04/11/24 第10回労働政策審議会労働委員会の審査迅速化等を図るための方策に関する 部会議事録  第10回 労働政策審議会労働委員会の審査迅速化等を図るための方策に関する部会 1 日時 平成16年11月24日(水)15:00〜16:30 2 場所 経済産業省別館1020会議室 3 出席者    委員  公益委員  :若菜委員、岩村委員、廣見委員、山川委員        労働者代表 :芹生委員、長谷川委員、原委員、水谷委員        使用者代表 :小島委員、杉山委員、坪田委員、原川委員    事務局 橋審議官、熊谷労政担当参事官、末岡調査官、松永参事官補佐 4 議題 労働組合法の一部を改正する政令案要綱について(諮問) 5 議事 ○部会長  ただ今から、第10回労働政策審議会労働委員会の審査迅速化等を図るための方策に関 する部会を開催いたします。本日は紀陸委員と諏訪委員が御欠席です。久保田委員は少 々遅れていらっしゃるということですので、そのうちいらっしゃると思います。本日は 「労働組合法施行令の一部を改正する政令案要綱」について厚生労働大臣から諮問を受 けていますので、これについて御議論をお願いしたいと思っています。  最初に、当部会の建議を受けて国会に提出された、「労働組合法の一部を改正する法 律案」の成立までの経緯について事務局から報告をお願いします。 ○熊谷参事官  報告いたします。当審議会からの建議をいただき、本年2月16日に「労働組合法の一 部を改正する法律案要綱」を当審議会に諮問させていただき、23日に答申をいただいた わけです。その後、厚生労働省において法律案を作成し、本年3月5日に閣議決定をし て、通常国会に提出したところです。  その後、通常国会においては衆議院の厚生労働委員会に付託され、本年6月9日に提 案理由説明を行いました。ただ、審議時間が確保できず、継続審議という取扱いにされ たところでございます。  現在行われています第161回臨時国会において、10月29日に衆議院厚生労働委員会にお いて質疑が行われ、同委員会で可決、11月2日の衆議院本会議において可決されたとこ ろです。参議院においては今月、11月4日に厚生労働委員会において提案理由説明が行 われ、9日に質疑、採決が行われ、今月10日、水曜日の参議院本会議で可決、成立した わけです。この「労働組合法の一部を改正する法律」は、今月17日に「平成16年法律第 140号」として公布されたところです。  なお、衆議院の厚生労働委員会、参議院の厚生労働委員会においてはそれぞれ附帯決 議が付けられていますので御紹介いたします。本日お配りしている資料No.1−1、No. 1−2を御覧ください。No.1−1が衆議院厚生労働委員会において決議された附帯決 議です。6項目について、それぞれ政府が「本法の施行に当たり、適切な措置を講ずる べきである」ということで付されています。  No.1−2、参議院の厚生労働委員会の附帯決議は8項目になっています。基本的に は衆議院の6項目に加え、五の「緊急命令」の関係、三の「小委員会」の関係、この2 点が追加されて決議されているところです。法律の成立までの経緯は以上です。 ○部会長  引き続いて、今回の諮問案件の内容について事務局から御説明をお願いします。 ○熊谷参事官  引き続いて資料No.2、本日付をもちまして厚生労働大臣から労働政策審議会の会長 宛て、「労働組合法施行令の一部を改正する政令案要綱」について諮問させていただい たところです。要綱の内容、別紙ですが、まず1つ目は「労働委員会における審査体制 の整備等」です。これは中央労働委員会の地方労働委員会に対する一般的指示権等に関 する規定を削除するものです。今回の労働組合法の改正により、中労委による都道府県 労働委員会に対する勧告、助言、研修その他の指導に関する規定が設けられました。こ れに伴い、政令の第18条、第19条は削除するものです。  それから、都道府県労働委員会の事務局の内部組織です。まず法律上、都道府県労働 委員会の事務局に「事務局長、事務局次長二人以内及び必要な職員を置く」という部分 は削除されています。それ以外に、現在政令の第25条第1項、地労委の事務局には会長 の同意を得て、都道府県知事が定める課を置くという規定が政令の第25条にございま す。この緑色の法令集だと49頁、左下のところ、第25条1項に、地方労働委員会の事務 局に会長の同意を得て、都道府県知事が定める課を置くという規定があります。したが って、課以外の組織を課に変えておくことは現在できないことになっていますが、これ を課以外、室やグループ、あるいはスタッフといった内部組織でも可能なものとすると いうことでこのように改めるものでございます。なお、会長の同意を得て知事が定める ということについては、従来と同様であります。  続いて、二の「都道府県労働委員会の委員の数」です。都道府県労働委員会の委員の 数は、13人から5人までの奇数の数を政令で定めることに法律上なっています。そこの 表にありますように、東京都に置かれる都道府県労働委員会については公労使各13人、 大阪府に置かれる委員会については各11人とする。北海道、神奈川県、愛知県、兵庫 県、又は福岡県に置かれる都道府県労働委員会については各7人、その他の府県に置か れる都道府県労働委員会については各5人とするものです。現行の中央労働委員会の定 数と比べると、北海道と福岡においてそれぞれ2名を減ずる内容となっています。  2頁の三、「公益委員のみで行う会議の定足数等」でございます。現在は法令上、公 益委員会議の定足数は2分の1以上ということで決まっていますが、議決要件について は法律、政令で規定はありません。労働委員会規則で、定数の2分の1以上と定められ ているところです。今般はまず公益委員会議の定足数、過半数に加え、議決要件を規定 する。それから、公益委員会議だけでなく、いわゆる小委員会を設ける場合にはその小 委員会の定足数、議決要件も公益委員会議と同じく、定数も過半数とするということを 政令で定めるものです。  四の「都道府県労働委員会の規則制定事項」については、今回の改正法の第26条を御 覧ください。法律関係資料、白い表紙の「新旧対照表」で御覧いただくと、11頁に第26 条2項が今回設けられました。「都道府県労働委員会は、前項の規則に違反しない限り において、その会議の招集に関する事項その他の政令で定める事項に関する規則を定め ることができる」という規定が設けられたことに伴い、政令で定める事項を決めるもの です。まず1つは法律に例示されている、「会議の招集に関する事項」です。それ以外 に、ロにありますように「審査の期間の目標及び審査の実施状況の公表に関する事項 」、ハで「都道府県労働委員会の庶務に関する事項」ということです。  3頁、五「和解調書の正本等の送達」です。今ほどの新旧対照表で申し上げると21 頁、第27条の14に和解の規定を新設したわけです。