04/11/26 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成16年11月26日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年11月26日(金) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(10名)五十音順   上 原 至 雅、 折 笠 秀 樹、 守 殿 貞 夫、 川 嵜 敏 祐、   後 藤   元、 田 島 知 行、 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、   三 瀬 勝 利、 吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(6名)  ◎池 田 康 夫、 岡 田 義 昭、 神 谷   齊、 木 村   哲、   土 屋 文 人、 溝 口 昌 子 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   國 枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)、 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは、御出席予定の先生方がおそろいになりましたので、薬事・ 食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まり いただきまして、誠にありがとうございます。当部会委員数16名のうち10名に御出席 いただいておりますので、定足数に達しております。本日の御欠席でございますが、池 田委員、岡田委員、木村委員、溝口委員、神谷委員、土屋委員でございます。本日は池 田部会長が御欠席のため、堀内部会長代理に進行をお願いしたいと思います。それでは 堀内先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 池田部会長がどうしても御出席できないということですので、代わ りに進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。それでは本日の審議に入 ります前に、事務局から配付資料の確認と資料作成に関与した委員についての御報告を お願いいたします。 ○事務局 事務局から資料の確認をさせていただきます。まず資料1〜12までをあらか じめお送りしております。また本日の席上配付資料といたしまして、議事次第、座席表、 本部会委員の先生方の名簿。それから資料8-2といたしまして、「希少疾病用医薬品該 当性事前評価報告書の訂正について」というタイトルの文書。それから資料13-1及び 13-2といたしまして、「優先対面助言制度について」、「優先審査等の取扱いについて」 という資料をお配りしております。資料14といたしまして、「医薬品第二部会審議品目 の薬事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来 製品の指定の要否について(案)」というものでございます。資料15といたしまして、「レ クシヴァ錠700 専門委員」というタイトルのリスト。それから資料16といたしまして、 「抗がん剤併用療法検討会に関する審議薬剤一覧(参考)」。最後に資料17といたしまし て、「抗がん剤併用療法検討会の品目(イホスファミド製剤、エトポシド製剤、塩酸ドキ ソルビシン製剤、シスプラチン製剤、メスナ製剤)の審査報告書等の訂正について」とい うタイトルの文書をお配りしております。平成13年1月23日の薬事分科会の申合せに 基づく資料作成に関係された委員の確認でございますけれども、本日の議題について関 与された委員はおられません。以上でございます。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。それでは審議に入りますけれども、 本日は審議事項が8議題、報告事項が5議題と大変たくさんの議題が集まっております ので、できるだけ効率のいい、積極的な御議論をお願いしたいと思います。それでは議 題1に入りたいと思います。総合機構から説明をお願いいたします。 ○機構 よろしくお願いいたします。まず最初に、本日の議題1〜5の審議品目の全体 像について御説明させていただきたいと思います。本日お席の上に配付資料としてお配 りしております資料16を御覧いただけますでしょうか。今回御審議いただきます議題1 〜5というのが、この表に示してあるものでございます。上から順に、議題1が「乳癌」、 議題2が「子宮体癌」、議題3が「悪性骨腫瘍」、議題4が「悪性骨・軟部腫瘍」、議 題5が「小児悪性固形腫瘍」に対する抗がん剤併用療法についての内容となっておりま す。これらの各併用療法を構成する薬剤をこの表の中に示しております。例えば議題2 の「子宮体癌AP療法」であれば、「塩酸ドキソルビシン」と「シスプラチン」が構成 する薬剤として申請されたものでございます。機構では設定された併用療法に関係する 薬剤をまとめて、つまり子宮体癌であれば塩酸ドキソルビシンとシスプラチンをまとめ て一つの審査報告書を作成しております。したがって、御説明に際しても塩酸ドキソル ビシンごとといった有効成分ごとではなく、議題に沿って併用療法ごとに説明させてい ただきたいと思います。なおこの表にありますとおり、塩酸ドキソルビシンについては 1品目で6種類の療法がかかわっておりまして、本日では議題番号の付いている1〜5 について御審議いただき、残る1品目に関しては次回の本部会で御審議いただくことを 予定しています。  これらの議題1〜5は平成16年5月21日及び8月27日の本第二部会において、抗が ん剤併用療法検討会より出された抗がん剤報告書に関する事前評価を頂き、関係企業よ り承認事項一部変更承認申請がなされているものでございます。提出された資料は、い ずれも抗がん剤併用療法検討会で作成された抗がん剤報告書と、同報告書中で示された 文献等の資料でございます。本申請に対し、機構では第二部会の事前評価を踏まえ、医 薬品第二部会において指摘された事項、市販後の留意点、申請者から提出された添付文 書(案)を中心に審査を行いました。なお厚生労働省から示された通知の方針に基づき、 専門協議は実施しておりません。以上が全体像でございますが、ここまではよろしいで しょうか。 ○堀内部会長代理 抗がん剤併用療法検討会からの議を経て出てきておりますので、医 薬品ごとではなく、療法ごとに審議をしていくということです。よろしいでしょうか。 それではお願いいたします。 ○機構 ありがとうございます。それでは議題1、資料1、アドリアシン注の医薬品製 造承認事項一部変更承認の可否について、医薬品医療機器総合機構より説明させていた だきます。  お手元の資料1を御覧ください。資料1の構成は、諮問書に続きまして機構において 抗がん剤報告書に基づき作成いたしました審査報告書がございます。次に承認申請書、 添付文書(案)、併用療法検討会で作成された抗がん剤報告書が続き、最後に抗がん剤報 告書に引用された引用文献一覧があります。  本申請は、乳癌の術前あるいは術後化学療法としてのAC療法にかかわるものであり ます。  本有効成分塩酸ドキソルビシンはアントラサイクリン系の抗がん剤で、国内では乳癌 に関する効能・効果を既に有しております。今般、抗がん剤併用療法検討会からの報告 書に基づき、乳癌の術前あるいは術後化学療法であるAC療法での本薬の用法・用量と して、1日量60mg/平方メートルを投与し3週ごとに繰り返す方法を追加する内容が申請されまし た。  海外では、米国において本薬を1日量60mg/平方メートルで投与する用法・用量は乳癌に関する ものとして承認されております。  抗がん剤報告書では、無作為化比較試験等の公表論文が2報、教科書2種類、総説等 3報、学会等の診療ガイドライン4種類を示し、医学薬学上公知であるとしています。  有効性については、AC療法は従来の標準的な併用療法であるCMF療法、すなわち シクロホスファミド、メソトレキセート、フルオロウラシルの併用療法と比較して、無 増悪生存期間及び生存期間が同様であることが示されております。  安全性については、主な有害事象である骨髄抑制と悪心・嘔吐に十分に注意して治療 を行う必要があるが、その副作用プロファイルは既承認効能での内容と同様であると示 されております。  以上より、機構での審査の結果、「乳癌(手術可能例における術前あるいは術後化学療 法)」という効能・効果、用法・用量は、抗がん剤報告書に示された内容から有用性は認 められるものとし、承認して差し支えないと判断いたしました。  添付文書(案)を御覧ください。黄色に塗られている部分が本申請にかかわる変更点で ございます。効能・効果として、既承認の効能・効果とは別に、「以下の癌腫に対する 他の抗がん剤との併用療法」として「乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学 療法)」として記載いたしました。