04/10/06 労働政策審議会安全衛生分科会第12回議事録            第12回労働政策審議会安全衛生分科会 1 日時  平成16年10月6日(水)14:00〜16:00 2 場所  中央合同庁舎第5号館16階 労働基準局第1、第2会議室 3 出席者  (委員)公益代表  櫻井委員、今田委員、北山委員、内藤委員、名古屋委員、            平野委員、和田委員      労働者代表 仲田委員、芳野委員、中桐委員、鈴木委員、高橋委員、            徳永委員      使用者代表 讃井委員、小島委員、加藤委員、中田委員、金子委員、            伊藤委員、山崎委員  (事務局)     青木労働基準局長、小田安全衛生部長、中沖計画課長、            寺岡安全課長、阿部労働衛生課長、古川化学物質対策課長、            川島国際室長、高橋建設安全対策室長、中村環境改善室長、            角元化学物質評価室長 4 議事録 ○分科会長  ただいまから、第12回労働政策審議会安全衛生分科会を開催します。今日は眞部委員 が所用のため欠席しておられますが、その他はご出席で、労働政策審議会令第9条に規 定する定足数を満たしていますので、当分科会は成立しています。  議事に入る前に、委員の交代がありましたのでご紹介します。労働者代表の大村淳委 員が退任され、全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長の高橋孝行委員が就任 されました。  今日の議事に入ります。議題は「今後の労働安全衛生対策について」ですが、前回お 話しましたように、事務局である程度論点をまとめた資料を用意していただいています ので、それを基に審議をしたいと思います。事務局から説明をお願いします。 ○計画課長  お手元の資料2−1に基づき「危険・有害要因の特定、低減措置等の推進について」 の「検討の視点」を説明申し上げます。検討会の報告書では、危険・有害性の調査に取 り組む仕組みの確立が提言されています。この危険・有害性の調査は、安全衛生水準の 向上には極めて有効なものであり、EUでもリスクアセスメントとして導入されている 状況です。  我が国においても労働災害発生のおそれのある危険・有害性を調査し、その結果に基 づいてこれを除去・低減する措置について、法律上明記すべきではないかと考え、検討 の視点として取りまとめています。この場合、対象とすべき業種についても、報告書で は、重大災害が頻発した工業的業種等の事業場を対象としていますが、あまり災害性の ある作業がないような業種まで広げることが現実的か、ということもありますので、今 回、対象の範囲についてご議論いただければと考えています。  例えば、安全管理者を選任しなければならない業種などが考えられると思っていま す。また、常に調査を行うことは実際的ではありませんので、例えば設備を新設した時 点などが考えられると思われますが、どの時点で調査を行うことが適切であるのか、こ の点についても議論をお願いしたいと思います。  なお、現行の規定で参考になるものとしては、お手元の資料No.2−1の10頁をお開 きいただきたいと思います。化学物質等について、安衛法の第58条において「あらかじ め化学物質等の有害性の調査をし、その結果に基づいて、この法律等に基づく措置を講 ずるほか、必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定されています。こう した規定が1つの目安にもなるのかと思っています。  1枚目の「検討の視点」ですが、さらに報告書においては、中小企業における危険・ 有害性の調査、低減措置を普及させるための支援措置が必要という提言があります。ど のような支援を行うべきかについてもご議論をお願いしたいということです。  さらに報告書では、危険性・有害性の特定等を的確に実施するため、既存の法律上の 組織(総括安全衛生管理者、安全衛生委員会等)を最大限活用することが必要とされて います。現行の安全衛生法においては、例えば14頁の最上段です。総括安全衛生管理者 についての第10条の規定が載っているわけです。第1号には「危険又は健康障害を防止 するための措置に関すること」ということで、すでに規定があります。ただ、現行規定 でも幅広い措置を読むことは可能ですが、さらに明確化を図るために、省令などで危険 ・有害性の調査に関することなどを追加することは考えられないかということです。  11頁に安全委員会の規定がありますが、その最下段、第21条第3号に「新規に採用す る機械、器具その他の設備又は原材料に係る危険の防止に関すること」という規定があ ります。  また、次の頁には衛生委員会の規定がありますが、いちばん下の段第22条の第7号に も健康障害について同様の規定があります。例えば、安全委員会、衛生委員会等の調査 審議事項として、危険性・有害性の調査結果に関することなどが、広く読めるように、 こうした規定について少し手直しをすることもあるのかという感じがあるわけです。  「検討の視点」のいちばん最後ですが、報告書ではさらに、「機械の包括的な安全基 準」の実効性を高めるための仕組みの導入が提言されています。例えば、マネジメント システムにおいては民間による認証、普及促進のための協議会の設立など、普及を進め るための仕組みが整ってきているところですが、一方、この安全基準については、平成 13年に労働基準局長から指針が示されているものの、機械製造事業者の大多数が中小事 業者であるなか、なかなか進んでいないのが実態です。このため、実効性を高めるため には、段階的に取り組んでいかなければならないと考えています。委員の皆さまにおか れましてはどのような方策が考えられるか、今回ご議論をお願いしたいと思っていま す。  なお、あとのバックデータですが、2頁、3頁は検討会の提言です。4頁は、危険・ 有害性の調査で、新しい考え方ですので、わかりやすい資料ということで若干の例を付 けたものを用意しています。5頁は、自主点検の結果によるリスクの評価状況等の数字 です。6頁、7頁は、具体的な危険・有害性の調査の実施例です。6頁は、建設業の関 係です。例えば、トラッククレーンによる荷おろし作業において、どういう形で危険・ 有害性の調査をするのか、というのを少しわかりやすく書いたものです。7頁は、中小 企業の関係でして、中小規模の事業場、例えば金属製品製造業などではこういうことが 考えられるのではないか、という例を示したものです。8頁は、そうした危険・有害性 の調査を、実際にやっていれば防げた災害はどういうものがあるかということで、かな りあったわけですが、代表的なものをいくつか挙げております。9頁はEUの指令で す。10頁以下は参照の条文です。説明は以上です。 ○分科会長  お手元にNo.2−1からNo.2−5があり、いまNo.2−1について説明しました。そ れが今日の予定での検討事項となっております。これについてご質問、ご意見を賜りた いと思います。いかがでしょうか。  危険・有害性の調査については、おそらくどなたも異存がないことだと思いますが、 それを法律上明らかにするということがまずあり、次に業種の範囲をどうするかという ことで一応のご提案があるわけです。安全管理者等を選任しなければならない業種、こ れもそういったところかという感じでいますが、特段のご異存はありませんか。 ○加藤委員  この前も議論があったと思うのですが、危険・有害な要因のチェックをする時点をい つにするか、というところが1点あろうかと思います。 ○分科会長  時点、その次の問題ですね。 ○加藤委員  はい。例えば、ユーザーの立場とメーカーの立場と両方あろうかと思うのですが、E Uなどですと、ちゃんとメーカーの時点で機械を設計して、製造する時点できちっとし ないと、なかなかそれを販売することができないということがあります。日本の場合も そうしないと、ユーザーの立場で買ってからそれをどうしようかと、そこも1つあるわ けですが、設備の中の詳しい仕組み、あるいはそれに外側だけ安全のいろいろなものを 付けると、非常にお金も余分にかかるし、大変だということもあるし、中が見えないと いうこともありまして、是非、両方の危険・有害性のチェックを、使う場合と設計する 場合と両方きちっとやっていくことが必要ではないかと思います。この前ご説明があり ましたように、確かに日本の機械メーカーは小さい所が多いかと思うのですが、そうい った所もどういう仕組みで支援をしながらやっていくかと、それが安全をいちばん根本 からきちっとする制度だと思うのです。その辺を是非、すぐにとはいかないまでも、き ちっとやっていく仕組みというのは必要ではないかと思っています。 ○分科会長  1頁の(3)の「機械の包括的な安全基準」をできればもっと強く、できるだけ早く 導入すべきであるというご意見だと思うのですが、それを段階的にやらざるを得ないか という事務局のご判断です。 ○計画課長  例えばマネジメントシステムについては、それぞれの業種でガイドラインをつくって いただいたり、中災防はじめいろいろな民間のものによります認証制度もできている。 加えて、普及促進のための事業者がかなり集まった協議会などもできており、こういっ た地道な取組みをまずやることが大変重要ではないかと思っています。そういった中で 中小事業者も取り込みながら進めていくことは必要だと思っています。例えば、協議会 のようなものに進んでいくためにどういう方法があるのかということも、この場ででき れば是非お知恵もいただきたいとは思っていたのですが、今後、事務局としてどうやれ ばいいのかいろいろ考えていきたいと思っています。 ○加藤委員  いま言われたようなことは、たぶんメーカーは見えないところが多いと思うのです。 どのようなことが実際に日本の中で行われているというのは、よくわからない。だか ら、どこに相談に行ったらいいかわからないので、そういった何か見えるようなものを オープンにしていただけると、もっと使いやすくなるかという気もしています。 ○計画課長  まず行政における普及、啓発が第1番であるということですか。 ○加藤委員  そういうわけです。 ○平野委員  いまのことに関連して、機械・装置の設計、それが安全かどうかはほかの省庁にも関 連があるわけです。例えば、私などがかかわったものですと、設計基準があるもの、そ れは設計基準どおりにつくってもらえれば、使い方さえ間違えなければ安全だろうと。 設計基準にないものは、その生産にかかわる、例えば経済産業省などですと細かい設計 のプロセスまで全部出してもらって、それが安全かどうかを審議して、そのあと第2次 特認をやっている。建物でもそうです。  