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生活習慣病予防と介護予防の
新たな展開に向けて


(老人保健事業の見直しに関する検討会中間報告)





平成16年10月
老人保健事業の見直しに関する検討会


1 はじめに

 ○ 老人保健法に基づく医療等以外の保健事業(以下「本事業」という。)については、国民の疾病の予防、治療、リハビリテーション等の一連のサービスを総合的かつ体系的に提供するために、昭和57年度以来、4次に及ぶ計画に基づき、20年余りの長期にわたり各種の事業(サービス)を展開してきた。

 ○ この間、人口の急速な少子高齢化や食習慣等の生活様式の変化等を背景として、生活習慣病や要介護状態等になる者の増加が深刻な社会問題となるに至っており、本事業においても、こうした社会・生活環境等の変化に対応した適切な役割を担っていくことが求められてきている。

 ○ また、今年度は、平成12年度を初年度とする保健事業第4次計画(以下「第4次計画」という。)の最終年度という大きな節目の年に当たるとともに、21世紀の前半に迎える超高齢社会を目前に控え、介護保険制度の見直しも進められている。

 ○ こうした状況を踏まえ、これまでの本事業の総括的な評価を行うとともに、平成17年度以降の新たな事業(サービス)の在り方について専門的見地から総合的な検討を行うため、老健局長の私的検討会として本検討会が設置された。

 ○ 本検討会では、平成16年7月以降、6回にわたり、これまでの本事業に関する総合評価、今後の本事業の在り方等について、関係者からの意見聴取も踏まえた討議を行い、その結果を以下のとおり中間報告として取りまとめた。

2 現状と課題

2−1 本事業が果たしてきた役割

 ○ 本事業では、国、都道府県及び市町村が地域保健活動に関する計画を定め、その計画に基づき、全国的な事業実施を推進した。これにより、市町村での地域保健活動の拡大・推進とともに、保健関係職種の役割の定着や技術の向上等が図られることとなった。

 ○ 本事業におけるいわゆる6事業として、「健康教育」及び「健康相談」が一次予防、「健康診査」が二次予防、「機能訓練」及び「訪問指導」が三次予防として役割を担い、さらにそれらの連携を促す媒体として「健康手帳の交付」が行われるようになったことは、予防活動の体系化の推進という観点から意義があった。

 ○ さらに、本事業は、計画に基づき個人や特定の集団・地域など、様々な対象に対して実施され、地域住民に身近な事業(サービス)として定着するとともに、医療保険者等の行う保健事業など、他の制度・事業のモデル的な役割を担ってきた。

 ○ 地域においてリハビリテーション活動を行う機能訓練や、対象者の自宅に出向いて保健指導を行う訪問指導がそれぞれ制度化されたことは、地域保健活動の活性化等に資するとともに、高齢者に対するサービス提供の一つとして先駆的な取組となった。

 ○ 第4次計画においては、「健康度評価(ヘルスアセスメント)」及び「個別健康教育」により、対象者個人のニーズを個別に評価し、事業(サービス)を提供するといった個別アプローチの手法が導入された。これにより、個々人の疾病の特性や生活習慣、さらには社会・生活環境等を具体的に把握しながら、支援する期間を設定し、継続的に生活習慣改善に係る健康教育等を実施し、その評価が行われることとなった。

2−2 本事業の有する課題

2−2−1 若年期における生活習慣病対策

 ○ 高齢化の進展等を背景として、がん、心臓病、脳卒中など、主に壮年期から発症することが多く、ひとたび発症すると長期の加療を要することが多い疾病の急増等に代表される疾病構造の変化を踏まえて、本事業は創設された。これらの疾病が、「成人病」と呼ばれてきたことからも分かるように、長らくこれらの疾病は主として壮年期からの健康問題として捉えられ、発症が増加し始める40歳以上の者を対象として、様々な予防活動の取組が図られることになった。このような経緯から、本事業の対象となるより若い世代からの生活習慣には壮年期の対象と比較すれば注意が払われず、健康的な生活習慣を若い時期から形成するための取組も十分には行われてこなかった。

 ○ しかしながら、近年、若い世代においても肥満や動脈硬化等が増加しているということや、これら「成人病」の多くが、長年の生活習慣の積み重ねにより発症する「生活習慣病」であることが認識されるとともに、より若い世代から望ましい生活習慣を身につけるための施策の強化が求められるようになった。

2−2−2 高齢者に適した事業実施

 ○ 本事業においては、個人のライフステージにかかわらず、一律に事業(サービス)が実施されており、既に生活習慣が確立しており、むしろ生活機能の維持・向上を必要としている高齢者に対しても、40歳代、50歳代に対する生活習慣病予防のための取組と同様のものが行われてきた。一方、高齢者にとってはより切迫した課題である要介護状態になることの予防及び要介護状態の改善・重度化の予防(以下「介護予防」という。)のための取組は必ずしも十分ではなかった。