また用法・用量において、「乳癌(手術可能例におけ る術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗がん剤との併用療法の場合」として、「シ クロホスファミドとの併用において」という記載でAC療法での用法・用量を記載いた しました。  また警告欄の記載につきましては、当日配布資料としてお配りした資料17を御覧くだ さい。資料17は資料発送後での審査報告書中の記載整備等についてお示ししておりま す。資料発送後での警告欄の記載に関する変更点は二点ございます。一点目は、警告欄 には専門的な知識・経験を有する医師ががん化学療法、本申請においてはAC療法を行 うべきである旨を記載しておりますが、後に議題4で述べますとおり、抗がん剤は必ず しも併用療法ではなく単剤で用いる場合もあることから、抗がん剤併用療法に関するの みではなく、がん化学療法に関する注意喚起へと変更したいということでございます。 二点目は、がん化学療法の実施においては患者様への十分なインフォームドコンセント を行うことを警告欄に記載する必要があると考え、「治療開始に先立ち、患者又はその 家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること」の記載を行いた いと考ております。  以上、効能・効果、用法・用量の追加及び警告欄の記載内容等に関しまして、御審議 のほどよろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。それでは御議論をお願いしたいと 思いますけれども、いかがでしょうか。既にこの部会で事前審査をしているわけですが、 今回は更に具体的に添付文書等も出ておりますので、その表現も含めて議論していただ ければと思います。ちょっと確認したいのですが、資料17の(2)の改訂文章というのは、 この後議論するものについても全部同じように入ると考えてよろしいのですね。 ○機構 はい。そうでございます。 ○堀内部会長代理 そういうことですので、この文章の内容等も含めて御議論いただけ ればと思います。よろしいでしょうか。添付文書の書き方としては、従来の単剤で投与 するものと分けて、「以下の癌腫に対する他の抗がん剤との併用療法」ということにし て、その具体的な併用療法の医薬品を記載していると思います。警告のところの改訂の 文章はよろしいですか。インフォームドコンセントをきちんと行い、同意を得てから投 与することを明文化するということだと思います。それでは、今後のものにも同じよう に全部入るということですので、御了解いただきたいと思います。ほかのところは何か 御意見ありますか。よろしいでしょうか。小さいことなのですけれども、この添付文書 のところで「その後休薬し3週ごと繰り返す方法を1クールとし、4クールとする」と なっているのですが、4クールを繰り返すということですか。文章が余り妥当ではない という気がいたしました。 ○機構 この品目に関しては、抗がん剤報告書の中にもAC療法は合計4クール施行す るということが明記してありましたので、このような記載にいたしました。 ○堀内部会長代理 日本語だけの問題です。違うところはみな「繰り返す」などという 文章になっていると思いますけれども、単純なことです。直しておいてください。よろ しいでしょうか。それでは議題1については承認ということで、薬事分科会に報告させ ていただきたいと思います。どうもありがとうございました。それでは議題2に移りた いと思います。総合機構の方から御説明をお願いいたします。 ○機構 議題2、資料2、アドリアシン注並びにランダ注、ブリプラチン注、プラトシ ン注、シスプラチン注「マルコ」、シスプラメルク注射液の医薬品製造又は輸入承認事 項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきま す。  お手元の資料2を御覧ください。まず資料の構成でございますが、諮問書に続きまし て、機構で作成しました審査報告書、シスプラチンの申請書、シスプラチンの添付文書 (案)、抗がん剤併用療法検討会で作成された抗がん剤報告書、抗がん剤報告書中の引用 文献一覧がございます。続きまして塩酸ドキソルビシンの申請書、塩酸ドキソルビシン の添付文書(案)、先ほどと同一の抗がん剤報告書、抗がん剤報告書中の引用文献一覧が ございます。以降の議題につきましても資料2と同様、諮問書、審査報告書に続き、関 連薬剤ごとに申請書、添付文書(案)、根拠となる抗がん剤報告書、抗がん剤報告書中の 引用文献一覧の順で構成されております。  それでは内容について御説明いたします。本申請は子宮体癌に関する術後化学療法、 転移・再発時化学療法であるAP療法にかかわるものです。塩酸ドキソルビシン及びシ スプラチンの用法・用量として、それぞれ1日量60mg/平方メートル及び50mg/平方メートルを投与し、3週間 ごとに投与する方法を追加する内容が申請されました。  塩酸ドキソルビシン及びシスプラチンの子宮体癌に関する効能・効果は、米国におい ては承認されておりませんが、ドイツでは塩酸ドキソルビシンを1日量60mg/平方メートル及びシ スプラチンを1日量50mg/平方メートル投与する用法・用量が子宮体癌に関するものとして承認さ れております。  抗がん剤報告書では、無作為化比較試験等の公表論文が4報、教科書3種類、総説等 2報、学会等の診療ガイドライン5種類を示し、医学薬学上公知であるとしています。  有効性については、進行・再発例を対象とした無作為化比較試験から、AP療法は塩 酸ドキソルビシン単剤と比較して奏効率において有意に上回り、生存期間においては有 意差は認められないものの良好な成績であることが示されております。術後化学療法に 関しては、手術後にAP療法を行う群と、全腹部照射を行う群を比較し、無増悪生存期 間、全生存期間ともにAP療法群で優れていることが示されております。  安全性については、主な有害事象である骨髄抑制と悪心・嘔吐に十分に注意して治療 を行う必要があるが、その副作用プロファイルは既承認効能での内容と同様であると示 されております。  以上より、機構での審査の結果、「子宮体癌(術後化学療法、転移・再発時化学療法)」 という効能・効果、用法・用量は、抗がん剤報告書に示された内容から有用性は認めら れるものとし、承認して差し支えないと判断いたしました。  シスプラチン及び塩酸ドキソルビシンの添付文書(案)を御覧ください。先ほどと同様、 色を付けて強調されている部分が本申請で追加された効能・効果、用法・用量でござい ます。また、警告欄の記載については議題1で御議論いただいたところでございます。 シスプラチンについても同様に、強調されている部分が今回の追加効能・効果、用法・ 用量でございます。それでは御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 それでは御議論お願いいたします。今回は子宮体癌のAP療法です ので、ドキソルビシンとシスプラチンが関与するということです。この辺のところはエ ビデンスとしてはファーストラインのものですので、海外でのエビデンスとしては十分 にあるだろうと思われます。したがって、特に問題になるのは添付文書等の表現の問題、 実際に使用するときに問題がないかどうかということだと思いますが、いかがでしょう か。はい、どうぞ。 ○守殿委員 今回検討されていない細かい部分なのですけれども、ブリプラチンの添付 文書(案)の5ページに重大な副作用として「急性腎不全」があるのですが、ここでは「急 性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあるので、観察を十分に行い」となっている のです。一方次の薬剤、シスプラチン注「マルコ」の添付文書(案)では、4/9ページの 一番下のところに「頻回に臨床検査(腎機能検査、血液検査、肝機能検査等)を行うなど」 となっております。同じシスプラチンで「頻回」が抜けているものとそうでないものが あります。先ほどのアドリアマイシンでも「頻回」という文言が入っておりますものと、 そのほかのところでは抜けていたりしますので、メーカーさんに言っていただいて統一 した方がいいのではないかと思います。それと「頻回」という形は非常に誤解を受けて、 包括医療のところでしたら「頻回」がいいのだと思うのですけれども、そうでない医療 機関でやられた場合には「頻回」ということは保険の査定とかいろいろあると思います ので、その辺はどこまでやればいいのか惑われるのではないかと思ったりもします。  それから、これは公知の事実ということですのでお願いしたいのですが、ランダ注の 添付文書(案)の3/14ページの「用法・用量」で「睾丸腫瘍」という言葉を使われている のですが、現在は「精巣腫瘍」ですので、メーカーさんに言っていただいて「睾丸」を 「精巣」に直していただきたいと思います。以上です。 ○堀内部会長代理 これを機会に同じものについてはできるだけ統一を図りたいという ことでやっておりますが、いかがですか。 ○機構 ありがとうございます。関連部署と調整いたしまして、適切に対応させていた だきたいと思います。 ○堀内部会長代理 せっかく添付文書もいろいろ変えるわけですから、これを機会にで きるだけ整合性のあるものにしていただきたいと思います。