから言え ば、先ほどの説明のように、実際にこれがなくなっても、足腰が何ともなければ仕事に は何でもないのだけれども、その後ろ側には実際、こういうことがあるのではないかと 思うのです。  木元先生のご専門のほうなのですが、1つそういうので認定があれば、それは既得権 として最低そこのところはある。それに類推して他の所があまり低いのなら、そこを直 しましょうと、こういう観点で判断してよろしいのでしょうか。 ○木元先生  いいと思います。 ○医療監察官  労働能力の喪失でやっているだろうと言われると、これ以上高いというのは。先生の 言われた女性の卵巣の喪失は、そういう点から見てもかなり高いのだというのは言える のだというお話ですが、男性の場合は逆に言うと、かなり低くなってしまうというのも あるものですから。 ○松島座長  ホルモンでやっても駄目なのですか。 ○関先生  ホルモン療法をやれば大丈夫です。それは当然、例えば乳がんとか、子宮体がんのリ スクが上がるということをもちながら、HRPやっていくわけですから。いま流行の血栓 塞栓症の率も上がります。先ほど先生が言われたように、卵巣を2つとも喪失して命が 助かるような何かがあるかと言われると、私もわからないのです。例えば外傷で骨盤骨 折をしてということは結構あるのです。骨盤骨折をしたときにその女性がまだ若くて妊 孕力を保たなければいけない場合には当然、経腟分娩ができなくなるとか。分娩とか何 かの影響というのは当然考えてあげなければいけない。そういう意味での配慮が、労働 と生殖ということだけで規定されてしまうと、女性の場合は結構難しいことになるかな と思います。 ○医療監察官  逆に言うと、生殖の中に分娩みたいなものも含めて考えて、それこそ普通の形でお産 ができなくなるのですよということで、ここで書いてあるような、11級などよりは高い のではないかということにしても悪くはないと思うのですが。実はきちっとした通達は 出ていないのですが、取扱い的には、自然に分娩ができなくなったのは11級でやりなさ いみたいなものも、昔やっていたことがあります。そういうことなので、全くいままで 評価していなかったわけではないのです。 ○秋葉先生  症例が少ないのであれなのですが、女性の場合、閉経後はこういう事故があった場合 に適用にならない。当然、ないものがないのだからということになるのですか。 ○医療監察官  要は私どもで言う加重の考え方というのがあります。これに限らず、例えば目もだん だん調節力が落ちてきます。私は怪我で悪くなったのですと言っても、前から老眼でう まく合いませんという人の場合には、更に落ちても障害としては評価しませんというこ とと同じだということです。前から生殖能力がなくなっている方が、またなくなりまし たと言っても、そこは評価としてはないことになるのです。これも男性も同じで、前か ら勃起できなかった人が、更に勃起できないような怪我を負いましたと言っても、これ も前から9級だったので、それがまた同じ9級になったので、9−9=0ということ で、ここはない。ただ、この人がそういうことで同じ級止まりであれば、障害ではある のだけれども、支払うものがありませんという形になる。 ○課長補佐(渡辺)  そこは何も規定しなくても、既に怪我をする前からそういう障害なり、能力が低下し ている人は新たには評価しない。ただ、ものによってというか、先ほど申し上げました が、目の調節機能については、昔はある年齢になったら、もう一切評価しないという規 定があったのですが、いまは一応、あれば評価します。 ○医療監察官  男性は特に個人差が多いようなので、高齢だから駄目だというのではなくて、高齢で も元気であった方が事故を契機に駄目になったといえば、その分は当然みてあげます と。 ○松島座長  木元先生、教科書にそれが出ているということは、もしここで決まれば教科書の改訂 のときに直してもらわないとしようがないですね。 ○木元先生  教科書というかムックなのです。だからそれ、もう出てしまって、改訂も何もないの です。 ○医療監察官  勃起障害は、「エレクタイル・ディスファンクション外来」という本で、先生が、9 級なのですということを書いておられる。