ところが、いま発言されたことで私が非常に実感というか痛切に感じるのは、その設 計思想が使う人に伝わっているかどうか。たった1つの方法しかないのです。マニュア ルだけです。ところが、そのマニュアルがなぜそうなっているかが使う方に伝わってな いことがあって、そのようなことで起こる事故はあります。ですから、そこはむしろこ こだけの話ではなくて、国全体の施策として横の連絡をよくしていただきたいと思いま す。 ○安全課長  その関連で申し上げますと、「機械の包括的な安全基準」という通達を一応出してお り、ISO等でヨーロッパではいろいろと取組みが行われている分野のものを、通達で 平成13年に出しています。その中でメーカーに対してやっていただくこと、それは先ほ どの加藤委員のご発言のとおり、設計の段階できちっとしていただく。要するに、危険 な機械の防護策をユーザーがやるというのでは限界が結構あるということです。そうい う意味で、設計段階でもできるだけリスクを減らしていくというのが基本になっていま す。  ただ、完全になくせない部分ももちろんあるわけで、それと先ほど平野委員がおっし ゃったような使い方とかかわる部分もあり、そういう意味でメーカーは設計段階できち っとやっていただくことと併せて、その残った問題点などをきちっとユーザー側に伝え ていただくと。それを一応中身としているのです。ただ、周知はしているのですが、ま だなかなか浸透が十分でないということもあります。先ほど計画課長からもお話しまし たが、ユーザーの要望とメーカーの取組みとがもっと一致していかないといけない部分 もあって、もう少しそういうコミュニケーションみたいなものをもっていけないか。そ れから、通達の浸透が図れない部分もあるわけなので、その辺の問題点を明らかにし て、それをブレイクスルーするような対策を講じていくことをいま考えています。 ○平野委員  実例があったほうがいいと思うのですが、私はその生産のことにかかわって、いろい ろ工場を見せてもらう。その中にこういうこともあったのです。ある装置、回転機がど こか扉を触ると止まるようにできている。それを止めてから中を掃除するようにという のがあったときに、効率を上げるためにわざわざドアスイッチのない所に穴を開けて手 を突っ込んでやると。そういうのを見まして、私は少なくともこういう所に関係がある から、これはおかしいではないかと指摘できますが、会社ではそれを奨励してやってい る所がある。いろいろあるのです。例えば玉掛けの方法から、これはそういうことは危 険だからやめろときちんとなっているのに、現に放射性物質でありましたね、効率を上 げるためにやっていると。ただ、そこの内情をいかに伝えるか。その仕組みがないとな かなか実効が上がらないと私は思います。 ○分科会長  それも一種の残存リスクですね、その機械を変えてしまうというのは。ちょっと考え られない。 ○平野委員  わざわざ安全にしてあるのに、それを外すことによって効率が上がるということで、 そうすることがしばしばあります。私は実際、その調査、意見の具申などを求められる と、本当に身につまされて何と言っていいかわからないです。 ○分科会長  どういう時点で調査を行うかというのは、これはここにも「例えば、設備を新設した とき等が考えられるのではないか」と書いてありますが、新設したときだけでいいとは 当然思えない。 ○計画課長  新設と同じように大幅に機械を変えているような場合もありますので、そうした機械 なりが変わった場合というのが1つ考えられるのではないかということです。それと併 せて作業の段取りを変えることもありますので、段取りが変わった場合、こうした従来 と違うことをやる場合は、ポイントになるのではないかと私どもは考えています。 ○分科会長  定期的というのはどうでしょうか。化学物質などは、例えば有害性の情報がどんどん 新しく出てくるし、何か変わったときというのでは間に合わないのではないかという気 もするのですが。 ○安全課長  リスクが変わるというのは、設備や機械が新設ないし改修されたり、作業方法が変わ る、そういうときだと思うのです。また一方で、日常の中での変化、そういうこともあ るので、基本は変わったときということをベースにしつつ、定期的というのもまた望ま しい話として必要かと、頭に入れておかなくてはいけないのではないかと思います。 ○北山委員  その調査の時点ですが、一般の製造工場ならずっと継続してあるからいいのですが、 建設業の場合、工事が全部有期事業なのです。あれはどの時点で調査をするのでしょう か。 ○建設安全対策室長  現在の考え方ですが、一応、元方で建築工事施工計画を作りますので、施工計画書全 体について工事の開始前に元請がきちっと全体的な危険・有害性の調査を行う。併せ て、当然、工程ごとに、例えば根切りの工程から始まって、基礎工事、足場工事という ように各作業工程ごとに専門工事業者が入りますから、各専門工事業者がその作業なり 工程を開始する段階で、例えば足場の組立て、掘削作業など、それぞれ段階で自らの請 け負った分についての危険・有害性の調査を行うという2ステップを考えています。 ○北山委員  だから、施工計画を立てた。工事の始まる前に、一応、安全性・有害性を調査する。 ただ、工事はやってないわけですから、書類上だけでやっているわけですよね。そのあ と工事が始まった時点で、それぞれの工程ごとに調査をすると。 ○建設安全対策室長  そういうことです。 ○北山委員  それもあらかじめですか。足場を設置する場合もあらかじめ、あるいは足場を設置し たあとにやるのか。あらかじめですよね。 ○建設安全対策室長  あらかじめです。できたあと修正、危険・有害性が生じているわけですから、当然、 できる前に行うのが原則でやっています。 ○北山委員  わかりました。 ○徳永委員  いまのお話、その前の調査主体はどこですか。 ○建設安全対策室長  最初の段階は、当然、全体の工程ですから、元請として工事を請け負っている責任が ありますので、元請がやります。ただ、各専門工事業者に下請された部分については、 当然、労働安全衛生法の体系もそうなっていますが、下請自身に事業者責任があります ので、その請け負った工事の部分については各専門工事業者が主体となって、有害性・ 危険性をチェックしていただく。もちろん元請がデータを持っていれば、元請と協力し ながらということはあり得ると思いますが。 ○徳永委員  ここは少し議論のあるところではないですか。元請との関係をきちっとしておかない と。 ○建設安全対策室長  ご存じかと思いますが、労働安全衛生法上も元請が、例えば下請が違反したことはす べて責任を負うのではなくて、統括管理という観点からの元請責任と、専門工事業者は それぞれ事業者責任として、例えば足場の組立ての作業主任者の選任、足場のいろいろ な墜落防止措置、それぞれの事業責任が当然ありますので、そこの仕分けは統括管理と 事業者責任とは一応区別してそれぞれ持っていただく、これが原則ではないかと。 ○徳永委員  事業者へ持っていくと。 ○建設安全対策室長  はい。統括管理的な責任と事業者責任が相まってかなりレベルアップが図れるのでは ないかと。 ○徳永委員  だから、そこですよ。そこが有機的に結びついていかないと。極端にいうと、これは 下請への押しつけになってしまうしね。そうすると下請はどこまでやれるか。元請はそ れを指導していかないと。環境をきちっとしておかないと、押しつけになってしまいま す。 ○建設安全対策室長  そうですね。元請が全体的なものを見るとともに、下請がやるときに、当然、統括管 理の中にもありますが、必要な指導、援助を行うとか、必要なデータを与えるというこ とは下請への指導、援助としてはやっていただくことになろうかと思います。 ○分科会長  中小企業の問題もここに指摘されています。支援措置は必要、当然そうですが、どの ような支援が考えられるかというのは、検討会でも具体的なことはなかったような気が します。必要ということだけです。 ○加藤委員  いま、例えば有害性の調査ですと、中災防などに多少データがあって、会員なら見る ことは可能だと思うのですが、例えば事故のいろいろな事例、あるいは考えられるよう な危険性・有害性の共通したデータベース化というのができるかどうか。それも、使わ せていただくときに、いかにコストを安くできるか。会社だけではなく、使う側の労働 者の方も何か使いやすい仕組みができると、これは結構役に立つ部分があるかと思うの です。ただ、非常に難しい話だとは思うのですが、そういった検討もひとつ加えていた だけるといいのかと思います。大手の企業でも間違いなく自分たちではわからない部分 のリスクはたくさんあると思いますので、そういったものがオープンになれば非常に使 いやすい部分があるかと思うのです。 ○分科会長  要するに、リスクアセスメントの簡易な方法を編み出して、使いやすく提示する。化 学物質などでもそういう努力が国際的にもやられていますが、それも1つの例だと思い ます。 ○安全課長  いま私どもで既存の予算で、要するにリスクアセスメントを含むマネジメントシステ ムの導入について、いろいろな支援をやっているわけですが、そういう中でリスクアセ スメントのデータ集のようなものを作っていこうとか、リスクアセスメントをやりたい 所に人を派遣したり、また相談、援助をするような、事業を実施しています。基本は事 業場の方でないと細かいところはもちろんわからないわけですが、そういう専門家を派 遣して、相談、支援に乗る、そういうことも一部、来年度の予算で拡充を考えていきた いと思っています。  建設業においては、作業の要素が非常にはっきりしており、その要素の組合わせでい ろいろな工事がなされていくということで、この作業をやる場合にはこういう問題、こ ういうリスクがあって、そのリスクの大きさは一般的にはこれぐらいだと、要するにこ れぐらい大きな事故につながるのか、つながらないのか、その辺を評価した非常に詳細 なデータベースみたいなものがありまして、そういうものを使っていただければ、わり と建設業はやりやすい部分があるのではないか。ただ、製造業は非常に業によって全然 違いますし、そういう意味で建設業に比べて難しさもあるのですが、できるだけそうい うものは作っていけるように努力はしていきたいと思っています。 ○平野委員  事故、災害の原因を調べていくと、ほとんど未知のもので、かなり大きな災害になる ことが多いのです。そういうのを防ぐために工学的にはどうするかというと、ゴーの所 のスイッチをどこかに付けておく必要がある。これはこういう決まりの上でも、安全性 が確認できなければゴーにしないというスイッチが入ればいちばんいいと思うのです。 そういうことはできないのですかね。