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労災保険料率の設定に関する検討会

中間とりまとめ 関連資料


目次


参考資料1 労災保険料率の設定に関する検討会開催要綱
参考資料2 「労災保険料率の設定に関する検討会開催要綱」参集者名簿
参考資料3 規制改革・民間開放推進3か年計画について(抜粋)(PDF:51KB)
参考資料4 労災保険率表
参考資料5 労災保険率の設定に関する基本的考え方関連資料
参考資料5−1 労災保険率設定の基本的考え方
参考資料5−2 労災保険率の算定における業種間調整について
参考資料5−3 平成15年度労災保険率の改定について
参考資料5−4 労災保険制度の業種区分について(考え方)
参考資料5−5 労災保険のメリット制について(概要)


労災保険料率の設定に関する検討会開催要綱


 目的
 労災保険料率については、現在、業種毎の安全衛生対策とあいまって同種災害の防止努力を促進しつつ、業種を異にする事業主間の負担に係る過大な不公平感の是正を目的として、51の業種区分毎に料率を設定しているところである。
 こうした中で、平成15年12月、総合規制改革会議において、業種別リスクに応じた適正な保険料率の設定について、平成16年度中に結論を得べきこととされたところである。
 このため、産業構造や就業実態の変化等を踏まえ、料率設定の具体的な方法等について、より専門的な見地から検討を行うこととする。

 参集者の構成等
(1) 労災保険料率の設定に関する検討会(以下「検討会」という。)は、労災補償部長が依頼した、社会保障、保険(保険数理を含む。)、経済等を専門分野とする参集者により構成する。
(2) 検討会には、座長を置く。

 検討内容等
(1) 検討項目
(1) 料率設定について
(2) 業種区分について
(3) メリット制について
(4) その他
(2) 会議開催等
 原則1ヶ月に1回程度、定期的に会議を開催するものとする。
 検討会は、平成16年度中に一定の結論を得て、労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会に報告することとし、その結果は、平成18年4月予定の労災保険料率の改正に資することとする。

(1) 検討会は公開とする。
(2) 検討会の事務は、厚生労働省労働基準局労災補償部労災管理課労災保険財政数理室が行う。
(3) この要綱は、平成16年4月15日から適用する。


「労災保険料率の設定に関する検討会」参集者名簿

(五十音順)
氏名役職名
阿部 正浩獨協大学経済学部助教授
岩村 正彦東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授
大沢 真理東京大学社会科学研究所教授
岡村 国和獨協大学経済学部教授
小畑 史子京都大学大学院地球環境学堂助教授
倉田  聡北海道大学大学院法学研究科教授
梨 昇三関東学園大学法学部教授


