04/11/22 第7回厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会議事録                第7回厚生科学審議会             医薬品販売制度改正検討部会議事録        日時:  平成16年11月22日(月)17:00〜19:00        場所:  霞が関ビル33階東海大学校友会館「阿蘇の間」        出席者: 青井 倫一 委員  井村 信正 委員             上原 明  委員  鎌田伊佐緒 委員             神田 敏子 委員  児玉 孝  委員             高橋 孝雄 委員  田島 知行 委員             谷川原祐介 委員  堀井 秀之 委員             増山ゆかり 委員  松本 恒雄 委員             溝口 秀昭 委員  望月 眞弓 委員             森  由子 委員        議題:  1.委員等からの講義・質疑             2.医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関す               る専門委員会の検討状況の報告・審議  井村部会長  定刻を少し過ぎましたが、ただいまから第7回の厚生科学審議会「医薬品販売制度改 正検討部会」を始めさせていただきます。  先生方にはお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。  議事に入ります前に、本日の出席状況について事務局より報告をお願いします。  事務局  それでは事務局から委員の出席状況を申し上げます。現在、委員20名のうち11名にご 出席いただいております。厚生科学審議会令の規定によりまして定則数に達しており、 会義が成立いたしますことをご報告いたします。  なお、大山委員、三村委員、吉川委員、宗像委員、安田委員の5名の委員からご欠席 との連絡をいただいております。  また、神田委員、高橋委員、堀井委員、溝口委員につきましてはご出席という連絡を いただいておりますので、まもなくお見えになるものと思われます。  本日は、予定しておりましたとおり、「医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内 容等に関する専門委員会」における検討状況をご報告いただくことになっておりますの で、専門委員会の埜中委員長にもご出席いただいております。以上です。  井村部会長  本日は、前回の部会で皆様方にご了承いただいておりますように、委員の先生方から ご専門の講義を伺うことになっておりますが、まず第1回といたしまして、今日は松本 委員に「一般用医薬品の販売におけるリスクと販売活動の規制についての考え方」と題 しましてご講義をいただくことになっております。  それに引き続きまして、10月以降3回開催されました「医薬品のリスクの程度の評価 と情報提供の内容等に関する専門委員会」における作業状況について、埜中委員長と、 専門委員会の委員でもあります望月委員にご報告いただくことになっております。  それでは、松本委員にご講義をいただく前に、本日の配付資料について事務局から説 明をお願いします。  事務局  資料を確認させていただきます。まず議事次第がございます。次に松本委員の提出資 料といたしまして「一般用医薬品の販売におけるリスクと販売活動の規制についての考 え方」という資料がございます。それ以降は事務局で用意させていただいた資料です。  資料1、医薬品販売制度改正検討部会委員名簿  資料2、医薬品販売制度改正に関する論点の整理  資料3、医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会委員名 簿  資料4、一般用医薬品の製品群  資料5、医薬品のリスクの評価と情報提供の内容等に関する留意事項  資料6、「リスクの程度の評価」の作業のもとになる情報源  資料7は添付文書の例として、アセトアミノフェン製剤の医療用と一般用の添付文書 と、臭化ブチルスコポラミン製剤の医療用と一般用の添付文書となっております。  資料8、専門委員会における作業の状況についてですが、別紙1、別紙2としてA3 の折り込み資料をつけております。  資料は以上ですが、落丁等がございましたら事務局までお申し出ください。  これより議事に入りますので、カメラ撮りはこの時点までとさせていただきたいと思 います。  井村部会長  それでは、これから松本委員に先ほどのタイトルでご講義をいただきたいと思いま す。松本先生、よろしくお願いいたします。  松本部会長代理  それでは20分程度で、レジュメに沿ってお話しいたします。  まず1.一般用医薬品のリスクというのはどういうものがあるんだろうかということ で、これはこの部会でも従来いろいろ議論してきたことであります。  安全性の問題と有効性の問題が一番大きなものとしてすぐ浮かんでまいります。安全 性の問題は身体的なリスクと言い換えてもいいですし、有効性の問題は、それによって 健康が害されるという部分を除けば、無駄遣いをさせられたという金銭的なリスクに置 き換えることができます。ここでいう身体的リスク、金銭的リスクというのは医薬品に 限らず、すべての製品について同じような問題が起こってくるわけですから、医薬品特 有ではありません。  医薬品特有の問題としては、有効性を欠いていることから無駄遣いに終わるだけでは なくて、それによって健康回復に役立たず、逆に悪くなるという、有効性が健康リスク につながるという問題とか、別の症状を顕在化させないように働くようなリスクとか、 依存性があるというリスクといった特有の問題が出てまいります。  次に2、医薬品の製造における安全性について考えてみたいと思います。  ここで手がかりになりますのは製造物責任法の考え方です。製造物責任法は90年代の 中ごろにできた法律ですが、一つのきっかけとして薬害の問題があったことは明らかで す。製造物責任法では製造者に従来より重い責任を負わせております。法律でいうとこ ろの製造者は本来の意味の製造者には限らず、輸入業者も含みますし、製造はしていな いが発売元としてラベルに表示されている事業者も製造者として重い責任を負います。 発売元と製造元が別々の事業者であって、そのことが明確に表示されているというのは 医薬品の場合は多くみられるケースです。  電気製品ですとOEMということで、製造していないんだけれど直接製造者として表 示をしているケースが多いと思います。医薬品の場合は薬事法上の規制の関係で別々の 表示をせざるをえないのではないかと思います。  製造物責任法では製品欠陥について3つのタイプに分けて考えています。  1つは設計上の欠陥。これがあると、できた製品はすべて欠陥品になります。  2つ目は製造上の欠陥。あるラインで作られた製品のみが欠陥になる。あるいは特定 の製品のみが欠陥になるというものです。  3つ目は指示・警告上の欠陥、あるいは表示上の欠陥と言います。添付文書の記載が 間違っているとか、警告ラベルがついていないとか、そういったものです。  この3つのタイプの欠陥に対して開発製造メーカーとしてどう対応できるかという と、設計上の欠陥については、医薬品の場合は開発段階の話になります。従って、GL P、GCP等によって対応しているということになります。  製造上の欠陥の場合は、製造過程において本来入ってはいけないものがまぎれこんだ りしない、あるいは本来入るべきものが落ちてしまうことがないようにということです から、これに対する対処策としてはGMPがとられているということになるかと思いま す。  指示・警告上の欠陥については、Gなんとかというのは思いつかないんですが、適切 な添付文書がついているとか、製品の瓶などにラベルがきちんと張られて、必要不可欠 なことが書かれているといった事柄が対処方法になるかと思います。  考え方としては、設計段階で危険はすべて除去しなさいということですが、医薬品に 典型的なように、設計上の危険をなくしてしまうと効果もなくなってしまうようなもの の場合は、指示・警告のところで効果を出しつつ危険を除去するようなアドバイスをし なさいという形で対応することになっています。効能を維持しつつ危険を除去すること が不可能であれば、設計段階でそうしない限り、いくら文書で危険だよといってもだめ だということです。  欠陥とは別に、狭義の副作用があります。