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施策の必要性と国が関与する理由
統計は、行政政策の企画・立案・評価のための基礎資料を提供するものであり、電子政府・電子自治体の推進、地方分権・政策評価の進展など新たな行政制度・施策が展開されていく中で、統計行政についても、少子高齢化・国際化・個人情報保護などの社会経済情勢の変化に対応した統計の整備、統計データの提供の充実等を一層推進していくことが求められている。さらに、国民の価値観の多様化、プライバシー意識の高まり及び報告者の負担軽減への対応、情報通信技術の活用等が求められており、統計調査の実施が困難となってきている。そのような中、統計の整備、統計データの総合的利用の推進のためには、統計情報の利用の高度化、提供の高度化、統計データの利用促進のための基盤整備等が必要であり、また、少子高齢化、国際化、政策評価の高まり等に対応した統計情報のあり方の検討も必要である。 |
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他省との連携
文部科学省所管の基礎的研究の研究成果が活かされ、本研究事業において検証・応用されており、連携している。
具体例としては、文部科学省の科学研究費で行われたヘルスアウトカム予測システム構築研究で開発された予測システムが、「データリンケージによる産業別生命表の作成とその応用に関する研究」におけるコード利用等へ活用され、コホート研究支援システムの支援システムが「レコードリンケージを用いた保健医療福祉統計の有効活用に関する研究」におけるデータ分析に活用されている。
以上のように学術的基礎研究が本事業によって高度利用されることにより、行政施策での利用が推進されている。 |
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期待される成果、波及効果、主な成果と目標達成度
本研究事業は、統計調査自体の充実・改善のみならず、統計調査の高度利用の推進により省内関係部局にも研究成果が還元されうるという特徴もあり、有用性の高い研究事業である。例えば、「患者調査」は各種の衛生行政施策の検討等に用いられており、本調査の精度を向上することで、ニーズに適合したデータ提供が可能になりうる。このように「患者調査」の調査設計に関する具体的な提言や統計調査の個人レベルでのリンケージ可能性の検証等の本研究事業で得られた研究成果は、当部が所管する各種の統計調査の充実・改善に有用であるとともに、既存統計調査の高度利用の推進にも貢献する内容となっており、事業目的を達成しているといえる。 |
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前年度の総合科学技術会議および科学技術部会での評価に対する取り組み
本研究事業においては、公募課題を設定し、外部の評価委員会により評価を行っている。評価に際しては、厚生労働省大臣官房統計情報部所管の統計調査に実際に応用可能であるかという点に留意している。この方法により、事業目的を達成する研究成果が得られており、平成16年は公募倍率も3倍程度となっていることから、今後も公募による研究事業の運営が望ましい方法と考えられる。また、事前・中間・事後評価委員会における指摘事項については、各研究者に還元することとしている。 |