労災保険率表

(平成15年4月1日改定)
事業の種類の分類 番号 事業の種類 労災保険率
林業 02
又は
03
林業 1000分の 59
漁業 11 海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く。) 1000分の 52
12 定置網漁業又は海面魚類養殖業 1000分の 40
鉱業 21 金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業 1000分の 87
23 石灰石鉱業又はドロマイト鉱業 1000分の 53
24 原油又は天然ガス鉱業 1000分の  7
25 採石業 1000分の 69
26 その他の鉱業 1000分の 32
建設事業 31 水力発電施設、ずい道等新設事業 1000分の129
32 道路新設事業 1000分の 29
33 舗装工事業 1000分の 17
34 鉄道又は軌道新設事業 1000分の 30
35 建築事業(既設建築物設備工事業を除く。) 1000分の 17
38 既設建築物設備工事業 1000分の 14
36 機械装置の組立て又は据付けの事業 1000分の 16
37 その他の建設事業 1000分の 23
製造業 41 食料品製造業(たばこ等製造業を除く。) 1000分の  7
65 たばこ等製造業 1000分の5.5
42 繊維工業又は繊維製品製造業 1000分の5.5
44 木材又は木製品製造業 1000分の 21
45 パルプ又は紙製造業 1000分の8.5
46 印刷又は製本業 1000分の  5
47 化学工業 1000分の  6
48 ガラス又はセメント製造業 1000分の7.5
66 コンクリート製造業 1000分の 15
62 陶磁器製品製造業 1000分の 17
49 その他の窯業又は土石製品製造業 1000分の 25
50 金属精錬業(非鉄金属精錬業を除く。) 1000分の  7
51 非鉄金属精錬業 1000分の  8
52 金属材料品製造業(鋳物業を除く。) 1000分の 10
53 鋳物業 1000分の 18
54 金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業及びめつき業を除く。) 1000分の 14
63 洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業(めつき業を除く。) 1000分の 10
55 めつき業 1000分の8.5
56 機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計等製造業を除く。) 1000分の  7
57 電気機械器具製造業 1000分の  5
58 輸送用機械器具製造業(船舶製造又は修理業を除く。) 1000分の5.5
59 船舶製造又は修理業 1000分の 22
60 計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く。) 1000分の  5
64 貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業 1000分の5.5
61 その他の製造業 1000分の  8
運輸業 71 交通運輸事業 1000分の  5
72 貨物取扱事業(港湾貨物取扱事業及び港湾荷役業を除く。) 1000分の 13
73 港湾貨物取扱事業(港湾荷役業を除く。) 1000分の 17
74 港湾荷役業 1000分の 31
電気、ガス、水道又は熱供給の事業 81 電気、ガス、水道又は熱供給の事業 1000分の  5
その他の事業 95 農業又は海面漁業以外の漁業 1000分の 11
91 清掃、火葬又はと畜の事業 1000分の 12
93 ビルメンテナンス業 1000分の  6
96 倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業 1000分の  6
94 その他の各種事業 1000分の  5


参考資料5

労災保険率の設定に関する基本的考え方関連資料


労災保険率設定の基本的考え方


 労災保険率は、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」及び同法に係る政省令の定めにより、将来にわたる労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるよう、事業の種類ごとに、過去3年間の保険給付等に基づき算定した保険給付に要する費用の予想額を基礎とし、過去3年間の災害率、労働福祉事業として行う事業の種類及び内容、労働者災害補償保険事業の事務の執行に要する費用の予想額その他の事情を考慮して定めるものとされている(徴収法第12条第2項、徴収令第2条)。
 なお、労災保険率は、原則、3年ごとに見直しを行っており、労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会での審議、答申を経て、設定されている。
 具体的には、次の考え方で設定されているものである。

労災保険率 業務災害分 短期給付分

 
純賦課方式
 一定期間(3年間)の収入と支出が均衡するように算定する。

長期給付分

 
充足賦課方式
 労災事故の責任は労災事故発生時点の事業主集団が負うべきであるという観点から、災害発生時点の事業主集 団から将来給付分も含め、年金給付に要する費用を全額徴収する考えで算定する。
 将来給付分は、積立金として保有される。
 この方式は平成元年度から採用している。

過去債務分
 昭和63年度以前に裁定された年金受給者に必要な費用分として、平成元年度以降35年間均等に賦課。

非業務災害分(通勤災害及び二次健康診断等給付分)
労働福祉事業及び事務の執行に要する費用分


労災保険率の算定における業種間調整について


 短期給付
 短期給付は、原則として、災害発生の業種に賦課しているが、災害発生から3年を経ている短期給付(長期療養者分)については、当該事業主の業種の賦課とはせず、全業種一律賦課として算定している。
 これは、
(1) 被災後3年を超えても傷病が治ゆしない労働者について、労基法第81条の打切補償の規定では、3年経過時点で打切補償を行い、当該事業主はそれ以後補償を行わなくてもよいとされていること、
(2) 徴収法施行令第2条において、過去3年間に発生した災害に係る給付等を基礎として、料率算定することとされていること、
(3) 個々の事業主のメリットの算定において、メリット収支率に算入する短期給付は、療養の開始後3年以内の給付に限定されていること
等の理由から、当該事業主の業種だけに責任を負わすことは適当でないものであり、労働者保護及び産業間扶助の観点から全業種一律賦課として算定しているものである。