副作用という概念は多義的ですが、ここで は欠陥にはあたらないものと考えてください。正しく用いてもなお生ずるリスクが医薬 品の場合にはあります。この場合は責任問題ではなくて、医薬品医療機器総合機構によ る副作用被害救済の問題として処理されています。  さらに医療用医薬品の場合には、適切に使用されればいいものであっても、医師の処 方が適切でない場合には危害になる可能性がありますから、ここで医師の固有の責任が 発生する可能性があります。  開発危険については製造者の責任はないとされています。製品を上市する時点、すな わち製品化して出荷する時点での科学技術の知見によっては、欠陥があることを認識す ることができなかった場合には責任がないという規定です。  この場合でも、製品を上市した後の追跡調査、PMSといわれている事柄だろうと思 いますが、これをきちんとやって情報を収集して、しかるべく対処していないと製造メ ーカーの責任が問われる可能性があります。ただし、これは製造物責任法上の欠陥の問 題ではなくて、出荷後の注意義務の話ということになります。  次に3.医薬品の販売段階における安全性、とりわけ、この部会で議論している小売 段階における安全性をどう考えるかです。  製造物責任の問題ではありません。  それでは販売業者としてどういう場合に責任を負わされることになるのだろうかとい うことです。単純なケースとしては、きちんと管理していなかったので品質が劣化して 危険なものになった場合は販売業者固有の責任ということになります。また、添付文書 をきちんとつけて販売しなければならないのに、何らかの原因で添付文書がつけられて いなかったとか、別の間違ったものがつけられていたとしたら、これも販売業者の責任 になります。通常、一般用医薬品の場合はパッケージ化されて、その中に文書が入って いますから、販売業者段階でこの問題が起こることはほとんどないと思います。はかり 売りということをやる可能性があれば問題が出てくるかもしれません。  アドバイスの誤りというのも責任の原因となりうると思います。その前提として、そ もそもアドバイス義務があるのか、どのようなアドバイスをする必要があるのかという ことがあります。ふつう製品を売りたい場合には、この製品がいいですよと、その製品 を売りたいがために推奨のアドバイスをやるわけですが、薬品の場合には売らんかなの アドバイスはよくないのではないかと思います。  アドバイスをすることがあるとして、それは販売業者としての義務なのか、それとも 薬剤師という専門家としての義務なのかという問題があります。  不適切な製品を勧めた場合は責任を生ずる可能性がありますが、適切か不適切かをど こで判断するのか、どのくらい顧客から話を聞いた上でないと製品を勧めてはいけない のか、このあたりは難しいところがあります。  販売した製品について情報提供が誤っている場合、責任が生じます。販売時点での情 報提供と販売後の情報提供があると思います。販売時点においては、質問されて誤った 情報提供をする場合と質問されなくても提供すべき場合があると思いますが、質問され なくても提供すべき情報は何なのか。薬事法上は販売業者に情報提供の努力義務を負わ せているだけですから、それに違反したからといってどうこうということにはならない わけです。  先ほど言いましたように、情報提供義務を負うのは販売業者として負うのか、それと も薬剤師として負うのかというところがありますが、ここでも責任の根拠として、販売 業者の売り主としての責任なのか、それとも専門家としての責任なのかという点があり ます。  薬事法上「実地に管理する」という義務が負わされていますが、これに違反した場 合、どういう責任が生ずるのか。行政との関係では行政処分の対象になりうるわけです が、これを顧客との関係で責任問題に転化するのか、しないのかということがありま す。以上が小売段階における安全性を考える場合に考慮すべき点です。  4.経済活動の行政による規制の分類です。  視点をちょっと変えまして、この部会で議論しています販売段階における様々な規 制、販売業者の業態によって規制の中身が少しず違っているわけですが、これをどう考 えるかということの前提として、経済活動を行政が規制する場合を一般的に考えてみた いと思います。  行政規制の分類としては、大きく(1)経済的規制と(2)社会的規制に分けて考えるのが 一般的です。経済的規制というのは需給調整の観点から競争を制限するための規制で す。やり方としては、参入規制、設備を新たに増強する場合に許認可を要求するといっ た設備規制、輸入の規制、価格についての規制などがあります。  社会的規制というのは社会的見地から規制をするものでありまして、規制によって保 護される利益としては、安全性、健康、環境、最近では高齢者、障害者の利益なども重 視されています。  消費者保護というのは、従来は(2)の社会的規制の枠で、弱者である消費者を社会的 見地から守るために、強い立場の業者を規制すると整理されていましたが、最近では経 済的規制と社会的規制以外の3つ目の規制として、(3)自由な競争を確保するための規 制、あるいは公正な市場を形成するための規制というのを第3類型として独自に考えよ うという考え方が一般的になってきていまして、独禁法による規制が典型です。  医療用医薬品であれば、医療機関に販売する場合、いろんなおまけをつけたり特典を つけたりすることが従来よく行われていましたが、あまりおまけが大きすぎるというの は価格における競争をねじまげるので、過大なおまけはだめだよというのが独禁法規制 です。  証券取引の世界では情報をきちんと出しなさいというディスクロージャー(情報開示 の義務づけ)というのが盛んに行われています。消費者保護もこれに近いところがある ので、(3)にも近いのではないかという見方もなされています。  (1)と(2)の関係は、理論的には切り分けられるわけですが、従来、業界を保護育成す る業界振興行政と、(2)の社会的見地からの規制を担当する規制行政が未分離な部分が けっこうありました。旧厚生省においても薬事行政が、かつてはこういう状態でした。 そういう状況にありますと、(2)の名目で(1)が行われるということも出てきます。現在 ではこの2つの行政を分離するというのが一般的な傾向になっていまして、医薬品につ いては分離されていますし、食品についても昨年、大規模な分離が行われたところであ ります。  次に5.規制をもう少し別の見地から分類してみます。それは事前の規制と事後の規 制という分類です。  事前規制というのは入り口段階で規制するというもので、許認可行政がこの典型で す。入り口で規制をしますと予防が確実に行われるということがありますが、逆に競争 制限のおそれという副作用があります。  事後規制の場合は土俵に上がることは許すけど、土俵に上がるためにはこれこれのル ールを守りなさいという形の規制で、安全性についても安全基準をあらかじめ設定し て、これを守る限り誰でも参入していいですよというやり方になります。ただ、あとで その基準を満たしていないとか、行為についてのルールを守っていない場合には、しか るべく制裁を加える必要が出てきます。競争という点では促進的に働くんですが、実効 性を欠く可能性があるし、違反監視のコストをどのように負担するのかという問題があ ります。規制緩和の流れの中で、トレンドとしては事前規制から事後規制へという方向 に流れています。  次に6.規制によって実現される消費者の利益です。  一般的に消費者の利益にはどのようなものがあるかということですが、4つに分けて みました。(1)安全・健康・衛生・環境といった利益、(2)選択の利益、より良いものを より安い価格で取得するという利益、(3)公正な取引条件・取引環境のもとにおいて取 引が行えるという利益、(4)少しタイブが違いますが、問題が起こった場合にきちんと 対応してもらえる、被害を救済してもらえるという利益があります。  なぜ消費者問題が起こるのかというと、この利益と絡んでいまして、1つは、一般的 には消費者と事業者の間で情報の量と質に格差があることから起こります。これは主と して選択の問題というところであらわれてきます。適切なものを選べないという問題で す。  2つ目は交渉力に差があるという点です。一般用医薬品の場合は交渉力格差はあまり 問題にならないと思いますが、大企業との間の取引、電力会社との間の取引などですと 交渉力の格差は非常に大きいわけです。これは主として公正な取引条件・取引環境の問 題になります。  3つ目に、生身の人間であることからくる被害回復が不可能であるという問題があり ます。