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労災保険率の設定に係る検討メモ


項目 課題(論点) 意見
1 基本的な考え方
労災保険率については、業種ごとの収支は必ずしも均衡しておらず、業種ごとの災害リスクを単純に反映したものとなっていないが、事業主集団の労働災害防止へのインセンティブを有効に働かせるという観点からは、業種ごとに異なる災害リスクを踏まえた適正な労災保険率のあり方について、どのように考えるか。
労働災害防止のインセンティブを損なわないように、業種別の保険料負担のあり方について検討する必要がある。
労災保険率は、本来的には業種ごとにリスクに応じた率に近づけるべきである。
社会保険として必ずしも業種別には収支が均衡する必要はないとの考え方については、どうか。
 
労災保険率を設定するルールについては、現状においては必ずしもその全てにわたって明確に示されているとはいえない状況があるが、どのように対応すべきか。
 
労災保険率改定のプロセスを通じての基礎資料の公開、決定手順の透明化についてのより一層の改善方策をどのように講ずるか。
労災保険率の改定に際しては、基礎データの公開に基づき、手続の透明性が担保された適正な料率の算定及び設定が求められている。
2 基本的な財政方式
 (1) 業務災害
  (1) 短期給付


業種別に3年間の収支が均衡するように賦課する方式(純賦課方式)による運用を行ってきているが、どうか。
 
  (2) 長期給付
業種別に災害発生時点の事業主集団に年金給付等の将来給付費用を賦課する方式(充足賦課方式)による運用を行ってきているが、どうか。
 (2) 非業務災害
非業務災害分(通勤災害分及び二次健康診断等給付分)については、全業種一律の賦課としているが、どうか。
3 全業種一律賦課
 (1) 短期給付

災害発生から3年を経ている短期給付については、全業種一律賦課として算定しているが、どうか。
急激な産業構造の変化など、当該業種の責任だけではなく、外部的な要因によって負担が激増した業種も存在しており、そうした負担については、当該業種のみに負担させるのではなく、全業種にわたる調整が必要である。
労基法上に定められた事業主の災害補償責任の範囲をメルクマールとし、これを超える短期給付分及び長期給付分を全業種一律賦課としているが、この範囲については、精査する必要があるのではないか。
 (2) 長期給付
被災後7年を超えて支給開始したものについては、全業種一律賦課として算定しているが、どうか。
 (3) 過去債務
平成元年度当時における既裁定年金受給者に係る将来給付費用の不足額を、平成35年度まで全業種一律に賦課しているが、どうか。
過去債務分は、賦課するほどの意味合いがなくなってきていると考えられることから、廃止してもよいのではないか。
4 激変緩和措置
保険料水準が過度に変動することを避ける観点から行われている激変緩和措置(例えば、平成15年度においては、±4/1,000以内の改定とした。)のあり方について、どう考えるか。
長年にわたる産業構造の変化に伴い規模が小さくなった業種においては、過去に発生した災害等により過大な負担となるという問題があるが、これをどう考えるか。
産業構造の変化により規模が縮小した一定の業種については、実際の災害リスクに較べて低い料率設定となっている、という現状がある。仮にこれらの業種について、災害リスクをより反映させることにより、労災保険率を引き上げる場合には、激変緩和措置を講ずることが必要である。
 また、その他の業種においても、労災保険率を引き上げることとなる場合には、必要に応じて激変緩和措置が求められる。


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