ほかの点についてはよろし いですか。ありがとうございます。それでは、これについても承認を可として薬事分科 会報告とさせていただきたいと思います。それでは議題3に移りたいと思います。御説 明をお願いいたします。 ○機構 議題3、資料3、アドリアシン注並びにランダ注、ブリプラチン注、プラトシ ン注、シスプラチン注「マルコ」、シスプラメルク注射液の医薬品製造又は輸入承認事 項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきま す。  本申請は、悪性骨腫瘍に対する塩酸ドキソルビシンとシスプラチンの併用療法にかか わるものでございます。  塩酸ドキソルビシンとシスプラチンは、国内において既に骨肉腫の効能・効果を有し ております。今般、抗がん剤併用療法検討会からの報告書に基づき、悪性骨腫瘍に関す る塩酸ドキソルビシンとシスプラチンとの併用療法での用法・用量として、それぞれ1 日量20mg/平方メートルを3日間及び100mg/平方メートルを1日間投与し、3週間ごとに投与する方法を追加 する内容が申請されました。  米国において、塩酸ドキソルビシンの悪性骨腫瘍に関連する効能・効果は軟部組織及 び骨肉腫として承認されておりますが、用法・用量は今般申請の内容とは異なり、1日 量40〜65mg/平方メートルを3〜4週間ごとに1日投与する用法・用量が承認されております。シ スプラチンの悪性骨腫瘍に関連する効能・効果は、米国では承認されておりませんでし たが、ドイツにおいては今般の申請用法・用量が、骨肉腫に対する用法・用量として承 認されております。  抗がん剤報告書では無作為化比較試験等の公表論文が6報、教科書2種類、総説等2 報、学会等の診療ガイドライン1種類を示し、医学薬学上公知であるとしています。  有効性については、骨肉腫を対象とした無作為化比較試験で、シスプラチンと塩酸ド キソルビシンの併用療法と大量メトトレキセート等を含む多剤併用療法とを比較した結 果、ほぼ同等の有効性が示されております。また、悪性繊維性組織球症においてシスプ ラチンと塩酸ドキソルビシンの併用療法を行った報告では、奏効率50%程度が認められ たことが示されております。  安全性については、主な有害事象である骨髄抑制、悪心・嘔吐、腎毒性に対して十分 注意して治療を行う必要があるが、その副作用プロファイルは既承認効能での内容と同 様であると示されております。  以上より、機構での審査の結果、「悪性骨腫瘍」という効能・効果、用法・用量は抗 がん剤報告書に示された内容から有用性は認められるものとし、承認して差し支えない と判断いたしました。  シスプラチン及び塩酸ドキソルビシンの添付文書(案)を御覧ください。こちらも先ほ どと同様、色を付けて強調されている部分が本申請で追加された効能・効果、用法・用 量でございます。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 悪性骨腫瘍についてドキソルビシンとシスプラチンという組合せで すが、これに関して御意見はいかがでしょうか。シスプラチン単剤ではこれまで骨肉腫 があったのですけれども、それを併用療法で悪性骨肉腫全体に拡大するということだと 思います。よろしいでしょうか。添付文書の黄色に塗ってある「悪性骨腫瘍」のところ を主として御議論いただきたいと思います。よろしいですか。それではこれも承認を可 として、薬事分科会に報告したいと思います。どうもありがとうございました。それで は議題4に移りたいと思います。御報告をお願いいたします。 ○機構 よろしくお願いいたします。議題4、資料4、注射用イホマイド並びにランダ 注、ブリプラチン注、プラトシン注、シスプラチン注「マルコ」、シスプラメルク注射 液、並びにウロミテキサン注の医薬品製造又は輸入承認事項一部変更承認の可否等につ いて、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本申請は、悪性骨・軟部腫瘍に関する塩酸ドキソルビシンとイホスファミドを含むが ん化学療法にかかわるものです。  塩酸ドキソルビシンとイホスファミドは、国内において骨肉腫の効能・効果を既に有 しております。今般抗がん剤併用療法検討会からの報告書に基づき、悪性骨・軟部腫瘍 に関する塩酸ドキソルビシンの単剤療法、イホスファミドの単剤療法、塩酸ドキソルビ シンとイホスファミドの併用療法であるAI療法が申請されております。塩酸ドキソル ビシンの用法・用量として1日量20〜30mg/平方メートルを3日間、イホスファミドの用法・用量 として、1日量1.5〜3g/平方メートルを3〜5日間投与し、3〜4週間ごとに反復投与する方法 を追加する内容が申請されました。  また、ウロミテキサンはイホスファミドによる出血性膀胱炎の軽減のために用いられ る薬剤であり、既に効能・効果を有しておりますが、イホスファミドの投与時にイホス ファミドの100%相当量を投与する場合の用法・用量の追加が申請されております。  米国において、塩酸ドキソルビシンの悪性骨・軟部腫瘍に関連する効能・効果は軟部 組織及び骨肉腫として承認されておりますが、用法・用量は今般申請の内容とは異なり、 1日量40〜65mg/平方メートルを3〜4週間ごとに1日投与する用法・用量が承認されております。 イホスファミドの悪性骨・軟部腫瘍に関する効能・効果は外国で承認されておりません。 またウロミテキサンについては、米国でイホスファミドの60%相当量の使用が用法・用 量として承認されております。  これらの効能・効果、用法・用量に関して医学薬学上公知であるとする根拠は多数ご ざいまして、審査報告書11ページに記載してございます。  有効性については、まず悪性骨腫瘍では先ほど議題3で御説明した塩酸ドキソルビシ ンとシスプラチンの併用療法が標準的な治療法でございます。しかし塩酸ドキソルビシ ンあるいはイホスファミドが悪性骨腫瘍に対して用いられる場合もあるとされておりま す。一方、悪性軟部腫瘍に対して現在までに単剤で20%以上の奏効率が認められている 薬剤は塩酸ドキソルビシンとイホスファミドのみであり、この2剤の併用療法を中心に して様々なレジメンの検討が行われ、塩酸ドキソルビシンとイホスファミドの併用療法、 すなわちAI療法は一定のコンセンサスが得られているとしています。また、ウロミテ キサンについてはイホスファミドの100%相当量の投与が行われることもあると抗がん 剤報告書中に記載してあります。  安全性については、今般追加される用法・用量は既承認用法・用量を上回るものであ り、有害事象の発現頻度や重篤性が上がる可能性があることに留意する必要があるとさ れております。しかし今般の申請用法・用量が示されている文献等の内容からは、副作 用プロファイルは既承認効能での内容と同様と考えられると示されております。  以上より、機構での審査の結果、「悪性骨・軟部腫瘍」という効能・効果、用法・用 量は抗がん剤報告書に示された内容から有用性は認められるものとし、承認して差し支 えないと判断いたしました。  添付文書(案)については、色を付けて強調されている部分が本申請の追加内容でござ います。  まずイホスファミドの添付文書(案)の用法・用量を御覧ください。用法・用量として 「3.悪性骨・軟部腫瘍に対する他の抗がん剤との併用療法の場合」を記載しております。 この3の(2)にイホスファミドの1コース当たりの最大投与量に関する記載を行ってお ります。こちらについては本日の資料発送後に議論がございまして、おとといの11月 24日に開催された抗がん剤併用療法検討委員会において検討されております。検討の内 容は、もともとイホスファミドの抗がん剤報告書においては、1コース当たりの最大投 与量は塩酸ドキソルビシンとの併用療法では10g/平方メートルであり、イホスファミド単剤では 14g/平方メートルであると記載されておりました。しかし申請企業が単剤で用いる場合にも1コー ス当たりの最大投与量は10g/平方メートルであるとの見解を提示したため、現在単剤でイホスフ ァミドを用いた場合の最大投与量については検討会での議論を踏まえて審査を続けてお ります。このような経緯がございますので、イホスファミドの単剤療法時の最大投与量 については次回の本第ニ部会で御審議いただき、塩酸ドキソルビシンやメスナ、またイ ホスファミドの併用療法時の最大投与量等の内容に関しては本日御審議いただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。これについては御議論いかがでし ょうか。特に今最後のところでお話がありましたけれども、イホスファミドについては、 ここに出ているのは併用療法ですから、10g/平方メートルということで問題はないわけなのです が、単剤で14gまで使う場合もあり得るので、使用側から見るといろいろ議論があると ころだと思います。したがって、これについては次回に議論するということで、今回多 剤併用の問題については1コース10gとして議論していただきたいと思います。いかが でしょう。よろしいですか。メスナの使用についてもこれでよろしいでしょうか。