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社保審―医療保険部会 資料2-(2)
第11回(H16.11.30)

いわゆる「混合診療」解禁問題について
(参考資料)



目次

 保険診療と保険外診療の取扱い

 「混合診療」解禁を巡る総理及び厚生労働大臣の発言

 特定療養費制度について

 規制改革・民間開放推進会議の主張

 特定療養費制度の在り方に関する論点の整理
(平成16年11月26日中医協資料)



 保険診療と保険外診療の取扱い

保険診療と保険外診療の取扱いの図

 医薬品にかかる保険診療と保険外診療の取扱い

医薬品にかかる保険診療と保険外診療の取扱いの図



混合診療解禁を巡る総理及び厚生労働大臣の発言


  小泉総理経済財政諮問会議発言(H16.09.10)
 「「混合診療」については、長い間議論をやってきており、必要性を求める声が強いと同時に、抵抗が一番強いところである。しかし、年内に解禁の方向で結論を出していただきたいと思っている。」


  坂口前厚生労働大臣閣議後記者会見(H16.09.14)
 「・・・新しいルール作りをやるということに私も反対ではありません。しかし、・・・全ての分野で認めろというふうに言われますと、これは現在の皆保険制度が崩壊することになりますので、私はそういう趣旨であれば反対だ・・・・混合診療は一つのルールを作って、そして一定の範囲内で認めていくということが私は望ましいのではないかというふうに思っております。」


  尾辻厚生労働大臣閣議後記者会見(H16.09.28)
 「・・・個人的にいえば大きく混合診療を進めるということについては賛成であります。・・・一定のルールはきちんとした上で、詰めるべきは詰めなければいけないというふうに厚生労働省の考え方を今説明で聞きましたので、「それはわかった。ではもう少し進める方向で検討するように」とたった今指示をしてきました。」



高度先進医療

 医療技術の進歩に迅速に対応するため、保険導入されていない新しい高度な医療技術のうち、一定の安全性や有効性等が認められたものについて、基礎的な部分を特定療養費として保険給付する制度

 患者の不当な自己負担が生じないよう、個々の技術について審査・承認し、その内容や費用を明確化するとともに、それらの情報の院内での掲示等を義務化している

〔高度先進医療の仕組み〕の図

・特定承認保険医療機関
 (125施設)
病床規模や医師数・看護体制等高度医療の提供にふさわしいかどうかを審査し、承認
・高度先進医療
 (88技術)
個々の医療技術ごとに、安全性・有効性・高度先進性等について、高度先進医療専門家会議において第三者的な専門家の視点から審査し、承認


選定療養

 患者の選択に委ねることが適当なサービスについて、患者が自ら選択して費用を負担することにより、追加的なサービスの提供を認める制度

 患者の不当な自己負担が生じないよう、個々のサービスについて、患者に対する十分な説明、患者の自主的な選択の保障、質の確保などの一定のルールを定め、その内容や費用を明確化するとともに、それらの情報の院内での掲示等を義務化している

〔選定療養の仕組み〕の図

選定療養の種類(13種類)
特別の療養環境(差額ベッド)  ・ 歯科の金合金等  ・ 金属床総義歯
予約診療  ・ 時間外診療  ・ 大病院の初診
小児う触の指導管理  ・ 医薬品の治験に係る診療  
医療用具の治験に係る診療  ・ 大病院の再診  ・ 180日以上の入院
薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用  ・ 薬価基準に収載された新薬の適応外使用


平成15年度措置事項

(1) 高度先進医療の承認手続きの簡素化

   高度先進医療として承認されている技術のうち、高度先進医療専門家会議において選定された医療技術について、既に特定承認保険医療機関として承認されている医療機関においては、届出をもって実施可能とするよう、承認手続きを簡素化
〔改正前〕   〔改正後〕
医療機関からの申請 地方社会保険事務局 厚生労働省 専門家会議で検討 中医協報告

了承
厚生労働大臣承認
医療機関からの申請 地方社会保険事務局 厚生労働省 中医協報告

 ○ 簡素化の対象となった高度先進医療:20技術(平成16年7月現在)

(2) 高度先進医療の新技術の導入の迅速化

   高度先進医療専門家会議に新たに「分野別専門委員」を設けて48人の専門家を任命、高度先進医療技術の審査において活用することにより、承認審査を迅速化

〔改正前〕
 高度先進医療専門家会議委員(技術担当16名、保険担当3名)で審査
〔改正後〕
 高度先進医療専門家会議委員に加え、分野別専門委員(医学33名、歯学6名、薬学9名)が審査を担当

 ○ 高度先進医療新規技術申請処理件数
平成13年  52件  (承認33件、不承認等19件)
平成14年  31件  (承認10件、不承認等21件)
平成15年  79件  (承認53件、不承認等26件)



規制改革・民間開放推進会議の主張
(平成16年8月3日「中間とりまとめ」)



 いわゆる「混合診療」(保険診療と保険外診療の併用)の解禁

【具体的施策:平成16 年度中に措置】

   適切な情報に基づいて、患者自らが選択する場合には、「患者本位の医療」を実現する観点から、通常の保険内診療分の保険による費用負担を認める、いわゆる「混合診療」を全面解禁すべきである。