2−2−3 他の制度間の連携と対象者の的確な把握

 ○ 本事業は40歳以上の者のうち、職域保健等の他の制度の利用者を除いた者を対象としていることから、実施主体である市町村が本事業の対象者や未利用者を把握することが困難となっている。このため、健康診査では効果的な受診勧奨が実施されていない等の課題が生じるなど、各制度・事業がそれぞれ縦割りに実施されている結果として、ニーズが高い者に対して、事業(サービス)が実施されていない場合がある。

 ○ 生涯を通じた健康づくりという観点からは、各制度等を継続的に利用しにくいという問題を有している。

 ○ 介護予防に関する事業(サービス)においても、介護保険と本事業あるいは「介護予防・地域支え合い事業」との連携が不十分なため、要介護認定において非該当と判定された者のうち、要介護状態となるおそれが大きい者に対して、継続的な支援が行われていない場合等がある。

2−2−4 健康診査の受診率の向上

 ○ 本事業における基本健康診査の受診率は42.6%(平成14年度)であり、年々増加してきているものの、依然として対象者の半数に満たず、地域較差も大きい。

 ○ 健康診査の意義が国民に明確に理解されていなかったり、意義は理解されていてもその受診に結びつかない状況がある。この要因としては、広報が不十分であること、事業(サービス)の総合化等の受診しやすい体制の整備が十分に図られていないこと、国民が自ら進んで健康管理を行うようなインセンティブが働く体制が整備されていないこと等が挙げられる。

 ○ 市町村にとっても、本事業を実施することによって期待される成果が明確ではないため、事業(サービス)の積極的な実施に向けてのインセンティブが働いていない。

 ○ なお、健康診査の受診率の算定方法が確立していないなど、事業(サービス)の評価手法が統一化されていないために、市町村における経年的な検証及び市町村間における比較等が困難となっており、評価指標としては不十分である。

2−2−5 一人ひとりの状態に応じた個人対応の徹底

 ○ 健康診査において異常が指摘され、生活習慣病予防のための支援が必要な場合には、健康教育、健康相談、訪問指導等を実施することが求められ、また、精密検査や治療等が必要であるとされた場合には、医療機関を受診した結果を確実に把握し、その結果に基づく的確な保健指導を実施することが求められている。しかしながら、現状では、このような対象者一人ひとりに対するフォローアップのための仕組みが十分に確立されていない。

 ○ 介護予防を目的とする事業(サービス)についても、サービスを利用することが望ましいにもかかわらず利用していない者、あるいは利用を中断している者に対する継続的な支援が必ずしも十分に行われていない。

2−2−6 アウトカム評価の徹底

 ○ 本事業においては、事業(サービス)の実施回数、事業(サービス)への参加人数等の資源投入量・事業量を中心に評価されているが、事業内容とその提供の程度により、どのような効果が得られているのか等のアウトカム評価が必ずしも十分に行われているとは言えない。

 ○ このことは、本事業を実施したことの効果・有効性等を評価した上で、次の事業の企画立案や実施に反映させていくことを困難にし、また、事業(サービス)の実施に当たってのインセンティブが働かない原因となっている。

2−2−7 適切な事業実施に係る手法の確立

 ○ 生活習慣病予防のための手法としては、一般に、高血圧や高脂血症等の危険因子を持ち、疾病発症等の確率が高い住民を対象とする「ハイリスク・アプローチ」と、地域住民に幅広く対応する「ポピュレーション・アプローチ」があるが、それぞれの長所と短所を踏まえ、これらを適切に組み合わせた効果的な事業実施が必ずしも図られていない。

 ○ 「ハイリスク・アプローチ」の手法の一つとして、第4次計画から導入された個別健康教育については、各市町村において様々な工夫をしながら事業(サービス)の展開が図られている。しかしながら、対象者個人に合った事業(サービス)提供に結びつかない、実施担当者が不足している、対象者の選定が困難である、実施方法が複雑である、医療保険制度の下で実施されている運動・栄養等の指導との役割分担が不明確である等の指摘がある。

 ○ 介護予防においても、転倒の危険性があったり、閉じこもり状態にあるような要介護状態となるおそれの高い者に対する個別の取組と地域における幅広い取組を行う必要があるが、具体的な対応手法が必ずしも確立されているとは言えない。

3 本事業を取りまく状況

3−1 健康増進法の制定

 ○ 平成15年5月に健康増進法が施行され、国民の責務として、生涯にわたり、自らの健康状態を自覚し、健康の増進に努める旨の規定が定められるとともに、市町村、医療保険者等の健康増進事業実施者においては、国民の健康の増進のための事業を積極的に推進するよう努める旨の規定が定められた。同法に基づき定められた「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」及び「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」においては、いわゆるヘルスプロモーションの理念に基づき、個人のライフステージ、性差等に応じた健康増進の取組の推進、本事業や医療保険者等による各種保健事業の連携の推進等が求められている。

 ○ これらを踏まえ、健康増進法施行後の本事業の位置付けについて再確認するとともに、上記の基本的な方針等との整合性に配慮した取組が求められている。

3−2 がん検診に関する検討会

 ○ 市町村において実施されているがん検診については、本検討会に先立ち、平成15年12月に老健局長の私的検討会である「がん検診に関する検討会」が設置され、個々のがん検診についての検討が進められている。

