04/10/15 労災保険料率の設定に関する検討会第7回議事録           第7回 労災保険料率の設定に関する検討会                    日時 平成16年10月5日(火)                       17:00〜                    場所 厚生労働省労働基準局会議室(16階) ○岩村座長  ただいまから、第7回「労災保険料率の設定に関する検討会」を開催いたします。本 日は、阿部委員、大沢委員が欠席です。  議事に入ります。前回の検討会において、中間取りまとめ(案)を提示させていただ きました。本日は、前回の検討会でいただいた意見を基に、事務局と私で相談をし、い くつか手直しをいたしました。皆様のお手許には、手直しをした変更点が見える形で案 を作りました。その資料を見ながら、前回からの変更点を中心に説明をお願いいたしま す。 ○数理室長  資料の3頁で、検討の視点の3段落目のところは、より中立的な表現に改めて、「労 働災害防止努力をより一層保険料に反映させるため、メリット増減幅を拡大すべきとの 要望がなされている」という表現としました。  前回は、ここに「総合的な検討」というのが入っていましたが、それは4段落目に回 して、「以上の問題意識等を踏まえて、労災保険料率の設定に関する主な論点に関し、 総合的に検討を行うこととした」と整理いたしました。  4頁で、労災保険率の現状において、業種別設定が基本であるのに、全業種一律の記 述が前面に出ているのではないか、という指摘がありました。2段落目で、「料率につ いては、業務災害における短期給付及び長期給付分について業種別に算定を行うことを 基本的な考え方としている」というのを付け加えて、業種別を明示いたしました。  全業種一律については、(注)書きにしたらどうかという指摘もありましたので、全 部(注)書きに落としました。その関係で、最後の段が5頁の前のところにあったので すが、それを前のほうに持ってきました。全業種一律賦課の部分については、(注)書 きでポイントも落とした、という形で整理させていただきました。  6頁は、業種区分の関係です。前回は、小さい所と大きい所の記述のみで、真ん中の 規模の部分の指摘がないのではないかということでしたので、中規模区分について触れ る形で、「各業種は概ね数万人から百数十万人程度の規模の保険集団として構成されて いるが」を付け加え、現行の業種区分の説明を追加いたしました。  最後のところの文章は1つの段となっておりましたが、検討の所を改行し、「以上の 状況から」ということで後段を分け、検討の方向性をわかりやすく記述し直しました。  7頁は、メリット制の関係です。現状のところで、課題の上の「+40%の事業場が多 いのは」というのは、専ら近年の災害防止の減少等によって、保険料率の引下げによっ て保険料が低減している要素が一番大きいところです。ここに、「医療費の上昇等」が ありますが、最近では医療費も下がっているような状況もありますので、誤解を招かな いように、この部分については削除いたしました。  課題のところで、問題の所在を明確にしたということ、より中立的な表現に改めたと いうことで、メリット制について「労働災害防止のインセンティブを促進するという点 で必要である。このメリット制に関しては、適用事業場の要件とメリット増減率の幅と をどう設定するかという問題がある」という記述に直しました。  2段落目についても、インセンティブの記述と財政面での影響の記述が混在している ような書きぶりになっていましたので、前のほうでインセンティブに関する記述をし、 財政面の影響については後ろに回すということで整理いたしました。  8頁は、検討会での意見です。労災保険率の設定のところで、業種ごとにリスクに応 じた料率に近づけるべきである、との趣旨がわかるような記述がないのではないかとい う指摘がありましたので、その部分を(3)に付け加えました。  料率を引き上げる場合というのは、「災害リスクをより反映させることにより」とい うのが、「より料率を引き上げる」ということになりますので、それがわかるように表 現を見直しました。  9頁で、業種区分の(1)の(2)は「調和を図る」という表現ですが、「ともに考慮 する必要がある」という趣旨ですので、わかりやすい表現に直したところです。  (2)は「その他の各種事業」という表題でしたが、「について」というのを入れた ほうがよりはっきりするのではないかということで、表題を直しました。(2)の「最小 単位」は取っても誤解がないということでしたので、ここについては「最小単位の」と いう言葉を削除いたしました。  10頁は、メリット制の関係です。前回の検討会において、メリット制の適用の要件の 緩和、増減幅の拡大についての意見がありましたが、その発言の趣旨を明確に記述し直 しました。