それ では御議論がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告することにさせてい ただきたいと思います。どうもありがとうございました。それでは次に移りたいと思い ます。議題5、小児悪性固形腫瘍について、よろしくお願いいたします。 ○機構 よろしくお願いいたします。議題5、資料5、注射用イホマイド並びにアドリ アシン注、ベプシド注、ラステット注、ウロミテキサン注の医薬品製造又は輸入承認事 項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきま す。  本申請は小児悪性固形腫瘍に関するものです。今般、抗がん剤併用療法検討会からの 報告書に基づき、小児悪性固形腫瘍に対するイホスファミド、塩酸ドキソルビシン、エ トポシドの用法・用量を追加する内容が申請されました。本申請では今までの議題1〜 4と異なり、併用する薬剤の特定をせず、小児悪性固形腫瘍で有用とされる薬剤ごとに 用いられている用法・用量の幅を示す形で申請されております。また、ウロミテキサン は議題4と同様の申請がなされております。  米国では、塩酸ドキソルビシンの小児悪性固形腫瘍に関連する効能・効果は神経芽細 胞腫、腎芽腫が承認されておりますが、1日40〜60mg/平方メートルを3〜4週ごとに投与する用 法・用量であり、今回追加する用法・用量については承認されておりません。エトポシ ド、イホスファミドの小児悪性固形腫瘍に関する効能・効果は承認されておりません。 またウロミテキサンについては、米国ではイホスファミドの60%相当量の使用が用法・ 用量として承認されております。  これらの効能・効果、用法・用量に関して医学薬学上公知であるとする根拠は多数に わたっており、審査報告書14〜15ページの表として記載してございますとおり、診療ガ イドラインや公表論文などの文献が提出されております。  有効性については、塩酸ドキソルビシン、イホスファミド、エトポシドのいずれにつ いても、ほとんどすべての小児悪性固形腫瘍に対する第一ないしは第二選択の抗がん剤 併用療法に含まれるとされております。またメスナについては、イホスファミドの100 %相当量の投与が行われることもあるとしています。  安全性については、今般追加される用法・用量は既承認用法・用量を上回るものであ り、有害事象の発現頻度や重篤性が上がる可能性があることに注意する必要があるとさ れております。また小児が対象ということで、塩酸ドキソルビシン使用での若年患者、 特に乳児患者における心毒性の発現、エトポシド又はイホスファミド使用時の肝中心静 脈閉塞症(VOD)の発現、イホスファミド使用でのファンコニー症候群などの腎障害の 発現、エトポシドによる悪性腫瘍の発現に注意する必要があると抗がん剤報告書中に記 載されております。  それでは添付文書(案)について御説明いたします。まず「エトポシド」の耳の次に「添 付文書(案)」と書いた耳がありますので御覧ください。  まず警告欄についてですが、小児悪性固形腫瘍の治療においては成人ではなく小児の がん化学療法に精通している医師が実施するべきであると考え、今回の効能の追加に当 たって警告の(2)の記載を行っております。2ページでは効能・効果、用法・用量にお いて「※※以下の癌腫に対する他の抗がん剤との併用療法」として「小児悪性固形腫瘍(ユ ーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫その他肝原発 悪性腫瘍、腎芽腫その他腎原発悪性腫瘍等)」となっております。用法・用量は今回の追 加が下線部となっております。イホスファミド、塩酸ドキソルビシンにおいても同様の 追加を行っております。その他先ほど申し上げた安全性についての注意喚起は、各薬剤 の添付文書内に明記いたしました。なお警告欄の(2)の文言については、本日の御審議 を踏まえまして各薬剤共通の文言にさせていただくことを予定しております。それでは 御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 今回は小児悪性腫瘍なのですけれども、この場合には「(ユーイング 肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫その他肝原発悪性腫瘍、 腎芽腫その他腎原発悪性腫瘍等)」ということで、抗がん剤併用療法検討会からは腫瘍ご とに組合せ、用量をかなり細かく指摘しているのですが、添付文書上は余り細かくはし ていないということですね。御意見はいかがでしょうか。小児の場合ですけれども、特 に問題はございませんか。患者ごとに大分違うと思いますので、ある程度幅広く使える 形にはなっているのではないかと思います。よろしいですか。はい、どうぞ。 ○吉田委員 質問ではないのですけれども、よろしいですか。今世の中では混合診療是 非論で非常に紛糾していますけれども、今回のような厚生労働省の対応は一つの合理的 な解決に向けた回答を示しているのではないかと思います。臨床現場としては、今後と も是非このような方向でいろいろな保険上の矛盾等を解決するような努力をしていただ きたいと思います。一言お願いとして申し上げました。 ○堀内部会長代理 今回、抗がん剤併用療法検討会からの五つの提案について議論して きたわけです。今吉田委員からコメントがございましたけれども、せっかくですから何 か御意見があればどうぞ。かなり新しい承認の仕方で、その第一歩かという気がいたし ます。どうぞ。 ○審査管理課長 吉田先生、コメントありがとうございます。これもこの部会での事前 評価や今日の御審議、またここに出してくるまでの、黒川清先生に座長をお願いしてお ります抗がん剤併用療法検討会、その下では国立がんセンターを中心としたワーキング グループの先生方に非常に御協力を頂いております。それから学会、産業界も少し協力 しておりますし、役所の研究開発を指導する部署も加わってやっております。学会の先 生方の御協力等によってこういう形で進めてこられたということで、私どもも大変有り 難く思っているところでございます。昨日も抗がん剤併用療法検討会が公開で行われま して、マスコミ関係の方も傍聴され、私も取材を受けたりしておりますが、非常に肯定 的に捉えていただいていると理解しております。 ○堀内部会長代理 医学薬学上公知の事実ということで、承認をして現場で使える形に するということが一番いいことではないかと思いますので、是非今後ともよろしくお願 いいたします。どうぞ。 ○新薬審査第一部長 先ほど冒頭の議題の際に、シスプラチンの効能・効果について守 殿先生から御指摘を頂いた睾丸腫瘍のことなのですが、実はこれはVeIP療法という 併用療法について先日この部会でも御審議いただいておりまして、その際に「睾丸腫瘍」 を「精巣腫瘍」に置き換えるべきかどうかということを一度御議論させていただいてい るのです。これはよく見ますと、効能・効果の中に「睾丸腫瘍」と「胚細胞腫瘍(精巣腫 瘍)」書かれておりますが、これは旧来の睾丸腫瘍という適応が残っていないと現場では ちょっと困るというお話があった関係で、若干その辺りが現在まだ残っているという経 緯がございます。もちろん時間の経過と共に「胚細胞腫瘍(精巣腫瘍)」という表現の方 が現場でも定着していて、今や睾丸腫瘍という適応はなくても問題は起きないという段 階になりましたら、この部分を取り払うことも可能かと思います。ただし、実はシスプ ラチンは用法・用量が何通りもありまして、A、B、C、D、E、Fというたくさんの 種類の用法と、効能がリンクしている格好になっています。「睾丸腫瘍」のところを取 り払ってしまうと、用法のF法を使えるとか使えないとかいうところにも波及してしま う状況がございます。大変恐縮でございますけれども、今回のこの審査の中で「睾丸腫 瘍」の部分を削除すると、ちょっといろいろ影響が出るかなという点を少し懸念してお ります。いかがでございましょうか。 ○守殿委員 削除でなくて変更という形で…。未だ専門医以外の先生方にとっては「精 巣腫瘍」という言葉は耳慣れないかもしれません。我々も患者さんに説明する場合には 「精巣腫瘍」では分かりにくいので、「睾丸腫瘍」という言葉を使いがちにはなるので すけれども。 ○新薬審査第一部長 「睾丸腫瘍」が冒頭に書いてあって、ずっとたどっていきますと 一番後ろに「胚細胞腫瘍(精巣腫瘍)」というのが既に現在効能・効果に書いてあります。 そういうことなものですから、「睾丸腫瘍」を「精巣腫瘍」に置き換えてしまいますと 「精巣腫瘍」が2か所に出てくるような格好になりまして、ちょっと整理をしづらくな るかなと…。非常に細かな表現上の問題でございますけれども。 ○守殿委員 それは一緒でいいわけなのですが。「睾丸腫瘍」と「精巣腫瘍」というの が同じ内容を意味しているという解釈でいいのです。「睾丸腫瘍」を「精巣腫瘍」に置 き換えても我々は何ら異様な感じには思えないのですけれども。 ○新薬審査第一部長 一応そういったことも踏まえて検討させていただきますけれど も、現状こういう書き方になっている事情は今申し上げたようなことでございます。な るべく現場で混乱が起きないようにということで、よろしくお願いしたいと思います。 ○堀内部会長代理 この前抗生物質についても大分整理をしたわけです。