04/10/08 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成16年10月8日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年10月8日(金) 14:00〜   経済産業省別館第1028会議室              2.出席委員(14名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 岡 田 義 昭、 折 笠 秀 樹、   守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、 川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、   田 島 知 行、 土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、   三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子   (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(2名)   木 村   哲、 吉 田 茂 昭 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、   平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありが とうございます。本部会委員数16名のうち現時点で13名に御出席いただいております ので、定足数に達しております。それでは池田先生、以後の進行をよろしくお願いいた します。 ○池田部会長 委員の先生方には本当に足元の悪いところありがとうございます。それ では本日の審議に入る前に、いつものように事務局から配付資料の確認と資料作成に関 与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきたいと思います。まず資料1〜4までがあらか じめお送りしたものでございます。それから本日席上に配付させていただいた資料とい たしましては議事次第、座席表、医薬品第二部会の委員名簿。それから資料5といたし まして、「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の 要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」という一枚紙がございま す。それから資料6といたしまして、本日御審議いただくバリキサ錠450mgの専門委員 の名簿を配付させていただいております。  平成13年1月23日の薬事分科会の申合せに基づく資料作成に関係された委員の確認 でございますけれども、本日の議題については関与された委員はいらっしゃいませんの で御報告させていただきます。 ○池田部会長 ありがとうございました。本日は審議事項が2議題、報告事項が2議題 となっております。初めに機構の方から議題1の説明をしていただきたいと思いますが、 先生方御記憶だと思いますけれども、これについては5月に事前審査ということでお願 いした品目でございます。それでは機構の方からよろしくお願いします。 ○機構 それでは議題1、資料1、アレディア注15mg、同30mgの輸入承認事項一部変 更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本薬パミドロン酸二ナトリウムはスイスのノバルティス・ファーマ社により合成・開 発されたビスホスホン酸塩であり、既に「悪性腫瘍による高カルシウム血症」という効 能が承認されておりますが、今般、「乳癌の溶骨性骨転移(化学療法、内分泌療法、ある いは放射線療法と併用すること)」の効能・効果及び用法・用量の追加申請がなされま した。  申請の経緯としましては、がん化学療法の専門家から構成された「抗がん剤併用療法 に関する検討会」において、医学薬学上公知であるとする十分なエビデンスが収集され、 その結果をまとめた「抗がん剤報告書」が去る平成16年5月21日の本第二部会におい て事前評価を受け、一定の評価を得られたことから、承認事項一部変更申請がなされた ものです。  本薬パミドロン酸二ナトリウムは、乳癌の骨転移を伴う骨病変に対して有用であると いうエビデンスを有し、悪性腫瘍の溶骨性骨転移に対する効能において、現在米国を始 め、EU諸国等90か国以上で承認されており、国内外の診療ガイドライン等においても 記載がされております。  本申請に対する機構での審査は医薬品第二部会の事前評価を踏まえ、第二部会におい て指摘された事項、市販後の留意点、申請者から提出された添付文書(案)を中心に審査 を行いました。なお、厚生労働省から示された通知の方針に基づき、専門協議は省略さ せていただいております。  提出された資料は、抗がん剤併用療法検討会で作成された「抗がん剤報告書」と、同 報告書中で引用された資料でございます。抗がん剤報告書では、無作為化比較試験等の 公表論文が3報、教科書7種類、総説等3報、学会等の診療ガイドライン4種類を示し、 医学薬学上公知であるとしています。  本薬の有効性については、溶骨性骨転移を有する乳癌患者を対象としてプラセボ群と 比較した試験の報告から、最初に骨合併症(骨折、脊椎圧迫等)を発症するまでの期間は 本薬90mg群では13.9か月、プラセボ群では7.0か月であり、骨合併症が初めて発現す るまでの期間の有意な延長が見られ、また本薬投与により骨合併症頻度の減少、椎体以 外の骨折頻度の減少、疼痛抑制が認められています。  安全性については、その副作用プロファイルは既承認効能での内容と同様と考えられ ます。しかし、既承認の効能における対象患者と、今回の申請の効能における対象患者 には差異があり、本薬が投与される患者の血清カルシウム値が高値でないことから、低 カルシウム血症の発現が高くなる可能性や、用量が既承認の設定の倍量となること及び 本薬が継続的かつ長期的に使用されることから、投与回数あるいは総投与量の増加に伴 い腎機能障害や血小板減少等の副作用発現が増加する可能性があると考えられ、緊急時 に十分処置できる医療施設においてがん治療に十分な知識経験を持つ医師の下で、本薬 による治療を実施する必要があると考えています。