これの第8項で、「第4項の和解調 書ならびに第6項後段の執行文及び文書の謄本の送達に関し、必要事項は政令で定める 」こととされています。  これを受けた政令ですが、まず(一)は「和解調書の正本は、その作成の申立てをし た当事者に送達しなければならないものとすること」。法律の第27条14において、和解 調書の作成については第27条の14の第4項において、当事者双方の申立てにより作成す ることができることになっていますので、最終的にはこの和解調書の正本は労使当事者 双方に送達しなければならないということです。  (二)として、「和解調書の正本、執行文及び文書の謄本の送達方法については、民 事訴訟法の関係規定を準用する」ということです。郵送により交付するか、それとも労 働委員会の事務局職員が直接手渡すことによって交付するか。この2つのいずれかの方 法により、これらの送達を行うことになるわけです。なお、(三)で、「送達を受ける べき者の住所等が知れないとき等は、公示送達をすることができる」旨も併せて、民事 訴訟法の例と同様に定めることにしています。  六の「費用弁償」については、今回の法律上は新旧対照表の25頁を御覧ください。法 律第27条の2、下段部分ですが、「第22条第1項又は第27条第3項の規定により、出頭 を求められた者は費用の弁償を受けることができること」とされています。具体的には 第22条第1項、強制権限に基づく出頭です。それから、第27条3項は労働委員会の求め に応じて出頭する、任意の出頭であります。これが法律上、上段の第27条の第24、第22 条第1項の強制権限の部分は変わりませんが、その次の部分、第27条の7第1項第1号 の証人は費用の弁償を受けることができると規定されています。証人というのは法律に 基づく証人等出頭命令を受けて出頭する者、それからこの規定に基づかずに任意に出頭 する証人、この両方を含むものでございます。したがって、強制権限により出頭する 者、今回設けられた証人出頭命令に基づいて出頭する者、任意に出頭する者、この3者 についての費用弁償を中央労働委員会については政令で弁償を受ける者、費用の金額等 を定める。都道府県労働委員会に係る出頭については条例で定めるということです。  七の「その他」所要の整備ということです。「都道府県労働委員会」という名称の変 更に係るもの等が多数ございます。八の「附則」ですが、(一)施行期日、これは政令 の施行期日ですけれども、労働組合法の一部を改正する法律の施行日が平成17年1月1 日と法律上されていますので、同日からこの政令も施行することにしています。  (二)経過措置ですが、都道府県労働委員会の委員の数は先ほど御説明したとおりで す。これについては、この政令の施行後初めて、「委員の任期満了による新たな委員の 任命が行われる日の前日までは、改正後の労働組合法第19条の12第2項の規定にかかわ らず、なお従前の例によるものとする」ということであります。今回、定数が減ること となっている北海道は、平成16年11月に委員の任命がなされていますので、平成18年11 月に任命されるまでの間となる。福岡県は平成15年10月に任命されていますので、来年 10月に次の任命が行われるまでは現在の定数とするという内容です。したがって、9名 から7名になるのも次期改選期からということですし、定数が変わるところも含め、条 例で委員の数を増やすことができるようになるのも次の改選期からという整理になるわ けです。  (三)その他ということで、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第3条第2 項に規定する審査委員会の議決要件ですが、労働組合法施行令の規定を準用する。今 回、先ほど申し上げましたように、定数過半数という公益委員会議の議決要件を定める ことになっていますので、これを準用することとしています。その他、他法令について も、名称変更等、所要の整備があります。説明は以上です。 ○部会長  ただ今の事務局の説明について、御質問、あるいは御意見がありましたらお願いしま す。 ○水谷委員  まず委員数の問題なのですが、今までこの問題に関しても議論をしたことがあったと 思います。ただ、非常に短く終わったというのは、今回については委員数に関しては手 を付けないというように実は理解していました。もし、今回、数にある程度手を付ける ということであれば本来もう少し議論がされたであろう。あるいは前回、全労委総会が 終わったばかりですけれども、あのときにもそのような説明があったというように思い ます。今回はとにかく寝耳に水というか、なぜ法律が通って、もう施行直前にこれだけ 重大な話が持ち上がってきたのか。当然、我々は現行どおりと理解をしていましたし、 各地労委もそのつもりだったはずです。  然るに、今回、北海道と福岡県に関しては2名減と突然言われたことに関して、非常 に心外に思っています。いわば、騙し討ちに遭ったのではないかと思うぐらいです。な ぜ、こういうことを突然やられたのか非常に心外です。 ○原委員  足かけ2年、これまで9回議論をしてきたわけです。今水谷委員も言われたように、 定数問題については減らす云々という議論ははっきり言ってこの場では公式にはなかっ た。  当労働組合選出の労働委員を集めた会議を去年も今年も行いました。この審議会の内 容の報告もしながら会議運営をしてきていますけれども、定数問題については私もそう ですが、当然一言も報告していません。全国の地方労働委員も青天の霹靂であった。こ れまで、この審議会の部会は迅速化のためにどうするか、労働委員会を使いやすいもの にするためにどうするか、ということで議論をしていますと訴えてきたわけですが、突 然定数減というのは当然容認することにはならない。そういう意味では、例えば始めか ら、なぜ定数減なのかを議論することについてはやぶさかではありません。ただ、こう いうやり方は、はっきり言って私も委員として責任が持てません。「君が部会に参加し ていて認めてきたのか」と。「仕方がない」と言って、ややこしい案件も事前の根回し の中で納得してもらうということもたまにはしますが、今回、その時間すらない。その 意味で委員としても、個人的にも労働組合を代表する委員というか、それほど大したも のでもないのですが、はっきり言って認められません。やり方がおかしいと思います。 ○水谷委員  質問という意味で言えば、迅速化なり的確化というものと今回の定数減とはどのよう に結びつくのですか。もしも、このようなことをやるのだったら、ほかの問題がいくら でもあったわけです。今回は迅速化と的確化に重点を置いた法改正ということで理解し てきました。 ○小島委員  ちょっと、事実関係が私の認識と異なるのです。何回か申し上げたと思うのですが、 委員の定数を削減しても、法律で条例によって2人まで増員できるという規定が入って いるのはおかしい。これは「増減」とすべきである。そうしない限りは委員が減りませ んということを言ったはずなのです。  