04/11/25 第9回医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会議事録     第9回 医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会                    議事録 1.日時  平成16年11月25日(木)17:00〜17:30 2.場所  経済産業省国際会議室 3.出席委員 位田委員、宇都木委員、垣添委員(委員長)、具嶋委員、栗山委員、        武田委員、廣橋委員、福嶋委員、堀部委員、柳川委員、吉倉委員        (事務局)        松谷技術総括審議官、上田厚生科学課長、安達研究開発振興課長、        高山研究企画官 他 4.議題  (1)パブリック・コメントにおける意見及び回答(案)について  (2)臨床研究に関する倫理指針(案)について  (3)その他 5.配布資料  資料1:パブリック・コメントにおける意見及び回答(案)  資料2:臨床研究に関する倫理指針(案)【パブリック・コメント反映見え消し版】  資料3:臨床研究に関する倫理指針(案)  参考資料:パブリック・コメントの募集のホームページ 6.議事 ○事務局  ただいまからの30分につきましては、医学研究における個人情報の取扱いの在り方に 関する専門委員会を単独で開催させていただきたいと思います。  本日最後の議題でございます臨床研究に関する倫理指針についての討議を始めさせて いただきたいと思います。  今回は、11月19日に締め切りを設定させていただきましたパブリックコメントの結果 及びそれに対する回答案並びにパブリックコメントを踏まえました指針の見直し案につ いてご検討をいただく必要がございますので、ご議論のほどよろしくお願いいたしま す。また、直前に開催されました3省合同委員会及び2省合同委員会と同様に、本委員 会におきましても、臨床研究倫理指針そのものの法制化についてのご意見をお伺いした いと考えておりますので、この点につきましてもよろしくお願いいたします。  なお、本日ご議論いただきますパブリックコメントを踏まえました指針案につきまし ては、委員会でのご結論をいただきましたものを法制的な文言のチェックなどをいたし ました上で、官報告示の手続に入らせていただくこととしております。また、パブリッ クコメントに対する回答案についても、本日ご決議いただきましたものを公表させてい ただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。  それでは、議事を進めてまいりたいと思いますので、以後の議事進行につきましては 座長の垣添先生、よろしくお願いいたします。 ○垣添委員長  それでは、もうしばらくおつき合いください。  医学研究における個人情報の取り扱いに関してということで、パブリックコメントを 踏まえた修正等に関して、事務局からご説明ください。 ○事務局  それでは、まず配付資料の確認をさせていただきたいと思います。本日お手元にお配 りしました資料でございますが、議事次第というものが一番上にございまして、配付資 料一覧がその下に書いてございます。まず資料1でございますが、パブリックコメント における意見及び回答(案)として、パブリックコメントでお寄せいただきました意見 のうち、質問部分を抜き出し、それに対する当方の回答案をまとめたものを提出してお ります。また資料2といたしまして、臨床研究に関する倫理指針(案)【パブリックコ メント反映見え消し版】といたしまして、パブリックコメントの意見を踏まえて修正い たしました指針案を提出しております。また、資料2の見え消し部分を基本的に反映さ せましたものを資料3として提出しております。今後、資料3の細則以外の部分を官報 告示し、政策部分は局長通知するということになります。なお、資料2と資料3は内容 的には同じでございますので、後ほども行いますこちらからの説明におきましては、資 料3ではなく資料2を使用したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたし ます。  また、参考資料といたしまして、パブリックコメントを募集した際のホームページに 掲載した文面をそのまま印刷しておつけしております。  このほか、委員の方々には机上配付資料といたしまして、「臨床研究に関する倫理指 針」の見直しに係るパブリックコメント(原資料)という表題の、パブリックコメント でいただきました意見の原文を配付しております。なお、こちらにつきましては、申し わけございませんが、後ほど回収させていただきたいと思います。  お手元にすべての資料はおそろいでしょうか。ご確認いただけますでしょうか。  本日の配付資料の説明は以上でございます。 ○垣添委員長  ありがとうございました。