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確定拠出年金
連絡会議
第11回
平成16年10月28日
資料5

企業年金関係の改正予定内容(案)

I  企業年金のポータビリティの確保(年金通算措置)

 1. 基本的考え方

  ○  現在は、個人単位での権利義務の移転は以下の場合にのみ認められており、脱退一時金相当額の移換は厚生年金基金から厚生年金基金連合会へ移換する場合のみできることとなっている。
 事業所単位の権利義務移転は、(1)厚生年金基金間、(2)確定給付企業年金間、(3)確定給付企業年金から厚生年金基金において行える。

  転職先企業の制度
元の企業の制度
  厚生年金基金 確定給付企業年金 確定拠出年金 厚生年金基金連合会
厚生年金基金 × × ×
(注2)
確定給付
企業年金

(注1)

(注1)
×
基金加入期間の
ある者のみ
(注2)
厚生年金
基金連合会

元の基金への
復帰者のみ
× ×  
注1) 双方の企業年金制度の規約において、あらかじめ、給付の支給に関する権利義務承継を定めている場合。
注2) 制度終了時の年金通算を含む。

  ○  先の通常国会において、企業年金制度の中途脱退者が受給する脱退一時金に年金化の途を開くことを目的として厚生年金保険法等の改正が行われ、
(1)  厚生年金基金・確定給付企業年金間であらかじめ規約で資産移換できる旨を定めている場合には、加入員(者)の申出により、脱退一時金相当額の移換を行うとともに、この移換が困難な場合は、企業年金連合会(厚生年金基金連合会を改称)で引受けを行うこと。
(2)  厚生年金基金・確定給付企業年金から、加入員(者)の申出により企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金へ資産移換を行うこと。 が可能となった。
  ○  今般の政省令の改正は、これらの脱退一時金相当額の移換が行われる際の加入期間の取扱い等について定めるものである。その基本的考え方は以下のとおりである。
(1)  上記(1)の場合には、脱退一時金相当額の算定の基礎となった期間の全部又は一部を引き継ぐこととする。
(2)  上記(2)の場合には、脱退一時金相当額の算定の基礎となった期間の全部を引き継ぐこととする。
  ○  なお、移換される脱退一時金相当額の給付設計は、移換先の規約に基づくものとなるなど、移換後は、移換先の企業年金制度に従い運営するものとする。
  ○  また、個人単位の権利義務移転について、(1)厚生年金基金間及び(2)厚生年金基金から確定給付企業年金においても行えることとする。この際、移転元の制度における加入期間を、移転先の加入期間とみなすこととする。(既存の確定給付企業年金間、確定給付企業年金から厚生年金基金への移転についても同様の対応。)

 下記2.以下で出てくる期間に関する用語は、以下のとおり。
<厚生年金基金>
 加入員期間: 厚生年金基金の加入員であった期間。この期間について、厚生年金基金は代行部分等を支給する。
 加算加入員期間: 脱退一時金相当額の算定基礎となった期間。加入員期間とは必ずしも一致しない。3年以上あれば必ず脱退一時金を支給。20年以上あれば年金として支給(一時金の選択は可)。

<確定給付企業年金>
 加入者期間: 確定給付企業年金の加入者であった期間。給付額の算定基礎となるとともに、年金としての受給の可否についても判断基準となる(20年以上であれば年金として支給(一時金の選択は可))。
 脱退一時金相当額の算定基礎期間: 脱退一時金相当額の算定の基礎となった期間。加入者期間とは必ずしも一致しない。

<確定拠出年金>
 通算加入者等期間: 確定拠出年金の加入者、運用指図者であった期間(他制度から資産を移換した場合は、移換前の制度の加入期間も含む。)。確定拠出年金の支給開始年齢を決定する。(10年以上あれば60歳から支給。)


