04/10/22 公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する検討会第4回議事録                    第4回      公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する検討会議事録           日時:平成16年10月22日(金)10:30〜12:17           場所:厚生労働省共用第7会議室  横尾地域保健室長  それでは定刻となりましたので、ただいまより「第4回公衆衛生医師の育成・確保の ための環境整備に関する検討会」を開会いたします。  はじめに本検討会の委員の出席状況についてでございますが、小幡先生が少し遅れら れているというようなことでございますが、全員、出席予定でございます。  それでは本日の資料の確認をさせていただきます。お手元に配付してございます検討 会の資料でございますが、資料の1としまして第3回公衆衛生医師の育成・確保のため の環境整備に関する検討会議事録(案)でございます。本議事録は既に各委員の方々に 発言内容等を御確認いただき、誤り等を訂正させていただきましたので厚生労働省ホー ムページに掲載し、公表させていただくこととしたいというふうに思っております。  本日の議事1の公衆衛生医師の育成・確保に関するアンケート調査結果についての資 料といたしまして資料の2でございますが、公衆衛生医師の育成・確保に関するアンケ ート調査結果でございます。これは委員の皆様方に事前にお送りしたものに誤字、脱字 等につきまして若干、修正を加えたものでございます。  続きまして議事2の公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する検討会報告 書骨子案についてでございますが、資料の3でございますが、公衆衛生医師の育成・確 保のための環境整備に関する検討会報告書骨子(案)でございます。  引き続きまして議事3の公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する基本的 枠組み案の資料といたしまして資料の4でございますが、公衆衛生医師の育成・確保の ための環境整備に関する基本的枠組み(案)でございます。お配りした資料は以上でご ざいます。  なお、前回までの資料につきましてはお手元の青いハードファイルに綴じてございま すので随時、御覧ください。検討会終了後、今回の資料も別途綴じておきますのでハー ドファイルにつきましては机の上にそのまま置いていただきますようお願いいたしま す。  それではこの後の進行は納谷座長にお願い申し上げます。よろしくお願いします。  納谷座長  はい。それではさっそく始めさせていただきますが、本日の議題はお手元の次第に書 いてございますように、まず、最初にアンケート調査の結果についての御報告をいただ きます。それからさきほど資料で御説明がございましたが、公衆衛生医師の育成・確保 のための環境整備に関する検討会報告書骨子案についてと、3つめが公衆衛生医師の育 成・確保のための環境整備に関する基本的枠組み案について、その他となっているよう でございます。  それでは最初の議題のいわゆるアンケート調査結果についてでございますが、資料に 基づきまして事務局から、随分大部なものなのですが、要領よく御説明をいただけます でしょうか。よろしくお願いします。  野崎技官  それでは資料の2、公衆衛生医師の育成・確保に関するアンケート調査結果について 御説明をさせていただきます。大変長い資料ですが、簡単に御説明をさせていただきま す。  まず、最初の頁ですが、今回のアンケートですが、地方公共団体と医育機関、公衆衛 生医師の三者に対して実施をしております。地方公共団体は保健所を設置している127 団体に対しまして、また、医育機関は全国衛生学・公衆衛生学教育協議会に加盟をして いる医育機関の講座のうち、医学部学生への講義を担当している講座、185講座を対象 に、また、公衆衛生医師につきましては全国所長会を通じまして地方公共団体に勤務し ている公衆衛生医師、815名に対し電子メール及びファクシミリにて送付をしておりま す。  実施時期は平成16年の8月です。回収状況でございますが、地方公共団体は127団体、 回収率100%、医育機関につきましては134講座、回収率72.4%となっております。ま た、公衆衛生医師につきましては449名、回収率55.0%となっております。  3番目の公衆衛生医師の属性ですが、回答者の年齢は50歳代が39.2%と最も多く、ま た、行政経験年数としましては5年以下の者が25.8%と最も多くという分布になってお ります。  続きまして2頁目、勤務している地方公共団体といたましては都道府県が71.3%、以 下、指定都市16.5%、中核市6.2%、その他政令市1.8%、特別区3.8%となっておりま す。また、勤務している機関としましては保健所が81.5%と最も多く、また、職級とし まして保健所長が全体の62.1%となっております。また、主な業務といたしましては、 こちら、複数回答ですが、組織のマネジメントが74.6%と最も多くなっております。  では、本題のアンケートの結果につきまして御説明をいたします。こちらのまとめの 構成ですが、地方公共団体、医育機関、公衆衛生医師、それぞれの結果につきまして各 項目それぞれごとにまとめてあります。  まず、最初の学生に対する講義の工夫についてでございます。こちらは地方公共団体 に勤務している公衆衛生医師が医育機関で講義をするなどの工夫をするといったことで ございますが、地方公共団体における実施状況としましては実施している44.9%、半分 弱となっております。また、医育機関におきましては70%となっております。公衆衛生 医師に聞いた有効性についてでは54%が有効であり、実現可能であると答えておりま す。  現在、その実施状況といたしましては、まず、医育機関の調査によりますと県庁ある いは保健所に勤務している医師に講義をしていただいているというものでございます。 また、実施ができないと答えている理由ですけれども、主に地方公共団体では医師が保 健所に単独配置になっているため対応できないといったものと、あと、業務が多忙であ るためとなっております。また、医育機関の理由としましては、講義の分担上、公衆衛 生医師が講義する内容がない、あるいは時間の枠がない、そのようなカリキュラムがな いという回答となっております。  また、実現のために必要な取組というものを公衆衛生医師に聞いておりますが、医育 機関との連携、また、時間的な制約、業務量が多く、充実した講義を行う余裕がない。 また、公務としての位置づけができていないということ、また、講義の内容、効果的な 講義を実施するだけの、また、スキル、内容等に問題があるというお答えでございま す。  続きまして学生に対する実習の工夫ですが、こちらは主に保健所における学生の実習 について聞いております。地方公共団体では85団体、66.9%、実施していると回答があ りまして、医育機関では56.0%となっております。公衆衛生医師に聞いた有効性につい ては42.5%が有効であり、実現可能であると答えております。主にこれは夏期以外に小 グループに分かれて保健所実習を実施している。あるいは夏期実習としまして帰省先で 実施できるように調整しているといった内容となっております。  できない理由ですけれども、看護師等学校養成所の学生実習等、受け入れも多く、新 たな医学生の実習の受け入れは困難である。あるいは医師の配置が保健所長1名である ため、実施が困難であると。あるいは医育機関からの実習の要望がないといった回答で す。また、医育機関から出てきました実施できない理由としましては、受け入れ側から 申し出がない。あるいは他の形での実習をしているということが答えとして上がってお ります。  これらを実現する必要な取組としましては時間的な制約、あるいは講師のスキル、ま た、カリキュラムや教材開発等の、そういった体制について整備をしていく必要がある と。また、これを公務として認めていること、地方公共団体におけるスタッフ等の充分 な理解、また、医育機関等の理解ということが必要であるという回答となっています。  続いて3番目の医育機関における進路説明会の活用についてでございます。こちらは 地方公共団体では120団体、94.5%が実施をしていない。また、医育機関においては41.0 %が実施をしているという回答となっております。こちらの有効性についても現段階に おいて有効であり、実現可能であるというのが47.0%、有効ではないという回答も108 名、24.1%となっております。主にこれらの実施状況ですが、医科大学の中で進路説明 会に保健所、あるいは本庁の医師が説明に来てもらっているという内容、あるいは講義 を通じて行っているという回答も含まれております。  また、実施できない理由としましては、地方公共団体からは当面採用する予定がな い、現在、公募を想定していないという回答が主になっております。また、医育機関と してはそもそも進路説明会というものがない、あるいは教室として参加していないとい う回答となっております。これらを実現させるための取組としましては、医育機関、人 事担当者との理解と、また、連携が必要であると。また、説明する者が経験豊富で、魅 力のある者がやるべきであるという回答となっております。  続きまして卒後臨床研修についてでございます。こちらは主に積極的な臨床研修の受 け入れと、また、少なくとも地域保健・医療研修のうち、保健所研修を2週間以上実施 するという内容となっておりますが、まず、地方公共団体での実施状況、96.1%が実施 できる。また、医育機関における実施予定としましては44.0%が実施予定であり、ま た、公衆衛生医師による実現の有効性については46.8%が有効であると回答しておりま す。  これらの臨床研修を実施できないという理由としましては、主に1週間の予定にして いる、あるいは1〜3日の受け入れで2週間の程度の長期受け入れについてはマンパワ ー等の問題によってできないという回答であります。また、医育機関としましては卒後 臨床研修に関しては担当をしていないと。あるいは大学の方針として参画する予定がな い。また、企画委員に入っていない等の回答となっております。  これらの実現のための必要な取組といたしましては、時間的な余裕が必要ということ と、また、一定以上の指導者の安定な確保が必要ということです。