04/10/18 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成16年10月18日議事録         薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年10月18日(月) 15:00〜   厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(11名)五十音順   井 上 和 秀、 岩  崎   学、 金 井   淳、 小 嶋 茂 雄、   首 藤 紘 一、 田 島 知 行、 谷川原 祐 介、 土 屋 文 人、  ◎永 井 良 三、 長谷川 紘 司、 村 勢 敏 郎、 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(6名)   河 村 信 夫、 堺   秀  人、○長 尾   拓、 南 部 鶴 彦、   早 川   浩、 樋 口 輝 彦 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川 原   章(審査管理課長)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   國 枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)、   伏 見   環(医薬品医療機器総合機構安全部長)、  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻よりわずかに早いのですけれども、先生方おそろいになりました ので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。お忙しい中お 集まりいただきましてありがとうございます。当部会委員数16名のうち、11名の御出 席をいただいておりますので、定足数に達しております。  審議に入ります前に、事務局より部会長の交替について御報告をさせていただきます。 河村部会長が健康上の理由から退任されました。それに伴いまして新たに部会長を選出 する必要がございます。薬食審の規定によりますと、委員による互選ということになっ ております。実は本日は長尾部会長代理に代わりに議事を進行していただくことを考え ていたのですけれども、御欠席ということでございますので、あらかじめ御相談をいた しましたところ、永井先生を御推薦いただきました。互選という形でございますので、 長尾先生の御推薦を含めまして改めて先生方から御推薦いただく形としたいと思いま す。特段長尾先生の御意見に異論がないようでございましたら、事務局としましては永 井先生に部会長をお願いいたしたいと考えておりますけれども、いかがでございましょ うか。 ── 拍手 ── ○審査管理課長 よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございました。 それでは永井先生に部会長席の方にお移りいただきまして、ちょっとごあいさつをお願 いいたします。 ── 永井委員、部会長席へ移動 ── ○永井部会長 東大病院の永井でございます。私も十分経験があるわけではございませ んけれども、また大変な重責でございますが、皆さまの御協力を得まして何とか務めを 果たしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは早速進行させていただきます。まず部会長代理を決めないといけないという ことがございます。この代理につきましては、審議会のルールで部会長があらかじめ指 名させていただくことになっているようでございますけれども、私といたしましては引 き続き長尾委員に部会長代理をお願いしたいと考えております。今日御欠席ですけれど も、事前に御了解を頂いております。いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。 それではそのように進めさせていただきます。  では、本日の審議に入らせていただきます。まず事務局から配付資料の確認、資料作 成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 事務局の方から資料の確認をさせていただきたいと思います。資料1〜6ま でが、あらかじめお送りした資料でございます。それから本日席上に配付させていただ いた資料といたしまして、議事次第、座席表、本部会委員の名簿。それから資料7とい たしまして、「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指 定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」。それから資料8と いたしまして、クレストール錠とアレジオンドライシロップ1%それぞれの専門委員の 名簿を配付させていただいております。  それから、平成13年1月23日の薬事分科会の申合せに基づきます資料作成に関係さ れた委員の確認でございますけれども、本日の審議事項の議題1につきまして村勢先生 が関与されておりますので、村勢先生には審議事項議題1の審議が行われます間は御退 席いただくことになります。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、本日は審議事項が3件、報告事項 が3件ございます。まず議題1につきまして総合機構から審査概要の説明をお願いいた します。 ── 村勢委員退室 ── ○機構 議題1、資料1、クレストール錠2.5mg、5mg及び10mg、一般名ロスバスタチ ンカルシウムについて、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本薬は塩野義製薬株式会社で創製されたHMG-CoA還元酵素阻害薬であり、当初塩野義 製薬により国内前期第II相試験まで開発が進められましたが、その後アストラゼネカ株 式会社に引き継がれ、欧米を中心に臨床試験が実施されました。  本邦ではICH-E5ガイドラインを適用し、国内用量反応試験を海外用量反応試験の ブリッジング試験として実施し、海外で実施された第III相試験を本邦へ外挿するクリニ カルデータパッケージで申請されました。なお、本薬は現在までに米国などの64の国と 地域で承認されております。  本申請の専門委員としては、本部会委員である岩崎委員を始めとして、資料8に記載 されております安原委員、北畠委員、朔委員、堀委員、横山委員、谷本委員、江馬委員、 林委員、奈良間委員の計10名の委員を指名いたしました。  