 長期給付
 年金等給付は、支給開始時にその将来給付に要するすべての費用を災害発生の業種に賦課しているが、被災後7年を超えて支給開始したものについては、当該事業主の業種の賦課とはせず、全業種一律賦課として算定している。
 これは、
(1) 被災後3年を超えても傷病が治ゆしない労働者については、労基法第81条の打切補償の規定に基づき、3年経過時点でさらに1,200日分の打切補償を行うこと、
(2) また、被災後3年以内に治ゆした労働者に障害等が残った場合には、労基法別表第2に基づく災害補償を行うこと、最重度(第1級)の場合の災害補償は1,340日分であり、労災法の障害補償年金の額は、給付基礎日額の313日分であることから、事業主が補償する年数(換算)は1,340/313=4.281年となること、
(3) 労基法第79条に基づく遺族補償は1,000日分であり、労災法の遺族補償年金の額(家族4人)は、給付基礎日額の245日分であることから、事業主が補償する年数(換算)は1,000/245=4.082年となること
等から、労基法では、災害発生日から最高3年の短期給付、治ゆ後最高4.3年余りの長期給付を事業主責任としている。
 したがって、災害発生から7年以内に支給開始した長期給付は、当該事業主の業種に将来給付費用のすべてを賦課することとし、災害発生日から7年を超えて支給が開始される年金等給付は、全業種一律賦課として算定しているものである。


平成15年度労災保険率の改定について


 労災保険率は、徴収法令に従い過去3年間の保険給付等の状況を基に業種別に算定している。
 ここで、算定料率は災害発生状況を反映して、労働災害の減少によって低下することになるが、それは各業種における災害防止活動等の結果と見ることができる。
 平成15年度の労災保険率の改定に際して、事業主の災害防止へのインセンティブを更に喚起するためにも、この算定料率に現れた事業主の労働災害防止努力を評価することとした。
 なお、算定期間が3年間のため、業種によっては一時的な要因によって算定料率が大きく変動することがあり、事業主の保険料負担の急激な変化を避ける必要があること、さらには保険財政の健全な運営を考慮する必要があること等の観点から、改定幅を一定の範囲内に止めることとした。
 具体的には、以下の方針により料率改定した。

 算定料率が前回改定時の算定料率より低下した業種については、原則として、算定料率の低下幅程度の引下げとした。
 ただし、算定料率が設定料率を上回っている業種については、両者の差を縮小させるため、算定料率の低下幅の1/2程度の引下げとした。

 事業主の保険料負担の大きな変動を避けるため、料率の改定幅は平成13年度改定と同様に、±4/1,000を上限とした。

 既に最低料率となっている業種の算定料率は前回改定時の算定料率よりほぼ0.5/1,000低下したため、設定料率の最低料率は、前回から0.5/1,000引き下げた5/1,000となった。


労災保険制度の業種区分について(考え方)


 事業の種類別とする理由
 労働者災害補償保険制度(以下「労災保険」という。)は、業種別に料率を設定する制度を採用している。
 これは、業種ごとに災害率、災害の種類及び作業態様が異なることを踏まえ、事業主に対する保険料負担の公平性及び災害防止意欲促進の観点から、業種別に料率を設定することが適切であるとの判断に基づくものである。
 したがって、労災保険率は、事業の種類ごとに、過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る保険給付に要する費用の予想額を基礎とし、労災保険に係る保険関係が成立しているすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率並びに二次健康診断等給付に要した費用の額、労働福祉事業及び事務の執行に要する費用の予想額その他の事情を考慮して定めている。

 事業の種類区分の考え方
 日本標準産業分類は、主として産業活動を中心に分類されているが、労災保険の事業細目表は、災害率、災害の種類、作業実態、業界組織、保険技術等を主眼として定められているものである。これは、労災保険制度が業務災害に対する事業主の補償責任の法理を基盤としているからである。
 労災保険の事業細目表の分類にあたっては、事業主の保険料負担の公平性あるいは労働安全衛生対策の面で災害率、災害の種類、作業態様による分類を、また保険集団としての規模及び分類等の保険技術上の問題を、さらに費用負担の連帯性、災害防止活動の浸透の面で業界組織による分類を配慮して定められているものであって、事業の規模の大小は考慮していない。