また、内容、研修の プログラム等の作成、また、人員の配置、また、体制整備等、必要という意見が出てお ります。  続きまして生涯教育、社会人教育等についての質問でございます。こちらは社会人大 学院や医師会の生涯教育制度等による臨床医を含めた医師全体の公衆衛生に関する知識 や関心を高めるといった話ですけれども、医育機関における実施状況としましては61.2 %が実施をしていると。また、39.6%の医師が有効であると回答しております。  できない理由としましては医育機関では教官が不足している。また、実験主体の研修 室なので、そういうような希望がないという回答となっております。また、実現のため の取組としましてはこちらも関係者の理解、大学院、医師会等の理解協力を得ることが 必要であるということと、また、本庁の理解と連携が必要と。また、内容、効果的な実 施方法、カリキュラム等についての検討も必要であると。また、それを指導できる人材 の養成と言われております。また、学位・資格等のインセンティブとして一定の研修を 受けた後に公衆衛生の認定医、あるいは専門医といったものの授与、優遇措置等を講じ るということも検討が必要という意見が出ております。  続いてホームページ等の媒体を活用しました普及啓発についての質問です。まず、最 初の普及啓発につきましてですが、募集をする際にモデルとなるような複数の公衆衛生 医師からのメッセージ等の、いわゆるロールモデルといったものの明示をするかどうか という問題です。現在、地方公共団体で89.0%が実施をしていないと答えています。ま た、公衆衛生医師の意見としましては67.9%が有効であると答えております。  こちらの主に実施できない理由としましては、公募をしていないという意見、また、 募集の予定がないという意見が多く占めております。医育機関の実施できない理由とし ましてはスタッフの不足と、あと、大学の教室ではなく保健所・地方公共団体が自ら実 施する方が望ましいのではないかという回答となっております。これの実現のための取 組としましては、人事課等との調整、また、モデルとなるような公衆衛生医師の選定が 重要であると。また、それ以前に公衆衛生医師の募集形態、公募とするという必要があ るのではないかという意見をいただいております。  続いて普及啓発の2番目ですが、ホームページ、雑誌、新聞、広報誌、専門誌等、あ らゆるメディアを使いました積極的な掲載をしていくという問題についてですが、こち ら、地方公共団体、87.4%が実施をしていない。また、医育機関についても74.6%が実 施をしていないと回答をしております。また、有効性については66.6%が有効であると いう回答をしております。  次の頁の実施をできない理由としましては、地方公共団体が現在、公衆衛生医師を採 用する予定がないということ、また、公募制ではないということを理由として上げてお ります。医育機関につきましてはスタッフが不足していること、また、こちらも大学の 教室ではなく保健所・地方公共団体が自ら実施すべきであることが望ましいというふう に回答をいただいております。また、こちらの実現のための必要な取組につきまして は、公衆衛生医師の方の意見によりますと予算、あと、関係者の意識、掲載する内容等 についての検討が必要だという回答です。  続いて3番目、ブロック会議を開催し説明会等を行うという件につきましては、参加 の意思について地方公共団体では78.0%、また、医育機関では71.6%があれば参加をす ると回答をいただいております。実施できない理由としましては、こちら、地方公共団 体では採用計画がないこと、また、現時点では必要性がないといった回答となっており ます。  続きまして普及啓発の4番目、リーフレットの作成についてです。現在、地方公共団 体、93.7%が実施をしていないと回答しております。こちらの実施できないとしており ます理由としましては、採用人数が若干名であり、かつ、毎年、公衆衛生医師の確保を 必要としているわけではないということ、また、現段階では地方公共団体単位では実施 を考えておらず、国または広域的な取組が必要なのではないかという回答をいただいて おります。こちらの実現のための必要な取組としましては、予算ももちろんですが、配 付先をどこにするのかを検討する必要があるということと、また、その内容について検 討する必要があるという回答をいただいております。  続きまして公衆衛生医師の採用と確保についての質問に移ります。まず、最初は採用 計画の策定についてでございます。現在の欠員を補充するような形の採用ではなく、年 齢構成等を考慮した、また、若手を育成して養成していくということを基本とする計画 の採用を実施するという点についてお訊ねしております。  現在、実施していると回答した団体が21.3%となっております。次の頁の実施できな い理由についてですけれども、行政改革を進めており、県全体の職員数を削減している 中での欠員補充以外の採用というのは困難ではないのか、あるいは計画的な採用を行う だけの財政的な余裕がない。あと、現段階で既に最低少なくとも2名の医師を配置して いるということ、あるいは公衆衛生医師全体、医師の総体が少なく、また、その確保そ のものが困難である、年齢構成等を考慮することができない現状であるという回答をい ただいています。  こちらの実現のための必要な取組についてですけれども、人事担当部局の理解を得る こと、また、大学、あるいは本庁、人事関係課との調整、連携が必要であるというこ と、また、実施方法の工夫として臨床の医師を公衆衛生医師として養成するプログラム を作る必要性、また、大学の医局との調整、また、全国的なネットワーク、データベー スの整備、また、県や地域ブロック毎での採用・養成、あるいはそれ以前に公募を行う ということ、あるいは採用計画策定の義務付け等が必要ではないかという回答が出てお ります。  続きまして募集方法の工夫です。ホームページや雑誌等、定期的に実施すること。ま た、その後、ホームページ等につきましては随時の閲覧ができるようにという内容です けれども、現在、13団体、10.2%の地方公共団体が実施をしていると回答しておりま す。主にこちら、実施状況ですけれども、例えばホームページで募集をかけて募集期間 が過ぎたらホームページを削除する、あるいは一定期間見られるようにしておく、ある いは1年中、ずっと見られるようにしているというパターンの掲載方法があるというこ とです。  実施できない理由としましては欠員補充型の採用を実施していること、あるいは募集 を公募していないということを理由として上がっております。また、必要な取組としま しては関係者の理解、勤務条件の改善等が必要ということであります。  また、次の問題ですが、人事交流についての質問です。現在、26.0%が実施をしてい ると回答を地方公共団体はしております。また、実施できない理由としましては、県内 で実施している等、また、処遇面で合えばできるということでございます。  ちょっと急いでいきます。続いて奨学金制度についての問題でございます。現在、実 施していると、こちらのアンケートに回答がありましたのは地方公共団体で5団体とな っております。こちら、できない理由としましては財政、あるいは定員の充足等が出て おります。制度として、あるいはこちら、有効性を評価するという意見というのがなか ったということでございます。  続きまして5番目、公衆衛生医師確保推進登録事業の活用についてです。こちら、現 在、10団体が登録をしております。今後、登録の普及啓発をPRしていく必要があると いう意見をいただいております。  公衆衛生医師の育成について主に聞いた項目に入ります。まず、研修計画の策定です が、実施している団体は16団体、12.6%となっております。こちらの計画を策定できな い理由としましては医師の配置が1名であり、長期の研修は支障が出ているということ が理由として上がっております。こちらの取組としては調整や体制整備、医師の複数確 保が必要であるというご指摘をいただいております。  続きましてジョブ・ローテーションの充実についてですが、現在、40%が実施してい るという回答であります。本庁、衛生研究所、あるいは厚生労働省との人事交流をして いるということです。できない理由としては、まず、医師の複数配置がほとんどできて いないためOJTが困難であるという御回答であります。  続いて3番目、研究事業への参加についてです。まず、実施しているが30%となって おります。できない理由としては公衆衛生医師の人数が充分でないためであると。ま た、あるいは財政面から廃止となっているというお答えをいただいております。  続いて4番目、保健所の医師の複数配置についてですが、68.5%の自治体で実施をし ているという回答です。できない理由としましては保健所の医師の年齢構成、配置可能 数から実施が困難、あるいは不足しているため、あと、財政措置が担保されればという 問題となっております。  続きまして各機関の連携についてですが、7.9%が実施していると。地方公共団体か ら回答をいただいております。こちらのできない理由としましては医師の採用を予定し ていないということで必要性がないということの回答となっております。  続きまして6番目、公衆衛生関係の情報提供についてでございますけれども、24講 座、17.9%、医育機関が実施をしていると回答しております。こちらができない理由と しましては提供するだけのデータを持ち合わせがない、あるいは教官の不足、また、地 方公共団体からの照会がないということが上げられております。  続きまして専門能力の向上・学位の授与についてですが、まず、実施しているという 回答が53.0%の医育機関からいただいております。できない理由としては大学の方針と していない、あるいはスタッフが不足しているといった問題点を指摘されております。  続きまして国立保健医療科学院の専門課程の受講についてでございます。地方公共団 体で実施しているという回答が37.0%となっております。できない理由としましては長 期の不在により、業務に支障を及ぼす、あるいは保健所長になるのにいろいろな研修を しているため、その必要性がないといった回答となっております。  続きまして処遇の工夫、こちら、学位の取得、留学等についての職務専念義務の免除 等のお話ですけれども、実施しているが35.4%となっております。