次に機構における審査の概略について説明させていただきます。規格、安定性、毒性 及び薬理については、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に問題は ないと判断いたしました。薬物動態及び臨床試験成績のブリッジングによる海外試験成 績の外挿については、まず健康成人及び高コレステロール血症患者を対象に日本人と外 国人との間で薬物動態が比較検討され、同一用量を投与したとき日本人の血漿中未変化 体濃度は外国人の約2倍であることが示されました。次に有効性及び安全性に関する比 較については、国内外の用量反応試験の主要評価項目であるLDL-コレステロール値の 変化率の比較に加え、LDL-コレステロール値のベースラインの差、被験者の体重及び BMIの差、血漿中薬物濃度の差などから、日本人においては欧米人の2分の1の用量 でほぼ同等の有効性・安全性を示し、海外臨床試験成績の外挿は可能であると判断しま した。  よって、本邦では欧米での承認用量範囲5〜40mgの2分の1の用量である2.5〜 20mgの範囲に用量を設定することで、海外試験で検証された本薬の有効性が期待できる と判断しました。なお用法・用量の設定は、欧米において40mgの投与は、20mgを投与 してもLDL-コレステロール値の低下が不十分で、横紋筋融解症の危険性を有しない患 者などに限定されていることを踏まえて、本邦においては通常の増量は10mgまでとし、 20mgへの増量は重症患者などのより高用量での治療によるベネフィットがあると考え られる患者に限定することとしました。  一方安全性については、日本人を含めたアジア人種でHMG-CoA還元酵素阻害薬による ミオパシー・横紋筋融解症が発現しやすいことが知られており、海外試験成績から国内 における安全性を推定するには限界があるため、市販後の調査として調査期間12週の使 用成績調査及び52週の長期使用に関する特別調査を市販直後から実施し、使用成績調査 に関しては3か月ごとに集計、報告を行うことで市販後早期に国内における安全性を確 認することとしました。  以上のような検討を行った結果、本申請を承認して差し支えないと判断し、本医薬品 第一部会において御審議いただくことが適当と判断いたしました。  本薬は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年、原体及び製剤は毒 薬及び劇薬のいずれにも該当せず、また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれに も該当しないと判断しております。なお、薬事分科会へは報告を予定しています。御審 議よろしくお願いします。 ○永井部会長 ありがとうございました。御意見、御質問等いかがでしょうか。海外の データを外挿したということでございますが、血中濃度が日本人は高くなりそうだとい うことで、半量で認めようということでございます。どうぞ。 ○岩崎委員 審査に携わった岩崎です。今の機構の判断は非常に適切であると審査のと きも思ったのですけれども、2.5mgの有効性等について臨床試験の中で余りきちんとし たエビデンスがなかったと記憶しているのですが、それについては御見解をお伺いした いと思います。 ○機構 その辺のところは専門協議でもかなり御議論いただいた点なのですが、日本に おける臨床試験というのが、用量反応試験が1群20例に満たない他群間の比較の試験 と、家族性高コレステロール血症患者を対象にした一般臨床試験成績しかございません で、患者さんへの投与症例は200例に満たない程度です。  今回2.5mgのデータというのは日本人におきましては20例に満たない症例数しかな く、またサロゲートエンドポイントであるLDL-コレステロール値の低下率でしか見る ことができないのですけれども、その低下率の単純な数値的なデータを見ますと、これ まで承認されてきております5種類のスタチンと言われるお薬の低下率と遜色がないと いうこと。あとは海外のデータですとちょうど5mgの低下率に数値的には大体対応する のですが、海外の5mg、10mgというのはシンバスタチン、プラバスタチン20mgとの非 劣性が検証されておりますので、現在日本において承認されているスタチン類の初期用 量とほぼ同等以上の有効性は期待できるのではないかということで、有効性の点からは 開始用量は2.5mgと考えております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。 ○谷川原委員 この薬剤は御存じのようにThe Lancetの誌上で安全性に関するディベー トがかなり続けられています。最近までそういう論文が出ていて、一応私も気になった ので少し簡単に目を通してきたのですけれども、例えば直近の例ではセリバスタチンが 高用量とか薬物相互作用で薬物の暴露量が高くなったときに、横紋筋融解症等のリスク が非常に高くなるというのが数年前にありました。今お話がありましたように、日本人 の場合は暴露量が上がる。実際にThe Lancetの誌上でもリスク因子は高用量、薬物相互 作用、腎障害、日本人というふうに挙げられています。海外は1万例以上の安全性のデ ータがありますが、日本人の治験症例は、ちょっとよく分からないのですが200数十例 くらいではないかと思うのですけれども、そういう状況下で、本当に日本人における安 全性を十分に確認する前に承認してもよろしいのでしょうか。 ○機構 総合機構の方から答えさせていただきます。その辺のところは専門協議のとき もかなり御議論いただいた点です。まず現実的に承認前に日本人における安全性を確認 できるような臨床試験を実施できるかと考えますと、一番懸念される横紋筋融解症等で すと発現率が0.1%未満ですので、現実的に安全性を確認できるような臨床試験を実施 すること自体はかなり無理があるのではないかという議論になりました。そこで、市販 直後に早急に日本人におけるデータを収集できる体制をつくって承認を下ろすという形 はとれないだろうかと考えまして、現在のところ調査症例数1万例を目標に、市販直後 から1年間に症例数を組み入れて、1年3か月までの間に調査結果を一応出すという調 査期間12週の市販後使用成績調査の計画書を作成しているところでございます。こちら の方では特にThe Lancet上で問題になりました腎障害や肝障害、もちろん横紋筋融解症 等の骨格系に対する有害事象等も重要調査項目にして調査を行うということ。そちらの 調査報告は3か月に一度ずつ集計して総合機構の方に報告してもらうことにしておりま すので、早い時期に日本人での安全性がある程度確認できるのではないかと考えており ます。 ○谷川原委員 実施可能性というものと、そのエビデンスをどう考えるかなのですが、 例えば200数十例というのは今まで承認されたスタチンと比べて症例数が多いのか少な いのか同じくらいなのかということ。あとその位置付けです。この薬剤が日本の医療の 中でどうしても今すぐ必要なのかどうかと、そのリットの方が高ければ分かるのですけ れども、ある程度多くの選択肢がある中でそれをどう考えられたかということなのです。 ○機構 まず一点目のほかのスタチン類と比べての症例数の話なのですけれども、他の スタチンはすべて国内での開発ですので、今回のパッケージに日本での第III相試験が付 いたような形になっております。ですから、プラス承認されているスタチンの投与群が 100例ちょっとぐらいのものと、大体対照薬群というのを設定して、非劣性が検証され ているので、少なくともあと100数十例は症例数が上積みになっていると考えていただ いてよろしいかと思います。  それから、今承認されているスタチンと比べてのメリットなのですが、はっきり申し 上げてこれといったメリットは今までのところのデータからは読み取れないと思いま す。ただし、今あるお薬に比べて安全性、有効性それぞれに関して非劣性が検証されて いれば承認するという方向が一応類薬があるものの分野のときの審査の基準としてあり ますので、本剤の有効性に関しましては海外のデータで類薬との非劣性が検証されてい るという形です。安全性に関しましては、日本人でのデータは非常に少ないので議論が できないのですが、海外の1万例以上のデータからは特に類薬と比べて、例えば横紋筋 融解症の発現率が特に高いですとか、The Lancet上で議論になっております腎障害の発 現率が承認用量となっている範囲で特に高いといったデータは今までのところ得られて おりません。  現在までのデータから安全性面で特に劣るというデータはありませんので、総合機構 の方としましては承認するレベルには一応達しているのではないかと考えております。 ○田島委員 非常に各論的な質問かもしれませんが、このたぐいの薬は透析患者などの 場合は横紋筋融解症が大変発現しやすいわけで、ここら辺のことについては何か具体的 なデータはお持ちなのでしょうか。 ○機構 腎障害患者に関しましては、海外のデータなのですが、ある程度の腎障害のク レアチニンクリアランスの値で動態のデータが取られております。重篤な腎障害のある ような患者さんは本剤の血中薬物濃度が高くなりますので、そのような方に関しまして は1日最高用量を5mgまでにするというような対策は具体的にデータとして得られてお ります。あと添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」の部分に、そのデータ に基づく記載をさせていただいております。 ○田島委員 それは読めば書いてあるわけで…、ただ実際にそういうような患者さんに 対する具体的なデータはお持ちかどうかということを伺っているのですが。海外でです。 日本では当然ないでしょうけれども。 ○機構 具体的なデータと申しますと、実際に腎障害のある患者さんに投与しているの は臨床試験成績としてありますので、そちらのデータはあります。 ○永井部会長 あとフォローアップをしていくということでしたけれども、患者さんが 検査を受ける頻度は月に1回ぐらいで予定されているのですか。 ○機構 そこは計画書の中で、調査に入った患者さんについては月に1回肝機能や腎機 能などの検査を必ず受けていただくことにする予定にしております。 ○谷川原委員 今の市販後調査のことです。総合機構の方は御存じだと思いますが、I CHでファーマコビジランス・プランニングという市販後早期の安全対策のガイドライ ンがもういよいよ最終合意に到達しつつあるわけなのですけれども、その中にはやはり 科学的で実行性のある市販後調査をやらなければいけないことになっています。そうい った形で、ここの資料には出ていないのですけれども、もう市販後調査の実施計画書が プロトコルという形できちんと作成されているのでしょうか。 ○機構 例えば現実的にどのような頻度で検査を行うとか、検査項目はどのような形に するとか、あと調査表をどのような形にするというようなことは申請者と機構との間で 詰めておりますので、きれいな計画書の形でお示しすることはすぐにできると思うので すが、ちょっとこの場には用意しておりません。 ○谷川原委員 それは結構なのですけれども、ちょっと薬剤の適応から市販直後から急 激に使用患者が増える可能性がありますので、市販後数か月で副作用が続発するという ようなことを避けなければなりません。そのために計画は早めに確立して、発売と同時 にその計画をスタートできるような形に十分に詰めてから本当の承認を与えていただき たいと思いますので、よろしくお願いします。 ○土屋委員 先ほどの検査頻度でございますが、この添付文書(案)を見ますと1か月に 1回というような記載はないですよね。ですからそこら辺はきちんとしておかなければ いけない。それから用法・用量で20mgのときに特に気にしていて、そのときの書き方が 「定期的な尿検査、腎機能検査を行う」ということですが、そうするとその後に「定期 的な」というと肝機能であっても「半年に1回等」などという書き方しかないわけです から、そこはもっときちんと書いておかないとまずいのではないかという気がするので すけれども、いかがなのでしょうか。 ○機構 月に1回というところの検査頻度の話なのですが、一応そこは投与を始めてか ら最初の3か月間が問題となるような事象が一番起きやすいところなので、この期間く らいは多分月に1度くらい検査していただくのが妥当だろうということに今のところな っているようです。そこのところをきちんとしていくということで…。すみません、添 付文書の肝機能障害のところの半年に1度というのは、その後ずっと投与を続けた場合 などは半年に1度というのが類薬でもありますので、今のところそこに倣った形だけで 記載しております。具体的に投与を始めてからどれくらいの期間はどういう頻度で検査 を行ったらいいかというのをどこまで添付文書に書くかというところは、先生方とも相 談しながらもう少し詳細に検討して、記載内容を決めさせていただくということでよろ しいでしょうか。 ○土屋委員 現実として今もう約50%が院外処方になっているわけですね。そうする と、保険薬局等でも検査を受けられますかというようなことを確認したりすると思うの です。そのときにこのまま読んでいきますと、最初の3か月間は1か月に1回程度やれ ということは、この添付文書だけを見た人からはそういうチェックが入りにくいですよ ね。ですから、やはりそこら辺はきちんと記載すべきではないかという気がいたします。