もちろん経済の発展の阻害になりますから皆さん は相当反対されるとは思うのだけれども、我々の安全を確保するためには、かくかく、 こういう理由で安全だということがわからなければ、要するにゴー、行くことができな い。そういう仕組みができればもっと良くなるような気がするのです。たぶん皆さんも 思い当たると思うのですが、このような所は危険ではないと思った所で事故が起こると 災害が大きくなる。だから、そこの未知の危険性に対してどうするかと、そのルールが どこかに必要だと私は思っているのです。 ○分科会長  安全衛生委員会で討議して、そこでゴーを出すか出さないかと。 ○平野委員  そうです。だから、どこで出したらいいか。例えば、物質の場合には、これは先生と いつも議論しているように毒性がどうである、発火性がどうであるということがわかっ て、その対策があった上でゴーになる。そういう仕組みができていればいいのではない かと思うのです。 ○分科会長  このリスクをゼロにすることはできないと思いますが、要するにアクセプタブルなレ ベルであるかどうかと。 ○平野委員  それはそうだと思います。私はアクセプタブルのレベルというのはそれほど低くない と思うのです、皆さんがやっていることは危険なことがたくさんありますから。です が、そこについて検討したからどうかということは、あとで責任を取れるかどうかで非 常に大きな問題だと思いますので、是非やってほしいと思います。 ○分科会長  それは安全衛生委員会の検討事項の中に、できれば明記したいと思います。 ○平野委員  この資料の中で、このようなことでいいのかというのが一部あるのです。8頁のいち ばん上の所ですが、タイヤ製造工場内で「被害者なし」と書いてあるでしょう。これは ほかの所から情報が入ったのですが、実はこのときの火災原因になった方は自殺してし まったのです。そういう意味では立派に死者1なのです。こういう種類のことは、これ だけで私はそういうことを言っているのではなくて、ほかの大会社の事故の場合も、事 故の責任は弱い者や下請にどんどん押しつけていくのです。そういう意味では事故が起 こったら必ず第三者が入る。少なくとも労働基準局では是非入って、事後措置もケアし てほしいと思います。今日の議題ではないのですが。 ○分科会長  はい、承りました。 ○北山委員  中小企業に対する支援措置ですが、リスクアセスメントは安全衛生マネジメントシス テムの非常に重要な、主要な要素ですね。あとのほうにマネジメントシステムのことに ついて書いてありますが、これはインセンティブだけで、マネジメントシステムを構築 するに際して中小企業に支援をすると、このリスクアセスメントに支援するように、そ ういう措置も必要ではないかという感じがするのです。 ○安全課長  マネジメントシステム導入のフルセットだけを更新するという意味では必ずしもなく て、マネジメントシステムを導入しようとすると、かなり段階を経ないと導入できない ということですので、それぞれフルセットをやるという前提でなくても、そういう非常 に重要な要素であるリスクアセスメントについて支援すると。そういうことはいまの段 階でもやっていますし、今後もそういうことを拡充していく必要があるのではないかと 思っています。 ○分科会長  中桐委員、遅れて来られましたが、いま資料No.2−1でいろいろ議論してご意見を いただいたところですが、あらかじめ、これを言ってやろうと思っていたことがおあり でしたらどうぞ。 ○中桐委員  もう少しお話を聞きながら適宜に。 ○分科会長  とりあえず、後ほど思いついたことがあれば戻ってもいいと思いますので、資料No. 2−2の説明をお願いします。 ○計画課長  資料No.2−2に基づき、自主的な取組の推進とインセンティブ措置についてご説明 申し上げます。今回の報告書では、危険・有害性の調査と、マネジメントシステムの導 入を分けたところがポイントです。マネジメントシステムについては、安全衛生水準向 上のため、大変有効な手段であるのでインセンティブ措置を設け、導入支援を行うこと が提言されております。  具体的な支援措置としてア・イ・ウとあり、アでは、いまご審議いただいた事業場に おける危険・有害性の調査等をきちんと行っており、安全衛生水準が高いと基準監督署 長が認めた事業者に対しては、安衛法第88条の規定についての適用除外をしてはどうか ということです。なお、安衛法第88条は、危険な機械等の設置、移転に際して、事前の 届出を受け、労働基準監督署長が危険性の事前審査を行う趣旨の規定ですが、マネジメ ントシステムなりが機能していて、自主的な管理体制が確立していれば、そういった危 険性の評価も適正に行われるだろうということで、事前の届出が不要、事後的なもので いいのではないかという考え方です。  次のイでは、メリット制の適用により、通常は40%まで労災保険料率が上下するわけ ですが、特例メリット制度の適用を導入することにより、45%まで減らすことが可能に なるということで、呼び水になるわけです。それ以外に、表彰といったようなものもあ るということが考えられます。  バックデータですが、2頁は検討会の提言の概要、3頁と4頁は労働災害防止計画で す。5頁はマネジメントシステムの概要、6頁で導入状況の数字をまとめております。 8頁に、実際にマネジメントシステムを導入したことでどういう成果があったかの資料 を付けております。9頁は、そのシステムの導入促進のため、どういった優遇措置を望 んでいるか。やはり労災保険料率、あるいは法定届出についての要望が多かったという 状況です。10頁は予算上の措置の概要、11頁以下はマネジメントシステムの指針、ある いは関係の条文を参考までにお付けいたしました。 ○分科会長  ただいまのご説明に対して、ご指摘、ご意見があればお願いします。 ○加藤委員  インセンティブを導入することは非常にいいことなので、進めていただきたいと思い ます。その中でちょっと細かい話なのですが、イのところのメリット制というのは、中 小だけを対象にするということですか。 ○計画課長  19頁をお開きください。いちばん上は通常のメリット制の説明です。いま申し上げた ように、一般的には−40%〜+40%まで移動するわけです。ところが、特例メリット制 度というのは、安全衛生法ではなく、労働保険徴収法に制度があります。その中で法律 上、現在は中小企業事業主に限定されております。どういった中小企業事業主に適用す るかの範囲が、徴収法の中に省令で書いてあります。(3)にあるように、私どもの関 係の快適職場の関係について適用があると。したがって、これにならい、マネジメント システムについても導入してはどうかという考え方です。 ○分科会長  いまのところ、300人未満の中小企業に限定されています。 ○讃井委員  いまのことに関連してですが、インセンティブ措置の例として挙げられているのは、 9頁のアンケート調査がある程度根拠になっていると思います。このアンケート調査は 回答数は351人ということですが、企業の規模などはどういうことなのでしょうか。労 災保険料の優遇措置というものが第一位になっておりますが、このアンケートが中小企 業を対象にしていたということであれば、こちらの「検討の視点」にあるように、中小 企業に対して特別のメリット制度というのは納得できるのですが、この辺はどうなって いるのかということ。1、2、3、4とかなり数がありますが、「検討の視点」に挙げ られているのは1、2、5番目の公表、表彰のところが特に提案されているというの は、どういった理由になっているのでしょうか。 ○安全課長  先ほどの調査結果ですが、OSHMS促進協議会というものは任意の協議会なのです が、いわゆる業界団体が会員となっており、主として、大企業の方が構成メンバーにな っているかと思います。業界団体の傘下の事業場を20ぐらいずつ選んで調査をしまし た。その規模がどの程度か、その業界団体も小さい所から出されたのかはっきりわから ないのですが、一般的に非常に大きな業界団体が対象になっています。 ○計画課長  メリット制度自体は労災の体系の中の話ですので、私ども安全衛生分科会では範囲を 超えるという部分があります。私どもの範囲内で現在すぐできるものとしては、いまの メリット制度を前提にするとこういう形になるということです。したがって、労災本体 を大きく見直せばできるわけですが、それは労災本体のほうでもご議論いただくことに なると考えております。 ○分科会長  この3つだけを導入しましたが、ほかのものも考えられないかということです。 ○計画課長  残りの部分について、例えば経営事項審査への加点というのはあるわけですが、これ は建設業関係であり、当然、国土交通省なりが所管する部分であります。したがって、 今後私どものほうから国交省なりに話を持っていき、検討いただくということを考えた いと思います。  損害保険料率の優遇措置ですが、これはどちらかというと民間の保険の話であり、我 々の領域からはやや離れるのかと考えております。 ○分科会長  それから、監督対象事業場選定についての配慮は当然入っているものなのでしょう か。 ○計画課長  当然、事故が起きなければ監督にも行かないということになると思いますので、これ はたぶん自動的に実現するものではないかと思っております。 ○讃井委員  いまのことに関連してなのですが、インセンティブということは誘導措置で、いいこ とだと思いますが、片方で障害を取り除くという発想も必要なのではないかと思いま す。平成12年に労働安全衛生基本調査をなさっていて、ここにもOSHMSをどのぐら い導入しているかという数字が引用されていますが、それを導入していない所に導入し ない理由を聞いた回答が、「十分知識を持った人材がいないため」とか、「内容がわか らないため」ということがかなり多く、それも規模の小さい所にだいぶ偏っているよう な気がいたします。平成12年の調査なので、だいぶ時間が経っており、周知徹底は十分 やっているということになるのかもしれませんが、誘導することと併せて、障害を取り 除く、まず、皆さんに知っていただくということも非常に重要なことだと思います。 ○安全課長  その調査結果を見ますと、知識を持った人材がいないとか、手法がよくわからないと いうお答えは非常に多くありました。先ほどリスクアセスメントのところでもご説明し ましたが、人材育成と、そういうノウハウをいかに皆さんに普及させるべきかというこ とは非常に大事だと思っています。普及についてはいままでもやってきておりますが、 来年度の予算で増額要求をして、普及の方法をより多岐にわたる方向に広げていくこと も考えております。  人材については、讃井委員がおっしゃるように、経営のトップの方々から作業者ま で、いろいろな方々に理解をしていただく。