できない理由としま しては服務規定について既に整備をされている、あるいは財政上の問題、あるいはほと んどの保健所で医師は1名しかいない問題というのが上げられております。  最後に、こちら、61頁ですけれども、こちらの取組についての評価、計画策定及び評 価についての設問をしております。地方公共団体では50.4%、医育機関では67.9%がこ ちらの計画策定、評価について実現できるという御回答をいただいております。  この後につきましては自由意見といたしまして公衆衛生医師の育成・確保についてア イディアをそれぞれいただいておりますので、そのまま載せております。最初が地方公 共団体、続いて医育機関となっておりまして、最後に公衆衛生医師の業務としてやりが いを感じるものについてということで74頁以降はお示しをしております。こちら、いた だいた意見を一応、分類をさせていただいてまとめて整理させて載せさせていただいて おります。こちら、以前に事前にお配りしたもので御覧になっているかと思いますの で、すべて御紹介することは難しいと思いますので、項目だけ御紹介します。  やりがいを持って働くための改善が必要な点としましては人事当局の理解が必要とい うこと、また、昇任等の登用等の問題、また、医師自体の認識の問題、あと、給与、ま た、社会的地位の確立や周囲の理解、また、育成の問題について、また、大学院の活用 や医学部教育の改善、また、公務とする、あるいは業務が多すぎる等の業務の整理の問 題、あとは専門資格の問題と処遇、あと、臨床との関わりについてという意見が出てき ております。長くなりましたが、以上でございます。  納谷座長  はい。どうもありがとうございました。のちほどの議論とも重なってくるかと思いま すが、とりあえずここまでのところで御質問なり、御意見ございましたらどうぞお出し ください。  ずっと御説明いただいていろいろ御意見をいただく方がいいのかなと思いますので、 この質問の時間はあとへ回しまして、議題の2のいわゆる報告書骨子案と環境整備に関 する基本的枠組み案に併せて、どんなふうなまとめになるのかというようなことを事務 局からいただいた上で、このアンケートの感想なり御意見を一緒に御議論していただけ たらと思いますので、事務局の方でよろしくお願いします。  平子補佐  それでは事務局の方より報告書の骨子案と基本的な枠組み、前回、素案としてお示し させていただいたものですけれども、それを今回のアンケートなどを踏まえまして、ま た、文言の整理を行いましたものを案として今回、御提示させていただくものでござい ます。  まず、資料3の報告書骨子(案)の方でございますけれども、最初にはじめにという 形で、この検討会においてこういった問題が検討されるに至った経緯、背景などを中心 に記述させていただければというふうに考えております。  2の検討の手法につきましては、これまで検討会で用いました関係の資料などをつ け、また、本日、御提示させていただいたアンケート調査の結果などを要約した形で検 討を行ってきたということを明らかにさせていただきたいというふうに思っておりま す。  3点目は、公衆衛生医師をとりまく現状についてということで、これもアンケートの 内容を踏まえながらと、あと、調査結果、または統計などを用いながら配置状況、年齢 構成、採用状況、育成状況、また、処遇について少しまとめた形でひとつ、項が立てば と思っております。  4点目の公衆衛生医師の育成・確保における問題点についてでございますけれども、 これは本検討会においては比較的もう既に所与のものとして委員の方々の中ではあった かとは思いますけれども、少しこの点については明示的にこのような問題点があるとい うのを若干、整理させていただいた形で御提示させていただければどうかなというふう に思っております。この問題についてはこの前の検討会でございます「保健所長の職務 の在り方に関する検討会」や、またはそれ以前に保健所長会等で取りまとめられたもの とかを参考にいたしましてまとめさせていただきたいというふうに思っております。  5点目でございますけれども、こういった問題点を踏まえて御議論をしていただいた と思いますけれども、そういったものを具体的な方策を議論していただいた際におおよ そまとめるとこういった基本的な考え方というふうな枠組みで整理できるのかなという ふうに思うものがございます。それにつきましてのちほど基本的枠組み(案)の中で御 説明させていただければというふうに思っております。  6点目の具体的な方策につきましては公衆衛生医師の育成、採用・確保、職務に関す る普及啓発という形でこれまでも整理してまいりましたけれども、そういった具体的な 方策の内容について少し膨らませた説明を加えた形で記述させていただければというふ うに考えております。  7点目につきましてはこういった具体的な方策につきまして今後、どのような形で各 関係者が行動計画を策定し、また、評価を行うことによってフィードバックをかけてい くと。そして具体的な取組の推進を行っていくということをどういう形で行っていくの かというふうな内容を書かせていただければと思っております。  8点目についてはまとめですけれども、今回、こういったものが報告書としてまとめ られ、また、ここで別添、のちに説明いたします基本的な枠組み、本検討会のミッショ ンといたしまして指針をおまとめいただくということでございますけれども、こういっ た基本的枠組みを指針として使いながら、このようなものが今後、どのような形で使わ れるのか、例えば現在の地域保健に関しましては基本的な指針がございますけれども、 そういったものに位置づけていく、または何らかの指標なり基本的な目標値などを示し ながら、そういったものを少し入れて検討していく必要があるのではないかというふう に考えておりますけれども、そういったものも今日、検討会におきまして御意見をいた だければというふうに考えております。  また、もうひとつ重要な点といたしましては、多少期限を区切った形で集中的に取り 組むような期間というものもおおよそ目処といたしましては3年から5年といった期間 かとは思いますけれども、そういったある程度、年限を定め、長期的な視点に立った形 で取組を行うことも必要ではないかというふうに考えております。  資料編につきましてはこれまでお示しさせていただいた資料をまとめたものでござい ます。  続きまして資料4、別添として報告書骨子案の方には書かせていただいております公 衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する基本的な枠組み(案)でございま す。これが基本的には指針として皆様方にお示ししていくものだというふうに考えてお ります。まず、はじめにという形でこれまでの経緯といたしましても保健所が重要な役 割を地域保健の中で果たしておりまして、そういった中で実際に公衆衛生を確保してい くためには熱意のある公衆衛生医師の育成・確保が極めて重要な問題があると。ではあ りますけれども、一部の地方公共団体ではその確保の状況が困難な場合も見受けられる という指摘がございました。また、こういったものは各関係者の努力が必ずしも充分で はなかったのではないかということも併せて指摘されているところでございます。その ため、この基本的な枠組みにつきましては公衆衛生医師の育成・確保に関する具体的な 方策及び継続的な取組を行う際の枠組みを示すということを明示するととともに、積極 的に取り組むよう努めるという形で、この本枠組みが指針であるということを明示させ ていただきたいというふうに考えております。  2点目の育成・確保における問題点につきましては主なものを6点程、上げさせてい ただいております。1点目につきましては公衆衛生医師の確保が長期的視野に立った採 用・育成計画が作られず、保健所に医師が単独で配置され、所長の欠員に対して新規の 医師が補充されることが多かったのではないかと。2点目につきましては、公衆衛生医 師の業務が高度かつ幅広い専門的な知見が必要な魅力のある分野であることが充分に広 く知られていないのではないか。3点目につきましては公衆衛生に関心を持っている学 生・医師に対して、なかなかなる方法というものが充分に広報されていなかったのでは ないか。4点目につきましては公衆衛生医師の働く場所と申しますか、配属先が比較的 限定されていることによって人材の偏り、または経験の偏りがあったのではないか。5 点目につきましては公衆衛生医師の業務について必要な研修・研究、このようなものに よって公衆衛生医師の幅広い、また、高度な専門的知見が養成されると思いますけれど も、そういったものに参加しやすいような処遇や制度など、環境の整備が行われていな かったのではないか。6点目といたしましてはこういった問題について関係団体との協 力体制が充分に整備されておらず、また、共通の認識を有していなかったのではないか というものを主な問題点として整理させていただいております。  こういった問題点を踏まえまして、その解決に向けた基本的な考え方として4点上げ させていただいております。まず、育成に関するものでございますけれども、公衆衛生 に関係する多様な分野を経験することにより、職務を遂行しながら計画的に知識・技能 を向上させる研修計画を策定するとともに、保健所への複数の医師の配置、研修事業へ の参加などが行いやすい環境整備を行うことにより、公衆衛生医師の総合的な能力の向 上を念頭に置いた研修体系を確立するといったことが重要ではないかというふうに考え ております。 2点目でございますけれども、これは採用確保の問題でございます。採 用計画を策定し、定期的に公衆衛生医師を採用するとともに、ホームページの活用や公 衆衛生医師確保推進登録事業の活用など、募集方法の工夫、または人事交流などにより 効果的な採用を実施すると。3点目でございますけれども、これは公衆衛生医師に関す る普及啓発の問題でございますが、採用前の学生、研修医、臨床医などに対する公衆衛 生に関する教育及び各種広報媒体による普及啓発を充実し、公衆衛生医師に対する理解 を深め認知度を向上させる必要があるのではないか。そして最後に、これは評価の枠組 みでございますけれども、公衆衛生医師の育成・確保に関する計画を策定し、その進捗 状況について評価を行うことにより、その具体的な取組を確実に推進するということが 重要ではないかというふうに考えております。  2頁目以降につきましては基本的に若干の文言の修正等を行っている状況と、順番の 入替えを行っております。