 2. 確定給付企業年金間の移行

 2−1 脱退一時金相当額の移換
  (1) 加入者期間の取扱い【政令、省令、通知】
 脱退一時金相当額の算定基礎期間の全部又は一部について、移換先の確定給付企業年金は加入者期間に合算することとする。
 算定基礎期間の一部を合算する場合においては、移換先確定給付企業年金は、合理的な範囲で行うものとする。
 ※  「合理的な範囲」については、以下の内容等を定める予定。
移換先確定給付企業年金の規約に脱退一時金相当額を当てはめて期間の換算を行うこと
移換先での勤務期間が一定の期間以上の者についてのみ合算することを認める(一定期間以内で退職した場合は、合算していれば年金として支給しなければならない場合であっても、一時金として支給することを認める。)こと
  (2) 移換申出期限【政令】
 本人は、移換元確定給付企業年金の加入者の資格を喪失したときから1年以内かつ移換先確定給付企業年金の加入者の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
  (3) 引継事項【省令】
 氏名・性別・生年月日・住所
 移換する脱退一時金相当額及び加入者が拠出した掛金額
 脱退一時金相当額の算定基礎期間
  (4) 脱退一時金相当額を移換できる中途脱退者の加入者期間【政令】
 脱退一時金相当額を移換できる中途脱退者は、加入者期間が20年未満の者とする。
 注) 加入者期間が20年未満であっても、当該確定給付企業年金の受給権を有する者は、移換できない(法律)。

 2−2 権利義務移転
  ○  加入者期間の取扱い【政令、省令】
 移転先確定給付企業年金が、移転元確定給付企業年金の支給に関する権利義務を承継する場合においては、移転元確定給付企業年金の加入者期間を移転先確定給付企業年金の加入者期間とみなすこととする。
 ※  現在は、権利義務移転時の加入者期間の取扱いについては規定されていない。

 2−3 再加入する場合
  ○  前後の加入者期間の取扱い【通知】
 確定給付企業年金は、他の確定給付企業年金から脱退一時金相当額の移換を受ける旨の規約を定める場合には、元確定給付企業年金へ再加入する者(元確定給付企業年金において脱退一時金を受給した者を除く。)について、前後の加入者期間を合算することとする規約を定めなくてはならないこととする。
 注1) 現在、元確定給付企業年金に再加入する場合、加入者期間は規約により合算できることとなっており、必ず合算することとはなっていない。
 注2) 脱退一時金相当額を移換して元確定給付企業年金に再加入した場合と、移換をせずに再加入した場合とで、加入者期間の合算について不合理な差が出ることを防ぐ。
 注3) 規約型企業年金の統合・分割、企業年金基金の合併・分割、権利義務承継時も再加入時と同様の扱いとなっているため、これらの場合についても同様に通知で規定する。


 3. 厚生年金基金から確定給付企業年金への移行

 ※  基本部分は企業年金連合会に移転される。確定給付企業年金に移換されるのは加算部分のみ。

 3−1 脱退一時金相当額の移換
  (1) 加入員期間の取扱い【政令、省令、通知】
 厚生年金基金の加算加入員期間の全部又は一部について、確定給付企業年金は加入者期間に合算することとする。
 加算加入員期間の一部を合算する場合においては、確定給付企業年金は、合理的な範囲で行うものとする。
  (2) 移換申出期限【政令】
 本人は、厚生年金基金の加入員の資格を喪失したときから1年以内かつ確定給付企業年金の加入者の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
  (3) 引継事項【省令】
氏名・性別・生年月日・住所
移換する脱退一時金相当額
加算加入員期間

 3−2 権利義務移転
  ○  個人単位の権利義務移転【政令、省令】
 厚生年金基金から確定給付企業年金への権利義務の移転について法律で規定されたことに伴い、個人単位の権利義務移転もできることとする。
(1)  加入員期間の取扱い【政令】
 確定給付企業年金が、厚生年金基金の支給に関する権利義務を承継する場合においては、厚生年金基金の加算加入員期間を、確定給付企業年金の加入者期間とみなすこととする。
(2)  移換申出の手続等【政令】
 申出の手続等については、確定給付企業年金間の権利義務承継と同様に定める予定。
(3)  代行部分の現価相当額の計算【政令、告示】
 厚生年金基金から確定給付企業年金へ権利義務を移転する際に企業年金連合会が徴収する現価相当額については、厚生労働大臣が定めるところ(厚生年金基金の解散時に移換する最低責任準備金に準ずる。)により計算したものとする。
注) 現在は個人単位の責任準備金は計算していないため、最低責任準備金を、過去期間代行給付現価で按分して計算した額とする。
 ※  なお、厚生年金基金の分割時、厚生年金基金間の権利義務承継時についても同様に、過去期間代行給付現価で按分することとする。
(4)  権利義務移転承継時の給付減額【省令】
 厚生年金基金から確定給付企業年金へ権利義務承継する場合であってやむを得ない事由がある場合を、給付減額の理由に追加する。(既存の確定給付企業年金間での権利義務承継時と同様。)


