04/11/26 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１６年１１月２６日議事録


０４／１１／２６　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第５１回診療報酬基本問題小委員会議事録

(1)日時　　平成１６年１１月２６日（金）９：５９～１１：３６
(2)場所　　霞ヶ関東京會舘「シルバースタールーム」
(3)出席者　星野進保委員長　村田幸子委員　土田武史委員
　　　　　 対馬忠明委員　小島茂委員　宗岡広太郎委員　松浦稔明委員
　　　　　 櫻井秀也委員　松原謙二委員　黒﨑紀正委員　漆畑稔委員
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 麦谷医療課長　他
(4)議題　　○特定療養費制度について
(5)議事内容

○星野小委員長
　ただいまより、第５１回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い
たします。
　まず、委員の出欠状況について報告します。
　本日は、岡谷専門委員が御欠席です。
　なお、保険局長及び中島審議官は、公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けて
おります。
　本日は、これまで２度にわたりヒアリングを行ってきた結果等を踏まえ、特定療養費
制度の在り方について、論点に沿って議論を行うこととしたいと思います。
　それでは、議事に入らさせていただきます。
　特定療養費制度について議題としたいと思います。
　事務局より、特定療養費制度の在り方について、これまでの議論と論点を整理した資
料と、これにあわせて、これまでの議論の中で委員より指摘のあった点に係る追加資料
が提出されておりますので、説明を願います。

○事務局（麦谷医療課長）
　それでは、資料の内容を御説明させていただきます。
　今会長から御指示がありましたが、論点の整理の資料と、それから前回宿題が幾つか
ございましたので、その回答を私の方から説明したいと思います。
　それでは、まず、論点の整理でございますが、中医協診－１の資料を御参照くださ
い。これは、「特定療養費制度の在り方に関する論点」として整理されておりますが、
この論点の整理のもとになった参考人意見、あるいは委員の御意見、これにつきまして
はさらに次の資料の中医協診－２、「特定療養費制度の在り方に関するこれまでの議論
の整理」という、Ａ４の横組みになっている紙がございます。これが、ちょっとページ
が多くて恐縮でございますが、この枠組みの表の左側に「参考人意見」、右側に「委員
意見」というのが列挙してございまして、それぞれ議事録から私ども事務局の方で幾つ
かの論点を整理して、「基本的な考え方」ですとか「患者の選択と情報の非対称性」な
どの項目をあえてつけて、そこに整理をさせていただきました。これが議事録から抽出
しました生の文言でございます。ちょっと今日は、これは御説明は一々いたしません
が、このそれぞれの論点といいますか御意見を踏まえたものをさらに整理したものが、
診－１のこの３枚紙でございます。この３枚紙の方を私の方から説明を申し上げたいと
思います。
　まず、論点の１つとして、「基本的な考え方」でございますが、国民皆保険制度の理
念やフリーアクセスの原則を堅持すべきであるとの意見があった。これは御意見をその
まま書いてございます。で、これから御説明する中で、語尾が、「意見があった」と書
いてあるものは、御意見をそのまま集約してございます。一部、「主張についてどう考
えるか」という文末になっているものがございます。この「意見があった」という語尾
ではない、「どう考えるか」という表現は、私どもが議事録を商量いたしまして、その
中でぜひ委員の皆さんに御議論いただきたいと考える御主張について、私どもの方で抽
出させていただいたものでございます。そこの違いだけお気をつけてごらんいただきた
いと思います。
　それでは、もう一度診－１の１ページに戻りまして、「基本的の考え方」の丸の２つ
目でございますが、必要かつ適切な医療は、基本的に保険診療により確保していくべき
であるとの意見がある一方で、増大する医療費をすべて公費で賄うことには限界がある
と、こういう御意見もございました。それから、実態に基づいた具体的な議論をもっと
すべきであるという御意見もございました。「基本的な考え方」は、以上の３つに集約
させていただきました。
　それから２番目でございます。「患者の選択と情報の非対称性」という内容で、医療
提供者からの十分な情報開示を原則とすれば患者の選択は可能であるとの意見がある一
方で、情報の非対称性の観点から患者の選択には一定の限界があるという御意見、特に
参考人からの御意見でございますが、そういう御意見がございました。それから、情報
開示の徹底など患者の選択を保証する仕組みが必要ではないかとの意見がございまし
た。参考までに、現行の選定療養のことが幾つかそこに掲げてございます。
　それから３番目の論点で、「医療保険と無関係のサービス・医療行為の類型化」をす
べきであるという内容で、医療の提供と直接関係のないサービスについては、そもそも
保険診療と保険外診療との併用の問題が生じない、そういうことを明確化すべきではな
いかとの御意見がございまして、例として、テレビ代ですとか通訳あるいは美容整形等
がございました。
　１枚めくっていただきまして、２ページの４番目の論点で、「高度先進医療の改革」
ということでございますが、審査の更なる迅速化や速やかな保険収載が必要ではないか
との御意見がございました。またその際、特定承認保険医療機関の承認要件の更なる簡
素化、現在、少し簡素化してございますが、さらにそれを簡素化する、あるいは簡素化
対象技術の拡大を検討すべきであるとの御主張がございました。それから、高度先進医
療の実績報告をきちんと行うべきであるという御意見もございました。
　５番目の論点でございますが、「選定療養の改革」につきまして、選定療養は患者の
快適性に係るものを保険外負担として明確化するためにもともと設けられたものである
にもかかわらず、その後いろいろ追加されまして、多様なものが混在しているという御
意見がございました。例として、将来的な保険導入を前提としていない差額ベッドです
とか２００ベッド以上の病院の初診ですとか、そういったものと、将来保険に導入され
るだろうと言われている医薬品の治験に係る診療、こういったものが混在しているとい
う御指摘でございます。
　６番目の論点でございますが、「特定療養費制度の拡充等」ということで、一定程度
の先進性が認められる医療技術であっても、未だ普及の度合いが低いため保険導入され
ておらず、また、必ずしも高度でないため、そうかといって、高度先進医療の対象にも
なっていない、このような技術について、特定療養費制度の対象としてはどうかとの御
意見がございました。また、このような領域の対象となるかどうかの判断について、中
医協の外の組織で科学的に行っていくべきであるという参考人の御意見もございまし
た。乳がん治療により摘出された乳房の再建術について、保険診療と保険外診療の併用
を認めるべきであるとの主張についてはどう考えるか、これは先ほど申し上げた「どう
考えるか」ということで、一度御議論いただきたいと思っております。それから最後の
３ページでございますが、患者の要望に応じ、「保険適用回数が制限されている医療行
為を制限回数以上に行うこと」や、「患者の要望に応じた追加的リハビリや追加的看護
配置」について、保険診療と保険外診療の併用を認めるべきであるとの主張についてど
う考えるか。これは、提示資料にございましたが、あまり御議論されていなかったの
で、私どもから大事な項目であるということで、「どう考えるか」という文末とともに
提示させていただきました。それから、患者のニーズにより的確に対応していく観点か
ら、治験の仕組みをより円滑に活用していくための手続の簡素化等について検討しては
どうかとの御意見がございました。
　以上が、とりあえず私どもでまとめさせていただいた論点の整理でございます。それ
で、診－１と診－２の御説明は以上でございます。
　あと宿題が幾つかございまして、診－３、これは前回の資料と同じでございますが、
「健康保険法における療養の給付等の法的構成」で、前回の委員会で御指摘いただきま
して、１ページの「２「混合診療」禁止の法的構成」のところで、これは既に直ってお
りますものを提示してありますので、ちょっとどこを直したかがなかなかわかりにくい
かと思いますが、１ページの「２「混合診療」禁止の法的構成」の「健康保険法上」と
いう言葉で始まっております、「健康保険法上「療養の給付」については、「現物給付
」として構成されている。」と、これは変わっておりません。「また、同法上、療養の
給付を受ける際に、患者が支払うこととされているのは「一部負担金」のみである。つ
まり、同法上、「療養の給付」については、一部負担金以外に患者から金銭を受け取る
ことは観念できない。」と。前は、「解する」というような文言になっていて、御指摘
を受けまして、そういうことは「観念できない」というふうに直させていただきまし
た。
　それから、次のパラグラフの冒頭でございますが、「一方、健康保険法は、特定療養
費制度を設け、現金給付構成を取ることにより、「高度先進医療」と「選定療養」につ
いて、例外的に、一旦患者が医療機関で全額を支払った後に、保険者から患者に対し特
定療養費を給付する」と。ここを、前回はちょっとわかりにくいと、保険診療、保険外
診療というような書き方がしてあったのを、はっきりと「一旦患者が医療機関で全額を
支払った後に、保険者から患者に対し特定療養費を給付する」ということをきちんと書
いたものでございます。そのように訂正をさせていただきました。これは御指摘のとお
り訂正をさせていただきました。
　それが宿題の１つでございます。
　それからもう１つ、「混合診療」の禁止は妥当であるとする判決があるはずだという
御指摘がございましたので、診－４、これはその判決について、詳細は説明いたしませ
んが、後でごらんいただくとわかるような資料構成になっておりますので、「混合診療
」の禁止をしたこの法律は適法であるという判決がそこに出ておりますので、後でごら
んいただきたいと思います。
　それから、あと３つ宿題がございまして、１号側から膵移植手術及び膀胱尿管逆流防
止術について、移植を行わなかった場合と手術を行った場合の医療費の比較でございま
すが、これは今技術を申請してきた担当医師に照会しておりますので、ちょっと今回は
間に合いませんので、次回、お出ししたいと思っております。
　それから、高度先進医療の実績報告を毎年総会に出すように、また報告内容について
も検討すべきであるという御指摘につきましては、これも次回の報告で出したいと思っ
ていますが、実績については現在取りまとめ中でございますので、取りまとめが終了次
第、次回以降の中医協で御報告を申し上げたいと思います。
　あともう１つ宿題がございまして、高度先進医療のうち、保険導入に入ったものにつ
いて何か事例を掲げよという御指示がございましたので、それが中医協診－５の資料で
ございます。これが高度先進医療の保険導入の実例でございまして、１つしか掲げてご
ざいませんが、技術名は、「体幹部病巣に対する直線加速器による定位放射線治療」、
簡単に言うと、放射線による病巣の治療でございます。技術に関しましては、そこに書
いてございますが、いわゆる癌あるいは脊髄動静脈奇形に対する放射線治療でございま
す。これにつきましては、保険導入までの経過が１ページに書いてございますが、平成
１２年４月に、最初に北大で新規技術として中医協総会にて承認を受け、次々と、京
大、札幌医大、東北大等で実施されまして、１６年１月に高度先進医療専門家会議で保
険導入が相当と結論づけられております。その結論に基づきまして、中医協総会にて保
険導入を承認していただきまして、１６年４月の診療報酬改定のときから保険適用にな
っております。
　実際に、ではどうやってそれを決めたのかというのが、１ページめくっていただきま
すと、これは高度先進医療専門家会議に、こういう技術を評価できる委員が何人かおら
れますので、それぞれの委員にＡＢＣで判定をしていただきます。そこにございます、
普及性、効率性、有効性、安全性、それぞれの項目が何を意味するかは、その下のコメ
ントと、あと基準が３ページに掲げてございますので、３ページに普及性、効率性、有
効性、安全性、技術的成熟度等々、ＡＢＣが何を表現しているかはそこに掲げてござい
ます。こういう基準のもとに委員の先生方にＡＢＣをつけていただきまして、当然専門
家会議全員で御議論いただいた後に保険の適用の可否を決しているわけでございます。
　それから、その放射線治療の実績報告につきましては、４ページに、このような形
で、１５年度実績あるいは実施件数の推移、費用、治療効果等について、このような報
告が専門家会議でなされております。
　これがどのように技術が保険適用になったかの実例でございます。
　私どもから御説明するのは、以上でございます。