この中で素案と若干、違うところにつきましては主なものと いたしましては奨学金制度について若干、アンケート等を拝見いたしますと少しハード ルが高いのかなというふうに考えております。そのため、少しここのところでは積極的 に取り上げてはおりません。以上、簡単でございますけれども、基本的な枠組みの案と いう形でお示しさせていただきたいと思います。御説明は以上でございます。  納谷座長  ありがとうございました。それではこのアンケートと骨子案と指針の案につきまして 御意見をどうぞ。  高野委員  よろしいでしょうか。高野です。まず、アンケートの結果ですけれども、アンケート のデザインも大変適切だったのだと思いますが、いい結果が出て現状を非常によく反映 しているのではないかという感想を持ちました。日頃、いろいろなところで聞く意見と ほぼ一緒でありますし、現状をよく捉えているように思いますので大変いいアンケート ができたなと思っております。  それですのであまり細部に渡っては今、時間もありませんので特にコメントをしませ んけれども、非常に大きな点で私はひとつ重要なことがあると思います。それはいろい ろなところの、なぜ、できないかという理由に人員不足というのが必ず出てきているの ですね。これは医育機関の方も教官、教員不足であると。スタッフがいないと。時間的 にも目一杯でできないという答えがいろいろなところにあります。なぜ、できないかと いう理由にですね、地方公共団体の方にもそれがありますし、公衆衛生医師の答えにも 忙しくて人員が足りなくてできませんと、協力できませんということが随分出ていま す。多分、これはひとつの地方公共団体であるとか、ひとつの保健所であるとか、ま た、ひとつの大学を考えるとやはり人員不足ということは実際にあって、これはすぐに 一朝一夕にはおそらく解決しないのだろうと思います。  このアンケートの結果を大きい意味で生かすには、そのあとの検討会の報告書、ある いは基本的枠組みの中で取り入れることの必要があると思います。この解決策について ですね。ただ、どう解決していいのかというのはすぐにおそらく出てこないと思います が、私はこれを分析をしてみると教官の方の教員不足というのは大学の方の事情でなっ てきたと。行政の方の適材な人たちの不足ということは行政の方の事情でなってきた と。  これがはっきりと少し言い過ぎになるかもしれませんが、直截的に簡単に言えばおそ らく行政の方は厚生労働省が主として責任を持っていたと、大学の方は文部科学省が主 として責任を持っていたというふうなことが、これがあるのではないかと思います。も ちろんこれが全部の理由ではなくて理由のほんのひとつにしかすぎないのかもしれませ んが、しかし、そういう現実が私はあるのではないかと思います。比率として大きいに しろ、小さいにしろですね。  そこでこれからのことですが、どういうふうにこれからの方向を出していくかという ことですけれども、まず、厚生労働省においてはやはり日本の国のため、あるいは地方 公共団体のため、ひいては一般の人々のため、人々の健康ですからまさにパブリックヘ ルスだと思いますが、そのために公衆衛生医師の育成・確保のために環境整備をしなけ ればいけないという認識に今、あると。一方、大学の方も国立大学がこの4月から、ま さに今年、法人化されまして大学というものの考え方が変わってきているということが あります。こうした今の変化を的確に捉えてやはり協力、特に地方公共団体、あるいは 保健所と大学との協力の仕組みをやはり作るべきだと思います。  この委員会で言いたいことはやはり公衆衛生医師の育成ということは重要であるとい うことであれば、まず、国においては厚生労働省だと思いますし、地方におきましては 地方公共団体だと思いますけれども、そこでやはりある程度、関与して、地方公共団体 だけだとできませんのでやはり国も関与して行政と大学の教官、あるいは専門職員のか なり実力から言えば上の方の人たちの交流、ただ、単に大学に学びに来るというだけで はなくて、もう少し上のティーチングスタッフのレベルでの交流を促進すべきだと思い ます。  少し長くなりましたが、ひとつの例えば具体的なプラン、具体的な形として、では、 今まではいろいろなアンケートの結果にも出ていますが、自由記載のところにも見られ ますけれども、職務専念義務というのがあったわけですね。あったと言いますか、今も あると思いますが、幸いなことに国立大学は法人化に伴いまして兼務、兼職ということ が時間を区切ってできるようになりました。今までも一部できていたと思いますけれど も、ですから、地方公共団体、あるいは国においてやはり職務専念義務はあるので、教 育のような仕事はその他として位置づけるのではなくてはっきりと労働時間の中に何時 間はこうするとか、時間を決めてやると。そういうふうな形での兼務、兼職のようなも のを推進できないかと。  それは全部のところでいきなりやれと言っても無理なので、基本的枠組みに入らない のかもしれませんが、少なくともどこかでモデルを作ってこれをやっていく必要がある のではないかと思います。特に人員不足というのは基本的なことに関わりますので、ち ょっと長くなりましたけれども、申し上げました。  納谷座長  ありがとうございました。人手の話。ちょっといろいろなご意見、バッと広げていた だいた方がいいのかなと。角野先生、どうぞ。  角野委員  角野です。まず、アンケートの感想と言いますか、地方公共団体の回答を見ておりま すとこれは全般的に前の検討会の3月の検討会報告書の中で非常に地方公共団体は医師 の確保が難しいということで保健所長を医師でなくてもいいということを主張されてい たわけですけれども、実態としてはどうも今ひとつ積極的に確保しようということが見 られないというのが、この回答からどうも読み取れるように思います。ですから、もっ ともっと積極的な気持ちでやっていただきたいなというのがこのアンケートの結果から 私が感じたことです。  医育機関の方ですけれども、医育機関の方は公衆衛生学ということについてはそれぞ れ研究等をされていることかと思うのですが、おそらく医育機関の役割として公衆衛生 医師の育成・確保ということはあまり考えておられなかったのかなと。ですから、おそ らくこのアンケートが送られてきて初めて、そう言えばそういう問題もあったなという ことで、その結果が、人がないとか、いろいろそういういろいろな理由になっているの だと思うのですけれども、ですから、医育機関の方でももう少しこれから学問を重視す るだけではなくて医師を養成するという意味、公衆衛生医を育てる、獲得するというこ とでも積極的に考えていただく。今、高野委員が言われましたように人の問題であると か、いろいろあるとは思うのですけれども、それは当然、考えていくとしても、我々、 仕事をする中では常に優先順位というものを考えるわけで、この公衆衛生医師の育成・ 確保ということをかなり優先順位の高いところに置いていただいて人のいない中でも工 夫をしていただければなというふうに思います。  全般的にアンケートだけではなくて、この公衆衛生医師の育成ということを考えた場 合に、今まで医育機関に対しては公衆衛生学の教室に対して、我々、よくいろいろ言っ てきたわけですが、よくよく考えてみますと人の健康というのを考えた場合に病気にな ったと。それで治るのは治るのですが、いくつかの病気があれば、そのあと、退院後の こととかいろいろある。そのあたりに公衆衛生の、特に保健・福祉の部分というのは絡 まってくるわけですけれども、まず、医学の場合において臨床医学と公衆衛生が社会医 学という形で完全に2つに分かれていて、その両者の間にリンクがないように、まず、 医学部の中で、特に臨床の先生の方にそういう思いが強い。  公衆衛生というのは何も臨床とはかけ離れたものではなくて、臨床と非常に密接して いる学問、もっと言えば僕の勝手な考えで言えば公衆衛生学の中に臨床があると考えて もいいぐらいに思っております。ということはどういうことかと言うと、大学教育の中 で公衆衛生を教えるのは何も公衆衛生学の教室だけではなくて、臨床の講義の中でもも っともっとあるべきであったのではないかなと、必要であったのではないかと思うわけ です。  例えば、ですから、患者になって病気が発症して、一応、医療というものを終えて、 その後、終えると言うか、急性期の医療を終えて地域に戻っていくという、そういう患 者の一連の流れを考えた場合に、いわゆる医療が積極的に関わる部分と、その後の保健 ・福祉の部分が関わる部分は当然出てくるわけです。あるいは急性期においても疾患に よれば特定疾患であって、そういう制度を利用するとか、小児慢性特定疾患の制度を利 用するとか、そういういろいろな場面があるわけですね。そういうものが臨床の講義の 中でもやはり触れられるべきだろうと思うのですね。  そういうことがちゃんとあれば医療というものと、いわゆる保健と医療の連携という ものが自ずと学生にも見えてきて、そこで言われるところの保健、あるいは福祉、場合 によれば病気の予防ということ、これは予防についても当然臨床では話されるわけです けれども、そういったときに公衆衛生というものを学生がもう少し身近に考えてもらえ るのかなということで、もっともっと公衆衛生的な視点というものを臨床医学の講義の 中でもやはり入れていただく必要があるというふうに思います。  そのあたりがこの大学の今回のこのアンケートでも医育機関の方で臨床研修制度で地 域保健・医療で保健所を使う、使わないという部分でも大学全体としてやはり臨床の方 の先生方の考え方というのは強く反映されている場合が多いですから、ですから、臨床 の先生ご自身に保健所、あるいは公衆衛生という認識が我々とは違うと、違う世界の人 であると、極端に言えば、ぐらいに思っている場合もあって、あまり必要性を感じてい ないのではないかなというふうに思います。  この次に骨子、あるいは基本的枠組みでありますが、ですから、そのようなちょっと 大学教育、主に今、ざっとお聞きしたところでは卒後の医師をどう公衆衛生医師として 育成して確保していくかということが中心になっているわけですが、少し大学教育の部 分も何か入れていただければなという気がいたします。  第1回目のこの検討会があったときにお話をしたのですが、今後、こういう実際、ど ういう取組がいいかということがどんどん出てくるわけですが、やはりそれが実際に実 現されることが一番大事なわけです。しかしながら、地方公共団体の回答を見る限りは 既に積極的にされているところと極めて全くその意思がないような回答をされていると ころもあって非常に先行き不安なところがあります。  