04/11/18 医療関連サービス基本問題検討会 第18回議事録            第18回 医療関連サービス基本問題検討会                        日時   平成16年11月18日(木)                             15:00〜16:25                        場所   厚生労働省5階                             共用第7会議室 〇事務局  定刻となりましたので、ただいまから、第18回医療関連サービス基本問題検討会を開 催させていただきます。皆様方におかれましては、大変御多忙のところ、本検討会に御 参集いただきまして誠にありがとうございます。  まず開催にあたりまして、岩尾医政局長より御挨拶を申し上げます。 〇 岩尾医政局長  本日はお忙しいなか、当検討会に御出席いただきましてありがとうございます。昨年 の8月に私ども医療提供体制の改革のビジョンを出させていただきました。これを踏ま えて昨今の医療を取り巻く環境の変化に対応すべく、質の高い効率的な医療サービスの 提供に向けた、この医療提供体制の改革を議論しております。社会保障審議会の医療部 会を含めて現在検討を進めております。  そこでこの医療関連サービスにつきましては、医療機関の経営の合理化、効率化や患 者サービスの向上に大きく貢献しているところでございますが、本検討会は平成2年に 設置され、平成12年8月まで17回御審議をいただきました。その後しばらく開催してい ないという状態が続いておりました。今回、お忙しいなか委員の皆様に御参集いただき ましたのは、今年の1月に医療分野における規制緩和に関する検討会という内閣の報告 書が出ておりまして、この医療機関が委託する業務に基準を設ける範囲、及び基準の見 直しを含めて幅広く検討をする必要があるという御提言をいただいたところでございま す。  現在、業務委託の基準は、検体検査をはじめ、8業種につきまして政令で定めており ますが、医療法の施行後10年経過して、この間、国民の意識の変化、規制緩和の流れ、 あるいは医療を取り巻くサービスの環境が大きく変化しているという状況がございま す。  こういう中で、患者に対するサービスの質の確保と効率化を図るために、業務委託の 現行基準の見直しを含め、適切な対応をしている必要があるのではないかと思っており ます。  本日の検討会は、こういう医療と密接に関連するサービスの在り方を検討していただ くものでございます。  御参集の皆様方におかれましては、それぞれ御専門の立場から、忌憚のない御意見を 賜りたいと思っております。また、それを今後の医療行政の充実に反映させていきたい と思っております。  以上でございますが、よろしく御審議のほどをお願いしたいと思っております。 〇 事務局  ありがとうございました。議事に入ります前に、御参集の皆様方を御紹介申し上げた いと思います。皆様方には五十音順でお座りいただいておりますので、その順に御紹介 をさせていただきたいと思います。私から見て左手から御紹介いたします。  社団法人日本病院会副会長の池澤康郎様でございます。 〇 池澤委員  医療関連振興会のほうに長いこと運営委員会などに関係してまいりました池澤でござ います。 〇 事務局  学習院大学経済学部教授の遠藤久夫様でございます。 〇 遠藤委員  遠藤でございます。医療経済学が専門でございます。 〇 事務局  社団法人全国自治体病院協議会副会長の大家他喜雄様でございます。 〇 大家委員  大家でございます。よろしくお願いします。 〇 事務局  日本大学医学部教授の大道久様でございます。  財団法人医療関連サービス振興会評議員の川原丈貫様でございます。  社団法人日本医療法人協会副会長の須藤裕司様でございます。  慶応義塾大学経営管理研究科教授の田中滋様でございます。  社団法人全日本病院協会副会長の手束昭胤様でございます。  社団法人シルバーサービス振興会常務理事長橋茂様でございます。  社団法人日本医師会常任理事の野中博様でございます。  社団法人日本精神科病院協会常務理事の畑俊治様でございます。  青山学院大学経営学部教授の三村優美子様でございます。  なお、本日検討会委員として御参集いただく予定でございました社団法人日本歯科医 師会常務理事の高津茂樹委員におかれましては、所要により御欠席の御連絡をいただい ております。  続きまして事務局を紹介させていただきます。  先ほど御挨拶を申し上げました医政局長の岩尾でございます。  経済課長の二川でございます。  経済課医療関連サービス室長の藤田でございます。  医療関連サービス室長補佐の一戸でございます。  私は経済課課長補佐の村松でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして本検討会の座長についてでございます。これまで高松宮記念ハンセン病資 料館長の大谷藤郎様に本検討会の座長をお願いしておりましたが、今般、退任されまし たので現在座長が空席でございます。このため、座長を選任させていただく必要がある と思っておりまして、事務局としましては、本検討会が平成2年に設置されて以来、委 員としてこれまで御尽力いただいてまいりました慶応義塾大学院田中滋先生にお願いし たいと考えております。皆様いかがでしょうか。 (拍手)  ありがとうございます。では御異論ないということで、田中先生には座長席にお移り いただきまして、一言御挨拶を賜りたいと思います。その上で引き続き会議の進行をお 願いいたします。 〇 田中座長  座長に御指名いただきました田中でございます。この委員会は次にように考えており ます。医療機関の経営を地域住民のために非営利性を保ちつつ、しかし、経営を効率化 しなければならないという状況の中では、医療関連サービスの利用は必須です。ただ し、効率化のために利用した医療関連サービスの質が低くては元も子もありません。し たがって、効率化の目的のもとに質を最大限きちんとしていくということを、私たちの 委員会で向上していく手だてを探っていく、そのための基準づくりであるという意味 で、大きい医療の提供体制の話、局長からもお話しいただいた大きい提供体制の変革の 中でも役に立つことをしなければならないと思っております。  皆様方の御協力をよろしくお願い申し上げます。  では、早速議事に入ってまいります。先ほどの局長の御挨拶の中にも、また村松補佐 の御説明にもありましたように、この委員会は実に4年間何も開かれておりませんでし た。またメンバーも大分入れ替わりましたので、事務局より本検討会の今までの経緯 と、本日の議題の一つである現在の医療関連サービスの状況について、御説明をお願い いたします。 〇 事務局  資料の御説明をさせていただきます。その前にお手元に配付しております資料の御確 認をさせていただきます。  議事次第、座席表、委員名簿がございます。その他に資料1〜8まで8種類のものが ございます。未配付など不備のものがございましたらお申し出いただきたいと思いま す。よろしいでしょうか。  資料1から資料4まで、資料の御説明を申し上げます。  まず資料1「本検討会について」ということで、これまでの経緯、取り組みについて 御説明を申し上げたいと思います。資料1の3ページ目をごらんください。  