もう1つ、ほとんど事件がないという委員会について、なおかつ5人必要だというの はおかしいのではないかということも申し上げたはずなのです。何の議論もなかったと いうことはないはずなのです。ただ、それぞれの受け取り方として、委員は減らないの だなと解釈されたのかもしれない。私は当然減ると思っていました。しかし、2名戻す ことができるという条例があちこちで出来る。それどころか、今の5人定員のところで 2人増員するということが条例で決まって、どこもかしこも増員だということになった ら、一体この審議会は1年かけて何をやっていたのかという批判を受けるのではないか ということを申し上げたはずなのです。 ○部会長  今の点について、ほかに御意見はありますか。 ○芹生委員  この審議会の議論の経過からすると、委員の定数については今回は触れないという理 解で来たというのは客観的にそうだと思います。確かに委員の定数を条例で定めている ことについて、そういう意見がありました。というのは、これはナーバスな問題であ る。そのことについては、この審議会でもどういう議論になるかということは非常に関 心を持って対応してきたつもりです。  昨今、労働委員会の役割ということについて非常に軽視する風潮がある。これは由々 しき事態だということから、例えば火事は少なくなっても消防署は必要である。別に消 防署の肩を持つわけではありませんが、安易に委員の数を減らそうという動きは絶対に 反対という観点から、委員定数の問題については非常に重視してきたつもりです。これ までの審議会の経過からすると、客観的に言えば今回は委員定数には触れないものとい う理解です。これについては、今まで水谷委員、原委員が言ったことと同じ理解でやっ てきたので、急にここでこういう形で提出されたことについてはまさしく寝耳に水とい う感じです。これの結論を出すには今回は機が熟していないし、今回は見送るべきであ るという考えです。 ○原委員  私の発言に対して、小島委員が反論のようなことを言われました。確かに小島委員の 発言は、議事録には残っていると思います。しかし、議論の流れとしては、厚生労働省 から委員定数を減らしますという提起はなかった。減らしても、条例で増やしたら良い ではないですかという議論の流れは一切なかった。ただ、小島委員がポンと発言された だけの話なのです。  この部会の議論というのは厚生労働省から案が出て、それに対してどうかという議論 でしょう。9回の部会の中で一切なかったものが突然、10回目に出てくる。そういうや り方はないではないですか。この間、9回の議論も、労働側から審査の迅速化のために 具体的な問題提起をしても、ほとんど一切課題として取り上げるということはなかった わけです。なぜ定数問題だけなのか。それはちょっとおかしいと思います。 ○廣見委員  定数について議論があったかどうかということになれば、個別のそれぞれの問題を議 論したということはなかったと思います。ただ、確かに最大の目的は審査の迅速化であ り、また的確化ということも併せて考慮すべきであるという議論のもとに、審査の迅速 化及び的確化という視点からいろいろな議論をしてきました。  それに併せて、例えば制度としての労働委員会の問題について言えば、その前に自治 事務化されているという制度改正もあり、それに伴う今までの地方労働委員会の名称の 変更、あるいはそれに伴う一定の整理という議論もあったと思います。そういう大きな 流れの中で議論がされていた、ということだけは客観的に言えるのではなかろうかと思 います。ただ、個別の問題について、確かに定数の議論がなかったことは事実です。し かし制度として、仕組みとして、今の政令に必要な限りにおいてこういうものが全然視 野の中に入っていなかったかと言えば、そうではないのではないかと思います。 ○水谷委員  自治事務化になったわけです。確かに、委員定数は政令で定めていくというようにな っていますけれども、結局北海道地労委の委員の費用は全部北海道が出すわけです。そ の意味では、定数のことだけをここで決める。実際、北海道がどういう状況にあって、 北海道の中で議論がされたのかというとおそらく全然されていないでしょう。それを勝 手に我々が国の立場から、北海道地労委は2名に減らしますということをここで決定し ていく。それが自治事務たる、地方労働委員会に対する国のやり方でしょうか。私は当 然、それに際しては北海道の意見を聞く、福岡県の意見を聞く。そういう作業があって 初めて、この定数減が成り立つと思います。それが透明な行政というものではないので すか。具体的に、そのような根回しがやられているとは聞いていませんから。当然、急 にはできないですよね。 ○原委員  廣見委員から、いろいろなことが視野に入っていた。その中にこの問題もあったので はないかとおっしゃっていました。議事録をずっと見てもらったら良いと思うのです が、厚生労働省の提案、審議という流れの中では、廣見委員の視野には入っていたかも しれませんが、我々の視野には一切入っていなかった。それならそれで明示してもらわ なければいけない。それは私に対する反論、説明にはならないと思います。議論には流 れがあるでしょう、物事を決めていくには。人員整理ではないですが、人数を減らすと いうのは大変なことです。かなりの時間と議論が要るわけですから、このようなやり方 はないですよ。 ○水谷委員  北海道の状況をどのように理解されているのか知りません。おそらく、全然理解され ていないからこういうことをやるのでしょうが、北海道は今年ものすごく件数が増えて います。調整と不当労働行為事件で72件増えています。先般、北海道は幹事会を行い、 条例に沿って2名増やそうかどうしようかという議論をやったそうです。北海道も財政 がそれほど楽ではありませんから、現行どおりで行きましょうということになった。あ えて2名増やそうという考えまでしたぐらいに、実は北海道は大変な状況です。  これも御存じかもしれませんが、北海道の事務局の人数というのは東京都労委の事務 局の人数と変わりありません。なぜか、あれだけ広域だからです。広域でやらざるを得 ないというのは、事件が起きたら調査は全部現地で行います。審問は札幌で行うのです が、調査は全部現地でやるわけです。事務局が行きます、委員も行きます。あの広域な 所で、委員も事務局もそれだけ走り回って泊まりです。だから、あれだけの人数が必要 なのです。それでも、四苦八苦やってきているのが現状ではないですか。それを一方的 に、この段階で2人減らすと言ったら北海道はみんな怒りますよ。 ○原委員  今日は個別の云々という議論をするつもりはありません。言い出したら切りがないと 思います。時間も足りません。そういう意味では、個別の云々をするつもりはありませ んが、流れとしてどう考えてもおかしいということだけは申し上げておきます。これは 改めて反対です。 ○小島委員  別にこの役所に限らず、人の話がからんでくると、常にこういう議論になるわけで す。難しいことは分かります。