審議会議事録  厚生労働省ホームページ

04/10/27  中央社会保険医療協議会
 全員懇談会議事録

(1)日時  平成16年10月27日(水)10:01〜10:48
(2)場所  厚生労働省専用第18会議室
(3)出席者  星野進保会長 村田幸子委員 土田武史委員
 対馬忠明委員 宗岡広太郎委員(代 松井) 大内教正委員(代 山口)
 飯塚孜委員 松浦稔明委員 櫻井秀也委員 松原謙二委員
 青木重孝委員 野中博委員 佐々英達委員 漆畑稔委員
 <参考人>
 福島健康保険組合連合会副会長 龍井日本労働組合総連合会政策局長
 井堂日本歯科医師会会長
 <事務局>
 中島審議官 麦谷医療課長 間杉総務課長 他
(4)議題  ○中医協を巡る贈収賄容疑事件を踏まえた今後の取組について
(5)議事内容
○星野会長
 おはようございます。
 本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 まず、会議開催の趣旨について説明をさせていただきます。
 今回の中医協を巡る贈収賄容疑事件につきましては、6月9日に全員懇談会を開催し、今回の事件に関与した委員の推薦団体である三団体の方に参考人として御出席いただいて、意見の聴取を行ったところでございます。
 その後、10月6日に再度全員懇談会を開催し、まずは厚生労働省から今回の事件に係る中間報告について報告を受けた後、三団体から改善案について御報告いただいた上で、当面中医協としてできる改革はどのようなものかについて、御議論いただいたところでございます。
 その際、次回の全員懇談会において、私を中心として公益委員の方で、短期的なものと長期的なものとに仕分けをして、当面速やかに取り組むべき改革案を作成した上で、再度全員懇談会を開催し、改革案について御議論いただくこととしておりました。
 以上が本日の会議開催の趣旨でございますが、これについて何か御意見ございましょうか。
 特に御意見等がないようでしたら、ただいまより、中央社会保険医療協議会全員懇談会を開会いたします。
 なお、本日の全員懇談会につきましても、6月9日及び10月6日の全員懇談会と同様に、報道陣のお申し出により、撮影を認めることといたしましたので、御了解願います。
 報道陣の皆様におかれましては、既に事務局の方より撮影に当たっての留意事項が伝達されていると聞いておりますが、会議の趣旨を御理解いただき、会議の円滑な進行の妨げとなるようなことのないよう、念のため、私の方からもお願いを申し上げておきます。
 まず、委員の出欠状況について報告します。
 本日は、青柳委員が御欠席です。また、宗岡委員の代理として松井さんが、大内委員の代理として山口さんがお見えです。
 また、本日は、参考人として、健康保険組合連合会の福島副会長、日本労働組合総連合会の龍井総合政策局長、日本歯科医師会の井堂会長に御出席いただいております。
 なお、保険局長は国会のため欠席させていただく旨の連絡を受けております。
 議事に入らさせていただく前に、前回の全員懇談会において、連合から御報告いただいた改善策について私の方から意見を申し上げ、一部修文するようお願いをしておりました。これについては、資料懇−1のとおり、連合より修文後の改善策の提出をいただいております。大変、直ちに御対応いただきまして、私としても感謝いたします。私としてもこれを了承しておりますので、御報告いたします。ごらんいただければと思います。
 それでは、議事に入らさせていただきます。
 私の方から公益委員のお二人、土田委員、村田委員にお声をかけ、10月14日に会合を持って、資料懇−2のとおり、「中央社会保険医療協議会の在り方の見直しについて(案)」という形で、改革案を作成いたしました。
 これについて、事務局より朗読をお願いします。よろしくお願いします。

○事務局(水谷補佐)
 朗読させていただきます。

中央社会保険医療協議会の在り方の見直しについて(案)