検討会要綱というものでございます。1に書いてございますように、医療を取り巻く 環境が大きく変化する中で、医療そのものではないが、その周辺業務である患者給食、 検体検査等の医療関連サービスについて、病院から民間の事業者に委託するというケー スが多くなっている。それらの業務委託というものが診療、または患者に著しい影響を 与えるものが多いということから、その基準を遵守するべき基準というものが必要であ り、これまで本検討会において検討をしていただいてきたところでございます。  今後におきましても、そういう基準、またはガイドラインの作成によって業務の質の 確保、または関連サービスの育成等について、専門家の皆様の立場から幅広く検討をい ただくために、今般、改めて久しぶりに医療関連サービス基本問題検討会、というもの を開催させていただくことにしたものでございます。  また3にございますように、必要に応じて業種ごとに具体的な検討を行うために専門 部会を設置する、としてございます。  本日は、後ほど具体的に今後の検討の仕組み、状況、今後の予定というものについて 御説明を申し上げたいと思っております。  資料1の1ページに戻ってください。これまでの検討内容の経緯でございます。  平成2年10月にこの検討会が設置されており、本日が18回目でございます。  平成3年3月及び11月に、まず在宅酸素療法における酸素供給装置の保守点検業務、 さらに民間患者搬送サービスについて中間報告、というものをそれぞれ了承をいただい たところでございます。  平成4年7月の医療法の改正により、検体検査等の診療に著しい影響を与える業務8 業務を委託する場合に、省令に定める基準に適合するものに委託しなければならないと いう規定が設けられ、平成5年4月に施行されたところでございます。  平成4年7月に、院内清掃及び消毒業務の委託の在り方に関する報告。  平成4年11月には、それまでは医療機関の委託を受けて検体検査を行う衛生検査所と いうものの基準は、臨床検査技師・衛生検査技師法の中で設けられておりましたが、こ れを医療機関の臨床検査施設を利用して院内の請負によって業務を代行する形態、とい うものがこの当時出現してきたということから、院内の臨床検査施設において検体検査 業務を行う場合の基準、その在り方についての報告、というものを御了承いただいたと ころでございます。  平成5年から7年にかけまして、患者給食においては、従来は医療機関内の給食施設 を借りる形で調理を行う、という院内代行方式について委託基準が定められておりまし たが、その後の調理技術、衛生管理技術の進歩というものから、医療機関外の給食施設 において調理業務を行う、という在り方を検討する必要が出てきたということで、院外 調理に関する報告書を了承いただいたところでございます。  平成7年10月には、在宅酸素療法に用いる酸素供給装置に関する基準というものがご ざいましたが、平成6年の薬事法の改正によって医療機関の開設者が医療機器の保守点 検を適正に実施するように務めなければならない、という規定が定められたことを受け て、医療施設内における医療機器の保守点検業務の委託基準の対象となる機器、その機 器の範囲について検討していただき、その保守・点検業務の委託に関する報告書という ものを了承いただいております。  平成8年3月の医療法施行規則の改正によって、これまで報告をまとめていただいた 院外調理の関係が3月から、医療機器保守・点検業務の関係が10月から実際に施行され ているところでございます。  平成12年8月、医療関連サービスの契約状況の把握というものを目的として、委託実 態調査報告というものを御了承いただいた、というのが直近の検討会の内容でございま した。  次に資料2です。これまでの各種検討会における指定事項ということで、医政局で行 った各種検討会において業務委託に関して指摘をいただいた内容について、いくつか御 説明を申し上げます。  まず、これからの医療経営の在り方に関する検討会という、これの最終報告が昨年の 3月に出ております。この報告書につきましては、基本的には医療法人制度というもの を中心とする医療経営についての改革の方向、というものを示しているものでございま して、具体的な提言が幾つか述べられております。  2ページに最終報告書の抜粋という形で関連するところの抜き書きをしております。 2の(1)の(2)外部委託の活用、共同化の推進というところです。多くの医療機関が経 営の効率化やサービスの質の向上を図るために外部委託を活用しており、その業務委託 の効果としては、医療経営の観点から経費の削減というような経済的な効果も重要であ るが、職員が本来の業務に集中できること。専門的な業務に委託することにより業務の 質の向上、業務の迅速化というような効果もみられることから、外部委託を活用するこ とが望まれる、という記述がなされているところでございます。  また5つ目の〇のところでございます。自らの業務を外部に委託するだけでなく、他 の医療機関の業務を受注することによって経営安定化、質の高いサービスの提供の両立 を図るという視点も重要、という指摘をいただいているところでございます。  この指摘を踏まえて、現状、業務委託の関係で特段の改正というものが行われており ませんが、全体として特別医療法人制度というきわめて公益性の高い法人について、そ の収益事業の範囲を拡大する、というような制度改正というものを行っております。  次のページが先ほど局長の御挨拶にもございました今年の1月の医療分野における規 制改革に関する検討会報告書でございます。この中で当面取り組むべき規制の改革とい うことで、患者に対するサービスの質の確保と効率化を図るため、業務委託の基準を設 ける範囲や、基準の見直しを含め幅広く検討するということが指摘をされたところでご ざいます。  こうした指摘を踏まえまして、私ども経済課医療関連サービス室事務局において、今 年5月の春先から、8業種の関係団体に現状の問題点等についてヒアリングを実施した ところでございまして、この中で後ほど御説明を申し上げますが、滅菌業界のほうか ら、現在医療施設内の滅菌・消毒業務の請負業務について委託基準がない。これについ て問題はないのか、という御指摘があったところでございます。この点について後ほど のテーマとさせていただきたいと思います。  次に資料3でございます。医療関連サービスの利用状況の概要です。この資料につき ましては、財団法人医療関連サービス振興会さんのほうで、3年に1度実態調査を行っ ていらっしゃるものを資料としてお配りさせていただいております。表の左側に事業の 種類がございます。さまざまございますが、これの具体的内容につきましては、資料3 の5ページ目にその内容を書いております。後ほど御参照いただきたいと考えておりま す。  この中で掲げられている業種は16業種ありますが、この中で医療法に定められる業務 委託基準に関係するものというのは枠で囲まれたもの、数えますと9業種になります。 先ほど、医療法に基づいて委託基準が定められているのは8業種であると申し上げまし たが、医療機器の保守点検業務という業務につきましては、サービス振興会さんのほう では在宅酸素療法における酸素供給装置と医療機器の保守点検、それぞれ2つに分けて おりますので8が9になっているというところでございます。  