この本はだいぶ皆さんお読みになっているよ うな本ですから、14級だけれども、先生方の頭の中には9級なのだということですね。 要は、いまは14級の評価しかないものを、9級のほうがいいのではないかというのが今 回の案です。逆にそちらに合わせるというか、合ってしまうということなのです。 ○松島座長  では、結構なのですね。 ○医療監察官  先ほど木元先生から、自賠責はもっと高いのではないかということだったのですが、 確認しましたが、基準自体は全く同じです。運用を変えているのか、他の障害があった かのどちらかだなと思います。 ○松島座長  他に何か格段のご意見がございますか。 ○医療監察官  いまのご意見ですと、生殖能力という中に、分娩みたいなものも含めた上で、そのと きには完全喪失というのは7級です。9級というのは自然に産めないとか、自然に生殖 できないというものです。11級は普通にできるけれども、制限があるのですと、そうい うことを念頭に置いて7級、11級ということで考えていこうということでよろしけれ ば、以下その考え方に沿ったご議論をいただければと思います。 ○松島座長  関先生、いかがですか、女性のほう、私も労災というのは何歳から何歳までとかいう 規定でやるのかどうかは、よくわからないのですが、実質的に若い人が仕事をしてい て、不幸にしてこういうふうになった場合に、いまの説明で大体よろしいですか。 ○関先生  はい、結構です。 ○松島座長  木元先生、男性のほうも大体いまの基準でいけばよろしいですね。 ○木元先生  はい。 ○松島座長  それに準じて並列的にやっていただければ、昔のこれと比べたら、格段の進歩だと思 いますが、あと文言の所を修正していただいて。 ○医療監察官  以下は具体的な所についてご検討をいただければということで、27頁以降も、今回初 めてなので、概略を説明した上で読み上げさせていただきます。  つくりとしては、イの「生殖器機能の完全喪失」のことについて評価したらどうかと いうことで、事務局として2つほど挙げています。1つには卵巣の亡失、現行の規定は 先ほど紹介しましたように、男性器のみ規定しているのですが、女性も失えば、生殖能 力を完全に喪失したことになるということなので、少なくても7級の13になるでしょ う。無精子症が業務上の傷病でなって、かつ治癒になるのかがよくわからないところで すが、前に無精子症をどういうふうに障害等級をしたらどうかというような電話照会が ありました。いままで7級は器質的に亡失しないと駄目だといって、9級にしろと解し ている経過があるのですが、この無精子症についても完全喪失だということで、本当に 業務上の傷病でなったということであれば、7級にしていいのではないかというのが、 事務局の提案しているものです。  ウの「生殖器機能の著しい障害」ですが、こちらは勃起障害と射精障害の2つについ てご検討をいただきたいということで、木元先生と他の先生にもご指導をいただいて準 備したものです。勃起障害、まず定義を書いた上でいまの障害等級が非常に低いものに なっていて14級ですと。先ほどご議論いただいた9級の趣旨からいくと、9級の12とし て認定することが適当なのではないかというのが29頁に書いています。  何で低くしていたのか。昔の私ども内部の文書などを見ますと、勃起障害があるかど うかということについては、検査するものに乏しい。そのときに書かれていたのが、あ る先生がやられた知見などがあるぐらいで、なかなかわからなかったということが書い てあります。いまの知見から見るとどうなのかということで、以下、明確に立証できる かどうかということで書いています。  d、30頁ですが、いまは陰萎自体が14級だということもあります。他の原因に伴って 生じる場合については、他の障害の等級でやりなさいと。他の原因、13級の原因があれ ば、13級でやりなさいということなのですが、それはいかにもおかしいだろう。更に今 回は高くするので他の障害と同じように、同じ原因で起きたときにはどちらか高いほう でやりなさいというのが妥当だということで書いています。  31頁の(イ)射精障害です。射精障害についてはいまの基準は全く定められていませ ん。射精障害についても、先ほどご議論いただいた趣旨に照らすと、普通の形では生殖 ができないということからすると、9級の12として認定することが適当なのではない か。