おっしゃっていることは分かりますが、そう言っている と結局はフタを開けてみたら委員があちこちで増えていたということになるわけです。 だから、少なくとも北海道と福岡県については、現在よりも増える心配はなくなったと いうように理解しています。経過措置の期間が設けられていて、北海道の場合は2年あ るというわけです。さらに、条例で7人まで増やすことができるわけです。多分、そう いうように予算措置も考えているということになれば、現実の問題としてはあまり心配 する話ではないのではないかと思います。  だから、私はこういうやり方は心配だと。結局は人が増えるばかりで、減るような所 は何も出てきませんということになるのではないかということを言っていたわけです。 それを原委員が、私が全く関係なく独り言を言ったようにおっしゃっているけれども、 きちんと審議会の中で発言しているのですからそのようなことはありません。 ○原委員  だけど、実際問題、あちこちでボンボン増えるということはないでしょう。言葉のあ やですから。 ○小島委員  どういうように使うかですから。 ○原委員  実際問題、増えていません。 ○小島委員  本来、どういうようにも使えないようにしておかなければいけないわけです。 ○原委員  各県は常識的な判断をすると思います。条例だって簡単には通りませんよ、反対勢力 が多いわけだから。 ○芹生委員  今まで、東京と大阪は法律ですが、政令で決めてきたわけです。政令というのは非常 に大きな重みを持っていると思います。たとえ、条例で増やすという制度的な余地があ るにせよ、政令には非常に重みがある。問題は条例で増やすかどうかということでな く、政令でこのように減員することの是非が問題になっている。先ほど原委員からもあ りましたが、我々は委員定数の問題について議論することはやぶさかでない。しかし、 そのためにはいろいろ議論を尽くさなければいけないので、今回の政令改正については 現行のままにして、改めて委員定数について政令で触れるならばもう1回委員会をやり 直したらどうでしょうか。 ○小島委員  ちょっと待ってください、委員定数を政令から外せなどという議論は全く出ていない ですよ。 ○芹生委員  差し当たりこのままにしておいて、委員定数を改めて審議し直したらどうですかと私 は申しております。 ○小島委員  分かります。でも、芹生委員のお話を突き詰めていくと政令に入っていること自体が おかしいということになるでしょう。 ○芹生委員  政令で決めていることの重みがある。だから、これを変えるということについては、 改めて多くの議論が必要だと私は言っているわけです。 ○水谷委員  少なくとも北海道や福岡県など、実際に減らされた所の意見は聞いた上でというよう に思います。私は労働者委員の立場で、北海道や福岡県の労働者委員と話します。おそ らく使用者側委員も、北海道や福岡県の使用者側委員と話してほしいと。そういうよう な意見を聞く中で、我々はこの判断を尊重します。今の段階では寝耳に水で、ここでや れと言われたらあまりにも無茶苦茶です。 ○熊谷参事官  過去の経緯も含めていろいろ議論が出ていますが、この資料で言えば新旧の4頁、第 19条の12第2項というところが「定数の規定」です。今回の一連の議論の中で、都道府 県労働委員会の定数は国が全部政令で、あるいは東京、大阪は法律ですが決め切ってい たわけです。それぞれ都道府県の事情によって、都道府県の御判断で条例で定めれば、 それぞれ委員の数を2人増やすことができる仕組みにするという点について御議論をい ただいたわけです。その際、当然、こうやって条例で増やせることに伴い、政令の定数 も然るべく検討して、政令案という形でお諮りするということで御説明をさせていただ いたわけです。  今回の定数の改定に当たり、前回の地労委の定数改定は昭和53年と四半世紀以上遡る わけです。その当時と基本的に同様に、それぞれの都道府県における中央労働委員会の 事件数、あるいは労働組合数、労働組合員数といった数字、事件は不当労働行為事件と 調整事件がございます。こういったものを勘案して、今回、このような案をお示しした ものです。そういう数字、実績等を見ると、北海道は広いというお話もありましたが、 先ほど申し上げたようなデータからすると現在、北海道、福岡といった所の状況という のは、概ね7名の委員が相当な状況であるというように考えているわけです。  もとより、水谷委員からもお話が出ましたが、いろいろ地域の実情に応じてそれぞれ の都道府県、ないし労働委員会で手厚い措置を講じるというか、丁寧な取組みをすると いうことももちろん考えられるわけです。ただ、今回はそういったものに対応できるよ うに、この条例で定めるところによって定数を増やすことができるという、法律上の仕 組みを導入したということであろうかと理解しています。いろいろ御意見がありました が、事務局として今回に至った考え方については以上のとおりです。 ○原委員  仕組みは良いわけです。議論の中では定数をそもそも減らして増員する場合は良いと いう、そういう議論はなかったので、仕組みを作るということは良いわけです。 ○熊谷参事官  仕組みの議論をした段階で、こういう仕組みを導入するとただ増えるばかりになるの ではないかというような議論が、この審議会でもあったと承知しておりますが、そのと き、私どものほうではその時点で増えるとか減るとかいうことは、一切申し上げたこと はないと思いますが、これは政令で定める段階で、しかるべく検討をして、また審議会 にお諮りすると御説明させていただいたかと思います。 ○原委員  そうすると、私の理解が至らなかったと、先の先まで読めなかったということなので すか。 ○熊谷参事官  法律の時点では増えるとも減るとも何も決まっていなかったと。 ○水谷委員  今の時点で何でやらなければいけないのですか。 ○原委員  いやいや、そういうことでしょう。そうすると、私の理解がそこまで至らなかったと いうことなのでしょう。そんなことは全然想定していない、全国の中央労働委員にも言 っていないですよ。こんなことがあり得るぞ、覚悟しておけよと、そんなことは私はう ちの労働委員に対しては一切言っていない。ということは、私の先読みが悪かったと。 君は1年間何をしていたのだという、そういう厚生労働省の方針があるということを察 知して、事前準備をしなかったということでしょう。そうなりますよ。 ○熊谷参事官  それは例えば法律案の作る建議に向けて御議論していただいたときのことかと思いま すが、その段階でこういう案が決まっていたものではありませんので、その段階で特に 私どもも何か一定の案を念頭に置いて御説明したということはないわけですが、ただ、 繰り返しにもなろうかと思いますが、今回ただし書きで条例によって増やせるという仕 組みを導入するにあたって、そういう仕組みが導入されることも踏まえて、政令におい てどういう数を決めるかというのは、また別途検討すべきものという御説明をさせてい ただいたかと承知しています。 ○原委員  現行の全国の定数を場合によっては減らすという発言はなかったですよ。 ○水谷委員  今回だから。 ○原委員  それはおかしいですよ。 ○水谷委員  今回の法改正に合わせて定数を減らすという話があれば、もっと大変な議論になって いたはずです。 ○原委員  そんなものはなっています。だから、それはちょっと厚生労働省としては、だまし討 ちということはあまり言いたくないけれども。 ○水谷委員  それであれば本来議論すべきなのです。 ○原委員  この9回の審議会の中で厚生労働省がそもそも努力されているということで、かなり あれも入れてもらいたい、これも入れてもらいたいということもかなり控えて、この間 の議論の中でいろいろやむを得ないということで、こちらの勝手な判断ですが賛成して きたという経過もあるわけです。しかし、これはないです。今となって、そんな言い方 はないと思います。 ○長谷川委員  おそらくこの議論が延々と続くと思いますので、今御覧のように都道府県労働委員会 の委員の定数については、北海道と福岡が2名減になるわけですが、水谷委員、原委員 も言っているように、それぞれの地域のいろいろな特徴があるわけです。そういう地域 の特徴に、今回ヒアリングもなかったではないかという意見もあったわけで、そのよう な意味で、そういうことをもっと慎重に検討することが必要なのではないかということ で、私どもとしてはこの委員定数が特に減る所について納得しているわけではないとい うことを、労側全体の意見として述べさせていただきたいと思います。   ○水谷委員  それでは、これに関しては是非とも撤回してもらいたいと思います。これに関しても う1回議論しても良いではないですか。 ○原委員  こういうのをどさくさに紛れてというのですよ。 ○水谷委員  自治事務たる地労委の数を自治事務のある地労委に話もしないで、国が勝手に決める のですか。それが国の民主的な透明な行政なのですか。国って庁に対してそういうこと なのですか。 ○部会長  この点について、ほかに御意見はありますか。 ○小島委員  法律のほうで2人増員できるというのは通っているわけです。本来こういう議論をす るのであったら、2人増員できるということ自体に反対しなければいけないのです。最 初から増減できるにしてくれということは言っているのですから。 ○水谷委員  それは分かりますよ。 ○小島委員  それを先に通しているのですから、今になってそっちはそのまま、これもこのままと いったら、結局これは増えるだけになります。それが我々の目的だったのかということ なのです。 ○原委員  増えても良いではないですか。 ○小島委員  やはり増えたり減ったりしなければいけないのですよ。 ○原委員  迅速化のためにそれが必要だというのだったら、増員の場合もあるではないですか。 ○水谷委員  増やすためには議論が必要ですと。増やすのではなくここで一方的に減らすのですか ら、それはおかしいでしょう。 ○原委員  定数論議にはやぶさかではないと言っているでしょう。こういうやり方をどさくさに 紛れてという、そのやり方ですよと。9回の審議会の中でこういう格好で1回も議論を していませんよ。厚生労働省からこういう考え方についてはどうですかなど、そんなこ とは一切ないですよ。それを今になって、いや、言ったとか、そんなものは議事録を見 てください。議論していませんよ、やりとりしていませんよ。 ○水谷委員  前回も全労委の総会をやりました。そのときも全労委としていろいろな意見を言いま した。それは本来労働委員会サイドの意見だから、厚生労働省は何も聞かなくても良い というスタンスなのですかということなのです。労働委員会というのは独立行政委員会 でそれなりの独立性を持っているわけです。そういう独立行政委員会のこういう問題に 関して、何らその行政委員会の意見も聞かずに国というのは勝手にやるのですか。それ は是非とも皆さんの自治事務たる地方労働委員会の定数の問題ですから、御意見をこれ で済まされるとは思わないですが。 ○岩村委員  おそらくこの法律については確かに労側の委員がたびたびおっしゃるように、大きな 目的は審理の不当労働行為の審理の迅速化、適正化ということもあったわけですが、他 方で今回の法律案の中には、地方労働委員会、今度都道府県労働委員会と名前は変わり ますが、その自治事務化ということに即した形で、一定の改正を行うということも、内 容に入っていましたし、そのことも部会において議論をしてきたと思っています。そし て、委員の定数について言えば、実は自治事務化ということを論理徹底すると、法律で 定員を決めるというのはおかしいです。それは各地方労働委員会が、都道府県労働委員 会が条例で決めれば良いということに論理を徹底すればなってしまう。ただ、今回法律 案はある意味で、そこまで自治事務化を徹底しているわけではなくて、都道府県の労働 委員会ごとに13人、11人、9人、7人、5人という一定のランク付けをして、あとは政 令で各労働委員会に応じて定数を定めましょうという仕方をして、ある意味で逆に言う と、自治事務に対して枠を法律でかけているということがあり、しかしながら、それを もう1回ただし書きで引っ繰り返して、条例で2名それぞれ増やすことができるという 仕切りで、その範囲ではある意味で自治事務を認めているという作りになっています。  したがって、労側委員のおっしゃることも重々状況も理解し、とりわけ北海道と福岡 の「減」は今日初めて聞いたという、そういう御事情も良く分かるのですが、おそらく 法令の論理の問題として考えたときには、7名とするということの上で、あとはまさに 自治事務ということなので、それぞれの各都道府県の判断で、もし北海道のように事件 がくれば現地に事務職員等が伺って、現地調査等をするという実情があるということも 私も承知しておりますが、そういう実情の下でも地方自治体が判断として、なお2名増 やすということが必要であると判断されるのであれば、それは条例で行うということ で、減らすということは重大だという労側の委員の御発言は重々分かりますが、法令の 仕組み方としては筋の通った仕組み方ではないかと思います。 ○水谷委員  ただ先ほど申し上げたように北海道は9名を11名にしようではないかという議論をや ったのです。11名にしたいぐらいだと。今度は7名ですから9名にしかできないです。 そういうことになってしまうのです。こういうことに際して、北海道の意見を是非とも 聞いてほしいと。それをなぜやらないのですか。 ○原委員  そういうことなのです。だから岩村委員、法律の仕組みが駄目だとか、法律の仕組み で云々言っているわけではないです。今回のこの9回の後の10回目で、突然出てきたや り方は、馴染みませんよと。 ○岩村委員  そのお話も今申し上げたように、私も労側の委員のお立場も良く分かります。ただ他 方で、自治事務とおっしゃるのだとすれば、それはまさに地方公共団体が決めること で、むしろ国が意見を聞くことがおかしいという論理になってしまうということだと思 います。 ○原委員  この部分だけ修正してください。 ○部会長  この点について山川委員どうぞ。 ○山川委員  何人ということを理論で決められる問題ではないものですから、なかなか難しいとこ ろなのですが、そもそもこの部会の役割がどういうものであったかということにかかわ ってくるのではないかという感じがします。これまでの議論それぞれに御理解はあるで しょうが、いってみればその点については両様ともあり得るという話、あるいはブラン クであったということになるのかもしれないと思うのです。私としてももともと地方労 働委員会のことですから、それぞれの実情を把握するというプロセスはあったほうがよ かったのではないかと思っています。何らかの形でやられたのかもしれません。実情は 私には分かりませんが、ある意味でそもそも人数の議論をここですべきかどうかという ことがまず前提にあって、あるいは部会の事項かどうかということです。  その上で、「条例で定めるところにより」という趣旨が地方の特殊性、あるいは状況 を踏まえてやれるということであるとすると、その前提になるのが一応何らかの基準の ような考え方があって、それで算出したという位置づけはできるのではないかと思って います。つまり、7名というのが先ほど御説明があった一定の考え方に基づいてできて きて、あとは地方の特殊性を条例で反映してほしいという考え方が現れた案なのかとい う把握でした。 ○部会長  一応皆さんから御意見は伺ったと思いますので、最終的にどうするかは別の問題で、 これ以外の問題について御意見がありましたらお願いします。 ○水谷委員  さんざん本部会のときに申し上げました都道府県労働委員会の規則制定権の問題で、 イとロは理解できますが、ハの庶務に関する事項とここに規定がありまして非常に分か りにくいです。庶務というのはどこからどこまでを指すのか。これに関して本部会のと きにも何回か申し上げましたが、各都道府県労働委員会で申し合わせ事項的なものをそ れぞれ持っています。そのときは申し合わせ事項はどういうものか良く分からないと事 務局から御回答をいただいたのですが、これだけ時間がかかったので、その申し合わせ 事項が規則として各都道府県労働委員会で定められると判断できるのかどうか。ですか ら庶務の範囲が良く分からないわけです。 ○熊谷参事官  今回、政令で定めようとしている都道府県労働委員会の庶務に関する事項の内容です が、1つは都道府県労働委員会の事務局の事務文書など組織関係のものがこれに含まれ る。例えば都道府県労働委員会における文書や公印の管理が含まれる。また都道府県労 働委員会における会議の議事録の作成、承認、あるいは会議経過の公表方法といったも のが都道府県労働委員会の庶務に関する事項の代表的なものであると考えております。 いろいろな地労委でそれぞれ申し合わせをしているかと思いますが、審査手続について は法律の議論をしたときにも申し上げましたが、全国斉一的に定められる必要があろう かと思っていますので、これを地労委ごとに、例えばこういった書類はいつまでに出す といったようなものが、都道府県労働委員会によってばらつきが出ること自体は適当で ないと考えており、そういうものを労働審査手続として定める必要があれば、中央労働 委員会が労働委員会規則として定められるものだろうと私どもは考えています。 ○水谷委員  ただ現実的には各都道府県労働委員会ごとに申し合わせ事項として定めているので す。例えば先般大阪府労働委員会に労側で行きまして、大阪府としてはこういうやり方 として申し合わせをやっています。申立てが起きたら10日以内に答弁書を提出してもら う。1カ月以内に必ず第1回調査を入れましょう。そして、3回から5回で審問手続の ための調査を終えて、5回以上は絶対に調査をやらない。それぞれ東京と同じくらい忙 しい労働委員会ですが、東京よりもかなり厳格に迅速化のための手続を決めているわけ です。それ以上にもっと迅速化の手続をやっている地方労働委員会はたくさんあるわけ です。それは申し合わせでやっているわけです。何の労組法なり今までの施行令なり規 則に反しているわけではなくて、各労働委員会ごとでとにかく迅速化のために努力され ているわけです。それは申し合わせであって、もし、被申立人が何か根拠があるかと言 われたら、総会の申し合わせ事項ですとしか答えられないもので、それを規則という形 で定められれば、より説得性があるという思いがしています。実はそういう問題だけで はなくて、東京と兵庫を除くのですが、個別的労使紛争も扱っており、ほとんどのとこ ろが条例ではなくて、定めているものを規則的に定めてやったほうが、やはりやりやす いという意見が随分出ています。そういうものは一切、熊谷参事官の話を聞きますと、 全国斉一性と言いながら、それは斉一性とはちょっと違うのです。今回の労組法に関し てできましたら各労働委員会は計画審理、審査計画をどう作るか。これは労働委員会内 部でも全労委として部会を設け議論しました。結論としてはパターンは作りましたが各 労働委員会ごとの運用に任せる。そういう形なのです。 ○熊谷参事官  今水谷委員からお話があった中には、2つのものがあるのではないかと考えていま す。例示がいくつかありましたが、例えば答弁書ですが、これは現在の労働委員会規則 37条2項で申立書の写しが送付された日から原則として10日以内となっているわけで、 どこの労働委員会でも10日以内でやると。例えばどこかの地労委が決めれば、これは5 日でやらなければいけないとか、どこかが決めれば2週間で良いとか、そういうもので はないのではないか。 ○水谷委員  決まっていれば良いのです。それに対してはないのです。 ○熊谷参事官  ですから、これは労働委員会規則として決めていただく内容ではないかと思います。 調査を何回ぐらいやるかということは、多分これは労働委員会規則でも、通常は3回か ら5回の間にしなければいけないということは、多分決められないことなのではないか と考えています。1つの審査を行うにあたっての目安のようなものとして、それぞれの 労働委員会で申し合わせがなされているのだろうと思います。これは中労委が決めると しても、5回を超えてやってはいけないとか、そういうことはもともと規則には馴染ま ないのではないか。お話を伺っていて、そういう2種類のものがあるのではないかと思 いました。審査手続それ自体、きちんと労働委員会、労使当事者が拘束されるようなル ールは、どこの都道府県労働委員会にいっても同じものが適用されるように中労委でお 決めいただくということではないかと思います。  先ほど例に出た調査のようなものは、それぞれの地労委で経験的にうまくやっていく ための申し合わせという形で、引き続きやっていっていただくようなもので、これを規 則にするというのは少し性格が馴染まないのではないかと考えています。 ○岩村委員  今の参事官の説明のとおりだと私も思うのですが、確かに東京都労委の場合もいろい ろな申し合わせ事項が審査手続等に関して存在します。