主だった委託率の関係の状況を申し上げます。寝具類洗濯・賃貸。医療廃棄物処理。 検体検査。これらはいずれも95%以上の委託率ということになっておりまして、ほぼす べての病院が委託をしているという実態でございます。  また院内清掃。医療用ガス供給設備保守点検の委託率がそれに続いて80%台です。  院内医療機器保守点検。在宅酸素供給装置保守点検。患者給食というところで、この 3年間で高い伸びを示しているようでございます。   若干数字的には低いところでございますが、院内情報コンピューターシステムという 業務につきましては、15年の時点で30%台ではございますが、これも今回この3年間で きわめて高い伸びを示したところでございます。  次のページです。委託といっても全面的にその業務を委託する場合と、その業務のう ちの一部を委託する部分委託というものがございます。それぞれの業務ごとに、どちら の形態が多いのかということを示しております。平成15年時点で全面委託の多い業種と しては、寝具類洗濯・賃貸。医療廃棄物処理。医療用ガス供給設備保守点検。在宅酸素 供給装置保守点検。患者給食というところが、すべて業務全体を丸ごと委託するという 形が多くなっております。  その他の業務については、すべてではなく一部を委託する形が多くなっております。 医療事務の77.6%をはじめとして、院内物品管理とか院内情報コンピューターシステム というところが一部委託の委託率が多くなっております。  こうした割合で医療関連サービスというものがどこまで普及成熟してきたのか、とい うことを図ることができるものではございませんが、先ほど幾つか御紹介した全面委託 割合が高く、またその割合が増えている業種といったもの以外にも、3段目にございま すが、検体検査の場合は平成9年、12年、今回は15年というように、着実に全面委託の 割合が高まってきているということで、今後とも検査の委託比率が伸びていくであろう と考えております。  なお、一部委託というものはどういうものを委託しているのか、ということの主なも のを若干御紹介させていただきます。  医療事務に関しては、外来の受け付けとか、会計業務というもの。また物品管理につ いては在庫管理とか配送というもの。検体検査については、基礎的な検査を中心に委託 する場合というものと、別の視点で特殊な検査に限って委託する場合、というものがあ るようでございます。  次のページは病床規模別にみた医療関連サービスの委託状況でございます。この中で 寝具類洗濯・賃貸。医療廃棄物。検体検査。これらについては病床規模にかかわらずす べての規模で委託率が90%を超えるという状況にございます。  患者給食。医療事務。院内情報コンピューターシステム。院内物品管理などは、病床 規模が大きくなるほど委託割合が高くなるというものでございます。例えば患者給食で は49床未満が49%ということですが、500床以上では7割を超えるという状況でござい ます。  次のページに委託のメリットということで表がまとまっております。これは複数回答 の調査でございますので、総数は100にはなっておりません。それぞれの業務について メリットして上げられたもののうち、一番割合の多く上げられた要因というものを見て みますと、業務運営の効率化・迅速化という要因をあげたものが寝具類洗濯・賃貸とか 医療廃棄物処理をはじめとして数えてみますと8つございます。8つの業務で業務運営 の効率化・迅速化というのが一番のメリットである、というふうに上げられておりま す。  次に人員・人材不足の解消というものが院内清掃や患者給食などの5つの業務でトッ プに上げられております。逆に業務の運営の効率化・迅速化といった要因を一番多く上 げられている業務は院内物品管理でございまして、人員・人材不足の解消というものに ついては医療事務、患者給食で多くメリットして上げられております。  次に6ページです。医療関連サービスの進化というか、こういう状況の変化というも のの御紹介でございます。従前は病院における食事の提供というものが患者側にとっ て、時間が早いとか冷たいものが出てくる、基本的にまずいということで、一般的に好 ましいイメージはなかったところでございますが、平成5年の委託基準の規定、その後 平成8年の外部委託基準。さらに温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、夕食の配 膳は原則は6時以降、という適時適温の良質の食事に対する評価。また患者がメニュー を選択できる食事の提供などに関する診療報酬上の加算制度、というものがこれまで導 入されてきたということで、業者の質、提供するサービスというものも改善がみられた のではないか、ということでそれの御紹介の資料でございます。  病院における夕食開始時間の表でございます。平成2年度当時については4〜6時前 までに出されていた病院が約7,300病院ということで、おおむね全病院に占める約80%、 逆に6時以降というのが1,600病院ということで約20%でございました。  これが平成14年度には4〜6時までという病院が1,600病院で約20%、逆に6時以降 が6,500病院で約80%となっておりまして、適切な時間に配膳をしているという病院比 率が大幅に増えてきている状況でございます。  次に7ページです。複数メニューから選択できる病院という状況でございます。これ も平成2年当時の417病院から14年度には約3,000弱ということで7倍に増えてきており ます。ですが全病院数から考えますと、まだ3分の1程度ということでもう少し改善が 望まれるのかなという状況でございます。  続きまして資料4でございます。医療介護関係事業者における個人情報の適切な取扱 いのためのガイドライン(案)というものでございます。これは平成15年5月に個人情 報保護法が成立され、来年の4月からこの関係の全面施行されることになっておりま す。この法律の中で特に適正な取扱いを確保する必要がある個人情報について、保護の ための特別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置、その他の措置を講ずるものと する。という規定がございまて、医療分野は特別な措置が必要な分野であるという位置 づけがなされているところでございます。  このため、本年の6月より医政局の中に検討会を設置しまして、ガイドラインの策定 について検討し議論を行っているところでございます。  現在このガイドラインはパブリックコメントを実施しているところでございまして、 今月の30日まで御意見を募集しているものであります。今回は資料4としてその抜粋を させていただいております。内容でございます。資料4の3ページに概要がございま す。  対象事業者として医療関係の部分では病院、診療所、助産所、薬局、訪問看護ステー ションといった医療を提供する事業者が対象とされております。  3つ目の〇ですが、個人情報保護法、法においては5,000件未満の小規模事業者につ いては、法に基づく義務はかかっておりませんが、この医療関係のガイドラインにおい ては、一般的に患者から見た場合に5,000件以上なのか未満なのかということで、法的 な個人情報の取扱いに関してやり方が変わるというのは、あまりにも不自然であるとい うことで、5,000件未満の小規模事業者に対してもガイドラインを遵守する努力という ものを求めているところでございます。  