健康被害、安全被害については、いくら金銭で賠償してもらっても本当の意味で の回復はできないということでありまして、医薬品の場合には、この問題が大きなとこ ろがあります。  小売段階で見ますと、医薬品との関係での消費者の利益は情報の量と質の格差の問題 と、被害回復が本当の意味では不可能であるという2つの点ではっきりとあらわれてく るわけです。  (2)の選択や(3)の公正な取引条件というのは、自由で公正な競争が実現すれば達成さ れる問題ですが、(1)の安全・健康の利益の問題は競争促進というだけでは還元できな い固有の問題を含んでいます。(4)の苦情処理・被害救済は後始末ということで若干異 質です。  最後に7.以上の消費者利益確保のための規制のあり方です。  取引に係わる利益、(2)選択や(3)公正な取引条件については、自由で公正な競争を促 進するための施策を行うことによって実現が可能でして、独占禁止法、景品表示法その 他の表示規制、薬事法の規制も一部関係してくるかもしれません。  それを守っているかどうかについて事後チェック機能をきちんと強化し、違反に対し てはしかるべき制裁を行うということで実現されることになります。このような規制は 基本的に事後規制で行われています。  安全に係わる規制については、いったん被害を受けると本当の意味での回復が不可能 であるという点から考えて、事前規制が必要です。安全に係わるというだけで、すべ て、がんじがらめの事前規制になるのかというと、そうではないというのが最近の考え 方であります。  最後のところにリスクアナリシスに基づくリスクマネジメントと書いてありますが、 これは間違いでして、リスクアセスメントに基づくリスクマネジメントとしての規制と いうのが正しい表現です。リスクアナリシスという上位概念の中にリスクアセスメン ト、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションという3つのファクターが入って くるというのが一般的な考え方です。  昨年の食品安全の議論の時にこの問題が強く意識されました。どういうリスクが本当 にあるのかということを見極めた上で、それに見合った規制その他の施策をマネジメン トとしてきちんと考えましょうということです。  現在、専門委員会で議論していただいておりますのはこのリスクアセスメントのとこ ろだろうと私は理解しておりまして、その評価を受けた上で、この部会で、どのような リスクマネジメントとしての規制が適切かを考えることになるのだろうと思います。  しかるべき規制を行った上で、その規制違反に対する監視や制裁をきちんと行うこと が必要だろうと考えます。以上です。  井村部会長  どうもありがとうございました。この部会が抱えております課題に深くかかわる規制 の問題につきまして、わかりやすくご説明いただきました。ただいまの松本先生のご講 義に対してご質問がございましたらお出しいただきたいと思います。いかがでしょう か。今のお話はわかりやすかったので、ご質問はないんでしょうか。  一番最後のところが重要なご発言だったような気がいたしますが、この部会がやるべ きこと、専門委員会がやっていることが定義づけられたような気がいたします。  児玉委員  2ページの上から6行目ですが、薬事法の「実地に管理」からどのような義務が生じ るかということで、ここに書いてあるのは対行政の義務、対顧客の義務となっておりま す。実地に管理というのはいろんなところでいろんな議論があるわけですが、行政と顧 客という2つだけで、雇用者というか管理者というか、その義務というのはないんでし ょうか。  松本部会長代理  ここで書いておりますのは、「実地に管理」する義務が薬事法上負わされています が、それを怠っていた場合、販売経営者というか、薬事法上の開業許可を得ている者に どういう責任が生ずるのかということです。薬事法上の規定は行政の監督規定のような ものでしょうから、行政との関係で一定の責任を問われる可能性があり、一定の行政処 分が発動できるような仕組みにはなっていると思います。  ただ、実際にはあまり発動していないでしょうし、「実地に管理」自体、どこまでや れば実地に管理で、どういう場合が実地に管理でないのかというところが必ずしもクリ アでないということもあると思います。行政が行政処分の対象として何を考えるかとい うこととは別に、実地に管理していないことによって消費者に一定の被害が生じたとい う場合、この規定を根拠にして何か言えるかどうかという話でありまして、行政規制の 法律である薬事法上の一定の義務に違反した場合、民事法的な意味で顧客に対してどん な責任が生ずるのかというような感じで書いております。  井村部会長  2ページの一番上に「薬事法上は、販売業者に情報提供の努力義務のみ」という表現 があるんですが、薬事法というのは、情報提供をないがしろにしたために何か起こった 場合、努力義務違反ということしかないんですか。  松本部会長代理  行政的な規制法規としての薬事法には情報提供の義務についての規定は最初はなかっ たそうですが、平成何年かの改正の際に努力義務として情報提供の義務が新たに加えら れたと聞いております。努力義務ですから、そうすることが、より良い社会づくりとい う点では望ましいですから積極的にやってくださいというメッセージは入っているわけ ですが、これに違反したからといって行政的な制裁の対象になるわけではないというこ とになります。  薬事法上、行政法上の義務としてどうかということとは別に、民法上の本来の医薬品 の売り主と買い主との間での売買契約に伴う義務として、一定の情報提供義務があるの ではないかというところが出てきます。一般用医薬品の場合には詳細な情報は添付文書 としてパッケージの中に入っているはずですから、それを読めば製品の適切な使い方が わかるはずであるということがもともとの前提にあったのではないかと思います。  井村部会長  ほかにご質問はございませんでしょうか。よろしいですか。それでは先に進ませてい ただきます。  10月に発足いたしましてから、これまでの間に3回開催されております「医薬品のリ スクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会」の作業状況につきまして、 埜中委員長と望月委員からご報告をお願いいたします。まず最初に埜中委員長から全体 的な作業状況についてご報告をお願いいたします。  埜中委員長  ただいまご紹介にあずかりました専門委員会の委員長をしております埜中と申しま す。今まで行われましたことについて、私からは概略だけをご説明いたします。資料8 をご覧いただきますと、現在までに3回、専門委員会を開催しております。  第1回は10月22日に行われまして、この時は主に部会における議論の経緯をお聞きし て、我々がどういうことをしなくてはいけないかということを勉強させていただきまし た。なかなかイメージがわきませんでしたので、イメージつくりのために具体例があっ たほうがいいのではないかということを討議して、一般用医薬品の中から2つほど代表 的なものを選ぼうではないかということになりました。  11月12日に第2回委員会が開催されまして、リスクの相対的評価を行うための基礎情 報の進め方について検討しました。2つのモデルケースを掲げたわけですが、どういう 薬品にはどういう副作用があって、どういう特性があるかとか、そういう基礎資料が必 要になります。それを集めるための情報源としては、まず医療用医薬品の添付文書から の情報を集める。それプラス文献などから情報を集めるのがいいのではないかというこ とで、望月委員を含めて委員4〜5人で相談いたしまして、まずワークシートを作ろう ということになりました。ワークシートの薬品として、解熱鎮痛薬と胃腸鎮痛鎮けい薬 の2つを取り上げることにいたしました。それが別紙1、2という横のA3の紙になっ ています。  ただ機械的に資料を集めるだけではなくて、リスク評価に対する考え方も検討しよう ではないかということを決めて、次回の委員会で具体的なことを皆さんにお示ししよう ということで、11月15日に第3回の専門委員会が開かれました。  別紙1を見ていただきますと、網かけをしたところがありますが、そういうところを 重点的に見てリスクを評価していこうということになりました。これについては後で望 月委員に具体的に話していただくことにしています。  今日、望月委員が説明する内容は、今申しました2つの製品群をモデルとして作成さ れたワークシートについてです。