要するに、マネジメントシステム全部では なくてもいいのですが、リスクアセスメントとかを理解していただく教育のようなもの を、いままでもやってきているカリキュラムの見直しということを通じて、いろいろな 各層の方々に理解を深めることも今後必要なのではないかと思っております。 ○北山委員  先ほど国交省のほうでも使ってもらうというお話があったのですが、国交省の経営事 項審査は大体会社ごとに審査をやっているわけですね。そうすると、労働基準監督署長 が認めた事業者、その範囲が例えば1つの工事現場、適用事業場を範囲とするのであれ ば、経審のほうでは全然使えないのではないかと思います。例えば、建設業がこれを認 める場合には、監督署の管轄を越えた形で一括りにして認めるのが効果的だと私は思い ます。そうすると、署長が認めるのではなく、少なくとも、地方の労働局長が認めたも のという形にしたほうがいいのかなという気がしているのですが、そこはいかがです か。 ○建設安全対策室長  その部分は内部でも、労働局長なのか監督署長なのかで議論をしておりまして、いず れにしても、いわゆる認定の単位というのは店社にしていこうと。何々建設の何々支店 という単位にしていこうと。極端に言えば、何々建設が全国の全部の支店で認定を取れ ば、おそらくその企業としての、すべての店社でマネジメントシステムが確立された形 になるかと思います。  ですから、おそらく店社が所在している監督署長が認定するという形で、計画届等と のリンクがございますので。例えば東京の中央区に関東支店があるのなら、中央の監督 署という形で所轄の監督署と店社をリンクさせるのがよいのではないかという考え方 で、いま整理をしております。 ○徳永委員  先ほどから特例メリットのことを言われているのでわかってきたのですが、いま計画 課長のほうからもお話がありましたが、これは建設業の絡みで言うといろいろ議論があ るところです。建設産業はいまの状況の中ではまだまだ労災事故は厳しい状況にありま す。そういう中で、無くするための努力をお互い業界も労働組合もやっているのです が、現実としては、多発していることは間違いないところです。そういう意味で、そこ にいろいろインセンティブを与えながら対策を進めていくという方向は間違いないと思 うのです。問題は、メリットの絡みになってきますと、まだまだ労災、業務上の事故を 隠したがる体質があるのです。その辺のところは経営者の差とか、いろいろの絡みがあ るのでしょうし、特にもう1つの側面でメリットの問題ですね。やはりここで労災が出 た場合、メリット制が引っかかってくるという、この関係での微妙な問題があるのです ね。そういった意味では、あまり安易に拡大する必要はないだろうと、すべきではない というのが私の考えです。  そういう議論はまた別に分科会でされていることは承知していますので、そこでの範 囲で、ここはどうするかということであり、あまり余分なことはしないほうがよいと思 うのです。その範囲の中で、特に中小企業に対しては、いま特例メリットというのは建 設業とは関係ないのですね。だから、その辺も含めてということなのか。だから、そう いう側面が建設業にありますよ、ということを踏まえてもらった上での議論や整理をし ないと、中小企業というのは、そこはメリットの恩恵がないから、少し広げようという 程度の発想でこの議論をしますと、なかなか難しい問題があると思うのです。そこを慎 重にしてほしいということなのです。 ○計画課長  そういう意味では、経営事項審査等で頑張らねばならないかと思っております。 ○名古屋委員  メリットのところを見ていると、安全に特化しているような気がするのですが、メリ ットはリスクを考えたときに衛生にも関係することだと思います。そうすると、いま安 衛法の中で作業環境測定が行われています。確かに行われており、事業主の皆さんがや ってくれているのですが、では、維持されたときに、どれだけメリットがあるか。それ はリスクとして、ないから、メリットと考えるのも1つあるのですが、これからどんど んそれを進めていったときに、よくなっている所は、ここにあるように、特例という形 で、軽減化措置をしてあげるような形にしていかないと、マネジメントは進んでこない のではないかなと。要するに、いつまでたっても管理区分がずっと1なのでしょうと。 疾病は出てきませんよと。でも、それをずっと続けるのかというと、メリットがその中 に少し入ってくる。例えば測定の軽減化だとか、もう1つ入れてほしいのは、還流、要 するにいままでのところはきれいにした空気をそのまま外に出してしまいます。でも、 冬場の暖められた空気を出して、また冷たい空気を入れるというのはエネルギーコスト がかかります。そういう形のものが、例えば還流をすることができて、あるいはリスク が解除できていい空気になって戻ってくるのだったら、新しい空気を入れるということ はエネルギーコストを下げるという意味では、CO2の削減という形で出てきますので、 そういう形のメリットもこういうところに盛り込んであげれば、事業主も当然測定のメ リットが入るから、経営とかリスクということも含めて進んでいくのではないか。そう すると、中小のほうでもそういう形でやることになると、いま測定しなかった所も軽減 化が下がってくれば入ってくる。だから、安全に特化するだけでなくて、衛生にも特化 した形のマネジメントにまで踏み込んでもらえると、リスクとか、ほかのものの進み方 も早くなると思いますので、是非その辺のところを検討していただきたいと思います。 ○計画課長  資料No.2−5の(2)で化学物質関係の報告書の中ですが、一定の維持、改善によ り、ある程度の濃度が保たれる場合には要件の緩和をするという指摘があります。これ については別途議論をしたいと思っていたのですが。 ○分科会長  後ほど出てきます。これは「マネジメントシステムを確立して、一定の成果を上げて いるから」のメリット制とは別ですよね。環境改善がうまくいっているから、その環境 改善について、ばく露の防止方法は自主的に、別の方法を選ぶこともできるという案に なっております。 ○名古屋委員  安全は入っていますが、省エネは入っていませんよね。安全という形では出てきます が、先ほど言ったように、測定をするよと。要するに、一旦暖められた空気を外に出し たときには、浄化装置を通して出したとしても、そのまま還流することはできませんよ ね。それがもしできるような形で安衛法が変えられれば、企業としては暖房費がものす ごく少なくできる。省エネとしてのメリットはここに入ってない。そうしたら、マネジ メントを進めると、エネルギーコストの削減という形のメリットが出てきます。こちら は化学物質の安全ですが、化学物質ばかりではなく、測定することはほかにもメリット がありますということがあるわけです。そちらのほうをこちらに入れてもらう。化学物 質は化学物質で、また違う安全があると思うのです。そういう意味での入れ方をしても らいたいなと思います。 ○計画課長  すぐにどういう仕組みを取ればいいかは難しいものがありますので、今後継続的に検 討していきたいと考えております。 ○中桐委員  私どもとしては、基本的にはここに書かれているア・イ・ウは必要だと思います。こ ういった措置がなければ事業者のほうも取り組まないということになると思います。た だ、徳永委員が言われた労災隠しの問題もあると思いますが、これは先ほど整理された ように、別のところで別の対策をしなければいけない事項だろうと思っております。  もう1点は、ちょっと無理矢理という感じがありますが、普及促進という部分を見た 場合、この自主的なところも関わるのですが、これには労働者の参加、従業員の参加と いうことが保証されないと、なかなか進まないのではないかと思います。いまでもそう ですが、事業者だけがやるわけではありませんし、労働者がもっと参加するための措置 を取らないと、特に労働組合のない職場であったりとか、安全衛生委員会のない職場な どでは活動の拠点がないわけですから、そういうものをきちんと保証する意味でも、委 員会の問題は後で出てきますが、ここの項よりも、本当は安全衛生法の中に改めて位置 づけていただきたいのですが、労働者の権利としてのいくつかの項目を規定すべきでは ないかと思っております。それはマネジメントシステムを進める場合に、労働者への情 報の提供、協議をすること、労働者の参加、またその労働者とその代表の訓練といった ものについて、きちんと明文化していただいて、権利と義務としてあるのだといったも のについて、この審議会で議論をしていただけないかと思います。それがなければ、い までも進まない安衛法の遵守について、事業者だけでは進まないのが今度のやり方です ので、そういう面での労働者保護ということをきちんと、事業者が守るためにも、また 労働者自身が自覚をし、自分たちにはこういう権利があり、こういうことをしなければ いけないのだということがわかるためにも、この場で議論をしていただきたいと思いま す。 ○分科会長  ありがとうございます。いままであまり権利について明記していないのですね。 ○安全課長  ご参考までに申し上げますと、12頁の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する 指針」の「目的」のところにありますように、まず、この指針が労働者の協力の下に、 一連の過程を定めて継続的に行う自主的な活動を促進するということで、その辺が一応 このマネジメント指針のキーワードになっております。その中で、大前提になっている のが「労働者の協力の下」というところです。具体的には、13頁の第9条で、労働者の 意見の反映ということで、安全衛生目標の設定とか、具体的な計画の策定に当たって、 安全衛生委員会の活動等を通して労働者の意見を反映する手順、要するに、必ずこのよ うな手順を踏んで目標設定をしなければならない。この手順に基づいてきちんと意見を 反映するというのは、非常に大きな要素として、マネジメントシステムを導入する場合 には入っているということはありますので、ご参考までに。 ○中桐委員  ご指摘のとおりですが、残念ながら1つ違うのは、これは指針、ガイドラインです。 先ほど申し上げたいくつかの労働者の権利は、EUの中では枠組み指令の中で規定され ていますし、ILOのOSHMSの2001でもきちんと書かれています。あれはもちろん ガイドラインですが、国際機関でもそういうのがあり、今度の改正に向けて、動きが国 際安全衛生基準に近づけようということなら、そういうものもEUの現在の状況などを 見ながら、どうやって労働者の参加を保障するかと考えていただければ有難いと思いま す。 ○加藤委員  今回のこのシステムを認めるのは監督署長ということになっていますが、いま中災防 のほうでも実際に認証をやられていますが、それとの関係はどうなっていくのですか。 あるいは中災防が認めたものも署長によっては認めない可能性もあるということです か。 ○安全課長  詳細を詰めた部分が明確ではない部分もあるのですが、事務局でいま検討しているイ メージとしては、指針に基づいてマネジメントシステムが運用されていて、過去2年か 3年の運用の実績があって、それだけでは十分ではないだろう。というのは具体的に成 果として上がっているのか。例えば、災害の発生件数が非常に多いのであれば問題があ るということで、そこに安全成績みたいなものも加えて、全体で認定していこうかと。 そういう指針に基づいて、そういうマネジメントシステムが運用されているかどうかの チェックに当たって、いろいろな認証機関で認証されている制度を活用していこうかと 考えています。 ○加藤委員  ということは、現在は認めていくということですね。 ○安全課長  基本的にはマネジメントも、リスクアセスメントもそうですが、ゼロベースから何か 築き上げるのではなく、現状のいろいろやられている活動をうまく活用しつつ、そうい ういろいろな仕組みが今までに出来上がっている部分もあるので、そういうのも活用し てという発想です。 ○中桐委員  質問とお願いですが、いまの問題で、今あるものの活用は当然だと思いますが、これ から出てくる新しいマネジメントシステムについても、ある基準なりを作り、認めてい く方向であると考えてよろしいのでしょうか。 ○安全課長  これから出てくることで、イメージがないのですが。 ○中桐委員  ここから先はお願いですが、私どもも1つ連合版のマネジメントシステムを作ってお り、来年5月ぐらいには目処が立ちますが、小規模事業場50人未満を対象にして労働組 合がリーダシップを発揮して、非常に簡単なというか、ILOをベースにしてチェック リストでいうと2、3枚程度にまとめました。そういう形でやっていきたいのですが、 それができたとして普及させるために、労働組合というよりも、そこの事業者に対して サーティフィケートしていただかないと、折角やったのに監督署長が認めてくれなかっ たのでは困りますので、新たに出てくる認証というかシステムについて、どのように取 り扱われるかをお聞きしたいと思います。 ○安全課長  基本的に、いまあるものだけで終わりというのではなく、基本的にマネジメントシス テム指針を出していますので、そういうものに則っている範囲内のものについては、今 後、新たに作られる認証制度もあるでしょうから、そういうのは当然入って当たり前だ と思っています。 ○平野委員  この中でマネジメントシステムを作るときにかかわったのは私だけではないかと思い ます。このシステムを作るときには、本来こういうシステムというのはあるべきです が、ISOに諮ったら、各国全然別のシステムを持っていて、それを統一するのは難し いというような話で、それでは日本でもやりましょうと。そのワン・オブ・ゼムとし て、労働省の安全マネジメントシステムを作ったのです。これを直接中小企業に適用す るには、例えばこの中に書いたものを全部やるわけにもいかないから、もっと簡単なも のを作りましょうとか、ほかの格好でアセスメントしたものを認めましょうという前提 の下に作っているのです。  その中には先ほどお話に出た労働者の代表やいろいろな方が集まって、労働省で普及 するには比較的これがいいだろうと。実際に日本ではこれ以前にも労働省が提唱するア セスメントシステムがあって、6割ぐらいの企業で使ってくださっていたのです。ある 意味で先端を行っている。この次に全世界で共通のものが出てくる、あるいはILOで 何か作って出てくるということは、頭の片隅に私などは入っていたのです。ですから、 ご質問のとおりの方向で進んでいると私は了解していました。たぶんそれでいいと思い ます。労働省としても何らかの意味で安全が確保されればいいわけで、必ずしもこれで なければいけないということでやっているわけではないと思います。 ○安全課長  ただ、一定の要件がないと、「では、マネジメントシステムをやります」と宣言し て、中身が十分でないまま宣言されたものが、例えば申請に基づいて適用を除外してい くというのはおかしいので、基本となる部分をきちんとシステムとして織り込んでいた だいているというのが前提になると思います。 ○平野委員  行政はとかくそういうことになりがちですが、1回作ると、これが中心になってしま う。当時の労働省で望んでいたのは、労働者の安全であって、その安全を推進するには 何が具合がいいか、それは1つこちらでも案を出しておきましょうということで出たも のだと了解しています。ですから、これが主体となってというのではなく、その中のど の項目を主にして考えるかぐらいは考えておいたほうがいいと思います。 ○安全課長  それと、厚生労働省が出している「マネジメントシステム指針」が永遠にこのままだ ということでは、まだないということも事実で、それ以降はILOでマネジメントシス テムの指針を出しています。ですから、これが未来永劫という意識は我々も持っていま せん。 ○平野委員  先ほど出された労働者の参加や、職場が全体的に安全になることなど、そういうキー をいくつか押さえて、それが満足できていれば認めてもいいではないか、と私は思って いるので、これが中心になると、結構細かいところまで、ここがゼロベースで、これか ら積み上げという感じになりますので、それは少し行き過ぎではないかと思います。 ○安全課長  中桐委員から連合版を見せていただいて、教えていただきながら、意見交換をさせて いただきたいと思います。 ○安全衛生部長  中桐委員の発言に関してです。これからの労働安全衛生行政を考える際に、あまり役 所から、「これとこれをやれ」などというお仕着せではなく、事業場の、あるいは労働 者側、使用者側の代表に集まっていただいた民間の認証制度みたいなものを、我々のほ うは話し合いをして一緒に作り、我が部の中でまだコンセンサスを得ているわけではあ りませんが、民間である程度認証して普及していくような形が望ましいのかなと思いま す。  その中では快適職場もそうですし、今回のマネジメントシステム、あるいはTHPに しても、ある程度見直していかなければいけないだろう。そういうものを1つの認証制 度みたいなものをまた作って、それを普及していく。もちろん、その中にはメリットシ ステムやいろいろなことを考えていかなければ、今のままでは頭打ちになってしまう。  喫煙対策でもそうですし、そんなことがたくさんあるのかと思います。そういうもの を普及していく上で、1つの方策として、現在提案しているような制度が考えられてい くのではないか。そのときにスタンダードはみんなで作っていくもので、1つの企業形 態、あるいは事業所形態であればこういうスタンダード、こちらの事業所形態であれば こういうスタンダードというのは、また違ってくる可能性もあるのかなという気がして います。 ○分科会長  ほかに何かございますか。それでは、3番目の「安全衛生委員会の活性化等について 」に入りたいと思います。 ○計画課長  資料No.2−3に基づきましてご説明いたします。「検討の視点」ですが、安全衛生 委員会の活性化を図るため、委員の選出、審議事項等について見直しが提言されており ますが、具体的にはこうした事項についてどう考えるべきかということで、安全衛生委 員会の機能を強化するため、調査審議事項を追加してはどうかということで、資料2− 1にも書いてありましたが、危険・有害性の調査の結果に関することを、少し明確にし てはどうか。あるいは安全衛生計画の策定、実施・改善に関すること、その他何かある かどうかです。  委員会における透明性を確保するため、労働者に対して安全衛生委員会の議論が分か るようにしてはどうかということで、例えば、議事録の公開は考えられないか。さらに それ以外に機能を強化するための方策として、例えば安全衛生委員会の発言を理由とし た不利益取扱いの禁止はどうか。現在安衛則の第14条第4項で、「事業者は、産業医に ついて勧告、指導、助言をしたことを理由として、解任その他不利益な取扱いをしない ようにしなければならない」という規定がありますので、こうしたものを参考にしては どうかということです。  さらに報告書では、事業場のトップである総括安全衛生管理者が制度的に関与するも のとして、委員会の活性化が提言されておりますが、そのほかに災害防止の観点から、 事業場のトップである総括安全衛生管理者の取組みを促進させることは考えられない か。具体的には、安全衛生方針の表明に関すること。こういうものは今回行った私ども の自主点検の中でも、ほとんどの企業がやっているという結果が出ておりますので追加 したらどうかということです。  なお、あとの資料はバックデータで、委員会の提言、災害防止計画、安全衛生委員会 の活動状況等に関する数字、それと関係の規定です。 ○分科会長  ただいまの説明の内容について審議をお願いしたいと思います。 ○加藤委員  確かに安全衛生委員会は、非常に重要な会議だとは思います。その中で危険・有害性 の審議まで持っていくには構成メンバーからすると、企業によって違うかもしれません が、工場を単位とする部の代表と労働組合の代表で議論していくところが多いと思いま す。この場合、専門性の機関について、その場で議論するのは、肝心な所が抜けてしま うのではないかという心配があるような気がします。ですから、そういう危険・有害性 のあるものについては、使う労働者側の人も含めた専門家のようなグループで議論をし て、それを安全衛生委員会に持ち上げるというのなら分かるのですが、最初からそうい うことで審議するのは問題があるのではないかという気がします。それがどのレベルの ことをお考えなのかお聞きしたいと思います。 ○計画課長  これは報告書にも書いてありますが、危険性・有害性の調査に関することではなく、 調査結果に関することになっています。これは細かいことまで議論するのはふさわしく ないということもありますので、そうした調査をした結果を、ここに上げていただき、 そこで議論するのがいいのではないかという趣旨です。 ○加藤委員  ここまで載せるかどうかというのは、どんなものかと思うのです。 ○計画課長  最初にも説明しましたが、省令では、「新たな機械の導入について、危険の予防に関 すること」というのは書いていますが、折角危険・有害性の調査をしていただくという ことであれば、安全衛生委員会の活性化のためにも、若干でも絡んだほうがいいのでは ないかという気持で、こういう中に明確化することは考えられないかということで提言 がありました。 ○加藤委員  ウに「不利益な云々」と書いてありますが、ここまで法律の条文に載せるというの は。 ○計画課長  産業医の場合も、実は省令で書いてありますので、そういう精神を産業医に倣って、 例えば省令で書いてはどうかということです。安全衛生委員会のそういう議論を理由 に、不利益な取扱いがないということなら、そこまでやる必要はないと思います。この 辺は委員の皆様方のご議論、ご意見を伺いたいということで、あえて載せたような感じ です。 ○中桐委員  ご指摘の件は私も読んだときに、ここまで要るのかなと思いました。あって困るもの ではないものですから構わないのですが、ここまでやっている事業所もないだろうと思 います。  安全衛生委員会は、事業者の諮問機関ですし、そこで何かする機関ではありませんの で、あくまでも事業者が決めることになっていますから、あまり何でもかんでも安全衛 生委員会ということでは困るだろうと思います。先ほどご指摘があった部分は、マネジ メントシステムなり、リスクアセスメントで専門的にチェックするのは、そこのライン ごとのプロジェクトを作ってやるとか、別の方法で、大きな工場などではやっているよ うですし、そういう所はそういうやり方があるのではないかと思います。  ただ問題は、委員会がないようなというか、あっても中小の事業場の場合にどうする かということです。「安全衛生委員会の活性化」というテーマを挙げてきた検討会のメ ンバーの皆さんの問題意識も分からない部分がありますが、問題としては、この問題は ずっとあるわけで、委員の選出の問題で労使半々はいいのですが、本当に適格な人が出 るのかどうか。取り上げているテーマなりが、本当にそこの職場で大事な職務意識の問 題なのか。そういうものが労働者を含めて、みんなに伝わっているのか。そのようなと ころで活性化という問題は少し見直さなければ、いつまで経っても直らないのかなとい う気がします。  もう1点は、私どもの内部の議論で出てきたのですが、連合としては、これまでずっ と委員会の設置について50人未満についても、当面30人未満までに設置義務を認めてほ しいという要求をしてきました。産業医の選任義務と併せてだったのですが、その問題 の結論は、結果的には、数年前の景気の悪い時期に、事業者にこれ以上負担をかけるの はいかがなものかということで見送った経緯がありました。  しかしながら、よくよく考えてみますと、今回も指摘があったのですが、安全衛生委 員会を設置することについて、何ほどの費用がかかるかと言えば、かからないわけで す。産業医ですと、連合の調査でも年俸2,000〜5,000万円ぐらいです。そういう方々を 中小企業で抱えられるはずがない。共同選任したとしても大変なことです。ですから、 産業医の問題は別にして、委員会だけを切り離して考えて、いま50人未満は法の適用は されない状態ですので、是非お願いしたいのです。  そういう状態を改善していただき、段階的に、当面は30人以上の事業場は安全衛生委 員会を設置しなさいと。毎月開催などが要るかどうかは別の問題で、例えば、これから 5年とか10年ぐらいまでと。その先はまた時間を区切って20人までという形で、いろい ろな活動をする場合の中心になる機関ですので、事業場がインセンティブをもらっても しないかもしれませんが、そこについては法律で事業者に最終的にはすべてだと思いま すが、20人未満なら委員会を作ってもらい、そこで労使で話合いをするという場所づく りについて、今回の改正論議の機会に是非検討していただきたいと思います。 ○分科会長  具体的な提案ですが、いかがでしょうか。 ○労働衛生課長  先ほどの設置状況を、従業員数50人以上100人未満の規模の事業場で見ますと、大体 67%という結果が出ています。設置が義務づけられている規模の事業場でも、安全衛生 委員会の設置がまだ十分な状態ではないということが1つあるわけです。  さらに現行では、産業医と衛生管理者の参加が、50人未満の所では義務づけられてい ないものですから、そのまま産業医、衛生管理者を30人の所まで引き下ろしてくるの は、まだちょっと難しいかというところです。  さらに産業医の業務がかなりきつくなっている状況は確かにあります。現行の設置義 務のある事業場での安全衛生委員会の設置が最優先の課題でありまして、次回の審議会 でご議論いただきますが、新たに過重・メンタルヘルス対策も産業医の職務として出て きますので、相当負担がかかってくるだろうというので、そちらをまず優先したいと私 たちは考えているところです。  現行の法令でも従業員数50人未満の規模の事業場については、関係労働者の意見を聞 くための機会を設けることになっていますので、実際に意見を聞く場はどのぐらいでき ているのかなどということを調査していきたいと思っています。 ○中桐委員  それはこれまでもやってきたことで、いくらそれを推奨しても、しない事業所はしな いわけです。先ほど言った提案は、産業医サービスは本当は欲しいのですが、それは大 変高いものですから、そこの義務は今回の措置から外したとしても、マネジメントシス テムを行うことも含めて、委員会的なものが要るのだということだけに限って、先ほど 言ったような期限を設けながら、50人から30人、20人と設置義務を持っていかなければ なりません。これにはお金がかからないわけですから、お茶代ぐらいではないか。もし くは紙代ぐらいしかありません。  それでは、産業医がいなくてどうするのだということがありますが、現実の問題とし て、いま30人とか20人に産業医を配置しろと言っても、数は全然足りないわけですか ら、それは夢物語になってしまいます。ですから、別のツールボックスというか、人材 として安全衛生のコンサルタントを活用する。産業医よりはだいぶ経費がかからないで しょうし、マネジメントシステムなどをすることについても、産業医の先生よりももう 少し専門家かもしれません。毎月委員会に出なければいけないかどうかということもあ ります。小規模事業場で毎月というのは、あまり必要がないと思いますので、そういう ところも少し見直しをする。委員会があることが大事で、そうでなければそこの職場は 1人の労働者が、こうしてほしいと思って手を挙げても、事業者が「はい、分かりまし た」ということはないと思いますので、労働組合がない事業場がほとんどのはずですか ら、委員会の設置を国で義務づけない限り、この状況は今回の改正で見送った場合、ち ょっと見通しが立たなくなるのではないかと思いますので、是非その辺を考えていただ きたいと思います。 ○局長  安全衛生委員会みたいなものは、私は大変有効なものだと思っています。1つには、 労働者が安全意識、あるいは職場の中の連携などを意識する、あるいは意識させるため の制度として非常に意味がありますし、経営層の人たちが責任を、常に現実に感ずると いうことにとっても、非常にいい制度だと思っています。  そういうことを考えますと、そういう委員会でなくても、できればいいわけですが、 それはなかなかできないので、むしろこういうことをテコにやってもらうということだ と思います。まず第1には、現実にそういうことを設置しなければならない所は、引き 続ききっちりやってもらい、形骸化することのないようにしてもらいたいという気持で す。  特に小さい所について言えば、そういう道具立てがなくても、もともとかなり見るこ とはできるし、連携や連絡もできるのではないかという意識だろうと思います。ですか ら、実質的にそういう委員会というようなものでやるのか。もう少し簡素でやりやすい ものでやったらということだと思いますが、個々のいろいろな仕掛けを考えるというこ とはあってもいいのかなと思っています。実質的にそのような狙いが達成できるものを 何か考えられたらいいのではないかという感じがします。何回かありますので、アイデ ィアなどを議論していただいてもいいのかと思います。 ○山崎委員  いま法律ができなければというお話がありましたが、やらない所は法律ができてもな かなかやらないのです。それは本当はいけないのです。小さい所になりますと、あると きは労働者も経営者になるし、あるときはみんな従業員でやっているのです。ですか ら、小さい所は、労使の関係などは大きい所と違って、そんなにはっきりしていませ ん。そこは枠にはめたというのではなく、今でも「声は聞け」と言っているわけですか ら、聞きながら社長と「おい」という仲間でやっている所は多いと思います。ですか ら、あまり枠にはめて、それを主張されても、かえって経営者と労働者の関係が、小さ い所ではかなり経営に影響しますので、その辺は実態をよく調べてからやるべきだと思 います。枠だけを作って、それに従うのは、小さい所はなかなか難しいと思います。 ○中桐委員  この問題は3年に1回連合の組合で安全衛生の総合調査をしていますが、その結果で す。最新のものは今年やるので、まだ結果はありませんが、前回の調査でも、そういう 声が中小で多いのです。おっしゃっているような形になっていない。そこは連合の組合 ですから組合があるわけです。あってもそんな形になっていないのです。 ○山崎委員  組合がある所なら、まだいいのですが、ないのがほとんどですから、そういう所を広 く見ていただかないとと感じました。 ○中桐委員  これまでは経費の問題が産業医とセットでしたから大変でしたが、それを外して協議 会にしろ委員会にしろ、月1回ではなく、もう少しフレキシブルに、ただ労使が出てや れというぐらいのものをするのに、事業者に対する負担はそんなにないと思いますし、 産業医を抱えろと言えば大変でしょうが、そのような提案だと考えていただきたいので す。 ○山崎委員  負担というのはいろいろありますが、そういう金銭的なことではなく、実態がそうい うことであれば、あまり枠をはめて規定どおりに主張するのも、中小企業の中では労使 一体でやっていますので。 ○中桐委員  実態ではないというのが私どもの結論です。 ○山崎委員  小さい所は、ある時は社長を助けて、ある時には従業員を助けて社長が自らやってい ますから、そういう所は多いわけです。中小企業の中でも格差がありますので、どこに 焦点を当てるかというのは確かにあると思います。 ○徳永委員  いま中桐委員からもありましたが、大きな事業所も小さな事業所も含めて、費用の問 題でコストがかかります。それは別の話ではあるのですが、現実問題ではコストがかか ります。ところが、いまの話では、費用はかかりません。委員会という名前を使うかど うかは別にして、小さい所でも労使で安全について話し合うとか、確認し合う場所を何 らかの形で作っておくことは必要だと思います。そのほうがもっと生産が上がるのでは ありませんか。親父は親父でも修業したりしながらやっているのです。現実問題として は中小の所での事故は多いわけです。