次に対象となる情報の種類につきましては、生存する個人に関する情報であって、医 療機関等の場合には、診療所、処方せん、手術記録、などが上げられているところでご ざいます。  1ページに戻ってください。ガイドラインの関係の抜粋でございます。本指針の大き な1として趣旨、目的、基本的考え方、というものがありますが、10.というところに 遺伝情報を診療に活用する場合の取扱いとして、遺伝学的検査等により得られた遺伝情 報について、特段の取扱いが必要であるという指摘がございまして、検体検査等におい て特に注意を要するところかなと考えております。  また個人情報保護法の第22条のところで、委託先の監督責任という規定がございまし て、個人情報取扱い事業者は、そのデータを委託する場合に安全管理が図られるよう に、委託を受けた者、受託者に対して必要かつ適切な監督を行わなければならない、と いうことにされております。  このため、このガイドラインでは、検査とか診療報酬の請求にかかる個人情報の取扱 いについては、委託契約において契約書の中で安全管理措置の内容を盛り込むことを受 託者の義務とするほか、業務が適切に行われていることを定期的に確認する、というこ とを規定しているところでございます。  次のページです。業務を再委託する場合には、再委託先が不適切な取扱いを行ったこ とによって問題が生じた場合に、医療関係事業者や再委託した事業者というものが責め を負うこともあるという規定が盛り込まれております。  業務を委託する場合の留意点として、適切な取扱い事業者を選定すること。また、契 約書にその内容を盛り込むこと、さらに再委託をする場合には、適切な取扱いが確認で きるように契約に書くこと、ということを盛り込んでいるところでございます。  医療関連サービスの各業界におかれましても、個人データを利用する業務を受託する 場合にあっては、こういう法に基づく義務というものを遵守できるような社内規定、業 界としてのガイドラインを含めて4月までに整備をしていただくことが必要であろうと 思っておりますし、その関係で私どもからの規定の中で、こういう個人情報の取扱いに 関して、一定の規定というものも今後設けることになろうと思っております。またその 具体的な内容については、今後御報告をさせていただきたいと思っております。  以上、資料1から4まで御説明をさせていただきました。 〇 田中座長  ありがとうございました。ただいまの資料1から4に基づく事務局からの説明に対し て御質問、あるいは御意見がありましたらお願いします。  特にございませんか。では納得していただいたということでよろしいのでしょうか。 医療関連サービスの現状を事務局の説明で御理解いただいたということにいたします。 また後で御質問があり、あの点を聞いておけばよかったと思えばお聞きいただいても結 構でございます。  では議題の2に移らせていただきます。これは今日の特定のテーマであります滅菌消 毒業務の院内委託基準作成という大変にスペスフィックなテーマですが、これについて 事務局から状況を説明していただき、その後に議論をしたいと存じます。説明をお願い いたします。 〇 事務局  資料5〜8まで順次御説明をしていきたいと思います。まず資料5の業務委託に関す る関係法令等についてごらんください。  医療機関が業務委託を行う場合、受託業者はどのような基準で選択をすればよいの か、その物差しとして医療法における業務委託に関する規定について、基準を設けて業 務委託の水準の確保を図っているところでございます。その根拠となるのが中央の四角 のところです。医療法第15条の2に業務委託に関する規定がございます。  病院、診療所等の管理者は、医師もしくは歯科医師の診療、患者等の入院もしくは入 所に著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託しようとするときは、当該 業務を適正に行う能力のあるものとして厚生省令で定める基準に適合するものに委託し なければならない、と規定されております。  規定されているのは、全部で8業種でございます。  次のページです。その診療等に著しい影響を与える業務、これが医療法施行令4条の 7に8業種の内容が規定されております。主な内容について御説明いたします。  1.人体から排出され、又は採取された検体の微生物学的検査、血清学的検査、血液 学的検査、病理学的検査、寄生虫学的検査の業務。  2.医療用具又は医学的処置若しくは手術の用に供する衣類その他繊維製品の滅菌又 は消毒の業務。  3.病院における患者、妊婦、産婦又はじょく婦の食事の提供の業務。  このようになっております。これらの業務を適正に行う能力のあるものの基準につき ましては、医療法施行規則の9条の8〜15にかけて具体的に定められております。  次のページです。表の左の欄でございます。医療法施行規則9条の8から15まで、受 託する業務を適切に行う能力のある者の基準がございます。規定文書がいろいろと書か れておりますが、内容については省略させていただきます。事項だけ説明させていただ きます。  九条の八は検体検査。九条の九は医療用具の滅菌消毒。九条の十は患者等の食事の提 供。九条の十一は患者等の搬送。九条の十二は医療機器の保守点検。九条の十三は医療 用ガスの供給設備の保守点検。九条の十四は患者等の寝具類の洗濯。九条の十五が施設 の清掃、となっております。  3ページに戻ってください。表の真ん中に局長通知がございます。上から4行目に第 三業務委託に関する事項、として1.業務委託全般について、述べられております。こ れはすべての業務委託にかかる基本的なものをここに書いております。  (1)は趣旨です。病院等の管理者は政令で掲げる業務を委託する場合、業務の種類に 応じ省令に規定する基準に適合するものに委託しなければならない。  (2)受託者の選定。病院等の管理者は業務を委託しようとする場合には、受託者の有 する標準作業書、標準案内書等により、省令に規定する基準に適合する者であることを 確認した上で受託者を選定すること。  (3)標準作業書及び業務案内書。受託者は受託業務の適正化及び標準化を図るための 標準作業書、または受託する業務の内容・方法等を明確にするための業務案内書を整備 しておくこと。  (4)労働者派遣契約の関係。政令で掲げる業務の委託は、請負業務に基づく業務委託 であって、労働者派遣契約とは異なるものである。と規定されております。  3ページの右側の課長通知欄でございます。第一.受託者の選定については、政令で 掲げた業務については、財団法人医療関連サービス振興会が医療関連サービスマークの 制度を設け、サービス振興会が定める認定基準を満たしたものに関して医療関連サービ スマークを交付することとしておりまが、厚生労働省令で定める基準に適合していれ ば、サービスマークの交付を受けていないものに委託することは差し支えないと規定さ れております。  5ページをごらんください。それぞれの8業務を外部委託する場合、医療機関の中で 行うときの基準、それと医療機関の外で行うときの基準を一覧表にしたものでございま す。