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社保審―医療保険部会 資料1-(2)
第11回(H16.11.30)

国民健康保険における保険運営の
広域化・医療費の適正化の必要性


 医療保険制度改革を進めるに当たっては、国保制度の基盤・体力を強化し、その上で高齢者医療制度の創設等の改革を順次進め、将来にわたり安定した制度を構築することが不可欠
 国保制度の安定的な運営を図るためには (1)保険運営の広域化 (2)医療費の適正化を進めることが必要

1. 保険運営の広域化































































































 
【市町村国保の現状】
 ○  保険財政が不安定
 (赤字保険者数2,012(平成13年度))
 ○  保険者機能が十分発揮されていない
これら課題を解決するため、保険運営の広域化が不可欠

【広域化されると】
 ○  保険運営がより安定化
 ○  保険者の役割を適切に果たせるようになる
(保険料の賦課徴収、適切な給付、被保険者の健康の増進等)

国保制度の基盤が強化

抜本的な医療保険制度改革を実施するための土台が構築


 高齢化の進展
 平均年齢 52.5歳
 老人加入率(70歳以上) 27.0%

 無所得世帯の増加
4世帯に1世帯は無所得

 被用者保険に比べ低い所得水準
1世帯当たり所得は健保組合の4割、政管健保の6割

 小規模保険者の増加
被保険者数3,000人未満が1/3超(1,160市町村)
 高額医療費の発生に対応できない
 担当職員が1人、かつ他と兼任というところも多い
 事務処理経費が割高で非効率
 保険料賦課徴収、医療費適正化、保健事業等
本来保険者としてしっかり取り組むべき活動が
十分取り組めない。
2. 医療費の適正化
 
【市町村国保の現状】
 医療費の増大
 いかなる制度であろうと運営を困難とする要因
 医療費の地域格差
 医療費の高い地域において適正化の取組が一層求められる。また、地域格差は保険料の地域格差の要因であり、広域化を進める際の阻害要因。


 医療費の増嵩
国保医療費  H2年度 5.3兆円 H14年度 7.7兆円
国民所得  H2年度  348兆円 H14年度  363兆円
これら課題を解決するため、医療費の適正化、地域差の縮小が不可欠

【医療費が適正化されると】
 健全な保険運営に寄与
 市町村にとって、医療費の適正化により一般会計からの赤字繰入れの縮小が期待できる
 医療費の地域差の縮小による保険料の平準化により、広域化が促進される

国保制度の基盤が強化

抜本的な医療保険制度改革を実施するための土台が構築


 医療費・保険料の地域格差
  全国市町村間 県内市町村間 都道府県間
医療費 4.0倍 2倍前後 1.7倍
保険料 5.4倍 2倍前後 1.6倍

  全国市町村間 都道府県間 全国平均
1人当たり
医療費
最高 69.0万円
最低 17.2万円
最高 46.1万円
最低 27.4万円
35.8万円
1人当たり
保険料
最高 11.5万円
最低 2.1万円
最高  8.8万円
最低  5.4万円
7.9万円
3. 保険運営の広域化、医療費の適正化の推進のための都道府県の役割の強化
 
(1)  医療費適正化における都道府県の役割強化
 都道府県が中心となった生活習慣病予防対策を進める体制を整備


糖尿病予防に重点を置いた栄養指導等の
事後指導の徹底など


 医療計画において急性期から回復期、在宅療養へという流れを確立し、医療の効率化を推進




地域の診療所と中核的な病院とのつながりを
よくし、安心して治療が受けられるとともに、
入院期間を短縮など




 医療計画と連携して退院後の受け皿に係る計画を策定し、地域における介護・福祉サービス基盤整備を推進
 総合的な医療費適正化の推進
予防段階 健康増進計画


健康づくり、発達予防
重症化・合併症予防


急性期
〜慢性期
医療計画


効率化(医療機関間の連携
平均在院日数の減)


介護段階 介護保険事業支援計画


介護との連携、在宅医療の
推進等による受け皿整備















いずれも
都道府県が
作成主体

  ↓
都道府県の
役割の強化が
必要
(2)  国保における都道府県の財政調整の実施と都道府県負担の導入
 国保において新たに都道府県が財政調整を実施し、保険運営の広域化や医療費の適正化を促すよう市町村に配分。併せて、財政調整交付金の枠を拡大
 都道府県による財政調整と併せ、適切な税源移譲の下、都道府県負担を導入(7000億円程度)

医療費の適正化や保険運営の広域化の第一歩

保険運営の健全化(赤字保険目的の一般会計繰入の縮減等)、安定化が期待


 生活の質の維持向上を主眼に置いた医療費の伸びの適正化

生活の質の維持向上を主眼に置いた医療費の伸びの適正化の図
参考. 医療保険制度改革に関する基本方針
 
(1)  保険運営の広域化、医療費の適正化、財政調整交付金の配分方法の見直し、都道府県の役割の強化については、既に平成15年3月の基本方針で閣議決定済み
(2)  当審議会でも、昨年夏以降議論を行ってきたところ。
(3)  積年の課題となっていたもので、決して唐突ではない。
 医療保険制度改革に関する基本方針
(平成15年3月28日閣議決定)
保険者の再編・統合




都道府県単位での安定した保険運営
財政調整交付金の配分方法の見直し
都道府県の役割強化
医療費の適正化




高齢者医療制度の創設



国保財政の現状
国保財政の現状の図

※1  給付費等の10%に加え、保険基盤安定制度負担金の一部に相当する額を調整交付金としており、実際の額は給付費等の10%とならない
※2  給付費等の40%を原則とするが、地方単独措置に係る波及増分のカット等により、実際の負担額は給付費等の40%とならない


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