ですからその 時々に必要に応じて専門家で議論していただいて、整理していけばいいかと思います。 それでは次に移りたいと思います。議題6について御説明いただきたいと思います。 ○機構 議題6、資料6、医薬品レクシヴァ錠700の生物由来製品又は特定生物由来製 品の指定の要否、製造承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の要否 について、総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分はホスアンプレナビルカルシウム水和物でございまして、既存のアン プレナビル(商品名プローゼ)をリン酸エステル化することによりバイオアベイラビリテ ィーを増加させた製剤でございます。  本剤は抗HIV感染症治療薬であることから、平成16年10月13日に希少疾病用医薬 品に指定されております。  本申請の専門委員としては、資料15にありますとおり、折笠委員、木村委員始め、伊 藤委員、上田委員、大野委員、奥村委員、白阪委員、高木委員、根岸委員、能美委員、 広瀬委員、檜山委員の計12名を指名いたしました。  本剤は、国内外ともグラクソ・スミスクライン株式会社により開発されております。 米国においては平成15年10月20日に、また欧州においては平成16年7月12日に承認 されております。  本剤は平成10年11月12日医薬審1015号「HIV感染症治療薬の製造又は輸入承認 申請の取扱いについて」に基づいて申請された品目であり、本邦での臨床試験などは実 施されておらず、申請資料としては欧州への申請資料と同じものが提出されております。 薬物動態試験など41の臨床試験等が提出され、従来プローゼを1日16カプセル服用し ていた際と同等の有効性が本剤1日1カプセルにより得られることが確認されておりま す。  安全性においても、提出された試験成績からは既存のアンプレナビル製剤と同様であ ることが確認されました。  総合機構は、提出された資料について以上のような審査を行った結果、日本人におけ る安全性、有効性については市販後調査において検討が必要であると判断するものの、 本剤は既存のアンプレナビル製剤とその有効性・安全性は同様であること、服用カプセ ル数の減少によりHIV感染症の治療において推奨される多剤併用療法HAART(highly active anti-retroviral therapy)におけるアドヒアランスの向上に寄与できるものと推 察されることから、審査報告書にあります承認条件を附帯した上で本剤を承認して差し 支えないものと判断いたしました。  本剤は希少疾病用医薬品、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10 年とすることが適当であると判断いたしております。なお、本剤は原体・製剤共に劇薬 に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断しております。薬事 分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。それでは御議論をお願いいたしま す。確認したいのですが、これはリトナビルと常に併用することが条件になっているの ですか。リトナビルの話は余り出なかったと思いますが。 ○機構 本剤の用法・用量につきましては三つのパターンがございます。添付文書の2 ページを御覧ください。こちらにリトナビルと併用のパターンとして2種類、リトナビ ルを併用しないパターンとして1種類、具体的に申しますと本剤1,400mgを1日2回投 与という投与方法がございます。 ○堀内部会長代理 必ずしも併用でなくていいということですね。1回あるいは2回に しろ、リトナビルがCYP3A4のインヒビターです。したがって血中濃度が長く維持される からということではないかと思うのですが。 ○機構 堀内先生御指摘のとおりでございます。欧州においては、リトナビルと併用の みの用法・用量が承認されておりますが、米国においては本邦と同じようにリトナビル を併用しない用法・用量も含めたパターンが承認されております。本邦でどちらを採る かということで専門協議においても先生方に御意見を賜りまして、リトナビルと併用し た方が高暴露を受けられるメリットがあるものの、リトナビルについては嘔気・嘔吐な どの副作用が多くて服用し続けられない患者さんが結構いらっしゃいます。そのような 患者さんにとっては、リトナビルと併用しなければならないという用法・用量のみの承 認だとこの薬剤を選択することができない環境になってしまうため、選択肢の一つとし てリトナビルと併用しないパターンも承認しておくべきではないかという御意見を賜り ました。確かにリトナビル併用の方が有効性が優れていますので、その旨は添付文書に 記載して注意喚起をしております。 ○堀内部会長代理 折笠先生、何か追加の御意見はございますか。 ○折笠委員 今のはちょっと分からないのですが…。 ○堀内部会長代理 違うことでも結構です。 ○折笠委員 一番目が一応バイオアベイラビリティーを上げるということと、私ちょっ とその会議には出られなくてコメントだけ出して、見ていますと、あとは試験をされた のはHIV-1だけですか。バイオアベイラビリティーの試験に関しては大丈夫だろうと 感じました。二番目は、効能としてHIV全体になっているのですけれども、臨床試験 自体はたしかHIV-1だけで行われていたのですが、それに関しても問題なかろうとい うことだったかと思います。それから三番目は、消化器系の副作用が多いようなのです けれども、これは併用のときに問題があったのでしたか。ちょっと分からなかったので すけれども。注意しなければならないということは添付文書か何かに書かれていました か。   ○機構 添付文書で申しますと、6ページの「4.副作用」の項に消化器系の副作用が何 %発現したという形で記載しております。 ○折笠委員 パーセントだけですね。これでいいのかどうかということだけですけれど も。通常出るようなものであれば分かっているから大丈夫ではないかなという気がしま す。そういうことで、先ほどの件は私はちょっと覚えていないので分からないのですけ れども、議論していただければと思います。 ○堀内部会長代理 何か御意見ございますか。審査報告書の中の33ページの一番下に 「3)効能・効果について」というところがございますけれども、そこは「『HIV-1 感染症』に変更することとする」となっているのですが、添付文書を見るとこれは「H IV感染症」となっております。これは先ほどの折笠先生のお話のように、途中で変わ ったということですか。 ○新薬審査第一部長 途中経過で、まずいったんはHIV-1というデータだけなので、 それにしたらという話になったのですが、現実にはやはり効かないわけではないと。in vitroのデータではきちんと効くということなので、専門協議の段階で整理をいたしま して最終的にHIV-1、HIV-2の両方を含める「HIV感染症」という形になった ということでございます。審査報告は途中経過の部分がございまして、これはその部分 でございます。 ○機構 事前評価レポートをまとめた段階では今部長の方から説明があったとおりでご ざいますが、その後専門協議を経まして審査報告書の42ページの方に最終的に「『HI V感染症』とする」という旨を記載しております。 ○堀内部会長代理 分かりました。御意見ございますか。よろしいでしょうか。これは プロドラッグということですけれども、アンプレナビルと比べると6分の1で済むとい うことで、患者のアドヒアランスもかなり向上することが期待されます。したがいまし て、承認ということで薬事分科会に報告させていただきます。どうもありがとうござい ました。それでは次に移りたいと思います。議題7につきまして、総合機構の方から御 説明をお願いいたします。 ○機構 議題7、資料7、医薬品エプジコム錠の生物由来製品又は特定生物由来製品の 指定の要否、製造承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の要否につ いて、総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分はラミブジンと硫酸アバカビルという二つの核酸系逆転写酵素阻害剤 の合剤でございまして、商品名で申し上げますとエピビル錠とザイアジェン錠の合剤で ございます。  現在抗HIV治療においては、複数の抗HIV薬を長期間服用し続けなくてはならず、 アドヒアランスを長期間良好に維持するために種々の薬剤において服用錠数や服用回数 を減少させる工夫がなされてきております。本剤は、現在1回1錠、1日2回、計4錠(2 剤合計)として服用されている2種類の抗HIV薬を合剤とすることにより、1回1錠、 1日1回、計1錠とし、服薬負担の軽減を通してアドヒアランスの向上に寄与しようと するものでございます。  本申請の専門委員としては、資料15にありますとおり、折笠委員、木村委員始め、伊 藤委員、上田委員、大野委員、奥村委員、白阪委員、高木委員、根岸委員、能美委員、 広瀬委員、檜山委員の計12名を指名いたしました。  