 4. 厚生年金基金間の移行

 4−1  脱退一時金相当額の移換
 ※  厚生年金基金間の脱退一時金相当額の移換は、基本部分の権利義務移転に併せて行う。
  (1) 加入員期間の取扱い【政令、省令、通知】
(1)  基本部分の移換(権利義務移転)について
 移換元厚生年金基金の加入員期間を、移換先厚生年金基金の加入員期間とみなすこととする。
(2)  加算部分(脱退一時金相当額)の移換について
 移換元厚生年金基金の加算加入員期間の全部又は一部について、移換先厚生年金基金は加算加入員期間に合算することとする。
 加算加入員期間の一部を合算する場合においては、移換先厚生年金基金は、合理的な範囲で行うものとする。
  (2) 移換申出期限【政令】
 本人は、移換元厚生年金基金の加入員の資格を喪失したときから1年以内かつ移換先厚生年金基金の加入員の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
  (3) 引継事項【省令】
 氏名・性別・生年月日・住所・基礎年金番号等
 ※  現在、厚生年金基金から厚生年金基金連合会へ引き継いでいる事項と同様に規定する予定。
移換する脱退一時金相当額
加算加入員期間
  (4) 脱退一時金相当額を移換できる中途脱退者の加入員期間【政令】
 現在は、加入員期間が15年以上の場合は中途脱退者とならないが、これを20年以上の場合とする。
 注) 加入員期間が20年未満であっても、当該厚生年金基金の受給権を有する者は、中途脱退者とならない(法律)。
  (5) 移換しようとする先の厚生年金基金が将来返上の認可を受けている場合【通知】
 移換しようとする先の厚生年金基金が将来返上の認可を受けている場合は代行部分の権利義務移転ができないため、脱退一時金相当額の移換も認めないこととする。

 4−2 権利義務移転
  ○  個人単位の権利義務移転【政令、省令】
 厚生年金基金間の給付の支給に関する権利義務の移転について、事業所単位の移転に加えて個人単位での移転もできることとする。
(1)  加入員期間の取扱い【政令】
 移転先厚生年金基金が移転元厚生年金基金の支給に関する権利義務を承継する場合においては、移転元厚生年金基金の加入員期間を、移転先の加入員期間とみなすこととなっている(法律)。
 移転元厚生年金基金の加算加入員期間についても、移転先厚生年金基金の加算加入員期間とみなすこととする。
(2)  移換申出の手続【政令】
 申出の手続等については、事業所単位の権利義務移転に準じて定める予定。
(3)  権利義務承継時の給付減額【通知】
 厚生年金基金間で権利義務承継をする場合であってやむを得ない事由がある場合を、給付減額の理由に追加する。(既存の確定給付企業年金から厚生年金基金への権利義務承継時と同様。)


 5. 確定給付企業年金から厚生年金基金への移行

 5−1 脱退一時金相当額の移換
  (1) 加入者期間の取扱い【政令、省令、通知】
 脱退一時金相当額の算定基礎期間の全部又は一部について、厚生年金基金は加算加入員期間に合算することとする。
 算定基礎期間の一部を合算する場合においては、厚生年金基金は、合理的な範囲で行うものとする。
  (2) 移換申出期限【政令】
 本人は、確定給付企業年金の加入者の資格を喪失したときから1年以内かつ厚生年金基金の加入員の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
  (3) 引継事項【省令】
 氏名・性別・生年月日・住所
 移換する脱退一時金相当額
 脱退一時金相当額の算定基礎期間

 5−2 権利義務移転
  ○  加入者期間の取扱い【政令、省令】
 厚生年金基金が確定給付企業年金の支給に関する権利義務を承継する場合においては、確定給付企業年金の加入者期間を、厚生年金基金の加算加入員期間とみなすこととする。
 ※  現在は、権利義務移転時の加入者期間の取扱いについては規定されていない。