先走りまして失礼しました。  資料確認よろしければ、パブリックコメントとして寄せられた意見の報告と、各意見 に対する回答をご説明ください。 ○事務局  それでは、ご説明させていただきます。今回の臨床研究に関する倫理指針に関するパ ブリックコメントにつきましては、個人の方や法人など10主体から合計20の意見をいた だいております。以下、資料1及び机上配付資料を用いてご意見を紹介させていただき ますとともに、各意見に対します当方の回答案をご説明したいと思います。基本的には 資料1に基づいてご説明いたしたいと思いますが、資料1の回答案のうち、当省の考え 方としたカラムのところでございますが、グレーに網がけをさせていただいている部分 は、パブリックコメントの意見を踏まえまして指針の修正をすることと考えている部分 でございますので、これにつきましては後ほど資料を用いてさらにご説明したいと思い ます。  それでは、資料1に基づいてご説明いたしますので、資料1をごらんください。パブ リックコメントで寄せられた意見と対応いたします資料の順のとおりに記述したものの 形になっております。資料1と机上配付資料を並べてみていただくとわかるのですが、 1つの意見につきまして、資料1におきましては原資料のページを一番左端に書いてお ります。次に、机上配付資料の1ページ目をごらんいただきたいのですが、IIと書いて ございましてご意見となって四角で囲んであるところに(1)と書いておりますが、これ は通し番号としてつけたものでございます。これは整理番号として、先ほど申し上げた ように倫理指針の順に並べたものを通し番号とさせていただいております。資料1のも のでは、その隣に対応する指針の項目を書いてございます。例えば原資料の(1)の部分 でありますと、案の対応項目といたしましては第1の2の適用範囲の細則の3のところ に該当するというようにご意見をいただいているものでございます。  とりまとめの上で、同様の内容を異なる主体からお出しいただいたものと考えられる ケースにおきましては一つにまとめております。具体的には、ページを振っていなくて 恐縮なのでございますが、資料1の1ページめくっていただいて2ページ目の一番下の カラム、通し番号でいいますと(9)でございますが、これは3つのご意見がほぼ同じ内 容と我々の方で判断いたしましたので、3つのものをとりまとめさせていただいており ます。このため、先ほど20のご意見をいただいたとご報告申し上げましたが、全体では 通し番号は18でございます。  以上がこの資料の構成のご説明でございます。  それでは、資料1について、時間の関係もございますので、グレーの網がけの部分を 主にご紹介させていただきたいと思います。  まず、整理番号(1)でございますが、ご意見の概要としては、日本国外において臨床 研究を実施する際に、以下の事項について適切だととられることについて、倫理審査委 員会の承認を受け、臨床研究機関の長が妥当と判断した場合には当該研究を実施するこ とができる。以下の事項としてインフォームド・コンセントが得られていることという 記述があるが、時系列的に不自然ではないかというご意見でしたので、これはご指摘の 点を踏まえて、案そのものを修文いたしたいと考えております。  続きまして、整理番号(2)でございますが、同じ部分についてでございます。表現が 不適切なので誤解を与えるのではないかというご意見と、相手国における適切な措置に ついては承認ではなくて確認であろうという2つのご意見を同じ部分についていただい ております。前段につきましては、誤解を与えるというご指摘でございましたので、下 線部のように、本指針に規定された個人情報保護に係る規定の適用が困難な場合があっ てというように修文させていただきたいと思っております。また、後段の承認ではなく て確認とすべしという意見については、倫理審査委員会で研究の適否について確認した 上で承認するので、最終的な述語としては原文のとおりの承認で差し支えないと判断い たしましたので、原文のとおりといたします。  次に通し番号(3)でございますが、これは確認のご意見でございまして、個人情報保 護以外の規定については上記効果を及ぼさないという趣旨かというご確認ですので、そ のとおりでございますというお答えをさせていただきたいと考えております。  次に整理番号(4)でございますが、細則2については共同研究の記載があるのだが、 細則3にはそれがない。混乱を来すので明記すべきというご意見でございまして、これ はわかりやすくするためにご意見を踏まえて修文をさせていただきたいと考えておりま す。  続きまして2ページ目でございますが、通し番号(5)でございます。これにつきまし ては、診療情報の定義、特に範囲が十分に示されていないというご指摘のご意見でござ います。これは、このご指摘を踏まえ修文いたしたいと考えています。