○星野小委員長
　どうもありがとうございました。
　まず、委員の指摘を踏まえた事務局からの追加提出資料について御質問等がありまし
たら、お願いいたします。３つほど出されておりますが。
　一つだけちょっと教えてもらいたいのですけれども、この判例後はもうないんです
か、以後は。６１年３月１０日提起の問題。

○事務局（麦谷医療課長）
　すぐにすべてはわかりませんが、ないという理解でおります。これは実は控訴人の訴
え取り下げにより終了しておりまして、これで終わっておりますので、この以後は、特
に私どもで手持ちはございません。

○星野小委員長
　判決が平成元年２月になっていますね。それ以降は平成１６年まで何にもこの件につ
いてはなかったと、裁判上。

○事務局（麦谷医療課長）
　すべて調べているわけではございませんが。

○星野小委員長
　もし何だったら、もう一回慎重にチェックして下さい。

○事務局（麦谷医療課長）
　はい。また調べてみます。

○星野小委員長
　つまり、これは決定的な意見になる可能性がありますから、よろしくお願いします。
　どうぞ、何かございましたら。
　それでは、もし特段なければ本体に入りましょうか。今見た資料ですから、すぐ思い
つかないかもしれませんので、また何か思いつきがありましたら、途中でも戻っていた
だいて結構でございますので。
　それでは、本体の方にも議論に入りたいと思います。１時間ぐらい議論したいなと思
っておるものですから、事務局が整理してくれた課題の仕分け、まあ多分いいだろうと
思うのですけれども、この順序に従いながらそれぞれの課題について各委員の御意見を
承りたいと思います。
　まず第１番目の論点でございますが、四角くくくってある「１　基本的な考え方」、
丸は３つでございますが、委員の御意見等を踏まえた横長の方、診－２を見ると、参考
人意見と委員意見が、割合と要領よく並べてある、公平に並べてあるのじゃないかなと
私は思うのですけれども、並べてあるので、これを御参考の上、各項目１０分程度ずつ
御議論ができるのじゃないかと思いますので、どうぞご自由に、まず「１　基本的な考
え方」について、私はこういう発言はしていないとか、いや、こういう議論があったけ
れども、私は後で考えてみるとこんなふうに思うとか、そういうのも含めてで結構でご
ざいますので、御意見を賜れば、後々の取りまとめに大変参考になるのじゃないかなと
思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○対馬委員
　意見の取りまとめについておかしいとか、ここはもっとこういったことを言ったと、
そういうことではないんですけれども、いずれ論点の整理に基づいて取りまとめという
手順になっていくと思うのです。それで、そのときに、「基本的な考え方」がこれだけ
かといいますと、やはり特定療養費制度については、昨年の３月の閣議決定された基本
方針にも記載されていますし、また昨年の１２月の平成１６年度の診療報酬改定のとき
の基本合意書にも掲載されているんです。そのときには、表現は若干違いますけれど
も、いずれも「患者選択の重視」ということから特定療養費制度の見直しということが
ございますので、「患者選択の重視」云々というのは、やはりいずれ取りまとめのとき
にはぜひこの「基本的な考え方」の中に入れていただきたいと、こういうふうに思いま
す。

○星野小委員長
　ごもっともな御意見だと思います。
　どうぞ、どなたでも結構でございます。

○宗岡委員
　一部２にかかってしまうかもしれませんが、ちょっと……

○星野小委員長
　どうぞ。

○宗岡委員
　２点、意見を申し上げたいと思うのですけれども、１つは、現在の医療についての国
民のニーズというのは、例えばライフスタイルが変わってくるとか、いろいろな意味で
変化してきていると思うのです。それに対して今の医療に関する諸制度というのが、私
の見方ではかなり硬直的ではないかと、それで十分ニーズに対応し切れていないのでは
ないかというふうに思えるのです。そういう意味で、制度を大きく改めていくと、それ
によって国民のニーズに対応していくということが必要ではないかと、そういう問題意
識なんですけれども、それによって医療側の方も新しい医療に積極的に取り組むような
インセンティブが与えられるというふうな枠組みを考えるべきではないかというのが１
つ目です。
　それから２つ目は、日本全体として高度な情報化社会に移行しつつありますし、それ
から前回申し上げたのですけれども、日本の国民というのは非常に知的レベルの平均的
に高い国民だというふうに私は理解しておりまして、そういう意味で、医療機関側の情
報の公開ということについての最大の努力をしていただいて透明性を確保するというこ
とが前提になりますけれども、そのことによって、患者の方々の自己責任による選択の
自由、そういうものを視点として取り上げていくべきではないかと、そういう２点をぜ
ひいろいろな意味で御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思います。

○星野小委員長
　ほかにございませんか。

○小島委員
　私もメンバーに入って日が浅いものですから、これまでの議論の経過を十分理解して
いないところがあるので、すみません。この中医協で特定療養費制度の在り方について
議論するということは、もう一度、特定療養費制度というのはなぜあるのかというをは
っきりさせるべきです。診－３の資料では、「「混合診療」禁止の法的構成」という中
で、健康保険法の中では特定療養費制度というのが設けられている、そこには「高度先
進医療」と「選定療養」で構成されていると書かれていますけれども、この文章を読む
限り、では、なぜそれがあるのかという、あるいはそれがどういう性格のものかという
ことについては、必ずしも明確になっていない。もう一度、特定療養費制度というのは
なぜあるのか、あるいはどういう性格のものかということを明確にするというのが、ま
ず「基本的な考え方」ということではないかと思っています。

○星野小委員長
　特定療養費というのが出てくるわけだけれども、みんなもうわかっているつもりで議
論しているけれども、一般の人が読んだときには、何か作文をつくったときに、そのと
きには、特定療養費制度というのはどうして生まれてきたかということをどこかにちゃ
んとしておいた方がわかりやすいのじゃないかという、こういう御意見ですね。

○小島委員
　そうです。

○星野小委員長
　それはごもっともですね。
　それから、ほかにございませんか。
　それでは、「基本的な考え方」というのはいずれまた何遍も戻ってくるかもしれませ
んので、「２　患者の選択と情報の非対称性」というところで、これは先ほど宗岡委員
からもお触れになられましたが、なかなか微妙で難しい問題だと思いますが、ここをど
うぞ、何か御意見ございましたら。さらにもし宗岡委員、突っ込んで御意見があれば、
追加されても結構でございますので。

○宗岡委員
　ありがとうございます。
　患者さんすべてが理解可能だということを私は申し上げているつもりはありません
で、多くの患者さんの中には理解できる、あるいは理解したい、自分で責任をとりたい
という方がいらっしゃる、そういう人たちについてまでそれをさせないということにつ
いての問題意識を申し上げているのであって、全国民が全部理解できるからやるべきだ
と、そういうふうに申し上げているわけでは決してございません。ただし、かなりの国
民は、最近医療情報についても報道がなされ、いろいろなところで勉強して知識を持っ
ていると、そういう前提でやはり議論をしていくべきではないかと思いますし、それが
もし欠けているとすれば、その情報をもっとより開示するという方向で議論すべきでは
ないかという趣旨で申し上げております。