 6. 確定給付企業年金又は厚生年金基金から確定拠出年金への移行

 6−1 脱退一時金相当額の移換
  (1) 加入者期間の取扱い【法律、政令、省令】
 脱退一時金相当額の算定基礎期間又は厚生年金基金の加算加入員期間の全部を、確定拠出年金の通算加入者等期間に合算することとする。
  (2) 移換申出期限【政令】
 本人は、確定給付企業年金の加入者又は厚生年金基金の加入員の資格を喪失したときから1年以内かつ確定拠出年金の加入者の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
  (3) 引継事項【省令】
 氏名・性別・生年月日・住所
 移換する脱退一時金相当額
 脱退一時金相当額の算定基礎期間又は厚生年金基金の加算加入員期間
 基礎年金番号
 確定給付企業年金から移換する場合は、本人から申し出る。

 6−2 制度単位での企業型年金への移換
  ○  移換額【政令】
 6−1において、個人単位で脱退一時金相当額を企業型年金へ移換する場合には、本人拠出分も含めて移換し、全額が事業主が拠出した掛金とみなされることに伴い、制度単位で確定給付企業年金等から企業型年金へ移行する場合についても、本人の同意により本人拠出分も含めて移換できることとし、その場合はその全額が事業主が拠出した掛金とみなされる。
 現在は、制度単位で企業型年金へ移換する場合は、本人拠出分は返還されることとなっている。


 7. 確定給付企業年金から企業年金連合会への移行

  (1) 移換申出期限【政令】
 本人は、確定給付企業年金の加入者の資格を喪失した時から1年以内に申し出ることとする。
  (2) 引継事項【省令・通知】
 氏名・性別・生年月日・住所
 移換する脱退一時金相当額及び本人が拠出した掛金額
 脱退一時金相当額の算定基礎期間(中途脱退時)、確定給付企業年金の加入者期間(制度終了時)
 基礎年金番号
 移換申出の際に、本人から確定給付企業年金を経由して申し出ることとする。
  (3) 企業年金連合会への通知【政令】
 中途脱退者又は終了制度加入者等から企業年金連合会(以下「連合会」という。)への移換の申出を受けた確定給付企業年金又は清算人は、その旨を連合会に通知することとする。


 8. 企業年金連合会から確定給付企業年金への移行

  (1) 加入者期間の取扱い【政令、省令、通知】
(1)  連合会が脱退一時金相当額を引き継いでいる場合
 連合会に引き継いだ確定給付企業年金(以下「引継前確定給付企業年金」という。)の脱退一時金相当額の算定基礎期間又は連合会に引き継いだ厚生年金基金(以下「引継前厚生年金基金」という。)の加算加入員期間の全部又は一部について、確定給付企業年金は加入者期間に合算することとする。
(2)  連合会が残余財産を引き継いでいる場合
 引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間の全部又は一部について、確定給付企業年金は加入者期間に合算することとする。
 (1)(2)で一部の期間を合算する場合においては、確定給付企業年金は、合理的な範囲で行うものとする。
 ※  平成17年10月1日以前に連合会に移換した者については、必要な情報が連合会に引き継がれていないことがあるが、その場合は、引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間として本人が申し出た期間の全部又は一部を、確定給付企業年金の加入者期間に合算することとする。
  (2) 移換申出期限【政令】
 本人は、確定給付企業年金の加入者の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
  (3) 引継事項【省令】
氏名・性別・生年月日・住所
移換する年金給付等積立金の額(確定給付企業年金から引き継いでいる場合には、併せて、本人が拠出した掛金額)
引継前確定給付企業年金の脱退一時金の算定基礎期間又は引継前厚生年金基金の加算加入員期間(中途脱退時)
引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間(制度終了時)
  (4) 移換額【法律】
 連合会から確定給付企業年金へ移換する積立金の額は、連合会の規約で定める。
  (5) 連合会へ申し出る者【通知】
 連合会から積立金を移換する際は、あらかじめ移換先確定給付企業年金が連合会に登録をしている場合にあっては、本人の申出を受けた移換先確定給付企業年金から連合会に申し出ることができることとする。この場合、確定給付企業年金は、本人が積立金の移換を申し出てから速やかに連合会に申し出るものとする。


 9. 連合会から厚生年金基金への移行

 連合会が厚生年金基金から資産を引き継いでいる場合、連合会から厚生年金基金への移換は、基本部分の権利義務移転に併せて、厚生年金基金の加算部分に係る積立金の移換を行う【法律】。