前回の発言の趣旨も入れ、「たとえ」の文章も入れさせていただきました。 増減幅及び拡大の意見の趣旨がわかるように記述を改めました。(2)以降は、それに伴 って若干言葉の訂正をしました。主な変更点は以上です。  続いて、参考資料のご説明をいたします。これは、「建設業におけるメリット増減幅 の拡大の影響」を推計したものです。単独有期と一括有期について、平成13年度は単独 有期、平成14年度については一括有期ですが、メリット増減幅を±30%から±35%に拡 大しました。その影響額を計算したものです。  単独有期と一括有期で表を分けております。上が全事業場で、メリット適用とメリッ ト非適用の両方を含めた確定保険料がいちばん上です。メリット適用事業場の確定保険 料が(1)、メリットの適用によって保険料を減額する所、増額する所とありますので、 その差し引きした額が(2)です。平成12年度基準が(3)です。単独有期であれば、平成13 年度に±30%であったものが、±35%に拡大されましたので、その保険料増減額が(2) です。その変更はないとしたときの額が(3)です。要するに、平成11年度、平成12年度 と同じような増減幅を使った場合の、平成13年度の数字は(3)の数字になる。それを変 更したために(2)の数字になるということです。aがその差し引きです。  一括有期も同様で、メリット適用事業場の確定保険料が(4)、(5)はメリットによる保 険料の増減額、(6)はメリットの増減幅が±30%のままであったとしたら増減額はこう なり、bがその差額です。  トータルとして整理したのが、料率等への影響ということです。建設業全体でいく と、平成13年度では61億円の保険料の減です。平成14年度は、単独有期と一括有期を合 わせて103億円です。平成15年度では94億8,000万円です。61億と103億というのは、メ リットの増減幅の拡大によって、これだけ保険料収入が減る影響があるということで す。  それを料率換算して、建設業平均では、平成13年度は1,000分の0.4、平成14年度は 1,000分の0.8、平成15年度は1,000分の0.7となります。これは、その影響額をそれぞれ の年度の賃金総額で割った数字がこの料率換算の数字です。  これは建設業全体ですが、建設業の業種別に分けたものが下の表です。水力発電施 設、隧道等は1,000分の6近くの数字になります。道路新設では1,000分の1をちょっと 超えるような数字です。これは、各業種の料率の大きさによって影響する金額という か、料率に換算するとちょっと違いが出ているという状況です。以上です。 ○岩村座長  いま説明がありました、リバイスした労災保険料率の設定についての「論点整理」の (案)について以下、お気づきの点を伺いたいと思います。それに先立って、参考資料 についてご質問はございますでしょうか。 ○岡村委員  3段落目の、料率等への影響のところで、賦課額(a+b)というのは、実質的には マイナスの数字ですね。 ○数理室長  そうです。 ○高梨委員  このデータは、建設業におけるメリット幅が現実に5%拡大されたときのデータです けれども、継続事業といいますか、一般の製造業の事業もあるわけです。過去におい て、メリット幅の拡大が行われたこともあるわけです。そういう古いデータに基づく試 算はできるのでしょうか、あるいは製造業については別の形で試算できる可能性はどう なのでしょうか。 ○数理室長  継続事業の増減幅が拡大したのは昭和55年ですが、その当時の額はわからないという か、資料が残っていないところもあります。最近の状況は±40ですが、それを±45にし た場合にどのぐらいの影響額が出るかは計算できると思います。いま作業中ですが、そ れで影響額がどのぐらい出るかを計算してみたいと思います。  いまは±40になっていますけれども、どこを±45にするのかいろいろなケースがある と思いますので、そのケースを2種類ぐらい考えてやってみたいと考えております。い ま作業中です。 ○高梨委員  直接はこのデータと関係しないのではないかと思っていますが、概ね3年毎に料率の 改定が行われているわけです。平成13年度には、水力発電、隧道については、1,000分 の134であったものが133に落ちているわけです。ほかの所を見ると、鉄道又は軌道新設 工事になると1,000分の38だったものが34ということで料率そのものが4ポイント下が っています。  ここのところとの関係でいくと、例えば鉄道工事のところは建設業のメリット増減幅 を30%から35%に拡大したことによる影響は年によって違いますけれども1,000分の1.2 〜1.5程度ということです。実際の設定料率は、1,000分の38から34へ低下しているので すから、全体の災害率が落ちている中で、鉄道であれば、何がしは吸収できているとい う理解でいいのでしょうか。 ○数理室長  平成13年度においては、いろいろと建設業で下がっておりますけれども、メリット拡 大による影響も吸収できた形で料率の引下げが行われた状況です。 ○岩村座長  基本的に本来の料率は、例えば単独有期をとれば平成13年度のところは、確定保険料 と賃金総額で決まってくるわけで、それが平成13年度の保険料率に直に反映していない にしてもそこで入っているわけですね。シミュレーションしているのは、そこを変えな かったらどう変化したかという話ですね。 ○数理室長  はい。 ○岩村座長  保険料の増減のところに組み込まれている、というのはそういう意味で入っているわ けですね。 ○数理室長  はい、そうです。 ○岩村座長  いずれにしても、継続事業のほうは、シミュレーションという形でしかできないと思 います。 ○数理室長  そうです。 ○岩村座長  ですから、ありそうな仮定を置いたらどうなるという計算であるということですね。 ○数理室長  区分をこういうふうに変えたらどうなる、という計算になると思います。 ○岩村座長  それは、作業をしていただけるということですので、引き続きお願いしたいと思いま す。参考資料について、ほかにまだあるようでしたら気がついたときにおっしゃってい ただければと思います。  次に、(案)のほうの検討に移ります。本日、修正してあるところ以外で、前回以降 気がついたところがありましたら、それは後ほど伺いたいと思います。先に、見え消し になっている部分について検討を行わせていただきます。  まず、3頁の「検討の視点」で、メリット制のところで前回の議論や意見等を踏まえ て手直しをし、検討のあり方について「総合的に検討を行う」という表現に改めたとい うことですが、ここの点について何かご意見はございますか。 ○高梨委員  第3パラグラフの事実関係の記述で「さらに、近年、事業主団体等の一部から・・・ すべきとの要望がなされている」ということで、メリット増減幅の拡大の点が書いてあ ります。メリットについては、適用要件の問題もあるのですが、適用要件の緩和問題に ついては、どういう事業主からも、あるいは「等」といわれる所からも要望は出ていな いということであれば、事実関係ですからこれでいいのですけれども、もしそうでなく て、若干そういう類の要望が出ているのだとすると、「すべきなど」という言葉を入れ るか入れないかということです。 ○数理室長  メリット要件の拡大の要望についてはありません。 ○岩村座長  事実関係はそういうことですので、この部分はこの表現のままでよろしいかと思いま す。ほかにないようでしたら、4頁の検討すべき課題の1番の労災保険率です。大きく 2、3カ所手を入れていただきましたが、これについてはいかがでしょうか。料率の考 え方自体は、今回の手直しでかなりはっきりしたのではないかと思います。また、改定 に当たっての配慮等についても、本文の前のほうに持ってきたということで、全体とし ては1つにまとまったので読みやすくなり、わかりやすくなったのではないかと思いま す。全業種一律賦課については(注)に入れたということで、これも構成としてはかな りはっきりしたのではないかと思います。  細かいことですが、第4パラグラフの(注)書きの上の最初のパラグラフの頭が「労 災保険率」となっているのだけれども、第1パラグラフで「料率」と言い替えているの で、消すのが逆なのかと思うのですが、これでいいのですか。 ○数理室長  2段落目のところが、「料率については」という書き出しになっているものですか ら、必ずしも労災保険率と料率をちゃんと区分していなかった部分もありますけれど も、頭のほうに(料率)で要らないと、下の2段落目の料率は・・・。 ○岩村座長  いやいや、そこはいいのです。いちばん下の段落です。 ○労災部長  もしかしたら読めますよね。 ○岩村座長  「料率の設定に当たっては」でいいのではないかと思います。 ○数理室長  そうですね、それでも読めないことはないと思います。前のところが、「労災保険率 (料率)の設定に当たっては」となっていたものですから、括弧の中を削ったほうが整 合性がとりやすいのかということでそのようにしただけです。 ○岩村座長  そこは表現の問題なので、座長に任せていただくということでお願いしたいと思いま す。 ○倉田委員  そのパラグラフの3行目に、また「料率」という言葉が出ていますから、統一したほ うがよろしいのではないかと思います。 ○岩村座長  そうですね、ここは統一ということを考えなければいけないと思います。いま、この 場でパッと判断しても大丈夫かというのは自信がないので、お任せいただきたいと思い ます。  ほかにないようでしたら先に進ませていただきますが、5頁はよろしいかと思いま す。6頁の業種区分のところです。