そこでやはり一定の目標を示す場合に何かマーカーになるようなものを、基本的な目 標と言いますか、指標値、そういったものも示した方がいいのではないかと。例えば従 来から医師の複数配置ということ、言われているわけです。今回のアンケートでもいろ いろな理由でもってできないということ、答えられているわけですが、やはりこの医師 の複数配置というのが、私が考えるには一番今、大事なことかなというふうに思いま す。  従いまして、これから何年かの間に、例えば5年なら5年以内に複数配置を目指すと いうことで、そしてまた5年後に実際、どの程度、各自治体が複数配置を達成できたか ということでひとつ評価ができるのではないかなと。複数配置ということを目指してい けば、自ずと採用計画であるとか、いろいろなことに影響してくると思います。あるい は募集の仕方とか、そのあたりも工夫が当然いると思いますので、まず、象徴的なとこ ろとして複数確保、医師の複数体制というものをはっきりと掲げていただければなと。  そして、研修計画ですが、これについてはここではあくまでも公衆衛生医師という形 になっているのですが、その中でしかし、医師だけの研修計画となりますとどうしても 自治体としては他職種とのバランス等々を考えます。従いまして、それだけを明確にす るというのはなかなか難しいと思いますので、この部分についてはいわゆる公衆衛生に 関わる専門職種、獣医、薬剤師、保健師等々ですね。そういったものをすべてに渡って の研修計画を明示すると。どのように考えているかということをはっきりさせるという ことですね。そういう形の中で当然、医師というものも含まれてくるわけですから、そ こで何とか見ていくという形の方が地方公共団体としては受けやすいのではないかなと いうふうに思います。  卒後臨床研修、これを地域保健・医療の部分で保健所が受けるというのは、これは今 後と言いますか、これが最後のチャンスかなと。保健所として公衆衛生医師を確保して いく最後のチャンスかなというぐらいに今、思っております。従いまして、ただ、全国 的にはまだ来年度から本格的に保健所の受け入れが始まりますが、どうも半数ぐらいの ところしか受け入れる状況にない。都道府県によってはもうほとんど0に近いというよ うなことも聞いております。従いまして、やはりせめて各府県の1か所、だいたい基幹 保健所のような、そういうしっかりした保健所がありますので、そういったところでは 受けていただきたいなと。それもひとつのマーカーにならないかなというふうに思いま す。以上です。  納谷座長  ありがとうございます。指標のお話もいただいたのですけれども。  高野委員  今の大学へのいろいろ御意見をいただきましてありがとうございました。いくつかや はりちょっと事情をお話しておいた方がいいだろうということもありますので、主な点 だけをちょっと認識をシェアしたいと思います。  ひとつは臨床の中で社会学をもっと教えろと、公衆衛生を教えると社会との関係を知 るということ、全くそのとおりで、この検討会では何回も言いましたけれども、今、医 学部の中での教育内容の改善が進んでいまして、そういう方向になっています。ですか ら、かなり多くの大学で、全部ではありませんけれども、臨床の中で社会との接点を教 えるというふうなプログラムになっています。  ただ、先生、言われましたように教える側の臨床の先生方の認識としてやはり専門医 志向というふうなことがありますから、要するにバイオメディカルな内容は高度であっ て、社会的な内容は高度ではないという先生、何と言いますか、違う世界と今、お言葉 を言いましたが、そういうふうな意識があるのも事実ですね。  そうした中でいくつもの大学がそうした臨床の中でも社会医学を教えたり、あるいは 社会との接点を教えたり、地域への貢献ということを考えていて、そういうふうな方向 性が出てきているところですので、私もそれは必要だと思いますから、むしろ先生の御 発言は大学への励ましかなと思って取っておりますが、しかし、現実、そういうふうに 少しずつ改善をされているのが現状です。  ただ、そうやって一生懸命、先生が言われましたように社会との接点を求めていこう とすると、どこに一番問題があってそれができないのかと言うと、これは大学の評価、 あるいは講座の評価、もう講座というのはほとんどありませんけれども、実際にはひと つの分野の評価ですね。教官の評価。こうした評価の仕組みに先生が言われたようなこ とが入っていないわけです。ですから、先生が言われたことを一生懸命やろうと思う、 そして、それが社会の要請に応えることであると。にも関わらずそれが評価の項目に入 っていないものですから、小さいところに1つ2つあるのかもしれませんが、大きな評 価の柱になっていませんので、大学として評価されるときにそれに時間を使ったり、人 員を割いたりすると大学側としては評価が下がってしまうわけですから非常に困るわけ ですね。そういう現状があります。  そこでポジティブな考え方で、それではどうしていったらいいかと。せっかくこうい う機会があるわけですからどうしていったらいいかということですが、これはこれから 大学評価機構なり、大学の評価の仕組みというのがこれから枠組みが決まっていきま す。というか、もうほとんど決まっているわけですが、これから内容がさらに詰められ て具体的に評価をしていく段階に今、なっています。おそらく2年後とか、3年後とか には明確な評価のフレームワークができて大学を評価していくわけです。  そうした大学の評価の大きな項目として医学と社会とのつながりというものをちゃん と教えているのかどうか。あるいはそうしたことに寄与しているのかどうかというのを 評価の項目として入れてもらうと。入れてもらうと言いましたのは、これは大学では決 められませんので、第三者機関で評価するわけですから、その第三者機関にいろいろな 分野の方々の御協力を得て、そういう項目を入れてもらうように大きな社会の流れとい うものを作っていく必要があるのではないかと。そういう方向で努力していくのであれ ば、先生が言われたことは非常にポジティブに実現の方向に向かうと思います。  もうひとつは、今度は、やはり先生もちょうどおっしゃった中でいろいろな教育のこ とを地方自治体にお願いする場合もあれば、国にお願いする場合もあるわけですけれど も、やはりいろいろな各国を見ていますとある国もあれば、ない国ももちろんあるの で、また、よその国にあるからいいというものではないわけですけれども、インターン シップのような形で大学の学生を受け入れてもらえないかと。つまり実習の期間という のはせいぜい長くて1週間ぐらいですよね。そうするとお客様で終わってしまうわけで すけれども、これを半年ぐらい、フリーになる期間が大学の今度の医学教育の改善によ って半年ぐらい学生をフリーにする時間を持つ大学が随分増えました。  そういうふうなときの行き先として研究機関だけではなく、厚生労働省であるとか、 あるいは地方公共団体であるとか、半年ぐらい、少なくともインターンシップを出して 引き受けてもらうと、そのぐらい、ひとつ一歩踏み出してもいいのではないかと。これ はいきなり全部については無理でしょうけれども、いくつかのこれもモデルケースを作 っていけば、そこから開けていくことですので、これも先生の言われた大学への要請と いうことに関して大学が応える具体的な道筋、具体的なポジティブな提案になると思い ます。  納谷座長  どうもありがとうございました。大井田先生、どうぞ。  大井田委員  大井田ですけれども、この資料3、検討会報告書をどうまとめていくかというのはだ んだん煮詰まっていくのではないかと、今、角野先生のちょっと御発言を聞きながら、 平子補佐の話も聞きながら、「7.公衆衛生医師の育成・確保のための行動計画の策定 」、やはりこれがメイン、中心になってくるかと思うのです。最後がですね。  さきほど補佐の方から目標値を掲げるという話がありまして、私もぜひ、それは強く やった方がいいと思っております。理由は報告書というのは厚ければ厚い程、読まなく なりますので、やはり「健康日本21」ではないですけれども、ぴしっと目標値を掲げ るということは多くの人の注目を集める。というのは今、非常に厳しい時代ですね。地 方公共団体が国の財政管理に置かれるかもしれないような状況であるし、地方分権とい う問題もございますのでなかなかこの検討会の意向、あるいは厚生労働省の意向という ものがなかなか実施できにくい状況であればあるほど、目標値というものを掲げてやっ てほしいなと思うのですね。  例えば今、角野先生が言われたように複数設置を置いてほしい。これはやはり直ちに 医師の保健所における複数設置を実施すると。30数%がやっていないわけですから、事 実。今、その理由は例えば今年はもの凄く水害が多かったのですね。あれ、最初に動く のはやはり保健所なのですね。保健所が医師会の人たちや日赤の人たちと連携をしてい ろいろやっていくわけですね。そのとき、やはり複数配置というのは非常に効果だった ということを私は各地から聞いておりますので、あと、水害は終わった後、片付けが終 わった後、PTSD、心の問題、何か川を見てずっとぼーっとする人が、老人が非常に 多いという話を聞きましたので、それをいかにケアしていくか。それもやはりコーディ ネートするのは保健所だという話を聞きますので、精神科の先生と一緒にですね。そう いう意味ではそういったためにもこれを掲げてほしいと思うのですね。  10年後には3人設置を目指すとか、実際、これは目標値でございますのでどこまでと いうのがありますけれども、やはり強くアピールすることが必要かというふうに考えて おりますので、他に公衆衛生医師の研修とか、あと、大学との連携とか、いろいろ目標 があると思うのですね。最後に1枚でいいから「健康日本21」のようにPRをしてい ただきたいというふうに考えておりますけれども、これは報告書をどうまとめるかとい うこと、資料3のことです。  納谷座長  ありがとうございました。事務局の方からも指針なり、数値目標と年次計画みたいな こと、御提案あるようでございますので、他に何がございますか。どうぞ、小幡先生。  小幡委員  アンケート調査結果については特に自由記述のところなどもなかなかいろいろ書いて ございますし、興味深い結果が出ていると思います。  ただ、これは保健所設置自治体127団体、100%回収ということでございますけれど も、やはり自由記述のところにもございましたけれども、東京とか横浜のように応募倍 率がもう今でもあると。