詳細につきまし ては資料2をご紹介する際にご説明させていただきます。  続きまして、整理番号(6)でございまして、これにつきましては、臓器が臨床研究の 対象として含まれるかどうかというご意見と、多くの人体組織、細胞組織は学術的な価 値も研究実績も十分にあって認められているので、本指針の対象外であると理解してよ いかというご確認の2つのご意見でございます。前段の臓器についての確認の部分につ いては試料等に含まれると考えております。なお、後段の部分については、個別の事例 ごとに判断されるべきと考えておりますので、その旨、ご回答したいと考えておりま す。  続きまして、整理番号(7)でございます。用語の定義で、行政機関と独立行政法人の 個人情報保護法と今回の定義の範囲がずれているのではないか。広範な定義をここで用 いている理由はどのようなものかというご質問でございまして、これは本ガイドライン の前文に書いてございますので、詳細はこちらの回答案をごらんいただきたいと思いま すが、行政機関や独立行政法人においては、開示請求者を未成年者または成年被後見人 の法定代理人に該当する者に限定することになると考えているというご回答をさせてい ただきたいと思います。  整理番号(8)につきましては、尊厳を守ることを傷つけないことと修文せよというご 指摘でございますが、修文の必要はないと考えております。  整理番号(9)につきましては、研究者の所属や研究目的から臨床研究と疫学研究を明 確に区別することは不合理かつ不可能である。観察研究は疫学指針を適用するとこの指 針の中で明示をしておくべきというようなご意見でございまして、こちらにつきまして は、今回の意見の募集の対象ではございませんが、臨床研究に係るQ&Aの見直しの際 に、ご意見を踏まえて検討をしたいと考えております。  また1枚めくっていただきまして、整理番号(10)でございます。こちらは、ヒトゲノ ム・遺伝子解析研究に関する倫理指針が、研究の許可の権限を研究を行う機関の長にも たせるよう修正したのに、本指針では修正しない理由は何かというお尋ねでございます ので、こちらに書いてあるような理由から、現行の規定のとおりとしたというご回答を させていただきたいと思っております。  整理番号(11)につきましては、研究責任者の個人情報保護に係る責務の部分でござい ますが、細目の(4)、(5)、(7)において例外規定がある。ただ、これらの判断は研究責 任者が行うのは妥当ではないのではないかというようなご意見でございますが、私ども といたしましては、一義的には研究責任者が行うべきものであって、さらに法人の代表 者や行政機関の長の責務として、個人情報保護に関する体制整備等が規定されておりま すので、研究者が不当な開示拒否等を行いますことがないように、個々の機関で適切な 対応が求められるという回答をさせていただこうと思っております。  整理番号(12)につきましては、規定違反について行政罰があることを明記せよと。ま た、事務量が膨大なので、担当官の配置等を義務づけるように本指針に明示せよという ご意見でございますが、本指針がガイドラインであるという性質上、まず罰則規定とい うのは難しゅうございますので、その旨、ご回答しようと思います。なお、後段のご指 摘の点につきましては、個別の機関でそれぞれ実情に応じて対応すべきものと考えてお りますという回答をさせていただきたいと考えております。  整理番号(13)でございますが、倫理審査委員会が承認した場合を除く、これは利用目 的の変更の例外規定の部分なのですが、それについて倫理審査委員会の権限、裁量権の 範囲を再定義せよというご意見でございます。これにつきましては、利用目的の変更は 必然的に実施計画の変更を伴うものと考えておりますので、そういう場合は実施計画書 の審査は現行の倫理審査委員会の責務と規定されておりますので、再定義の必要はない と考えているところでございます。  整理番号(14)でございます。ご意見の概要の部分は細かく書いてございますが、例示 のところのようなケースの判断をここで求めているものでございますが、基本的には第 三者提供に当たるようなケースの場合はどうするのかというような話かと思います。こ ちらの回答に書いたように、この例示の場合は第三者提供に当たるため、被験者にあら かじめ同意を得ておく必要があります。患者の情報を求められた側の法人においては、 個人情報保護に関する法律等々に沿って適切に対応していただきたいと考えているとい う旨、ご回答しようと思っております。  整理番号(15)でございますが、これにつきましては除外規定のロ、ハ、ニの項におい て、倫理審査委員会が承認するときとなっているが、そのような権限が与えられている のかどうか、不適切ではないかというご意見でございます。