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。どうぞ、谷川原委員。 ○谷川原委員 別のことで、ちょっとデータの中なのですけれども、すぐにというわけ にはいかないのですが、こういう方向でもう一度データを整理してほしいのです。とい うのは、この資料の中身を見ますと、日本人と欧米人の違いをほとんど平均値だけで議 論していくのです。ところが同じ日本人でもばらつきがあって、実際にこういう患者集 団の中で個人差を引き起こす要因というのはどういうものなのか。例えば高齢者と若い 人の違い、体格の違い、体重の違い、腎機能、肝機能、いろいろな要因があると思うの ですね。その辺りは普通母集団薬物動態解析法というのでばらつきを引き起こす要因解 析をやって、それをすることによって血中濃度が高くなるような素因を持った人には用 量を低めにするなどの目安になる思うのですが、そういう点での母集団薬物動態解析と いうのは全くなされていなくて、ちょっと平均だけで議論するのは不十分だと思います。 高用量で副作用のリスクがあると言っても、例えば低用量でも腎機能障害等で薬物濃度 が非常に上がる人があれば同じくらいリスクがあるかもしれませんので、そういう影響 因子というのは解析した方がいいと思います。  もう一つは薬物の暴露です。血中濃度とかAUC等もその有害反応発現とどういう関 係があるのかというのはよく見えないところがあるのです。最近別の薬剤のガチフロキ サシンで高血糖、低血糖の副作用が問題になりましたが、あれはやはり血中濃度のAU Cと関連していて、高齢者では半量投与にすべきという報告も出ています。そういう見 方で同じように薬物有害反応と暴露量の違い、エクスポージャーとレスポンスの関係を 解析して、特殊集団に対する適正用量とか、もともとの用量設定の妥当性などといった 辺りも詰めていただけたらいいと思います。データがあればの話なのですけれども、今 後是非お考えいただきたいと思います。 ○機構 先生の御質問の、まず後半のエクスポージャーレベルと有害事象との関係の話 なのですけれども、審査報告書等に非常にさらっと書かせていただいていて、申請者の 方の資料もそこのところは出てこないのですが、一応照会・回答の中で腎障害、肝障害 を起こすような患者さん等の動態のデータがあります。薬物の暴露量と有害事象の発現、 主に臨床検査値の異常変動なのですが、そこら辺の関係があるかどうかというところは 解析を行ってもらっていまして、一応今まで行われてきた動態試験のデータからは暴露 量が上がるから必ず有害事象が高くなるというような傾向はないということは確認して おります。  あと母集団の薬物動態解析の件なのですが、本薬に関してはかなり動態を取られてい る臨床試験成績がございまして、そのような母集団解析等などもデータ的には可能かと 思いますので、どのような要因でやったらいいかというところは谷川原先生とかと御相 談させていただきながら、今あるデータで早急に申請者の方に解析をやってもらってそ の結果を確認したいと思います。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 二点ほど確認したいのですが、一つは10mg錠というのは割線はあるのでし ょうか、ないのでしょうか。 ○機構 割線が入っている製剤はございません。 ○土屋委員 5mgを2.5mgにするからというので5mgの方の割線のことをかなり議論さ れたのだと思うのですけれども、結局最近は医療機関にしてみるとリスクマネジメント の観点で、こういう3種類のものを扱うということはなかなかしないことになってくる のです。それから保険の方で5mgと2.5mgの2種類を扱っていたとしても、5mgを2錠 出すとそれは点数稼ぎなのではないかということで結構怒られたりすることがあるもの ですから、そこら辺は果たして本当に3種類の規格が必要なのかどうか。そういうこと も含めてなのですが、やはりそういったときに高用量のものが割線を持っているかどう かというのは以外と重要なことを意味しますし、治療費としても恐らく10mg半錠の方が 5mg1錠よりも安くなるわけでございますので、今となってはしようがないのかもしれ ませんが、そこら辺をちょっと確認したかったということです。  あと、この添付文書(案)の参考資料の半分が社内資料になっていますよね。今後この 社内資料というものを添付文書の参考資料に扱うべきかということは以前も議論があっ たと思うのですけれども、やはりちょっと社内資料が多過ぎないかという気がするので すが。 ○機構 前段の割線のお話なのですけれども、本剤は特に吸湿しますと原薬が壊れやす いというところがありまして、そのためにPTP包装のような形を採っております。本 剤の場合多分1か月分などの形で処方されると思いますが、そういう性質上の理由で割 線を入れてしまうと現実的にお薬がもたないということがありまして、割線は入れない という形になっております。 ○土屋委員 当初企業は2.5mgは割線で対応しようとしたわけですよね。そこら辺はち ょっと論理的には矛盾なのかなという気がしないでもないのですが。 ○機構 そこのところは機構の方で割線で割った後の品質の安定性を確認しました。一 応規格違いではあるのですけれども、1か月たつと規格値のぎりぎりになってしまいま すので、そうなると保存状態がもっと悪ければ1か月処方された後半のところは規格値 割れのお薬を飲んでいただくことになってしまいます。そこもあって、割線ではなく2.5 mg錠をつくってもらうという対応にしました。  もう一点の社内資料の件なのですが、確かに御指摘のとおり社内資料よりは公表論文 の方が望ましいということは重々承知しております。今回の添付文書も公表されている 部分はすべて公表資料に入れ替えてもらえるような形でここまで整備してきましたの で、今後社内資料となっている部分も公表等され次第そちらの方に切り替えていくよう にということは申し伝えたいと思います。 ○谷川原委員 今の資料の件なのですけれども、もしこれがそのまま世の中に出るとや はり分かりにくいと思うのです。というのは、海外と日本と用量が違うわけですよね。 そういった、なぜこういう用法・用量になったかなどの経緯がよく分かるように、やは り総合機構のホームページにある新薬承認情報集等でこういう社内資料等を引用してい るようなところとか、この用法・用量の設定の根拠になった部分というのは十分に情報 公開していただかないとちょっと世の中では分かりにくい内容ですので、その辺りをよ ろしくお願いしたいと思います。 ○新薬審査第二部長 今の先生の御指摘、海外と日本のドーズは違って、海外の論文を そのまま見れば日本と違ったドーズになっておりますので、情報提供のときに誤解を招 かないようにということは申請者の方にもこちらから指導いたします。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○岩崎委員 この専門協議で議論したのですけれども、当初申請者は5mgからという話 でしたよね。クリニカルデータパッケージが出た後で機構との話合いの中で2.5という 線が出てきて、私はその判断は間違っていないと思うのですけれども、これから、つま りそのクリニカルデータパッケージが出てしまった後にそういった議論をするのはちょ っと遅い。せっかく総合機構になったのだから、審査資料を出す前に例えば何ミリが適 当かというようなディスカッションぐらいはできると思うのです。その辺について、総 合機構になったということで御意見があれば。 ○新薬審査第二部長 こちらの方でもいわゆる対面助言などをやっておりますので、今 後はできるだけそういう場を活用するようにしたいと思います。ある意味で申請者の側 から来てもらうことはありますけれども、そういうようなことはできるだけこちらから も事前に言っていくように心掛けたいと思っております。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。はい、谷川原委員。 ○谷川原委員 細かいところで添付文書の書き方にちょっと分かりにくい部分がありま したので、御検討いただきたいと思います。「(3)併用注意(併用に注意すること)」の 「ワルファリン」のところなのですが、「ワルファリン使用中の患者に本剤を併用する 場合は、本剤の投与開始時、休薬時及び用量調節時」と書いてあるのですけれども、ど こかの文章ではその「開始時」というのが治療の初期段階では頻回にINRを測定する などとか、もう少し詳しく書いてあったようなのですが、これは大体同じ意味なのです か。 ○機構 もともと意図しているところは同じなのですが、先生に御指摘いただいた表現 等の方が分かりやすいかと思いますので、その辺はちょっと検討して直したいと思いま す。 ○谷川原委員 それと、やはりワルファリンとの相互作用もまだ少し気になる部分があ りますので、市販後調査の中で是非薬物相互作用についても重点的に調査していただけ ますよう、お願いします。  もう一点、7ページの「9.薬物相互作用」のところの一番下から3、4行目です。「制 酸剤を同時併用投与した場合、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hは46〜50%まで 低下したが、ロスバスタチン投与後2時間に制酸剤を投与した場合には、吸収の低下は 78〜84%まで改善された」というのは、これは低下率が78になったのですか。それとも Cmax及びAUCが78〜84まで改善したという意味ですか。 ○機構 後者の方の意味です。 ○谷川原委員 そうすると「吸収の低下は」というのは要らないと思うのですけれども。 ○機構 分かりました。その辺を直させていただきます。ありがとうございました。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。そうしますと、原則的にはこれはまず問題 ない薬剤だけれども、市販後の調査の在り方、重点項目、記載、あるいは市販後調査の プロトコル等、もう少し煮詰めが必要だということでございますね。その辺はまた更に 打合せをしていただいて、基本的には承認可ということでよろしいでしょうか。それで はそのように進めさせていただいて、薬事分科会報告とさせていただきます。  では、議題2に移らせていただきます。続いて総合機構から御説明お願いいたします。 ── 村勢委員入室 ── ○機構 それでは議題2、資料2、医薬品アレジオンドライシロップ1%の輸入承認の 可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。なお、本品目の審査 は医薬品医療機器審査センターにおいて審査を開始し、機構で引き続き審査を実施して いたものでございます。  アレジオンの有効成分である塩酸エピナスチンは、既に本邦において1994年に錠剤 が、2002年に内服液が、それぞれ成人の気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、 湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症等の効能・効果で承認されております。  今般、小児への適応拡大を目的として小児用ドライシロップ剤が開発され、承認申請 が行われたものです。塩酸エピナスチンを含有する製剤は、アルゼンチン、メキシコ等 15か国以上で承認されております。  本申請の専門委員としては、資料8に記載しております越前委員、加藤委員、川崎委 員、西間委員、三森委員、宮川委員の小児科医等を始めとする計6名を指名いたしまし た。  審査内容について簡単に御説明させていただきます。規格については審査の過程で記 載整備等を行っておりますが、最終的には問題ないと判断いたしました。  毒性については、ラットでの試験結果が提出されておりますが、特に問題となる所見 は認められていないと判断しております。  薬理作用については、最近の知見も踏まえ、例えばQT延長の可能性あるいは中枢抑 制作用等について確認しておりますが、特に問題はないと判断しております。  ADMEについてですが、小児での血中濃度への体重あるいは食事の影響等について 検討しており、特に高用量投与時に有害事象が多くなるといったことはなく、認められ た薬物動態の差が臨床的に問題となることはないと判断しております。  臨床成績ですが、小児アレルギー性鼻炎患者及び小児アトピー性皮膚炎患者において、 成人の半量を基本としてフマル酸ケトチフェンを対照薬とした二重盲検群間比較試験が それぞれ実施され、いずれも非劣性が検証されております。また、12週間程度の一般臨 床試験も別途実施されております。副作用発現率及び認められた事象は成人の場合と同 様であり、現時点で問題はないものと考えておりますが、市販後調査の中で更に安全性 を確認する必要があると考えております。  以上の審査を踏まえ、本剤について承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部 会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。  