1. | 簿価会計基準について 現在、付加退職金額を算定するための給付経理の損益計算は、簿価を基準として行われている(中小企業退職金共済法施行規則第17条第2項)。 しかし、これについて以下の問題点がある。
これらの点を改善するために、付加退職金のための損益計算においても時価会計により算定することについて検討する必要があるのではないか。 |
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2. | 付加退職金と累積欠損金の解消について 現在、損益計算における利益の見込額の2分の1を付加退職金に、2分の1を累積欠損金の解消に充てている(中小企業退職金共済法施行規則第17条第1項)。 中小企業退職金共済制度は、法律に基づき安全・確実に中小企業の従業員に退職金を支給できる簡便な制度である。 しかし、累積欠損金の存在は次のような問題点を生じさせる。
したがって、累積欠損金を早期に解消することが重要であり、これらを踏まえて、〈a〉計画的な累積欠損金の解消の考え方、〈b〉単年度剰余金の配分の考え方について検討が必要なのではないか。 なお、同様の問題は、現在累積欠損金が存在する林業退職金共済においても当てはまるのではないか。 |
第 | 十七条 法第十条第四項の当該年度の前年度の運用収入のうち同条第二項第三号ロに定める額の支払に充てるべき部分の額として算定した額は、当該年度の前年度の独立行政法人勤労者退職金共済機構の業務運営並びに財務及び会計に関する省令(平成十五年厚生労働省令第百五十二号)第十二条第二項の一般の中小企業退職金共済事業等勘定の給付経理の損益計算における利益の見込額の二分の一とする。 |
2 | 前項の損益計算は、独立行政法人勤労者退職金共済機構の業務運営並びに財務及び会計に関する省令第十条の規定にかかわらず、簿価を基準として行うものとする。 |
第 | 十条 (略) | ||||||||||
2 | 退職金の額は、次の各号に掲げる掛金納付月数の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
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3 | (略) | ||||||||||
4 | 第二項第三号ロの支給率は、厚生労働大臣が、各年度ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、当該年度の前年度 の運用収入のうち同号ロに定める額の支払に充てるべき部分の額として算定した額を当該年度に計算月を有することとなる被共済者の仮定退職金額の総額で除して得た率を基準として、当該年度以降の運用収入の見込額その他の事情を勘案して、当該年度の前年度末までに、労働政策審議会の意見を聴いて定めるものとする。 |
第 | 十条 機構の会計については、この省令の定めるところによるものとし、この省令に定めのないものについては、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。 |
2. | 具体的提言
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○ | 平成15年度末決算の実績について(付加退職金関連) |
(単位:億円)
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(参考) | 平成15年10月1日から平成16年3月31日の運用資産の時価変動額 |
(単位:億円)
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年度 | 支給率 |
平成4年度 | 0.01309 |
平成5年度 | 0.00150 |
平成6年度 | 0 |
平成7年度 | 0 |
平成8年度 | 0 |
平成9年度 | 0 |
平成10年度 | 0 |
平成11年度 | 0 |
平成12年度 | 0 |
平成13年度 | 0 |
平成14年度 | 0 |
平成15年度 | 0 |
平成16年度 | 0.00233 |
一般の中小企業退職金共済事業における予定運用利回り、平均運用利回り 及び収支状況の推移 |
年度 | 予定 運用利回り |
平均 運用利回り |
当期 損益金 |
(累積剰余金) (累積欠損金) |
平成3年度 | 6.60% 5.50% | 5.86% | 436億円 | 488億円 |
平成4年度 | 6.60% 5.50% | 5.86% | △238億円 | 250億円 |
平成5年度 | 6.60% 5.50% | 5.46% | △250億円 | △0億円 |
平成6年度 | 6.60% 5.50% | 4.78% | △427億円 | △427億円 |
平成7年度 | 6.60% 5.50% | 4.55% | △516億円 | △943億円 |
平成8年度 | 4.50% | 3.84% | △196億円 | △1139億円 |
平成9年度 | 4.50% | 3.53% | △296億円 | △1435億円 |
平成10年度 | 4.50% | 3.23% | △396億円 | △1831億円 |
平成11年度 | 3.00% | 3.08% | 9億円 | △1822億円 |
平成12年度 | 3.00% | 2.33% | △207億円 | △2029億円 |
平成13年度 | 3.00% | 1.77% | △372億円 | △2401億円 |
平成14年度 | 1.00%(11月〜) | 1.60% | △170億円 | △2571億円 |
平成15年度 前期 |
1.00% | 1.68% | 103億円 | △2468億円 |
平成15年度 後期 |
1.00% | 5.37% | 545億円 | △2684億円 |
(注)・ | 下線については予定運用利回りの改正を行ったもの。 |
・ | 平成15年10月以降は、独立行政法人会計基準を適用。 |
・ | 平成2年法改正においては、施行日前における掛金月額部分について、6.60%の利回りを適用。 平成7年法改正以降は、新法施行日前も含めて新たな予定運用利回りを適用。 |