その中から選りすぐりを選べるという自治体と、そもそも公募 と言ってホームページを開いて集めたって誰も来ないというところと、それが結果的に はずっと並列的にアンケートにずっと上がっているわけでございまして、要するに日本 の中でもの凄く地方公共団体のさまざまな場所的な格差があるということで採用計画な ども考えなければいけないわけで、出発点がもうかなり違うところのが一緒に平坦に並 列されているなという感じがちょっといたします。  ですから、例えば地方によっては今、公立病院の臨床医師でさえ、足りないと言って いるところで、複数設置など、保健所医師の複数なんてとんでもないというところも場 所的にあるかもしれないし、片や、東京のようなところもある。だから、それをなかな か数値目標もそれは掲げた方がよろしいとは思うのですけれども、はじめから自治体に とっても受け取り方、こんなのはもう自分のところは、あるいはそういうところはむし ろ今、いらっしゃる保健所の医師のスキルアップと言いますか、そちらの方に重点が置 かれるということになるのだと思いますが、少なくとも採用のところは非常に多分、出 されたこの報告書についての受け取り方が凄く自治体によって違うだろうと思うのです ね。  ですから、そのあたりをどういうふうに書いていくかというところかなと。受け取る 場所によって何だというところもあるかもしれないし、もう、土台、結構、努力したっ てもう一人もだめというところがあるところで、複数設置と言われても何か非常に逆に 要求だけ高いというふうに見えてしまうかもしれないし、そこら辺が照準の合わせ方が 難しいから、非常に格差があるということを認識した上でやはり報告書を仕上げないと いけないのではないかという気がいたします。  納谷座長  私、一言だけ、先生、おっしゃるとおりでございまして、まず、一番簡単なのは人口 規模だと思うのですね。例えば人口数100万のところと人口30万の中核市と同じような方 策が取れるのかということ、ございますので、その辺は完全に分けてということにはな らないのかと思いますけれども、ちょっとメリハリのついたものがいるのかなと。 例 えば人口300万同士、比較して、こちらは例えば45人の医者がいるけれども、こっちは 3人しかいないということであれば、こちら当然、もっと増やさなければいけませんけ れども、それが例えば人口30万、40万の都市の場合にはそれでは何人、配置すべきか と。あるいはそれはどういうふうな形で配置すべきかというのはやはり自ずとちょっと 計画も違ってくるのかなというふうに私は考えております。先生、どうぞ。  土屋委員  このアンケート調査に関して個別の具体的なことについてお伺いしたい。まず、学生 に対する実習の工夫であるとか、その中で卒後研修の話もちらっと出てくるのですけれ ども、今度の研修医師制度のカリキュラムの中の地域保健・医療の項で、保健所を選択 する者が結構いるということなのですね。これは今の状況で、これだけそれぞれの保健 所に格差があるということを、果たして学生諸君がその実態がわかってそれを選択して いるのかどうかですね。  学生は、実習という格好で卒前にできるといいでしょうし、また、卒後の臨床研修の 中で、医師会の立場としてはこの機会に地域の保健・医療とプライマリーケアを含めて 勉強してもらうことが必要かなと思っています。しかし、これだけ全国的に格差がある としますと、さきほど高野先生が人員不足のことをおっしゃいました。その元は何かと 言うと地方自治体の財源なのですね。この格差を少しでもなくすためには、やはり国が 何らかの直接的な具体的な方策を講じる必要があるのではないかと思います。  学生諸君、あるいはこれから研修を受けようという若い諸君たちがそういうつもりに なっていただけるといいなと思って、この国立保健医療科学院の研修についてお伺いし ます。保健所長さんになるための単なるコースということではなくて、知れば知るほ ど、この分野に対するあこがれみたいなものを醸成するように、この報告書が彼らが公 衆衛生の分野を志向するひとつの指針にもなればいいかなと思って敢えてそういう言い 方をさせていただきます。この公衆衛生の勉強をしたいという者、学生等を篠崎先生の ところでお受けになれる状況にはないわけですか。  地方で保健所の医師すら確保できないところで研修は不可能ですので、この道をどう かなと思っている若い諸君たちに科学院はきちんとした指導者も揃っているわけですの で、本当の正統派の公衆衛生医師をそこでまず、教育できると言いますか、そちらに誘 導するひとつの方策になるのではないかなと考えるのですが。  篠崎委員  今、高野先生からお話がありましたので、そのことも含めてちょっと御意見を申し上 げますと、まず、今、先生がおっしゃったのはこのアンケート調査の12頁ですかね。12 頁の一番下の方に保健医療科学院での医学生向けの研修会の実施というのが、その他の 意見のところでありますが、これを受けて、今日、曽根部長も来ていますけれども、可 能だと思うのですよね。うちの方は授業料、原則ただですから、実費だけなものですか ら、そういう意味ではそんなに費用がかかるというわけではないのだと思います。  実は今まで民間の団体を軸として夏休みにこの公衆衛生の関心のある医学生のセミナ ーみたいなものをやってきたのです。ですから、これを契機に保健医療科学院の本来の 使命のひとつでもありますから、医学生に向けたこういうものもやってもいいのではな いかなと思っています。ただ、既存のものに入れるのか、あるいは学生さんですから、 授業のあるときはなかなか難しいのだとすれば、そういう夏休みとか、あるいは学年が どのぐらいのことだとかというのがあるのかもしれませんが、ですから、そういう意味 では特別な別なものを作るのか、既存のものに入ってもらうのかを含めて、私どもも前 向きに検討したいというふうに思っています。  せっかくの時間でちょうどいいですかね。続けていいですか。  納谷座長  はい。どうぞ。  篠崎委員  このアンケート調査、非常に短い時間によくおまとめになったと思いますが、今、高 野先生からお話もあったようにむしろネガティブな、なぜ、できないかというような方 の情報が非常に価値があるのではないかというふうに思っていますけれども。今のとこ ろで申し上げようと思っていたところだったのですけれども、11頁に例の臨床研修の期 間が何か1週間とか何とかと書いてあるのですね。これは少し短いのではないかなと。 臨床研修で1週間だとほとんど見学と同じですから、そこにも地域保健・医療の中での 保健所実習なのですけれども、原則は最低でも1か月単位ぐらいが必要なのではないか なというふうに思います。  あとは次に骨子案は今、大井田さんがおっしゃいましたけれども、そういうこれでま とめていかれたらいいと思いますけれども、その資料の4の基本的枠組み案ですか、こ こについてもちょっとコメントをさせていただきますと、2頁ぐらいのところになるの かなと思うけれども、検疫所、ちょっと申し上げた、保健所がもちろん中心でいいので すけれども、公衆衛生医師ということから検疫所の医師のことも含めた方が、つまりパ イを広げておいた方がいいのかなと思いますが、検疫所という言葉がちょっと少なくて( 2)の国(検疫所を含む)と括弧になっているから、もう少し検疫所という言葉を入れて もらった方がいいのではないかなと。  例えばここのところも括弧を取ってもらうとか、あるいは交流のところがありました よね。3頁のところでいろいろ人事交流などをやるところ、地方公共団体等との人事交 流ですか、こういうところに入れてもらうなりして検疫所という言葉を少し入れていた だいらいいのではないかなというふうに思っております。  3頁の(3)の中のどこかなのですが、卒後臨床研修のところで今、申し上げたよう な2週間以上、これ2週間以上となっているのですね。単位は普通は最低単位が原則1 か月となっているものですから、もうちょっと増やしてもらった方がいいのではないか なと。もちろんさっき角野さんが言ったようにやれるところとやれないところがあるの かもしれませんが、その辺の表現も工夫してまとめをしていただいたらと思いますが、 よろしくお願いいたします。  納谷座長  他に先生、ございませんでしたら。末宗先生。次に高野先生。  末宗委員  アンケート調査を拝見して自治体側の特に人事当局の理解をもっと高めなければいけ ないというようなご意見があったわけでして、私もそのように思っていまして、前も言 いましたけれども、やはり保健担当部局だけの問題に留まっちゃっているという感じが するのですね。人事担当部局に対して各部局からそれぞれ自分の分野が大事です、人を 増やしてくださいと、皆、いろいろ言ってくるわけですね。農業が大事だとか、BSE が出たら獣医師が大事だとか。一方で、どうしても全体の採用人数は限りがあるという か、今、いろいろと財政状況も厳しい中でスリム化を図っていく中でどういう優先順位 をつけていくかという議論にならざるを得ないわけでして、そういう中で、健康危機管 理だとか、感染症対策、これは非常に大事な問題でより、保健所の業務でもそっちの方 がだいぶ大きくなっていると思いますし、やはりその重要性というのを保健担当部局だ けではなくて管理部門も含めて認識する、あるいは大学を含めてある程度のレベルで連 携をしていかないと担当者ベースの連携ですとどうしてもそこで留まっちゃうというこ とがあるので、さきほどの基本的な枠組みの2頁でも各機関の連携というのは(5)であ るのですけれども、それは少し高いレベルで協議を行う場というのが必要なのではない か。認識をまず共有することが一番最初なのだろうと思っております。  今の2頁目の公衆衛生医師の育成方策、(1)のところに研修計画とかいろいろ出て いるのですけれども、私の県庁の中でも医師ではないのですが、例えば獣医師さんとか で、保健所長ができそうな人材はいるように思うのですけれども、要件に合わないから できないということになっているわけですね。せっかく要件も緩和したわけですから、 これもまたすぐに養成研修とかも始めるのでしょうけれども、そちらの活用とかも図っ ていくことも書かれてはどうかなというふうに思います。  今回の育成方策は全部が最初の大学を出たての人を想定しているようですけれども、 要件緩和も行ったわけですから、その活用方策なりも指摘されたらどうかと思います。 以上です。  納谷座長  事務局の方からその要件緩和についてここに何かお考えございますでしょうか。  