○星野小委員長
　ありがとうございました。

○櫻井委員
　今のことに関しては、この間もそんな議論が出たのですけれども、一つには、医療情
報の内容による部分があるので、例えば、学問的にというか、医学的に確定した情報で
あればこれはどんどん開示してそれを理解していただくということは可能だけれども、
学問的にも不確実な、つまり具体的な例で言えば癌の薬で、外国では認められているけ
れども日本では認められていないというのは、日本でそれを認める学問的根拠がまだ十
分でないというような場合があるので、その情報を開示するというのは、その根拠がな
いわけですから、そこが難しいわけで、それを選択とか希望によって入れるというのは
非常に大きな問題があると思うのです。もちろん確定した情報については、その情報を
開示して理解もしてもらうし納得もしてもらうというのは当然のことだと思っておりま
す。大体、特定療養費制度が問題になるようなものは、申し上げたような、そうでない
部分があるところに問題があるのではないかと思うのです。

○星野小委員長
　余計な口出しをするのですけれども、今の問題というのは、この資料診－２のこの項
の３つ目の丸に委員側の意見として、「セカンドオピニオン等との組み合わせも必要」
というのだけれども、セカンドオピニオン等はかなり今普及を始めておるわけですけれ
ども、こういうのでかなりカバーできるというふうに考えるところはよろしいのでしょ
うか。

○宗岡委員
　こういうセカンドオピニオンなどを医療機関側は非常に柔らかく認めていただける状
況になっているということは、我々は非常に評価したいと思いますし、そういうことも
やはり情報を国民が知るという場として非常に大事だと思っております。

○星野小委員長
　最近私の友人なんかの話を聞いていると、大抵の連中はもうセカンドオピニオンをか
なり当たり前のように活用させていただいていまして、各病院の先生方も、嫌だと言う
先生は、大体、私の知っている範囲ではないようで、大変結構だなと私自身は思ってお
るのですけれども、それは、私の経験は小さい範囲ですから、蛇足でございますけれど
も。

○漆畑委員
　宗岡委員のおっしゃることは、考え方として、私はとても理解できて、素直に受け入
れることができるのですけれども、櫻井先生と同じようなことをお答えすることになる
かもしれないのですが、現在行われている医療について、情報をできるだけ提供するよ
うに医療者も努めるべきですし、それからいろいろな方法で患者さんも情報を入手する
ような機会があることも事実で、それをもっと進めるのも、私も絶対賛成なんですけれ
ども、今議論しています特定療養費制度を、あるいはなかなか難しいですけれども、い
わゆる「混合診療」の議論の中で、患者さんが自分で選ぶことができるかどうかという
ことになりますと、そういう個別なことを考えると、このことでできるかどうかという
のは疑問があると思います。ですから、情報提供を進めることをさらに充実することに
ついては全く異論ないのですけれども、先進的といいますか、普及されていない医療技
術、特に私の方から言えば薬なんかも、こういう論文があるとか、外国ではこういうこ
とが行われているという、そういう情報はありますけれども、それについて今は本当に
インターネットで何でも入手することができますので、語学力さえあれば外国の文献も
直接見ることができるのですけれども、それは確かに一つの事実なんですけれども、そ
れをもって、目の前にいる患者さんに使えるかどうかというのは、多分医療者でもなか
なか難しいのですね、そういう症例のないものは。ですから、それをお伝えすることは
できるのです、そういう事実もお伝えすることはできるのですけれども、それをもっ
て、情報の提供側も選択できない、要するに判断できない、要するに一情報であるけれ
ども、それで結論的に判断できないようなもので果たして患者さんが自己選択できるか
どうかという点がかなり抵抗がございます。ですから、総論的といいますか、全体とし
て宗岡委員のおっしゃるようなことについては、全く私はそこは同感なんですけれど
も、この議論で個別事例に当てはめてみると、大変難しゅうございます。
　後でお薬のことが出てくるかもしれませんけれども、例えば裁判のことがあって、新
聞に出ているかもしれませんけれども、肺癌の薬で承認された後に４００人以上の方が
亡くなっているようなことも、その使い方の問題もあるかもしれないし、あるいはだけ
どやはり情報が不十分なこともあったわけで、その時点の情報で予測し得ないことがい
っぱいございます。だから、医療手段とか目的とか効果ということも当然考えるべきで
すけれども、やはり安全とかを考えると、それで本当に判断できるだろうか。それはだ
から患者さんが判断できるかどうかだけでなくて、提供側も、情報を提供することはで
きても、断定的な判断ができるかどうかということに、私どももためらいがございま
す。

○星野小委員長
　まあ、微妙ですね。ありがとうございました。

○櫻井委員
　ちょっとよろしいですか。

○星野小委員長
　はい、櫻井委員。

○櫻井委員
　先ほどの補足ですけれども、現状で言えば、特定療養費制度の高度先進医療のところ
に書いてあることですけれども、安全性と有効性はあるけれども、普及性がまだないも
のについて高度先進医療にするということが書いてあるわけです。安全性と有効性があ
って普及すれば保険に入るわけです。そのような高度先進医療を当分の間特定療養費で
やると書いてあるわけで、ひっくり返せば、安全性と有効性が保証されないものは高度
先進医療にも入れないと言っているのだと思うのです。つまり、安全性、有効性が確立
されていないものについて、そういうものに入れ込むというのは、もともと問題がある
からそのように書き込んであるので、それは守るべきだというふうに考えているわけで
す。安全で有効だということが確立されれば、それを十分説明して、それを患者さんが
選択するのは可能だろうと思います。そういうつもりで申し上げました。
　ただ、ここでの議論は、例えば高度先進医療が承認されるまでに時間がかかり過ぎる
から、それを直せというような問題、それはまた別の議論で、今のことは基本的な考え
方に近いのですけれども、その部分はそうではないかと思っているということです。

○小島委員
　情報の非対称性の問題については、いろいろと意見があるところですけれども、やは
り患者と医療行為、治療を行う医師との関係性があるので、最終的にはインフォームド
・コンセントの世界になるのだろうと思います。患者がどんな治療行為を選択しても、
医療行為を行うのはやはり医師ですので、おたがいの信頼関係、やはり合意と納得があ
るのかどうかという、そこに行き着くのだろうと思います。このインフォームド・コン
セントという視点をこれからの医療の中ではもっと重視していくということにつながっ
ていくのではないかと思っています。

○星野小委員長
　大変難しい問題ですね。ぎりぎりのところで生きるか死ぬかというところにいる患者
さんと、技術の限りを尽くしてくださるお医者さんの出会いだから、ちょっとしたこと
でまさに主観的には全然価値観が相違してしまうことがあるわけで、そこをどう救済す
るかというのは大変難しい問題なんで、常時やはりそういうところにお互いに注意しな
がらいくということは非常に重要だろうと思いますが、ぎりぎりに技術的にどうやった
らいいかという、なかなか回答は出しにくいのじゃないでしょうかね。具体的な方法で
うまい方法があればいいんですけれども。いや、こんな悲観的なことを言ってはいかぬ
かな。
　それでは、次の第３番目に移らさせていただきます。どうぞ御自由に、だんだん具体
的になってきたのかな、この３番目は非常に具体的な話ですから、割合と合意は得られ
たのだったですかね。「医療保険と無関係のサービス・医療行為の類型化」ということ
で、この点について何か補足あるいはその他のことについてございましたら、どうぞ。

○対馬委員
　ここに書いてあるとおりですけれども、ちょっと補足というか、今の特定療養費とい
いますか、いわゆる「混合診療」との関連も出てくるのかもしれませんけれども、医療
一連の行為という解釈の中で同時的に行われるものというところから、例えば通訳の問
題なんかも同時的に行われると、そうすると、都道府県ごとによって若干指導が違うじ
ゃないかとか、こういったことになってくるのだと思うのです。先般開原先生の極めて
明快なお話もありまして、まさに同時的であるかどうかというよりは、医療行為そのも
のかそうでないのかという、ここにも「医療の提供と直接関係のない」と書いているの
ですけれども、そういうことでここはきちんと整理していくべきではないのかなと、こ
ういうふうに思います。そうしますと、特定療養費のところにも入ってこない。もうま
さに保険なのか保険外なのか、医療行為なのか医療行為でないのか、こういったことで
すから、ここのところをきっちりやっていくと、大分この特定療養費制度というのか、
ないしはいわゆる「混合診療」といいますか、いろいろな要素の中で議論されていって
なかなか話がかみ合わないということの原因の一つは、ここの整理が必ずしも十分では
なかったからではないか、こういう感じもいたしますので。