平成16年10月27日
中央社会保険医療協議会全員懇談会了解

 中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)委員一同は、今回の中医協を巡る贈収賄容疑事件を、中医協における診療報酬の決定過程について国民に大きな不信を与えてしまったものとして、重く受け止めるとともに、中医協が国民からの信頼を回復するために、どのような形で再出発をするべきか、これまで議論を重ねてきた。
 具体的には、平成16年6月9日、10月6日及び10月27日の3回にわたり、これまでの国会審議、報道等における中医協の在り方等に係る主な指摘等を整理しつつ、これに沿った形で議論を行ってきた。その際、今回の事件に関与した委員の推薦団体である健康保険組合連合会(以下「健保連」という。)、日本労働組合総連合会(以下「連合」という。)及び日本歯科医師会(以下「日歯」という。)の代表を参考人として招致し、団体としての改善案について意見聴取を行った。このほか、厚生労働大臣の指示により今回の事件の構造解明について調査・検討を行ってきた厚生労働省より、「中央社会保険医療協議会を巡る贈収賄容疑事件に係る中間報告」についても、報告を受けた。
 このような議論の経過を経て、中医協委員一同は、ここに「中央社会保険医療協議会の在り方の見直しについて」を取りまとめることとした。これは、中医協自身が自らどのような形で再出発するかを国民に提示するものとして、中医協として自ら取り組むことが可能な事項を中心としているが、このほか、長期的に幅広く制度の在り方について議論を進めていくべき事項についても一定の考え方を提示している箇所があるほか、中医協委員を任命する権限を有する厚生労働大臣等に対する提言にわたる事項も含まれている。
 中医協委員一同は、これを中医協の再出発の第一歩とし、厳しい経済社会情勢を反映する中で、フリーアクセスを原則としつつ国民皆保険制度を持続可能なものとし、患者中心の質がよく安心できる効率的な医療を確立するため、(1)医療技術の適正な評価(ドクターフィー的要素)、(2)医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価(ホスピタルフィー的要素)、(3)患者の視点の重視等の基本的な考え方に沿った診療報酬体系の見直しに向けて、また、特定療養費制度の基本的な考え方及び具体的な評価の検討等の喫緊の個別的な課題への取組に向けて、これからも真摯に議論を積み重ねていくことにより、その使命を果していくこととしたい。

1 中医協の審議の透明性の確保について
(審議過程の一層の透明化について)
 現在、中医協における審議は、総会、各部会及び各小委員会ともすべて公開で行われているが、審議の過程において、非公開で協議が行われることがあった。
 具体的には、支払側委員及び診療側委員の意見の隔たりが大きいときに公益委員が各側を別個に呼び込む場合や、中医協として意見書を取りまとめる際などに公益委員原案を各側に提示して意見を求める場合などがある。
 このような非公開の協議自体は、三者構成の下での合意形成過程として必要なものであると考えるが、審議過程の一層の透明化を図る観点から、今後は、このような非公開の協議を行った場合には、公益委員から、協議の経過について、公開の場で報告することとする。
(客観的なデータに基づく議論の推進について)
 近年、中医協における審議においては、支払側委員及び診療側委員のそれぞれから客観的なデータが提出され、これに基づき議論が行われるなど、根拠(エビデンス)に基づく議論が推進されてきている。
 さらに、平成15年には、中医協の審議に資するためにそれぞれ専門的な立場から調査を実施する診療報酬調査専門組織が設置され、平成16年度から、本格的にデータの収集に着手している。
 診療報酬調査専門組織はデータの収集を行うための組織であり、ここで収集されたデータをも踏まえ、根拠(エビデンス)に基づく議論を行っていくのが中医協の場であるという自覚を新たにしつつ、審議の透明性の確保を図る観点からも、引き続き、客観的なデータに基づく議論の推進に努めることとする。
(診療報酬改定の結果の検証のための新たな部会の設置について)
 診療報酬改定の結果については、中医協の場において、医療費の動向の報告等が行われてきたが、これまで、診療報酬改定に至る取組と比べ、その取組は不十分であったと言わざるを得ない。審議の透明性の確保の観点からも、診療報酬改定の結果の検証を行い、これをその後の議論に繋げていくことが必要である。
 このため、中医協の中に、公益委員を中心として、診療報酬改定の結果の検証のための新たな部会を設置することとし、その具体的な体制の在り方について、平成16年度中に結論を得ることとする。