これをたたき台にして、こういうやり方でいいという 部会のご許可がいただけたら、85分類について本格的な検討をしていくことにしたいと 思っています。  委員会で決めましたことは以上のようなことですが、望月委員からの説明をお聞きに なって、我々が考えている方針でよろしいということになりましたら、これから具体的 な作業をどんどん進めていきたいと考えております。  作業の進捗状況について、望月委員から説明をお願いします。  望月委員  資料8の2ページ、2.作業の進捗状況のところを説明させていただきます。(1)リ スクの相対的評価を行うための基礎情報の集め方について(案)ですが、次の5点を考 えています。  1点目として、今回の作業は、一般用医薬品は多成分の配合剤になっております関係 で、各製品群ごとに主な個別の成分に着目しまして、順次、基礎情報を整理するという ことにしました。  2点目は、化学構造や薬理作用からみて、薬学的に同種同効と考えられる成分につい ては、各成分ごとに基礎情報を抽出した後にグルーピングしたいと考えています。これ は、情報の抽出が困難な成分、つまり医療用医薬品にはその製品がない場合、なんらか のグルーピングをすることによって、そのグループの中の基礎成分の基礎情報で代用で きるのではないかという捉え方です。  3点目、基礎情報の整理は、幅広く情報を集めるという考え方にたって、相対的に情 報量が多い医療用医薬品の添付文書の記載内容を、「リスクの評価」に係る項目ごとに 抽出し、ワークシートとして整理することにしました。  別紙1のワークシートを見ていただきますと、一番上の欄にリスクの程度の評価の項 目としてAからHまで並んでいます。  資料5をご覧いただきますど、左端に「リスクの評価の程度」とありまして、A薬理 作用からHスイッチ化等に伴う使用環境の変化まで8つの項目がありますが、このAか らHまでを別紙1の表の一番上の欄に並べまして、これらの項目について基礎情報を集 めて、リスクの評価をしていこうということになりました。  別紙1の次の段は、上の項目のAからHまでを、添付文書の項目に沿って読みかえを して書き直されています。  具体的には資料6の左側の項目のAからHを添付文書上の項目等に読みかえまして、 右側に抽出すべき情報源が書いてありますので、資料6に従ってご説明していきます。  A.薬理作用については、すべての項目に薬理作用がかかわってきて、各項目の中で 薬理学的なリスクの側面は評価しうるだろうということで、情報を抽出する対象とはし ませんでした。  B.相互作用については併用禁忌と併用注意と書いてありますが、添付文書上では 「相互作用」という項目が出てきます。  資料7の1ページにカロナール錠200、300の添付文書がありますが、これはアセトア ミノフェンという成分の医療用医薬品の添付文書になります。このカロナールの中でい きますと、2ページの左側に3.相互作用という項目がありますが、その左にBと手書 きで書いています。今回の場合、ワークシートではB相互作用は併用禁忌はなくて、併 用注意だけが書いてあるという形になっています。  ただし、相互作用に関してはこの項目だけではなくて、ほかの使用上の注意の項目の 中にも登場する場合がありますので、それも拾い出すことにしています。  C.重篤な副作用のおそれについては薬理・毒性に基づくものと特異体質・アレルギ ー等によるものと2つに分けました。カロナール錠の添付文書を見ていただきますと、 2ページの4.副作用という項目がありまして、その左にCという手書きがあります。 この中の(1)重大な副作用、ここから情報を抽出することにしました。  ただし、重大な副作用以外でも大切な副作用もあるだろうということで、C′という のを設けました。2ページの右に(2)その他の副作用という項目がありますが、そこを C′としまして、ここからも情報を抽出することにしました。  D.濫用のおそれですが、医療用医薬品の場合は習慣性のあるものについては規制区 分で習慣性医薬品という区分がありますので、それを抽出して整理することにしまし た。  E.患者背景ですが、既往歴、治療状況等でリスクが発現する可能性のある患者さん たちということになります。これは適応禁忌と慎重投与に分けています。カロナールの 添付文書でいきますと、1ページの一番最初に四角で囲ってある中に、禁忌(次の患者 には投与しないこと)と書いてあるところの左にEと振ってありますが、ここから適応 禁忌については抽出することにしています。  慎重投与については、同じページの右側に〔使用上の注意〕の1.慎重投与(次の患 者には慎重に投与すること)とあります。この2カ所から患者背景については抽出する ことにしていますが、その他の使用上の注意の中にも重要な基本的注意とか投与しない こという記述や慎重に投与することという記述が出てきますので、そのあたりからも抽 出することにしています。  慎重投与に関しては、2ページの右側に5.高齢者への投与、6.妊婦・産婦・授乳 婦等への投与、7.小児等への投与という項目がありまして、慎重に投与すること、投 与はしないようにすることという記述が出てきますので、ここからも情報を抽出するこ とにしています。  Fですが、効能・効果の取り違いによって症状が悪化したり全く効果が出ないという 可能性のリスクの評価になります。カロナールの添付文書でいうと、1ページの右側の 下のほうの2.重要な基本的注意という項目の中にそうした記述がある場合、抽出する 対象とすることにしました。  G.使用方法(誤使用のおそれ)に関しては3つの項目に分けまして、使用量に上限 がある場合は、それを記述する。過量使用や誤使用のおそれについて記述があった場合 は、それをとる。長期使用による健康被害のおそれ、この3つに分けて整理をしていく ことにしました。  使用量の上限に関しては、カロナールの添付文書でいうと、1ページの右側の一番上 の〔用法・用量〕の中の効能・効果(2)の場合というところに「ただし、原則として1 日2回までとし、1日最大1.5gを限度とする」という記述があります。こうした場合、 上限として取り上げるという形になります。この添付文書には用法・用量に関する使用 上の注意というのはありませんが、こういった記述がある場合も抽出することにしてい ます。  過量投与等の問題ですが、カロナールの添付文書の2ページの右側に8.過量投与と いう項目があります。こういう項目がある場合とない場合がありますが、あった場合は ここから抽出することにしました。  誤使用等に関しては、過量投与も含めて、いろいろな情報があった場合は、すべて抽 出することにしています。  長期使用に関しては、添付文書上の使用上の注意の中の様々な項目に出てきますの で、出てきた都度、それらを全部抽出することにしました。  Hはスイッチ化等に伴う使用環境の変化ということですので、今回の抽出情報として は取り上げないことにしました。  以上のような形で添付文書から情報を抽出して、別紙1にあるような形で横に並べま して、ワークシートとして用いるという形で整理をしていくことにしました。  まず解熱鎮痛薬と胃腸鎮痛鎮けい薬の2グループを対象にして、情報を整理していき ました。  一般用医薬品の添付文書についてもどう取り上げるかということは少し検討しまし た。基礎情報としては医療用医薬品からの抽出を使って、一般用医薬品の添付文書は、 次の段階で情報提供する場合の参考として情報を抽出するのに利用しようということに なっています。  資料7に、もう一つ「タイレノールA」という一般用医薬品の添付文書がついていま す。これはアセトアミノフェンという一般名の医薬品の医療用ではなく一般用医薬品の 添付文書になります。これの2つ目に「相談すること」という項目がありますが、次の 人は服用前に医師、歯科医師又は薬剤師にご相談くださいとあります。ここで具体的に あがっているものは、医療用医薬品の添付文書ですと禁忌にあたる方々がかなりここに 出てきます。一般用医薬品ですと、どういう理由で相談しなければならないのかとか、 そういったものが明確にここから抽出する形になりませんので、基本的には医療用医薬 品から抽出する。ただし、情報提供のあり方を議論する際には、こういった表現の仕方 も参考になるだろうということになります。  作業の進捗状況の(1)の最後の○のところです。