○星野小委員長
　ありがとうございました。
　これもまた蛇足を申し上げて恐縮なんですが、私はイギリスに１９６３年ぐらいにお
ったのですけれども、イギリスへ行くと、日本語でもけっこうお医者さんにかかれるの
です。というのは、病院へ行きますと、１２カ国語か１３カ国語ぐらいで、日本語と英
語と対比しているカードがありまして、女房は英語を全然しゃべれないのですけれど
も、せがれがけがをしたときに、病院へ店の人が運んでくれて、女房がついていったの
ですけれども、私が行かなくてもちゃんと治療を受けて帰ってこれたということなんで
す。通訳の問題と実はこの特定療養費と関係ないのですけれども、通訳の問題やなんか
は、もうこれからは国際化時代だから、もっと医療担当者がきちんとすれば解決する話
なんで、ここで議論する話とは別に、そういう配慮も本当は必要なんじゃないか。我々
の領域の外で申し訳ないのですけれども、医政局かどこかの話かなんか知りませんけれ
ども、という御配慮をすれば片づく話なんじゃないかと思うのです。これも蛇足です。

○小島委員
　私もここに書いてあるようなことで整理をすれば、基本的には整理がつくのだろうと
いうふうに思っていますけれども、ただ、今日の資料の２ページの一番下に、乳癌治療
の乳房再建術との関係で、いわば美容整形的医療は初めから関係ないというふうに整理
できるかどうかというのはあるのだろうと思います。ちょっとその辺は個別的な判断が
必要になってくるのではないかというふうに思います。それについては後ほどまた触れ
ますけれども。

○星野小委員長
　それでは、第４番目の「高度先進医療の改革」のところであります。これはかなり御
意見があるのかな。どうぞ、どなたからでも御発言いただきたいと思います。

○宗岡委員
　薬品の収載などは随分早くなってきて、この中医協の議論が現実に反映しているとい
うことで、それはそれとして評価したいと思うのですけれども、それでもなおかつ深刻
な癌の患者さんからああいう問題提起がされたりしているわけです。したがって、最初
の丸にありますような、より迅速に、安全性と効果がはっきりする結論を出す、そうい
う仕組みをもう少し改善する必要があるのではないか、さらに改善する必要があるので
はないかというのが１つです。
　それから２つ目の問題については、やはり先ほど来申し上げていますように、多くの
医療機関が新しい技術、高度な技術に挑戦していただくというふうな医療側のいろいろ
な意味でのマインドも変わっていただける努力という意味で、こういう広げていくとい
う方向については私どもとしては望ましいのではないかというふうに思っております。

○星野小委員長
　ありがとうございました。

○小島委員
　１つ目の丸で整理されているような方向、ここはやはりそういう方向で薬剤等の保険
収載、あるいは先進技術等の適用というのを速やかにできるような体制を整備する必要
はあるだろうと思います。それと同時に、新たな薬剤、あるいは新たな技術といったも
のを認めるといった場合に、それをきちっと監視していくような体制もあわせて整備し
ないと、安全性の問題がやはり保てないと思います。これはやはり迅速な対応と、それ
をきちっと第三者的な監視機関といいますか、そういうチェック機関というのをあわせ
て整備する必要があると思っています。この点をぜひ、まとめるときには入れていただ
ければと思います。

○星野小委員長
　ありがとうございました。

○櫻井委員
　資料の診－１というのが事務局がまとめたもので、診－２はどちらかというと、この
間のディスカッションの参考人意見と委員の意見とを並べた記載になっているわけです
けれども、診－１の方でいうと、今４のところをやっているわけですが、診－２の方で
いうと、４ページの５になっているのです。その前の「規制改革」何とかというのがま
とめの方の診－１では入ってないですから、番号がずれているのでちょっと分かりにく
いのですけれども。つまり、診－１の方の４で今議論しているのだけれども、診－２の
方は５になるわけで、その右側の「委員意見」のところで、これは私が言ったのかと思
いますけれども、「高度なものに限らず「先進医療」とすべき経過を見て将来保険への
導入を考えるべき」ものと書いてあります。診－１の４の整理が、「高度先進医療の改
革」というふうに言っていますから、「高度先進医療」というものはもう動かさないで
改革するのか、それとも「高度先進医療」を、わかりやすく言えば、「高度」のほかに
「中度」とか「低度」とかも含めて改革することまでここで議論するのかによって問題
が違ってきます。このまとめに書いてあるのは「高度先進医療」を前提に審査の迅速化
とか保険収載が何とかというのと、承認要件をどうするとか、簡素化を拡大とか、実績
報告になってしまっているので、診－２でいったら、「高度先進医療」という中で議論
したのは、「先進」という内容についても議論したいというのが入っているのです。こ
のまとめにはそれが入っていないから、今のとおりの「高度先進医療」でやるのも、こ
れは結構ですけれども、それ以外にさらに「高度先進」というところ自体の議論が必要
です。その次の「選定療養」の中に入れるのだと言えばそれでもいいわけですけれど
も、関連になるわけです、結局は。「高度」は「高度」のまま残して、私が言った「中
度」とか「低度」というのがあるとすれば、それは「選定療養」だと言えば、それはそ
れでまた別の議論をしてもいいのですけれども、そこをちょっと分けないといけないと
いう気がするのです。

○星野小委員長
　私も大変いい御指摘を受けたと思うのです。先ほど小島委員が言われた安全性、有効
性だとか、そういうものがきちんと担保されるような仕組みも同時に考えながら、この
問題について考えたらいいというような、これは診－１の２ページの４のあたりを見な
がら言われたのだと思うのですけれども、櫻井委員が言われたのは、これは非常に私は
重要な御指摘だと思うし、事務方は気の毒だとも思うので、事務方は、今回の検討全体
が「高度先進医療」というタイトルで始まったものですから、「高度先進医療」という
タイトルを外せないで議論をしているのですね。それで……
　何かありますか。
　櫻井委員が言われたのは、実は「高度先進医療」のままでいると、非常にがちがちの
ところにいるわけだから、むしろ全体のカテゴリーをもう少しうまいカテゴリーを考え
て、それで今議論されていることものみ込めるような方法もあるのかなということを半
分含んでいらっしゃるわけで、そこをやらないと、確かにがちがちのままの議論で、名
称と実体がいつまでたってもつり合わないというような関係になるのじゃないかなと。
　議論の仕方としても非常に重要な御指摘じゃないかなと思うのですけれども、課長さ
ん、どうですか。

○事務局（麦谷医療課長）
　診－１と２の平仄が合っていなくて恐縮いたしました。ちょっと論点整理のときにな
かなかうまくまとめられなかったものですから、ちょっと平仄が合っていませんが、今
の御指摘は、診－１の２ページの「高度先進医療の改革」というタイトルで御議論をい
ただきたい、あるいは論点を整理させていただいたのは、今、既存の高度先進だけでご
ざいます。高度先進の制度だけで御議論いただきたい。
　それから、櫻井先生御指摘の、それでは「中等度」等についてはどうするのだという
のは、実は、この２ページの下の「６　特定療養費制度の拡充等」と書いてあるタイト
ルのところに入れさせていただきましたので、平仄は合っていませんが、例えば診－２
の規制改革会議から言われた「中間とりまとめ」の御議論の中で出たようなことも、こ
の６のところに実はまとめてございます。そこは説明が不足して申し訳なかったと思い
ますが、「中等度」あるいは「高度」じゃない技術についてどうするかというのは、６
でまた御議論いただくような構成になっております。
　以上です。

○星野小委員長
　そうか、司会が悪いんだ。一つ一つ区切って相互関連を断ち切ってしまったところが
悪いのかもしれませんね、それではね。

○櫻井委員
　結局、４、５、６がお互いに……

○星野小委員長
　関係しているんですね。だから、６へ行ってこの議論はしましょうか、ここは核心で
すからね。
　すみません。どうも私がぶっち切って一つ一つやったら皆さんから一応これオーソリ
ティーをいただいたようになるのかなと思ったものだから、やったのですけれども、み
んな関連しているところが多いですから。
　それでは次に、今度は５つ目に行きますか。それで６へ行きましょう。まず５つ目、
「選定」はちょっと違うので、ここのところは別個で議論しても大丈夫だと思いますの
で、どうぞ。

○櫻井委員
　同じことの繰り返しになるようですけれども、やはりここも別だということではなく
て、この「選定療養」について、診－２の方で、「選定療養は類型を追加する過程で、
性質の異なる多様なものが混じっており整理すべき」と言ったのは私だと思うのですけ
れども、まさにそうなんで、例えば選定療養の中に、さっき話題にしたような癌の薬の
話で、例えば治験が始まったら、すぐ特定療養費でやるというのは、考えようによって
は一種の先進医療なんです。まだ完全には認められていないけれども、治験でこれから
確認していく、あるいは外国では扱っているのだけれどもというのは、高度先進かどう
かは別として考えようによっては一種の先進医療です。つまり先進医療もこの選定療養
には入っていますから、６でやるというところは、結局、４、５、６、が絡み合ってし
まっているのではないでしょうか。だから、５だけまた別個にと言われても。

○星野小委員長
　よし、わかりました。それでは、訂正いたします。６でみんなひっくるめてやりまし
ょう。
　それでは、どうぞ自由に、今度は領域が非常に広がりましたから、土俵はあまりこだ
わらないで、どうぞ御自由に御見識を御披露いただければと思います。どうぞよろしく
お願いします。
　では、櫻井先生、先に口火を切ってください。もう言い切りましたか。

○櫻井委員
　いや、その上で議論はたくさんあるのだと思うので、そうすると、もう６まで入れて
しまうのですか。

○星野小委員長
　はい、入れてしまいましょう。

○櫻井委員
　どうしましょうか。そうしたら、事務局が言った「どう考えるか」をやった方がいい
のですか、それとも、全体をやっているうちに「どう考えるか」の答えが出てくるので
すかね。