 ○ 同検討会においては、まずは、死亡率減少効果の観点から実施方法、対象年齢等に特に問題が指摘されている「乳がん検診」及び「子宮がん検診」について、専門的見地から検討が行われ、本年3月に中間報告が取りまとめられた。

 ○ 中間報告においては、乳がん検診における視触診併用によるマンモグラフィの原則実施や乳がん検診及び子宮頚部がん検診における対象年齢の拡大等についての提言がなされたところであり、これらを踏まえ、本年4月にがん検診の進め方に関して国の基本的な考え方を示す「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」が改正された。

 ○ この見直しの過程において、我が国の乳がん検診の受診率が極めて低いこと、検診対象全人口に対する受診率が把握されていないなど、がん検診の在り方の根幹にかかわる指摘もなされている。

 ○ 乳がん検診については、米国においては、受診率は70%にも達していると指摘されており、我が国の受診率を飛躍的に向上させるためには、受診へのインセンティブ、受診しないことへのディスインセンティブ等について、予防方策の枠内にとどまらない総合的な検討が求められる。

3−3 健康フロンティア戦略の策定

 ○ 本年5月、与党幹事長・政調会長会議から、「生活習慣病対策の推進」と「介護予防の推進」の2つのアプローチにより「健康寿命」を伸ばすことを基本目標に据えた「健康フロンティア戦略」が策定され、平成17年度予算編成における重点政策とするよう政府に対して要請がなされた。これを受け、同年6月には、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(いわゆる「骨太の方針2004」)」が閣議決定され、健康フロンティア戦略に盛り込まれた施策の達成を図るため、関係各省が連携して重点的に政策を展開することとされたところである。

 ○ この戦略においては、平成17年から平成26年までの10年間を実施期間として、国民各層を対象に、(1)「働き盛りの健康安心プラン」、(2)「女性のがん緊急対策」、(3)「介護予防10ヶ年戦略」、(4)「健康寿命を伸ばす科学技術の振興」の4つの政策の柱に基づく対策を重点的に実施することとされており、本事業においても、「健康フロンティア戦略」の関連施策として、重点的な取組が求められている。

3−4 介護保険制度の見直し

 ○ 社会保障審議会介護保険部会は、本年7月、介護保険法施行後5年目の制度見直しに向けた「介護保険制度の見直しに関する意見」を取りまとめた。

 ○ この報告書では、介護保険制度を予防重視型システムへと構造的に転換すべきであるとし、本事業や「介護予防・地域支え合い事業」についても、サービス内容を介護予防に効果的なものに切り換えるとともに、介護保険制度と有機的な連携を保ちながら事業展開が可能となるようなものへと一元化すべきであるとの指摘がなされている。

3−5 いわゆる「三位一体の改革」の動向

 ○ 平成15年6月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003(いわゆる「骨太の方針2003」)」において、「官から民へ」、「国から地方へ」の考え方の下、地方の権限と責任を大幅に拡大し、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主・自立の地域社会からなる地方分権型の新しい行政システムの構築のため、事務事業及び国庫補助負担事業の在り方の抜本的な見直し(いわゆる「三位一体の改革」)を行うこととされたところであり、国庫補助負担金については、本年度から平成18年度までの期間において、概ね4兆円程度を目途に廃止、縮減等の改革を行うこととされたところである。

 ○ 本年8月には、平成17年度及び平成18年度における国庫補助負担金廃止の具体案として、地方六団体により「国庫補助負担金等に関する改革案」が取りまとめられ、この中で、本事業に係る国庫負担金を含め、3兆円規模の国庫補助負担金廃止の具体案が提示されたところであり、政府においては、地方との協議も行いつつ、本年11月下旬を目途に改革の全体像の取りまとめを行うこととされている。

3−6 医療保険制度改革の動向

 ○ 平成14年の健康保険法等の一部改正法に盛り込まれた「保険者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系の在り方」、「新しい高齢者医療制度の創設」、「診療報酬の体系の見直し」については、昨年3月に閣議決定された「基本方針」に基づき、社会保障審議会医療保険部会等において検討が行われている。医療保険制度体系に関する改革については、平成20年度に向けて実現を目指し、診療報酬体系に関する改革について、逐次、実施を図ることとされている。

 ○ 新しい高齢者医療制度の検討に関しては、高齢者のQOL(生活の質)及び生活機能の向上を目指し、質の高い医療サービス、介護サービスを地域において継続的・効率的・効果的に提供する体制を整備すべきとの議論が行われている。

 ○ また、医療保険制度体系の在り方に関しては、疾病全体に占める生活習慣病の割合の増加を踏まえ、医療保険制度における効果的・効率的な生活習慣病予防対策の在り方の検討が行われている。特に、若年期からの予防を重視して、保険者による保健事業の推進や都道府県単位で保険者が保健事業を共同実施する等の効率的な実施が求められている。