いま申しましたように医療用を中心 に情報を抽出していくことにしましたが、医療用医薬品と一般用医薬品で効能効果が違 ったり用法用量が違うことによってリスクの評価に影響が出るかもしれないという議論 がありまして、医療用医薬品及び一般用医薬品の効能効果や1日あたりの上限量等をワ ークシート上に付記して評価の参考にすることにしました。  ただし、一般用医薬品は多種類の成分が配合されていますので、個別の成分にしてし まいますと、効能効果が実際に使う風邪薬という意味合いとは異なってくる場合もあり ますので、主たる成分の効能効果という形で整理をすることにしました。  (2)相対的リスク評価方法について(案)に移らせていただきます。  3回目の時にここに関しては議論をしましたが、1回の議論だけではなくて、作業が 進んでいくにつれて新たな議論をしていくという部分ではないかというふうに今は整理 されているところです。  1番目の○ですが、相対的リスクの評価に関する作業は、「リスクの程度の評価」に 係る8項目(A〜H)として抽出された基礎情報に基づいて行うということです。  2番目は、「リスクの程度の評価」に係る8項目のうち、別紙で網かけをしているB とCとEについては、他の項目に比べて重要なファクターとして捉える。これ以外はま るで評価しないという意味ではなくて、どちらかというとこちらを評価して、ほかのも 見ながらという形だというふうにご理解ください。  3番目は、成分間のリスクを相対的に評価する場合の考え方ですが、8項目における 基礎情報の内容を比較した上で、違いとして捉えるか否かを判断しながらリスクの順序 をつけていくということです。まだ具体的な作業に入っていないので、どのように順序 立てるかわからないのですが、具体的にどういうところで相対的に見ていくかというの は、解熱鎮痛薬の2枚目になります。  左から2つ目の欄が成分名になっていますが、網かけのしてあるEの項目でアスピリ ンのところを見ていただきますと、最後のほうに「15歳未満の水痘又はインフルエンザ の患者」というのが適応禁忌として書いてあります。アセトアミノフェンの適応禁忌の 欄を見ていただきますと、15歳未満のインフルエンザの患者というのは書かれていませ ん。このように、書いてある、書いてないというのをどのように見ていくかということ が一つの例として考えられるということです。  4番目は、8項目において、各成分ごとに抽出された基礎情報に違いがある場合であ っても、情報の内容の一つ一つを医学・薬学的にみたうえで、結果として、成分間の違 いはないものとしても取り扱う場合がある。  これについては別紙2の胃腸鎮痛鎮けい薬のほうを見ていただいたほうがわかりやす いかもしれません。1枚目の左端に副交感神経遮断成分とありまして、その中に10ぐら いの成分があります。情報が書かれてないところは、医療用医薬品の添付文書で情報が 入手できないものですが、この枠の中に入っているもののかなりの部分は、先ほどの構 造と薬理作用で見てグルーピングできるものがあります。その中で、情報にかなり凸凹 はあるけれど、これらを一つのくくりとして考えられるかもしれないという取り扱いの 部分になります。  5番目は、ワークシートとして抽出された基礎情報の多少は、必ずしもリスクの高低 にはつながらないことに留意する。  これについては解熱鎮痛薬の最初のページを見ていただきますと、○がついていま す。○がついているところは何らかの情報があるということですが、○の数が多い製品 はリスクが高いという評価にはならないという意味です。  6番目の○ですが、今回、リスクの評価をどう行っていくかという議論の中で、ここ が一番議論のあったところです。相対的リスクの評価は、まずは抽出した基礎情報をも とに各成分の特性(物性)に基づいて行う。適正使用されるということは確保されたと いう上でどういうリスクがあるかということを評価し、その次の段階で誤使用や過量使 用、あるいは適正に使われなかった場合のリスクを含めて評価しましょうということで 前回の専門委員会ではディスカッションが終わっています。  もう少し作業を進めていきますと、このあたりのことはもうちょっと具体的にご説明 できると思います。今回は、まだあまり煮詰められておりません。  今後の作業は、まずはワークシートに従って基礎情報を抽出し、それをもとに、今の 基本的な考え方を中心として、相対的なリスクの評価の作業に入っていくという形にな ります。以上です。  井村部会長  どうもありがとうございました。詳細な説明をしていただきましたが、このワークシ ートの作成はほとんど望月先生のお力によるもので、大変なご苦労であったと思いま す。本当にありがとうございました。  それでは、埜中委員長と望月委員からの説明に対しまして、ご質問がありましたらお 願いいたします。  増山委員  今回、添付文書から抽出したものを情報源として評価の基準にするということだと思 うんですが、現場で実際に薬を飲む消費者に説明をしておられる鎌田委員や児玉委員 は、添付文書以外に、特にこういったことに注意を払って説明しているということがあ れば教えていただきたいんですが。  鎌田委員  店頭において私どもが消費者から情報提供を受ける場合、「アレルギーがありますか 」、「いいえ」、「胃腸は弱いですか」、「はい」という単純なことだけですむもので はないと思うんです。それでしたらマニュアルどおりにやっていけば、ある程度の把握 はできるんですね。そのすき間を埋めるために我々は知識と経験をもとにして、機械で はできない、人と人との会話を通じて正しい情報がつかめるように努力をしておりま す。  児玉委員  セルフメディケーションで消費者が選ばれるものとその疾病が合うか合わないかとい うのはご自分でやられてるわけですが、そこにミスマッチがあるわけですね。そういう ことを我々は注意しなくてはいけない。その中で受診勧告というものも発生するわけで すし、そういういろんな要素があります。ここでリスク分類といわれた時に、その要素 というのはなかなか難しい。そこで情報提供のあり方と供給体制のあり方の議論に入っ ていくんだろうなという気がします。  リスク分類の中に何もその要素が入れられないのか。それはちょっと違うと思うんで すね。結果として起こる過量というのはデータとして拾えるわけですから、それは重要 なファクターじゃないかと思います。  井村部会長  増山委員、それでよろしいですか。  増山委員  この検討会ではリスクについてずいぶん議論してきたんですが、専門委員会では薬剤 に着目して、物質から見るリスクという視点で医薬品を見ていってると思うんです。禁 忌とか、間違って飲んでしまうとか、いろんな原因から、必ずしも適正に使われない場 合もあるわけですよね。定量化できないというか、どういう頻度で起こるか予測できな いようなリスクというのをどういうふうに取り込んでいったらいいのかということを伺 いたいと思います。  井村部会長  さしあたってはこういう作業でやるけど、それを考慮に入れないつもりは全くなく て、いちおう整理をしてから、どのくらいそれを上乗せしていくかという作業になるの かなと思って伺ってたんですが、そのへんはいかがでしょうか。  埜中委員長  まさに部会長が言われたとおりで、我々も誤使用というのを無視しているわけでは決 してありません。今回、作業として進めるのは薬の成分に着目して、危険度とか副作用 の問題とか、そういうことをまず評価する。それが終わってから誤使用なども考慮して やっていこうということです。誤使用とかあらゆるファクターを入れていくと作業が進 みませんので、まず成分に着目して、それについて評価をしていこうという方針を立て たわけです。  溝口委員  過量の問題が出ましたが、過量は飲んだ方のミスだと一概に言えない面があるのでは ないか。依存が絡むことがあるのではないかという気がするんですね。フェナセチンを 含んだ合剤を毎日1瓶半飲んだとか、ブセチンもそうです。一時的には頭痛は収まるけ ど、その薬でまた痛みが起こる。そのために繰り返し飲んでたという方が2人いまし た。そういうものが過量として見過ごされているということでは問題がある。ブロバリ ンだけが習慣ありでハイリスクになっていますが、それ以外で習慣性とはいえないが、 それに近い原因で過量摂取がおこる薬剤も調べていただきたいと思います。  井村部会長  そういうものは添付文書に出てくるでしょうか。  溝口委員  そういう事例の論文を探すと出てくるわけです。添付文書に載ってないものが出てき た時に、それをまとめていくという組織がないといけないと思います。  井村部会長  それを積極的に探すという作業が必要だということでしょうか。それについて望月委 員はいかがでしょうか。  