これにつきましては、後ほ ど資料2でもご説明いたしますが、「倫理審査委員会の承認」という文言を削除するこ とで対応させていただきたい。  次に2つ目のご意見として、被験者の同意を得ることが困難である場合。明示的に嫌 だといっている場合、もしくは何かの理由があって意思がきちんと伝えられないような 場合、それを明確になるように訂正が必要であろうというご意見でございます。これに つきましては、ご指摘の点を踏まえまして、本指針に係るQ&Aで例をお示しして対応 させていただきたいと考えております。  続いて、同じ番号の中の3番目のご意見でございますが、仮に本人が明示的に同意を 拒否しているような場合について、法律によらないで第三者提供を行うのは個人情報保 護法の精神を根本から否定するものではないかというご意見でございます。これはもと もとの個人情報保護法におきましても、イからニで定められているような場合は、仮に 被験者本人が明示的に同意を拒否された場合でもあっても、本人同意を得ないで第三者 提供をすることが可能としておりますので、修文の必要はないと考えております。  整理番号(16)は、国の機関の範囲を明確に示してほしいということでございますの で、このような対応をさせていただきたいと考えているところでございます。  整理番号(17)でございます。これも長い御意見ですが、要約いたしますと、中段の 「以上より」の部分から始まるところをごらんいただきたいと思います。多施設で実施 され、かつ長期間に及ぶような研究においては、研究の正確性の確保のために最低限の 個人識別情報として診療録番号を収集することがむしろ望ましいというご意見が1つあ ります。この部分につきましては、回答案の前半の部分でございますが、個人識別情報 として何を使用するかというのは、個々の臨床研究ごとに判断されるべきものでござい ますので、本指針においてその旨を定めるものではないということを考えておりますの で、修文等の必要はないと考えております。  なお、後段の部分でございますが、先ほど読み上げましたところの、「しかし」以後 の部分ですけれども、多施設共同研究において診療録番号を用いる場合には、単施設の 場合よりもさらに厳重に個人情報保護を図らなければいけない、十分な配慮がなされな ければいけないというご意見でございますので、これはご指摘のとおり、仮に診療録番 号を被験者識別コードとしてご使用されるような場合においては、個人情報保護の観点 から十分な配慮が必要と考えているとお伝えしようと思います。  最後になりましたが、整理番号(18)でございます。倫理審査委員会についてのご意見 がこのように出ておりますが、そもそもこれ自身が今回の見直しの範囲ではございませ んので、ご意見は今後の見直しの際の参考とさせていただきたいと考えておりますとい う旨のご回答をしようと考えてございます。  以上がパブリックコメント、及び当方の回答欄についての説明でございます。 ○垣添委員長  ありがとうございました。それでは、ただいまご説明いただきましたパブリックコメ ントとその修正をもとにして、指針をどのように手直ししたかということについて、簡 潔にご説明ください。資料2です。 ○事務局  それでは、資料2をごらんいただけますでしょうか。先生方のお手元に資料2といた しまして、赤い色の字が入ったもの、青い色の字が入ったものがございますが、これに ついてご説明させていただきたいと思います。  今、お手元にあります資料2の赤字の部分は、現行の指針を修正する部分として、パ ブリックコメントに呈した部分でございます。青字の部分は、パブリックコメントを踏 まえまして、修正案にさらに修正した部分でございます。先ほどご説明した資料1のグ レーの部分を反映した部分のほかに、青の部分につきましては、事務局でパブリックコ メント後に技術的に文言の修正等を行った部分がございますので、あわせてご説明をさ せていただきます。  資料2の表紙に目次がございまして、これは基本的にはパブリックコメントを踏まえ た修正点はございません。  1枚めくっていただきまして、1ページ目の前文の部分でございますが、これは事務 局が技術的に修正した部分でございます。法律を正確に引用しておりませんでしたの で、きちんとした名称で引用させていただいております。  続きまして2ページ目の部分でございますが、真ん中より下の細則の部分でございま す。ここに幾つか青字になっている部分がございますが、先ほど資料1でご説明したグ レーの部分のうちの、パブリックコメントに寄せられた通し番号(1)、(2)、(4)を反映 させていただいたものでございます。  続きまして次のページ、3ページ目でございますが、 (3)となって試料等という部分 の「なお」以下のところが青字になってございます。これは先ほどのコメント整理番号 の(5)の部分を反映させたものでございます。  続きまして、数ページ飛んでいただきたいと思いますが、8ページでございます。