4 見直しの基本的方向性

4−1 見直しに際しての目標の設定と本事業の展開の基本的考え方

4−1−1 本事業の新たな目標

 (「健康な65歳」から「活動的な85歳」へ)
 ○ これまでの本事業においては、生活習慣病を予防することによって、いわば「健康な65歳」を作ることを目標としてきたとも考えられるが、超高齢社会においてはできる限りの健康寿命の延伸を目指すことが必要である。

 ○ 高齢者の自立支援という観点からは、社会参加を含めて生活機能が自立し、生きがいにあふれた「活動的な85歳」を新たな目標として設定することを提案したい。

 ○ 「健康な」という言葉には、「病気がない」というイメージがあるが、高齢者(特に後期高齢者)においては「病気がない」ということはまれであり、心身機能も低下しているのが通常である。

 ○ 「活動的な85歳」とは、病気を持ちながらも、なお活動的で生きがいに満ちた自己実現ができるような新しい高齢者像である。このような意味から、身体的・精神的・社会的にも高齢者それぞれが持っている能力を生かし、また、高めることを通じて活動的に暮らすことこそ、本事業の目指すべき目標である。

 ○ このためには、生活機能の低下の予防、維持・向上に着目し、介護予防における一次予防として生活機能の維持・向上、二次予防として生活機能低下の早期発見・早期対応、及び三次予防として要介護状態の改善・重度化の予防をより一層強化していくことが重要である(図1)。

図1 生活習慣病予防及び介護予防の「予防」の段階

4−1−2 本事業の展開に向けた基本的考え方

 (ライフステージに応じた多様な事業(サービス)の展開)
 ○ 利用者である国民を主体として、個人のライフステージごとに適切な事業(サービス)が提供される必要があり、成人期以降を例に挙げると、以下のようにライフステージごとに目指す方向性を明確にすることが重要である。
 ・39歳まで:人生の「折り返し」時までに、健康な生活習慣の確立を目指す。

 ・40歳〜64歳:健康な65歳を目指して、健康な生活習慣の維持を図る。

 ・65歳以上:引き続き、前期高齢期での健康な生活習慣の維持を図るとともに、活動的な85歳を目指して、生活機能の維持・向上に対する取組を強化する。

 ○ 生活習慣病予防における一次予防が疾病発生を防ぐことにあるのに対して、介護予防における一次予防は加齢、疾病や傷害等に引き続いて発生する要介護状態を防ぐことにあることから、特に高齢者においては、両者の連携と役割分担の下に連続的な対策が必要である。

 ○ 本事業の介護予防対策においては、「介護予防・地域支え合い事業」と同様に、介護予防における一次予防及び二次予防を中心として取り組むことが適当であるが、主に介護保険の給付が担っている三次予防との有機的連携を図るためには、軽度の要介護者等に対する給付として介護保険制度の見直しにおいて検討されているいわゆる新予防給付とも連続性を確保するなど、一体的な事業展開を図ることが重要である。

 ○ 上記の見直しの基本的な考え方を具現化するに当たり、現行の老人保健法に基づく制度を改める必要があるものと現行制度内における見直しを図るべきものに分けて対応すべきである。

 ○ 特に以下の点については、他の制度・事業との連携・役割分担も踏まえ、それらの改正・統合も視野に入れた検討が必要である。
(1) 40歳未満の者の生活習慣病予防対策については、40歳以上を対象とする現行老人保健法では対応が困難である。今後はこれらの者に対して事業(サービス)を受ける機会を確保する新たな枠組みの整備が必要である。
(2) 生活習慣病予防を目的として、前期高齢期に達するまでの者が利用する事業(サービス)については、市町村と医療保険者それぞれの責務の在り方や連携方策を含め、老人保健法の枠を越えた制度横断的な取組が必要である。
(3) 介護予防を目的として、前期高齢期以降の者が利用する事業(サービス)については、「介護予防・地域支え合い事業」や介護保険における新予防給付との有機的な連携が図られるよう、その制度的な位置付けについて、各事業(サービス)の実施主体・実施手法・財源等も考慮に入れた見直しを行う必要がある。

 (根拠に基づく事業(サービス)の立案と評価)
 ○ 最新の知見に基づき本事業を実施するとともに、健康アウトカム指標上の改善効果(生活習慣の改善割合、健康診査受診率の向上、死亡率の減少、要介護者数の減少、健康寿命の延伸等)を明らかにする必要がある。また、これらに基づき本事業の有効性等を定期的に評価し、その評価に基づき事業(サービス)の改善・中止、新規事業(サービス)の導入等が実施できるようにすべきである。

 (ケアマネジメントの手法の導入を始めとする個別対応の重視)
 ○ 高齢者の生活機能や心身の状態、価値観等は様々であり、利用者一人ひとりの状況に応じたきめ細かな事業(サービス)の利用を進めることが重要である。このため、介護予防における二次予防の対象者が事業(サービス)を利用する場合には、利用者の状態等の評価、事業(サービス)利用計画の作成、それに基づく事業(サービス)の利用、利用者の状態等の再評価といったケアマネジメントの手法の導入等、個別対応を推進する必要がある。なお、「ポピュレーション・アプローチ」についても、「ハイリスク・アプローチ」と同様に効果を勘案し、具体的な実施方法について検討を行うべきである。