望月委員  先ほどから出ております誤使用とか、習慣的に飲んでないと落ち着かないから連用し 続けるという可能性はあると思います。専門委員会でも、まずは第1段階としては適正 に使われた上でのリスクを評価して、さらに軸をもう一つ設けて、適正に使われなかっ た時のことも考えなければいけないだろうという議論は出ております。  溝口委員のご質問の長期に連用していくということに関して、依存のような情報を抽 出することは難しいんですが、各製品には長期に使った時にどんなことが起こってしま うかというのが出てくるケースがあります。  別紙1の解熱鎮痛薬の2ページをご覧いただきますと、一番上のアスピリンの場合、 右から2つ目にG使用方法(誤使用のおそれ)とありますが、3つに分かれていまし て、右に「長期使用による健康被害のおそれ」というのがあります。急性疾患の場合は 基本的には長期投与はしないことになっていまして、慢性疾患で長期に使う場合は尿と か血液とか肝機能が悪くなる可能性があるので定期的な検査が必要ということで、長期 に継続的に使われた場合はどんなリスクが生じるかという情報は添付文書から拾うこと ができますので、ある程度のレベルまではそれで代用が可能かなと考えております。  溝口委員  1段階目は添付文書から拾うというのが適切だと思います。長期過量であったとか、 誤用したという例が何かの薬に集中している可能性がないかということも事務局で調べ ていただくことが必要ではないかと思います。  児玉委員  第1段階ということをおっしゃってますけど、重要ファクターというのをわざとされ たというのは、あとで評価を点数化されるというのと関係があるのかなという気がする わけです。部会長がおっしゃったように、この作業はタイトな作業ですから、第2段 階、第3段階というのがあるのかなと思いながら聞いてたんですが、第1は成分で仕組 むとして、そのあと第2、第3というのは情報提供をどうくっつけるか、長期体制をど うくっつけるかという議論なのかなという気がします。第1段階だけで、これはリスク が少ないという評価をされますと、ひとり歩きするんじゃないかという心配があるんで すね。  この表を見てますと、増山委員のご心配のようなOTC特有の過量投与のおそれとい うのは添付文書で分類できるんですね。使用方法の中に上限があるもの、あるいは過量 使用、誤用使用のおそれというのが分類されてますから、そこは最初から重要ファクタ ーに入れるべきではないか。第2段階ではなくて。溝口委員がおっしゃったように、前 に社会問題としてOTCの咳止めのシロップの問題とか出ましたよね。そういうOTC 特有の使用実態によるいろんな問題があるわけですから、それを重要ファクターの中に 入れるべきではないか。これを見れば、入れることは可能ですから、そういうふうに考 えられないんでしょうか。  望月委員  そういう資料がどういう形で集められるかというのが難しいと思いますが、何らかの 形で入手できるようでしたら考慮していきたいと思います。  井村部会長  児玉委員のご提案は、過量のところに網かけをする必要があるのではないかというこ とだと思いますが。  埜中委員長  先ほど申し上げましたように、適正に使用している範囲で評価の作業を進めていくつ もりで、このGを決して無視してやろうとは考えておりません。B、C、Eというの は、薬品販売がもっていることを判定する意味で必要なことなので、まずB.C  Eでやる。Gを無視するわけではなくて、もちろんGもやるということです。これも 入れる、あれも入れるとなると作業が進まないのではないかという危虞がありますの で、こういう形で進めさせていただいて、誤使用で非常に重いものがあればインターネ ットでいろんな文献を調べて、それを取り入れていくという作業をしていきたいと思っ ています。  田島委員  リスクの時には、その重さと頻度という概念で規定するという議論が前回この部会で あったと思うんです。今回の分け方というのは大変ご苦労なことで、すばらしいやり方 で、さすがだと思います。しかし、このリスクの評価の方法は定性的な分け方でなさっ てると思いますが、頻度という定量的なものに関してはいかがお考えなんでしょうか。  井村部会長  委員会でもその点については議論もあったんですが、埜中委員長、いかがですか。  埜中委員長  それは添付文書からは、はかり知ることができないわけですね。0.05%以下とか数字 は書いてありますが、それは実際には反映できないわけです。どのくらいの頻度である かというのは小児科の医者にはある程度わかっておりますので、専門家が現場でやって いるところから頻度というのを判断していくしかないと思います。文献的には判断でき ないし、添付文書からも判断できません。  田島委員  定量的なものというのは判別が難しいというお考えだということですね。  埜中委員長  そうです。  田島委員  頻度と重症度という議論はあったんですか。  埜中委員長  医療用医薬品は実際に医者が使ってるわけですから、どのくらいの副作用かという頻 度はわかります。  田島委員  そのへんのところをどう入れてるのかということを伺ってるんです。  埜中委員長  きちっとした数字としては捉えられないですから、かなり多いとか少ないとか、そう いうことで判断していくしかない。  田島委員  その程度で結構だと思うんですが、頻度の要素もリスク評価には重要であると思いま すのでそのへんをお聞きしたかったんです。  高橋委員  頻度の問題は重要だと思うんですが、重篤な副作用であれば、頻度が低くてもリスク で取り上げるべきですね。ここで取り上げるべき重大な副作用については頻度はあまり 問題にならないと思うんですね。頻度が低くてもリスクは高くなりますので。頻度につ いてよくよく考えなくてはいけないのは、中等度から軽い副作用でも非常によく起こり うる場合だと思うんですね。  頻度についてどう考えるかという点に関しては、第1段階としては特に網かけをして ある3つの項目については重篤であれば頻度にかかわらずリスクを重要視しているとい う意味では、とりあえず反映されていると思います。中等度以下でも頻度が高い場合 は、それをどういうふうに抽出していくかということが次のステップとして大変難しい 問題だと思いますが、アプローチしなくてはいけない。  先ほどのGを網かけにするかどうかですが、これは大量に使用した場合に重篤な副作 用があるということであって、長期、大量服用しやすいかどうかについては述べられて いないので、これはまた別問題だと思うんですね。適正目的、適正使用されるのが前提 で、それに対して往々にして大量に長期投与されがちな薬剤を抽出するという話ですよ ね。それに関してはGの項目には情報が含まれておりませんので、ここに網をかけると いうよりは、別のアプローチでやる必要があると考えます。  谷川原委員  個々の成分ごとのリスクを整理するにあたって医療用の添付文書を使うということ は、情報の量ならびに質ともに充実してますから、私もそれに賛成いたします。大変な 作業になると思いますが、望月先生はじめ専門委員会の先生方のご努力には大変敬意を 表したいと思います。  医療用の添付文書を使う時に気になることが何点かあります。まず1つは、医療用の 添付文書というのはあくまでも医療従事者向けの情報媒体ですので、医師なら当然知っ てる医学的知識にかかわる部分は書いてないわけです。そういう知識はあるという前提 での話ですから、情報を利用する上で注意しなくてはいけない。  例えばカロナールについては、併用注意というところに相互作用はあるんですが、 (5)に他の消炎鎮痛剤との併用を避けることが望ましいとあります。これは処方の仕方 として当然なので、そういうのは併用注意には書かないわけです。拮抗する薬剤を併用 するなんていうことは医師だったらやらないわけですから、そういうことは入ってこな いということもあります。  2点目は、望月先生がおっしゃった部分から情報を取るだけで概ね大丈夫だと思うん ですが、医療用添付文書といえども必ずしも完全にブロック化されてなくて、用法用量 に関する使用上の注意に記載がなくても、高齢者への投与のところで高齢者には半量が 望ましいみたいなことが書いてある場合もあります。投与期間は最大どのくらいまでと いうのは用法用量にはなくて、使用上の注意のところに書いてある部分もあったりしま す。大変だとは思うんですが、そういうことも頭の隅に入れておいていただければと思 います。  3点目は、同じ成分でも医療用と一般用でドーズが違う場合、副作用のリスクをどう 評価するかというのはけっこう難しいと思います。