平子補佐  今、ご指摘いただきましたように保健所長の資格要件につきましては4月23日の段階 で今まで医師だけであった原則は変わりませんけれども、止むを得ない場合にのみ、そ の他の技術吏員の方になっていただける場合もあり得るのかという方針を出させていた だいているところですが、これについては本検討会の趣旨としても、だから、足りない から違う人にというのではなくて、公衆衛生医師であることは一番大事なのですよと。 でも、どうしても足りなかった、だから、セットでそういった確保についてもやってい きましょうという考え方であったかと思います。  そういう意味においては少しそういった内容というのは、この指針から言えば趣旨が 異なるのかなという感じかしますけれども、その辺のところは少しまた御議論をいただ ければというふうに思っております。  納谷座長  そもそもできたときのあれが医師をそれではどう確保するのかという議論ではあった かなというふうに思うのですが、しかし、既に要件緩和されておりますので、その辺を どういうふうに折り合いをつけるかということもテーマかと思いますが、高野先生。  高野委員  さきほどアンケートの内容についてコメントをさせていただきました。議論の内容が 検討会の進み方が基本的枠組みの方にも入っていますし、自由にということで、この基 本的枠組み、資料の4ですね。今度はこれについて意見を述べさせていただきます。  まず、第一にさきほど篠崎先生が言われたこと、非常に大事で、一般には公衆衛生医 師イコールそのまま保健所医師というふうに誤解される向きもあるのですね。今度のア ンケートをやってみましていくつかお問い合わせをいただいた中にも公衆衛生医師イコ ール保健所医師というふうに誤解をされている方々もいらっしゃいました。ですから、 ぜひ、これを発表するにあたっては公衆衛生医師はもちろん保健所医師含みますが、も う少し幅広いものであると、あるいはもう少しではなくてかなり幅の広いものであると いうことで力点を置いていただかないと誤解をされると思います。ちゃんと読んでもら えばわかるのだと、こういうわけですけれども、一般にはやはりわかりやすい方がいい わけですから、世間は誤解をするのだということから出発して少しくどくなるかもしれ ないぐらいに、そこははっきりしていただいた方がいいと思います。  具体的なところに入りますが、頁の3頁です。ここで(3)で公衆衛生医師の職務に 関する普及啓発というところに(1)から(4)までこの3頁には見えますが、その後、(5)、 (6)ありますが、まず、(1)に学生に対する講義の工夫と言いますが、ただ、講義の工夫 というのを環境整備に関する基本的枠組みのタイトルとして適切かどうかちょっと私に は自信がなくて、講義と実習と併せて学生に対する、例えば教育プログラムの工夫と か、そういうふうにしていただけると医育機関側ではかなりの選択の余地を持って進ん でいるところはより進み、立ち遅れているところはそれぞれの条件に応じて進めるとい うことができますので、あまり講義と実習とはっきり分けずに教育プログラムの工夫と いうことでこの2つをまとめていただけると取り組みやすいと思います。  これも篠崎委員が言われましたことで私も大賛成なのは、やはりもう少し国の責任を 明確に書いた方がいいと思います。国の責任というのか、国の役割ですね。それも前文 に書いてあるということはあるのですけれども、例えば今の学生に対する講義の工夫の 一番最初に地方公共団体等に勤務する公衆衛生医師がというふうにもなっているのです けれども、これは別に国に勤務していてもいいわけですね。国に勤務している公衆衛生 医師が大学に来ていろいろ話をしてくれるということは学生にとって非常にいいインセ ンティブに、いい教育になりますので、ここにはやはり国という言葉を入れる必要があ るのではないかと思います。ぜひ、入れてもらいたい。国に勤めていたら講義を行えな いというのでは、これは困るわけですから、国を入れてもらいたい。  同じようにポツの2番目ですけれども、医育機関の求めに応じて積極的に講師の派遣 を協力すると。これもやはり国をぜひ、入れていただきたいと思います。国には求めて も派遣に協力してもらえないのかとなるとこれは大変なことですので、これも国という のを入れていただきたい。  その次の(2)で学生に対する実習の工夫とあります。ここはぜひ、教育プログラムの 工夫ということで一緒にしてもらいたいと思いますが、ここでポツ1で地方公共団体の 後に保健所における学生の夏期実習とありますが、これもちょっと限定しすぎているの ですね。夏期ではないときにやっている大学も今、たくさんありますし、行く先もいろ いろなところに行っています。例えば本学では検疫所にも実習に御協力いただきまして 学生に教育の機会を与えていただいています。  そういう意味でここも国、地方公共団体というふうにしていただいて、保健所だけで はなくて保健所等ぐらいにして、もっと他にもあるわけですので、保健所等におけると いうふうに等を入れてもらいたい。学生の夏期実習の夏期は全く不要で学生の実習でい いと思います。学生の実習の中には夏期実習も含まれるわけですから、これは夏期は取 ってもらいたい。そこのポツ1はそういうことです。  ポツ2ですけれども、これは保健所実習において述べているのでこれはこれでいいと 思いますが、一言入れてもらいたいのは公衆衛生医師が企画調整を行いですけれども、 公衆衛生医師が大学教員とともに企画調整を行い、指導も直接実施するというふうにし ていただきたい。  これは理由が2つありまして、ひとつは保健所側からのクレームとして大学は丸投げ をしてきて、ただ、学生を送ってくると。丸投げをされても困るなというクレームがと きどき聞こえます。もうひとつは、これは今度、大学側からのクレームですけれども、 お願いをすると非常に特殊な先生がいて非常に特殊な人生哲学の下に非常に特殊なこと を教えると。そして、学生の方で困っちゃっていると。そういう問題があります。  これはその他のところに教える内容についてガイドラインがあった方がいいのではな いかとか、あるいはマニュアルが必要であろうと。料理の本のようなマニュアルは教育 ですからありませんけれども、ガイドラインなり教育のマニュアルというものが必要で あるというような御意見がアンケートの中にもありましたので、ぜひ、ここは公衆衛生 医師が大学教員とともに教育も責任をシェアする、その行う内容もシェアすると、場所 もシェアするというふうにしてお互いシェアしあう方がスムーズにいきますので、これ はぜひ、大学教員とともに企画調整を行いというふうに入れていただきたいと思いま す。以上です。  納谷座長  公衆衛生医師というのは少なくとも保健所と大阪などでは本庁に随分おりますので本 庁の医師、あとは非常に微妙なのは研究所ですね。研究所でもかなり細かいことをされ ておられる方もおられれば、例えば研究所というのか、センターというのか、精神保健 福祉センターにおられる方が、また、保健所にローテートするというようなこともあり ますので、それぞれ細かいことまではいらないと思いますが、などとか、あるいはこう いうところにというようなところで少し例示を上げていただいたらもう少し広がるのか なというふうに思いました。  人数の指標なのですが、さきほどちょっと中核市というようなことも申し上げました けれども、例えば人口10万に何人というようなことが言えるのかどうかですね。ちょっ と大阪で漠然と計算しましたら10万に1.5人ぐらいいるのかなと。そのうちの0.5人は本 庁が結構おりますので、保健所には10万に1人ぐらいなのかなというふうな漠然と漠と した計算ですが、そこぐらいまで果たしているのかどうか。  そうなりますと少し127の自治体の、今さら難しい調査はいいのですけれども、人口 規模とそこにいる保健所、本庁、プラスαぐらいの医者の数がどれぐらいなのかという のは分布みたいなことがもし、わかればありがたいのかなと。やはり小さいところと大 きいところで随分違うと思いますし、中核市などでは県やら府との人事交流という形で しかなかなか確保が難しいというようなこともあるのではないかというふうに思いまし た。ちょっと座長、勝手に申し上げておりますが、何か他にどうぞ。  小幡委員  私も公衆衛生の医師というのは非常に重要だと思っておりますので、高野先生、おっ しゃるように保健所と言わないでも公衆衛生医師をなるべく育成していくというポジシ ョンの方がよろしいのではないかと思います。  さきほど末宗委員のおっしゃったことと絡みますけれども、今の公衆衛生医師を増や すということは要するに結果的に別に保健所長に限らず、保健所に行く医師というのも 増えていくということでありますので非常に望ましい、当然、複数と言いますか、望ま しい状況になる。若い人でも保健所に入ると。非常にそういう形で進めていくのが一番 よろしいのではないかなと思います。  前の検討会とのやはり、私、前の検討会におりましたので、そことの連続性と言いま すか、関係で申しますと、例の保健所長の縛りを緩和されたということになっておりま して、ここは要するに保健所長という言い方はなくて保健所に、だから、あまり保健所 と言わない方がいいというのは賛成ですけれども、少なくとも公衆衛生医師の育成とい う形での報告書でございますので、それはそれで別に保健所長云々ということを言って いるわけではないのでよろしいかと思いますが、やはり最後の方に地方公共団体にとも かくもっともっと頑張れ、頑張れと言ったって地方公共団体としては前の検討会のとき にはもうとても大変だから、せめて保健所長を医師という縛りはなくしてくれというこ とで前の検討会の話になったわけですね。  それで原則は維持するけれども、例外を認めるというふうな方向での決定がされてい るわけですので、そのあたりのこともちょっと書いておくということ、それをどういう ふうに検討されていくかというのは私は存じませんが、自治体にただ、頑張れ、頑張れ と言うだけのものになってしまいますと、もう大変、非常に温度差というか、地域格差 がもの凄くあるのですね。大丈夫なところはもっともっと充実した公衆衛生医師を配置 できるし、だめなところはもう保健所長も困るからせめて例えば若い人でも来てくれる という人がいればほしい。