本剤は新剤型及び新用量医薬品であり、再審査期間は4年間、製剤は毒薬及び劇薬の いずれにも該当せず、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しな いと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審 議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御討議お願いいたします。 これはドライシロップにしたというところに新規性があると。 ○機構 今まで錠剤だけ出しているのですけれども、小児への適応拡大で飲みやすい製 剤の開発ということから、通常の現場の医師等の意見も参考にドライシロップ剤という 剤型を選択したということでございます。 ○永井部会長 いかがでしょうか。はい、岩崎先生。 ○岩崎委員 いろいろな試験がありまして、用量反応性があったりなかったりという感 じで見たのですけれども、プラセボとの比較はどこかの時点でやっているのでしょうか。 ○機構 この領域ではプラセボを対照とした試験は実施されておりません。補足でござ いますけれども、成人ではアトピー性皮膚炎あるいは鼻炎を対象としたプラセボ対照試 験は実施されておりますが、小児の領域ではないということでございます。 ○岩崎委員 というのは、物によっては自然に治るというか、時間の経過によって治る 可能性があるというのがありますよね。その辺はやはりきちんと薬効の評価ができてい るとお考えなのでしょうか。 ○機構 今回は鼻炎については通年性アレルギー性鼻炎を対象にしておりまして、基本 的には慢性的に症状を呈する患者を対象にしていると。アトピー性皮膚炎につきまして も、ヒドロコルチゾンという薬をベースとして塗っておりますけれども、それでもなお かつ症状のある患者を対象にしておりますので、基本的には比較的治りにくい、少量で 自然寛解は少ないだろうと考えられるポピュレーションを対象にしたということでござ います。 ○永井部会長 はい、谷川原先生。 ○谷川原委員 「用法・用量」の「1.アレルギー性鼻炎」と「2.蕁麻疹、皮膚疾患(湿 疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒」の表のところです。上の方はちょっと幅があ るのですけれども、下の方は「1g」、「2g」というふうに…、これは大体年齢とか 体重で計算される標準用量ですよね。なぜ上は幅があって下は例えば「24kg以上」で突 然「2g」に変わるかという…。 ○機構 これは成人の用法・用量を引きずっているということでございます。成人でア レルギー性鼻炎は10〜20mg、それから蕁麻疹の方は20mg。その半量ということでござ いまして、今回の小児の開発におきましても鼻炎の方は5〜10mg、あるいは蕁麻疹の方 は10mgをベースにやったと。我々もこの点は審査の途中で、そういう成績があるものの、 小児開発においてもう一度用法・用量を考えるべきではなかったのかというディスカッ ションはしておりますけれども、彼らの意見としては現状で成人の適応をとっている半 量を基本に開発を進めてきた結果こうなったということでございます。 ○谷川原委員 本来承認したい用法・用量というのは、アレルギー性鼻炎では1行目の 「1日1回0.025〜0.05g/kg」という用量なのですか、それともテーブルの方なのです か。 ○機構 基本的には上のプロキロ当たりの用法・用量が一番大もとになるであろうと思 いますが、下にかいてある表を用いて実際に非劣性試験を実施しておりますので、我々 としてはこのプロキロ当たりの用量は一番目安になるであろうと思っております。簡便 な方法としては、下の用量を用いていただいても特に差し支えはないだろうということ でございます。基本的にはこの用量でフマル酸ケトチフェンとの非劣性が示されており ますので、臨床的にはこの用量を用いていただくことで大きな問題はないだろうと考え たということでございます。 ○谷川原委員 分かりました。下の方が目安ということですね。あと次のポイントなの ですけれども、薬物動態の解析の中でポピュレーションPK解析という部分がありまし て、ちょっと資料を読んでいますと結構用量設定の根拠の一つとして使っているような 印象を受けました。以前審査センターの方とも一緒に作りました母集団薬物動態解説ガ イドラインというのがありまして、その中には用量設定の根拠の一つとして、こういう 解析の結果を使う場合はこの解析に対するバリデーションをしなければいけないという 一文があります。それは資料の中に含まれていないのですけれども、それはいかがだっ たのですか。 ○機構 この結果、特にガイドラインに記載しているバリデーションをどこまでやって いるかということでございますけれども、バリデーションと言えるほどのものはやって おりません。我々としてはこの母集団解析、PPKの取扱いについても議論しておりま すけれども、こういうものをやって最終的に成人との用法・用量比を研さんし、あるい は体重といったものを換算した場合に同等性が確認できたという位置付けで考えており ますので、これで最終的な用法・用量を決めたというふうには判断していないというこ とでございます。 ○谷川原委員 確かに小児の場合、成人と小児との間の用法・用量を議論するときに大 変有力な指標だとは思いますので…。ただ、やはりこのモデル解析が正しいかどうかと いうバリデーションはやっておいた方がよろしいかと思います。内容に関しては特に異 議はありません。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。はい、土屋先生。 ○土屋委員 瑣末な話でありますが、添付文書(案)の3ページに「4.高齢者への投与」 という欄があります。これは錠剤、液剤の方のものを引っ張ってしまったのかなという 気がするのですけれども、これは本来承認のということで言えば記載の必要はないので はないかという気がいたしますが。 ○機構 確かに小児を対象にしている製剤ではありますけれども、ではこの製剤がほか に使われる可能性はないのかと。これまでのいろいろな製剤の添付文書を見てみますと、 基本的に分かっている情報については書いているということでございますので、今回も 高齢者あるいは妊婦等への投与についても現状のアレジオン、エピナスチンの記載をこ こに書かせていただいているということでございます。 ○土屋委員 私がいろいろ調べた中では、やはり小児用、もちろんこれは「ドライシロ ップ」と言っているので小児用とはうたっていませんけれども、そういうものでもかな りの部分が「高齢者」という記載はわざと抜いてある。特にこの場合高齢者でも使える もので錠剤でないものとしては液剤があるわけですよね。ですから、本当にこれはそう いう意味で載せているのでしょうか。