投与量ごとにそういうデータが整理 されていません。過敏性反応というのは投与量には関係ありませんから、それは同じよ うに出ますが、用量依存的に出る副作用の場合は将来また問題になるところがあると思 います。  もし可能であればで結構なんですが、当局に報告があった副作用報告の事例のデータ が利用できるなら、どういう薬剤の副作用報告があがっているのかということも別の資 料として使えればいいのではないかと思います。  井村部会長  先生のご指摘の2点目については、私も専門委員会に出てたんですが、十分に全部を 読んで、そこから拾っておられますので、大丈夫だろうと思います。  望月委員  大変貴重なご指摘をたくさんいただいて、ありがとうございました。先生がおっしゃ るように、今日は説明にあえて入れなかったんですが、医療用医薬品の添付文書は医療 従事者向けであるので、医療従事者は当然やらないだろうということは入れてないとい う点に関してはそのとおりです。たまたまアスピリンとしての先ほどの「その他の消炎 鎮痛薬との併用は避けることが望ましい云々」の記述がありましたので、そこのところ は拾ってあります。  一般用の添付文書、タイレノールを見ていただきますと、一番最初に「してはいけな いこと」という記述があります。この2番目に、本剤を服用している間は、次のいずれ の薬品も服用しないでくださいということで、他の解熱鎮痛薬、かぜ薬、鎮静薬となっ ています。このような同種同効のかぶりとしての整理は医療用医薬品では出てきません ので、ここは一般用医薬品の添付文書から何らかの形で提供する情報内容として抽出し なければいけないところと思っております。  2点目の他の項目に関しては基本的にはほとんど抽出しておりますので、大丈夫では ないかと思っております。  3点目の投与量の差による評価については、今は第1段階で、用法用量を並べた形で 抽出しておりませんので、抽出して整理をした中で、もう一度、専門委員会で議論をさ せていていただく内容になるかなと思います。  当局の副作用のデータについては私からはお答えできません。  事務局  事務局から答えさせていただきます。昨年7月30日から改正薬事法が施行されまし て、厚生労働省に報告された副作用状況を薬事・食品衛生審議会に報告することになり ましたので、昨年7月30日以降の一般用医薬品の副作用報告については、この配合剤で こういう副作用がありましたということを報告しております。その資料は公開になって おりまして、厚生労働省のホームページでも公開しておりますので、利用可能だと思い ます。  前回、平山課長からお話ししておりますように、薬事・食品衛生審議会に副作用の状 況を報告いたしまして、添付文書で注意喚起が必要だというものがありましたら添付文 書に反映しておりますので、この医薬品によって起こるという評価がされた結果につき ましては添付文書をご覧いただければわかっていただけると思います。因果関係の評価 がされていないもの、もしかしたら因果関係がないかもしれないものを含めて、報告状 況につきましては薬事・食品衛生審議会に報告した資料が1年分たまっておりますの で、それをお示しすることは可能かと思います。  谷川原委員  そういうデータがあるのなら参考として使ってもいいかなと思いますが、報告数が多 いからリスクが高いということにはならない。これは自発報告ですので、分母の使用量 がわかりませんので、件数が必ずしも頻度とつながらないんですが、これとは別資料で 参考資料的に使ってもいいのかなと思います。  一般用医薬品のタイレノールの添付文書を見て気がついたんですが、「5〜6回服用 しても症状がよくならない場合」という表現はどの薬剤にも入ってるんですか。それと も特定の薬剤ですか。  望月委員  ものによって異なります。これは解熱鎮痛なので5〜6回なんですが、制酸薬のある 種の区分に入るものは3日使って症状に変化がなかったら云々という記述とか、症状が よくなった場合であっても2週間以内という記述とか、ものによって異なります。  谷川原委員  それが情報提供の必要性を示す一の尺度ですね。  望月委員  そういう意味で一般用医薬品の添付文書は情報提供を考える時に参考として取り入れ ていかなくてはいけないのではないかと思います。  堀井委員  今後の作業についてはいろいろお考えであろうと思いますが、最終的には薬を分類し て、いくつかのグループなりタイプなりに分けるということをするんだと思います。分 類するということは個々の薬と薬との距離を決めるということで、この薬とこの薬は近 い、この薬とこの薬は遠いという距離を決めることによってグループに分けられるとい うことだと思います。  今は比較項目が0か1かというか、○がついてるかついてないかということで、ある 意味で数値化されてるんですが、距離を決めるとなると、もう少し数値化する必要が出 てきて、これは難しいと思いますけど、せめて3段階で、極めてなんとかである、どち らかといえばなんとかであるというような形で、どうしても数値化しないと、薬と薬と の距離を表していくことができないのではないか。  アンケートというほど数ができるかどうかわかりませんが、複数の専門家が点数づけ をして、ばらつきはあるけど、いろんな人が3点という点数をつけたデータがあれば、 それを数値的に処理して、有益な結論なり結果を導くような手法はありますので、少し お考えいただければと思います。  井村部会長  専門委員会でもスコアをつけるかということについては話は出てるんですが、今の作 業の段階ではそこまでは、という感じなんですね。先生のおっしゃることはよくわかり ますが、今の手法でほかの医薬品についてもこのような整理をさせていただいた上で、 3段階がいいのか5段階がいいのか、どうするのかということは、それを眺めてから考 えざるをえないのではないか。今から3段階に分けるということはなかなか難しいのか なという気がいたします。  堀井委員  おっしゃることは非常によくわかって、非常に難しい作業だとは思いますが、ここに あがっている数だけでも一回やってみると、最終結果としてある整理をした時に、どう いうものが出てきそうかという、最終的に出てくるものが見えてくるので、それをとり あえずテンタティブに見てから作業を広げたほうが作業全体としては効率的なのかなと いう気もします。  井村部会長  そのへんについては判断の難しいところだと思いますが、専門委員会はどういうふう にお考えになりますでしょうかね。  埜中委員長  先ほど高橋先生が言われたように、点数をつけるとしても、稀でも非常に重篤なもの があれば、それは点数が高くなりますし、コモンにあるものでも大した症状でなければ 点数は低くなるし、どういうふうな点数づけをするかというのはすごく難しいと思うん ですよ。一回全部やってみて、そこで検討せざるをえないのではないか。堀井委員の言 われるように何らかの形で評価はしなくてはいけないんですが、あまりにもファクター が多すぎて、できないもんですから、作業を進めていく中で考えていこうというのが我 々の考えです。  堀井委員  頻度のことというのは、点数をどうつけるかという時にかかわるというよりは、項目 として頻度の項目を別に設けて、項目を増やすという話かなと思うんですね。非常につ けにくいものがあって、その理由として、項目立てが適切になってないために点数がつ けにくいものもある、頻度は少ないけど、いったん起こったら重篤であるものと、重篤 にはならないけどかなり頻度があるもの、その識別がつくような項目があがってないた めにつけにくくなってるのかもしれない。そういう項目を確定する作業も含めて、今ぐ らいの時点で点数づけができるものかどうなのかやってみたほうが、かなりたくさんの ことをやったあとから、もう一回やり直すことがなくなるという意味で、今の時点でや ったほうがいいかなという気がします。  井村部会長  最後の効率化ということからはそういう必要があるかもしれないんですが、資料4は 一般用医薬品の製品群でして、全部で85種類の製品に分かれています。大変な作業の末 にできたワークシートは、そのうちの2つでして、今の時点で専門委員会としてもそこ に踏み切れないでいるかなという気がいたします。  谷川原委員  まだ2グループしか見てませんので、ここで点数づけとかスコアとか重みづけとか難 しいと思うんですね。もしかすると薬効群ごとにもっと安全なグループがあるかもしれ ませんし、この中でリスクがうまくばらければいいんですが、もしかすると解熱鎮痛薬 は全部ハイリスクのほうに入ってしまうかもしれない。