私の理解ではそれは労働委員会 規則に基づいて、審査委員が審査指揮をするにあたっての、いわば一定の裁量権を持っ ているわけですが、その裁量権を行使するにあたっての1つの準則という意味合いのも のだろうと思います。それは多分、各地労委ごとに忙しさも違えば事件の性質等も違う と思いますので、それぞれの地労委ごとで、そうした準則を申し合わせなり何なりの形 で作って、それに従って審査委員が審査指揮を行うにあたって適切な裁量を行使すると いうほうが実情には合うのであって、そこまで規則事項にするというのはあまり適して いないのではないかと思います。 ○芹生委員  私はこの点は素人なので変なことを言うかもしれませんが、確かにいろいろなことを すべて規則でやるということが良いとは思いませんが、実際上は規則のほかにそれぞれ の申し合わせがあって、さらに事務処理要領はこんな厚いものが、それぞれ委員会ごと にあると思うのです。それに従って事務局が細かくやっている。そういうことは確かに 規則化ということは馴染まないと思いますが、水谷委員が言った中で、個別労使紛争に ついて条例なり、あるいは多くの場合は要綱で取り組まれているのですが、それについ ての具体的なあり様に各都道府県労委の規則ということで入り込む余地があるのではな いかと思っていて、それは私も確証は持てないのですが、少なくともその余地はあるの ではないかとは思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。あるいは労働組合の関係 ではなく都道府県の条例または要綱が何かということもあるのですが、要綱に基づいて 行われる進め方を、都道府県労委規則に取り込むというのはあり得るのではないかとい う気がしています。 ○岩村委員  より正確な答えは多分参事官からしていただいたほうが良いのかもしれませんが、個 別労使紛争自体は労組法の中には載っていないと思います。ですので、多分その仕組み からいったときには、労働委員会の規則に入れるのはできないだろうと思います。 ○芹生委員  もちろん法律以外のものを規則で書いたら法律違反だと、そのとおりですけれども、 個別労使紛争を労働委員会が取り組むに至った経緯がかなりそういう便宜的な手法をと っているけれども、これはこれで1つのある規則のようなものが各都道府県にあって も、良いとは思うのですが駄目ですか。あるいは条例で定めたものの場合はどうなので すか。条例でやっている所もあるのですか。 ○岩村委員  条例がこの労働組合法とはまた別個に何か規則性を与えるということはあるのかもし れませんが、詳しく考えたことはないので分かりません。 ○芹生委員  これは水谷委員と同じ主張ではないですが、少なくとも制度的には個別労使紛争のと ころだけは考える余地があるのではないかと思っています。 ○水谷委員  個別労使紛争のあの法律というのは、地労働委員会が自治事務になったから、あの法 律に基づいて個別的労使紛争は扱えるというやり方にしたのです。ですから、最初に議 論になりますので自治事務たる今回の都道府県労働委員会が規則を定めてはいけない、 規則を定めるのはここに限るというやり方をまた国が決めるのはいかがなものかとい う、最初の議論に戻ってくるのです。条例は決めて良いよと。これとこれに関しては条 例で決めなさい、それ以外は全部駄目ですよという縛りを、自治事務たる都道府県労働 委員会に国としてかけていくやり方はいかがなものかという思いもあるわけです。 ○山川委員  私も良く分からないのですが、おそらくこの労働組合法所定事項で労働委員会規則そ のものは労働組合法の委任に基づくものだから、それ以外の権限を労働委員会が持って いるとすれば、それは地方自治法とか個別労働紛争は直接的には地方自治法なので、そ の地方自治法が与えているかどうか、あるいは条例が与えているかどうかという問題に なるので、ここで労働委員会規則として個別紛争のというのは、おそらく岩村委員が言 ったように難しいと思うのです。逆にそれはできないと労働組合の解釈としてすること もできないのではないか。いわば地方自治法なり条例の問題になるような気がするので すが、素人なので良く分かりません。 ○芹生委員  だから労組法、労調法、特労法の3つの法律に基づいて具体的な施行が労委規則に取 り込まれていると思うのです。だから個別労使紛争の取り込みも何らかの形でやろうと 思えばできるのではないかと思っているのですが。 ○熊谷参事官  地方自治法の体系では、こういう地方公共団体に設けられる行政委員会は一般的に規 則制定権を持つということにはなっていないわけで、それぞれ特に法律で定めた場合に 規則制定をすることができるとなっているのが1つです。  また、今回の規則制定権は労働組合法に設けられている労働委員会が労働組合法に基 づくいろいろな事後を処理するにあたっての規則制定権ということになっているので、 そういった2つからすると、芹生委員がおっしゃっているようなことも、現実の問題と しては1つの考えられるやり方なのかもしれませんが、現行の地方自治法なり労働組合 法の体系からすると、なかなか難しいということになろうかと思います。 ○部会長  ほかにこの点について御意見はございますか。それではそのほかの点についてはいか がでしょうか。 ○芹生委員  本当に細かい話になってしまうのですが、政令でも労委規則でも3つの法律を取り込 んでいると思うのです。そこで、名称がここでは「審査委員会」とありますが、特労法 の規定からきているので、名前がどうしてもアンバランスなのです。なぜ、特定独法の シートだけが審査委員会という名前で、一般事件は単なる公益委員会かという名前のア ンバランスがどうしても気になるといえば気になるので、そこらを法律改正という今回 は間に合わないですが、何とか1つの労委規則ということでやる場合には、名称をそれ ぞれバランスのとれた名称にするために何か工夫がないかと思っています。 ○熊谷参事官  公益委員会議というのは政令上の名称でもなく、政令では「公益委員のみで行う会議 」が条文の見出しになっており、審査委員会のほうは特労法でそういう名前になってい て、芹生委員の御指摘も理解はできますが、こういうものは一遍に整理するのが実務的 にどういう機会をとらえてやったら良いのか、良く検討させていただきたいと思いま す。 ○芹生委員  別に実質に関係する問題では何らないですが。 ○部会長  ほかにはございませんか。予定の時間も迫っておりますので、特に御発言がなけれ ば、今日の答申をどうするかという話を進めていきたいと思います。 ○長谷川委員  労側は今日の会議を御覧になったように、今回の都道府県労働委員会の委員の定数に ついては地方の事情も踏まえて検討すべきであったということを、きちんと付記してい ただきたい。そうでないと、私どもがあたかも納得したような形では非常に納得できま せんので、明らかにそれが分かるような形にしておいていただきたいと思います。 ○原委員  だからこれは修正を、削除してください。 ○部会長  それとまた意見が違いますが、その辺はどういうように受け取ったらよいでしょう か。 ○長谷川委員  削除することで採決してもそれは無理でしょうから、明らかに労側の意見をきちんと 付記していただきたい。 ○部会長  答申を出すとした上でそこに付記するということですね。 ○長谷川委員  はい。 ○水谷委員  ですからやはり駄目なのですか。 ○原委員  今回、無理にこの場で変える必要はないでしょう。何が狙いなのですか。 ○熊谷参事官  繰り返しになって恐縮ですが、今回の労働組合法の改正で、都道府県労働委員会の定 数については条例でこれを増やすことができるという仕組みも導入されたところで、そ ういう新たな仕組みを前提として、この定数が何人が適当であるかということを、今回 定める必要があるわけです。当然それを検討するとすれば、現在の先ほど若干申し上げ たような都道府県ごとの事件数も当然加味して考えていく必要があるということで、今 回の都道府県労働委員会の定数の仕組みが変わったことに伴う政令の見直しということ で御理解をいただきたいと思います。もし今までと同じ数字を定めるとすれば、こうい う仕組みが導入されても、政令上必要な数は同じですというそういう判断をすることに なるわけです。 ○水谷委員  こういう問題に関してはヒアリングも何もやる必要はないと、やっていないわけでし ょう。 ○熊谷参事官  私どもとしては特に地労委の事件数、審査、調査の実施状況など、そういったものを 把握した上で、こういう案をお示しさせていただいています。 ○水谷委員  数字というのはいつでもとれますから、それを見ただけで意見を聞くことは一切必要 ないという御判断ですね。 ○熊谷参事官  いろいろな過程の中で都道府県の数字を聞く段階と、それぞれやり取りはあるわけで すが、どういうものをもってして意見を聞くかということですが、特に私どもから今回 は公文書で本件についての意見を求めてはおりません。 ○水谷委員  ないと判断されたわけでしょう。 ○熊谷参事官  そういうやり方をする必要はないという理解でしたが、ちなみにこれも昔に御説明さ せていただきましたが、都道府県に行政委員会を設けるという場合には、地方自治法の 考え方からすると、基本的な行政委員会の組織は法律で定めるというのが建て前で、例 えば港湾委員会であろうと教育委員会であろうと、すべて都道府県が条例で自由に定め るという仕組みには一切なっていないところです。 ○水谷委員  地方分権という時代になったわけです。だから、国が勝手に地方のことをそういう形 でやって良いのですか。 ○熊谷参事官  昔の固有事務についてもそういう仕組みだということですが、今回条例で2人増やす ことができるようになったという仕組みが導入されたということと合わせて、御検討い ただければと思います。 ○原委員  これまでの9回の審議会で、厚生労働省がこれでいくと決めたことに対して、労側が これほど言ったことはないわけです。1つぐらい聞いてください。 ○長谷川委員  時間が過ぎていますが、ここで10分ほど休憩をしますか。 ○部会長  では、今から10分間休憩します。                   (休憩) ○部会長  それでは再開させていただきます。先ほどの答申の手続について御意見を長谷川委員 からお願いします。 ○長谷川委員  私どもは貴重なこの10分を、まとめるにあたって本日の労側の意見も踏まえて審議過 程の中で答えも出していただきました。北海道と福岡県の都道府県労働委員会の委員の 定数については、私ども労働者側委員から地域の事情を十分に踏まえて、従来の委員の 数を維持すべきだという意見があったということを、明らかにしていただきたいという ことで、是非今回の意見書に添付していただきたいと思います。 ○部会長  そうしますと、今出された案は、「厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。」とし た後に、今長谷川委員がおっしゃったことをなお書きで、「なお、審議の過程で、労働 者委員から、北海道及び福岡県の都道府県労働委員会の委員の数については、地域の実 情を十分に踏まえ、従来の委員の数を維持すべきとの意見があったことを申し添える。 」ということを書き添える。こういう取りまとめという御提案ですね。ほかの委員の方 はいかがでしょうか。今のような形の答申でよろしいでしょうか。 ○杉山委員  やむを得ないでしょう。 ○部会長  それでは皆様御異議がないようですので、今のような案文での報告文、答申文という ことにいたしたいと思います。よろしゅうございますか。                  (異議なし) ○部会長  それではただ今私が読み上げましたとおりの案文で決定いたしました。どうも今日は ありがとうございました。 ○橋審議官  それでは最後に一言、お礼かたがた御挨拶を申し上げたいと思います。本日、諮問さ せていただきました「労働組合法施行令の一部を改正する政令案要綱」ですが、ただ今 大変活発かつ大変いろいろな御議論をいただきまして、座長から御納得いただいたよう な形で答申をいただいたところです。改めて皆様方にお礼を申し上げる次第でございま す。私ども厚生労働省としましては、本日いただきました答申に沿いまして、政令案を 取りまとめまして、今月の26日を目処に閣議決定を求めていきたいと考えております。 昨年の9月から委員の皆様方には大変御熱心に御議論をいただいたところです。当審議 会の場でいろいろ承りました御意見をもちまして、十分これを踏まえながらこれからこ の新しい不当労働行為審査制度について、円滑に施行されますよう、解釈通達等必要な 準備に取り組んで努力をしてまいりたいと考えているところです。今後とも、引き続き 委員の皆様方には御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げまして、御挨拶に代 えさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○部会長  ほかに御発言がなければ、これで議事は終了したいと思います。 ○長谷川委員  この部会は今日の開催をもって終了すると承っていますがそうですか。 ○熊谷参事官  この部会はこれまでの例でも廃止の手続を取るということにはなっておりませんの で、特にそういう手続は取りませんが、今日の議事をもちまして、今後は開催する予定 はありません。また、何かこの問題に限らず、必要な場合にはしかるべく御検討の場を 設けるということになろうかと思いますので、またよろしくお願いをいたしたいと思い ます。 ○部会長  最後に署名委員ですが、芹生委員と原川委員にお願いいたします。それでは今日はお 忙しい中を長時間、時間を延長して御議論いただきましてありがとうございました。 照会先:厚生労働省政策統括官付労政担当参事官室 法規第2係     TEL:03−5253−1111(内線7752)