○星野小委員長
　全体をやっているうちに答えは中に含まれてしまうと思います。

○櫻井委員
　私はこの間、これももう既に申し上げているのですけれども、高度先進性、つまり特
定療養費制度というのはなぜできたかという話がありましたけれども、なぜは別とし
て、理屈は、現物給付制度の例外として現金給付を認めたのが療養費制度で、それ野中
で特定したものが特定療養費制度です。それがなぜ入っているかという一つの切り口と
しては、将来保険に入れることが前提で、だけど今は、つまり高度先進医療に代表され
るわけですけれども、例えば安全性、有効性はあるけれども、すぐには入れられない、
あるいは癌の薬の治験のように、まだ完全に安全性が確立していないけれども、外国な
どの例があればいいとか、そういうようなことで、幾つか条件はつくけれども、将来保
険に入れることが前提の一つのクッションとしての意味が特定療養費制度にはあると私
は思っているのです。だから、逆に言えば、その意味を生かして特定療養費制度の中
を、将来保険に入れることが前提のカテゴリーと、そういうクッションではなくて、さ
っき議論が出ましたけれども、医療に直接関係ないけれども、患者さんが希望するもの
がある。そういう意味で、それが本当の「選定」だと思っているのですけれども、患者
さんが選びたいという意味で室料のお金を取るというようなことが前から入っているの
ですけれども、それに今いろいろ議論になっているようなテレビだとか、通訳代とか、
そういうようなものは入れるという、そういう切り口が、まずこの「高度先進」と「選
定」を、全体をひっくるめた議論が必要ではないかと思っているわけです。
　この特定療養費制度を一番初めに入れたときは、「高度先進医療」と「選定療養」と
に分けたのだけれども、「高度先進医療」はそのままですけれども、「選定療養」は、
医科でいうと室料のお金で、歯科でいうと金属材料のお金という、直接医療とは関係な
いというか、言ってみれば差額のお金を取ってもいいですよみたいな部分として分けら
れていたわけです。だから、名称としても非常にすっきりしていたのだと思うのです。
　それで話が戻りますけれども、その後「選定療養」にいろいろなものが入ってきたか
ら整理が必要だという意見を申し上げたわけです。原点に戻れば、特定療養費制度は現
物給付の医療制度をある程度補完する制度としてつくられたもので、１としては、「高
度先進医療」に代表される将来保険に入れるもの、２として、医療とは直接関係ないけ
れども、プラスアルファを患者さんの選択でお金でいただくもの、つまり将来も保険に
入られないものと、そういう切り口で考えればいいと私は思っています。

○星野小委員長
　非常にある意味ですっきりした考え方じゃないかなと思いますけれども、ディフェン
スする事務方は、現行を実行している事務方としては、何か今の仕分けに対して強烈な
反論をしてみませんか。

○事務局（麦谷医療課長）
　おっしゃるとおりで、反論ございません。

○星野小委員長
　つまらないな。まあまあ、結構です、どうも。
　そうすると、この前参考人の方が言われた小島の話ね、小さいぽちっと絵の中にあり
ましたよね、あれはつい最近、これは私も責任者の一端なんだけれども、要するに、入
院日数を切るためにやったところがありますよね。政策的にやったんじゃないかとい
う、こういう話になるのだけれども。ああいうのはやはり、こういう平場では言いにく
いのかもしれないけれども、反省ひとしきりというふうに考えた方がいいんですか。

○事務局（麦谷医療課長）
　今、委員長が「小島」と言われても、恐らく聞いている人にわからない人がいるかと
思いますので、説明しますと、１８０日を超える入院の自己負担の件でございますが、
私どもとしては、まさに絵にありましたように、異質なものが入っているという認識は
十分ございます。また、それをどうするかというのは、また中医協で御議論いただけれ
ば、そのようにいたします。

○星野小委員長
　そうですね、一回決めた話だからね。そうやって整理してくれれば非常にわかりやす
いです。どうもありがとうございました。

○対馬委員
　櫻井委員の言われたことに対する反論ということでは必ずしもないのですけれども、
ただ、切り口として、確かにこういった保険導入との関係、そしてそこは高度先進なん
かのところはそういった分け方というのは比較的わかりやすいようなところもあるので
すけれども、どうでしょうか、高度な医療技術から次第に中程度になってこう行って、
最後になると医療とは直接関係がないと。そして関係ないのは保険外と。先ほどの通訳
みたいなものがありますよね。それとの、そういった切り口があるのですが、一方「選
定療養」の方は、必ずしも将来的に保険導入云々というところと見るのでしょうかね。
ちょっと違うような感じがするのですね。経過的にも、例えば歯科の材料とか、それか
ら差額ベッドなんかから来ているわけですよね。だから、そこは恐らく患者さんが極め
て選択しやすいと。

○櫻井委員
　そういう意味です。

○対馬委員
　はい。患者さんは極めてこれはわかりやすいと、これはもう明らかで。だから、ちょ
っと高度先進的なやつと選定療養的なやつはやはり違うのかなと、こういう感じはする
のです。

○櫻井委員
　いや、私が申し上げたのもそのつもりなので、一番最初のときには非常にすっきりし
ていたんです、高度先進医療と部屋代と歯科の金属しかなかったのですから。その後
「選定療養」がごちゃごちゃになったのだと思うので、というのはなぜかというと、
「高度先進医療」というのしかありませんから。例えば最初のときに「選定療養」と対
比した言葉として、単に先進医療とか、あるいは現在保険で認められていない医療と
か、そういう言い方であればそっちに入れられたものがその後「選定療養」に入ってし
まったのではないかと思うのです。

○対馬委員
　はい、わかりました。
　ちょっと中身に入らせていただきたいのですけれども、たしか「高度先進」まで行か
ないということについてどう考えるかと。ここに書いているとおり、非常に悩ましいと
いうか、難しい問題があると思うのですけれども、やはり基本的には、先ほど来出てい
ますように、安全性、有効性が確認できていると、しかし、普及性の面で、やはり保険
診療ですから、例えば特定の地域とか特定の病院だけしかできませんというのは、本当
に保険診療なんだろうかというと、やはりそれはまさに特定療養費制度の中で行って普
及できるような状況になって、初めて全国的に保険診療とすると、こういうことだとい
うふうに思いますので、それはやはりそういった整理が必要なんだろうと、この「高度
先進」まで至らないところにですね。
　それの具体的なやり方、例えば調査専門組織の中に医療技術評価分科会がございます
ね、そこなんかでそういった新しい技術について、今のところは、これは保険診療に入
れるかどうかみたいな議論をしているわけですけれども、そうじゃなくて、その一つ前
の、特定療養費制度の中に入れるべきではないか、こういった議論もこの医療技術評価
分科会なんかでしていただければいいのかなと、こんな感じもするのです。

○星野小委員長
　どうですか、医療課長、今の御意見みたいなのは採用可能なのかな。

○事務局（麦谷医療課長）
　現在の医療技術分科会の機能には、今対馬委員が言われたことは想定されておりませ
んが、そういうものを織り込んで技術分科会を位置づけるということは、理論的には可
能です。

○星野小委員長
　フォローアップさせていただきたいと思います。覚えておいてください、対馬委員、
今の発言。

○対馬委員
　はい。

○土田委員
　これはいずれまとめていかなければいけませんので、ちょっと確認で御意見をお伺い
したいのですが、今櫻井委員がおっしゃったように、「高度先進医療」と「選定療養
」、これは最初のときはやはり非常にすっきりしていたと。それで、それが考え方の原
則だというのは非常にわかるのですが、両方とも増えてきましたよね、いろいろな枠
が、それで非常にあいまいになってきたのですが、そこのところで、「選定療養」の方
はかなり整理がつくかなというふうに思うのですが、「高度先進」に入っている、先ほ
ど回数制限の問題、ここで言うと３ページ目の「患者の要望に応じ」云々というような
ところだとか、あるいは乳房の再建術とか、そういうちょっと非常に、特に「高度先進
」ではないけれども、いわば櫻井委員のおっしゃる中進的な技術だけれどもどうかとい
うのが幾つかございますよね。そういうのは具体的に実際入ってきているので、どう考
えるかという、これは全部課長の方でこういうふうにまとめていただいていますが、こ
このところでもうちょっと御意見をお聞きしたいのですが、これを取りまとめていくに
当たって、ぜひお願いします。これも１号側。

○宗岡委員
　これは私の個人的見解ですけれども、２ページの一番下の乳癌の話と、それから３ペ
ージの一番上の２つの問題、やはり私としては原則的に認めるべきではないかというふ
うに考えているのです。ただ、それには前提がございまして、患者の方がある意味で納
得ができるような、自分の意思で決められるような医療側からの説明とか情報公開です
とか、そういうものが前提になるとは思いますけれども、マクロには原則的にこういう
ところまで広げていくべきではないかというふうに私は考えます。