そういうふうな格好のところも当然、地方にはあると思いま すので、そこを前の検討会との関連でいけばやや最後のところに行動計画でこういうふ うにしていくけれども、少なくとも保健所に公衆衛生医師が必要だというのはもう必須 ですので、その上で保健所長をどうするかという話はちょっとまたそれは前の検討会と の絡みで、若干、何か書いておいた方がよいのではないかというふうな感じがしまし た。  ですから、若い人でもともかく公衆衛生医師は絶対配置してほしいと思いますし、そ の上での保健所長が例えばどうしてもしょうがないので併任とかというふうな状況にな るというのが前の検討会でも問題になっていたわけですね。保健所長はいないと。です から、こういうふうに公衆衛生医師をどんどん確保していって、将来的にはそういうこ とがもちろんなくなればそれはよろしいのでしょうけれども、若い人しか例えば来ない ということであれば、それを保健所長にというのは難しいということになれば、当然、 考えなければいけないと思いますので、並行してこれはまさに環境整備なのですけれど も、その中でもそういうことは考えられているよというふうなことは出しておいた方が よろしいのではないかと思います。  国の責任をもうちょっとと高野委員がおっしゃいましたように、私も自治体にもっと 頑張れ、頑張れというふうに言うだけでは、それは前の検討会でも自治体は頑張ってい てもなかなか難しいことがあるよというふうな話でああいう結果になったわけですの で、したがって、国としてこの公衆衛生医師を本当に育成していくよというところを国 の責任ということは出していかなければいけないのではないかと思います。  末宗委員  関連なのですけれども、さきほどの高野先生、あるいは小幡先生と同様に、私も公衆 衛生医師の育成という意味でそれが大事であって、ただ、そうすると資料4の「はじめ に」がやはりちょっと保健所にとらわれすぎておりまして、「保健所が重要な役割を果 たしており、その機能を充分に発揮するためには」とあるのですが、保健所だけではな くて本庁でも健康危機管理業務が増えて、そこに従事している医師もかなりいるし、精 神保健とか、配置を見ると保健所以外もかなり医師がいるわけですね。  だから、公衆衛生医師が幅広く活躍している状況の中で「はじめに」を捉え直さない といけないと思います。保健所に限らず、事象として健康危機管理業務とか、そういう のが大きなウエイトを占めてきているからやはり熱意のある公衆衛生医師が必要だと か、もう少し幅広げた方がいいように思います。  もうひとつは、これは人事交流の話が2頁の(1)の(2)だけに小さくなっているよ うな気がするのですけれども、やはり今、うちの県でも厚生労働省から来ている方でや はり立派な人がいて、そういう意味では資質向上にも結構役に立っている面がありま す。ですから、例えば、地方公共団体、あるいは特に小さいところとかで要請があれば 厚生労働省の方も充分それを受けて派遣しますよとか、あるいは4頁の国の役割のとこ ろになるのかわかりませんが、国の役割としてもう少し人の面でも要請があれば支援す るとかを書かれた方がいいのかなというふうに思いますけれども。  納谷座長  ありがとうございました。ぜひ、そこら辺はもう少し膨らませていただきたいと思い ます。  この際、篠崎先生にお伺いしたいのですが、いわゆるMPHのコースですね。我々、 現場で話をしておりますと是非、行かしたいねと話しているのですけれども、1年間と いうのはなかなか難しくて、例えば定時制のような、あるいは例えば1年を3年に分割 するとか、あるいはオーストラリアなどでよく行われておりますが、いわゆるインター ネットを使った、それだけではないでしょうけれども、スクーリングとそういうものと いうような併用とか、何かその辺は実際やっておられるのであれば、私が単に知らない だけなのですけれども、ちょっと教えていただきたいと思います。  篠崎委員  インターネットの活用で教材的なものは事前に読んできてもらうとか、そういうふう にして集まっていただいたときにはもうディスカッション、すぐ始められるような、そ ういうカリキュラムと言いますか、研修内容にしていきたいと思っています。  今でも前期、後期と分けているのですけれども、On The Job Trainingも兼ねていま すので、ぜひ、そういう形は残して、もうひとつ、海外研修を何とか入れられないかな というふうに思っております。授業料は原則、私ども、ただなのですけれども、そうい う意味で若干、実費はいただくようにしまして研修内容の充実を図りたいと思っており ます。曽根さん、何か追加することありますか。  曽根公衆衛生政策部長  現在も本院で遠隔教育を実施しておりまして、来年度は10数科目、開講予定にしてお りまして、かなりそれで今の保健所長コースの分割後期でも単位を取る方が大変増えて おります。  また、現在、うちで行っております選択科目につきましても現在は一月の間に毎週何 曜日というふうな形で開いておりますけれども、来年度からかなり1日乃至2日で集中 的に単位を取れるような、そういうふうな選択科目の配置も考えておりまして、そうい う形で保健所長コースの方も何か月かは科学院でやっていただいて、その残りを3年乃 至5年ぐらいの間でそういう遠隔教育なり、あるいは選択科目、あるいは本院で提供し ております短期コース、短いものから長いものまでいろいろありますけれども、そうい うものを適宜取っていただいて単位を獲得していただいてMPHを修了するというふう な方向でより取りやすい形で現在、検討しております。  納谷座長  ありがとうございました。何か他にございませんでしょうか。だんだん時間がなくな ってきましたが、もう既にあれば申し訳ないのですけれども、私、今、自分自身が火が ついておりませんのであまり一生懸命見ていないのですけれども、国主催のいわゆるW ebサイトですね。公衆衛生医師確保のためにというような、何かちょっとよく外国な どでは綺麗な写真入りでありますが、そういうものを作っていただいてそこからまた今 度は東京なり、茨城県なり、飛べるようなリンクをするというような、あるいはもちろ ん先生のところが主になっていただいてもいいのかなと思いますが、かなり今、いろい ろな雑誌などでもこの検討会が注目されておるようでございますので、ぜひ、そういう 中央のWebサイトがあって、それに地方がリンクをすると。そうしますと地方の方も ないところはぜひ、作りたいということになると思いますし、あるところも充実させら れるのかなというふうに思うのですけれども、そこら辺は事務局の方、いかがでござい ますか。もうあれば紹介していただきたいのですが。  平子補佐  今、おっしゃっていただいたような公衆衛生医師の業務なり、魅力を伝えるようなW ebサイトというのは一部、大学の方で作っていただいているところはあるようなので すけれども、現在、厚生労働省の中のホームページではまだできていないと思います。  それにつきましては今後、どうするのかというのは現在、検討中でして、そういった 普及啓発の部分につきましてはこの検討会においても随分、御指摘をいただいておりま すので、現時点では予算要求も含めてどういった形で普及啓発をやっていくのかという のはしているところでございます。  納谷座長  ぜひ、何か、いろいろ例えば参考になるいい本を紹介したり、いろいろなところの、 今、雑誌も随分出てきておりますけれども、そんなところとのリンクをしたりして、国 がすべていいのかどうかちょっと疑問に思いますけれども、若い学生や先生方にぜひ、 見ていただけるような、あるいは我々がときどき見て参考になるような、そういうもの をちょっと考えていただいたらと思いますが。ぼちぼち時間がなくなって、最後にどな たか、はい、先生、どうぞ。  土屋委員  例の医師以外の者が保健所長云々という話ですけれども、これは、あくまでも暫定的 と言いますか、期限付きの、できるだけ早めにドクターである保健所長を確保しなさ い、ということだと認識しています。保健所長の職務の在り方に関する検討会の提言と しては。医師と同等以上という何か文言があったと思うのですけれども、そこでMPH のことを伺いますけれども、MPHというのは必ずしも医学部を卒業した者でない者も 行っているわけですよね。曽根先生。  曽根公衆衛生政策部長  一般的なMPHに関してはそうです。はい。  土屋委員  それを卒業した者が保健所長としての要件を満たしたということになるのでしょう か。  平子補佐  今、おっしゃっていただいたMPHというものにつきましては、その名のとおり、公 衆衛生学修士ということで公衆衛生の素養があるというものだというふうに思います。 今回の資格要件の中でも医学的知見というのはそれと別途に議論されておりますので、 医学的知見+公衆衛生の知見+管理能力と、主に3点セットというふうに考えておりま す。だから、そういったものをまず、こういった保健医療科学院で行われておりますい わゆる保健所長コースにつきましてももともとそういった医師であって、医学的知見が あるという方がプラスα、公衆衛生を、また、管理能力的なものを養成した場合に保健 所長としては可能なのではないかと、適切な方ではないかというふうな考え方で運用し ており、今後もそのような形で運用していくのではないかというふうに思っておりま す。  納谷座長  時間がなかなかないのですが、そろそろ時間でございますので、今後の予定とおそら く言い残したことというか、いろいろあろうかと思いますので、ぜひ、その辺はFAX なりメールなりで事務局にお寄せいただいて次回につなげていただきたいと思います。 では、事務局にお返しをいたします。  横尾地域保健室長  次回の予定でございますけれども、次回、第5回になりますが、できれば報告書案を 検討するということで、できれば年内と言いますか、報告書をまとめたいというような ことで作業をしたいと思っております。日程は現在、委員の皆様方には日程調整表をお 送りして現在、調整しているところではございますので、日程等が決まり次第、お知ら せいたしたいと思っております。11月の中旬以降ぐらいにできればやりたいなというよ うな形で今のところ考えております。  報告書等につきまして事務局案で次回、出すということでございますけれども、特に 言い足りなかったということとか、気がつかれたことがございましたら、ぜひ、事務局 の方にFAXでも御連絡していただければ非常にありがたいと思っております。よろし くお願いします。  納谷座長  どうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省健康局総務課地域保健室 石関(2336) 須藤(2334)