それに対して労働者としては、労使の関係をもう 少しうまくしながら進められないかという希望は非常に持っているわけですから、その 1つのアイディアとしては、提起があったようなことを議論していただく必要があるの ではないかと思います。 ○分科会長  これは前から積残しになっている課題で、産業医と別にするという新しいご提案も今 日あったわけです。これをこの場で合意に到達していただくのは、なかなか大変なこと だろうとも思いますので、今回の法改正に間に合わせたいというお気持はよく分かりま す。その可能性は低いにしても、できればもう1回ぐらい話題にしたいとは思います。 ○中桐委員  これからまたいくつかの点もありますが、議論の進行の中でもう一度見直してみるこ とがあれば結構です。 ○仲田委員  不利益取扱いの禁止のところですが、安全衛生委員会の活性化をこれから図っていく ことは、1つの大きな側面として、委員会の中で事業場のトップの耳の痛いこともある 面ではこれから言っていくことが大きな側面ではないかと思っていますので、むしろこ ういう方向は、前向きに考えたほうがいいのではないかということを、意見として言わ せていただきます。 ○分科会長  それでは、3番目の議題はこのぐらいにいたします。資料No.2−4についてご説明 をお願いいたします。 ○計画課長  資料No.2−4の「安全衛生担当者の教育の充実」です。報告書では、安全衛生管理 者等についての内容の見直しの検討がありました。具体的には安全管理者の資質の向上 を図るため、選任に当たっては、一定の教育を受けることを求めることとしてはどう か。その場合の教育の内容としては、現場の危険・有害性の認識の重要性が提言されて おりますが、リスクアセスメント等の教育を充実させていく方向性について、どう考え るか。また、その方についての教育内容の充実等も併せて考えたらどうかということで す。 ○分科会長  内容それ自体は比較的簡明と申しますか、当然ということだろうと思います。もう少 しこういう面も考えてはというご意見もありますでしょうか。これは選任に当たってと いうことで、当面は選任時ですか。 ○計画課長  4頁に現行規定があり、安全管理者については、第11条で「厚生労働省令で定める資 格を有する者のうちから」ということになっており、具体的な資格は省令の5条にあり ますので、例えば、このような所に書き入れてはどうかということです。 ○分科会長  イの「管理者を含む職長等に対する安全衛生教育の内容」は、特段こういうものに書 き込むのではなく、実質的に書かせるということですか。 ○計画課長  自主的に充実させていくということになります。 ○分科会長  事実上、選任時だけということでは、どんどん必要な知識等も変わってきますので、 教育の内容は、皆さんのお知恵を出していただいて変えていかなければいけないのだろ うと思います。当面、安全管理者の教育というところで明確な提案になっています。こ れについては、特に追加のご意見はございませんか。 ○加藤委員  教育の内容が書いてないので、どの程度のことをお考えなのか分かりませんが、安全 管理者というのは、数が結構多いと思います。すでに選任もかなりされている所もあり ますが、今後やっていく意味で、誰がどの程度の教育をやることを考えておられるの か。社外なのか社内でやれというのか。その場合のいまお考えになっているような教育 内容があれば教えていただければと思います。 ○安全課長  安全管理者については、省令で書いてあるとおり、資格の代表的なものとしては、 「大学の理科系統を卒業して3年以上産業安全の実務経験がある者」というもので、高 卒の理科系統で5年以上の経験ということになっています。衛生管理者の場合は、国家 試験の合格者。産業医については医師の資格を持っていて、かつ研修を修了した方の中 からということです。それと比べると、資格の中身が少し違います。  検討会でいろいろご指摘いただいて、最近、産業安全の実務で修得できる部分がブラ ックボックス化してきたり、非常に複雑化してきて、そこでやられる経験だけでは非常 に限られるのではないかという議論もあり、それを研修で補っていく。  今回、危険・有害性の調査が取り入れられるとすれば、たぶん現場で中心になってや っていただくのは安全管理者ということになるので、安全管理者に危険・有害性の調査 のことをある程度メインに修得していただくことと併せて、今まで試験などはないの で、関係法令の問題や安全管理者としての仕事に明るいという基本的なところも併せて 教育するカリキュラムを考えたらどうかと、いま事務的に考えています。  加藤委員が言われるとおり、非常に数が多いこともありますので、やり方については 特定のところでなければ駄目などとすると、キャパも限られることもあるので、また具 体的にこういう形でやるというイメージは持っていませんが、数の問題も考えながら、 できるだけフレキシブルな形でやれることを考えていきたいと思っています。 ○加藤委員  安全管理者というのは、衛生管理者と違い、衛生管理者のほうが、ある程度専門的な ファクターが非常に要求される部分があるかと思いますが、どちらかというと、職場の 職長、管理者、課長、部長などがやっている場合は多いと思います。そういう意味で、 安全管理は設備だけではなく、人の動きなど全体が入ってくると思います。リスクアセ スメントも一部であろうかと思いますが、いかにしてマネジメントをうまく回すかを視 点に合わせた教育がまず基本的にあって、その中でその一部がリスクアセスメントであ るという教育にすべきではないかと思います。その辺いろいろ考えがあるかもしれませ ん。その前にテキストであるとか、業界によっても、特にリスクアセスメントを入れよ うとなると、業種によっても違うと思いますので、その辺をどのようにやっていくかで す。  先ほど補助金の話も出ましたが、例えば基本的なものは、各業界団体ごとに補助金を いただきながら作っていくなどということも可能なのかとも思ったのです。 ○分科会長  ほかに特にございませんか。ただいまのご意見等も参考にして、今後も進めさせてい ただくものではないかと思います。  では、最後の議題の「化学物質管理の推進について」に入ります。 ○化学物質対策課長  資料No.2−5に従って説明いたします。「検討の視点」は3点あります。まず1点 目は、「個々の化学物質の危険性・有害性、取扱上の注意事項を一層明確にし、適切な 化学物質管理を促進すること、GHS国連勧告への対応を図ること」という提言がされ ています。以前の説明では、GHS国連勧告については、詳しく説明していないもので すから、あらためて説明させていただきたいと思います。  資料の9頁に概略が書いてあります。GHS国連勧告は、平成15年に、人の健康の確 保等を強化すること、化学品の国際取引を促進すること等を目的に、化学物質の危険有 害性を、引火性、発がん性等の約30項目に分類して、それぞれの危険有害性について、 一定の基準に基づいて、その程度等を区分し、危険有害性の程度等に応じて、どくろマ ークあるいは炎等の絵表示を付すということ、化学物質等安全データシートを作成する こと、こういうことを求めた勧告で、この勧告については、APEC域内においては平 成18年末までの実施が求められております。  具体的な表示の内容ですが、イメージを持っていただくために10頁に雛型を出してい ます。11頁では、今ほど危険有害性の程度等に応じていろいろ変わると説明しました が、例えば、いちばん上に引火性液体の場合がありますが、危険有害性の程度が左へ行 くに従って大きくなるわけです。絵表示については、絵表示なしの場合から炎の絵表示 があるものまで。注意喚起についても「警告」から「危険」まで、危険有害性の情報に ついては「可燃性液体」から「極めて引火性の高い液体及び蒸気」という具合に絵表 示、文言等で危険有害性の程度等に応じて指定がされてきます。  1頁に戻りまして、こういう勧告を法律に取り入れるとなると、「検討の視点」とし ては、表示及びMSDSについては、有害性を有する化学物質のほか、危険性を有する 化学物質も対象とすること、現在の安全衛生法の中では、有害性に着目した表示制度 (MSDS制度)がありますので、このほかに危険性をも対象にした制度が必要になっ てきます。  化学物質の危険性及び有害性を容易に認識できる絵表示等を導入すること。現在、表 示の項目として、このような絵表示は省令上定められていませんので、そういう手当て が必要になってくるのではないか。  (3)に、「事業場内で取り扱う容器等にも同様の表示を行う」とありますが、現在の 安衛法の中では、事業場内で取り扱う容器については、一部省令等では措置が定められ ていますが、表示、MSDSの対象の物質については、すべからく表示等が事業場内で 取り扱う容器については規定されていないことから、事業場内で取り扱う容器にも同様 の表示を行うこと。  (4)の「MSDS等により有害性の調査等を行う現行の規定に危険性を追加すること 」というのは、現在の法律の第58条は化学物質の有害性の調査についてMSDS等によ り有害性の調査等のリスク評価を行って、必要な健康障害防止措置を講ずる努力義務が 規定されているわけですが、今般、GHS勧告によってMSDSの対象に危険性が追加 された場合には、危険性をも考慮した措置とすることが必要かどうかについて、ご検討 をいただければというのが1点目です。  2点目は、自律的な化学物質管理を促進するため、有機則等によるばく露防止方法 は、定期的な維持改善等により気中の濃度が継続的に一定以下となる等の条件の下、要 件の緩和を図ることが必要であるという提言です。これについては12頁をご覧下さい。 ここで言うばく露防止方法の柔軟化・性能要件化ということですが、委員会の報告書で は、例えば化学物質管理計画を事業場において策定して、当該計画に基づいてリスクア セスメントをして、必要なばく露防止措置が講じられるということ、そのことが定期的 な監査やパトロールの実施等により、その維持、改善が行われること、さらに作業環境 測定等において、一定の気中濃度を確保しているといった条件の下、規則で定めている 局排や密閉などの方法以外の措置であっても可能にすることができるのではないかとい うことが、報告書の中では書かれています。  1頁の3点目は、「国によるリスク評価」です。国は有害な未規制化学物質について リスクの評価等を行うため、事業場におけるばく露関係情報を収集する仕組みの整備が 必要であると提言されています。これについては14頁の「国による化学物質のリスク評 価」をご覧下さい。非常にシンプルな考え方ですが、未規制の有害な化学物質を評価す るためには、個々の化学物質の固有の有害性情報と、どの程度の労働者が、どの程度化 学物質にばく露しているかという、ばく露関係情報により評価を致します。