8 ページの(5)の二のところに、当該個人情報取扱事業者という文言が入っておりました が、これは事務局の技術的なミスでございまして、研究に係る研究者等という言葉に変 えさせていただきたいと考えております。  次の9ページ目でございますが、上から3行目から4行目にかけて、利用停止等とい う言葉が入っておりましたが、文言上、これは必要ございませんので、利用停止等とい う部分を削除させていただきたい。  続きまして10ページ目でございますが、上から5行目に「改めて」という字がござい ましたが、平仮名の「あらため」が法令用語的には正しいものでございますので、変え させていただきたい部分でございます。  後半の部分で、細則の部分に青字がございますが、先ほどの整理番号(15)の部分を反 映させたものでございます。  以上で、パブリックコメントを踏まえてこちらの案を改正する点についてはご説明を 終わらせていただきます。以上でございます。 ○垣添委員長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に沿って、主に資料2に沿っ てご意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。位田委員、どう ぞ。 ○位田委員  幾つかあるのですが、パブリックコメントの回答分については後ほど申し上げるとし て、資料2の2ページ目の赤の部分と青の部分が一緒になっている、第1の2の (2)の 細則の2と3のところに、共同研究という言葉が入っているのですが、これは海外との 共同研究の場合をここでは共同研究といっているという趣旨ですよね。そうすると、4 ページの真ん中辺 (8)のところで、共同臨床研究機関と書いてあるので、国内の場合に は共同臨床研究と呼ぶのですか。その辺の言葉の整理がちょっとわかりにくい。  それは呼び方の話なのですが、細則の3.で、日本国外において臨床研究を実施する 際というので、括弧して共同研究を含むと書いてある趣旨は、日本の臨床研究機関とは 共同研究はしないけれども、外国で単独で臨床研究を行う場合にもこの指針が係ると考 えるわけですね。ということは、3.で考えられているのは、個人情報保護に係る規定 という趣旨ですから、この指針のもとは個人情報保護法という形になるので、以前はそ ういうのがなかったからそれでも構わないと思いますけれども、今度は個人情報保護法 が海外でも適用される可能性があり得るという趣旨ですか。つまり域外適用があり得る という趣旨でしょうか。共同研究の場合には、こっちでもやっているし、向こうでもや っているという、実際には向こうでやるのだけれども、全体の研究計画としては日本側 と外国側とが一緒にやっているから、全体に係るという考え方はとり得ると思うのです けれども、日本の研究機関との共同研究ではなくて、日本人の研究者が向こうへ行って 実際に臨床研究をやるときにも、個人情報保護法がかかるという趣旨ですか。個人情報 保護法というのは域外適用できるという趣旨ですか。個人情報保護法には、そういう規 定は何も書いていないのですよね。しかも、行政法だから域外適用は難しいと思うのだ けれども……。 ○黒田企画係長  そこは、域外適用ということは考えられないので、誤解を招かないような表現にした いと考えております。 ○位田委員  わかりました。  もう1つ、(3)のところで、倫理審査委員会によって承認され、臨床研究機関の長が 許可しているという文言なのですが、これは前の倫理審査委員会は相手国の機関の倫理 審査委員会、その後ろの臨床研究機関の長というのは、国内の臨床機関の長? ○黒田企画係長  (3)においては、相手国の倫理審査委員会、相手国の臨床研究機関の長を指しており ます。 ○位田委員  それを明示しておかないと……。3.の本文の4行目の臨床研究機関、これは? ○黒田企画係長  臨床研究機関の前に当該という形でさせていただければ、いかがでしょうか。 ○位田委員  4行目の倫理審査委員会は、国内の倫理審査委員会? ○黒田企画係長  そうです。 ○位田委員  当該というのは、国内の意味ですか。 ○事務局  相手国です。 ○位田委員  ちょっと整理しましょう。3.の4行目の倫理審査委員会というのは、国内の研究機 関の倫理審査委員会ですね。 ○黒田企画係長  そうです。 ○位田委員  そのすぐ後にある臨床研究機関というのは、国内の臨床研究機関。 ○黒田企画係長  そうです。 ○位田委員  多分、当該と書くとどこかというのはわからないと思うので、言葉の使い方として は、当該は無理だと思います。そうすると、今度は(3)の倫理審査委員会は外国の倫理 審査委員会。そのすぐ後に出てくる臨床研究機関というのは外国の臨床研究機関。 ○事務局  それでは、最終的にはきちんとした形にしたいと思いますが、今、先生のご指摘のあ りました部分で、3.