現行の業種区分についての記述をもう少し具体的に して、内容が反映できるような形に書き改めたということ。それから、段落を1段変え て、まとめの部分をはっきりさせたということですが、いかがでしょうか。                 (特に発言なし) ○岩村座長  特にご発言がないようですので、7頁のメリット制の部分の上から3段落目「につい て」は削除しました。課題のところでは、課題設定をもう少し明確に書くということで 修正されています。特に検討のところで、インセンティブを高める観点も独立して書き 加えたところが、この部分では主要な改正点になると思いますが、いかがでしょうか。 ○高梨委員  非常に細かい点なのでこのままでもいいとは思うのですが、7頁の(2)課題の5行 目に「増減率の幅とをどう設定するかという問題がある」という言い方になっています が、「問題」というよりは「課題」のほうが適切かと思います。 ○岩村座長  それは、おっしゃるとおりだと思いますので、そういう方向で直させていただきま す。ほかにないようでしたら8頁ですが、ここは検討会での意見をまとめた部分です。 8頁では労災保険率について、(3)の激変緩和のところを手直しをしています。「本来 的には、業種ごとにリスクに応じた料率に近づけるべきだけれども、激変緩和措置を考 えることは必要ではないか」というトーンだと思いますが、いかがでしょうか。 ○高梨委員  (3)の「激変緩和措置等」の部分ですが、業種がいくつかの形で出てきています。最 初の言い方は「産業構造の変化により規模が縮小した一定の業種」ですね。それについ て「実際の災害リスクに比べて低い料率となっている」となっている。続けて「本来的 には業種ごとに」とあるが、ここでいう「業種ごと」というのは、この文章だと「産業 構造の変化により規模が縮小した一定の業種の中にいくつかの業種もあって、その業種 ごとに」とも読めるというのが1つです。  さらに、「その上で、仮にこれらの業種について」とあるが、「これらの業種」とい っているのが何を指しているのか。私の読み方であれば、依然として「産業構造の変化 により規模が縮小した一定の業種」というのがかかっている業種。最後に、「また」と して、「他の業種においても云々」ということが出てきますが、「他の業種」というの は、「産業構造により規模が縮小した一定の業種以外の業種」というふうに読む人もい るのではないかと思うのです。  ここで言わんとしているのは、確かに石炭産業などのような、産業構造の変化によ り、著しく規模が縮小した業種の問題ももちろんあるのですけれども、そうではないが 設定料率と算定料率が乖離しているというところについて、その乖離を埋めるために料 率を上げるときに、一挙に上げるようなことは避けるべきだという問題もあるはずで す。ここのところは、皆さん方の考え方は共通しているのだろうと思っていますが、表 現ぶりを少し工夫しないと、誤解を生じる可能性があると思っています。 ○岩村座長  どういう誤解が生じるということでしょうか。文脈としては、いま高梨委員がおっし ゃったとおりで、たぶん「これらの業種について」というのは、「産業構造云々による 業種」だと思うのです。「他の業種」というのは、それ以外の業種ですね。それで誤解 が生じますか。 ○高梨委員  私の見方では、現実に設定料率と算定料率とが乖離しているのは、産業構造の変化に より規模が縮小した業種だけではなくて、規模が拡大している業種でも過去のいろいろ な歴史の事情から乖離がある、ということもあるのではないかと見ています。そういう ところが落ちてしまうのではないかと思ったのです。 ○岩村座長  「リスクに応じた料率に近づけるべきである」となっているのは、「産業構造の変化 により規模が縮小した業種だけだ」と読まれてしまうのではないかということですか。 ○高梨委員  はい。 ○岩村座長  そういう誤解が生じるのではないかということですか。 ○高梨委員  はい。 ○岩村座長  「本来的には、業種ごとのリスクに応じた料率に近づけるべきであるところ」とか何 とかを頭に持ってくるのですか。 ○高梨委員  出だしはそちらのほうから入って、そうはいっても産業構造での規模縮小もあるしと いうことで、それについては特別の配慮が必要だと思うのです。単純に引上げていけば いいということにはならなくて、激変緩和で引き上げていけばいい、ということにはな らない。上のところでは若干書いているわけですけれども、急激な産業構造の変化など 当該業種の責任だけではできないところがあるわけです。それは引き上げることになる かもしれませんけれども、引き上げるとしても、別の対策が必要かと考えます。 ○岩村座長  わかりました。いまの趣旨を踏まえて明確になるような形で文案を検討させていただ きます。 ○高梨委員  もう1つは最後の行の「料率を引き上げるに際しては、激変緩和」ということですけ れども、料率を引き上げるにしても、引き上げる幅が極めてわずかの場合でも、激変緩 和をする必要があるかどうか。ある程度大幅な引上げになる場合に、激変緩和をしなけ ればならないのであって、わずかな場合は満額引上げてもらわなければいけないものだ ってあるのかと思います。  私の感じでは、最後のところは「必要に応じて激変緩和の措置が求められる」という ような、ある程度裁量の余地を持っていたほうがいいのかと思います。 ○岩村座長  そこは、いまの意見を考慮して考えてみたいと思います。ほかにないようでしたら9 頁です。ここの手直しはかなり小幅ですが、(1)の(2)と、(2)の表題の部分はよ ろしいでしょうか。                 (特に発言なし) ○岩村座長  10頁は、メリット制です。ここは、前回高梨委員から議論があったものを、(1)で 反映させる形で手直しをしてあります。それに応じた形で(2)以下も手直しをしてお ります。10頁と11頁を合わせてのほうが流れとしてはっきりしていると思いますが、11 頁も前回出た意見を反映した形での手直しがされております。ここは、高梨委員の意見 を反映させたつもりですが、これでよろしいでしょうか。 ○高梨委員  はい、結構です。 ○岩村座長  ほかの点はいかがでしょうか。 ○高梨委員  意見になりますので、修正するかどうかはあれですが、11頁の(2)の「また」以下が 入ってきたわけです。「また、災害発生件数の減少の効果が現れるか疑問だ」というこ とです。もし、そういう主張であるとすれば、いまのメリットの要件なり、増減率なり というものは否定するのか否定しないのか。いまの程度までは減少の効果もある。しか し、いまの程度を超えると、減少の程度が現れない、ということを主張として論証でき るのかどうなのか、という点があるような気がしています。  大沢委員の意見だったと思いますが、本日は欠席ですので言いませんけれども、ここ のところはここまで言い切っていいのかという点があります。メリット制を否定するの ならそれはそれでいいのですけれども、いままでの発言はそうではなかったと思ってお ります。 ○岩村座長  いずれにしても、ここは意見のまとめの部分ですし、前回のお話ではメリット制を否 定するわけではなくて、これ以上メリット制について手を入れても災害発生件数の減少 に効果が上がるかどうか、どうでしょうねということだったと思います。 ○高梨委員  そうではなくて、メリット制の問題の前に、災害防止そのものがもう限界に来ている という立場だったような気がします。その点について、私は必ずしもそうは思っていま せん。最近における大企業のいろいろな事故を見ても、もっともっと事業者が安全衛生 に対して留意をすれば防げる事故が相当あると思っています。問題は、メリット制との 関係ということになりますが、ここまで言い切れるかどうかという意見です。 ○岩村座長  そこは、次回以降議論していただくということでお願いしたいと思います。ここは、 このままにさせていただければと思います。あとは、今後の検討の進め方ということ で、特に意見を頂戴していないのでそのままです。  いま、ザッとではありますけれども、手直しをしたところについて意見を頂戴し、い くつか修正を考えなければいけないところがあると思いますが、ほぼ意見を伺ったとお りだと思います。本日、手直しをしていない部分も含めて、そのほかのところについて なお意見があればお伺いいたします。 ○高梨委員  5頁の(2)課題の部分の、「労災保険料率については、業種毎の収支は必ずしも均 衡しておらず、業種別のリスクを正確に反映したものとはなっていないが」という記述 があった後、別の意見として「業種毎に異なる災害リスクを正確に反映したものとすべ きとの考え方がある」となっていて、現実と意見とは全く対立した形の表現になってい ますが、必ずしもそうではないのかなと思っています。上のほうの、「正確に反映した 」という言い方を若干変えて、「単純に反映したもの」とか、あるいは「機械的に反映 するものとはなっていない」ということで、相対立するような形の表現ぶりは避けたほ うがいいかという問題です。  6頁の(2)課題の3行目から例として(1)と(2)があります。(1)のほうはわかりに くいので、むしろ(1)と(2)は逆転させておいたほうがいいのではないか。これは趣味の 問題ですので、必ずしもこだわりません。「産業構造の変動により規模が急減した」と いうのはイメージでパッとわかるので、それをまず出したほうがいいのではないか。 ○岩村座長  書いたときには、まず良いほうを先に書いて、悪いほうを後から書くという意識が働 いたのかという気がいたします。最初に悪いほうを持ってきてしまうと、印象が悪くな ってしまうようなことがあるような気持です。いまの点については検討させていただき ます。5頁のほうは、高梨委員の指摘はもっともだと思いますので、なるべくそれを反 映するような形で手直しをすることを考えたいと思います。 ○岡村委員  4頁の(1)のいちばん上の労災保険率のところで「(料率)」となっていますが、 ほかの部分では括弧しては出てこないです。それより前に2頁から、「労災保険率」と いう言葉を使っておりますが、4頁に来たところで、突然括弧して入るというのは違和 感があります。入れるとしたら、最初のほうで入れてしまうなり何なりということはで きないものでしょうか。 ○岩村座長  おっしゃることも確かにありますね。 ○岡村委員  これは、読替ですね。 ○岩村座長  読替です。 ○岡村委員  2頁の一番冒頭の、「労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)」というふ うに、ここで読み替ています。その下で「保険料は」と、2頁の4段落目に「労災保険 率」という言葉が出てまいりますので、どうせならそこで読み替えておいたほうが、後 々パラパラと出たり入ったりしないで済むのではないかという気がします。 ○岩村座長  これは厄介でして、4頁のところから議論しているのは、厳密にいうと労災保険率の 全部ではないのです。 ○岡村委員  3頁でも頭に出てきますね。 ○岩村座長  全部をそういうふうに言い替えてしまうのがいいかどうかは、精査して考えてみない とまずいかと思います。 ○岡村委員  別にこだわるわけではありません。 ○岩村座長  岡村委員の指摘もありましたので、もう一度検討してみたいと思いますが、概念がゴ チャゴチャに混同される可能性があるので、全部を統一してしまうのは難しいように直 感的には思います。 ○倉田委員  この文章の上では、設定料率や算定料率という言葉を使わない文章にするのです。単 純に「料率」と言っている場合に、そのどちらかを指す場合があるのだという用語にな っているのではないかと理解したのですけれども、必ずしもそうではないのですか。 ○岩村座長  この文章ではそういうふうになっていなくて、あくまでも業務災害の最後に出てくる ものだけを「料率」ということで表現しております。 ○倉田委員  わかりました。 ○岩村座長  ほかに特段の意見がないようでしたら、本日いただいた意見を基に、なお手直しをす る必要のある箇所等もあろうかと思いますので、それについては座長の私に一任してい ただくことをお願いしたいと思います。(労働政策審議会)労災保険部会が来週の水曜 日に予定されておりますので、もし何かお気づきのことがこの後にありましたら、作業 の都合上早急に事務局へ連絡をいただきたいと思います。タイムリミットとしては、木 曜日の午前中までにお願いしたいと存じます。  その上で委員の先生方には確定版ということで送らせていただき、来週予定されてい る審議会で、論点整理の中間取りまとめを報告することにさせていただきます。その後 のスケジュールとしては、中間取りまとめで整理された論点を基に、なおこの検討会の メンバーの先生方にお集まりいただいて、テーマごとに対策や方向性について議論をし ていただき、最終報告を取りまとめることにさせていただきます。なお、お忙しいとこ ろをご協力いただかなければなりませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  次回以降は、労災保険率を皮切りにして業種区分、メリット制の順序で検討を進めて まいりたいと思います。ご異議はございませんでしょうか。                  (異議なし) ○岩村座長  本日の議論は、ここまでとさせていただきます。今後のスケジュールについて、事務 局から説明していただきます。 ○数理室長  今後のスケジュールですが、当初、最終報告については来年2月ぐらいと申し上げま したが、その後の審議会等の都合もあり、時期を1カ月早めていただければと思ってお ります。来年1月を目途に最終報告書を取りまとめていただければと考えております。 次回第8回については、10月18日(月)の午後4時から、労災保険率を議題としてお願 いしたいと思います。場所は、経済産業省別館の会議室を予定しております。  次々回の第9回は、11月1日(月)の午後4時からお願いいたします。このときに、 業種区分を議題としてお願いいたします。これからは、スケジュールがタイトになって 申し訳ないと思っておりますが、よろしくお願いいたします。 ○岩村座長  以上のような予定で、大変厳しいスケジュールになっておりますけれども、どうぞご 協力をお願いいたします。本日の検討会はこれで終了いたします。お忙しいところをあ りがとうございました。 照会先  労働基準局労災補償部労災管理課労災保険財政数理室  電話:03−5253−1111(代表) (内線5454,5455)