2 中医協委員の在り方について
(委員の構成について)
 中医協の委員構成については、社会保険医療協議会法により、
 保険者及び被保険者並びに事業主等を代表する委員 8人
 医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員 8人
 公益を代表する委員 4人
の合計20人で構成され、委員の任期は2年とされている。
 支払側委員と診療側委員とが保険契約の両当事者として協議し、公益委員がこの両者を調整して合意を得るという三者構成については、これを堅持していくべきであると考える。
 また、かねてより、委員に看護関係者の代表を加えるべきとの意見があるが、平成15年12月から看護の専門家が専門委員に任命されている。中医協委員としてこれを加えるには法律改正が必要である。
 これら中医協の委員構成の問題については、長期的に幅広く制度の在り方について議論が必要な問題であると考える。
(委員の任命について)
 中医協委員の任命については、社会保険医療協議会法により、厚生労働大臣がこれを行うが、支払側委員及び診療側委員については各関係団体の推薦によるものとされ、公益委員については両議院の同意を得なければならないこととされている。
 このように、中医協委員の任命は厚生労働大臣の権限であるが、今回の中医協を巡る贈収賄容疑事件を契機として寄せられた意見を踏まえ、また、中医協を正常な形に復帰させ、診療報酬の在り方についての本格的な審議を再開させるに当たっては、現時点において生じている5名もの欠員を可能な限り早期に充足させることが必要であるとの認識を共通にしていることを踏まえ、任命権者たる厚生労働大臣及び委員の推薦団体に対して、以下のような提言を行いたい。
 まず、支払側委員のうち被保険者を代表する委員については、これまで、厚生労働省より連合に対し2名の委員の推薦依頼が行われ、これに基づき委員の任命が行われてきた。
 これについては、連合の改善案において、今後、「被保険者・患者代表」として委員を推薦するとされていることを踏まえ、引き続き、連合に対して2名の委員の推薦依頼を行うこととし、推薦依頼を受けた連合が、1名は患者一般の声をより適切に反映できるような委員の推薦を行うこととする。
 なお、当該委員の推薦に当たっては、連合において、当該患者一般の声をより適切に反映できるような委員の推薦に当たっての基本的な考え方を取りまとめることが求められるので、それまでの間は、連合に対し1名の委員の推薦依頼を行うこととする。
 次に、診療側委員のうち歯科医師を代表する委員については、これまで、厚生労働省より日歯に対し2名の委員の推薦依頼が行われ、これに基づき委員の任命が行われてきた。
 これについては、日歯の改善案において、日歯及び日本歯科医学会が推薦委員をサポートする体制が報告されたことを踏まえ、引き続き、日歯に対して2名の委員の推薦依頼を行うこととするものの、推薦依頼を受けた日歯が、1名は日本歯科医学会の会員から委員の推薦を行うこととする。
 なお、日歯については、他の委員を巻き込む形で今回の事件を引き起こしてしまった当事者団体であるので、日本歯科医学会の会員から推薦を行う委員を除き、日歯改革検討委員会における改善案の報告を踏まえて委員の推薦依頼を行うこととし、その間は、日歯への推薦依頼を留保することとする。
 このほか、中医協委員に病院団体の代表の参加を求める意見もあるが、既に、医師を代表する5名の診療側委員のうち1名は日本医師会の推薦に基づく病院団体の代表である。引き続き、日本医師会が病院団体の代表を推薦する形による病院団体の代表の参加を要望する。
(委員の推薦に当たっての基本的な考え方等について)
 今回の事件に関与した委員の推薦団体である健保連、連合及び日歯の改善案において、今後の委員の推薦に当たっての基本的考え方や推薦委員のサポート体制に係る検討状況が報告された。
 今後とも、各関係団体において、委員の推薦に当たっての基本的な考え方を明確にするとともに、推薦委員のサポート体制を構築することとする。
(委員の在任期間について)
 中医協委員の任期については、社会保険医療協議会法により、1期が2年とされており、また、各種審議会に共通のルールとして、閣議決定により10年を超える任命は行わないこととされている。
 今回の事件に関与した委員の推薦団体である健保連、連合及び日歯の改善案において、3期6年を上限とする考え方が示されたことを踏まえ、支払側委員及び診療側委員の在任期間については、各関係団体において、任期が6年を超えてからの新たな推薦は行わないことを基本として、厚生労働大臣に対し推薦を行うこととする。
(委員に公務員である旨の自覚を促すための対策について)
 中医協委員のうち、公益委員の身分は非常勤の特別職国家公務員であり、公益委員以外の委員は非常勤の一般職国家公務員であるが、これまでは、委員にそのような自覚が希薄であったと言わざるを得ない。
 今後は、委員に新しく就任した者は、自らが国家公務員であり、高い倫理を保って行動する旨を宣誓することとする。
 なお、事務局に対しては、委員を新しく委嘱する際には、中医協委員が国家公務員である旨を必ず説明するとともに、関係法規を資料として提示して、国家公務員法上の禁止規定の説明等を行うよう要請する。