労災保険率表

事業の種類の分類 番号 事業の種類 平成15年4月1日現在 平成15年3月31日現在
労災保険率 事業場数 労働者数
林業 02
又は
03
林業 1,000分の 59 20,351 89,435
漁業 11 海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く。) 1,000分の 52 2,958 23,982
12 定置網漁業又は海面魚類養殖業 1,000分の 40 1,902 10,451
鉱業 21 金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業 1,000分の 87 129 1,907
23 石灰石鉱業又はドロマイト鉱業 1,000分の 53 179 3,435
24 原油又は天然ガス鉱業 1,000分の  7 44 1,112
25 採石業 1,000分の 69 2,027 16,411
26 その他の鉱業 1,000分の 32 2,518 14,491
建設事業 31 水力発電施設、ずい道等新設事業 1,000分の 129 1,300 37,301
32 道路新設事業 1,000分の 29 2,432 36,714
33 舗装工事業 1,000分の 17 6,572 75,794
34 鉄道又は軌道新設事業 1,000分の 30 296 8,435
35 建築事業(既設建築物設備工事業を除く。) 1,000分の 17 421,264 3,299,163
38 既設建築物設備工事業 1,000分の 14 79,017 330,323
36 機械装置の組立て又は据付けの事業 1,000分の 16 14,262 245,216
37 その他の建設事業 1,000分の 23 118,474 958,747
製造業 41 食料品製造業(たばこ等製造業を除く。) 1,000分の  7 49,728 1,333,412
65 たばこ等製造業 1,000分の 5.5 2,516 19,891
42 繊維工業又は繊維製品製造業 1,000分の 5.5 31,758 590,842
44 木材又は木製品製造業 1,000分の 21 33,807 314,816
45 パルプ又は紙製造業 1,000分の 8.5 1,066 71,087
46 印刷又は製本業 1,000分の  5 24,642 368,833
47 化学工業 1,000分の  6 15,959 604,847
48 ガラス又はセメント製造業 1,000分の 7.5 2,006 71,075
66 コンクリート製造業 1,000分の 15 7,428 119,152
62 陶磁器製品製造業 1,000分の 17 2,147 38,382
49 その他の窯業又は土石製品製造業 1,000分の 25 8,566 82,721
50 金属精錬業(非鉄金属精錬業を除く。) 1,000分の  7 2,134 147,540
51 非鉄金属精錬業 1,000分の  8 1,117 44,959
52 金属材料品製造業(鋳物業を除く。) 1,000分の 10 1,933 65,000
53 鋳物業 1,000分の 18 3,659 58,154
54 金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業及びめつき業を除く。) 1,000分の 14 67,979 882,252
63 洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業(めつき業を除く。) 1,000分の 10 1,741 23,522
55 めつき業 1,000分の 8.5 2,910 46,747
56 機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計等製造業を除く。) 1,000分の  7 50,967 901,836
57 電気機械器具製造業 1,000分の  5 37,437 1,854,832
58 輸送用機械器具製造業(船舶製造又は修理業を除く。) 1,000分の 5.5 62,447 1,120,451
59 船舶製造又は修理業 1,000分の 22 6,133 68,757
60 計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く。) 1,000分の  5 7,934 309,826
64 貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業 1,000分の 5.5 4,189 46,434
61 その他の製造業 1,000分の  8 46,778 763,376
運輸業 71 交通運輸事業 1,000分の  5 11,747 841,046
72 貨物取扱事業(港湾貨物取扱事業及び港湾荷役業を除く。) 1,000分の 13 58,287 1,516,182
73 港湾貨物取扱事業(港湾荷役業を除く。) 1,000分の 17 769 20,574
74 港湾荷役業 1,000分の 31 1,069 24,882
電気、ガス、水道又は熱供給の事業 81 電気、ガス、水道又は熱供給の事業 1,000分の  5 2,269 173,258
その他の事業 95 農業又は海面漁業以外の漁業 1,000分の 11 45,906 294,263
91 清掃、火葬又はと畜の事業 1,000分の 12 18,686 201,937
93 ビルメンテナンス業 1,000分の  6 19,493 853,991
96 倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業 1,000分の  6 14,417 585,008
94 その他の各種事業 1,000分の  5 1,322,937 28,581,903
資料出所:労働者災害補償保険事業年報