 (様々な事業者の参入と質の確保)
 ○ 利用者の状態等に応じた多様な事業(サービス)の開発と普及を進めるため、民間事業者を含めた様々な事業者の参入が図られる必要がある。その際には、一定水準以上の事業(サービス)の質であることを検証するために、事業者の実施体制や提供される事業(サービス)の内容について精査する必要がある。

4−2 国民の責務

 ○ いかなる時代であっても、生涯健やかで心豊かに生活できることは、国民一人ひとりの願いである。

 ○ 疾病構造が変化し、生活習慣病の予防が大きな課題となる今日、まずは、国民自らが若年期から高齢期に至るまで、生涯にわたり健康状態に留意し、健康を維持することが必要である。また、特に若年期にあっては、家庭において適切な生活習慣の定着や豊かな人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図ることが重要になっている。

 ○ 高齢者の自立支援と介護予防がますます重要な課題となっている現在、個人の生活機能を最もよく知り得るのは本人自身であることから、その維持・向上に努めることが重要である。

 ○ さらに、我が国の医療や介護が自立した個人の相互の支え合いによって成り立っていることを考えれば、健康の保持・増進に努めることは社会の構成員の責務とも言える。

4−3 行政の責務

 ○ このような自らの健康を望む国民に対し、不可欠な予防サービスをどの地域においても利用できるようにしていくことは、国、都道府県及び市町村の責務である。

 ○ ヘルスプロモーションの考え方に基づき、4−2に述べた個人や家庭における努力を身近な地域や職域、社会全体においても一貫して支えていくことが重要であり、国はもとより、都道府県、市町村、医療保険者など、保健事業に携わる者すべてが十分にこのことを理解し、各種の事業(サービス)を展開する必要がある。

 ○ 健康の保持・増進に関して、国民が有する責務と権利を踏まえ、行政はすべての国民に対して事業(サービス)を利用する機会を提供したり、国民一人ひとりが自ら生活習慣病予防や介護予防に取り組むインセンティブが提供される仕組みを盛り込むなど、所要の環境整備に努めるべきである。

 ○ また、いわゆる「三位一体の改革」において本事業に関する税源移譲が提案されているが、すべての国民がこれらの各種の事業(サービス)を利用できる権利・機会を等しく享受し、市町村によって格差が生ずることがないように、また、生活習慣病対策に加えて、介護予防の観点から新たな事業(サービス)が全国で円滑に導入され適切に提供できるよう、引き続き国の責任の下で実施する必要がある。

4−3−1 国の責務

 ○ これからの本事業における国の主な責務としては、以下の事項が挙げられる。
(1) 国民の健康状態、生活機能等を的確に把握するとともに、本事業や医療保険者等による保健事業、また職域保健等の様々な制度・事業を視野に入れて、国民の健康づくりに向けた総合的な戦略の企画立案を行う。
(2) 最新の科学的知見を精査し、各種事業(サービス)の実施方法・精度管理・事業評価手法等に関する指針・手引き等を策定する。また、本事業の実施者において、質の高い事業(サービス)が積極的に実施されるよう、事業(サービス)の基本的な在り方、内容、進行管理等について法令等を整備する。
(3) 健康の保持・増進に関する国民の意識や知識を高めるため、様々な媒体を通じた全国的な普及啓発活動を進める。
(4) 人材の育成や資質の向上等サービス提供に必要な基盤整備に努める。

4−3−2 都道府県の役割

 ○ これからの本事業における都道府県の主な役割としては、以下の事項が挙げられる。
(1) 都道府県は、管内の市町村、医療保険者等の適切な事業の実施を確保する観点から、各実施主体による事業内容及び事業量を明記した都道府県計画を策定する。
(2) 国の示す指針等を踏まえ、また、地域特性を生かしながら、市町村における事業(サービス)が円滑かつ適切に行われるよう調整・支援する。その際、特に小規模町村での実施状況に留意する。
(3) 広域的な立場から、事業(サービス)の評価、先駆的な取組の調査、サービス提供機関・関係団体間の調整、管内市町村の取組に係る情報収集・提供及び従事者の人材育成等の支援を行う。
(4) 事業(サービス)の精度管理等その質の確保・向上に関する取組を行う。

 なお、上記事項の実施に当たっては、地域における広域的、専門的かつ技術的拠点であり、その実情を把握する保健所が調査及び研究的活動を含めて主体的かつ積極的な役割を果たすべきである。