そうであるならばいいのですけれども、ほかの薬 との比較から言うと、どちらかといえば基本的には書いてないことの方が多いと思いま すが。 ○機構 ドライシロップ製剤の書きぶりについては、基本的には現状のエピナスチンの 製剤と合わせた方がいいだろうということです。どの程度高齢者あるいは妊婦等への投 与がなされるかということは現状では我々は把握していませんが、可能性はあるという ディスカッションはしておりますので、書いておいても別におかしくはないのではない かということでございます。 ○審査管理課長 ルールとして全体をどういうふうに整理するかということでございま す。私もちょっと今すぐどちらだったかというのがはっきり思い出せなくて申し訳ない のですけれども、一応ある情報はできるだけ提供するという形で添付文書の記載案要領 のようなものが決められているようにも思います。そこは添付文書の記載要領のルール の部分だと思いますので、御指摘を踏まえて少し見直しなり検討をしてみたいと思いま す。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは内容的には問題ないけれども、幾つか記 載の問題があるということで。そうしますと部会としては承認可と…。 ○岩崎委員 細かい話なのですけれども、統計解析についてちょっと伺います。投与前 値を共変量にした共分散分析が大体メインの解析になっていると思うのですが、投与前 値を共変量にするかどうかというのは統計的にもちょっと議論が分かれるところがあっ て、これに関してこの分野ではこういう分析が普通なのか、あるいはこうすることによ って、例えば傾きが同じとか違うとかいう何か新しい知見が現れるようなことがあった のかどうか、ちょっと確認させてください。 ○機構 投与前値はそう痒の程度、あるいは鼻炎のスコアに影響し、そこを一定にした 場合にはその後の傾き、変化量が一定になるということが分かっておりますので、投与 前値を含めた解析というのはこの分野では比較的一般的に行われているだろうと思いま す。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ承認を可ということで、分科会報告 とさせていただきます。  では、議題3にまいります。また説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3を御覧いただきたいと思います。諮問書という表紙が付いておりまし て、その次に黄色い紙で「審査報告書」という耳が付いている部分があると思います。 それの2枚目、左肩のところに「別紙」、「平成16年8月13日」とありまして、「希 少疾病用医薬品としての指定の可否に関する審査報告書」というタイトルの部分がある と思いますが、これに沿って御説明させていただきたいと思います。  本日御審議をお願いするものは、名称は「NPC-02」という開発コードの医薬品でござ いまして、物は酢酸亜鉛のカプセル剤です。対象疾病はウィルソン病。申請者はノーベ ルファーマ株式会社で、申請年月日は平成16年7月14日ということでございます。  まずオーファンドラッグに指定するかどうかというところのクライテリアの一つとし て対象患者数がございますけれども、「審査結果」の「1.対象者数について」というと ころを御覧ください。ウィルソン病は遺伝性銅代謝異常症で、銅が正常に肝臓から胆汁 中に排泄されず、肝臓・腎臓等に多量に蓄積し、重い障害を起こすと考えられていると。 この1の下の方ですけれども、我が国の推定患者数が約3,400名ということでございま すので、希少疾病用医薬品の指定要件としての対象患者数5万人以下は満たしていると 認められるということでございます。  それから2つ目のクライテリア、「2.医療上の必要性について」ということでござい ます。ウィルソン病治療薬としては既にD-ペニシラミン及び塩酸トリエンチンが承認さ れております。次のページでございますけれども、この病気は遺伝性疾患でございます ので、現状の治療法においても、また当該薬物においても対症療法となって、治療を半 永久的に継続することが必要になってくるということから、長期投与においてより副作 用の少ない薬が求められております。既承認薬でございますD-ペニシラミンはキレート 剤で効果も大きいのですけれども、白血球減少症、無顆粒球症、顆粒球減少症などなど、 重大な副作用が発現するおそれがあると。それから塩酸トリエンチンにつきましても、 全身性エリテマトーデスや間質性肺炎といった重大な副作用の発現のおそれがございま す。一方この薬物につきましては、2003年に米国肝臓病学会が作成いたしました「ウィ ルソン病実地ガイドライン」によれば、主たる副作用は胃部不快感ということでござい ます。それから最近の欧米の教科書におきましても、亜鉛製剤がウィルソン病患者の維 持療法及び発症前患者での第一選択薬とされており、多くの患者に使用されているとい うことでございます。以上から、医療上の必要性もあると認められるということでござ います。  それから「3.開発の可能性について」でございます。この薬物は1997年に米国にお きまして既に承認されておりまして、臨床においても使用実績がございます。本年の9 月より国内でも第III相臨床試験及び製剤の規格・安定性試験を実施することとしており、 開発の可能性もあると考えられます。  以上から、機構からは審査の結果本品目を希少疾病用医薬品として指定して差し支え ないという報告を受けております。以上でございます。よろしくお願いします。 ○永井部会長 ありがとうございます。では御質問、御討議をお願いいたします。この 臨床試験のプロトコルあるいは組織等については、もうフィックスしているのでしょう か。それは今回の審査には余り関係ないのですか。まずオーファンとして認めてという ことになるわけですね。 ○審査管理課長 「品目概要」というところに別紙2がございまして、その下の方に開 発状況が書いてございます。一応我が国の方でも機構との間で治験相談(対面助言)を5 月に実施し、フェーズIIIのプロトコル案について助言を受けているということで、並行 してやっている状況でございます。直接指定とは関係ございません。 ○永井部会長 ということですが、もし御意見ございませんでしたら指定を可として分 科会報告に上げさせていただきます。よろしいでしょうか。ではそのように進めさせて いただきます。   次は報告事項でございます。機構から御説明お願いいたします。 ○機構 報告事項につきましては、議題1〜3をまとめて御報告させていただきます。  まず議題1についてでございます。資料4を御覧ください。