  (1) 加入者期間・加入員期間の取扱い【政令、省令、通知】
(1)  厚生年金基金から引き継いだ者について移換する場合
@  基本部分の移転(権利義務移転)について
 引継前厚生年金基金の加入員期間を、移換先厚生年金基金の加入員期間とみなすこととする。
A  加算部分(積立金)の移換について
 連合会が脱退一時金相当額を引き継いでいる場合
 引継前厚生年金基金の加算加入員期間の全部又は一部について、移換先厚生年金基金は加算加入員期間に合算することとする。
 連合会が残余財産を引き継いでいる場合
 引継前厚生年金基金の加入員期間の全部又は一部について、移換先厚生年金基金は加算加入員期間に合算することとする。
(2)  確定給付企業年金から引き継いだ者について移換する場合
@  連合会が脱退一時金相当額を引き継いでいる場合
 引継前確定給付企業年金の脱退一時金相当額の算定基礎期間の全部又は一部について、厚生年金基金は加算加入員期間に合算することとする。
A  連合会が残余財産を引き継いでいる場合
 引継前確定給付企業年金の加入者期間の全部又は一部について、厚生年金基金は加算加入員期間に合算することとする。
 (1)(2)で一部の期間について合算する場合においては、厚生年金基金は、合理的な範囲で行うものとする。

 ※  平成17年10月1日以前に連合会に移換した者については、必要な情報が連合会に引き継がれていないことがあるが、その場合は、引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間として本人が申し出た期間の全部又は一部を、移換先厚生年金基金の加算加入員期間に合算することとする。
  (2) 移換申出期限【政令、通知】
 本人は、厚生年金基金の加入員の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
 これに合わせ、元基金へ再加入する場合の交付請求期限を規定している「厚生年金基金事務取扱い準則(昭和42年3月28日年企発第20号)」第6の3(2)を改正。(現在は、元基金の資格を取得した日の属する月の翌月の15日まで。)
  (3) 引継事項【省令】
氏名・性別・生年月日・住所
移換する年金給付等積立金の額
引継前確定給付企業年金の脱退一時金相当額の算定基礎期間又は引継前厚生年金基金の加算加入員期間(中途脱退時)
引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間(制度終了時)
基礎年金番号
  (4) 移換額【法律、政令】
 厚生年金基金から引き継いでいる積立金については、以下のとおり計算する(政令)。
 中途脱退者分については、基本部分に充てるべき積立金は、厚生年金基金から連合会へ移換する現価相当額と同様に計算する。
 解散基金加入員分(3−2で厚生年金基金から確定給付企業年金に権利義務承継をした際に解散基金加入員とみなされた者を含む。)については、代行部分に充てるべき積立金は、厚生年金基金の解散時に連合会に移換する最低責任準備金を過去期間代行給付現価で按分して計算する。
 確定給付企業年金から引き継いでいる積立金及び厚生年金基金から引き継いでいる加算部分に係る積立金の額は、連合会の規約で定める(法律)。
  (5) 移換しようとする先の厚生年金基金が将来返上の認可を受けている場合【通知】
 移換しようとする先の厚生年金基金が将来返上の認可を受けている場合は代行部分の権利義務移転ができないため、連合会が厚生年金基金から引き継いだ積立金の移換は認めないこととする。
  (6) 連合会へ申し出る者【通知】
 連合会から積立金を移換する際は、あらかじめ移換先厚生年金基金が連合会に登録をしている場合にあっては、本人の申出を受けた移換先厚生年金基金から連合会に申し出ることができることとする。この場合、厚生年金基金は、本人が積立金の移換を申し出てから速やかに連合会に申し出るものとする。
  (7) 関係告示の整備【告示】
 元基金へ再加入する場合について規定されている現価相当額の計算方法等の告示について、所要の整備を行う。