本剤についても先ほどの品目同様、国内外ともグラクソ・スミスクライン株式会社に より開発されております。また米国では平成16年8月2日に承認されております。欧州 においては平成15年11月14日に申請され、現状において承認されることは決定したも のの承認書がいまだ交付されていない状況とされております。  本剤は平成10年11月12日医薬審1015号「HIV感染症治療薬の製造又は輸入承認 申請の取扱いについて」に基づいて申請された品目であり、本邦での臨床試験などは実 施されておらず、申請資料としては米国への申請資料と同じものが提出されております。  申請資料としては薬物動態に関する試験が含まれておりまして、CAL10001試験におい てアバカビル及びラミブジンを併用投与した場合と本剤を投与した場合の薬物動態を比 較し、アバカビル及びラミブジンのAUC、Cmax等、いずれの薬物動態学的パラメータ についても生物学的に同等であることが証明されことから、有効性・安全性を確認する ための臨床試験は実施されておりません。臨床試験による検証はなされていないものの、 合剤である本剤と各々の製剤を併用した際の種々の薬物動態学的パラメータが同等であ ること、現状においてエピビル錠とザイアジェン錠の併用療法は多くの症例に対して使 用されており、有効性・安全性について特に問題は示唆されていないことから、本剤の 安全性・有効性は特段の問題はないものと判断いたしました。  総合機構は提出された資料について以上のような審査を行った結果、日本人における 安全性、有効性については市販後調査において検討が必要であると判断するものの、本 剤は、服用錠数の減少によりHIV感染症の治療において推奨される多剤併用療法 HAART(highly active anti-retroviral therapy)におけるアドヒアランスの向上に寄与 できるものと推察されることから、審査報告書にあります承認条件を附帯した上で、本 剤を承認して差し支えないものと判断いたしました。  本剤は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年とすることが適当であると 判断いたしております。なお、本剤は原体・製剤共に劇薬に該当し、生物由来製品又は 特定生物由来製品に該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定してお ります。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。              ○ 堀内部会長代理 それでは御討議お願いいたします。ラミブジンと硫酸アバカビルの合 剤ということです。合剤というと何か大きいのではないかと私も思ったのですけれども、 ここにサンプルがございまして、余り大きくないですね。これはアメリカ式なので、押 しながらねじると開くという…。アドヒアランスの向上を目的としたものであるという ことですが、いかがでしょうか。何か御意見ございませんか。よろしいでしょうか。そ れでは御意見がないようですので、承認を可として薬事分科会報告とさせていただきた いと思います。どうもありがとうございます。それでは次の議題に移りたいと思います。 議題8につきまして、総合機構の方から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料8と、本日お配りいたしました資料8-2というA4の1枚紙を御覧いた だきたいと思います。資料8は一番上に諮問書が付いておりまして、その次に耳が付い ている青い紙で「報告書」というのがございます。それをめくっていただきますと、総 合機構から審査管理課長あての「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」というペー ジがございます。それを更にめくっていただきたいと思います。次のページに「記」と ございまして、対象医薬品の名称は「イブリツモマブティウキセタン」、対象疾病は「C D20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫」、申請者名は日本シエーリング株式会社、申 請は平成16年8月9日ということでございます。  事前の評価結果ですけれども、まず「1.対象患者数について」でございます。ここの 2行目にございますように、「B細胞性非ホジキンリンパ腫患者は20,700〜23,900人と 推定されている」ということで、オーファンの指定対象になります5万人未満というと ころは一つクリアしております。  それから「2.医療上の必要性について」でございます。現在、初発のindolentB細 胞性非ホジキンリンパ腫に対する治療はいろいろなものが用いられているのですが、実 地医療においてはより有効性、安全性の高い治療法の開発が望まれているということで ございます。今日の資料8-2で訂正させていただいたものを御覧いただきたいのですが、 本剤は抗CD20マウスモノクローナル抗体をキレート化したコンジュゲート抗体(イブ リツモマブ ティウキセタン)と、塩化インジウム及びイブリツモマブ ティウキセタンと 塩化イットリウムからなる組合せの製剤で、本邦初の放射線免疫療法剤ということでご ざいます。報告書に戻っていただきまして次のパラグラフでございますけれども、海外 で行われました臨床試験では、リツキサンでございますリツキシマブと比較して高い奏 功率が得られていること、またリツキシマブ不応例においても奏功例が認められている ことから、医療上の必要性も認められるということでございます。  次の「3.開発の可能性について」です。本剤は既に米国におきまして再発又は難治性 の低悪性度、濾胞性あるいは組織学的進展を示したB細胞性非ホジキンリンパ腫等の効 能・効果で2002年2月に承認を受けております。海外の第III相比較試験(米国)でも再発 又は難治性の低悪性度、濾胞性又は組織学的進展を来した非ホジキンリンパ腫患者を対 象とした本剤とリツキシマブ(遺伝子組換え)との比較の結果、本剤投与群が大体80%の 奏功率、それからリツキシマブが56%ということでございまして、リツキシマブ投与群 に比べて高い奏功率が認められております。またリツキシマブ抵抗性の濾胞性B細胞性 リンパ腫患者を対象とした試験でも、本剤による奏功例が大体74%確認されておりま す。 以上のことから開発の可能性も十分にあるだろうということで、希少疾病用医薬 品の指定基準を満たすと判断しております。以上でございます。よろしくお願いいたし ます。 ○堀内部会長代理 オーファンドラッグの指定ということですけれども、これは本邦初 の放射性同位元素で標識をした医薬品ということになります。CD20のマウスモノクロ ーナル抗体、これはヒト型ではなくマウスのモノクローナル抗体にインジウムとイット リウムを別個にラベルをして、インジウムがγ線を出すということですので、まずそれ で標識をしてイメージングができるということです。その後でリツキシマブを投与して、 正常な細胞等のレセプターをカバーしてやり、その後β線を出すイットリウムを付けて やって、そのβ線で細胞を破壊しようという戦略だと思います。新しい考え方の医薬品 ということで、オーファンドラッグの指定ということです。何か御意見、御質問ござい ますか。はい、どうぞ。 ○上原委員 マウスのモノクローナル抗体に付けたということですが、リツキシマブは ヒト、キメラですよね。より安全性が高いと思うのですが、そちらの方に付けるという ような開発はなされるのですか、なされないのですか。 ○堀内部会長代理 総合機構の方から回答できますか。これはなぜマウスでやったかと いうことですね。 ○新薬審査第一部長 そこは二つの抗体をいろいろ組み合わせているかなり手の込んだ やり方をしておりまして、CD20をターゲットにしているところがポイントではありま す。要するに、体内での局在が腫瘍に限局されているわけではないものですから、いろ いろなところにCD20が発現していると。それをそのままたたくと腫瘍組織以外のとこ ろもやられてしまうということで、まず一番ナチュラルに今まで使っているリツキサン の方で非特異的にくっつくような部分までは取りあえずカバー、いわゆるマスクしたよ うな格好にしておいて、過剰発現している腫瘍細胞のところに別種のティウキセタンで CD20抗原をたたこうと。そのときにラジオアイソトープがくっついていてβ線でたた くという、非常に手の込んだやり方になっているものなのです。 ○堀内部会長代理 今の上原委員の御質問は、ティウキセタンの方はマウスのモノクロ ーナル抗体そのままを使っていてヒト型ではないので、なぜヒト型にしないのかという 御議論だと思います。 ○新薬審査第一部長 一応そこは資料の中にも若干記載がありまして、「指定申請書」 というところの別紙の5ページでございます。これは直接のお答えではないのですが、 本剤はマウス由来のモノクローナル抗体であるため、ヒト抗マウス抗体(HAMA)が発 現する可能性があって、それから前処置薬として使用されるリツキシマブはヒトマウス キメラ型のモノクローナル抗体であるため、ヒト抗キメラ抗体(HACA)が発生する可 能性があります。