3 その他
(国民への分かりやすい説明について)
 現在、中医協における審議は、総会、各部会及び各小委員会ともすべて公開で行われているが、その議事録については、概要を厚生労働省ホームページで公開するのみであり、必ずしも公開が徹底しているとは言えない。
 ついては、中央社会保険医療協議会議事規則の改正を行い、今後は、議事録について、事前に各委員の了解を得た上で、厚生労働省ホームページで公開することとする。
 なお、事務局に対しては、中医協における配付資料を速やかに厚生労働省ホームページに掲載するほか、診療報酬改定の内容を同ホームページ上で分かりやすく説明するなど、引き続き、国民への分かりやすい説明に努めるよう要請する。
(国民の意見を聴く機会の設定について)
 診療報酬改定に国民の声をより適切に反映させるため、中医協委員が国民の意見を聴く機会の設定の在り方について検討し、平成16年度中に結論を得ることとする。  以上でございます。
○星野会長
 どうもありがとうございました。
 この改革案につきまして御質問、御意見等がありましたら、どうぞ。どなたからでも結構でございます。

○櫻井委員
 今、見直し案、公益の方々でまとめていただいたものをもう一度読み直させていただき、聞きながら、また読みながらということですけれども、大変にいろいろなところに配慮しながらおまとめいただいて、全体としてはこの見直し案ということで、我々としては前にも申し上げましたように、一刻も早く正式な中医協総会、あるいは基本小委も含めていろいろなものが開かれることを望んでおりますので、ぜひ前へ進んでほしいと思います。
 ただ、ちょっとこれは公益側委員にお願いなんですが、今申し上げたように、全体として、我々もこの見直し案を尊重しながら、今後我々も進めたいと思いますけれども、委員の推薦に関して、今度の事件に関連した三団体のうち、連合に対してと歯科医師会に対して、当該団体の改善案に基づいてということで、幾つかの注文というか、ぺナルティーという言い方はよくないのかもしれませんけれども、改善策の御注文が書かれており、直接事件には関係なかったわけですけれども、我々医師会に対しても要望事項が書かれているわけですけれども、健保連に対しての直接の文面が全然ないので、もちろん健保連がどうだとかいうことを私は申し上げるつもりはないし、下村委員の後継者の対馬委員については、前回申し上げたように、大変適正なという言い方は失礼ですけれども、公正な立派な委員が出ていらっしゃることについては何ら異論は挟むことではないけれども、一応せめて文章にしなくても、言葉の上でも、対馬委員のような公正な人間が引き続き健保連からも出るように、公益側から言葉をかけていただくようなことは、どうも、この文章だけ読むと、そこが抜けているような気がするものですから、大変僣越なお願いだけれども、そうしていただけたらと思っております。ちょっと感想的なことを申し上げたわけですけれども、現時点とか、あるいはこの内容に問題があるということではなくて、ぜひそういうことを、私どもとしては要望したいというふうに思います。

○星野会長
 率直にお答え申し上げます。
 大変言いにくいことを率直に言っていただいて、かえって私は感謝しております。率直に申し上げまして、いろいろ考えたんですが、健保連という名前をどこにも出してないわけでありますが、気持ちとしては、4ページの「委員の推薦に当たっての基本的な考え方等について」、健保連からの御報告について、これから改善案について、特に力点を置かれていたのは、同じ委員を長く務めさせない、それから官僚OBをどうかとか、それから推薦委員についての選び方のサポート体制その他についてかくかくしかじかと、大変綿密な御報告を得たわけでありまして、それを健保連とやるのがいいのか、あるいは各団体共通のことですから、ここへくくってしまったので、多分櫻井委員が率直に言っていただいたように、健保連の名前がどこにも、透かし見るとギルティーのように出てくるような文言がどこにもないという御懸念が生じたと思いますが、御注意いただきたいことは、全く健保連も同じようなことでございますので、その気持ちを込めてここのサポートのところに書いたつもりでございますので、対馬委員にもそこはよく御了解いただければというふうに思っております。
 よろしゅうございましょうか。