業種別適用労働者割合の推移

図
資料出所:労働者災害補償保険事業年報


労災保険のメリット制について(概要)


 趣旨
 事業の種類ごとに災害率等に応じて定められている労災保険率を個別事業に適用する際、事業の種類が同一であっても作業工程、機械設備あるいは作業環境の良否、事業主の災害防止努力の如何等により事業ごとの災害率に差があるため、事業主負担の公平性の観点から、さらに、事業主の災害防止努力をより一層促進する観点から、当該事業の災害の多寡に応じ、労災保険率又は労災保険料を上げ下げするものである。

 継続事業(一括有期事業を含む)の場合
(1) 適用事業
 連続する三保険年度中の各保険年度において、次の(1)〜(3)の要件のいずれかを満たしている事業であって、当該連続する三保険年度中の最後の保険年度に属する3月31日(以下「基準となる3月31日」という。)現在において、労災保険に係る保険関係が成立した後3年以上経過している事業についてメリット制の適用がある。
(1) 常時100人以上の労働者を使用する事業
(2) 常時20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、その使用労働者数に、事業の種類ごとに定められている労災保険率から非業務災害率(通災及び二次健診給付に係る率:0.9厘)を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの
(3) 一括有期事業における建設の事業及び立木の伐採の事業であって、確定保険料の額が100万円以上であるもの

(2) メリット収支率
 労災保険率を上げ下げする基準は、基準となる3月31日において当該連続する三保険年度の間における当該事業の一般保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に調整率を乗じて得た額と、業務災害に係る保険給付及び特別支給金の額との割合により算出される収支率(メリット収支率)による。

メリット収支率
(考え方)


当該連続する三保険年度間における業務災害に
対して支払われた保険給付及び特別支給金の額


(注)

─────────────────────────


当該連続する三保険年度間におけ
る保険料額(非業務災害分を除く


× 第1種調整率
 ×100
(注) 資料No.1-2参照

(3) 第1種調整率
 メリット収支率の算定に当たり、分子に算入される年金給付の評価額は労働基準法相当額(一時金)であるが、分母の保険料額は年金たる保険給付に要する費用を基に設定された料率による保険料であるため、調整率を分母に乗じることにより分子との不均衡を調整している。
 なお、林業、建設事業、港湾貨物取扱事業及び港湾荷役業の事業については、特定疾病に係る保険給付分を分子に算入しないことから、分母に乗じる調整率は一般の事業と異なる。

事業の種類 第1種調整率
一般の事業 0.67
林業の事業 0.51
建設の事業 0.63
港湾貨物取扱事業及び港湾荷役業の事業 0.63
(平成4年4月1日以降)

(4) メリット労災保険率
 メリット収支率が85%を超え又は75%以下となる場合は、事業の種類に応じて定められている労災保険率から非業務災害率を減じた率を40%(一括有期事業における建設の事業及び立木の伐採の事業については35%)の範囲内で上げ下げし、これに非業務災害率を加えた率を、基準となる3月31日の属する保険年度の次の次の保険年度において当該事業に適用する労災保険率とする。

〔継続事業のメリット制概略図〕

図

 有期事業の場合
(1) 適用事業
(1) 建設の事業であって、確定保険料の額が100万円以上又は請負金額が1億2,000万円以上のもの
(2) 立木の伐採の事業であって、確定保険料の額が100万円以上又は素材生産量が1,000立方メートル以上のもの

(2) メリット収支率
 保険料の額を上げ下げする基準は、当該事業の一般保険料に係る確定保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に調整率を乗じて得た額と、事業終了日から3か月又は9か月を経過した日前までの業務災害に係る保険給付及び特別支給金の額との割合により算出される収支率(メリット収支率)による。