33頁に、「他の障害との関係」ということ、これは勃起障害との関係ですが、こち らは異なる原因で、機序、異なるメカニズムといったほうがいいかもしれませんが、機 序で生じている現象も全然違うのだということなので、両者の障害が同時に生じている 場合には、1つ上で評価したらどうかということです。  あと、器質性の射精障害の障害等級は9級だけれども、勃起障害よりも検査方法が難 しいものですから、33頁の(b)からありますが、誰が見ても、こういうような障害が あれば、射精障害になるという高度の蓋然性をもって判断されるような所見を残したこ とというのを要件にしたらどうか。その代わりに射精障害それ単独でも認めましょう。 勃起障害と射精障害があれば、更に高く評価するということでいかがでしょうかという ことで、案を提示いたしました。27頁のイ「生殖機能の完全喪失」以下を読み上げさせ ていただきます。 ○障害係  (27頁のイから34頁まで読み上げ) ○松島座長  どうもありがとうございました。大変よくまとまっていると思いますが、ただいまの ご説明に何かご質問、ご意見ございますでしょうか。 ○木元先生  27頁の無精子症は、どういう状態で起こるかを考えたら、結局、放射線障害しかない のではないでしょうか。 ○松島座長  ないです。それだけです。 ○医療監察官  3シーベルトぐらいないと永久にはならなくなるとか、3シーベルトぐらいだと造血 器などに回って治癒になるのか、ならないのかは、ここでは「外傷」と書いたのです が、業務上の傷病か、あるいは、いまおっしゃったように、放射線というのなら3シー ベルト程度というような要件で、それで治癒になったらそうしますと。普通は、たぶん 0.何某ぐらいであれば、一過性のものでしかならないと思いますので。 ○松島座長  医療ばく露ではならないでしょうが、事故を起こしたときですから、相当多量な放射 線を受けます。そちらのほうの障害は多くないでしょう。 ○木元先生  勃起障害の検査なのですが、29頁の真ん中より少し下のリジスキャンですが、これ、 考えたら、登録商標なのです。だから、これはRがいるのです。あるメーカーの商品の 名前ですから。 ○医療監察官  そういう意味では、エレクトメーターも商標です。 ○木元先生  次の段の、視覚的刺激負荷法の次の所は、「しかしながら、勃起障害が起こらなかっ た」ではなく、「勃起が起こらなかった」ですね。「障害」はとらなければいけませ ん。  それから30頁なのですが、去年のパリのコンサルテーション会議の文章を見ると、や はり球海綿反射筋反射の潜時に関しては、感度も特異度も確立されていないという発言 がありますし、つい昨日来た『Journal of Urology』という雑誌で、外傷性勃起障害を 29人まとめているのですが、彼らはかなり前からそれをやってきていて、こういった神 経系の検査は当てにならない、駄目なのだと。参考程度にしたほうがいいということ で、前はやっていたけれど、いまは全然やっていないということなのです。やはり神経 の診断は非常に難しいので、どうしてもリジスキャンで勃起があって、血管系を検査し て異常がないことになったら、神経に異常があるのではないかという、除外診断になら ざるを得ない書き方なのです。これは、神経系検査に関しては外しておいたほうがいい と思います。 ○医療監察官  肛門反射のようなものだけで。 ○木元先生  それも結局参考ですね。実際に勃起に関与している神経を見るわけではないから、神 経系の検査はすべて参考程度の形にしておかなければ、それを絶対条件にするとまずい と思います。 ○松島座長  「テストテロン」ではなく「テストステロン」ですね。「ス」が抜けています。 ○木元先生  内分泌の検査が労災の認定に必要かなという気もするのですが。 ○医療監察官  これが少し迷った所なのですが。 ○木元先生  それは除外診断になりますね。内分泌系が正常だから、そういったものではないとい う、除外診断のための検査ですね。労災によってテストステロンやプロラクチンがおか しくなることは考えられません。 ○医療監察官  頭を打ったなどで高プロラクチンになるがごとく書いている本があったのですが。 ○木元先生  それはまず、ないと思います。これは切っておいていいのではないでしょうか。それ か、除外的診断にするかです。 ○医療監察官  「ほかの原因を認められない」という所に、内分泌検査のほうを持っていくかです ね。 ○木元先生  30頁の「結論」の所も、以下の4要件は考え直してもらわないといけませんね。 ○課長補佐  そうすると、14級を9級に上げることの大きな理由の1つとして、それが客観的に認 められるようになったから上げるのだという原則が崩れませんか。 ○木元先生  それはリジスキャンと血管系の検査でいいわけです。 ○松島座長  先生がご指摘になったのは、(c)がいま問題になっているから、これは参考程度で ということで、上の(a)(b)がきちんとなってくれば、それで大体形式的なことが わかるわけですから。 ○課長補佐  勃起障害が存在することは客観性があるということですね。 ○木元先生  リジスキャンでわかりますから。大体外傷がその辺りに起こっているから、おそらく 神経か血管かがやられているのだろうと、血管系の検査をして異常なら血管系がやられ ている、神経もやられているかもしれない。血管系が正常であれば、神経がやられたた めに起こっているだろうと、リジスキャンとの2つ重ねで言えます。 ○課長補佐  それは必要でしょうか。結局、血管系の検査をやっても、なければもう神経だろうと 推定してしまうということですか。 ○木元先生  リジスキャンが大前提なのです。リジスキャンで異常があればということです。 ○課長補佐  勃起障害があることはわかる。その原因は、結局、突き詰めることができる場合とで きない場合があるのですね。 ○木元先生  そうです。 ○課長補佐  だとすると、できない場合も認めてしまうのだから、では突き詰める必要はないでは ないかということに、論理的にはなるのだろうと思います。 ○木元先生  そうなるかもしれませんが。 ○課長補佐  やらなくてもいい検査は、できるだけやらないほうが、我々にとっても被検者にとっ てももちろんいいわけです。 ○木元先生  ただ、血管系であるとわかれば、例えば血管が詰まっているとわかれば、そこを治療 する手術をすることがあるわけです。 ○課長補佐  それも治療の過程でやる話で、我々は、治療が終わってこれ以上どうしようもない状 態で、初めてここへくるわけですから、その話はたぶん出てこないと思います。途中の 検査でこういうことをやって、血管系がおかしい、では血管をもう少し見ましょうとい う話ですから。神経系の検査も、たぶん診療の途中で行うのだろうという気がするので す。その結果、何もないという話できているのだろうと思います。 ○医療監察官  参考程度にしておいて、あるいは(c)で(1)〜(3)のような例示はやめてしまって、 それに対応する異常が認められますと、それは当然何らかのことで認めているのだろう と思います。 ○課長補佐  その傷病によって神経なのか、血管なのかわからないけれど、当然推定できることは 必要であると、それを検査の結果明らかにしなくてもいいのではないか。最終的に原因 がはっきりしない場合だってあるわけでしょうから。 ○木元先生  コストなどからいくと、PGE1の注射をしてみることは、薬さえあればどこでも誰で もできるのです。リジスキャンは数百万円して、一晩泊まってもらわなければならない ので相当大変です。でも、そこは難しいですね。国際的なメーリングリストがあって、 私はそこに、ほかの国はどうしているかとメールを出しました。そうしたら、アメリカ の基準があるらしく、大体どこもそれを使っているのです。AMA(アメリカ・メディカ ル・アソシエーション)が障害の認定をするいろいろなものがあって、やはりPGE1の 注射をして血管系を見るのと、リジスキャンをやるのが一般的のようです。 ○課長補佐  それが国際的なスタンダードなのですね。リジスキャンは、大体の病院でできるので すか。 ○木元先生  いいえ、日本ではそんなには持っていません。 ○課長補佐  そうすると、例えば東京にしかないと、沖縄の人も北海道の人も皆東京に来るのです か。 ○木元先生  大体主な所にはありますが。 ○課長補佐  県単位で1つぐらいあるのですか。 ○木元先生  そこまではないです。かなり片寄っています。関東などにはたくさんありますが、な い所には全然ありません。 ○課長補佐  それはまた困ったことですね。 ○石田先生  うちもないです。予算も請求しているのですが、買ってくれないのです。 ○課長補佐  例えば、日本に1台しか検査機関がないと、日本全国からそこへ集めるなどという話 は現実的ではないですね。 ○松島座長  大きな所にはあります。だから、しかたがないときはそこへ依頼していただいて検査 を受ける、そういう手法でいいのではないですか。症例がそんなに莫大な数ではないで しょう。そういうことを踏まえれば、当然一般社会でも自分の所でできなければ依頼し ますから、それでどうでしょう。 ○石田先生  そうですね。 ○松島座長  それでほぼうまくいっているわけですから、あまり神経質にならないでも大丈夫で す。各病院でこんなものを揃えていたら、院長が怒ります。儲からない機械なんて入れ るなと言われてしまうといけないので。 ○課長補佐  メーカーに聞けば、どこに納入されているかはわかります。これをやれと言うと、ど こにあるのだと問合わせが必ず来ると思うので。 ○木元先生  日本性機能学会で、リジスキャンのある所のアンケートを取ってもいいですが。労災 でかかる病院で性機能をやっている主な所には、大体あるわけですが。 ○課長補佐  労災病院を全部当たれば、労災病院ならすぐわかるのですが、ほかの大学病院などは なかなかわかりません。 ○医療監察官  大学も泌尿器に力を入れている所は、逆に。最初は外因系勃起検査でどうにかなりま せんかとある先生に言ったら、それはいかがなものかという話でした。ほかで回されて くるのだから、そこはきちんとしたことをやらないと、黙って座ればぴたりと当たると いうわけにはいかないよ、それはきちんと調べさせてくれと、それならこれはそうだと か、違うとか、自信を持って言えるということです。 ○松島座長  簡易的なスタンプテストなどいろいろあるのです。ああいうものは、なかなか客観性 がないわけですが、これはきっちりわかりますから。そういう意味で、きちんとしない とよろしくないということでしょう。 ○菊入補償課長  全国的にものすごい数があるわけではないですから。 ○課長補佐  ただ、労災は全部横並びに並ぶのです。自賠責もそうですし、民間の生命保険でやっ ているものもぴったり並ぶものですから、我々は労災のことだけ考えていればいいので すが、結局、日本全国ほとんどの保険が横並びしますので。 ○木元先生  さきほどお話しした本にも、リジスキャンをやりなさいと書いていますから、そうい うことがあった人は、どこか調べて紹介するから、それで大丈夫なのではないでしょう か。 ○松島座長  その辺りでまとめてください。では、時間が迫ってきたので先へ進めたいと思います が、その先はいかがでしょうか。 ○木元先生  射精が難しいのです。33頁にある「人工的な刺激」というのはあいまいな表現で、こ れはどういうことなのですか。マスターベーションのことなのか、それとも電気刺激や バイブレーター刺激なのか。 ○医療監察官  バイブレーター刺激のようなものを考えているのですが。 ○木元先生  バイブレーターで出ても、実際の性交渉で射精できないと言ったら、それは射精障害 でしょう。脊損の人などは、実際に性交渉で射精できないことが多いけれど、電気刺激 やバイブレーターで射精して精液を取ったりするのです。バイブレーターや電気刺激は 前立腺などを直接刺激して、それを収縮させて精液を出させるので、少し違うからどう なのかなと思います。 ○菊入補償課長  (b)の要件があると考えれば、別にマスターベーションまたは人工的な射精法でも 出ませんと。(b)のほうは詰まっているとか、膀胱頸部がないとか、これだったら逆 に(a)がなくてもいいぐらいの表記にしてしまっているので、マスターベーションで も、どちらの方法でもかまわないかなとは思っているのですが。マスターベーションで やってそれなりに出れば、性交でも絶対出るということですか。 ○木元先生  性交では出ない人もいます。ただ、労災の場合にはそれは考えなくていいでしょう。 ○課長補佐  電気的な刺激でやれば必ず出るけれど、性交では必ず出ないということは、再現性を もって証明できるのですか。 ○木元先生  それは本人の申告に頼らざるを得ない面があります。 ○医療監察官  逆行性であれば、膀胱の中に出ていますから検査すればわかるのですが、順行性のも のが本当なのかどうかはよくわからないですね。要は先のほうに出るのです。逆行性は ビュッと吹き出してくるのですが、膀胱のほうに精子がいってしまう。そうすると。そ れは膀胱の中の精子があるかどうかを見れば、そちらにいっていますよとわかるのです が、順行性については、やってみて、まず前に出ませんねというのか、ちょっと。 ○課長補佐  人工的刺激では出るけれど、実際の性交では出ないのは、理由としては心因性を疑う のが通常ではないのでしょうか。 ○木元先生  いや、先ほど言ったように、直接内性器を電気などで刺激するわけですから、神経が 駄目になっていても、直接刺激ですから、できるのです。神経が駄目になっている人で も、出させることはできます。 ○松島座長  そちらから命令が来ないのでも、人工的にそこへエレクトロードを入れて刺激するわ けです。そうすると収縮するでしょう。そうすれば出ますよということです。 ○木元先生  だから、それで正常とは言えないですね。どうしても自己申告に頼らざるを得ない面 がかなりあります。 ○松島座長  でも、これは相当少ないでしょう。案件としては結構あるのですか。 ○課長補佐  あまり聞いたことはないですね。 ○木元先生  おそらく、ほとんど脊損になってくると思うのです。 ○松島座長  そちらのほうが点数が高いから、たぶんそちらで等級が決められているのではないか と理解したのですが。 ○秋葉先生  客観的なものがなければ、自己申告だったら、事故のあとできなくなりましたという 人に限ってしまいますね。 ○課長補佐  たぶん、全員が言うでしょうね。 ○秋葉先生  ですから、客観化しなければいけないのは、ある程度診断して。 ○課長補佐  そうすると、客観化できないのであれば、これを障害として評価することはできない ことになります。 ○秋葉先生  範囲は狭くなっても、客観的なものだけで、少しあげる。 ○課長補佐  本人の申告があれば14級ぐらいは認めてもいいけれど、それ以上は無理という話でし ょうか。 ○木元先生  (b)と(c)だけにして等級を下げるなどの形でしょうか。 ○課長補佐  やはり客観性を持ったものは、いまのいろいろな試験の中では無理ですか。 ○木元先生  無理ですね。 ○医療監察官  では、いまの勃起障害と同じような感じで、(b)と(c)で14級ぐらいで、客観的 にそこができるようになったときに、改めて評価をすることを検討すべきであるという 形で書く。 ○松島座長  昔のものには射精障害がないわけです。だから、新たにそれを加えるということで、 そういう条件設定をしておけば、医学が進歩していきますから、またそこは次の改訂時 期にはうまくなるかもしれませんが、現時点であまり無理してやってしまうと、変なも のになってしまいますから。 ○木元先生  おそらく、ほとんど脊損でしょうから、そちらで等級が決まっているので、そう大き な問題はないと思うのですが。 ○関先生  私はわからないのですが、疑問を呈するということでご検討いただきたいのですが、 28頁に、「心因性のものは排除され」と書いてありますが、単純に言うと、女性の場合 は心因性で排卵障害が起こることがあります。ただ、実際の個別の問題としては、そう いう方が皆、障害を受ける前に排卵があったと確証を持っているわけではないので、評 価などはとても問題があるのですが、我々が排卵障害の患者さんを診るときに、必ず心 因性の原因がないかどうかチェックしますので、心因性のことが器質的に影響を及ぼす ことは、ある程度証明されています。女性の場合に、心因性を全部否定していいのかど うかがいかがなものなのか。ただ、私は労災認定などかに関わったことがないものです から、それがどうなのかが1点です。  これを言ってしまうと、かえって既得権を取ってしまうことになるかもしれません が、女性の場合は卵巣が1個になったとして、実際の不利益は全く起こらないのです。 