○小島委員
　２ページ、３ページの方は、個別的な具体的な課題がありますので、それについての
考え方です。例えば今宗岡委員が指摘されたような問題、乳癌治療に伴う再建というこ
とについてです。これは、単に二重まぶたにするとか、鼻を高くするという話ではなく
て、もともとその患者さんが持っていた体を一部切り取ったとあとを再生するという
か、もとの形により近い形に戻すという話なので、一般的な美容整形とは違うのだろう
と思います。これは患者の単なる価値観ということにはならないというふうに思います
ので、ここは特定療養費、選定療養というか、そういうところに位置づけるということ
は必要ではないかと思います。
　あと、３ページにあります回数制限の問題も、これも回数を設定しているというのは
やはり有効性の問題というのがあります。ここはやはり、ではどこまでの回数が有効
で、そこまで保険かどうかという話で、それを超えるものについては、どうしてもとい
う場合は、多分あるかと思いますね、当然、個別の具体的な話が。ですので、それにつ
いてもやはり個別具体的な診療行為を設定して、そういうものについては特定療養とい
う形で位置づけるということも必要じゃないかと思います。
　それと、追加的な看護配置の問題ですけれども、これは、今の看護配置基準が、妥当
かどうかという、そもそもの議論があるというところです。私としては、今の看護配置
基準自身が、手厚いというよりも手薄いというふうに思っています。ここは全体的にこ
れから手厚くする必要があるだろうと思いますので、これを特定療養費や選定療養とい
う形で位置づけるというのは問題があると思います。

○星野小委員長
　ありがとうございました。

○松浦委員
　今、大体中心になっているお話というのは、やはり患者さんに対して医療をどう対応
していくかというような視点からが多いと思いますが、ここに一つ「増大する医療費を
すべて公費で賄うのか、成長部分を公費以外で賄うのかは大きな国民選択」と、こうい
うことが書いてあります。一方で、それに全くこれはちょっと対立する見方だと思いま
すが、「高度先進医療の改革」の「審査の更なる迅速化や速やかな保険収載が必要では
ないか」と、これは相当対立すると思うのです。私はやはり医療の充実というのは非常
に大事なことなんですが、やはり増大する医療費ということも十分頭に置いて考えてお
かなければいけませんので、ちょうど今「三位一体改革」というのが進行していますけ
れども、全く自己決定・自己責任ということがドーンと強く出てきているわけです。
私、１６年前に市長になったのですけれども、その当時は、借金が国・地方を合わせて
３００兆円を切っていたと思うのです。それが７００兆円に今なりまして、それでガッ
ともう大きな改革になっていくと。医療費もある程度増大していって、どうにもならぬ
というようなことになったときに、もうこっちの患者の視点と、いわゆる「審査の更な
る迅速化や速やかな保険収載」というような議論はそっちのけで、自己決定・自己責任
だということがドーンと強く出かねないと、そういう心配をするのです。ですから、そ
れはやはり軟着陸でいきませんと、ドスンといくようなことはちょっと避けていったら
いいなと。それにはやはり医療費総額というものを常に頭に置いた議論がなされればい
いのではないかという気がいたします。
　ですから、その意味で、ここは中医協の議論になるのかどうかわからないのですけれ
ども、やはりこのすべて公費かあるいは自己負担かということは、相当頭に置いて、少
しずつ少しずつやっていかないと、ドスンといったらもう本当にショックが起こります
ので、特に医療というのは直接命の問題ですから、そういう気がいたしております。

○星野小委員長
　多分対馬委員あるいは松浦委員から、そういう財政問題で御意見が出るのじゃないか
なと思って、私は実は手ぐすね引いて待っていたのですけれども、ちゃんと出てきたの
で、大変うれしいと思っているのです。非常に書生議論なので、市長さんには怒られて
しまうかもしれないけれども、「高度先進医療」というのは、先ほど安全性、有効性と
いう基準があって、我々経済屋的な言葉で言うとコストベネフィット、要するに、それ
を投入すればより効果があるものだと思うのです。それでなかったら、「高度先進医療
」の「先進」の意味が何もないのでありまして、簡単に言えば、そのときの治療の手術
代なら、私は素人だからうまく説明できないのですけれども、今まで５０万円かかって
いたのが、１００万円の手術をしましたと、しかし、入院は３日で済みますよと、片一
方、昔のやつでやると、入院は２カ月はかかります、どっちが高いですかと。これは入
院した方が高いでしょうね。それからそのでき上がりの先ほどの乳房の意味ではありま
せんが、乳房がなくなってしまうかあるかというのは、我々男にはわからないけれど
も、女性にとってはもう致命的な話なのは、多分皆さん御同意を得られると思うので、
そういうものがちゃんと返ってくる、それなりに、ということの価値というのは、恐ら
く金銭上の価値以上、何とも言えない価値ですから。医療というのは、やはり私はこれ
から一番重要な先進国の価値だと思うのです、どこの国でも。お金があってもある意味
ではしようがないので、健康長寿が一番いいに決まっていますから。そういう意味で
は、「高度先進医療」というのは、国民医療にはプラスになる、より効果的なものじゃ
ないかなと思うのです。
　ただ、もう１つ絡んでくるのは、市長さんの場合だと、確かに公費と自己負担という
話があって、これはどう考えるかというのは、最後は国民の選択です。要するに、私ど
もは、国を通して医療費を使ってもらうよりは、手前が稼いだ金は手前でやるかどう
か、こういう話になってくる話なので、恐らく今提起された問題で言えば、私は国民医
療費としてはプラスになる、つまり、プラスというのはより効果的になるというのが「
高度先進医療」だと思うのです。「選定療養」の方は、おっしゃるように、それぞれの
方々がアメニティー、快適性を求めてやるのですから、それは貧乏人と金持ちを比較し
て、金持ちの人はソファーのある部屋に入る、貧乏人は３人部屋に入っていると、こう
いうことで、それは多少は世の中からいえば不公平かもしれないけれども、医療を受け
るについては技術的には同じ医療を受けるわけですから、そのかわり、では「選定療養
」というのは、そう目くじらを立てる話ではないと思うのです。「高度先進医療」と言
われているものについては、私はそういうふうに観念しているものですから、大変いい
御質問、御意見をいただいたなと思って、勝手なことを言わせていただきました。

○松浦委員
　今、端的に申し上げれば、今までは市民の皆さんの、あるいは国民の皆さんの意見を
聞いてやりましょうという政治だったのです。それが、がらっと変わって、自己決定・
自己責任に末端までなりつつ、これからなっていくと思います、厳しく。だから、医療
の場合も、患者さん中心の要望も聞いていくと、それで、そればかりやっていったら、
あるときに、これは気がついたら自己決定・自己責任だと、こういうことに何か財政状
況が似ているものですから、ちょっと心配して申し上げました。

○星野小委員長
　乱暴な議論をすれば、時の政府を倒せばいいんですよ、と思います。

○松原委員
　今のお話、ごもっともなんですが、最終的に医療は患者さんのため、国民のためでご
ざいます。お金がかかるとしても、それは国民に戻るものでございますので、財政的な
話というのは、要するに、国がどこまで関与するかという話だと思います。したがっ
て、これは国の在り方の問題でございますので、これも一緒に議論していかねばならな
い問題だと私も思いますけれども、やはりあるべき姿を私どもも求めていくべきではな
いかと思っています。
　それから、ちょっと話が戻りますけれども、回数制限のところ、一つ二つ誤解がある
ようなので、内科医の立場として少し説明させていただきます。
　ピロリの問題、これは２回までしか保険が適用でないということでございます。とこ
ろが、実際同じ治療を３回、４回して、これで効果があるのかというと、例えばほかの
ものでしたら、３回、４回やれば何とかなるということも世の中にはあるのですが、２
回でだめなものは、ピロリは耐性菌でございますので、その耐性菌に対して３回、４回
やっても、本来は意味がないということも含んでいるわけでございます。したがって、
本当にやるべきことは、ピロリを内視鏡でとってきて培養することが簡単にできれば、
それで耐性があるかどうかを判断して、もし耐性があるようであれば、薬の種類を変え
て、ほかの治療法をあわせて使うというのがあるべき姿だと思います。そういうことか
ら回数制限があったのではないかと思います。
　したがいまして、これが有効でなければ意味がないわけですから、安全性の方はほぼ
確立されているわけでございます、どれも皆長い間市販されている薬ばかりの組み合わ
せでございますので、そういったことを考えれば、本来はピロリの件に関しては、当初
導入するときにかなり財政的な負担があると思われたのでこのような形にもなったとは
思いますが、やはりこれは現場の医師と説明を受ける患者さんの判断に任せていただい
て、そんなに大きな財政的な負担になりませんので、２回やってだめというのは非常に
少ないのは事実でございますから、保険適用にしていただきたいと思います。同じ方法
で除菌するということがそしてもしそれが、例えば一医療機関で何度も起きているよう
であれば、これは医学的におかしいことでございますので、審査委員会で判断していた
だくのがあるべき姿ではないかと私は思います。
　また、腫瘍マーカーにつきましても、例えば非常に高い値が出たときに、これがどう
変化するのかというのを知りたいのは患者さんにとって当たり前でございます。また、
ＣＡ１９－９という、膵癌の腫瘍マーカーとして代表的なものでございますが、これの
場合には、経過を追っていったら、そのうち膵癌が出てくるということはよくあること
でございます。エコーで見てもなかなかわからない、ＭＲＩで見てもわからないけれど
も、ＣＡ１９－９を追いかけていくと、やはり膵癌が出たということは、日常の診療の
中でよくあることでございます。これもやはり費用の問題はございますが、医師と患者
さんに説明した上で行って、そして、これは審査委員会で、こんなにこの検査を多発す
るのはどうもおかしいということであれば削ればいいわけでございますから、現場に任
せていただくべきではないかと、私は思っております。腫瘍マーカーというのは少し費
用が高いので、財政的には少し問題があるという意見もございますが、しかし、大きな
目で見て全体から見たら、その膵癌を早く手術して助かることができる、あるいは胃癌
や大腸癌でも、ＣＥＡという腫瘍マーカーがございますが、これを追いかけていくこと
によって、あるいはチェックすることによって、大腸癌にならないポリープの間に見つ
けることも可能でございます。そういったことは今はもう日常の診療の中で極めて常識
的なこととなっておりますので、そこのところの回数はもはや制限すべきではないので
はないかと、私は考えます。
　あと、整形外科的な治療の問題は、またこれも議論すべき点があるかとは思います
が。