また、本薬を2年を超えて継続投与 した場合の安全性を示した報告が少ないため、その際の安全性情報については市販後に 重点的に調査を行う必要があると考えています。  以上より、機構での審査の結果、「乳癌の溶骨性骨転移(化学療法、内分泌療法、ある いは放射線療法と併用すること)」という効能は医学薬学上公知であり、有用性はリスク ベネフィットの観点から認められるものと判断し、承認して差し支えないと判断いたし ました。なお、本申請は新効能でかつ既承認の用量と比べ倍量となる新用量医薬品に該 当するため、再審査期間を4年とすることが適当であると判断いたしました。御審議の ほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。先ほど申し上げましたように、これは抗がん 剤併用療法に関する検討会から第二部会の方へ提出されまして、先生方に事前評価とい うことでお願いして、そして今回この部会に上がってきたということです。第一例目の ケースでありまして、これからたくさんこのようなものが出てくると思いますけれども、 早速先生方の御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。以前ここで事前評価を 頂いたときに、医学薬学上公知であるという検討会での考え方が妥当であるかどうか、 またそうだとするとこれを承認したときに、あるいは更にここで議論をするためにどの ような資料を追加していただくかということを御議論いただきました。特に市販後の留 意点あるいは安全性のことについて先生方から御意見を頂いたように記憶しております けれども、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 特に大きな問題はないと思いますけれども、今の報告の中で再審査 期間を4年間にするというお話がありましたが、これは新しい期間設定ではないかと思 います。一般的には6年あるいは10年ではないかと思うのですが、その辺の基準が何か ありましたら教えていただけますか。 ○新薬審査第一部長 新規効能や新用量の医薬品の場合の再審査期間は従来から4年と いうことで付けておりますので、新規有効成分と新投与経路の場合は6年、それからオ ーファンドラッグの場合は10年と。それよりも内容的に若干軽いという評価だと思いま すが、新効能医薬品あるいは新用量医薬品、新剤型医薬品、徐放化製剤、これらは4年 ということでやっております。今回はその型どおりにはめてやっている格好になってお ります。 ○堀内部会長代理 分かりました。 ○池田部会長 今回の場合は適応に乳癌の溶骨性骨転移を加えたということと、用量を 増やして使えるようになったということだと思いますけれども、いかがでしょうか。ど うぞ、溝口委員。 ○溝口委員 お伺いしたい点は乳癌に使ったときの量なのですけれども、国内における 本剤の使用状況は公表されているものはないと伺いました。外国人と日本人では大分体 重が違うと思うのですけれども、日本人で全く使ったことはないのでしょうか。それと もこの90mg投与で特に問題がないというデータがあるのかどうか教えていただきたい のと、2年を超えて治療を継続した際の安全性を示した報告が少ないとおっしゃいまし たが、外国でもほとんどないのでしょうか。その二点を伺いたいと思います。 ○池田部会長 機構の方からどうぞ。 ○機構 一点目でございますが、この検討会の専門家の先生方での議論でも今の件は出 たのですけれども、国立がんセンターでは適応外ではありますが90mgを使っているとい うことを伺っております。ただ、この90mgの使用経験というのは論文を調べても報告と いう形ではなかったと聞いております。二点目の長期投与でございますが、海外におい ても2年を超えた場合の報告は少なく、安全性が不明であるということは同様でござい ました。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。文献、報告等を大分調べたらしいのですが、具体 的にはそういう文献は見付からないけれども、日常と言っていいのかどうか分からない のですが、日常臨床の領域ではある程度の使用経験があるということです。なかなか難 しいですね。そのほかどうでしょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 米国の添付文書では単回投与量90mgを超えてはならないということがあ って、それは国内では90mgを投与すると書いてあるのですから別にいいではないかとい うことが書いてありますが、90mgを投与するという添付文書上の表現と、アメリカ等で は90mgを超えてはならないという形があると。そこはニュアンスがちょっと違うのかな という気がするのですが。 ○池田部会長 いかがですか。 ○機構 米国においても90mgが申請の用法・用量でございまして、90mgは投与して構 わないといいますか、米国においても同様に90mgが推奨用量であるというふうに考えま す。 ○土屋委員 ただ、米国の添付文書で警告欄に単回投与量は90mgを超えてはならないと 書いてあるということですね。ですから、その90mgというスポットが大丈夫だというこ とは分かっているのですけれども、90mgを超えてはならないという警告をアメリカが出 していて、それに対して日本は90mgを投与すると書いてありますから、そのことについ ても超えてはならないという追記はしないということだけ書いてあるので、それは本当 にそれでいいのですか。我々はよく添付文書を見るときに最大投与量が書いてあるのか 書いていないのかということで、超えてはならないという表現があると最大投与量が何 ミリということを確定させるのです。ところが、書いていないものについてはチェック をかけたりするときに、勝手にそれに係数を掛けたりするということが現場ではありま す。