一応どちらでもHACAが出るということは考えてあって、その検討 はされているのですが、現実にここで発生している頻度が1.4%とか0.5%といったレベ ルになっているものですから、実用上使えるということでこの辺りで開発が進んでいる ようでございます。ここでもしHACAの発生がものすごく多いようであれば、確かに 御指摘のようにリツキサンで攻めたらどうかというのも一つの方向性かと思うのです が、どうも一応ここら辺をクリアできたと考えて、そのまま開発は進行しているという ように見てとれます。御指摘のようなリツキサンに付けてやる方法を現在開発している かどうかについてはまた問い合わせてみたいと思いますが、今のところはこういう形で 進んでいるということでございます。 ○機構 補足させていただきます。モノクローナル抗体は多くは白血球が数十日にわた って長いのですけれども、マウスモノクローナル抗体については分解が速いのです。本 品につきましてはインジウムあるいはイットリウムの半減期とほぼ同等の期間、60数時 間で分解し、目的とする効果を発揮しなくなるところで抗体自体も分解するので、この 抗体を選んだと聞いております。 ○上原委員 そうですか。それでは積極的な理由があったという理解でよろしいですね。 ○堀内部会長代理 これはどうしてそのように速いのですか。同じγグロブリンで分解 が早いというのはちょっと考えにくいのですが。分解されやすいという何か具体的なデ ータがあるわけですね。 ○機構 詳細なデータは提出されておりませんので、今後審査の過程でまた確認させて いただくということになるかと存じます。 ○堀内部会長代理 よろしいですか。 ○上原委員 はい。 ○堀内部会長代理 何か御意見ございますか。一般的に言うとだんだんヒト型にしてい くのが当たり前の方向に来ているようですので、なぜかなとは思いますけれども。今の アイソトープの半減期が60数時間ですね。ですからヒト型であれ、アイソトープが減衰 してしまえば別にたんぱくが残っていても問題ないとは思うのですけれども。 ○審査管理課長 機構の方からもコメントがございましたけれども、これはオーファン の指定の関係でございますが、今日御指摘いただいた部分は実際の審査の段階で十分審 査をしてもらうように心掛けたいと思います。 ○堀内部会長代理 それでは、このもの自体はオーファンの指定ということでよろしい でしょうか。ありがとうございます。それでは指定を可として、薬事分科会に報告させ ていただきます。これで審議分は終わりまして、次は報告事項ということでございます。 報告事項の一番目をお願いいたします。 ○機構 報告事項に移らせていただきます。まずは議題1、医薬品ティーエスワンカプ セル20、同25の製造承認事項一部変更承認について報告いたします。資料9を御覧く ださい。本剤は5-フルオロウラシルのプロドラッグであるテガフールとギメラシル、オ テラシルカリウムから成る経口抗悪性腫瘍剤であり、既に胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部 癌の効能・効果で承認されているものでございます。今般大鵬薬品工業株式会社から、 非小細胞肺癌の効能・効果の追加について製造承認事項の一部変更承認申請がなされた ものでございます。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断 したものでございます。  続きまして、議題2の医薬品注射用イホマイド1g、エクザール注射用10mgの輸入承 認事項一部変更承認について報告いたします。資料10を御覧ください。本資料につきま しては、1枚目にイホマイドの申請概要、2枚目にエクザールの申請概要、その後に2 成分共通の審査報告書、最後にそれぞれの添付文書(案)という構成になっているもので ございます。先ほど審議事項の議題1〜5の間で何度となく出ておりますが、イホマイ ドにつきまして今回報告させていただく申請は、日本泌尿器科学会より精巣腫瘍の効能 追加等に関する要望書が提出されたことを踏まえて、申請者において検討が進められた ものでございます。これは平成12年2月1日付けの研究開発振興課長、審査管理課長の 2課長通知であります「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」に基づいて、 臨床試験をせずに医学薬学上公知であるとして申請がなされたものでございますので、 先ほどまでの抗がん剤併用療法とは別の申請になっているものでございます。  詳細につきましては、塩野義製薬株式会社と日本化薬株式会社より申請が行われたも のでございまして、再発又は難治性の胚細胞腫瘍に対する多剤併用療法であるVeIP 療法の効能・効果、用法・用量の承認事項一部変更申請がなされたというものでござい ます。総合機構における審査の結果といたしましては、本剤を承認して差し支えないと 判断したものです。  続きまして議題3に移ります。医薬品ザイアジェン錠に関するものでございます。本 日の議事次第中に「輸入承認事項」となっておりますが、間違いでございまして、本申 請は製造承認事項の一部変更承認申請でございます。資料11を御覧ください。本剤はH IV逆転写酵素阻害作用を有する抗HIV薬でございまして、現在1回300mg1日2回 投与の用法・用量で承認されているものでございます。今般グラクソ・スミスクライン 株式会社からアドヒアランスの向上を期待し、1回600mg1日1回投与という新たな用 法・用量の追加等について製造承認事項の一部変更承認申請がなされたものでございま す。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断したものでござ います。  続きまして議題4に移らせていただきます。医療用医薬品の再審査結果について報告 いたします。資料12-1と12-2でございまして、両方とも塩酸セフォゾプラン関係の二 つの医薬品再審査確認等結果通知書、それに引き続く再審査報告書になります。それぞ れ1枚めくっていただきたいのですが、資料12-1につきましては成人の各種感染症の効 能・効果関係に対する再審査結果でございます。資料12-2は、成人の髄膜炎と小児、新 生児の髄膜炎を含めました各種感染症の効能・効果関係に対する再審査結果でございま す。これにつきましては市販後の使用成績調査、特別調査の成績に基づき再審査申請が それぞれ行われ、審査の結果、いずれについても薬事法第14条第2項各号の承認拒否事 由のいずれにも該当しないとなったものでございます。すなわち当初の効能・効果、用 法・用量等の承認事項については、変更の必要はないというカテゴリー1と判定したも のでございます。 ○機構 それでは議題5でございます。優先対面助言品目指定の審査結果ということで、 本日机の上に資料13-1と13-2をお配りしておりますので、それを御覧ください。今回 の優先対面助言の品目指定制度については、制度開始後最初の部会報告でございますの で、まず資料13-1に基づきまして本制度を御説明申し上げたいと思います。優先対面助 言の品目指定制度でございますが、薬事法第14条第5項で規定する「その他の医療上特 に必要性が高いと認められるもの」に該当することが期待される治験薬につきまして、 その開発の迅速化を図るべく、ほかの品目に優先して対面助言、いわゆる治験相談を行 うというものでございます。  治験相談につきましては、平成9年4月から旧医薬品機構の独自事業として、医薬品 開発者の求めに応じ有料にて治験計画等に関する指導、助言を行っているものでござい ます。ほかの審査品目に優先して医薬品等の承認審査を行う優先審査制度が別途ござい ますが、これは薬事法第14条第5項の規定に基づいて平成5年度から制度化されている ものでございます。今般、優先審査制度のより効率的な運用を図るために、優先審査制 度等に関する検討会が昨年9月より開催されております。そして本年2月26日付けで同 検討会の最終報告が取りまとめられております。当該報告書では、医薬品医療機器の開 発段階から迅速化を図るために、適切な承認申請資料の作成が効率的に行われるように 開発者に対する優先的な指導、助言が必要であるという提言がされております。これを 受けまして、本年の2月27日付け審査管理課長通知「優先審査等の取扱いについて」と いうものが出されておりまして、優先審査品目の選定にかかる基準が明確化されたとと もに、新たな制度として優先対面助言品目指定制度が設定されたわけでございます。そ して、この制度につきましては本年4月1日から開始されたところでございます。  優先対面助言品目の選定でございますが、優先審査品目の選定の考え方に準じるとさ れております。具体的に申し上げますと、原則として後期第II相試験までの結果に基づ き、適応疾患の重篤性と医療上の有用性を総合的に評価することによって選定すること にいたしております。なお優先対面助言の品目に指定されますと、治験相談を優先的に 取り扱うことになっております。また希少疾病用医薬品等に指定されているものにつき ましては、本制度で指定されることなく治験相談を優先的に取り扱うことになっており ます。  このような本制度に基づき、本年9月までに第二部会関連品目といたしまして製薬企 業から2品目の申請がなされております。これらは悪性胸膜中皮腫を予定効能・効果と するもので、1品目が葉酸代謝拮抗剤のぺメトレキセド、もう1品目が白金製剤でござ いますシスプラチンの注射剤でございます。これは両者の併用療法で効果を発揮するこ とが期待されているものでございます。総合機構における検討の結果、両品目とも優先 対面助言品目として指定すると判断いたしましたので、その結果につきましてそれぞれ の申請者に通知いたしました。  なお、本日は各部会委員に本制度及び本制度に基づく審査結果の概要について御理解 いただくために報告を行いましたが、今後とも本制度に基づく審査の結果が出るごとに 本部会の方に御報告申し上げる予定でございます。どうもありがとうございました。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。一応五つの議題については一つず つ御意見を伺いたいと思いますが、今の優先対面助言制度というのは初めて出てきたも のだと思いますので、最初にこれについて御質問、御意見ありましたらお願いいたしま す。これは後期第II相試験までのデータに基づいて、第III相に入る前にやるということ ですか。それとも承認審査をする前の段階でやるという意味ですか。 ○機構 今後優先的に取り扱う相談として、基本的に後期第II相のデータに基づくとい うことになりますと、治験相談につきましては検証試験のプロトコルに関する相談がメ インになるかと思います。なお基本的に第II相と規定しておりますけれども、例えば今 回のような抗がん剤の場合、なかなか後期第II相までのデータをそのままそろえること が難しいものにつきましては、やはりそれまでに得られるデータで総合的に判断せざる を得ないのではないかと思っております。 ○堀内部会長代理 優先対面助言をすることによって、一般的にどのくらい早くなるの ですか。 ○機構 現在治験相談は申込み順にやることになっておりますので、それなりに待ち時 間がございます。それを優先的に飛び越えてやることによりまして、より先にプロトコ ルの指導・助言ができるということです。ですから最終的な審査までの短縮ということ ではなくて、結果的に開発の時期が早まるということが、我々としてはまずこの治験相 談を優先的に取り扱う目的といいますか、メリットだと考えております。 ○堀内部会長代理 早くなるのは分かるのですけれども、大体どのくらい早くなるので すか。 ○機構 具体的なイメージを申し上げますと、現状の治験相談は通常実際に申し込みか ら半年待ちでございます。その中で、このものにつきましては既に12月の予定をしてお りますので、少なくとも現時点から行きますと1か月後には相談を開始するということ でございます。今後の治験相談の状況によっては通常の期間と優先的な取扱いをする期 間は多少前後するかと思いますが、現状はこうなっておりまして、そういうイメージを 描いていただければと思います。 ○堀内部会長代理 よろしいでしょうか。何かございますか。今後優先対面助言を認め たものについては報告があるということでございます。それでは、報告事項の議題1か らもし御意見があればと思います。  ティーエスワンカプセルの製造承認の一部変更ですが、これについてはいかがですか。 よろしいですか。それでは私の方から。日本における臨床試験の中で、60例の中に間質 性肺炎が出ていますね。10ページの一番下のところに投与前から既に間質性肺炎を起こ していた患者が悪化して亡くなったというのと、11ページの一番下のところに新たに間 質性肺炎が認められたというのがありますけれども、60症例の中で1例認められたこと は比較的発現が多い気がいたします。この辺の問題については何か議論がありましたで しょうか。 ○機構 間質性肺炎の発生状況については、審査報告書で言いますと27ページのところ に欄を一つ設けて記載してございます。今堀内先生から御指摘いただきましたとおり、 前期臨床第II相試験において間質性肺炎の増悪に伴う死亡が1例、それから後期臨床第 II相試験においても間質性肺炎の有害事象症例が認められておりましたので、専門協議 の中で、間質性肺炎の既往がある患者さんに対して本剤を禁忌とするべきかどうかとい うことも議論させていただきました。ただ抗がん剤全般、特にこの対象が非小細胞肺癌 であるということがありますので、特にこのものに限って間質性肺炎のリスクが上がる というよりは、一般的な抗がん剤のリスクはあるだろうということになり、禁忌の設定 はいたしませんでした。ただ、少ない症例数の中でこういったことがございますので、 「重要な基本的に注意」の中において注意喚起をさせていただいております。 ○堀内部会長代理 イレッサの問題があるものですから、違う副作用であったらいざ知 らず、非小細胞肺癌でこのような間質性肺炎という副作用が出るというのは、かなり注 意をしておく必要があると思いました。ほかにございませんか。よろしいでしょうか。 それでは議題2のエクザール注、イホスファミドについてはいかがでしょうか。 ○守殿委員 先ほどのことに戻りますけれども、泌尿器科学会からお願いしたというこ とについて、これにはやはり「睾丸腫瘍」という言葉は使われていない形で、追加とし て「胚細胞腫瘍(精巣腫瘍)」としてあります。これで睾丸腫瘍と言いますか、精巣腫瘍 を代表している形の記載になっていると思うのです。ですから先ほどのものはこういう 形でしていただいて…。「睾丸腫瘍」ということと「精巣腫瘍」は同じものですので、 紛らわしくなるのですね。 ○新薬審査第一部長 これはもとは「睾丸腫瘍」というのは書いていなかったというこ とがあります。ですから、従来の承認の中に入っていた「睾丸腫瘍」というところが…。 ○守殿委員 そうすると、睾丸腫瘍と胚細胞腫瘍の中の精巣腫瘍との使い分けはどうい う形になっているのですか。 ○新薬審査第一部長 実際に睾丸腫瘍と精巣腫瘍がほとんど一緒になっているのだとい うことは、前回VeIP療法の審議をしたときに確かにそうだということでございまし た。ただ、それの効能・効果に対応してシスプラチンのA、B、C、D、E、Fという たくさんある用法の、特定のものが結び付いているという格好だったものですから、ち ょっと残さざるを得なかったという非常に特異な話がございまして、その関係から今残 っているという状況でございます。したがいまして、一般的には先生御指摘のとおり全 部精巣腫瘍にしてしまう、胚細胞腫瘍というのが基本でその中の精巣腫瘍という形で書 かせていただくべく、前回できるだけもう既に整理をしてきたところでございます。 ○守殿委員 これまで述べてきている形で整理して頂きたいと思います。 ○新薬審査第一部長 基本的にはこちらに持っていきたいと考えております。シスプラ チンの用法・用量は非常にたくさんになっておりまして、これは今後整理していく過程 と一緒にやらせていただきたいと思います。 ○守殿委員 「睾丸腫瘍」という形が残っていますと、何か睾丸のほかの附属器的な癌 も含めての少し大きな癌のイメージを抱かせますので、そのような誤解を与えることが あるかもしれません。また「睾丸癌」というのも言いにくいものですから。 ○堀内部会長代理 できるだけそのように整理をする方向でということですね。よろし いでしょうか。それでは次の議題3、ザイアジェン錠でございます。これは1日600mg を1回投与という形でアドヒアランスを上げる用法・用量の変更ということですが。よ ろしいですか。御意見がなければ御了解いただいたものとします。それでは議題4、こ れは再審査のファーストシンですね。これについてもよろしいでしょうか。  これで本日の議論は終了いたしましたが、総合して特に何か御意見その他ございます か。よろしいですか。それでは全体として報告事項も確認していただいたということで すので、事務局から何かありましたらお願いいたします。 ○事務局 事務局から、本部会で以前に御審議いただきました医薬品の承認状況につい て報告させていただきます。今年の7月9日に本部会で御審議いただいたゾメタ注射液 4mg、サンドスタチン注射液50μg及び同100μg、それから8月27日に御審議いただ きました無水エタノール注「フソー」、「同シミズ」、「同メルク」、トリセノックス 注10mg及び塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5gのペニシリン耐性肺炎球菌に対する効 能追加につきましては、本年の10月22日付けで承認いたしております。また、10月8 日に御審議いただきましたバリキサ錠450mgについては11月5日付けで承認をしており ますので、御報告させていただきます。  それから次回の部会の日程でございますけれども、平成17年1月21日金曜日の午前 10時30分からお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上 でございます。 ○堀内部会長代理 今日は議題がたくさんありましたので、もっと時間が掛かるかと思 いましたけれども、御協力いただきまして早く終わりました。どうもありがとうござい ました。それでは、これで終わりたいと思います。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -