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第20回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成16年11月24日(水))


1.委員の出欠
 豊田委員が欠席。

2.概要
(1)「1.表示方法をめぐる現状と課題」及び「2.表示方法の見直し方向(総論)」について

座長: 大部であるため区切って議論を進めたい。まず、「1.表示方法をめぐる現状と課題」及び「2.表示方法の見直し方向(総論)」について事務局に説明をお願いする。

(事務局から「1.表示方法をめぐる現状と課題」及び「2.表示方法の見直し方向(総論)」を説明。)

委員: 資料1では8つの提案がされているが、全体として一括表示をどう考えるかが重要である。よりわかりやすい表示のために事業者が工夫できるようにすることは大切だが、自由に表示もできてしまうわけであり、一括表示の持つ意味が保てるか。事業者も今まで一生懸命法令で定められた表示を行ってきた。わかりやすければ良いということで、秩序が保てるか。
委員: 自分たちのブランドの側面から申し上げると、表示については工夫して行いたいと思っており、提案1,2に賛成である。一括表示については我々は義務化以前から取り組んでおり、一括表示を見れば基本事項が書いてあるということは消費者にも定着してきたと考えている。しかし、法令で定められていない事項については一括表示欄には書けないこととなっているため、例えば、開封後の保存方法や開封後の賞味期限などは消費者から表示の要望はあるが、一括表示欄には書けない。できれば、これらを並べて表示してみたいと考えている。提案2について、企業は商品選択に直接に関わる事項は商品表面に書くというようなことを自主的に決めている。その場合、一括表示欄にも二重に書かれてしまう。消費者にとっては表面に書かれていればよい。現実的に考えて一括表示を工夫可能にすることは望ましく、ゴチャゴチャにはならないと思う。
座長: 今までの表示を著しく崩すというのではなく、一括表示様式を「標準形」と位置づけることだろう。
委員: わかりやすい表示になるということで基本的には賛成であるが、P3提案1の下の「ただし、表示すべき…留意すべきである。」の部分の実際の指導が心配である。最近は消費者も企業評価をするようになり、企業も消費者にわかりやすい表示をするようになってきている。
委員: 基本的には賛成である。食品衛生の観点から申し上げると、アレルギー表示、添加物表示、期限表示などの健康に関わる表示は、わかりやすいよう前面にしていただきたいと思う。
委員: 提案1には基本的には賛成だが、食品衛生法や個別の品質表示基準で、例えば事前加熱の有無など特別なことを書くように定められている規定がある中で、この商品はどのような表示が正しいのかわかりにくくなっている。同じような表示でも、一括表示の中に書くもの、外に書くものが混在すると消費者は混乱するのではないか。全て一括表示欄内に書くようにするなど統一しないと、企業が勝手に表示したものととられかねない。提案2については、(2)の記述がよくわからない。新商品などで一般的な名称が定かでないものでも省略可とすると、食品の定義がぼやけて、似ても似つかないものでも構わないことにならないか。
座長: 全て一括表示欄に入れると混乱するだろう。表示と中身が一致するとみんなが考えるかどうかが省略のポイントだろう。
委員: JAS法で重要な事項をひとまとめに一括表示する形式は重要だと考える。P2「JAS法の一括表示の基本的考え方は維持しつつ、」とあるのは抽象的表現なので、どこまで弾力的な運用がされ、最終的にどのような表示になるかイメージがわかるようにして頂きたい。
委員: 資料2「食品衛生法の文字の大きさについて」関係で、JA S法以外は従前のとおりとした理由はあるのか。
事務局: 酒精飲料についてはJAS法の対象外であり、酒団法で文字の大きさが決められていることから、今回は、食品衛生法とJAS法の両方が係るものについて統一したい。
座長: 食品衛生法の文字の大きさを変えると、酒団法の文字の大きさ等にも影響することから、そういった点は今後の課題として、まずはJAS法と食品衛生法の間の統一を図るということか。
事務局: そのとおりである。
座長: 2つめ(業者間で取り引きされる加工食品)については、食品衛生法は食品全ての段階で表示の義務があるが、JAS法では直接消費者に販売される食品に表示義務がある。という違いか。
事務局: そのとおりである。
座長: 3つめ(スーパーのバックヤードで製造した惣菜)、4つめ(店舗の調理場で製造したサンドイッチ)についてはいかがか。
事務局: 現在これらはJAS法の対象外である。
事務局: 以前、バックヤード製造や店舗調理場製造のサンドイッチ等について問題提起をさせて頂いたことはあるが、この点は現在も検討課題である。
委員: 牛乳についても乳等省令があるが、同じ扱いと考えて良いか。
事務局: 今回の文字の大きさ通知で整理されるのは一括表 示の部分であり、例えば、乳飲料という文字を何ポイント以上にしなければならないかは別の規定になる。JASの中でも似たようなものはあり、そのようなものは今までどおりとなる。
委員: P2の「きたるべき高齢化社会」は「超高齢化社会」などに改めるべき。
事務局: 確かに既に高齢化社会になっている。今までの議論を受けて若干修正させて頂く。提案1については、「別記様式を標準として示すことによって」に修正してはどうか。この考え方は、これまでのJAS法の一括表示を大前提として、それ以上に工夫することを認めていくという趣旨であり、裏表、右左に別々に表示することを認めるということではない。P3の提案1の下にある「ただし」を「この際」に修正し、「十分に留意すべきである」までを点線の部分に入れ提案1としてはどうか。提案2の(2)は、想起させるの後に「誤認をさせる可能性が高い場合」を追加し、名称がきちんと表示しないことによる誤認をさせないというねらいを明確化してはどうか。
座長: 委員からのご指摘の趣旨は事務局も承知していると思いますので、修正して頂き再度皆様にみて頂きたい。それでは、P5の4原材料名の表示の見直しについて、事務局より説明頂き、その後質疑を行いたい。