の部分でございますが、4行目からです。「自機関の倫理審査委 員会の承認を受け、その臨床研究機関の長が適当と判断した場合には」という文言を入 れさせていただくことと、(3)につきましては、「相手国または相手国における機関内 の倫理審査委員会により承認され、相手国の臨床研究機関の長が許可していること」と いう文言を修正……。 ○宇津木委員  (3)の方も「その」でいい。 ○位田委員  言葉は修正していただいていいと思うのですけれども……。相手方の臨床研究機関の 長が許可しているということが条件になるかどうかという問題があるかなという気がす るのですけれども、3.の(1)、(2)、(3)も含めて読んでいると、ちょっとわかりにく かったので……。つまり、この指針の個人情報保護に係る規定の適用が困難な場合で、 相手国の法令等で以下の事項について適切な措置がとられること。以下の事項が(1)、 (2)、(3)。そうすると、(3)のところで、以下の事項について、法令指針等について適 切な措置がとられるということが、倫理委員会の承認と研究機関の長というのは違うと 思うのです。これは実際に相手国の法令指針を適用した結果、倫理審査委員会が承認 し、研究機関の長が許可したという条件を満たしていればいいのですけれども、適切な 措置が法令指針でとられるという話ではないですよね。 ○黒田企画係長  そうですね。 ○位田委員  イメージとしてはよくわかるのですけれども、文言上はおかしい。そこは整理してく ださい。 ○事務局  はい。 ○位田委員  指針そのものはそれだけです。  あと、パブコメに対する回答なのですけれども、幾つか回答の文言の書き方に問題が あるかなと思うのです。資料1の2つ目のところで、倫理審査委員会が研究の適否につ いて確認した上で承認するというのは、別にこういうことを書かなくても、倫理審査委 員会は承認をするだけでいいので、中で確認をしたかどうかというのは関係がないと思 います。  3枚目の1番上の(10)のコメントに対する回答ですけれども、研究活動の自由を担保 する観点から、法人の長ではなくて研究機関の長に与える。そうしたら、ほかの倫理指 針は研究活動の自由を担保できないのかという読み方になりますから、この理由はおか しい。  それから、(12)なのですが、本指針がガイドラインであるという性質上、罰則は規定 していない。それは確かにわかるのですけれども、ガイドラインでも法律に基づくガイ ドラインと法律に基づかないガイドラインがありますし、かつ、先ほどの会議で堀部先 生がおっしゃいましたが、この指針の個人情報保護に関連する部分は個人情報保護法に 基づく部分ですから、罰則はもちろん規定してないけれども、罰則がかかる可能性は残 っている。全体ではないにしてもですね。  それだけです。長くなりまして申しわけありません。 ○垣添委員長  ありがとうございました。今、ご指摘の3点に関しては、修文その他、よろしくお願 いします。  ほかにありましょうか。――それでは、今、ご指摘の点を踏まえて、修文の中身に関 しては座長と事務局にお任せいただければ幸いです。よろしくお願いします。  では、最後に法制化の議論をお願いします。 ○事務局  それでは、先ほどの3省合同委員会及び2省合同委員会の際に、委員会の意見を文書 にてとりまとめることをご説明させていただきましたが、この委員会、すなわち臨床研 究指針に関しましても同様にまとめたいと考えております。つきましては、その中で法 制化についてもご意見を伺いたいと思いますので、臨床研究倫理指針について特異な点 がなく、ゲノム指針等の検討の中で議論が尽くされているとお考えであれば、そのよう な理解で進めることもできますが、何か特にこの指針について議論しておくべきとお考 えの点がございましたら、この場でご意見をいただければと思います。 ○垣添委員長  臨床研究に関する倫理指針に関して特異的なご意見がおありでしたら。どうぞ、宇津 木委員。 ○宇津木委員  これは前からあれなのですが、基本的には臨床の研究指針というのは一番基礎にあっ て、特殊なものとして疫学の倫理指針、ヒトゲノムの倫理指針が乗ってくるものだと思 いますので、本当に個人情報保護の6条の3項に従って特別の法規定を考えるとすれ ば、むしろ臨床研究指針のところから診療情報全般についての特別法規定があって、そ の中で特殊な事柄については特殊に定めていくというのが正論ではないかと思っており ます。 ○垣添委員長  どうぞ。 ○安達研究開発振興課長  ご指摘の点でございますが、診療情報全般につきましては、別の検討会で法制化も含 めまして検討中ということで、ここでは研究部分について検討ということになります と、微妙な問題であるゲノムをもとに考えているということになってございます。