ただ、さらに将来何か病気を持ったとき、両側があったら妊孕性が担保できたものが、 片側であるために担保できなくなるという不利益を被ることはあるのですが、1個にな ったから、性機能が半分に落ちることは全くないのです。ですから、そういう意味でい くと、この文章を拝見していると、何らかの客観的な障害、不利益が起こったときにそ れを補償するということでこれが出ているとすると、女性の卵巣が片側になったからと 言っても、その時点での不利益は被らない。ただ予備力を失う不利益を被ることぐらい なので、それをどのように考えるかを考えていただきたいということです。 ○松島座長  男性の精巣でも同じですね。放射線で両方きてしまった場合は駄目ですが、何かの事 故でこちらへきても、片一方が正常であればきちんと妊孕性は保てます。 ○課長補佐  今回のものは、卵巣の亡失だけは入っていますが、女性器に関してはほとんどないの です。本当に女性器のものを何も入れなくていいのかは疑問があります。 ○関先生  先ほどの話で、私も卵巣が両方欠落することはどういうときなのかよくわからないの ですが、おそらく外傷として、例えば骨盤骨折や尿道の損傷が起こるときに、当然膣壁 の損傷が起こりますので、性交障害などを被ることはある程度想定しておかなければい けないと思います。だから、それは一応考えていただいて、もう少し具体的に入れてお いていただいたほうがいいと思います。 ○医療監察官  次回、女性の生殖機能は残っているけれど、普通な形では見えないものということ で、狭窄をしたり、器質的なものもありますし、機能障害もあるので、性機能障害はど のようにやるのかもあるのですが、女性の生殖器の著しい障害について、いくつかの形 で先生ともご相談させていただきながら提示させていただこうと思います。 ○木元先生  去年のパリ会議は、半分が女性だったのです。まとまったレコメンデーションがあり ますので、それをお送りします。女性の性機能障害です。 ○菊入補償課長  両側をなくしたことについて、メルクマールをそこで1つ決めて、実際あるかどうか わかりませんが、それが最高のところだろうと思います。それと比べて、この辺りはど うだと見ていくために、やはり必要なのだと思います。しかし、これはほとんど生殖機 能がないだろうということになるので、確かにおっしゃるようにいまの話で具体的にす ると、そのような事例は少ないのかもわからないですね。 ○松島座長  一応作っておかないと、もしそういう事例があった場合に、それと比較することがで きますので。 ○医療監察官  ちなみに、木元先生に教えていただきたいのですが、先ほどアメリカの障害で、勃起 障害のほうはそのようにやっているということだったのですが、射精障害はどうなので しょうか。 ○木元先生  それは質問に書かなかったのでわからないのですが、アメリカ医師会がそういう本を 出しているらしいのです。インターネット上はお金を払わないと見られないので、私は 表紙を見ただけなのでわからないのですが、アメリカ医師会のホームページに入ってい くと、そのようなものを売っているので、そこには書いてあると思います。 ○医療監察官  それが汎用的に使われているのであれば、するにしろ、しないにしろ、見ておく必要 はあるのかなと思います。 ○松島座長  それでは、次回までにホームページを見ていただき、木元先生にはパリ会議の女性の 情報などをお願いして、それをまとめていただいて、今日のご議論の中の文言の訂正等 々を進めてください。今日は、これで大体よろしゅうございますか。 ○医療監察官  はい。 ○松島座長  どうもありがとうございました。次回はいつになるでしょうか。また、意見はどのよ うに聞くのですか。 ○医療監察官  2月22日(火)です。実は、メールで勃起障害について高く評価して欲しいというご 要望もあって、世間的にはほかの部位より、こちらのほうがご関心が強そうなので、と りあえずそのご議論をいただいたあとで、まとめてやったほうがいいのかなという感じ もしていますので、進め方を松島先生とご相談してやらせていただきたいと思います。 ○松島座長  それでは、本日は長時間どうもありがとうございました。 照会先  厚生労働省労働基準局労災補償部補償課障害認定係      TEL 03−5253−1111(内線5468)      FAX 03−3502−6488