○櫻井委員
 はい。

○星野会長
 今の件は、櫻井委員の御発言については特に議事録にも明記しておいてください。よろしくお願いします。
 ほかにどうぞ何でも、かえってこの際でございますから、言いにくいことでも何でもおっしゃっていただければと思います。どうぞよろしく。

○漆畑委員
 櫻井委員も話がありましたように、一刻も早く中医協の従来の形にといいますか、中医協としての役割が果たせるような状況に戻していただきたいということで、前回の全員懇でもお願いをしましたけれども、そういう状況にいよいよなるということで、公益の委員の方々の御努力はもちろんですけれども、ここにいる全員が当事者として心を痛めてきたわけでありますから、そういう意味で、今日こういう形でまとめていただいたことには御礼申し上げたいと思います。
 1点なんですけれども、前回の全員懇でちょっと触れさせていただいた事務局強化の件なんですけれども、この案を実行するといいますか、これまでの議論の中身を実行するとなりますと、やはり結果的に事務局に大きな負担がかかるわけでありまして、通常、平時といいますか、普段から事務局の人数が足りているかどうかということは私はよくわからないのですが、いずれにしても、診療報酬改定の直近になりますと、大変事務局が御苦労されているのをかいま見させていただいているわけでありまして、ぜひ、文面にするかどうかは別としましても、事務局の強化につきましても今後検討していただくというふうに御配慮いただければと思います。
 それから、この際ということで、あまり何かタイミングといいますか、こういうことに乗じてというのはちょっとしにくいのですが、委員の任期のことがございますけれども、3期6年というのは、根拠はともかくとして、考え方としては私も妥当だと思いますので、これは賛成申し上げるのですが、診療側委員の8人構成の中で、薬剤師を代表する委員が1人でございますので、引き継ぎという点で、私ども大変今までも苦労をしてございます。やっとその場に慣れて、その前後の議論の経緯を理解をしたというところでかわることになるわけでありまして、確かに議事録とかあるいは中医協委員である者が次の者に引き継ぎをするということで、サポート体制という言葉を使っておりますけれども、そういうことで、可能な部分もあるのですけれども、やはりここの当事者として出ての、いわばニュアンスみたいなものはなかなか引き継ぎができないものですから、そういう点で私ども苦労しておりまして、特に今この場で委員を増やしてほしいとか、そういうことではないのですが、そういうこともあるということで、今後中医協のことでもしまた議論することがあれば、公益委員の先生方あるいは事務局も、ぜひそういうこともあるということも頭の隅に置いていただければ大変ありがたいと思います。

○星野会長
 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。

○松浦委員
 今漆畑委員がおっしゃいましたことは、国保にもあるわけでございまして、ぜひひとつ御一考をお願いしたいと思います。
 それから、今のペーパーの中で、1ページの一番最後のところの「中医協委員一同は」と、こういうところがずっとあるのですが、「厳しい経済社会情勢を反映する中で、フリーアクセスを原則としつつ国民皆保険制度を持続可能なものとし」と、こういう文言がございます。この今国民皆保険制度で、こういった医療制度を維持するためには、医療保険財政の安定ということが、これはもう必要不可欠なことであります。私はこの(1)、(2)、(3)と番号が振ってあるのですけれども、1番目に「医療保険財政に配慮しつつ」というのがあってもいいのではないかという気がしたのですが、既にこの文言はでき上がっておりますから、「厳しい経済社会情勢を反映する中で」云々というこの文言の中には、当然そういうことはもっと積極的にこれは表現してあるのだと、こういうふうにとらえておりますが、それでよろしいですか、皆さんは。