本剤につきましては、田 辺製薬株式会社から製造承認されました中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける 沈痛に用いる硫酸モルヒネの徐放錠でございます。本剤の有効成分である硫酸モルヒネ は、がん疼痛の沈痛を目的といたしまして既に本邦では1日2回投与の錠剤、1日1回 のカプセル剤など、各種製剤が承認されております。今般、1日1回投与の錠剤として 新たな徐放性製剤として開発され、新剤型医薬品として承認申請されたものでございま す。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして議題2、医薬品フェノフィブラート微粉末の輸入承認、及び医薬品リピデ ィルカプセル67、同100、トライコアカプセル67mg、同100mgの製造承認について御報 告いたします。資料5を御覧ください。本剤はグレラン製薬株式会社と大正薬品工業株 式会社から申請されましたフェノフィブラートを有効成分とし、高脂血症を効能・効果 とする医薬品でございます。本剤は吸収を高めるため、フェノフィブラートにラウリル 硫酸ナトリウムを添加した上で、50μm以下に微粉化され、既承認のフェノフィブラー ト製剤の3分の2の用量で既承認製剤と同等の効果を期待できる新剤型、新用量医薬品 でございます。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしま した。なお再審査期間については、既承認製剤の再審査期間の残期間が適当と考えてい るものでございます。  続きまして議題3、医療用医薬品の再審査結果について御報告申し上げます。資料6- 1〜6-4の4つの医薬品再審査確認等結果通知書になります。これらの品目につきまし ては、市販後の使用成績調査、特別調査の成績等に基づきまして再審査申請が行われ、 それぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第2号各号の承認拒否事由 のいずれにも該当しないこと、それぞれ1ページにございますが、すなわち効能・効果、 用法・用量等の承認事項については変更の必要はないカテゴリー1と判定したものでご ざいます。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。御質問お願いいたします。 ○土屋委員 資料5のフェノフィブラートの件でございます。今回3分の2の量でとい うことで、名前や販売名を変えさせたりしたことは評価できるのではないかという気が いたします。ただ問題は、やはり100mgと67mgということが今までのリマチルのMの 100mgと合致してしまうというところです。これは発売時期をずらすというような話が あるようでございますが、やはり過去の事故事例でいきますと、アレビアチン細粒の97 %とアレビアチン散の10%が併存したために経過措置の期間に事故を起こしてしまっ たということがありますので、こういう名称が変わっているものの100mgというものが、 実際は今までの150mgが100mgという格好で出てくるということの注意を十分に…。本 来ならば67mgを先に出しておいて今の100mgを67mgに全部切り替えた後で100mgが出 てくればそういうことはないわけでございますが、そういったことをなるべく時間を十 分取って時期をずらすということを徹底して、事故を防止していただきたいという気が いたします。 ○新薬審査第二部長 本件につきましては、先生御指摘のように旧100mg製剤と新100 mg製剤ができるだけ併存しないように切替えの時期をずらしてやるということで、今申 請者の方も準備しております。あと情報提供につきましても、医師向けあるいは患者向 けパンフレット等も準備させておりますので、その辺遺漏なきよう申請者の方にも指導 いたします。 ○永井部会長 そういうことでよろしいでしょうか。では以上の件につきましては御確 認いただいたということにさせていただきます。  議題は以上でございますが、事務局から何か報告がございましたらお願いします。 ○事務局 報告事項でございますけれども、この部会で以前御審議いただきましたジオ ン注無痛化剤付及びジオン注生食液付につきましては、今年の7月9日付けで承認いた しましたので御報告させていただきます。  それから次回の日程でございますけれども、11月22日月曜日の本日と同じ15時から お願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。 ○谷川原委員 先ほどちょっと言い忘れたことで、しつこいようですみませんが、最初 のクレストールの件です。ICHの市販後安全対策ガイドラインの中にマイルストンと いう概念がありまして、よくこういう場合、こういう部会等で問題になって市販後に調 査しますと言っても、結局企業側からすれば再審査までにやればいいみたいな意識でい るのです。ところが、これはやはり本来治験でやるべきことを安全性の懸念を残したま ま市販後早期に見るということなので、もっと前倒しにしていただかないと結局は市販 後早期に急激な販売拡大で副作用が出てくるというようなことになりかねません。です から、その辺りはできるだけ早い機会に安全性データを収集し、それまではできれば余 り急激に販売拡大をしない方が国民の健康にとってもこの薬剤にとってもいいのではな いかと思いますので、よく御検討ください。 ○機構 まず使用成績調査の方は、発売から1年3か月までで一応データの収集は終わ ることになっておりまして、3か月ごとの区切りで機構の方で報告を受けますので、1 年半くらいたった時点では、ある程度まとまった資料にはなるかと思います。そのよう に報告を受けた内容を、例えば部会の先生方にどのようにお伝えするかというのはちょ っと今のところきちんとした手段がありませんので、後からの検討事項になるかと思い ますが、機構の方では発売から1年数か月のうちにある程度のデータは収集するという 方向で進めております。  また発売後の販売のことなのですが、その辺のところは現在申請者の方とも大分議論 をしておりまして、また部会委員の方からそのような御意見があったということも改め て伝えて、徹底するようにしたいと思います。どうもありがとうございました。 ○永井部会長 そのほか、よろしいでしょうか。もしございませんでしたら、本日はこ れで終了させていただきます。どうもありがとうございました。                                     ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)            - 1 -