な お、必要に応じまして医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会での検 討状況については、適宜事務局からご報告するということでよろしいでしょうか。 ○宇津木委員  その点もわかっておりますが、やはり基本は質のよい診療情報をどうやってきちんと ためていくかというのが研究にとって一番大切なことで、その部分が欠けていたら研究 の情報というもの自体がゆがんでしまって、研究としての質が落ちていってしまうと思 うのです。ですから、研究の方面からもそういうことが必要だということをぜひ指摘し ておいていただきたい。 ○垣添委員長  ありがとうございました。整理としては、確かに別の検討会でやっているとはいって も、ご指摘の点は極めて重要ですので、どこかに文章として盛っておいていただければ と思います。  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○事務局  今の御指摘についてということではないのですが、今後の意見書のとりまとめのとき に、形式上の話で恐縮ですが、3省合同の委員会というものはそもそも的には存在しな いものでございます。実態上からいくと3省合同の委員会があり、2省合同があって1 省単独の委員会があるというのようなイメージなのですが、形式だけいいますと、厚生 労働省専門委員会があって、たまたま皆さんと一緒にやっているという形なものですか ら、恐らく専門委員会としての意見書がまとまるのではないかと思うのです。その専門 委員会の中で、例えば1番目がゲノム――ほかのことも書くかもしれませんが−ただ、 要するにゲノムがあって、遺伝子とか疫学があって、臨床研究がある。経産省の委員会 はそのうちのゲノムの部分しかないが、中の文言は全く同じという形式になるだろうと 思います。厚生労働省のものは2番、3番、4番もあるという形でございますので、 今、宇津木先生がいった点ですとか、そういったものは中長期の課題でご指摘の中の1 つだと思っております。あの中にも研究の一括法というのが入っておりましたけれど も、まさに一括法の中のベースになるものが臨床研究ということのご指摘とリンクでは ないかと思いますので、恐らくその中で入っていき、また臨床研究といいますか、そこ の部分で書くところにそういったコメントを載せるという対応があろうかと思っていま す。個人情報の取り扱いのあり方ということではなくて、もっと広い意味での先生のご 指摘だと思うので、そういった形での整理になろうかと思っております。  以上でございます。 ○垣添委員長  どうぞ、具嶋委員。 ○具嶋委員  この前も意見を出したのですけれども、宇津木先生がいわれたように、指針の中で臨 床研究に関する倫理指針が一番ベースにあると思うのです。その割には、いろいろな先 生と会って話すと、余り認識がないというのと、例えば臨床研究で市販されている薬剤 を使う場合はいいけれども、これから新規のものを先生方の自主的な臨床試験でやる場 合に、クオリティーとか、そういうところをどうするか、いろいろ悩まれていると思う のです。その辺がこれに書かれていないので、その場合はどうしたらいいかという混乱 があるみたいなので、その辺もぜひ検討をお願いしたいと思います。 ○安達研究開発振興課長  臨床研究指針は、4指針の中で一番新しく、全体のものが一番最後に出てきたという ので、また宇津木先生に怒られるかもわかりません。先生御指摘の点については、今後 ともぜひ指針の普及に努めたいと思いますし、今後の指針の見直しの際の参考にさせて いただきたいと思います。 ○垣添委員長  ほかによろしいでしょうか。――ありがとうございました。それでは、これで議論を 打ち切らせていただきまして、今後の予定をお願いいたします。 ○安達研究開発振興課長  ありがとうございました。本日ご検討いただきました臨床指針の見直し案及びパブコ メの回答案につきましては、ご意見等を踏まえまして事務局で修文案を作成し、座長と ご相談させていただきたいと思っております。その後、臨床指針につきましては官報告 示及び局長通知の手続に入らせていただき、またパブコメの回答案については公表した いと考えております。また、先ほど申し上げましたように、法的な表現等につきまして もあわせて検討し、座長とご相談させていただきたいと思っております。  なお、告示につきましては、3省指針と同様に12月中旬を目途に告示したいと考えて おります。  以上でございます。 ○垣添委員長  ありがとうございました。長時間のご議論、まことにご苦労さまでした。これで終わ らせていただきます。                                   ――了―― 【問い合わせ先】  厚生労働省大臣官房厚生科学課  担当:鹿沼(内線3804)  電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171