○星野小委員長
　どうもありがとうございました。

○松原委員
　もう１つよろしいですか。

○星野小委員長
　どうぞ。

○松原委員
　乳房再建術でございますが、御存じのように、現在でも再建術自体は保険の適用にな
っております。問題は、そこに使う材料あるいは中を広げるようなシステムが一応保険
の中に入っていないということです。具体的に言えば、シリコンが保険適用になってい
ないということでございます。このシリコンというのは、長い目で見たときに、まだ安
全性が１００％確立されていないというのも事実でございます。そういったものもあっ
て、保険の材料としてそれが適用されていないので、そこだけ別にしなければならない
という問題はございます。しかし、多くの場合は、やはり１回手術をして、もし転移す
る可能性がある、あるいは残している可能性があるのであれば、やはりこれは２回に分
けて安全に手術をすべきだというのが外科医の意見のようでございます。問題は、材料
のところが保険適用されていないというところにありますので、そこのところを間違え
てはいけないのではないかと私は思います。

○星野小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　今松原委員の前段の話は、全くおっしゃるとおりだろうということで、ううんとうな
ずいていたのだけれども、最後になったら、制限すべきでないという、こういう結論に
なりましたので、それはいかがなものかなと。釈迦に説法ですけれども、中医協といい
ますか、診療報酬体系というのは、一定のこういった治療行為に対して値づけをする
と、こういったことですから、一定の治療行為の中には、物によって違いますけれど
も、幾つかの項目が必ずあるわけです。それらの項目を含めて１回幾らと、こうなって
いるわけですね。そこを外していくということになりますと、これは回数というのはわ
かりやすいようでありますけれども、それ以外の項目は随分ありますので、そういった
一つのある種の構成要件みたいなことになっているわけですから、そこを外すというの
はどうかというのもありますし、また……

○松原委員
　回数というのは、問題となるのは今のほとんど３つで集約されると思いますが。

○対馬委員
　また、回数でここで決まっているのは、あくまでエビデンスに基づいて、通常の場合
だと学問的というのでしょうか、ないしは経験的に見てこのぐらいのやつはこうだとい
うことで決まっているわけですから、それをエビデンスに基づかずにすべてお医者さん
が判断する、ないしは患者さんと同意すればいいと、こういうことではないだろうと。
それは保険診療の診療報酬体系全般にかかってくる大きな問題だろうというふうに私は
思います。ですから、やはりこういうのは、回数なら回数というのは、エビデンスに基
づいて決めていくわけですから、それがエビデンスで変わってくれば当然２回を３回に
しても、それはよろしいかと思いますし、腫瘍マーカーが１回を２回にしてもよろしい
かと思いますけれども、それはやはりあくまでエビデンスに基づいていくと。それを外
してしまって、すべてこれはお医者さんが決める、ないしは患者さんとの同意があれば
いいのだと、こういうことはないだろうと私は思います。

○松原委員
　先ほどピロリのお話をしましたように、これは３回、４回やればいいという問題では
ないわけなのです。回数の制限がついていて問題となるのは、今申し上げたピロリと腫
瘍マーカーと整形外科の鎮痛処置の問題、今３つしかないと思います。ですから、そこ
のところは、今申し上げたように、ピロリなんかは、そういった要素がございますの
で、導入されるときの財政的な問題があったのでこういう形になっておりますが、本来
あるべき姿は、今申し上げたように、そんなに大きな費用の負担にはなりませんので、
そして、それを使うこと自体が問題であれば、審査委員会はございますから、そういっ
たものはお任せいただければと思います。もちろん対馬委員の立場もございますので、
それを強く主張するわけではございませんが、ピロリの回数制限というのは、そういっ
た医学的な要素があっての話がなくて、３回、４回やればいいという話ではないという
ことを一つ御主張申し上げたところでございます。

○櫻井委員
　追加なのですけれども、対馬委員が、エビデンスに基づいてやれと言うから、そう
だ、そのとおりだと思っていたら、回数制限すべきだと言ったので、おかしいなと思っ
て今聞いていたのですけれども、松原先生が言ったことは、２回とか１回とか決めるこ
とがおかしいのであって、ピロリ菌の場合も、耐性菌が生じたからきちんと調べて、３
回目が必要でこういうふうにやりましたという、エビデンスがあるものは認めればいい
のではないかと。そういうエビデンスなしに、３回はだめとか、いうのはおかしい。そ
れから腫瘍マーカーも変化を見る必要がある場合、あるいは癌が既にあってその経過を
見る場合とか、いろいろなケースはありますけれども、エビデンスのある必要なものは
認めるべきなので、それを無視して１回だけとか決めるエビデンスのないやり方はよく
ないというふうに言ったわけです。何でもかんでも、１０回やってもいいとか、そうい
うことを言おうとしているわけではないわけですから、対馬委員の言うように、エビデ
ンスに基づけとおっしゃれば、これは何回と決めることがエビデンスがないわけですか
ら、それは外そうというふうに申し上げたので、結論がちょっと対馬委員は違う方向へ
行ったなと思って、最初は賛成していたのですけれども、あとからおかしいなと思って
聞いていました。

○対馬委員
　一言だけ。議論になるとあれですので。やはり一定のルールを決めて、ルールを決め
るときには当然エビデンスをもとにしながらいろいろな実績をもとにしながら決めてい
くのだと思うのです。そして、ただし、個別の実態と、ないしは患者さんによって違っ
てくるではないかと、そこはおっしゃるとおり、個別的に審査なりなんなりしていくと
いうことは十分あり得るだろうと、こういうふうに思うのです。
　以上です。

○星野小委員長
　どうもありがとうございました。
　ほかに、そろそろ１１時半に近づきつつありますので、総会が待っているものですか
ら、最終的に、ぜひこれはという御意見がございましたら。

○櫻井委員
　この間言ったわけですけれども、「どう考えるか」の中の最後のまとめの３ページの
上の部分にいろいろなものが混ざっていまして、今、回数制限の話が出ました。それか
ら、「追加的リハビリ」というのは、これも本当は議論があるところなんですが、それ
より一番後ろの「追加的看護配置」、たしかこれもこの間議論したと思うのですけれど
も、これはまさに医療そのものですから、これは必要ならばはっきり保険で適用する、
事実、ある程度保険的配慮はなされているわけで、それがまだ不十分だという意見があ
れば、それは考えなければいけないということですから、これは保険から外してどうと
いうことは全くおかしいと思います。

○星野小委員長
　ほかにございませんか。

○漆畑委員
　まず１つは、３ページの最後の治験のことなんですけれども、これは前回松原先生が
多分おっしゃったことだと思うのですけれども、私もこれは大賛成で、医師主導の治験
といいますか、小規模な治験が円滑に進むように、ぜひ制度上工夫をしていただきたい
のですが、診－２の方では「簡素化」ということは出てきていないのですけれども、こ
こはそれを集約して「簡素化」と書いてあって、これは「手続の簡素化」ということ
で、文脈は全然間違っていないのですけれども、そうはいっても、治験で得られる内容
の質が低下するようなことがありますと、結果的にそれはあと不利益をこうむるのは患
者さんということになりますので、治験に参加しやすい、治験の場を提供するようなこ
とが制度上簡便にできるようにはぜひしていただきたいのですけれども、かといって、
治験内容そのものが低下するようなことがあっては絶対にいけないので、その辺は文脈
でぜひ工夫をしていただきたいことが１点です。
　それから、それも含めて、今の回数制限のことも含めてなんですが、先ほどの松浦委
員がおっしゃった「増大する医療費」のこともそうなんですけれども、みんな大事な議
論ですから、当然もっとかんかんがくがく普段からやるべきと私も思うのですけれど
も、ただ、そういうことも含めて、それは多分いわゆる「混合診療」の話ではないと思
うのです。個別に今の診療報酬の仕組みとか特定療養費の仕組みを議論することで十分
解決できることであって、そういう意味で、ここで御提案されていること、この論点整
理は議論の整理で私は全くこれでいいと思うのですけれども、そもそもこの議論を始め
た経緯からいえば、それぞれの項目をどう見ても、だからいわゆる「混合診療」という
議論の必然性は全くないように感じます。ですから、まとめるつもりも全然ございませ
んけれども、個々の議論というのはもうちょっとしたいと思うのですけれども、そんな
ふうに思って聞かせていただいております。