○星野会長
 多分松浦委員思い出されると思いますけれども、前回の医療改定の年末のゼロ査定のあったときの文言と同じなんですね、これは。だから、そのときの気分を多分御存じの委員の方々は同じような気分で受けとめられておられるのじゃないかというふうに思いますので、今厳しいねと、だからなかなかそう簡単には医療費も上げられないねという気分と、同時に、さはさりながら、医療というのは重要でございますから、片一方では、できるだけその中でちゃんと財政的には配慮していこうじゃないか、気分が両方映っている言葉だったのじゃないかと私は思って、当時さばかせていただいた気分でおりますので、恐らく皆さんはそういうお気持ちではないかと思っておりますが、よろしいでしょうか。

○松浦委員
 はい、了解しました。
 それからもう1つ、会長さんにちょっとこれはお願いです。これ、聞きようによったらクレームをつけるのじゃないかというふうにとられるかもわかりませんが、「中医協の審議の透明性の確保について」、丸の2番目、3番目の、それぞれ診療側、支払側の委員を呼んでおやりになるという、これは非常に当たり前のどこでもあることでして、そのことには私はこれは当然のことだと思うのですが、昨年の最後に結論を出す、その過程の中で、会議が中断をして、相当長い間深夜に及んで、結果としては流れ解散のようになったことがございます。私は、そういうことは中医協の委員としてもあまりわかりやすくないのです。ですから、そういう場合には、断続的にでも一応総会を開催をしていただいて、今どういう状況になっておる、したがって、最終的にはここでもう今回は解散、また明日にでも再開すると、こういうことはちょっとおっしゃっていただけたらわかりやすいと思いますが。

○星野会長
 まことに行き届きませんで、申し訳ございませんでした。重々注意するようにしたいと思っております。

○松浦委員
 ありがとうございます。

○星野会長
 どうぞ、そのほかにございましょうか。

○対馬委員
 この中に「平成16年度中に結論を得る」というのが2点入っていまして、3ページ目の「診療報酬改定の結果の検証」、これは非常に重要な問題ですので、ぜひ部会を設置するということでよろしいのですけれども、それと最後のページに、「国民の意見を聴く機会の設定」と、そういった場を設けたい、これも16年度中に結論を出したいと、こういうことなんですけれども、審議の場というのでしょうか、恐らく総会で議論していくのじゃないかなとは思うのですが、例えば基本問題小委員会でたたいて、それから総会に行くというようなことでありますとか、ないしは最後の「国民の意見を聴く機会の設定」というところが、わかるようでやや具体的なイメージが湧きにくいところもございますので、そのあたり、何か事務局なり会長なり、お考えがもしあれば承りたいなと、こういうふうに思います。

○星野会長
 率直に申し上げまして、今対馬委員が申されたように、国民との意見の交換というのは、私の知る限り、環境行政だとか、国土行政だとか、そういうところでやっておりますのは、地方に審議会の委員が行って、地元で御推薦いただいたような方々と、いろいろと自分たちの所掌、やっていることにつきまして御説明をし、御注文を承ると。直接各地域の方々の御意見を賜るという、こういう仕組みが通常だと思いますが、中医協という、特にまた特殊な協議会でございますので、そのままでいいのかどうか、今対馬委員のおっしゃられるように、少しよく検討する必要があるだろう。ただ一般にどなたでもという手の挙げ方がいいのか、あるいはもうちょっと専門的な方にお願いした方がいいのかとか、工夫がいろいろあり得るのじゃないかと思いますので、「16年度中に」と、こうしてありまして、それで、できれば今基準としては、皆さんから意見をよくちょうだいしながら進めさせていただきたいと思いますので、言われましたように、進め方として小委員会がいいのか、当然総会にはおかけすることは当たり前でございますけれども、ということを考えながら進めさせていただきたいと思いますので、またその機会にいろいろ御相談させていただきたいというふうに思っております。

○宗岡委員(代理松井)
 連合の改善策のところにも指摘がございますように、診療側の委員構成について、「国民医療費の配分に応じて委員を推薦するなど、医療サービスの在り方が反映」するような仕組みを設けたらどうかという御指摘がございます。公益委員の方々が十分御検討くださって、今回まとめてくださったわけでありますけれども、4ページの、医師会の推薦に基づく病院代表が今1名推薦されているということが指摘がございますが、私ども常々考えておりますことは、病院に充当されている医療費というのはもう少し多いものではないかと認識しております。国民のさまざまな声を聴くという新たな提案もありますので、こういう場での構成についても、でき得る限り実態を反映したようなものを、今後検討をお願いできればと考えたところでございます。

○星野会長
 ありがとうございます。
 そういうことも含め……

○櫻井委員
 今の意見についてはちょっと異論があります。病院団体の代表ということは、確かに病院団体を代表しているということの事実だけであって、我々日本医師会から出ている委員も病院のことの代表ではないわけではないわけです。病院の先生方、全部我々の会員ですから、病院のことを考えないで議論しているわけはないのです。団体の、それは病院団体は幾つかあります、いろいろなのがありますけれども、その団体が入っていないから病院のことを考えていないとか、そんなことは全然ないわけですから、それはちょっとおかしな議論だと思いますので。

○星野会長
 この議論は、今回のペーパーの趣旨といいますか、緊急に処理できるものということからいうとちょっとはみ出た議論であります。もちろん今宗岡委員の代理が言われたような議論というのは常にあり得ると思いますけれども、これはまた別途きちんとやるべき話なんで、櫻井委員の言われたことも、そういう御主張もあるわけでございまして、今日はその件については取り上げたいとは思いません。
 どうぞほかにございませんか。

○櫻井委員
 これはもしかしたらこの場で聞いても無理なのかなと思うのですけれども、今、5名の欠員の委員がありまして、公益側の委員は別に事件と関係ないんですから、これは我々が言ってはいけないかもしれないけれども、どうして一人欠員のままなのか不思議なぐらいなので、恐らく早急に欠員を補われるのかなと思っています。ところが、1号、2号の方については、連合についてと歯科医師会について、1名ずつが留保されていますから、これはすぐというわけにいかないわけです。そうすると、5名のうち3名は割と早い段階で委員が選ばれるということだと思うので、それはいつごろまでに選ばれそうかという、会長の大体見通しとか、選ばれてほしいみたいなことでもいいんですけれども、それから留保した部分についても、これも改善策がどうしてからということですから、でも、大体見通しとしてはどんなことが考えられるのか、つまり、3名と2名に分けて、それが補われる見通しの問題と、それから実際に中医協としては5名の欠員があっても、規則上は全員というか、今日のように全員残りの人が出ていれば成立しているわけで、実際に中医協の総会も、どちらかというと定例事項みたいなものについてはやってきているわけですけれども、そうじゃなくていろいろな議論も、もし3名も、少し長引くにしても、すぐにでも今の人数できちっとしたいろいろな新しい議論ができるのかどうかという、分ければ3つになるのかと思いますけれども、それについて、お答えできる部分だけでいいんですが、会長からお話をいただきたいと思います。

○星野会長
 各推薦団体の主権を侵すような発言をしてしまうかもしれませんけれども、それはもしするとしたら私が誤りで、推薦団体が正しいのだと思いますけれども、それ以外のことでございましたら……。例えば公益委員でございますが、公益委員は国会の了解事項なものですから、今度の臨時国会ではどうもそういう機会がなさそうなんです。したがいまして、次の通常国会、早い時期にそういうことをやらせていただきたいということで、年度内にはできればということで、私は早くしてもらいたいと、こう思っておるのですが、国会も、国会人事というのはかなりいろいろたまってきているのだろうと思いますから、通常国会ではどんどん処理してもらわないと困るだろうと、こういうふうに思っております。
 それから、推薦団体の問題ですが、例えば連合につきましては、連合の方が今日いらっしゃいますけれども、多分、患者代表という意味合いをどう定義づけるか、どういう団体がいいのかとか、そういうことを恐らく、私の憶測なんですけれども、連合の方も言葉では書いてあるけれども、なかなかどれがいいかと決めにくいだろうと思うのですが、ぜひ早急に決めていただきたいと思います。恐らく早急に決めていただければ直ちにそういう手続きを進めていきたいというふうに思っていますので、的確な方をぜひお選びいただきたいなというふうに思っております。
 それから、日歯でございますが、今水野委員会で検討されているので、これの結果がいつごろ出てくるのか、私には推測はつきませんが、恐らくそんな悠長なことはやっていられないのだろうというふうに思いますし、その結論も、多分かなりきちんとした結論が出てくるだろうと、私は水野先生ですから期待しておるところでありますが、そういう時期を待ちながら、なるたけ議論も早めていただきたいなというふうに思っておりまして、それはもう当然のことでありますが、年内は無理にしても、年度内には早急にやっていただきたいというふうに思っております。
 後の方はちょっと主権侵犯の嫌いもありますけれども、私の希望の形で申し述べさせていただきました。

○櫻井委員
 最後にお聞きしたかったのは、欠員が補われなくても中医協としてはきちっとした議論が、つまり定例の新薬の承認とか、そういうことだけでなくて、新しい議論ができるのかどうか。

○星野会長
 はい、それはできると思います。
 ほかにございますか。
 それでは、他に御質問、御意見がないようでしたら、中医協委員一同が、今回の事件を重く受けとめ、中医協が国民からの信頼を回復するためにどのような形で再出発をするべきかということを国民に示すものとして、資料懇ー2の「中央社会保険医療協議会の在り方の見直しについて(案)」を中央社会保険医療協議会全員懇談会了解とすることとしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野会長
 ありがとうございます。
 それでは、本日参考人として御出席の三団体の方におかれましても、何か御発言等がございましたら、この際でございますので、御発言いただきたいと思います。

○井堂参考人
 一つだけお願いがございます。今回こういった事件を起こした当事者の団体として、この中医協委員については、これを重く受けとめなければならないと考えているところでございますけれども、実はこの診療報酬の調査専門組織の、これはデータを構築するということでございまして、今この中医協委員が辞任したことに伴いまして、こっちの方の委員も参画をとめられているわけなんですけれども、やはりこれは中医協の今後の論議をする上に、どうしてもこのデータはやはりきちっとしていかなければならないと考えますので、できれば、この1名の中医協委員が復帰した段階で、この調査専門委員の方にはぜひとも参画させていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

○星野会長
 事務方によく実態を伺って、検討させていただきます。

○龍井参考人
 一言だけ申し上げさせていただきます。
 今日の取りまとめしていただいた問題提起、改めて重く受けとめさせていただきたいと思います。
 前回御説明させていただきましたように、私どもとしては中医協に限らず、全体の委員の在り方、推薦の在り方、そしてサポートの在り方、全部検討してまいっておりますので、それの基準に照らして厳しく対応してまいりたい。
 もう1点は、今会長から御指摘ございましたように、患者の意見をより的確に反映していくための仕組みづくりというものもあわせて今検討している最中でございますので、その2つの点を踏まえた上で、早急に適切な人選に入らせていただきたいと思っておりますので、そのことだけ一言申し上げさせていただきたいと思います。

○星野会長
 よろしくお願いいたします。

○福島参考人
 一言、お礼を兼ねて、また決意も兼ねて。
 これまで多くの関係の方々に大変御努力をいただいて、今の会議のとおり、今日からまた新しくスタートするということになりました。さらに国民の信頼が得られるように、私どもも精いっぱいの努力をしていきたいということで、今日ここに盛られた文章に従って、これまで以上に努力を重ねたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

○星野会長
 どうもありがとうございます。
 それでは、どうもありがとうございました。
 さて、本年4月の今回の事件の発覚以来、中医協の委員構成に欠員が生じ、診療報酬の在り方についての本格的な審議がストップしている状況にあり、一刻も早く中医協を正常な形に復帰させ、審議を再開させるべきであると考えております。先ほど櫻井委員からも念を押されました。また、医療現場は日々動いており、医学・医療技術の進歩もとどまるものではないことから、医薬品の薬価収載など、若干の審議事項を抱えております。
 そこで、私としましては、本日この後総会を開催し、先ほど中央社会保険医療協議会全員懇談会了解とした事項のうち、中央社会保険医療協議会議事規則の改正など、中医協として了解すべき事項について審議を行うほか、医薬品の薬価収載などの通常案件の処理を行うこととしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野会長
 では、そのようにさせていただきたいと思います。
 総会まで5分間ぐらいちょっと資料配布その他の準備がございますので、休憩をとらさせていただきたいと思いますが、本日は福島副会長、龍井総合政策局長、井堂会長におかれましては、わざわざおいでいただき、長時間ありがとうございました。今後ともひとつよろしくお願い申し上げます。
 それでは、ここで一たん散会といいますか、休憩に入りたいと思います。

午前10時48分閉会


【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第1係
代表 03−5253−1111(内線3288)


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