もう少し情報を集めてから全体 を見渡したほうがよろしいかなという考えもあると思います。  井村部会長  今日ご議論いただきますと、こういう情報も、こういう情報もというのが次々にあが ってまいりまして、そのうちにはアベイラブルなものもありますから、いかがでしょう か。85種類の製品群について、こういう順序でということで選んでいったほうがいいと 思うんですが、専門家の集団ですから選んでいただいて、今のワークシートの考え方で 整理していただく。児玉委員が心配されてるようにひとり歩きをさせないで、ほかにも 重要なファクターがありうるんだということに留意しながら仕事を進めていただいて、 もうちょっと整理が進んだところで、堀井委員の言っておられる数値化ということがど ういうふうに可能かということも含めて、場合によったら堀井委員に専門委員会に入っ ていただいて、そこで検討していただく。そういう作業の順序でいかがでしょうか。  児玉委員  医療用医薬品ならこれでいいんですけど、一般用医薬品だからこそ私はこだわって、 過剰なことも申し上げるんですね。私どもは長いあいだ現場で一般用医薬品を供給して きたものですから、その怖さというのはよくわかってるんですよ。だからこそ、それを あえて申し上げてるわけで、そのことを専門委員の方にわかっていただきたいと思いま す。  鎌田委員  前回、12月に一般用医薬品から医薬部外品に移行する際に、安全性の問題で医薬品を 検討されたという話を聞いておりますが、それは参考にならないんでしょうか。  井村部会長  それについて事務局はどういうご意見でしょうか。  事務局  去年の作業についてご紹介しますと、今回と同じ対象になるかと思いますが、それを 対象にしまして、専門家の関与が必要かどうかということを2つの視点に分けました。 1つは薬理作用に着目して、人体へのリスクがどの程度あるかということ、もう1つは 専門家による情報提供の必要性がどのくらいあるか、その2つの切り口で議論しまし た。専門家の関与しないところで扱うにあたって、どういったものが専門家の関与がな くても表示とかそういったことで肩代わりすることによって販売が可能かどうかという 議論だったかと思います。  今回の議論に関しましては、あくまでも一般用医薬品のリスクに応じて現場での対応 をどのようにやっていくかということをご議論いただく場だと思っておりますので、全 く専門家の関与しないところで扱うかどうかということとは少し検討の対象が違うので はないかと思っております。  鎌田委員  そういう意味でお尋ねしているのではなくて、そこで出てきたデータは専門委員会あ るいはこの部会で参考資料とならないのでしょうかということをお聞きしてるんです。  事務局  昨年まとめました検討会の報告書は専門委員会にご提出することは全くやぶさかでは ございません。ただ、定性的な検討結果をまとめたものですので、先ほど申し上げた2 つの切り口に沿って、全体の一般用医薬品の中で、こういったものに関しては専門家の 関与がなくてもいいのではないかという、そこで右左を分けたというレベルの検討結果 だと思います。報告書につきましてはお示しすることは全く構わないと思います。  井村部会長  それが必要であると専門委員会が判断されましたら、事務局に申し出ていただけれ ば、いつでも手に入るということです。  増山委員  昨年の安全上問題のある医薬品の選定というのは、専門家が関与するかしないかとい う視点だったとおっしゃったんですが、ということは、いま残ってる医薬品というのは 専門家が関与しなければならない医薬品であるという認識でよろしいんでしょうか。  石井総務課長  現時点における私どもの認識としては、まさにそのように考えております。現在、私 どもがこういう形で部会を開いて、先生方に検討していただいてる。この状況は、政府 の中でも別の規制改革を司っている会議も注目をし、私どもも折にふれて呼ばれて、作 業の状況などを聞かれるわけです。昨年、基本方針2003というのが決められまして、総 理の指示として、安全上特に問題のないものについては検討して切り出すようにという ことで作業をした。まさに私どもはそういう認識に基づいて、本当に問題がないものを すべて切り出したということを、この10月の先方とのやりとりの場においても申し上げ ているということでございます。そのように認識していただいて全くさしつかえござい ませんので、よろしくお願いいたします。  増山委員  よくわかりました。私がどうしてもリスクについて気になっていたのは、リスクとい うのは定量化するのが難しいということです。平成11年度と今年度と2回にわたって医 薬品から医薬部外品に移行したり、医薬品が移行するという措置がとられた時に、薬事 法上の整合性というのがどういうふうになっているんだろうというのが気がかりでし た。昨年までの医薬品が医薬部外品に移行するというのは、作用が緩和なもので、安全 上特に問題がないということが選定基準だというふうに認識していたので、今回はどの ような基準なのかなというのがお聞きしたいところだったのですが、よくわかりまし た。ありがとうございました。  井村部会長  この部会は部外品を切り出すために会議をやっているわけではないという認識でよろ しいのではないかと思います。  鎌田委員  リスクの問題で専門委員会ができておりまして、大変ご苦労をかけているわけです が、この部会を立ち上げる時に阿曽沼局長が趣旨説明をされましたよね。リスクだけで なく、部会で検討すべき事項として8つの項目が出ております。医薬品の管理をどうす るとか、医薬品販売に従事する者の質とその確保とか、そういう検討課題もあるわけで すが、リスクも大変重要なことですので、それは専門委員会でやっていただいてるわけ です。その他の検討項目はどのような手順でされるんでしょうか。  井村部会長  ほかの検討項目も検討するんですが、リスクの程度の評価というのがある程度進みま すと、それに関しての情報提供をどうするかという話があり、それに絡んで、どんな人 がそういう情報提供をするのかということに移っていくんだろうと思います。今ここで 行われている作業というのは、そんなにおかしな順序で行われているわけではないと思 います。阿曽沼局長があげられた事項をネグッちゃうなんていうことはありえないん で、その先にだんだん進んでいくんだろうと思います。  鎌田委員  わかりました。今日は松本先生から資料をいただきましたので、これを参考にさせて もらいまして、我々としても考えていくこともあると思っていますので、よろしくお願 いいたします。  井村部会長  先ほどちょっと申し上げたんですが、さしあたってこの作業を進めさせていただい て、適正使用を前提とした85種類のものを順序づけて、整理をして、どういうふうに展 開するともっと効率がいいかということを考える場を持って先に進んでいくということ でいかがでしょうか。「このようにしたい」と言うのは簡単なんですが、実際に作業を なさる方々は非常に大変なので、よろしくお願いいたします。  ほかにご意見はございませんでしょうか。  児玉委員  7回が終わって、検討項目を順次進めておられまして、専門委員会でするべき作業の 内容が決まりましたので、第1段階がきたのかなと思います。これから外国調査とか国 内の調査とかいろんなことが行われて、それをもって議論が始まるのかなと思います。 私ども薬剤師の立場から、今後の議論の上で意見を出させていただきたい。次回になる かどうかわかりませんが、各委員にもお配りして、ご説明したいと思います。  井村部会長  今日いろいろとご意見が出ましたが、それに十分留意していただいた上で専門委員会 で作業を進めていただくということで、本日はこれで議論を閉じたいと思います。今後 の日程等について事務局からお願いします。  事務局  次回の部会ですが、予定どおり12月に開催することといたしまして、具体的な日時や 場所等につきましては調整の上、別途、ご連絡させていただきたいと思っております。  井村部会長  それでは、以上をもちまして第7回の部会を閉会させていただきます。どうもありが とうございました。                    (了)                   (照会先)                   厚生労働省医薬食品局総務課                     TEL:03-5253-1111(代表)                    担当:金子(2725)、目黒(2710)、石井(2713)