○星野小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　一番切実な癌患者の例がよく出て、私どもそういった話を聞くと、本当に深刻なんだ
ろうなと、こういうふうには思うのですけれども、ただ、ちょっと事務局に、整理がで
きるのであればぜひお願いしたいのは、今現実に特定療養費制度なり保険適用なりされ
ずに、結果的に非常に苦労されているというのが、エビデンスに基づいてというのでし
ょうか、有効性なり安全性なりが確保されているにもかかわらずと、そういったケース
は本当にどれだけあるのかと、どういったケースがあるのかと、そのあたりを整理して
いただければ、本当に議論しやすいのかなという感じがするのが１つです。
　あともう１点は、いずれ取りまとめになっていくと思うのですけれども、当面、何し
ろ早くにやらなくてはいけないことと、あとやはり、例えばカテゴリーなりジャンルな
り、ちょっとこのままでいいのかなという感じが個人的にはしないこともないので、い
わゆる「選定療養」と「高度先進」ですね、そのあたり、くくり直した方がいいのじゃ
ないかという感じもしますので、恐らくもう少し時間がかかるのじゃないかなというこ
とです。そこは当面すぐにやって、そのことが国民のため、患者のためになるという部
分と、少し時間をかけてというのを分けてまとめていかなければいけないのかなと、こ
ういう感じがいたします。

○松原委員
　癌の患者さんを助けられない問題というのは、非常に切実な問題だと私どもも思って
おります。特に大きな問題は、アメリカで許可されていて日本でまだ使えない薬が確か
にございます。こういったことは、本来は速やかに日本で治験を開始して、そして治験
が終了すれば保険に入れるというシステムになっていないというところにあると思いま
す。ですから、そこは私どもも治験のシステムを、安全性を確保しなければなりません
が、アメリカで認可していて日本で認可していないということがある以上は、何らかの
問題があるわけでございますので、そこはもう可及的速やかに改善して、癌の患者さん
たちを助ける方法を考えねばならないのではないかと思っております。治験を改善する
システムには幾つかの方法があると思いますが、その治験の話までは、この保険を扱う
ところの当委員会で考えるべきことか、非常に難しい面もございますけれども、そこは
とにかく速やかにやらねばならないのではないかと思っています。

○星野小委員長
　ありがとうございました。

○櫻井委員
　やはり関連ですけれども、まだ治験まで行かないような、わかりやすい言葉にすれ
ば、研究段階的な薬の話が出てきている部分があるのです。これは、一部の大学の先生
が、研究的なものまでいわゆる「混合診療」として患者からお金を取りたいということ
を言っている部分があるのです。これはおかしいと思うのです。研究段階のものを患者
さんからお金を取ってやってはいけない。これは、大学なら大学が研究費を用意する
か、それが足りないなら、文科省なのか、科学技術庁なのかわかりませんけれども、き
ちっと研究費を準備すべき問題だと思うのです。そこはきちっと区別しなければいけな
い。現在のルールで高度先進医療として出てくるものだって、これは研究費で何例か実
績を重ねた上で、有効性、安全性を確認して申請してくるわけですから、それは今でも
行われているわけです。だから、極めて少数の癌の薬ので、まだ治験にも行かないよう
なものの話であれば、これは研究費でやるべきですから、それはそれでやればできるは
ずなんです。その研究費が足りないという話は我々もよくわかりますから、我々もいろ
いろな面で大学の研究費をきちっとしなさいというようなことの応援はしたいと思いま
すけれども、そこは混同してはいけないと思います。
　それから、これはそういうことが可能かどうか知りませんけれども、特定療養費では
なくても療養費払いで、例えば外国へ行ってきて全部自費で受けてきたものを明細書が
あれば、療養費払いということで、日本の保険の範囲ぐらいは返す制度があるわけです
から、癌の薬だって、全額自費でやった分を、対馬さんの健保組合のところで、それは
療養費払いで返してあげるということを自分のところの組合員に保障されればできるの
かなと思うのです。つまり、極めてまれなそういう方を救う道はいろいろと探さなけれ
ばいけないと思うのです。でも、そうだからといって、そういう言い方をしてはいけな
いのだけれども、その人のために全体のルールを破っていわゆる「混合診療」を認めて
しまったならば、これはおかしなことになるのだと思うのです。わかりやすい例えとし
て言うのですけれども、赤信号で車がみんな止まっている。そこを救急自動車とか消防
自動車は通っていいよというルールで通過していく。でも、普通の乗用車に乗っている
人が、自分もどうしても急ぐのだから、自分はいろいろ事情があるのだから行かせてく
れと言ったとしても、それを許したら、全体の交通規則というものがばらばらになって
しまうわけです。でも、どうしても、乗用車の人を、赤信号でも通したければ、そのと
きにはお巡りさんが駆けてきて、お巡りさんが行っていいと言えば、赤信号でも行って
いいというルールがあるわけですから、そういう何らかの方策を生かすことを考えれば
いいのです。でも、どうしても急ぐのだから、乗用車が赤でも行かせてくれと言うの
を、まあしようがない、いいだろうと言うのは、やはりいけないのではないかと私は思
っているのです。

○星野小委員長
　そうか、そういうことか。対馬委員が前段に言われたのは、わかりやすく言えば自由
診療ね、癌の人が海外へ行ったり、あるいは特定の医療行為、医療行為というのでしょ
うね、本当は保険でやらなくてそういうことをやっている患者さんの量あるいは金額は
どのくらいあるのですかというような意味合いを含めてお聞きしたわけですか。そうい
うふうにとれたのだけれども。

○対馬委員
　海外のことはあまり想定していなかったのですが……

○星野小委員長
　結構です。

○対馬委員
　自由診療なり、いわゆるよく言われる薬、保険適用されていなかったがゆえにその薬
を使ったら、根っこから全部患者負担になると、こういうことがよく言われるのです
が、そういったケースが、どういうケースがそうなるのかと。よく言われているケース
が本当にどうなのかと、そこのところの実態がよくわからないなと、こういう意味で申
し上げたのですけれども。
　あと海外は、確かに櫻井委員が言われるように、海外療養費制度というのがありまし
て、ただ、あれはあくまで日本での保険診療の範囲を海外でやった場合に、それに対し
て日本の保険診療の範囲での費用を払う。ですから、例えばアメリカあたりは御承知の
とおり高いですから、とても、例えば４倍とかなんかですから、本人に日本の我々が支
払うのは４分の１とか、そういったことになっているということはそうです。

○松原委員
　今研究費の話が出ましたので、少しつけ加えさせていただきたいと思います。非常に
新しい薬で、私が先ほど言いましたのは、治験に入るべきものが落ちているということ
を申し上げましたが、治験にも至らないものについてもやはり考慮すべきではないかと
私も思っております。そうしますと、そこにおきましては、研究費を十分に文科省が出
していただければ、ただし、これを使うときには、あくまでも患者さんの安全をきちっ
と大学病院で管理、そして保証していただかなければなりませんので、やはりそういっ
た倫理委員会で十分な審査の上で使っていただければいいのではないかと。そういった
形であれば、これは費用を取らないわけですから、「混合診療」は全く関係ないわけで
ございます。「混合診療」を導入する必要も、議論する必要もなくなります。

○星野小委員長
　どうもありがとうございました。
　それでは、なおいろいろ聞きたいような気分ではありますが、後がつかえております
ので、今後の進め方につきまして私の方から一言申し上げさせていただきたいと思いま
す。
　中医協としましては、特定療養費制度の在り方につきまして、昨年３月に閣議決定さ
れた「基本方針」や、昨年１２月に中医協において取りまとめました「基本方針」に沿
って検討を行い、その中で、いわゆる「混合診療」の問題と接点が出てくれば、あわせ
て議論を行うといったスタンスで議論をしてまいりました。今後は、本日も含めまし
て、これまで皆様方に御議論いただいた内容を取りまとめさせていただきたいと思いま
す。ついては、私を中心として公益委員の方で少し検討させていただいた上で、再度こ
の小委員会を開催いたしまして、御議論いただくことにしたいと思います。
　私としましては、今後の進め方として、以上のとおり考えておりますが、これについ
て何か御意見等がございましたら、どうぞお教えいただきたいと思います。何か御示唆
いただけますか。
　それでは、もし特段の御意見ございませんでしたら、そのような方向で作業を進めさ
せていただきたいと思います。また、先ほど申し上げましたように、小委員会で皆さん
の御意見あるいは貴重な御示唆を承りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思
います。
　どうもありがとうございました。それでは、この問題についてはそういう形で議論を
進めていくこととしたいと思います。
　本日の小委員会は、このあたりで終了したいと思います。
　次回の小委員会の日程について、事務局から何かありますか。

○事務局（麦谷医療課長）
　今のところ、特に具体的な日程は決まっておりませんが、また委員の先生方にお諮り
して日程を調整したいと思います。それほど遠くない時期に設営したいと思っておりま
すが、まだ具体的な日にちは決まっておりません。

○星野小委員長
　それでは、日程について御迷惑をかけるかもしれませんが、事務方が検討してくれる
ようですから、よろしくお願い申し上げます。
　それでは、本日の小委員会はこれにて閉会といたします。
　この後引き続き総会を開催したいと思いますので、準備が整うまでの間、しばらく御
休憩をお願いいたします。
　どうも御協力ありがとうございました。


【照会先】
　　　　厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
　　　　代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）