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参考資料4

有期事業へのメリット制適用とメリット増減幅について


建設事業への適用(昭和30年改正)
 有期事業については保険技術上の問題等から、当初メリット制度の適用は除外されていた。
 しかし、その後において建設事業の災害が年々増加する実情に鑑み、建設事業にもメリット制度を適用して災害防止を行うべしとの考えが強く出されるようになった。
 この結果、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和30年法律第131号)により、第30条の2として建設業についてのメリット制度が導入されることとなった。
 改正のねらいは、建設事業にもメリット制を適用することにより、災害防止に資することであるが、有期事業としての特殊性から、その適用要件を確定保険料の額が20万円以上の事業とし、保険料は事業が終了してから精算するという仕組みになっていることから保険料率ではなく、その精算するべき確定保険料の額を増減することとされた。
 なお、確定保険料の額の増減幅は、100分の20の範囲内とされたが、これは、当時の災害発生状況に照らし、増減幅を100分の30の範囲内とすると、事業主の大幅な負担増になるのではないかという懸念から、100分の20の範囲内とされたものである。
 また、メリット制度が適用される事業は、昭和30年9月1日以降に保険関係が成立したものとされたが、特例として、労災保険法附則第9項により同日以降1年以上にわたって事業の期間が存続する事業については、メリット制が適用されるものとされた。

 以上、 (財)労務行政研究所「新・労災保険財政の仕組みと理論」 岡山茂 浜民夫 著 より抜粋


メリット増減幅の拡大
 継続事業と有期事業のメリット増減幅の差は当初、上記の経緯により設けられたところであるが、有期事業における災害減少を踏まえ、継続事業同様、災害防止インセンティブを高めるため、増減率を順次引き上げてきたところである。
(昭和51年:±20%→±25%、昭和55年:±25%→±30%)
 平成13年度には、有期事業(建設業)における災害発生状況が、継続事業のメリット増減幅を±35%に拡大した昭和51年当時の全産業平均の水準よりも改善してきていることを踏まえ、事業主の災害防止努力のさらなる促進効果を勘案し、有期事業に係るメリット増減幅を±35%に改正することとしたところである。


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