もちろんこれはレジメンに従ったりということで、そういうことが起きる蓋然性は 低いとは思いますけれども、もし超えてはいけないと考えているのでしたら、添付文書 にそれをきちんと書いておいた方がいいのではないかという気がするのですが。 ○池田部会長 いかがですか。機構の方でそれに対して何かお答えはございますか。 ○新薬審査第一部長 一応この点は既に違っているということを問い合わせて、申請者 側の回答がこうであったということが審査報告書に書いてあって、それに対して当部会 での今のような御指摘がございますので、私どもの方から申請者に事情の経緯を照会し、 超えるという部分について今の時点で我々が考えているのは90mgではなくて100mgだと か130mgだとか、そういう用量を使ってはいけないということを意味しているのだとは 思いますが、それがはっきり現場に伝わるように何らかの工夫をするように指導したい と考えます。 ○池田部会長 この適応で使う場合にはとにかく90mgを使いなさいということがはっ きり伝わるようにという意味ですね。土屋委員、それでよろしいでしょうか。 ○土屋委員 通常の添付文書の読み方のときにそういう形で、アローアンスを特に上の 方に持たせてしまうことが多いので、そのことを歯止めするのでしたらきちんとしてお いた方が、そういう意味での御要望はないのかなという気がいたしました。スポットだ ということは理解しておりますが、そこを注意させておいた方が何となく無難かなとい う気がします。 ○池田部会長 そうするとここの部会では、やはり90mgを超えることがあってはならな いということをはっきり認識させるような書き方にした方がよろしいというお考えでよ ろしいでしょうか。ありがとうございました。そのほかいかがですか。有効性に関して は公知ということでどなたも御異論はないと思うのですけれども、安全性をどのように きちんと担保しておくかということになるだろうと思います。そのほか何かこの点につ いて御議論ございますでしょうか。よろしいですか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 添付文書の2ページの副作用のところに頻度不明ではありますが、いろい ろなことが書いてあります。どうして低カルシウム血症に関係してぶどう膜炎とか血栓 性静脈炎のようないろいろな症状が出るのでしょうか。何か説明できにくいような気が するのです。例えば血液の粘稠度が上がるとか、そういう報告があるのでしょうか。ぶ どう膜炎とか血栓性静脈炎など、まるでベーチェット病の症状のようなところがあるの で不思議に思って見ていたのです。こういうことは問題にならなかったのでしょうか。 ○池田部会長 どうぞ、機構の方から説明をお願いします。 ○機構 この数値は市販後の調査に基づいたデータでございますが、こういった眼に関 する有害事象が見られているというのは私どもも注意しております。ただ正確な機序等 は今のところ明確になっていないものと思います。 ○溝口委員 ただ注意するよりしようがないということですね。 ○池田部会長 これは副作用なわけですね。低カルシウム血症、腎機能障害、血小板減 少とか、こういうものは非常に分かりやすいのですけれども、先ほど言われたように確 かに多彩に記載されているということで、どれが本当にこのものによって起きてきたの か、ちょっと因果関係に関してはなかなか言いづらいところもあるのかなという感じは しますが。低カルシウム血症の発現はやはり明らかにドーズによって頻度が異なるので すか。乳癌の骨転移の場合には必ずしも高カルシウム血症ではないときに投与するわけ ですが、これは90mgが使われているのですけれども、多少ドーズによって低カルシウム 血症の頻度は変わってくるのでしょうか。 ○機構 抗がん剤報告書の中に引用されている試験、フェーズIIIがあるのですが、その 中では測定している項目には入っていないということで、試験の中でそういった検討は されていないので分かりません。 ○池田部会長 そのほか先生方特に御意見ございませんか。5月21日に事前評価してい ただいて、それから大体5か月弱でここに上がってきていますが。よろしいでしょうか。 それではまた機構から企業の方に先ほどの土屋委員の御意見も踏まえて伝えていただき たいと思います。ありがとうございました。それでは承認を可といたしまして、薬事分 科会報告とさせていただきたいと思います。  それでは議題2に移りたいと思います。機構の方から説明をお願いします。 ○機構 議題2、資料2、医薬品バリキサ錠450mgの生物由来製品又は特定生物由来製 品の指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の要否 について、医薬品総合機構より御説明申し上げます。  本剤は既存のガンシクロビル製剤、商品名で申しますとデノシンカプセルでございま すが、この有効成分であるガンシクロビルをバリンエステル化することにより、バイオ アベイラビリティーを10倍に増加させた製剤でございます。本剤はサイトメガロウイル ス感染症の治療薬であり、平成16年7月7日に希少疾病用医薬品に指定されておりま す。  本剤はホフマン・ラ・ロシュ社により開発され、2001年3月29日に米国において承 認されて以来、2003年11月25日現在、世界48か国において承認されております。本 邦においては、田辺製薬株式会社が申請を行っております。  本申請の専門委員としては資料6にありますとおり、折笠委員、木村委員を始め、伊 藤委員、上田委員、大野委員、奥村委員、小嶋委員、澤委員、白阪委員、高木委員、根 岸委員、能美委員、広瀬委員の13名が指名されました。  本剤は平成10年11月12日付け医薬審1015号「HIV感染症治療薬の製造又は輸入 承認申請の取扱いについて」の通知に基づいて申請された品目であり、本邦での臨床試 験などは実施されておらず、申請資料としては米国FDAへの申請資料と同じものが提 出されております。  臨床試験は薬物動態試験などのほか、サイトメガロウイルス網膜炎と診断されたHI V感染患者を対象にガンシクロビル注射液を対照薬とした第II/III相試験、それから第III 相試験が各々一つずつ実施されております。