左側に業務の種別、右側は業務委託を行う場所が医療機関の中で行われる場合と、 医療機関の外で行われる場合に区別しております。  医療機関内の病院独自欄の×印は、医療機関みずからが行うということで業務委託の 基準の適用はないということでございます。現在の委託基準が適用になる場所は、医療 機関の中では検体検査、患者給食、医療機器保守点検、医療用具ガス供給設備の保守点 検、院内清掃業務が対象となっております。  医療機関の外では検体検査、滅菌消毒、患者給食、患者搬送、医療機器保守点検、寝 具類洗濯業務が対象となっております。  続きまして8業種の中の一つである滅菌消毒業務の現行基準について御説明いたしま す。資料6をごらんください。資料は1ページから10ページまであります。1ページの 資料は内容は後の資料で作成しておりますが、これを要約したものでございます。  2ページの表の左側の欄をごらんください。施行規則第九条の九に医療用具又は医学 的処置若しくは手術の用に供する衣類その他の繊維製品の滅菌又は消毒の業務を適正に 行う能力のあるものの基準は次のとおりとする。ただし、クリーニング業法の消毒のみ を委託する場合には、都道府県知事にクリーニング上の開設届を行っている者、となっ ております。  以下、3ページの一のところで、受託業務の責任者の関係。二のところには受託業務 の指導・助言を行う者の関係。4ページの三のところには従事者の関係。四から十三ま では構造設備の関係。十四から十五までは業務運営の関係。十六は教育の関係という柱 になっております。  2ページです。局長通知の欄の御説明をいたします。(1)業務の範囲等に関する事項 です。ア.業務の範囲でございます。「医療用具」とは、鉗子、ピンセット、注射筒等 をいい、「医学的処置若しくは手術の用に供する衣類その他の繊維製品」とは、医学的 処置又は手術の際に医師、看護婦当が用いる手術衣、手術の清潔を確保するために用い る布等の繊維製品をいうものである。  アンダーラインのところでございますが、この基準は、病院、診療所等以外の滅菌消 毒施設において、業務を行うことを前提とした基準であること、とされております。  イ.委託できる医療用具又は繊維製品の範囲。(1)で感染症予防法及び感染症の患者 に対する医療に関する法律、つまり第一類感染症のエボラ出血熱とか第二類の感染症の コレラ、細菌性赤痢等、感染症の一類から五類感染症まで規定する感染症の病原体によ って汚染されたものについては、医療機関において消毒が行われていないもの。  (2)で診療用放射線同位元素により汚染されている医療用具又は繊維製品、以外のも のは委託できる範囲となっております。  以下、次のページの真中辺です。(2)人員に関する事項です。  4ページで(3)構造設備に関する事項、がございます。  5ページで(4)標準作業書に関する事項です。  6ページは(5)従事者の研修に関する事項、が規定されております。  10ページは医療機関と受託業者が契約を行うモデル契約書が規定されております。  資料の1ページにお戻りください。御説明しましたように、人員、構造設備、運営、 教育という柱がございます。まず人員に関する事項についてであります。枠で囲んだと ころでございます。  受託責任者は滅菌業務について相当の経験を有する看護師等を配置すること、と規定 されております。これ相当の経験を有する看護師等とは、原則、3年以上の実務経験が ある医師、歯科医師、薬剤師、看護師等が対象となっております。  従事者につきましては、機器の操作、機器の保守点検、滅菌または消毒機器の名称と 使用目的等に関する知識を持ったものを配置すること、とされております。  受託業務の指導・助言を行う者としましては、滅菌消毒業務に関し、相当の知識又は 経験を有する医師等を選任していること、と規定されております。この相当の知識、ま たは経験を有する者とは、滅菌消毒の方法、滅菌消毒の処理に使用する機器の管理方法 等の専門的知識を持った原則3年以上の実務経験者の医師等を選任していること、とさ れております。  次に構造設備の関係のところです。滅菌消毒作業室は受託業務を適正に行うことがで きる十分な広さが必要である。滅菌消毒作業室、繊維製品の洗濯包装作業室が区分され ているということ。また保管室は外部及び他の区域から汚染されていない構造であるこ と。高圧蒸気滅菌器、エチレンオキサイトガス滅菌器及び超音波洗浄器等を有するこ と、またこれらに代替となる機器及び装置を有すること、等が規定されております。  次に運営に関する事項としましては、取り扱う医療用具や繊維製品の品目、滅菌消毒 の処理方法、滅菌の確認方法、運搬方法に関して記載された業務案内書を常備している こと、となっております。  また教育においては、滅菌消毒業務を適正に行うためには、必要な知識と技能を習得 する目的として従事者に対しては、滅菌消毒業務を適正に行うための研修を受けさせる こと。また受託責任者においては、医療法とか医師法等の医療関係法とか労働関係法規 に関して研修を行うこと、と規定されております。  次に資料の7をごらんください。この資料は院内施設における業務委託の基準の事業 をここにまとめたものでございます。院内検査の委託基準が載っているところは、検体 検査、患者給食、医療機器保守点検、医療用ガス供給設備保守点検、院内清掃とありま す。ここのところも基本的には内容はちょっと違いますが、大まかにいって1ページに まとめた内容が共通するところと考えて作っております。  その中で例えば受託責任者のところでちょっと御説明をいたします。説明者について は、各業種によっては国家試験資格のあるものと、それぞれの業務の講習会などの専門 の知識を持ったものを配置するということに区別ができると思います。  例えば2ページ目のところです。検体検査の業務においては、上段の一のところでご ざいます。相当の経験を有する医師が受託業務を行う場所に置かれているか、または相 当の経験を有する臨床検査技師若しくは衛生検査技師が受託業務を行う場所に置かれ、 かつ、受託業務を指導監督するための医師を選任していること、というのがあります。  またその下の中段ですが、(ア)には原則として、3年以上の検査業務について業務 経験がある者とされております。  資料5ページをごらんください。ここのところは患者給食でございます。上段です が、一のところで、受託責任者として別記表に掲げる講習を終了したもの。これは8ペ ージのところで日本メディカル給食協会が行う講習会と書いてあります。またはこれと 同等以上の知識を有すると認められる者となっております。  資料9ページです。医療機器保守点検業務でございます。ここのところも上段の一の ところで、受託責任者として相当の知識を融資、かつ、医療機器の保守点検業務に3年 以上の経験を有する者となっております。  資料12ページです。ここのところも上段の一のところで、医療用ガス供給設備の保守 点検の受託責任者として、高圧ガス保安法の規定による販売主任者又は製造保安責任者 の資格を有し、かつ、医療の用に供するガスの供給設備の保守点検業務に関し3年以上 の経験を有する者となっております。  13ページです。上段の一のところです。