(2)「4.原材料名の表示の見直し(1)原材料表示の基本的ルール、(2)原材料表示見直しの基本的考え方、(3)商の特性を的確に伝えるための原材料表示の充実」について

(事務局から4.原材料名の表示の見直し(1)〜(3)について説明)

座長: 今ご説明頂いたところでご意見質問等伺いたい。
委員: P7「特色のある原材料の該当する例」は、あくまでも例示なのか。これに限定されるのか。最後の例の「等級等」がわかりにくので、少し説明頂きたい。「ブランド名」については、商品名であることも多いが、雰囲気で判断ということだろう。
事務局: ここにあげているのはあくまで例である。他にも特色のある原材料として表現しているものは全て対象にしていくことを考えている。「等級等」については、言葉は適切でないかも知れないが、例えば、醤油の本醸造やオリーブオイルのエキストラバージンのもの等特色をうたうものである。
委員: 例示では、製品中にオリーブオイルが10%ということはわからない。油は消費者も関心があり、製品に占める割合か、使用している油の中の割合かがわかるようにして頂きたい。
事務局: 油の中の割合を想定していた。オリーブオイルの中でエキストラバージンが9割占めている表現になるのがよい。
座長: いずれにしても、誤認を与えないような例示に工夫願いたい。次にP9以降の(4)弁当の原材料表示の見直しについて事務局より説明して頂き、質疑を行いたい。

(3)「4.(4)弁当の原材料表示に見直し」について

(事務局より4.(4)弁当の原材料表示の見直しについて説明)

座長: 詰め合わせのものはアレルギーの問題があり、表示の仕方が難しい。アレルギーの子を持つ親からはなるべく表示して欲しいという意見もある。弁当を全体としてひとつの食品ととらえるか、個別の食品の集まりととらえるかにより、原材料とは何かということが変わる。一般的な消費者の認識として、どこまで表示があればいいか、これらを踏まえつつ、提案4についてご意見を伺いたい。
委員: アレルギー物質を含む全ての食材を記載して欲しいとの意見があるということだが、弁当は食材が接触しており混ざるので、アレルギー物質を含まないものだけ食することはできないのではないか。微量でも混ざるので、個々の食材についてアレルギー物質を含む旨記載することが良いのかどうか。もちろん、アレルギー物質を含む表示自体は必要だと思うが、個々の原材料については、できれば間違いが起こりやすいので避けたい。
座長: この場にはアレルギー関係の委員はいないが、基本的には患者はアレルギー物質が入っているかも知れないものは避けざるを得なくなるであろう。弁当はひとつの食べ物か、別々の食べ物として食べることができるのかどう考えるか。患者からは一つ一つ表示して欲しいとの要望がある。どこまで企業努力ができるか。提案の1にもあったが、必要な方への詳細な情報については、ITを利用したような情報提供の仕方もあるのではないか。
委員: 提案4について賛成である。例えば、駅弁は見本を見て購入する。見本で表示する方法もあるのではないか。
委員: アレルギーについて考えると、P12(3)の表示例がよい。例えば、メンチカツの場合、牛肉、豚肉、鶏肉とあり、かきあげの場合も卵を含むか含まないか等、患者の方には必要な情報であろう。
委員: P12(2)の上位3位とした意味について伺いたい。
事務局: あくまで例示であり、メインとなる原材料のみを記載し、それ以外を省略するという考え方である。例1の「おかず」とまとめて表示する方法と現在の表示の中間に位置する。
委員: アレルギー物質を含む表示については例3がよい。隣り合ったおかずについては、食べる側の選択であり、あまり考えなくても良いのではないか。弁当を買う機会は多く、アレルギーのある方も選んで食べられるようにすることが基本ではないか。
委員: 提案4はメインとなるおかず3種のみをと限定せず、「メインとなるおかず」で良いのではないか。
事務局: そのように修正する。
委員: 主菜、副菜をバランス良く食するよう、食育的面も含んだ表示を今後は考えるべきではないか。
座長: 食育の視点は大切である。それでは続いて、4.(5)原材料の運用改善について事務局から説明して頂き、その後質疑等行っていきたい。

(4)「4.(5)原材料表示の運用改善」について

(事務局から4.(5)原材料表示の運用改善について説明)

座長: P14から最後までの提案5,6,7,8についてご意見いただきたい。
委員: P13(5)の現状認識のところで情報提供しながら私なりの意 見を申し上げたい。(2)の中間加工原料が書かれているが、現在、中間加工原材料として中国から野菜を大量に輸入されている。例えば、たくあんは干して塩漬けし糖漬けしたものが1,700万本日本に入ってきている。たくあんは日本は4,000億円マーケットといわれている。日本の漬物加工業者はそれを洗って調味液に漬けるだけで出荷できるようになっている。その価格は180円に対し、日本の原料を使用しているものは415円であり、ほぼ約半値である。また、レトルトのおでんに使われている大根は、輪切りにして半ゆでのものをパックして輸入されているそうである。原料の産地については表示がないのでわからないが、ある大手商社で伺ったところ、おでんの大根はだいたいが中国の大根と聞いている。美味しいかどうかと言えば美味しくはない。中国のねぎは最近は量販店から消えてきており、日本のねぎが美味しくなってきている。中国のねぎはおそらく外食や加工業者で使われているのではないか。日本の自給率を考えるとき、「表示」が日本の食文化をリードしていることを改めて知ったので、原材料表示の議論の参考に紹介させて頂いた。
座長: 考えさせられる意見である。今の意見も含めご意見があれば伺い たい。
委員: 提案8で添加された水分について表示したいものはするということで、インパクトがある。いくらでも加水できる食品がある。加水の商品が開発されて本来と違う商品になり、味も違うし、品名も異なってくる商品もある。アメリカでは、加水したものは加水の表示がある。水分について表示することを義務にすべきとまでは言わないが、私としては賛成である。食品を作る側の意見を伺いたい。
座長: 水についていつもどう取り扱うか難しい問題であるが、特にメーカー側の意見はどうか。
委員: 水については非常に難しい。日本以外でも食品に本来含まれている水分については記載していない。特に水としてその商品としての構成要素になっている場合は記載している。現在、水について強調表示しているものについては少なくとも書くべきと思うが、原料で乾燥したもののだけの場合と生のそのものを使用しているもの等は異なる。表示をする以前の問題として日本でも水をどのように考えるかを別途検討する必要と考える。
 また、提案7の中で、「吸収される油・・・を事業者自身の試験結果から」とあるが、中小企業ではこのような試験はできないのではないか。また、例えば、濃いダシも薄いダシもダシはダシであり、その場合の書き方をどうするかは考えなければならない。原材料は多いもの順から表示することになっており、数字があいまいな水を入れると全体が不明になってしまう。なお、提案5にある冷凍パン種の例は、パン屋さんで冷凍パン種も製造するし、最終的にパンも製造するので、違う事例にした方が良いのではないか。
委員: 水については、内部でも検討した時期があったので若干紹介させて頂く。結論としては難しいということであった。実態としては天然の食品を水の量で加減しながら製品を作るので、水の量はバラツキがある。消費者にとって、水を表示するものが必要なものと、必要ではないものとを区別し、水を使用しているのは当たり前と判断するような場合でも表示する必要があるのかという意見がある。
委員: 解釈で伺いたい。P14提案5の中では、重量順で3位以下であっても重量割合が6%以上であれば表示しなければならないと読むのか。P17提案7の中の、「また、上記イの場合」以降について、例えば、原材料表示で乾燥したものを使用する場合は乾燥○○と表示されるが、それを水戻ししたときに重量順で表示すると混乱してしまうので、具体的にどのような例を想定しているのかわからない。P18提案8について、例えば、ぶどう糖の場合にも甘味として品質に影響する場合は表示しなければいけないと考えて良いか。
事務局: 最初のご質問については、アンドという意味であり、5%より多くあれば記載していくという考え方である。2番目の濃縮、或いは乾燥等具体的な商品を想定しているかは様々だが、元の状態に戻した重量順で表示していくという考え方である。最後、委員のご指摘のとおりであり、例えば、ぶどう糖が最終製品の甘味として加わっているのであれば表示をする必要があるとの考え方である。
座長: この資料1の報告書案の今後の扱いはどのようになるか。
事務局: 報告書案は、本日のご意見を踏まえて修正し、再度委員の皆様に送付するのでご意見をいただきたい。それを受け手の修正は最終的に座長一任として頂き、その後、パブリックコメントを求めていくこととしたい。
委員: 思いもかけない問題が出てくる可能性もあるので、各業界内に 伺う時間を頂きたい。
事務局: どうしても問題がある点だけご意見として頂きたい。細かい個 別のご意見はパブリックコメントでいただいた方が全体の共通認識になると考えているので、できれば2つに分けて頂きたい。
委員: 思いがけない問題が出ないようにというために、時間を少々頂き たいということである。
座長: それでは、その他何かご意見はあるか。
委員: 2点ある。使用するという場合の定義は、例えばマーガリンに使用する原料油は、水素添加した場合は脂肪酸パターンも異なるので品質もかなりかわると思うが、どのように解釈するのか疑問である。また、消費者の意見を聞くとは具体的にどのような定義になるのか。事業者の方も、私も消費者ですと意見を述べるが、本当の消費者の意見が届かないこともあるので、消費者の意見を聞く手続きを明確にして頂きたい。
事務局: 情報提供を含めてお答えしたい。中間原材料をどのような形で表示するかは非常に難しい問題だと考えている。様々な中間原材料を使っており、また時代によっても変化してきている。一貫製造していたメーカーが中間原材料を使用した方が安くつくといった場合や生原料が手に入らない時期に濃縮したものや乾燥したものを使用することも十分考えられるので、その場合全て義務表示となると包材を常にいろいろなものを準備しておかなければならない等、弊害はあるかも知れない。
 マーガリンも水素添加のもので品質は異なってくるが、基本的には、原料表示は一般的名称として事業者に任されている。
 水については日本の消費者は寛容なところがあるが、「つゆ」等は水の量によってかなり順番が異なってくるし、吸収する油についても、どのように表示するか中小の企業は困る場合も考えられる。野菜も濃縮ものや乾燥ものを使っている場合があり、表示も検討しないとかえって複雑になっていくのではないかとも考えている。
事務局: 消費者の意見をどのように反映させるかは常々悩んでいるところであり、逆に良いご提案があれば頂きたい。今はパブリックコメント等によりできるだけ広く意見を頂くようにしている。
委員: P3のプライスラベルも一括表示に含めて扱うということは賛成だが、文字の大きさ等の問題も出てくる。リサイクルマークや牛肉の個体識別番号など、表示しなければならないものが増えてきており、プライスラベルだけでは結局足りずに2重、3重の表示になることのあるのではないかとも考えられる。このような点も全体的な視野に入れて検討していくことも必要になるのではないか。
委員: 水については消費者も関心を持っているということは認識して頂きたい。
座長: 一括表示は弾力化をして分かりやすくするということで、複雑にすることにならないようにしていきたい。

(事務局より、次回以降の日程について、第21回を来年1月下旬から2月上旬で調整する旨連絡。)

以上


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