 その際、以下の措置から早急に講ずべきである。

 一連の診療行為の中で行う予防的処置・保険適用回数等に制限がある検査、患者の価値観により左右される診療行為、診療行為に付帯するサービス(別添具体例のb〜d)を直ちに全面解禁する。

 まず、質の高いサービスを提供することができる一定水準以上の医療機関において、新しい検査法、薬、治療法(別添具体例のaを含む)等を、十分な情報開示の原則の下で、利用者との契約に基づき、当該医療機関の判断により、「混合診療」として行うことを包括的に認める。

 さらに、社会的ニーズが高い分野(不妊治療等)についても解禁することを検討し、早急に結論を得るべきである。



(別添)
混合診療が容認されるべき具体例


 専門医の間で効果が認知されている新しい検査法、薬、治療法
有効性が認められる抗癌剤など医薬品の保険適応外の症例への使用
保険未収載の確立された治療法の実施
保険未収載(未承認)の医療材料の術中使用 等


 一連の診療行為の中で行う予防的な処置、保険適用回数等に制限がある検査
入院中患者が行う検査・検診(心臓病患者の希望する胃検診等)
老齢者に対する肺炎球菌ワクチン予防接種(疾病治療時に患者が希望した場合)
分娩前の脊椎二分症等予防のための葉酸服用(疾病で入院中の妊婦に対する予防的処置)
ピロリ菌の除菌(3クール目以降の除菌)
腫瘍マーカー(月1回を超える腫瘍マーカー検査)


 患者の価値観により左右される診療行為
乳癌治療により摘出された乳房の再建術(同時手術/一連の手術の乳房再建部分)
舌癌摘除後の形成術(同時手術/一連の手術の再建部分)
PPH法による痔治療[自動縫合機による直腸粘膜切除術]
(早期退院/保険適用するまでの避難的な措置)
子宮筋腫の動脈閉栓療法(早期退院/保険適用するまでの避難的な措置)
盲腸ポート手術(保険適用するまでの避難的な措置)


 診療行為に付帯するサービス
外国人患者のための通訳(病院が用意した場合の通訳)
国の基準を超える医師・看護師等の手厚い配置(基準を超える部分の人員サービス分)



中医協 診−1
16.11.26
特定療養費制度の在り方に関する論点の整理


1 基本的な考え方

 国民皆保険制度の理念やフリーアクセスの原則を堅持すべきであるとの意見があった。

 必要かつ適切な医療は、基本的に保険診療により確保していくべきであるとの意見がある一方で、増大する医療費をすべて公費で賄うことには限界があるとの意見があった。

 実態に基づいた具体的な議論をすべきであるとの意見があった。


2 患者の選択と情報の非対称性

 医療提供者からの十分な情報開示を原則とすれば患者の選択は可能であるとの意見がある一方で、情報の非対称性の観点から患者の選択には一定の限界があるとの意見があった。

 情報開示の徹底など患者の選択を保証する仕組みが必要ではないかとの意見があった。
(参考)  現行の選定療養においては、保険医療機関に対し、
選定療養の内容等に関する事項の掲示、
十分な情報提供の下での患者の自由な選択と同意、
自費負担に係る徴収額と明確に区分した領収書の交付、
実施状況の地方社会保険事務局長への定期的な報告
等を求めている。


3 医療保険と無関係のサービス・医療行為の類型化

 医療の提供と直接関係のないサービスについては、そもそも保険診療と保険 外診療との併用の問題が生じないことを明確化するべきではないかとの意見があった。
(例) テレビ代、通訳、美容整形等


4 高度先進医療の改革

 審査の更なる迅速化や速やかな保険収載が必要ではないかとの意見があった。

 その際、特定承認保険医療機関の承認要件の更なる簡素化や簡素化対象技術の更なる拡大を検討すべきであるとの主張についてどう考えるか。

 高度先進医療の実績報告をきちんと行うべきとの意見があった。


5 選定療養の改革

 選定療養は患者の快適性に係るものを保険外負担として明確化するために設けられたものであるにもかかわらず、その後の追加により多様なものが混在しているのではないかとの意見があった。
(例)(1)  将来的な保険導入を前提としていないもの
 快適性や利便性に係るもの(例:特別の療養環境の提供)
 医療機関の選択に係るもの(例:200床以上の病院の初診)
(2)  将来的な保険導入を前提としているもの
 保険導入前の医薬品等を用いた診療に係るもの(例:医薬品の治験 に係る診療)


6 特定療養費制度の拡充等

 一定程度の先進性が認められる医療技術であるが、未だ普及の度合いが低いため保険導入されておらず、また、必ずしも高度でないため高度先進医療の対象ともなっていないような技術について、特定療養費制度の対象としてはどうかとの意見があった。

 また、このような領域の対象となるかどうかの判断については、中医協の外の組織で科学的に行っていくべきであるとの意見があった。

 乳がん治療により摘出された乳房の再建術について、保険診療と保険外診療の併用を認めるべきであるとの主張についてどう考えるか。

 患者の要望に応じ、『保険適用回数が制限されている医療行為を制限回数以上に行うこと』や、『患者の要望に応じた追加的リハビリや追加的看護配置』について、保険診療と保険外診療の併用を認めるべきであるとの主張についてどう考えるか。

 患者のニーズにより的確に対応していく観点から、治験の仕組みをより円滑に活用していくための手続の簡素化等について検討してはどうかとの意見があった。


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