10. 連合会から確定拠出年金への移行

  (1) 加入者期間の取扱い【法律、政令、省令】
(1)  連合会が脱退一時金相当額を引き継いでいる場合
 引継前確定給付企業年金の脱退一時金相当額の算定基礎期間又は引継前厚生年金基金の加算加入員期間の全部を、確定拠出年金の通算加入者等期間に合算することとする。
(2)  連合会が残余財産を引き継いでいる場合
 引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間の全部を、確定拠出年金の通算加入者等期間に合算することとする。
 平成17年10月1日以前に連合会に移換した者については、必要な情報が連合会に引き継がれていないことがあるが、その場合は、引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間として本人が申し出た期間の全部又は一部を、確定拠出年金の通算加入者等期間に合算することとする。
  (2) 移換申出期限【政令】
 本人は、確定拠出年金の加入者の資格を取得した時から3月以内に申し出ることとする。
  (3) 引継事項【省令】
氏名・性別・生年月日・住所
移換する年金給付等積立金の額
引継前確定給付企業年金の脱退一時金の算定基礎期間又は引継前厚生年金基金の加算加入員期間(中途脱退時)
引継前確定給付企業年金の加入者期間又は引継前厚生年金基金の加入員期間(制度終了時)
基礎年金番号
  (4) 移換額【法律、政令】
 企業年金連合会から確定拠出年金へ移換する積立金の額は、連合会の規約で定める。
  (5) 連合会へ申し出る者【通知】
 連合会から積立金を移換する際は、あらかじめ確定拠出年金の事業主又は国民年金基金連合会(以下「事業主等」という。)が連合会に登録をしている場合にあっては、本人の申出を受けた事業主等から連合会に申し出ることができることとする。この場合、事業主等は、本人が積立金の移換を申し出てから速やかに連合会に申し出るものとする。


11. 厚生年金基金から連合会への移行

  (1) 移換申出期限【政令】
 基金は、厚生年金基金の加入員の資格を喪失した時から1年以内に申し出ることとする。
  (2) 引継事項【省令】
 基金から連合会へ脱退一時金相当額を移換する際に、加算加入員期間も引き継ぐこととする。


12. 共通事項

  (1) 規約の定め方【通知】
 脱退一時金相当額の受け入れ先を具体的に規定しない包括的な規定も認めることとする。
  (2) 脱退一時金の設定方法【通知】
 グループ内異動に伴う脱退一時金額と、その他の転職の場合の脱退一時金額に差を付けることについては、認めることとする。ただし、特定の者について不当に差別的であってはならないという法律の規定に違反してはならない。
  (3) 本人への説明【政令・省令】
 資産の移換元の制度は本人が加入者(加入員)の資格を喪失した際に、移換先の制度は本人が加入者(加入員)の資格を取得した際に、資産移換の可否、申出期間、制度の内容・税制等について、本人に十分に説明しなくてはならないこととする。



II  企業年金連合会の会員

 1. 基本的考え方

  ○  確定給付企業年金の中途脱退者及び終了制度加入者等についても、厚生年金基金連合会で年金通算を行うこととなり、また連合会から確定拠出年金への移換もできることとなったことに伴い、厚生年金基金連合会は企業年金連合会へと改称し、企業年金全体の通算機能を持つこととなる。


 2. 連合会の会員【法律、政令】

  ○  連合会の会員は、従来の厚生年金基金に加え、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金とする。



III  確定拠出年金の脱退一時金の支給要件の緩和

 1. 現行の脱退一時金支給要件の一部緩和

 1−1基本的考え方
  ○  現行制度上の脱退一時金の受給要件の一つである「通算拠出期間が1月以上3年以下」を満たさない場合においても、個人別管理資産の額が一定額以下であれば、脱退一時金を受給できることとする制度の創設に伴い、資産額の判定方法の手続等を定める。
(注)  このほか、確定拠出年金法(以下「法」という。)附則第3条第1項第1号から第4号まで及び第6号並びに第7号に掲げる要件に該当することが必要。

 1−2 資産要件の判定
  (1) 脱退一時金を受給するための資産額の要件【政令】
 請求者の個人別管理資産の額として次の「個人別管理資産額の計算方法」により計算した額が、50万円以下であることとする。
  (2) 個人別管理資産額の計算方法【政令】
(1)  企業型年金の資格を喪失した者の場合((2)に該当する場合を除く。)及び個人型年金の資格を喪失した者の場合
 脱退一時金を請求した日(以下「請求日」という。)が属する月の前月の末日における請求者の個人別管理資産の時価評価額(運用を行う前の待機資金を含む)に、当該時点後、請求日までに資産に繰り入れられることとなる掛金拠出額及び企業年金制度からの移換資産の額を合算した額から、事業主に返還する額を控除して算定する。
 具体的には、アからウまでに掲げる額の合計額からエに掲げる額を控除した額とすることとする。
 請求日が属する月の前月の末日における資産評価額(各商品の口数×各商品の時価+待機資金)
 喪失日までに拠出することとなっている掛金で、請求日が属する月の前月の末日において未拠出のもの(喪失月の前月分まで)
 法第54条の規定により移換することとなっている資産(企業年金制度又は退職手当制度に係るもの)で、請求日が属する月の前月の末日において未移換のものであって、請求日までに移換されるもの
(注)  企業年金からの移換を受けないことを選択した者の場合は、移換額は考慮しない。
 事業主返還金相当額((1)の資産評価額に、規約に記載されている計算式を当てはめて算出した額)
(2)  企業型年金の資格を喪失した後、その資産が国民年金基金連合会に自動移換された者の場合
 請求日が属する月の前月の末日における個人別管理資産の額とする。

 1−3 新要件の適用について【通知】
  ○  施行日において、すでに確定拠出年金の加入者資格を喪失している者が、施行日以後に脱退一時金を請求した場合には、新しい要件により脱退一時金を受給することができることとする。

 1−4 企業型年金を実施している企業からの情報提供【省令】
  ○  企業型年金の脱退者から脱退一時金の請求があった場合においては、当該企業型年金を実施している企業の事業主は、当該請求者に係る情報(請求日が属する月の前月の末日より後に資産に繰り入れられることとなる掛金拠出額及び企業年金制度からの移換資産の額等)を、速やかに企業型記録関連運営管理機関に通知するものとする。
  ○  具体的には、以下のような規定とする。
 事業主は、企業型年金加入者がその資格を喪失したときは、速やかに、次に掲げる事項を企業型記録関連運営管理機関に通知するものとする。
 喪失日までに拠出することとなっている掛金で基準日において未拠出のもの(喪失月の前月分まで)
 法第54条の規定により移換することになっている資産(企業年金制度または退職手当制度に係るもの)で未移換のもの
 事業主返還金相当額(基準日における資産評価額に、規約に記載されている計算式を当てはめて算出した額)


 企業型年金から支給される脱退一時金の受給要件

 2−1 基本的考え方
  ○  企業型年金の加入者資格を喪失した場合において、資産額がきわめて少額であるときに、個人型年金の加入者資格の有無にかかわらず、企業型記録関連運営管理機関に請求して脱退一時金を受給することができることとする制度の創設に伴い、資産額の判定方法の手続等を定める。

 2−2 資産要件の判定
  (1) 脱退一時金を受給するための資産額の要件【政令】
 請求者の個人別管理資産の額として次の「個人別管理資産額の計算方法」により計算した額が、1万5千円以下であることとする。
  (2) 個人別管理資産額の計算方法【政令】
 請求日が属する月の前月の末日における請求者の個人別管理資産の時価評価額(運用を行う前の待機資金を含む)に、当該時点後、請求日までに資産に繰り入れられることとなる掛金拠出額及び企業年金制度からの移換資産の額を合算した額から、事業主に返還する額を控除して算定する。
 具体的には、アからウまでに掲げる額の合計額からエに掲げる額を控除した額とすることとする。
 請求日が属する月の前月の末日における資産評価額(各商品の口数×各商品の時価+待機資金)
 喪失日までに拠出することとなっている掛金で、請求日が属する月の前月の末日において未拠出のもの(喪失月の前月分まで)
 法第54条の規定により移換することとなっている資産(企業年金制度又は退職手当制度に係るもの)で、請求日が属する月の前月の末日において未移換のものであって、請求日までに移換されるもの
(注)  企業年金からの移換を受けないことを選択した者の場合は、移換額は考慮しない。
 事業主返還金相当額((1)の資産評価額に、規約に記載されている計算式を当てはめて算出した額)

 2−3 脱退一時金の額【政令】
  ○ 請求をした者の個人別管理資産に係るすべての運用の方法に係る資産が現金化された日(その請求をした日から起算して3月を経過するまでの日に限る。)における個人別管理資産額とする。
(注)  法附則第3条の場合について規定する同法施行令第59条と同様の規定。

 2−4 企業型年金を実施している企業からの情報提供【省令】
  ○  1―4と同様。


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