院内清掃の受託責任者として施設の清掃に関 し相当の経験及び知識を有するものとして、中段のアのところでございますが、医療機 関の清掃業務を含む清掃業務についての3年以上の実務経験者となっております。  資料8でございます。滅菌消毒の基準につきましては、本検討会の医療関連サービス 基本問題検討会の前身であります医療関連ビジネス基準作成委員会というものがありま して、ここで精力的に御検討をいただき、平成2年3月に報告がまとめられた経緯があ ります。そこで現在の医療機関が鉗子とかピンセット、注射筒など、医療用具又は手術 衣、手術の清潔を確保するために用いる布等の繊維用品の滅菌消毒の業務を外部委託す る場合には、医療機関以外の滅菌消毒施設において適正に業務を行う能力のあるものに 委託すること、となっております。  しかしながら、近年、滅菌消毒の業務を医療機関の中で外部委託を受けて行っている ケースも増えてきており、また滅菌消毒専門以外の業者が行っているケースもあると聞 いております。  こうした状況を踏まえますと、現在のところ滅菌消毒業務に大きな問題は発生してい ないと思われますが、滅菌消毒業務は医療を行う上で不可欠的な業務でもあり、滅菌消 毒が確実に実施されて適切に衛生管理された医療用具などを用いて患者の診療に当たる ということは、患者サービスの向上にもつながって、また滅菌消毒の質の確保を図ると いうことから見ても大切なことではないかと思われます。  また一方では、業務委託基準ができて10年が経過してきているところでございます。 この間の滅菌消毒の技術も進んできていると思われます。このために現在の滅菌消毒業 務の外部委託基準の見直しを行う、また、新たに医療機関の中における滅菌消毒業務の 委託基準があったほうが適切ではないかと考えまして、本検討会にお諮りした次第でご ざいます。  なお、現行基準の見直し、及び医療施設内における滅菌消毒の委託基準が必要である と御判断していただければ、本検討会の下に滅菌消毒専門部会を設置させていただきま して、検討してまいりたいと考えております。その場合には、専門委員の構成につきま しては、学識経験者2名程度、医療関係者4名程度、業界1名程度の計7名程度で行う こととして、メンバーが決定して日程調整ができますれば、当面のスケジュールにつき ましては来月の12月ころから、難しければ年明けの1月ころから来年の4月ころまでに 3回程度の専門部会を開催させていただき、5月ころには本検討会に報告書を提出した いと考えております。以上で説明を終わらせていただきます。 〇 田中座長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明と提案について、それに関連 して何か御質問や御意見がありましたらお願いいたします。 〇 遠藤委員  資料5の5を拝見いたしました。同時に最後の資料8の目的についてお伺いしたとこ ろです。これは早急に医療機関内での滅菌消毒の業務委託基準を作る必要性があると思 います。この資料5の5ページがそれをダイレクトに物語っていると思います。患者給 食や院内清掃がすでに医療機関内の業務委託基準がありながら、さらにリスクがあっ て、なおかつ仕事の内容が医療従事者、あるいは患者に適切に評価されづらい滅菌消毒 について、院内での業務委託基準がないというのは、どう考えても患者の便益からみて も、あるいは規制のバランスからいってもおかしいと思います。  恐らくここに手がつかなかったのは、院内で行われる滅菌作業というものがそれほど 多くなかったということであって、しかし、ここに規制の漏れがありますと、そこがだ んだんと経済的にインセンティブで増えてくる可能性も出てきますから、これは早急に するべきではないかと思います。以上です。 〇 田中座長  ありがとうございました。貴重な御意見をありがとうございます。 〇 三村委員  私も同じようにこれは大変に重要なことであると思います。ただ、一つだけ確認をし たいという感じがいたしました。  業務委託のサービスの中に、先ほどもございましたがリスク水準が相当に違うものが 入っている、それを前提とした上で全体を整備されるということが、今後、例えば患者 配送とか、さらにもっと高度なサービスを例えば業務委託する上でも重要ではないかと いう感じがいたしました。  滅菌消毒のところで、調査も興味深い調査であったわけですが、やっていらっしゃる ところからすると人員・人材不足の解消ということで、非常に現実的なお答えがあるに もかかわらず、基本的には恐らくどちらかというと大病院のほうがお引き受けになっ て、逆にいえば困っていらっしゃると思う中小が、業務が少ないせいか、あるいは現実 的におやりになっていらっしゃるからあまり問題とされていないのかもしれませんが、 逆にそれをやっていらっしゃらないところは、何か委託しづらさというものが現状の中 にもあるのではないかということを少し感じましたので、そこを含めて御検討いただく のがよいのではないかという感じがいたします。  さっきも非常に御丁寧な説明で、責任者というのが非常に重要であるというところで 拝見したところですが、給食は例えば栄養士という言葉であり、例えば検体は医師とい う言葉であり、こちらの場合には看護師というような、リスクを前提としてお出しにな っていらっしゃるのかという感じがあるのですが、逆にそれをもう少し、サービス業務 がイメージされるわかりやすい形に対応していただくと、もう少しサービスというもの の業務内容が明確に見えてくるのではないか。  また、先ほど委託もサブ委託のような、さらに委託の委託があり得る。そうなったと きに、果たしてそれに対してどういう基準があるのかということもありますので、そう いうことも含めて、先ほどのリスクというところと整理されると、全体が非常に良くな るのではないかという感じがいたします。 〇 田中座長  いろいろな点を御指摘いただき、ありがとうございます。 〇 大道委員  医療施設内、これは病院又は診療所等の施設内で滅菌業務を院外から職員がきて、し かも自主的に契約行為があって、そこで業務委託をしているという実態は、必ずしも一 般的ではなく、ほとんどないはずです。今回のこの問題の提起というのは、外部のもの が基準のないままに施設内で滅菌業務をやっていて、それが芳しくないという趣旨でこ の基準を作るということではなく、基準がないから現実的には院内でそのような業務の 委託契約ができないので、基準を作りたいという趣旨で理解をしてよろしいですね。そ の辺り、もし外部から業者が入ってきて、施設内で、ここでいうところの新たに医療機 関内における滅菌消毒業務の基準を作る、ということの趣旨がすでに出来上がってい て、芳しくないから基準を作るという意味ではないですね。 〇 事務局  お答えします。厚生労働省として、実態調査を行ったその結果を私どもが持っている わけではございません。ひとつ、事例をあげてみますと、財団法人医療関連サービス振 興会が3年ごとに調査した中身で、外部委託している21%というのがさっきありまし た。これは714病院の21%で、大体150病院です。150病院のうち院内で委託を行ってい るのは、48%ぐらいである。委託には院内で行うものと、外に出すものと、院内と外の 併用でやっているという3つの形態があるそうですが、この併用型も合わせると150病 院のうち約6割ぐらいが院内で行われているというアンケートの回答であります。  