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障害に係る公費負担医療制度の現状
ー費用推計ー


公費負担医療制度の現状


 制度上の財源構成

I 精神障害者通院公費  II 更生医療、育成医療

 利用者負担
(  )内は外来
  生活保護 市町村民税非課税 一般 一定以上所得者
精神通院公費 医療費の5% 医療費の5% 医療費の5% 医療費の5%
更生医療 0円 0円 4,500〜44,000円
(2,250〜22,000円)
44,000円〜
(22,000円〜)
育成医療 0円 2,200円
(1,100円)
4,500〜44,000円
(2,250〜22,000円)
44,000円〜
(22,000円〜)
医療保険負担上限
<多数該当>
35,400円
<24,600円>
72,300円+医療費1%
<40,200円>
139,800円+医療費1%
<77,700円>
多数該当とは、同一世帯で直近12か月に高額療養費の支給月額が3か月以上ある場合、4か月目から自己負担上限が軽減されるもの。

 公費負担医療の財源構成(入院、通院)

図
( )内は公費負担医療に占める各制度の医療費の割合。


各制度の利用者負担の比較(公費負担医療等)


  精神障害者通院公費
(平成15年度月平均レセプト件数;
約76万件)
更生医療
(平成14年度受給者;
約83万人)
育成医療
(平成15年度受給者;
約5万人)
健康保険制度 老人保健制度
2割又は3割(数字は上限額)
+食費の標準負担額
1割又は2割(数字は上限額)
+食費の標準負担額
区分 金額(円) 分布
(%)※1
金額(円)
(下線は通院の場合)
分布
(%)
金額(円)
(下線は通院の場合)
分布
(%)
金額(円) 金額(円) 分布
(%)
生活保護受給等 医療費の5%
(月額負担は医療保険で対応)
24.9 0 33.9 0 0.5 35,400
(24,600)

500(650)×入院日数※2
15,000+
300×入院日数
15
市町村
民税
非課税
世帯非課税 63.3 2,200
(1,100)
10.0
24,600+
500(650)×入院日数※2
16
本人非課税 40,200

780×入院日数

課税所得124万以上

72,300

医療費1% (※3)

780×入院日数
(40,200)
57





12
所得税非課税 市町村民税のうち均等割のみ課税 11.8 4,500
(2,250)
10.4 4,500
(2,250)
5.9 72,300

医療費1% (※3)

780×入院日数
(40,200)

月収56万以上
139,800

医療費1%(※3)

780×入院日数(77,700)
市町村民税のうち所得割課税 5,800(2,900) 5.2 5,800(2,900) 7.0
課税 6,900
(3,450)

全額
50.5 6,900
(3,450)

全額
76.5
実効負担率
(平成15年度)
5% 0.8%(食費込・H14) 13.5% (食費込・H15) 20.6%
(食費込・H13) ※4
8.7%
(食費込・H14) ※4

※1 平成14年患者調査、平成14年度精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査をもとに精神保健福祉課にて推計。
※2 500円は直近1年間の入院期間が90日間超の場合であり、650円は直近1年間の入院期間が90日以下の場合である。
※3 医療費の1%については、制度別等に医療費から一定額を控除して計算。(老人保険制度 361,500円、健康保険制度 241,000円又は466,000円)
※4  老人保健制度においては平成14年10月より負担上限を引き上げ、健康保険制度においては平成15年度より窓口負担を2割から3割に引き上げた。


公費負担医療に係る総医療費、公費の推計(平成22年度まで)


公費負担医療推計の前提


  対象件数
(直近の件数の伸びを基に推計)
一件当たり医療費の伸び率
(直近の伸びを基に推計)
平成14年 平成22年
精神通院公費負担医療 約840万件 約1380万件
(年平均約6%増)
年平均 △1%
更生医療 約98万件 約195万件
(年平均約9%増)
年平均 +1%
育成医療 約14万件 約15万件
(年平均約1%増)
年平均 +1%


障害に係る公費負担医療制度の利用者負担の見直し
ー費用推計ー


障害に係る公費負担医療の見直しの背景


 精神通院公費、更生医療の対象者は急増し一般的な疾病に。
 対象者増に合わせて関係医療機関も増加。医療の質の確保が課題。
 同じ障害者なのに、制度の違いにより負担軽減の仕組みが異なる。
↓
 医療費負担軽減措置のための公費が急増する一方で、地域サービス等に必要な公費が不足。
 中長期的な障害者制度全体の持続可能性のために、必要な費用を皆で負担し支え合うことがことが必要。
↓
 給付対象者の重点化。
 負担能力、重度かつ継続的負担

 障害者間や入院・在宅の負担の公平化、福祉サービスとの負担均衡
 定率負担、食費負担等

 医療の質の確保と透明化を促進。
 医療機関の指定制
 福祉・医療のバランスのとれた財源配分の確保

 中長期的な障害者制度全体の持続可能性の確保


障害に係る公費負担医療の見直しの考え方


精神障害者通院公費、更生医療等について、医療保険制度を補完する仕組みとして、
 ○ 給付対象者を「負担能力の乏しい者」、「重度で継続して医療費負担の発生する者」等に重点化。
 ○ 障害者福祉サービスや医療保険制度等と均衡のとれた、応益的な負担と一定の負担上限を導入。
 ○ 入院患者の食費については自己負担とし、負担能力のない者については、配慮措置を検討。
 ○ 精神障害者通院公費については、他制度と同様に指定医療機関制度を導入。


I 給付対象者

図

(1) 経済的理由から、十分な治療を受けずに障害 が固定化するおそれのあるグループ(継続)
(2) 一定所得以上の者については、医療保険による対応とすることとし、給付の対象外
(3) 重度で継続的に医療費負担が毎月発生し、家計に対し大きな影響を与えるグループ(継続)
(4) その他の者については、これまでの給付実績を踏まえ、受診開始から一定期間給付の対象(医療費の大きさにより、実際に給付されない場合あり)

II 利用者負担

図


試算の前提


1.基本的考え方
 対象疾病等の範囲は基本的に維持しながら医療負担軽減措置が真に必要な者に重点化し、費用負担額につい ても、新制度の基礎となる医療保険制度や障害者に係る福祉サービスの利用者負担との整合性のとれた仕組みとする。

2.給付対象者の考え方

(1) 負担能力の乏しい者の範囲(福祉サービスの利用者負担に係る範囲と同じ)
 市町村民税非課税(均等割非課税)世帯に属する者(市町村民税非課税II)
 世帯主及び世帯員の全員が市町村民税の均等割非課税である世帯に属する者
 ※ 税制上の障害者控除や障害年金が非課税所得であること等から、通常の市町村民税非課税世帯よりは実収入水準は高くなる。 障害者を含む3人世帯で、障害基礎年金1級を受給している場合、概ね300万円以下の収入に相当。

 ○ 市町村民税非課税IIのうち特に負担能力が乏しい世帯に属する者(市町村民税非課税I)
 市町村民税非課税世帯であって世帯主及び世帯員のいずれも各所得がゼロであり、かつ、世帯主及び世帯員のいずれも収入が80万円(障害基礎年金2級相当)以下である世帯に属する者

 ○ 生活保護世帯に属する者(及びこれに準ずる者)

(2) 給付対象外とする一定所得以上の者の範囲
 所得ベースで医療保険における一定以上所得者(負担上限が約14万+医療費1%のグループ)と同じ範囲 = 所得税額年間30万円以上の者
 ※ 障害者を含む3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合概ね670万円以上の収入に相当

(3)重度かつ継続;各制度の対象であって、次のいずれかに該当する者
 ○ 疾病、症状等から対象となる者
  GAF(機能の全体的評定尺度)30以下(精神)
  腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害(更生・育成)
 ○ 疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
  医療保険の多数該当の者(共通)

(4)その他の者;(1)〜(3)以外の者は、初期の適切な受診を確保する観点から一定の期間(1年間)を給付対象。

2.負担の考え方

(1)
 負担率:受診率の高い老人保健等に準じた負担率(医療費の1割負担)

(2)
 負担上限:所得別に、統計上把握される最も低所得世帯における一人当たりの平均的な医療費支出、現行制度での負担水準等を勘案して、次のような負担上限を設定。
対象者区分 (1) (3) (4) (2)
所得階層区分 生活保護 市町村民税非課税 重度かつ継続 その他 一定以上
所得者
I II
負担上限
(月額)
0円 2,500円
(+食費)
5,000円
(+食費)
5,000円
(所得税課税は10,000円)
(+食費)
医療費の10%
(+食費)
給付対象外

(3) 入院の場合の食費(550、650、780円等の医療保険の標準負担額分)
  在宅との負担の均衡、福祉サービスとの負担の均衡等の観点から自己負担

 市町村民税非課税の者のうち、食費の減免を受ければ生活保護の保護を要しないこととなる者については、個別に認定受けて食費を減免。


公費負担医療に係る総医療費、公費負担の推計(10月施行前提)


平成17年度の医療費と公費負担額


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