メリット収支率
(考え方)


事業終了日から3か月又は9か月を経過した日前ま
での業務災害に係る保険給付及び特別支給金の額


(注)

─────────────────────────
確定保険料の額(非業務災害分を除く) × 調整率
 ×100
(注) 資料No.1-2参照

(1) 事業が終了した日から3か月経過した日を算定日として計算する収支率
 当該事業の終了後6か月を経過した日前におけるメリット収支率が、当該事業終了後3か月を経過した日前のメリット収支率に対応する範囲にあると認められるときは、3か月経過日をもって算定日としてメリット収支率を算出する。
(2) 事業が終了した日から9か月経過した日を算定日として計算する収支率
 上記以外のときは、事業が終了した日から9か月を経過した日をもって算定日としてメリット収支率を算出する。これは、3か月を経過した日以後も支給事由が生じ保険給付等がなされている事業の場合に用いられる算定方式である。

(3) 第1種及び第2種調整率
 事業終了日3か月経過日を算定日とする場合は、上記1(3)と同様の第1種調整率を分母に乗じる。
 他方、事業終了日9か月経過日を算定日とする場合は、9か月を経過した日以後の保険給付はメリット収支率算定基礎(分子)に含まれないことから、その分低く算定されることとなる。それを調整するため、有期事業については第2種調整率が設けられており、9か月経過日を算定日とする場合は第2種調整率を分母に乗じる。

事業の種類 第2種調整率
林業の事業 0.43
建設の事業 0.50
(平成4年4月1日以降)

(4) 改定確定保険料額
 メリット収支率が85%を超え又は75%以下である場合に、当該事業の確定保険料のうち業務災害に係る額を35%の範囲内で上げ下げする。

〔有期事業のメリット制概略図〕

図

(注) 3か月を経過した日前までの業務災害に係る保険給付及び特別支給金の額を用いてメリット収支率を計算するのは、メリット収支率がその日以降において変動せず、またはメリット増減率表のメリット収支率階級の範囲を超えて変動しないと認められるときで、これ以外は、9か月を経過した日前までの額を用いて計算する。

 特例メリット制
 特例メリット制は、以下の(1)、(2)、(3)の要件をすべて満たす事業について、(3)の安全衛生措置を行った年度の翌年度の4月1日から9月30日までの間にメリット制の特例の適用の申告があるとき、安全衛生措置を講じた年度の次の次の年度から3年度の間について、メリット制が適用になる年度に限り、適用するものである。
(1) 建設の事業及び立木の伐採の事業以外の事業であること。
(2) 中小企業事業主が行う事業であること。
 ここで中小企業事業主とは、(3)の措置が講じられた保険年度において、企業全体で使用する労働者数が常時300人(金融業若しくは保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。
(3) 次の労働者の安全又は衛生を確保するための措置を講じた事業であること。
 都道府県労働局長の認定を受けた快適職場推進計画に基づく快適な職場環境の形成のために講ずる措置。

 特例メリット制を適用する場合、継続事業の場合と同様に計算したメリット収支率が85%を超え又は75%以下となる場合は、事業の種類に応じて定められている労災保険率から非業務災害率を減じた率を45%の範囲内で上げ下げし、これに非業務災害率を加えた率を、その事業についての基準となる3月31日の属する保険年度の次の次の保険年度の労災保険率とする。

〔特例メリット制概略図〕

図




現行のメリット増減幅

図


メリット増減幅改正の経緯

年度 メリット増減幅 備考
継続事業 建設事業
(有期)
立木の伐採
(有期)
建設事業
(一括有期)
立木の伐採
(一括有期)
昭和22年度



          労災保険法
の制定
昭和26年度



±30%











        メリット制
適用開始
昭和30年度



±20%






昭和40年度



±20%


±20%


±20%


一括有期
事業の創設
昭和51年度



±35%


±25%


±25%


±25%


±25%


昭和55年度



±40%











±30%


±30%


±30%






±30%






平成13年度



±35%






±35%






平成14年度



±35%


±35%



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