このうち有 害性の情報については、文献収集等によって把握することができますが、ばく露関係情 報については、一般に化学物質を取り扱う事業場の把握が困難なこともあって、一定の 化学物質を製造、使用する場合、作業内容や開放系での使用をしているのかといったば く露関係情報などを国に報告をしていただく制度を設けることが想定されます。 ○分科会長  ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○加藤委員  これは国際的な動きもあって、おそらくやらざるを得ないことだと思いますし、企業 のグローバル化が進んでいる中で、これをやっていかないと日本はやっていけないだろ うと思います。そういう意味で、やるべきだと思います。1、2教えていただきたいの は、例えば(2)の要件の緩和ですが、基本的には緩和をするというのは、監督署長が 認めてということになるのですね。 ○化学物質対策課長  制度的にはそのようなことを考えています。 ○加藤委員  先ほどの話ではありませんが、例えば産業医や衛生管理者などの権限を拡大して自主 的な安全衛生体制の確立を盛んに言っておられるので、そういうところの責任と権限を 拡大することによって、ある程度そこで認めることは難しいのですか。 ○化学物質対策課長  例えば88条の届出なりメリットの適用であっても、監督署長の認定という行為が実際 にプロセスとして入っておりますので、直ちに自らということで監督署長に何ら届出な しにというのは、いまの制度の中では難しいのではないかと思います。 ○加藤委員  その辺の権限なり責任を多少広げることによって、こういう衛生の問題の中で早く回 すこと、例えば悪くなったときの問題もすぐにということもできると思いますし、そう いうことが早く回るようになるのではないかという気もしておりますので、是非ご検討 いただければと思います。  もう1つ、(3)で、ばく露関係の情報の提供というのが出ていますが、これはユー ザーの立場の企業が、国かどこかに報告するという仕組みですか。難しいのは、例えば 未規制化学物質などの測定評価が、本当にユーザーの立場ですべてできるのかというの はどうなのですか。 ○化学物質対策課長  測定データまで求めるかどうか、必ずしもそこまで必要とは考えておりません。測定 データというのは、まさに事業主に義務を課すことになりますので、それ以外の例え ば、開放系であるのか閉鎖系であるのかといった情報でも、国が評価する場合にはある 程度の情報だと思います。これですぐ規則に入れるのではなく、その候補をこれで絞り 込んで、さらにその絞り込んだリストの中から個々具体的な測定を、国が自ら測定をす る場合もあるかと思います。私どもは国への報告を、新たに測定義務を課すことを事業 者に求めることは考えておりません。 ○金子委員  今回の一つひとつの議題ではないのですが、産業医の役割や権限は産業医に任せてい ただけるかというのはまだで、産業医なしの安全衛生委員会という議論も小さな会社で はあるということですが、どこまで産業医に期待していらっしゃるのかというのが、い ろいろな所に産業医が出てくるのですが、先ほど安全管理者を含む職長に対する安全衛 生教育は、産業医に任せている部分のような気はします。職場の安全衛生教育というの は産業医の仕事に入っていると思いますが、任せていただいている部分とそれでは不十 分と思われているところと、いろいろ見え隠れしているような部分があって、安全衛生 委員会を検討なさるときに、産業医に必要な知識、権限、責任などももう一度一緒に見 ていただきたいと思います。 ○労働衛生課長  産業医に扱いの幅が増えてきますと、相当負担が増えてくるだろうと思います。また この審議会の次の次ぐらいになりますと、過重労働やメンタルヘルスのところで産業医 の面接とは言っていませんが、医師の面接で、たぶん主体は産業医の方々にやっていた だくことになるのかと思いますので、もう一度その辺りで、産業医の衛生管理と健康確 保についての役割を議論していただきたいと思います。 ○金子委員  お願いいたします。 ○平野委員  この化学物質の事故は、その原因の1つに取り違えというのがあると思います。それ に対してどういう対策をとるのか見えてきていない。例えば、ガソリン、灯油の取り違 えがかなり大きな問題になって、事故につながっていたときは、給油口の形状を変える とか、鍵を使うなどいろいろなことで防いでいるのです。これはそういう意味では、理 想的には取扱いをするときに最初にどのように確認するか。MSDSというのはペーパ ーで確認しろということですが、それを書き違えたらどうするのかは、ある頻度でやら なければいけないような気がするのですが、いかがですか。  そういう意味では、(1)〜(4)に書いてあることは、最初にやった人は非常に正確に記 入してくれていると。例えば、規則や有害性が変わったときに、そういうものの変化を きちんと記入してくれているという前提ですよね。 ○化学物質対策課長  MSDSの交付の対象物質については、法令上明確にしてまいりますし、また、そう いう物については、個々の物質毎に標準的なMSDSを、関係省庁とも連携して作って いきたいと思っています。 ○名古屋委員  2点あります。1点は(2)の特例で、有機則にも特例許可がありますが、そことの 違いはどうなのでしょうか。 ○化学物質対策課長  有機則にいくつかの特例措置があるわけですが、今回は制度としてこういう仕組みを 導入するということですので、例えば、有機則の12条などに、「特定の代替設備の設置 に伴う設備の特例」という条文があって、具体的なものが2つ書いてあります。省令 上、あのようなものをどんどん追加していけばいいのかもしれませんが、行政としても 個々のものをどんどん追加していくのはあまり合理的ではないのではないか。それより もむしろ事業主のほうで自ら考えていただいたものを制度として入れるようにすれば、 事業主のインセンティブにもつながっていくのではないかということで、今回は性能要 件化を制度として認めていくのがいいのではないかと考えています。 ○名古屋委員  いまの特例許可が折角あるのですが、うまく運用されていないところを改善しようと いうことかと思っているので、是非進めていただきたいと思います。  もう一点は、ばく露関係の情報提供者の中で、先ほど産業医が出ていますが、これか ら産業医にいろいろな負担がかかると過重労働になってくると思いますので、逆に化学 物質等は産業医よりは測定士やほかの資格を持った人のほうがはるかに知識を持ってい ると思いますし、折角厚生労働省が資格を与えているわけですから、産業医ばかりに特 化するわけではなく、そういう人たちも入れて、できるだけ棲み分けをしていく。  産業医は医学に対しては、確かに知っているかもしれませんが、化学物質をどのぐら い知っているかというと、我々も産業医の講習会をやっていますが、化学物質の記号を 書くと、あまり聞いてくれないという経験があります。化学物質やほかのものについて 得意とする、その資格を持った人たちがいますので、ばく露関係や情報提供者の中に入 れていくというシステムにしていく。メンタルヘルスは当然産業医だと思っていますの で、そういう中の棲み分けをきちんとして、提供者の中に、測定士や衛生管理者などの 得意な分野の人を入れる形にしてもらえると有難いと思います。 ○化学物質対策課長  いまのご指摘ですが、私どもは中災防の委託事業として化学物質管理支援事業を行っ ておりますが、その中で第58条に基づく指針等について研修しております。今回MSD Sという中身的にはかなり細かい所もありますので、私どもはその支援事業の中身に、 こういった制度が導入されてくれば、当然これに見合う形で支援事業で行っている研修 の中身についても、当然見直しをしていかなければならないと考えています。 ○中桐委員  ここにある(1)は国連の規定ですし、1日も早くやるべき事項だと思います。そう いう意味で、是非速やかにやっていただければと思います。  もう一点は、有用性の問題として、外国人労働者等々について、そういうものが分か らないからということがありますので、今回のGHSで改善されるかもしれませんが、 そういうことも少し配慮いただければと思います。 ○化学物質対策課長  外国人労働者については、今回1つの絵表示については万国共通になってきますの で、日本語がよく理解できなくても見れば分かることになります。事業場の中で取り扱 う容器にも、基本的にはそういう表示をしていただくことも考えていますので、外国人 の事故について一定部分防げるのかなと思っています。 ○和田委員  今までお話を伺って、たぶんこれからも出てくると思いますが、産業医に対する任務 や衛生委員会など、どんどん増える一方のような感じがします。しかも、ばらばらに増 やしていくのはすっきりしない感じがしますので、是非1つにまとめてすっきりしたも のにしていただきたいと思います。任務に対する代価もきちんと考えていただければと いう感じがします。 ○分科会長  産業医に対する風当たりがかなり強かったようですね。 ○和田委員  責任だけが重大だと思っているのです。やらなければならないというのは、ちょっと かわいそうな気がします。 ○加藤委員  私はちょっと勘違いしているかもしれませんが、有機則だとか、いろいろなもので、 こういうものを使っている所はどうしなさいとか、場の管理になっていますね。環境中 の濃度が低かったらやらなくてもいいとは何も書いてないのです。今回はそのように変 えられるということですか。環境が良ければ有機溶剤を使っていても、いろいろなもの が緩和されるということですか。 ○化学物質対策課長  例示で書きましたように、当然、作業環境測定を定期的にやっていただいて、一定の 気中濃度が維持されること、そして化学物質を事業場の中できちんと管理ができるシス テムがあること。その二つの要素ではないかと思います。 ○加藤委員  考え方がちょっと変わるということですね。 ○化学物質対策課長  考え方としては変わってくるのではないかと思います。 ○加藤委員  分かりました。それは非常にいいことだと思います。 ○分科会長  ほかに何かございますか。それでは、本日の会議は終了とさせていただきます。次回 は10月21日(木)の10時から開催予定となっておりますので、どうぞご出席のほどお願 いいたします。  なお議事録への署名ですが、芳野委員と中田三郎委員にお願いしたいと思います。ど うも今日はお忙しい中をありがとうございました。               照会先:労働基準局安全衛生部計画課(内線5476)                        03−5253−1111(代表)