もう一つ、日本滅菌業協会の会員として調査を行ったところ、全国の725病院のうち、 約2割ぐらいが院内で委託契約をやっているという話がございました。 〇 大道委員  実は実情の把握は必ずしも医療関係者に知られていないこと、それの基準の有無にか かわらず、そういうことはしてはいけないという規制は必ずしもありませんから、職員 を、例えば派遣会社等の契約で対応が可能であるとか、派遣をする以上は滅菌消毒の専 門業者がすでに院外での実態があるから、そこから派遣を受けるということは多いにあ り得ることです。  今回この院内での基準を作ることは当然必要であるということになるのですが、この 辺りの実情の把握を専門部会でやることになるのかという気はしますが、通常、本来の 病院の在り方からすると、委託はいけないとはいっておりませんが、一般な病院の滅菌 業務の在り方は、主として看護部門の中で中央滅菌材料室というような位置づけの中 で、それなりに適正にやることということは、これは現実に実害が出たときには大変な ことがおこりますので、それなりに徹底はしているはずです。  先ほど、遠藤先生もこれは大変に由々しき問題であるという趣旨のことをおっしゃる のは、それは病院の管理運営上、きわめて近々の課題になっていてえらく大変なことで あるというふうには、私は必ずしもそういう認識はしておりません。むしろ今回の趣旨 は、そこの基準を明確にすることによって、専門業者は院内で委託という形での業務を 促進するというべきか、そういうことがあってしかるべきであり、それが効率化につな がるということの趣旨で設けるのだというふうに思います。  いきなりこの論点が出てきたものですから、そういうスタンスをとっていただかない と、現場の病院でそれなりに苦労している立場からすると、はなはだ不本意の問題の起 こし方となります。私がいうよりは、むしろ医療関係団体のお立場からおっしゃってい ただいたほうがよいのかもしれませんが、そういう趣旨であるということを明確に認識 していただきたいという趣旨で発言をさせていただきました。以上です。 〇 遠藤委員  大道先生から、実態についての見方と実態につていお教えいただきました。私はその 実態を知っているわけではありませんので、この資料8に書いてある事実をベースに申 し上げたということであります。事実がそうであるなら、大道先生のいわれていること は、いずれにしても、院内での業務委託ルールは使わないといけないという点では一致 した点であると思います。 〇 大家委員  北陸の話です。実は僕の病院もそうですが、石川県立中央病院ですが滅菌の機械とい うのは相当に高額です。4機のうちの2機がおかしくなってから全部を入れ替えるか、 でもあとの2機は大丈夫だという中でいろいろと議論をしておりますのは、この委託の 話です。こういうことをするよりも委託のほうがよいのではないか。手術のガウンなど は全部ディスポのほうが安いのではないか、という議論をやっております。  恐らく、滅菌の高額の機械についても、北陸だけではないと思いますが、全国でどう しょうかということを考えておられる病院は多いと思います。その辺のことも厚生労働 省として把握して、1回調べてみられたらよいのではないかと思いました。 〇 田中座長  大道委員からも大家委員からも実態把握もするようにという要望がありましたので、 この点をよろしくお願いいたします。 〇 事務局  調査内容、項目等をまた御相談させていただきまして、調査を行うようにやっていき たいと思います。 〇 大道委員  専門部会は、これは厚生労働省の方にぜひ御検討いただきたいのですが、これまでの 医療関連サービスで施設内での委託の有様ですが、例えば厨房の議論は、むしろ調理そ のものを院外に出すという方向が、いろいろな意味で、調理技術その他可能になったと いうことで、平成12年にかけて一連の動きがあって、それなりにフォローさせていただ いております。  いま例えば中央滅菌の大がかりな施設整備がありますが、これは外部から持ち込んで どうかというよりは、むしろ建築設備とかなり強固な組み合わせ方で運営されている場 合がほとんどです。これは原則、施設内で滅菌に関わる施設整備を整備するというのが 合理的である、という考えに基づいているからですが、今回の場合に、実は建築設備と かなり滅菌設備というものを、その機器設備も委託先業者の所有に係るようなものにす るのかどうか、あるいは病院の再整備の中での資産の中で運用上、従来の食事サービ ス、あるいは給食サービスのような厨房設備については病院のもの、ただし人材につい ては委託契約に基づいて調理業務をやる、こういう形になるのかぐらいは、事前に恐ら く御検討なので方向性だけはお示しいただきたい。  もし、それも含めて専門部会に投げるということであれば、それはそれでよろしいの ですが、この辺りの議論は、必ずしも医療の現場では十分に練れておりません。その辺 はどうしましょうかということですが、この辺は行政で誘導していただけるならそれは それでかまいませんが、もう少し基本の方向についても御検討いただいたほうがよいと 思います。私自身は特段に経験を持ち合わせているわけではないのですが、この辺りは どう考えていらっしゃるのでしょうか。 〇 事務局  いまの医療機関においては、その構造設備とかいろいろと病床数に応じて構造設備が 違うと思います。基本的には、今の医療機関の構造設備を利用してのほうがよろしいの ではないかと思うわけでございます。新たな投資となれば、これはまたいろいろな問題 が生じるのではないかと思います。 〇 事務局  まさに大道先生がおっしゃられた通りで、病院の給食のほうは、最初は院内でないと いけないということで、それを前提に基準を作った、そうしたらやはり外でも同じにで きる。サービスをちゃんと維持できる、という格好でそういう基準が進んだ、そういう 格好であったのです。  滅菌の場合には、はなから、病院の直営で滅菌するか、業者に出すか、業者に出す場 合にはどこかの設備だよね、という前提で最初は話が進んだということで、給食とは逆 方向になっているということで、わかりにくくなっているという感じがします。  院内に来るというのは、元の給食の業で院内の設備を使って業者に委託をする。その パターンを滅菌でも基準を満たせば認めようという流れではないかと理解しておりま す。 〇 大道委員  現場の実情を統計的に把握しているわけではないのですが、いま、急性期という言葉 が適切であるかどうかわかりませんが、それなりに医療機能を発揮して、手術などを一 定程度きちんとやっていらっしゃる病院では、病院が滅菌の設備を一定規模整えられて かなりの滅菌材料を扱っていることの流れで運営されているのですが、なかなか難しい のは小規模で一部手術処置を行う事例。さらに長期療養の中で、高齢者を中心とした処 置行為がさまざまございます。これに伴う滅菌業務はちょっとニュアンスが違います。  中央で集約してやるよりは、病棟の現場で看護業務の一貫としてやっていくこと、あ る意味では中央ではなくて分散的な意味合いのほうが、少なくとも従来の流れでは合理 的であるという受け止め方がございます。この辺りは、今は委託の話の中だと、中央的 な施設整備を行って、そこに人を派遣してというようなところでいま私は受け止めたの で、それはそれで一つのやり方ですが、従前から外に出すやり方の中で、長期療養と か、規模の経済性が確保できないようなところの問題のほうが結構大きいのです。  外部に委託するにしては、あたりは悪いというか、業者さんもそういう話はちょっと 業者としてもというような話があったりすることを、そういう話を見聞きします。  したがって、今回のこの滅菌消毒業務についての委託ということを御検討いただくに あたっては、いま2〜3の論点が出てきていると思いますが、後段で申し上げた小規模 施設あるいは長期療養、老健特養といってはいけないな、介護施設はまた別のニュアン スになるかもしれませんが、少なくとも療養病床を中心としたというか、あるいはこの 言い方も最近は良くない可能性があるので一般病床でも結構ですが、快復期とか急性期 とかリハビリとかという機能を担っていらっしゃる病院における滅菌業務というのは、 それぞれに特徴がありますので、ぜひ、この辺りも視野にいれて、滅菌業務の委託とい う流れを御検討いただくことがよろしいのではないかと改めて思いますので、よろしく お願いします。 〇 田中座長  大変に貴重な論点を御指摘いただきました。ありがとうございます。大家委員どう ぞ。 〇 大家委員  いま大道先生がおっしゃったものに賛成です。滅菌にはいろいろな滅菌方法がありま す。高圧滅菌、あるいはガス滅菌、プラズマ滅菌、みな結構それなりに高額な機械で す。滅菌してしまうと、例えば3カ月とか6カ月とかは本当にきちんとしておりますか ら大丈夫です。医療器具のほうを増やしてきちんと消毒しておけば安心ではないかとい う意見とか、基本的なものは病院でやらないといけない、いまある機械は使わないとい けないというものはありますが、そういう具合に外に簡単に出せてストックしておける ようなものは、機械を少し余計に買ってやればいいのかというようなことが、今は喧々 諤々やっております。大道先生がおっしゃったようないろいろな方法があると思います ので、御検討をぜひお願いしたいと思います。 〇 遠藤委員  私もいまその辺のところをお伺いしようかと思いました。検体検査の場合には、病院 が雇用している検査技師が院内でやるケースと、完全に外に外注するケース、あとはブ ランチラボというような外部の機関が院内でやるケース、それはそれなりにメリットか あるわけで、それなりにすみ分けができているわけです。院内でやれば早く結果が出る とか、自分のところに雇用をしなければそれなりにコスト上でメリットがあるというこ とがあります。  果たして、今の話ですと滅菌消毒というものを院内で委託するというメリットは、ど ういうシチュエーションで考えられるのでしょうか。例えば先ほどのお話のように非常 に数が少なくて大きな機械を揃えるのはあまり意味がないというのであれば、全部を外 注すればよいわけですね。つまり外注のできない検体検査などは全部を外注すると問題 が出るわけですよね。早めに結果がでないとかが出できます。外注ができない、しかし 自前では持ちたくないというケースですね。この滅菌のね。  つまり規制を作ることによって、逆にそれがあまり効率的でないにもかかわらずそこ に参入するたの一つのアレを作ってしまう、ということになり得る可能性もあります ね。そこはよくわからないのですが、実態として規制を作ることは大賛成ですが、実態 としてそれはどういうシチュエーションが必要になるのでしょうか。院内で外部機関が 請け負うということでは。 〇 事務局  検体検査と類似していると理解しております。滅菌外部委託する、これは効率化があ るが、その分、返ってくるまでに時間がかかる、こういうことでセット数をその部分を 余計に持たないといけないという話は耳にします。したがいまして、規模とかいろいろ な場所で中でもともと設備もあるということもあるかもしれませんが、そういうことで こういうニーズも生じてきている。  先ほどおっしゃったように、現にやってはいけないという意味ではないのですが、や っておられると思います。  また、そう変な業者に現実に頼まれているわけではないと思います。現状はね。それ でおかしな委託が行われているという事件が起きているわけではないのですが、しっか りしておきたい。その結果として、こういう部分も増えていくのではないかと思ってお ります。 〇 手束委員  私にも非常にわかりにくいところがあるので、ちょっとお聞きしたいのです。滅菌消 毒専門業者以外の業者が行っているというこういうことは、どういうことでしょうか。 ここに書かれておりますが、よくわからないのです。そういう専門業者というのがピン とこないのです。 〇 事務局  言葉がおかしいかも知れません。基本的に医療法に掲げられた基準、要は、構造設備 のよい、それから人材、受託責任者、その従事者に対する教育、そういう観点がすべて 医療法の中で基準がございます。そういうものをちゃんとやっているかどうか。基本的 にそういうもの滅菌施設等があって、教育もやっているというのが滅菌業界の事業者と いうものです。それ以外で、例えば、ほかの委託業者、滅菌業者以外の委託業者が実際 に病院との契約で業務を行っているというケースもある、という話を聞いております。 〇 田中座長  よろしいでしょうか。その人たちにも同じ基準が適用されるようになるということだ と思います。ほかにはよろしいでしょうか。いまの会話ですと、基準を厳しくして参入 を規制するものではないというニュアンスで、質はもちろんきちんとするが、厳しくす るためのものではない。むしろ産業としてきちんと伸びるためのものであるという感じ でごさいました。  特にほかにございませんでしたら、事務局から提案がありました滅菌消毒専門部会の 設置について了承したいと思います、いかがでしょうか。  (異議なし)  異議なしということでございましたので、事務局から提案のあった滅菌消毒専門部会 を設置することにいたします。なお、その部会のメンバーの人選については、先ほど資 料8についての事務局の説明があったとおりに、学識経験者、医療関係者、業界代表と いう構成にさせていただきます。具体的には事務局と座長に御一任いただくことになり ますがよろしいでしょうか。ありがとうございます。  では、本日予定された議題はこれまでです。終わりにいたしますが事務局から何かご ざいますか。 〇 事務局  今後のスケジュールでございます。本日設置の御了承をいただきました滅菌消毒専門 部会におきまして、近々に第1回を開催して検討を開始させていただきたいと思ってお ります。スケジュールによりまして、春先に次回の検討会議という段取りになろうかと 思っておりますが、専門部会がまだ立ち上がってもございませんので、その進捗状況を 見ながら、また委員の皆様方に御案内をさせていただきたいと考えております。よろし くお願いいたします。事務局からは以上でございます。 〇 田中座長  ありがとうございます。専門部会の人選が決まりましたら、人の名前などは委員の方 々に文書で通知がいくということで進めていただき、報告が出たらまたお集まりいただ くことにいたします。お忙しいなか、本日はありがとうございました。                                    −終了− 照会先:医政局経済課医療関連サービス室 担当者:城本、上野 連絡先:(代表)03-5253-1111 内線2538