これらの試験において、既存のガンシクロ ビル注射液と同等の有効性が得られることが確認されております。  安全性においては、本剤において若干下痢の副作用発現率が高い傾向が認められるも のの、そのプロファイル、発現率とも既存のガンシクロビル注射剤と大きく変わるもの ではありませんでした。  現在サイトメガロウイルス網膜炎に対する薬剤としては、点滴静注用ガンシクロビル 製剤、ガンシクロビルカプセル製剤、点滴静注用ホスカルネット製剤の3製剤が上市さ れておりますが、本剤はこれまでガンシクロビル製剤が担ってきた維持療法のみならず、 経口投与可能な患者においては初期療法としても使用可能である薬剤と考えておりま す。  医薬品医療機器総合機構は提出された資料について以上のような審査を行った結果、 日本人における安全性、有効性については市販後調査において検討が必要であると判断 するものの、審査報告書の2ページから記載がございますとおり、承認条件を附帯した 上で本剤を承認して差し支えないものと判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品、 新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判 断しております。なお、本剤は原体・製剤とも毒薬に該当し、生物由来製品又は特定生 物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しておりま す。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ガンシクロビルのバイオアベイラビリティー を10倍程度上げたということで申請が出ているバリキサ錠ですけれども、先生方の御議 論をお願いします。どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 網膜炎に対してこれを認めるということについて、ちょっと読んでみまし たらどこにその網膜炎が治るというデータがあるのかよく分からなかったのですが、例 えば眼内濃度が上がるとか、何かそういう理由があってこれを特に網膜炎に対して認め るのですか。それとも血中濃度だけで言っているのでしょうか。 ○池田部会長 機構の方からお願いします。 ○機構 特に眼周辺の組織ですとか眼内の濃度については測定はなされておりません が、血中濃度が十分上がっており、また治療効果として有効性が認められていることか ら、承認して差し支えないのではないかと考えております。 ○池田部会長 恐らく神谷委員の御質問は、サイトメガロウイルス感染症の網膜炎以外 はどうなのだろうかということも含まれているのではないかと。網膜炎だけに非常によ く効くのかと、それ以外でも同じではないかという考え方だと思うのですけれども、そ れについていかがでしょうか。 ○機構 医薬品医療機器総合機構といたしましては他のサイトメガロウイルス感染症に 対しても有効性は期待できるものと推察いたしますが、今回申請されておりますのが網 膜炎のみということで、評価自体は網膜炎のみに対して行っております。 ○池田部会長 ありがとうございました。専門委員の間ではその辺の議論はどのように されたのですか。折笠先生、何か御意見ございますか。 ○折笠委員 私は臨床ではなく統計の立場ですけれども、覚えている範囲であれば今の 議論はあったと思います。CMVの感染症、網膜炎だけではなくてそういうものにも適 応拡大していただきたいという話と、網膜炎を予防するという観点でも使われているよ うなので、そういうものも是非とってもらいたいという意見があったように記憶してお ります。  それからもう一つは、安全性の点から日本人で外国よりも低体重の方が多くなってき たときに、そういう下痢の激しい症状がたくさん出てきては困るなということで、低体 重も見てもらったのですけれども、60kgぐらいまでの方に関してはそれほどAUCも高 くなったりしないので大丈夫だろうということでしたが、もう少し軽い方に関してはま だ余りデータがないということだったと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。機構の方から何かございますか。 ○機構 今折笠先生の方から御説明いただきましたとおり、専門協議の席においてはや はりサイトメガロウイルスのみならず、ほかのウイルス等についてもこの薬の有効性が 期待されているということからいろいろお話が出まして、その旨は私どもも申請者の方 にそういう要望があったことを伝えております。また同時に、審査報告書の3ページの 「〈指導事項〉」の6)に記載がございますような方向についても、是非開発をお願いし たいという御意見を専門委員の先生方から頂きましたので、申請者に口頭で伝えるとと もにこちらに記載して強く要望した次第でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか委員の先生方から御意見ございます か。どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 添付文書の投与量の問題なのですが、クレアチニンクリアランスは腎機能 の悪い人というのはこういう書き方でもいいかと思うのですけれども、8ページに薬物 動態パラメータという表がありますが、この対象になる患者さんというのは恐らく非常 に栄養状態のいい人から悪い人までかなりばらつくと思うのです。例えばガンシクロビ ルでしたら5mg/kgということがやってあります。これを体重当たりで決めないで900 mgとすることによって、先ほども折笠先生がおっしゃいましたけれども、この薬の使用 上には体重の大きさによって変わってくるので、本当はこういうものはプロキロで指示 をした方が使いやすいのではないかと思うのですが、ここが900mgと決まった理由は何 か特にございますでしょうか。 ○池田部会長 機構の方からどうぞ。 ○機構 900mgの用量は注射剤と同じ暴露量を得る量として設定されました。私どもも 種々の要因によって用量調節が必要な患者さんが生じるのではないかということで、用 量調節等についていろいろ議論を重ねましたが、今製造されているものが450mg製剤1 規格のみであるということで、先ほど折笠先生の方からも御説明がございましたけれど も、取りあえずはこの固定用量でほとんどの患者さんが網羅できるのではないかと考え ている旨を申請者は述べております。ただ、実際においては錠剤を崩壊させたり砕いた りして投与することもあると思いますので、日本でのニーズを敏感に察知しながら日本 の実情に合った対応をしていくように、申請者には指導したいと存じます。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかどうぞ。堀内委員。 ○堀内部会長代理 私もこれが1用量だけというのはかなり大きな問題だろうと思いま す。従来のものから比べると10分の1の投与量ということで剤型がこうなったというの は分からなくはないのですが、それにしろ10倍のバイオアベイラビリティーがあるわけ なので人によっては大分違うと思います。特に骨髄細胞抑制の起こる濃度を計算すると 3μg/mgぐらいになると思いますが、ガンシクロビルの注射量とAUCが同じところで 設定をしているのですけれども、AUCだけでいいのでしょうか。3μgでは添付文書 等にあるグラフから見ても骨髄抑制など旺盛に分裂している細胞に対する影響が現れる 可能性がかなりあると思うのですが、先ほどの用量の問題と両方から考えると、安全性 について添付文書へ十分な記載をした方がいいのではないかという気がいたしますが、 いかがでしょうか。 ○池田部会長 機構の方からどうぞ。 ○機構 Cmaxにおいては注射剤の方が高くなっておりまして、AUCはこの製剤と既 存のガンシクロビル製剤がほぼ同等となっております。先生がおっしゃるとおり、骨髄 抑制等の副作用がどの程度起こるかというのは本邦においては全くデータが得られてい ないわけでございますから、どのような結果になるかというのは市販後調査において十 分に注意して見ていく必要があると考えます。ただ、今得られておりますデータといた しましては骨髄抑制に関しても既存のガンシクロビルの注射液、並びに今あるカプセル 製剤とさほど大きな差は認められていないことから、これをもって特に承認を不可とす るような事実はないと考えております。 ○堀内部会長代理 今出ている資料はFDAに提出した書類と同じですから、安全性に 対しては添付文書にあるように二つのレポートがあるわけです。その後市販後調査等、 米国あるいは海外でこの安全性についてのデータは出ていないのでしょうか。骨髄抑制 などの重篤なものがそれほど出ていなければ問題はないと思うのですが。 ○池田部会長 どうぞ。 ○新薬審査第一部長 評価の仕方としては今御説明いたしましたように注射剤との比較 試験をやって、その中での安全性、副作用の出方の程度の比較をしておりまして、そこ で少し下痢が多いという結果は出ています。ただ、骨髄抑制等の部分で明らかに高くな っているという要素はないという話がまずあります。それから市販後の話ですが、例え ば審査報告書の19ページに安全性についてのまとめがあります。そこに「2)市販後」 とございまして、本剤は2001年3月に米国で承認されて以来、2003年9月30日までに 推定約48,900人に投与され、延べ91例の報告があるといったことで、市販後の成績に ついても今回の審査の中でできる限り直近のものを確認して、それを見たところではど うも骨髄抑制が特別強く出ているという様相ではありません。確かに日本人で高齢の方 は余りこの手の患者さんにはいらっしゃらないと思うのですが、体重が40kgを切ってい るような方は十分あり得ますので、そこは先ほどの3ページの「指導事項」に書かせて いただきましたけれども、「3) 臨床現場のニーズに常に注意を払い、必要に応じ、低 体重患者やCCrが10mL/min以下の患者に対する適正用量の検討等行うこと」というこ とで注文を付けてございます。これは市販後の宿題ということですが、これに対する具 体的な取組は更に会社に対して求めていくということで努めてまいりたいと考えており ます。 ○堀内部会長代理 維持療法でも大丈夫ですね。前の維持療法の血中濃度を見ると、ガ ンシクロビルでやった場合にはかなり低いのです。今回の場合は1日に1回ですけれど も、かなり高用量になりますね。それでも一応大丈夫と考えてよろしいということです ね。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかございますか。 ○堀内部会長代理 もう一点よろしいですか。先ほどの再審査期間ですけれども、今度 は10年ということですが、先ほどの論理から言うとこれはバリンをアセチル化しただけ で、本来はガンシクロビルですね。そうすると4年でもいいのではないかと思います。 それからいろいろ指示を出しているのですけれども、再審査のときに回答を提出するよ うにという表現になっておりまして、そうすると10年後に出せばいいということになっ てしまうので、ちょっとのんびりした話かなという気がいたしますが、いかがでしょう か。 ○池田部会長 どうぞ。 ○新薬審査第一部長 再審査に関しましては一つはエステル体とか塩違いのもの、これ は昔から新規有効成分として扱うというルールになっておりまして…。 ○堀内部会長代理 プロドラッグにしたものはいかがですか。 ○新薬審査第一部長 それは別成分として扱っています。そのことによって新規有効成 分としての扱いですから基本的には6年です。ただ、この薬はオーファンドラッグとい うことで結局一番長い10年となっています。現実には本剤の適応になるHIVの基礎疾 患があり、サイトメガロウイルス網膜炎になっている方、これは最近の抗HIV療法の 進歩によって患者数がものすごく少なくなっております。したがって、市販後にこの適 応にずばり当たる方の症例数がなかなか集まらないことが予見されますので、恐らく10 年掛けてもそれほどデータは集まらない可能性があります。