4−3−3 市町村の役割

 ○ これからの本事業における市町村の主な役割としては、以下の事項が挙げられる。
(1) 地域住民に最も身近な地方自治体である市町村は、国の示す指針や都道府県計画等を踏まえ、事業(サービス)の目的を効果的・効率的に果たすため、地域のニーズ等を踏まえた事業実施に関する計画(以下「市町村計画」という。)を策定する。
(2) 市町村計画に基づき、個々の利用者のニーズに応じて質の高い適切な事業(サービス)の利用が図られるようにケアマネジメントの実施等、個別対応に留意して生活習慣病予防及び介護予防を目的とする各種事業(サービス)を提供する。
(3) 介護予防を視野に入れつつ、本事業が円滑に実施できるよう、計画立案・実施・評価に至るまで一連の事業全体の進行管理の実務を担う。
(4) 地域住民が、主体的に健康づくりに取り組めるよう地域住民に対して必要な情報を提供するとともに、NPOやボランティア組織の育成を支援する。
(5) 地域住民主体の事業・活動としての定着を目指すとともに、保健・医療・福祉に関する事業(サービス)としての枠組みにとどまらず、地域づくりやまちづくりを通じて、健康や生きがいが高められることを目指す。

5 生活習慣病予防と介護予防

 ○ 今後、市町村が本事業を実施する際には、新たに以下の視点が重要である。

5−1 生活習慣病予防

 ○ 一人ひとりが積極的かつ主体的に生活習慣の改善に取り組めるような事業(サービス)となるよう、対象者のライフステージや性差等に応じた特徴的な健康課題を明確化するとともに、事業(サービス)の実施に当たっては、個々人の疾病管理や危険因子(喫煙、肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病等)の組合せについても考慮すべきである。

 ○ 生活習慣病予防対策については、40歳未満からの取組が重要であり、疾病や危険因子と関連する生活習慣をより望ましい方向に定着させるための体系的な取組が行われるべきである。また、働き盛りの層に対しては、地域と職域を通じ、生活習慣病予防のための総合的な取組を行うとともに、うつ等の心の健康問題についても適切に対応していくことが必要である。

5−2 介護予防

 ○ 介護予防対策については、どのように暮らしていきたいかという本人の希望など、本人の自己実現を支援することが重要である。そのためには、個々の生活行為(活動)の改善を通じて、生活機能全般の改善を図る事業(サービス)を提供できるようにする必要がある。

 ○ また、いわゆる脳卒中モデル、廃用症候群モデル、痴呆モデル等、高齢者の態様に応じた取組を行うための具体的な事業(サービス)の設定と科学的根拠を踏まえた定期的な評価の実施方法について検討すべきである。

 ○ 介護予防における二次予防という視点からは、生活機能が低下したときには、早期に発見し、集中的な対応(水際作戦)ができることが重要であり、そのためには、保健・医療・福祉の関係者・団体や地域住民等による連携体制を構築するべきである(図2)。

図2 生活機能低下の早期発見・早期対応のための水際作戦(イメージ)

 ○ このため、住民に身近な市町村に生活機能に関する相談窓口を設置し、生活機能の低下の早期把握に努めるとともに、生活機能低下のパターン等から対象者を分類し、対象者の状態やニーズに応じた事業(サービス)を提供する体制を整備すべきである。

 ○ 生活機能については、(1)体の働きや精神の働きである「心身機能」、(2)ADL(日常生活動作)・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、(3)家庭や社会参加で役割を果たすことである「参加」という要素を基本にし、生活機能低下をもたらす廃用症候群はいわば「生活不活発病」であるとの認識を専門職や地域住民が共有することが重要である。なお、廃用症候群の状態にある利用者に対しては、身体機能のみならず痴呆やうつ状態の存在の可能性についても考慮した上で対応すべきである。

 ○ 生活機能低下の原因を明確にし、その原因に対応した様々な事業(サービス)を組み合わせて、利用者に最適なプログラムを提供できるようにする必要がある。

5−3 介護予防対策の観点から強化すべき分野

 ○ 今後の本事業の展開に当たっては、介護予防を推進する観点から、以下の分野について取組を強化していくことが重要である。

5−3−1 痴呆及びうつ対策

 ○ 軽度痴呆及びうつ状態にある地域住民を早期発見し、速やかに対応するためには、家族、主治医のみならず、地域住民全体の理解や協力が重要であり、行政、医療・福祉関係者の連携の下、痴呆及びうつ状態の予防のための正しい知識の普及啓発に努め、受け皿も含めて地域における支援体制を整備することが必要である。

 ○ 軽度痴呆及びうつ状態にある地域住民を早期発見するために、専門家でなくても取扱いが容易な評価方法の開発及び普及を進めるべきである。

5−3−2 口腔機能低下予防への対策

 ○ 生活機能低下の早期発見・早期対応の一環として、口腔機能の評価及びその維持・向上に向けた事業(サービス)の提供体制を整備していくことが必要である。また、その実施に当たっては、栄養改善を目的とする事業(サービス)との連携による取組も重要である。

 ○ 口腔機能低下予防の重要性について、保健・医療・福祉に関する専門家のみならず地域住民に対して知識の普及啓発を充実すべきである。

5−3−3 栄養改善への対策

 ○ 高齢者の低栄養状態を早期発見し、適切な早期介入につなげることのできる評価指標や包括的な栄養アセスメント手法を検証・確立していくことが必要である。

 ○ 低栄養状態を予防するための事業(サービス)においては、専門職のみならず、地域住民の参画や社会資源の活用を図るべきである。

 ○ 高齢者(特に後期高齢者)の栄養改善については、食事の楽しみといった  QOL(生活の質)の向上の観点からの対応も含め、多角的な対応を考慮すべきである。

5−3−4 運動器の機能向上への対策

 ○ 骨粗鬆症や転倒等による骨折、関節疾患、高齢による衰弱等による要介護状態を予防するため、運動器の機能向上を目指した事業(サービス)の導入を図るべきである。

 ○ その際には、安全管理の観点から、利用者の心身等の状況を的確に把握し、その状況に適した事業(サービス)を提供するとともに、不測の事態が発生した場合にも迅速に対応できる体制を担保する必要がある。

5−3−5 閉じこもり予防への対策

 ○ 閉じこもりの原因は、身体的、精神的、社会的に様々な理由により生じるものであり、結果的に生活範囲の縮小や心身の活動の低下を介して廃用症候群を来たすことから、閉じこもりを早期発見し、早期に対応できる仕組みを整備することが重要である。

 ○ 閉じこもりがちな高齢者への対策は、外出の機会の提供を通じて積極的な社会参加を図ることが重要であり、地域住民や地域組織の参画を得て、企画・実施されるべきである。また、地域の多様な行事・活動と連携し、より多くの利用者が参加意欲を持てるように工夫すべきである。

6 事業展開の在り方

6−1 市町村計画

 ○ 具体的な事業(サービス)内容については、全国一律のものに限らず、地域の課題等に応じた事業(サービス)も市町村の判断により柔軟に提供されることが重要である。

 ○ 対象者のライフステージに応じた事業(サービス)を実施するため、ライフステージに応じた目標を設定する必要がある。

 ○ 計画立案に当たっては、事業(サービス)が目指すべき目標や実施目的を明確にした上で、個々の事業(サービス)に係る人的・財政的資源の投入量と健康アウトカム指標の改善度を利用者ごと及び市町村単位で評価できる仕組みを盛り込む必要がある。

 ○ 指標の設定に当たっては、比較可能な指標(地域間の比較、時間軸での比較)など、客観的に評価が可能であり、地域住民にとっても分かりやすいものとすべきである。また、利用者の満足度、利用者の自覚している健康度等について、利用者の視点からの評価指標も設定すべきである。

 ○ 本事業内の各種事業、医療保険者等による保健事業、職域保健等の他の制度に基づく各種事業等がそれぞれの役割分担を明確にしながら、有機的に連携し、地域住民が一貫した事業(サービス)を総合的に、かつ、継続的に利用できる計画の策定が重要である。そのため、各地域において情報交換を行い、相互の連携を強化する等の取組を今後より一層進めていくべきである。

 ○ 市町村計画には、課題の把握・計画立案・実施・評価を体系的に実施できるよう事業(サービス)の進行管理の仕組みを組み込むことが必要である。

6−2 事業実施

 ○ 事業(サービス)を利用する地域住民の利便性に最大限の配慮がなされるべきである。併せて、地域住民の利用を促すため、多様なメディアを通じた事業(サービス)の周知及び関連情報の提供に努めるべきである。

 ○ 地域住民に対しては、本事業の目的や有用性に関する情報のみならず、地域住民の視点に立った地域の保健・医療・福祉の社会資源に関する情報等を分かりやすく提供することが必要である。

 ○ 事業実施に際しては、医療機関等の関係機関や、地域の住民組織、ボランティア団体、NPO等の地域組織との連携を図ることが重要である。

 ○ 市町村の人的・財政的資源等を考慮し、健康診査に限らず各種の事業(サービス)の実施について、民間事業者も含めて様々な事業者に委託することを積極的に検討すべきである。なお、委託先の事業者の選定に当たっては、質の高い事業(サービス)が適切に実施できる体制や能力を備えていることを確認するとともに、その精度管理が継続的に行われることが不可欠である。

 ○ 事業(サービス)内容は、利用者にとってさらに魅力的なものとなるようにすべきであり、現行の本事業と同様、利用者に対して過度にならない範囲内で一定の受益者負担を求めることが適当である。

 ○ 事業(サービス)の構成としては、いわゆる6事業によってほぼ網羅されていると考えられるが、それらの名称については、利用者本位という観点から、分かりやすいものに改めることを検討すべきである。

 ○ いわゆる6事業ごとの取組については、以下のことを踏まえ、事業(サービス)を展開していく必要があるが、これら6事業相互が有機的に連携されるよう配慮されるべきである。なお、生活習慣病予防対策と介護予防対策の両面から各事業(サービス)の内容を例示すると図3のとおりである。

図3 老人保健事業の見直し後のイメージ

 (健康手帳)
 ○ 利用者の生活機能の履歴を把握するために、生活機能低下予防に用いるための項目を追加すべきである。

 (健康教育)
 ○ 利用者のライフステージ及びライフスタイルに応じた健康教育の内容や手法を用いることにより、利用者本人の主体的な取組を支援すべきである。

 ○ 医療機関、健診機関、NPO等多様な関係機関等の協力の下、健康教育の機会を増やしていく必要がある。

 (健康相談)
 ○ 画一的ではなく、一人ひとりのニーズに対応するとともに、生活機能低下予防のための相談体制を整備すべきである。

 ○ 地域住民、保健・医療・福祉の関係機関・関係団体等との連携の下、生活機能が低下した者やその家族が気軽に利用できる相談窓口を設置すべきである。

 (健康診査)
 ○ 生活習慣病の危険因子が重複している者等に対する健康診査後の保健指導や、医療機関受診結果の把握など、フォローアップ体制をより一層強化する必要がある。

 ○ また、健康診査後の保健指導を強化するため、健康診査の結果に関する判定基準の標準化を進めるとともに、受け取った利用者にとって判定結果が理解しやすい基準・表現となるよう努めるべきである。

 ○ 健康診査の内容については、各ライフステージごとに、科学的根拠に基づき、利用者に有効な内容を生活習慣病予防及び介護予防の両面から整理すべきである。

 ○ 生活機能低下予防への対応として、生活機能低下を把握するための簡易な評価方法を開発するとともに、栄養状態、運動器、口腔機能等に係る機能低下の状態を評価することができるように、健康診査の内容を見直すべきである。

 (機能訓練)
 ○ 主に身体機能の回復を目的としてきた機能訓練に、生活機能低下予防の視点を追加すべきである。

 (訪問指導)
 ○ 生活習慣病予防のためのフォローアップが必要な者、生活機能が低下しているにもかかわらず事業(サービス)等への参加を中断してしまった者、あるいは、複雑な健康問題を有する等対応が困難な者等に対する訪問を優先的に実施するとともに、その内容をより一層充実させるべきである。

6−3 事業評価

 ○ 事業評価に当たっては、資源投入量・事業量のみならず、事業(サービス)が効果的・効率的に提供されたかどうか等のプロセスに着目した評価や、事前に設定した健康アウトカム指標の評価も行うべきである。

 ○ また、事業(サービス)により、利用者の満足度等、利用者の視点からの評価や、介護保険給付費や老人医療費の減少がどの程度みられたか等の費用対効果分析等も含め、様々な視点から総合的に評価することが重要である。

 ○ 事業評価を適切に行うため、個人情報の保護に留意しつつ、個人の健康に関するデータの継続的な活用とともに、事業全体の経年的評価ができる仕組みについても検討すべきである。

 ○ 事業評価の結果を積極的に情報公開することにより、地域住民の理解を深め、また、地域住民からの意見を市町村計画の見直しに反映させることが重要である。また、都道府県においても、市町村における事業評価を踏まえて、都道府県計画を定期的に評価し、見直しを行う。

7 おわりに

 ○ 本報告書の内容を踏まえ、国においては、関連する制度等の改正も含め、本事業の見直しを全省的な取組として進めることを期待する。

 ○ 特に、介護予防対策については、介護保険制度の見直しに関する進捗状況を踏まえ、本事業の見直しの方向性と整合性を図りながら、具体的な方策について検討を行うべきである。

 ○ 生活習慣病予防及び介護予防の効果的な実施のためには、今後、各種調査研究等を推進し、科学的根拠の集積に努めることが重要である。


老人保健事業の見直しに関する検討会



石井みどり 社団法人日本歯科医師会常務理事

漆ア 育子 社団法人日本看護協会常任理事

大川 弥生 国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部長

高橋 紘士 立教大学コミュニティ福祉学部教授

辻  一郎 東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野教授

津下 一代 あいち健康の森健康科学総合センター指導課長

土屋  隆 社団法人日本医師会常任理事

津村智惠子 大阪府立看護大学看護学部教授

中村 好一 自治医科大学医学部保健科学講座公衆衛生部門教授

信友 浩一 九州大学大学院医療システム学教授

長谷川敏彦 国立保健医療科学院政策科学部長

藤野 圭司 日本臨床整形外科医会副理事長

本間  昭 東京都老人総合研究所痴呆介入研究グループ参事

吉池 信男 独立行政法人国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹


(敬称略、五十音順、○は座長)


老人保健事業の見直しに関する検討会の経緯



平成16年 
 7月16日第1回検討会
 ○これまでの老人保健事業の総合的評価について

 7月27日第2回検討会
 ○老人保健事業の見直しの方向性について
 ○今後の老人保健事業のあり方について

 8月23日第3回検討会
 ○今後の老人保健事業のあり方について

 9月13日第4回検討会
 ○今後の老人保健事業のあり方について
 ○関係者ヒアリング
 ヒアリング実施者 :
   大野  裕(慶應義塾大学保健管理センター教授)
   田上 豊資(高知県健康福祉部副部長)
 ○ 本検討会における論点について

 9月27日第5回検討会
 ○ 中間報告骨子(案)について

10月25日第6回検討会
 ○ 中間報告とりまとめ



紹介先: 厚生労働省老健局老人保健課
03(5253)1111
 課長補佐 神ノ田 (内3961)
 課長補佐 須藤 (内3945)
 課長補佐 小坂 (内3961)
 係長 河原 (内3946)
 係長 佐久間 (内3946)


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