むしろ臓器移植を始め、い ろいろな別の基礎疾患の患者さんたちで起きてくるサイトメガロウイルス感染症に次第 に使われるようになるということを予見しまして、そこに対する適応拡大あるいは検討 を継続的にやっていく中で、更に全体としてデータの蓄積を図っていくということを展 望せざるを得ないという状況です。もちろんこれは再審査のときにならないと出てこな いというのではなくて、安全性定期報告、PSURという格好でどんどんアップデート されてまいりまして、情報としてはタイムリーにアップデートされるように制度的な仕 組みがございますので、御懸念の点は企業にはよく伝えたいと思いますが、私どもの方 でも注意深く見てまいりたいと思っております。 ○堀内部会長代理 是非適応拡大も早くやっていただきたいということだと思います が。 ○池田部会長 この指導事項というのは具体的にはどの程度の指導が行くのですか。こ れの実現性といいますか、その辺も含めるとどのぐらいの力を持つのですか。例えば1 〜2年たって、まだこういうことに対してアクションを起こしていないとなった場合に は…。 ○新薬審査第一部長 一応法的なペナルティーといったことではないのですが、この審 査報告自身が公開されますし、基本的にはエイズ患者さんたちにとってまず必要なお薬 であるということからしますと、こういう約束になっているのをまだやっていないのと いうのは皆さんが知るところとなります。それが一つの抑止力になるということで、審 査報告の中に書かせていただいているという意味合いです。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。どうぞ、溝口委員。 ○溝口委員 作用機序からいきますと、なってから投与するよりはあらかじめ投与して おいて予防した方がずっとこの薬の良さが発揮されると思うのですけれども、効能・効 果に治療しかないのは単にデータがないからだけですか。外国でデータがないと日本で 付けることができないとか、そういう理由からでしょうか。 ○池田部会長 いかがですか。これも3ページの指導事項に書いてありますけれども、 その辺について。 ○機構 現行のデノシンカプセルについては発症抑制の効能・効果も持ち合わせており ますことから、このものについても暴露量で統一して発生抑制を取ってはどうかという ことを機構の方からも申請者に対して何度か指導いたしました。しかし、申請者の答え といたしましては、申請者の方でエイズの診療に当たられている先生方に御意見を伺っ たところ、今はHAARTが浸透してサイトメガロウイルス網膜炎を合併される患者さんが 少ないことから、発症抑制の効能・効果はもう不要となったという御意見を頂いたので、 会社としては申請しないと何度も繰り返されてしまいました。私どもといたしましては 専門協議の席で再度先生方にお伺いしたところ、専門委員の先生方の中には免疫再構築 症候群等によりサイトメガロウイルス網膜炎がいまだに見られることから、発症抑制の 効能・効果も欲しいという御意見を頂きまして、再度また会社に発症抑制を申請するよ うに指導いたしましたが、会社の方が現段階では申請する気はないということでござい ました。機構といたしましてはあった方がいいとは思ったのですが、何せ申請者の方が 申請しないという一点張りでしたので、指導事項として現場のニーズがある場合には速 やかに発症抑制についても申請してほしいということを書くことしかできなかったとい うのが実情でございます。 ○池田部会長 溝口委員、いかがですか。 ○溝口委員 ちょっと不思議な話なのですけれども、例えば単純性疱疹なども予防投与 で再発が抑えられることは明らかになっていますし、実際に使うよりも低用量になって います。またエイズの患者さんがこの病気になると視力などかなり深刻だと思いますの で、できたら会社に努力していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 少なくとも、この添付文書の「<効能・効果に関連する使用上の注 意>」の「2)本剤をサイトメガロウイルス感染予防の目的で使用しないこと」という記 載を削除すればよろしいのではないですか。これがここに明確に書いてあると、予防的 に投与したら保険では完全に査定されますね。 ○溝口委員 是非削除していただきたいのですけれども、実は単純性疱疹は予防投与す ると保険から切られてしまいますので、効くのが分かっていてもなかなか投与できない ということがあります。ここのところを削除していただけると随分使いやすくなるので はないかと思います。 ○新薬審査第一部長 正しく予防の適応を取らせたい、そしてそのように使えるように しておきたいということについては、私どもも全くそのとおり同意見でございます。た だ一つ問題なのは、予防投与で使う際の適正な用量がまだ分からないという…、本剤は バイオアベイラビリティーが旧来の予防効能におけるガンシクロビル製剤に比べて非常 に高いものですから、どのくらいの量を投与していくのが予防投与としてふさわしいの か実は分かりません。その点はまだ未解決の問題がございまして、少し検討が必要だろ うということはございます。今の「してはいけない」という記述がきつ過ぎるというこ とは分かりますが、その部分について適正な用量が決まっていないということも慎重に やっていただかないと、堀内先生から御指摘がありましたように暴露が随分急に高くな る製剤なので危険だという話も一方にございます。それらを両方勘案しますと、ここを 何もなしにするのもちょっと怖いという板挟みになっていることは御理解いただきたい と思います。したがって、表現上は工夫させていただきたいと思いますが、完全に削除 するのもちょっと我々としては怖いと思っているという点は御理解いただきたいと思い ます。 ○池田部会長 これはここでは「感染予防」ですね。指導事項では「発症予防」という ことで、これは意味が少し違いますね。感染していて検査で陽性になっていても、いわ ゆる感染症として発症していないというときに発症の予防をするというところもありま すし、感染予防ということだと完全にそれもネガティブなときに使うということになり ますので、その辺ははっきりしておいた方がいいのかなと思うのですが。 ○新薬審査第一部長 もともとこれは感染率がとても高いので、実際はほとんど発症予 防の方になるという理解です。 ○堀内部会長代理 これは患者にこの用量で使って問題ないということなので、同じこ とではないですか。少なくともそこまで使ってもそれほど大きな問題がないと考えてい いのではないですか。 ○新薬審査第一部長 一応治療ということで監視下に置いてやっていく中での話までは 分かっているのですが、発症予防ということで使うときの期間などを考えますと、もう 少し慎重にならざるを得ないというのが正直なところでございます。基本的に治療でや っているときの投与期間がさほど長くなるわけではございませんので、その期間であれ ば確かに大丈夫なのです。ただ、発症予防で使うときの使用期間はもっと長くなるだろ うということで、現実にはまだそこの部分の担保がないという点に問題がございます。 ○池田部会長 もともとCMV感染はほとんどの場合既感染していますから、これはそ うすると発症予防の方がいいのですか。やはり感染予防でいいのですか。 ○審査管理課長 通常は蓋然性が高いケースに発症抑制という形での効能・効果が与え られる場合が多いと思いますが、このガンシクロビルの場合は現在注射剤があるという こと、それから「警告」のところにもございますけれども、この成分自体が非常に骨髄 抑制が強いですし、生殖器への毒性も相当強いということで、かなり強烈な化合物であ るということは言えると思います。そういう意味ではアシクロビルとは毒性の面では相 当違うと考えます。 ○池田部会長 それは確かですね。よろしいでしょうか。そのほかございますか。土屋 委員。 ○土屋委員 直接この薬そのものとは関係ないのですけれども、これは今現物を見ます とチャイルドプルーフの容器に入れてかなりいろいろ気を付けているなと思うのです が、考えてみればこれがそのまま患者に行くわけでもなくて、病院の中で我々が調剤し て出すときにこういうチャイルドプルーフのものに入れて出すのかなと思ったのです。 ただ、それにしては60錠という包装は維持療法のときにはいいのかもしれませんけれど も、初期のときに84錠包装というものがやはり必要なのかなと。というのは、病院や薬 局にしてみれば買ったものがそれほど常にどんどん使われる話でもないので、ある程度 在庫を置かなくてはいけないときに84錠包装がもう1個あれば、維持療法に入ったとき には60錠包装を買う、それから初期のときには84錠を買うという対応もできるわけで す。実際に今度は病院にしてみればチャイルドプルーフになっていてもこれをこのまま 渡すわけではないものですから、ちょっと困ったなとは思うのですが、最悪これはシー ルをはがして、チャイルドプルーフであることは患者さんが自宅に行ったときにとても 大事なことだと思いますので、それは調剤方法ということで考えるにしても、包装単位 が60錠というのは何となくいつまでたっても半端になっていってしまうのかなという 気がするものですから、添付文書には60錠包装一つと書いてございますが、やはりそう いうことももう少し御考慮いただければという気がします。 ○機構 そのような御要望がございましたことを申請者に伝え、善処するように指導し たいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。どうぞ、後藤委 員。 ○後藤委員 添付文書の副作用のところに「ニューモシスティスカリニ肺炎」と書いて ありますが、菌名は遺伝子が分かるに従って時々変わってくるわけで、例えばニューモ システィスカリニだと今jiroveciiと変わっています。そういう情報を添付文書の中に どこの段階で入れるかという問題があります。現段階であれば一般の先生方には「カリ ニ」と書いておいた方が親切で分かりやすいわけですし、その辺の添付文書での取り入 れの時期というのは指針などがあるかどうか教えていただけますか。 ○審査管理課長 後藤先生の方から御指摘いただきましたように、実は先日化学療法学 会に御協力いただいた形での抗菌剤の再評価がありまして、そこで学会の方にもかなり 全体的に菌種名といったものの見直しを行っていただきました。今先生から御指摘を受 けて、そういえばニューモシスティスカリニの方も属名が変わったことを思い出したの ですけれども、そういう機会になっておりますので、全体的にそういったところ、一遍 に添付文書とかかなり広範なところにわたると思います。御指摘を踏まえましてできる だけアップ・ツー・デートした形で見直していく方がいい方向だとは思いますので、内 部の方でちょっと検討させていただきたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 添付文書の副作用のところですが、いわゆる副作用に好中球減少が 24%とか貧血が22%と、かなり頻度が高く書いてあるのですけれども、「(1)重大な副 作用」のところは好中球減少等については「いずれも頻度不明」となっています。これ は軽度のものも入れて24%あるけれども、重症化するものは頻度不明という意味合いと 考えてよろしいのですか。 ○池田部会長 いかがですか。 ○堀内部会長代理 局長通知だと思いましたが、添付文書の書き方のところに重大な副 作用はできるだけ具体的な頻度の数値を上げて記載するようにと出ているように思いま すが。 ○機構 こちらの「(1)重大な副作用」のところで「頻度不明」となっておりますのは、 市販後に集まった症例のことも書かれておりますので、臨床試験においては上にござい ますように24%であったのですが、それ以外のものも含めたために「(1)重大な副作用」 のところでは頻度不明になっているものがあると思います。臨床試験内で好中球減少の 重大なものがあったかどうかについては再度精査して、パーセントが書けるようであれ ば書くようにしたいと思います。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかいかがですか。 ○堀内部会長代理 ついでに、この副作用のところに「二つの臨床試験」とあるのです けれども、ファレンスが入っていないのですが、実際に扱うときどのくらいか見たい場 合にはリファレンスがあると大変役に立つと思います。もし具体的に書けるようなもの があったら入れておいていただけるとよろしいのではないかと思いますが。 ○機構 リファできるような形にしたいと思いますので、申請者に確認したいと思いま す。 ○池田部会長 これは後ろの「主要文献」の中に含まれているものですよね。違います か。 ○堀内部会長代理 含まれていません。 ○池田部会長 ないですか。ではそれは企業の方に問い合わせてください。そのほかい かがでしょうか。よろしいでしょうか。HIV患者の治療薬に関しては選択肢が多くあ るということが非常に必要な状況ですので、もし特にこれ以上御議論がないようでした ら、承認を可として薬事分科会報告とさせていただきますけれども、よろしいでしょう か。ありがとうございました。それでは先ほど委員の先生方から頂いた意見を再度企業 の方にお伝えいただきたいと思います。  それでは次に報告事項に移りたいと思います。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料3でございます。ホスアンプレナビルカルシウム水和物の希少疾病用医 薬品の指定についてということでございまして、表紙を含めて3枚ほどめくっていただ きますと、平成16年9月22日付けの「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」とい うタイトルのページが出てくると思います。これに沿って説明をさせていただきます。 名称はホスアンプレナビルカルシウム水和物、対象疾病はHIV感染症、申請者はグラ クソ・スミスクライン株式会社でございます。その下の「事前評価結果」というところ で、「1.対象患者数について」でございますが、平成16年3月末現在でHIV感染者 とAIDS患者の累計報告数が計9,166例でございまして、オーファンの指定条件であ る5万人以下は満たしているということでございます。  それから「2.医療上の必要性について」でございますが、まず第一パラグラフで、現 在HIV感染症の治療は作用機序、副作用の異なるものの組合せで治療効果を向上させ る併用療法が主流となっていると。その次のパラグラフで、我が国においては抗HIV 感染症薬として核酸系逆転写酵素阻害剤8種類、非核酸系逆転写酵素阻害剤3種類、プ ロテアーゼ阻害剤7種類が上市されているけれども、服薬負担の増大に伴うアドヒアラ ンスの低下や耐性ウイルスの発現など様々な問題があって、医療現場においては更なる 選択肢が求められているという状況でございます。その次のパラグラフで、本剤は既存 のプロテアーゼ阻害剤であるアンプレナビルというものをリン酸エステル化したプロド ラッグでございます。その次のページを御覧いただきたいのですが、既存のアンプレナ ビル製剤は1回8カプセル1日2回ということで1日当たり16カプセルと、非常にカプ セルの服用数が多うございますので、患者さんにとっての負担が大きいと。結果として アドヒアランスを維持し難いことが問題とされておりますけれども、それに対して本剤 は1回1錠若しくは2錠を1日2回で済むということで、服薬における患者の負担を軽 減することが期待できるということです。  「3.開発の可能性について」でございますが、海外において総計2,392例を対象とし た11の第II相、第III相試験が実施されております。既存薬に対する非劣性あるいは優越 性が確認されております。それから米国では2003年10月に承認されておりますし、E Uなど28か国においても既に承認、販売されているところでございます。安全性につい ても既存のアンプレナビル製剤と大きく異なる傾向は認められていないということか ら、本剤の開発の可能性はあるだろうということでございます。以上を踏まえまして、 機構の方で本品目を希少疾病用医薬品に該当すると判断するという報告をもらっており ます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。 ○機構 続きまして医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料4-1のム ピロシンカルシウム水和物、バクトロバン鼻腔用軟膏と資料4-2のハベカシン注射液の 二つの医薬品再審査確認等結果通知書と、それに続く再審査報告書になります。これら の品目については市販後の使用成績調査、特別調査等の成績に基づき再審査申請が行わ れまして、1枚目に書いてございますが、それぞれ審査の結果いずれの品目についても 薬事法第14条第2項各号の承認拒否事由のいずれにも該当しないこととなりました。こ の内容については、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないと 判定したということでございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。一つは希少疾病用医薬品の指定、もう一つは 再審査結果ですけれども、先生方何か御質問ございますでしょうか。特にございません か。よろしいでしょうか。もしなければ報告事項については御確認いただいたというこ とにさせていただきたいと思います。本日の議題は以上でございます。事務局の方から 何かございますでしょうか。お願いします。 ○事務局 まず御報告でございますけれども、本部会で御審議いただいたガチフロ0.3 %点眼液及びタミフルカプセル75の予防効能については、今年の7月9日付けで承認さ せていただいております。それから次回の本部会の日程でございますけれども、11月26 日金曜日の14時ということで先生方に御予定いただいておりますので、よろしくお願い いたします。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それではこれで本日の議事を終了させていた だきたいと思います。先生方お忙しいところどうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -