04/09/30 第62回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録     第62回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 1 日時:平成16年9月30日(木)9:30〜 2 場所:厚生労働省共用第6会議室2階 3 出席者    委員  公益代表 : 樋口委員、岩田委員、鎌田委員        雇用主代表: 成宮委員、山崎委員、松井委員        労働者代表: 長谷川委員、川畑委員    事務局 大石職業安定局次長、宮川企画課長、坂口需給調整課長        駒木需給調整課長補佐、丸山需給調整課長補佐        熊田需給調整課長補佐 4 議題:1 高年齢者等の雇用の安定などに関する法律の一部を改正する法律の施行       に伴う指針の改正案について      2 個人情報保護法の施行に伴う指針の改正案について      3 その他 5 議事 ○樋口部会長  ただいまから、第62回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、池田委員が ご欠席で、鎌田委員は遅れていらっしゃるかと思います。本日は、最初の部分で公開と いう形で、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴 う指針改定(案)」について、ご議論いただきます。さらに、「個人情報保護法の施行 に伴う指針改定(案)」について、ご議論いただく予定になっています。そのあと、一 般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業および無料職業紹介の許可の諮問に かかる審議を行いますので、許可の審査については資産等の個別事業主に関する事項を 取り扱う関係から、「審議会等会合の公開に関する考え方」の「公開することにより、 特定の者に不当な利益を与え、また不利益を及ぼすおそれがある場合」に該当するた め、非公開とさせていただきたいと思いますので、傍聴される方はよろしくお願いいた します。  それでは、議事に入ります。まず、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部 を改正する法律の施行に伴う指針改定(案)」と「個人情報保護法の施行に伴う指針改 定(案)」について、議論を行いたいと思います。「高年齢者等の雇用の安定等に関す る法律の一部を改正する法律の施行に関する政省令」について、8月28日の労働政策 審議会職業安定分科会において、雇用対策基本問題部会を中心に議論を行い、必要に応 じ、各部会において議論されることとしています。9月8日の基本問題部会において議 論がなされているところですが、その内容も含めて、資料1〜3に基づいて事務局から 説明をお願いします。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  本日、議論をお願いし、検討をお願いしたいと思っている指針の改定については要綱 案の資料3にあり、職業安定法に基づく民間の職業紹介事業者の対処指針、派遣法に基 づく派遣元指針の改正告示要綱案です。  まず、高齢法の施行に伴う部分の改正内容について、資料1に沿って説明します。先 般、高齢法の改正法が成立したところですが、その中に新たに事業主が募集・採用する 際に、65歳を下回る年齢制限を行う場合には、事業主が理由を提示するという義務が 設けられたところです。具体的には参考1、2頁目に条文が付けてあります。「事業主 は、労働者の募集および採用をする場合において、やむを得ない理由により一定の年齢 より下回ることを条件とするとき(65歳以下を条件とするとき)には、求職者に対して 厚生労働省令で定める方法により当該理由を示さなければならない」とされたところで す。この条文でいう「厚生労働省令で定める方法」という部分については、8月28日 の分科会において基本問題部会を中心に議論することとされ、9月8日の基本問題部会 で政省令案の要綱が了承されたという状況です。  参考2、3頁目以降が9月8日の基本問題部会で了承いただいた要綱案ですが、具体 的な方法は、イ「その理由を示す方法は、労働者の募集および採用の用に供する書面ま たは電磁的記録に、併せて記載または記録する方法とする」とされ、さらにロにおいて 「その書面の中には次に掲げるものを含む」とされています。  その中で、事業主が第三者、すなわち紹介事業者等を介して募集・採用などをする場 合に、その求人を申し込む書面についても、そうした理由をきちんと書くようにという 趣旨で設けられたものです。それ以外にも委託募集の場合に、募集受託者に対して、そ の募集内容を記録した書面、あるいは労働者供給を行う場合に、その労働者供給事業者 に対して、従事すべき業務の内容を記載した書面についても、年齢制限を設けた形で募 集・採用を行う場合には、その理由を書いて渡してもらうという内容となっておりま す。  4頁のハですが、それ以外に広告などの方法で募集・採用を行ってスペースがないよ うな場合に、事情によりあらかじめ理由を提示することが困難という場合には、求めに 応じて遅滞なく書面を交付するという方法も可とするという趣旨で、こういった内容に ついて、基本問題部会で了承されているところでございます。  1枚目に戻って、こうした高齢法の改正の趣旨を踏まえて、今回私どもから改正案と してお示ししているのは、先ほどの省令案要綱で出ているように、求人事業主から紹介 事業者、募集受託者、労働者供給事業者募集受託者に対して、そうした理由が提示され たような場合には、これを紹介事業者等においても止めたり、内容を不適切に変更する ということがないように、求職者に対してもその理由を示していただきたいという内容 です。  具体的な改正内容ですが、冒頭に申し上げたように、職業安定法に基づく紹介事業者 等が業を適切に運営するために対処すべく内容を規定した指針がありますので、その中 にそうした内容について盛り込んでいきたいと考えております。また、施行期日です が、これは今後、分科会での正式な了承と政令の制定を経てということになるわけです が、平成16年12月1日の高齢法施行日予定の際に、併せて施行することとしたいと考え ております。具体的には要綱では、資料3−1の第2の部分に、いま説明した内容とし て、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第18条の2第1項に規定する理由の適切 な提示」として、先ほど説明した要綱案の中に盛り込まれている内容です。  もう1点、要綱案の改正について、個人情報保護法の施行を踏まえた内容がありま す。これについて、資料2に沿って説明します。個人情報保護法ですが、これは安定 法、派遣法といった個別法とはかかわりなく、あらゆる業種について5,000件以上の個 人情報データベース等を事業のように供する形で取り扱うものを個人情報取扱い事業者 として、これに該当する者に対して、具体的なさまざまな義務の適用があるという一般 法となっております。  具体的な内容は参考1、7頁以降ですが、10頁に基づいて、その内容をご説明させて いただきます。図のように、個人情報保護法自身は、個人の権利利益を守るという目的 で制定された一般法で、実際、適用の対象になるのは網の掛かっている部分です。「個 人情報データベース等」ということで、検索可能に体系的に整備された情報としての集 合体を取り扱う場合に、具体的な義務の対象が右側にあるわけですが、一般私人、小規 模事業者、先ほど申し上げた5,000件以下の内容であるものを除いて、5000以上の個人 情報データベースを事業の用に供する形で利用する者に対する義務ということです。  その義務の内容ですが、「利用目的による制限」ということで、個人情報の利用目的 を事前に特定し、その範囲内でのみ利用する原則ということ、偽りなどによって取得し ないという意味での適正な取得という義務、漏洩防止などの措置をきちんと講じるとい う意味での安全管理措置の義務、第三者に個人情報を提供することについての制限に関 する規定、本人から保有個人情報について、開示・訂正といった形での求めがあった場 合の応諾、その他として苦情の適切な処理といった諸々の義務が、個人情報取扱い事業 者に該当する者については、業を問わず横断的に適用されるという内容です。この個人 情報保護法自体は、来年の4月1日に施行されるものです。  個人情報の保護に対する取組みとしては、従前から職業安定法、派遣法の中でも既に 一定の位置づけがなされております。18頁の参考3ですが、法律上、職業安定法の第5 条の4にそうした趣旨の規定が盛り込まれています。「公共職業安定所等は」とありま すが、これはハローワーク以外の民間も含めた紹介事業者、募集を行う者、募集受託 者、労働者供給事業者をすべて含むものです。これはその業務に関して、「個人情報を 収集し、保管し、または使用するに当たっては、業務目的の達成に必要な範囲内で収集 等をしなければならない」ということで、業務目的以外でこうした個人情報を取り扱う ことは禁止されているということです。  第2項で、「求職者等の個人情報を管理するために必要な措置を講じなければいけな い」という規定があり、その具体的に講じなければいけない必要な措置についても、先 ほど申し上げた対処指針の中で既に盛り込まれているというのがいまの状況です。その 趣旨の内容は、第4の1の(1)などのように、例えば「次に掲げる個人情報を収集し てはならない」ということで、「差別のおそれのある情報の収集禁止」をまず一般的に 掲げています。19頁の同、第4の1の(4)「収集目的の範囲に限る」、2番目の「個 人情報の適正な管理」ということで、(1)のイ、ロ、ハ、ニのように、「改ざん防止 などの措置」といったものも既に盛り込まれており、(3)のハのように、「本人開示 への応諾」、ニの「苦情処理」といったさまざまな内容について、既に一定に義務付け られているものがあります。これは5,000以上と以下を問わず、すべてこの業に携わる 者が遵守しなければならない内容ということで位置づけられています。  20頁以降には派遣もありますが、いま説明したものと同様になっております。  資料2の6頁に戻って、現行そういう形で、紹介事業者、派遣元事業者については、 取り扱う情報量の多寡にかかわらず、既に業務目的外での個人情報の収集・使用を禁止 しているということですが、今回、個人情報保護法というものが成立し、施行するとい う状況も踏まえて、個人情報保護の一層の促進を図っていく必要があると考えていま す。この促進を図るという考え方から、先ほど申し上げた職業安定法に基づく個人情報 適正取扱いの内容の1つとして、対処指針の中で、他法ではありますが、個人情報保護 法もきちんと遵守するということを明示的に位置づけるとともに、5,000件以下である、 義務の対象とならない者であっても、その個人情報保護法の趣旨を尊重すべきという趣 旨の規定を盛り込みたいということです。  具体的な改正内容ですが、職業安定法に基づく指針と派遣元事業主が講ずべき措置に 関する指針の2件について、いま申し上げたような法の義務の対象になる場合には、第 4章第1節に掲げている義務を遵守しなければいけない。また、これに該当しない場合 であっても、個人情報取扱い事業者に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努める ということで、施行期日を個人情報保護法の施行日と同日として、この指針の中に盛り 込みたいと考えております。  具体的な要綱案としては、資料3の1の第1の部分、資料3の2の第1の部分にその 趣旨の内容を書き加えて、今後、個人情報保護の一層の徹底を図っていきたいと考えて いる次第です。以上、2点の改正内容について説明させていただきました。事務局から は以上です。 ○樋口部会長  2つ提示がありますが、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法 律の施行に伴う指針の改定に係わる部分から、ご議論いただきたいと思います。ご意 見、ご質問がありましたら、よろしくお願いします。 ○川畑委員  資料1の参考1の中に、「やむを得ない理由」とありますが、これはいったいどのよ うな理由なのか、ご説明をお願いしたいと思います。 ○高齢・障害者雇用対策部企画課長(宮川)  高齢法の解釈の内容ですので、私のほうから説明します。現在、雇用対策法に基づ き、年齢制限是正の努力義務が課せられているところで、これについては大臣の定める 指針、これは年齢指針と称しております。その中で年齢制限を認められる項目を10項目 列挙しています。私どもとしては、この「労働者の募集および採用について、やむを得 ない理由により上限年齢65歳未満に限る」を定める場合の「やむを得ない理由」という のは、年齢指針の年齢制限を認められる場合の10項目というように解しているところで す。 ○樋口部会長  どういう10項目があるのか、お願いします。 ○高齢・障害者雇用対策部企画課長  例えば「体力・視力など、加齢に伴い機能が低下する者が、採用後の勤務期間を通 じ、一定水準以上であることが不可欠な業務の場合」、「技能ノウハウの継承などの観 点から、労働者の年齢構成を維持・回復させる場合」、「低年齢との関係から、雇用期 間が短期に限定される場合」など、ほかに7項目あります。 ○樋口部会長  よろしいですか。 ○川畑委員  はい、わかりました。 ○松井委員  高齢法そのものは、年齢はどのぐらいの年齢を対象としているのでしょうか。「65歳 以下の者に限る」ということでいくと、例えば「30歳以下に限る」あるいは「25歳以下 に限る」というような求人の場合も、高齢法の規制に基づいた対応をとらなければなら ないのでしょうか。というのも、最近問題視されているニートと呼ばれる若い人たちを 積極的に採用していこうとする場合、この高齢法の規制が本当に良いものなのかと思う わけです。 ○高齢・障害者雇用対策部企画課長  高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の中では、さまざまな定義規定があります が、高年齢者については省令で55歳以上、中高年齢者については45歳以上となっており ます。今回の法改正の募集・採用時の年齢制限の趣旨は、中高年齢者の再就職の促進と いう観点に当たり、事業主が上限年齢を設定されて、なかなか再就職に結び付かない場 合もあるだろう。このような場合に、その理由を明示することを求めることにより、端 的に言うと年齢制限を設けておられる事業主の方に、その年齢制限の真に必要な意味を 再考してもらう等の意味も含めて、理由の明示を求める形でそれを担保しようと考えて いるところです。ですから、法律のターゲットは中高年齢層を中心としていますが、 「若年者に限る」という形によることによって、45歳以上の中高年齢者という辺りの就 職が厳しいということを踏まえて、今回の改正になったものです。 ○松井委員  別の質問になります。高齢法では事業主自身がこの理由を示さなければならないとい う位置付けになっていると理解していますが、今の指針のご説明では職業紹介の場合、 職業紹介事業者が求職者の求めに応じて理由を提示しなくてはならないとされている。 このような整理でよいでしょうか。  もう一点あります。私が特に気にしているのは、スペースがなくて十分な掲示ができ ない新聞広告等のケースです。この場合、新聞広告を取る新聞社等が情報を自ら持ち、 求職者からの問い合わせに応えなければならないのでしょうか。あるいは直接募集をし ている企業等に問い合わせするよう指示すればよいのでしょうか。  以上2点について教えてください。 ○需給調整事業課長  前半の部分は、指針に関しての位置づけのご質問だと思います。いま松井委員がおっ しゃったように、高齢法に基づく措置ということ自身は、高齢法の義務の対象も事業主 ということになって、事業主が理由を提示しなくてはならないということになっており ます。そこで、義務としての位置づけとしては、事業主に課せられているということで す。  ただ、先ほど補佐のほうから説明したように、実際の理由提示の方法ということで、 高齢則のほうで具体的には事業主が求人をされたりという形で、ハローワークであった り、民間の紹介機関を媒介として利用されるということがある。その媒介のところで、 途中の段階で事業主が義務を果たそうとしても、そこの部分で止まってしまっては実際 上、事業主の義務の履行が完結しないということになりますので、途中の媒介機関とし て適切に対処していただくために指針で定めて、実際の手続をしっかりしていただこう という趣旨で、今回の指針に盛り込んだということです。 ○高齢・障害者雇用対策部企画課長  この義務づけは、資料2頁のように、高齢法はあくまでも事業主です。ですから、4 頁の「イにかかわらず、新聞等で理由を提示することが困難なとき」という規定も事業 主のみにかかるもので、広告を出している媒体の方々にはかからないものです。 ○松井委員  ということは、これは事業主に直接聞きに行きなさいということだけでいい、という 整理になるわけですね。 ○高齢・障害者雇用対策部企画課長  はい。 ○樋口部会長  よろしいでしょうか。次の個人情報保護法の施行に伴う指針の改定にかかる部分につ いて、ご意見、ご質問をお願いいたします。 ○長谷川委員  この指針の1の「義務を遵守しなければならない」というのと、次の「取扱いの確保 に努めるものにする」という義務と努力義務と分けるのですが、これを守らなかった場 合の罰則というのは、どのぐらいになるのですか。 ○需給調整事業課長  いま長谷川委員の言われた個人情報保護法に基づいて申しますと、「準じて」は努力 義務ということで、個人情報保護法の義務の適用にはならないということですが、個人 情報取扱い事業者に該当される場合について、個人情報保護法にも具体的に義務違反の ための措置があります。具体的には個人情報保護法の32条、33条、34条により主務大臣 が報告を聴取したり、助言をしたり、個人の権利利益の保護をするために必要だという 場合には勧告をするということであったり、是正命令をしたりということがあります。 これは是正命令の違反の場合といったケースについての罰則が出てくるということはあ ります。直接的には、安定法や派遣法と同じように、指導したり、是正を命令したりと いう形で手続的には入っていくということです。 ○長谷川委員  例えば保護法でなくてこちらの指針の所で、指導・勧告されても是正しなかった、是 正命令にも従わなかった。そうした業者に対しては、どういう取扱いがされるのです か。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  勧告などに従わなかった場合については、個人情報保護法の中で罰則規定があり、法 文でいいますと。 ○長谷川委員  わかりました。もう1つ、告示内容ではないのですが、職業紹介事業者や供給事業者 がいると思うのです。今回の個人情報保護法の改定に伴って指針が出るわけですが、業 者に対する指導や周知を厚生労働省としてどうするのかということを決定してほしいわ けです。個人情報の問題は、派遣労働者の人たちは非常に神経質になっているわけで、 この間もいろいろなトラブルがあったわけです。ある意味では基準法の改正などがある と大掛かりな周知活動がされるのですが、私はこの問題に関しては厚生労働省の積極的 な取組みを要請したいと思います。 ○松井委員  長谷川委員に質問なのですが、問題が起きているというのは、具体的にどのように問 題であるか教えていただきたいのです。 ○長谷川委員  私どもで働いている派遣労働者などから、自分の情報が漏れているような気がするこ とがいくつかの会社であったと聞くわけです。自分の周辺に来る派遣労働者もいくつか の所を回っていますから、必ず来た人とはお昼を食べて、「どうだったの、どうだった の」と、みんな聞くようにしているのです。そうすると、やはり彼女たちはどうも自分 の情報が漏れているのではないかと、不安を持っているのです。実際、それがどのよう に浮上してきたかということについては、いますぐと言われると、この事件この事件と いうようには準備していないのです。私の経歴とか、私の持っているいろいろなスキル とか、私の名前とか、そういう情報のが何かあるのではないかという不安を持っている というのは、何人かの人から聞いております。したがって、この問題について、あえて 今回も厚生労働省の中で、職業紹介事業者などにこういう指針を適用して守らせようと いう姿勢もあるわけですから、働く労働者の不安を払拭するという意味では必要なので はないかと思っています。 ○成宮委員  いまもう既に、現行の11年労働省告示141号というのがあるわけです。個人情報の保 護に関することについては、そこにかなり細かく書かれている。今回の告示の改正で、 具体的に新しい告示案がどのように変わるのかというのは、必ずしもイメージがないの ですが、新しく個人情報保護法ができたので、この法律を遵守しなさいということを書 くだけなのか、それに伴っていま書かれている個々のことを全部書き替えてしまうとい うことなのか。その辺のイメージを教えていただけたらと思います。 ○需給調整事業課長  説明の資料が多岐にわたりましたので、わかりにくかったかもしれませんが、具体的 な告示の姿としては、最終的には要綱案として提示している資料3の1が紹介指針、資 料3の2が派遣元の指針という形です。具体的には資料3の1の告示の中に個人情報の 保護の関係は縷々規定がありますので、今回新たに追加するのは、ここの要綱に掲げて いるような個人情報保護法上の取扱い事業者に該当する場合には義務を遵守、該当しな い場合であっても確保に努めていただきたいということを盛り込もうという内容です。 ○樋口部会長  実際に遵守されているかどうかのチェックは、どのような形でなされていますか。 ○需給調整事業課長  許可の要件の1つとしても、個人情報保護となっております。それから、それぞれ派 遣の場合であれば派遣元責任者の方の業務という形になっておりますので、定期的な指 導、あるいは臨検指導という中でチェックさせていただくことになっています。 ○樋口部会長  現在のところは、それで問題が起こっている事案はないということですか。 ○需給調整事業課長  指導結果の中身が、個々にこの案件でという分け方にはなっていないので、個人情報 保護に限った形でどうかは、つぶさにはわからないという状況です。ただ、全体として は許可要件にもなっていることも含めて、派遣、あるいは職業紹介という形の中では、 各業者の方にもいろいろな取組みをしていただいているということで認識しています。 ○松井委員  この派遣法や安定法などでなくて、いわゆる労働者の個人情報の保護のガイドライン なるものは、厚生労働省の中ではどのような形で取り扱われて、いまどういう対応がと られているのか、もしわかれば教えていただきたいのです。 ○需給調整事業課長  今日、参考の資料では提出していませんが、事業主が労働者を雇用管理されることに 対しての一般的な指針というものは、別途、告示として出しております。それに基づい て、事業主に取組みをしていただくということとしています。これも個人情報保護法の 施行に合わせて、4月1日からということで、既に発出していますが、それに基づいて 取組みをしていただくということを予定しています。 ○松井委員  確認なのですが、それは別の言い方をすると、派遣元事業主から見れば、労働者の個 人情報保護そのものをやれば、別にこの指針があるか、ないかにかかわらず、対応して いるという姿勢になるということでよろしいのですか。 ○需給調整事業課長  雇用する労働者との関係ではそのとおりです。 ○松井委員  この指針が加わったことで、変わることはあるのでしょうか。派遣元事業主から見た 場合においては、ただ周知するという意味合いになるという整理になされるのでしょう か。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  派遣法の中で、個人情報の適正な取扱い義務が設けられており、その適正取扱いの内 容の1つとして、他の法律であるところですが、個人情報保護法も遵守しなければなら ないということになります。その意味で、例えば派遣法なり、安定法に基づく指導・助 言といったものの対象となるような位置づけになっていく。安定法や派遣法に基づく適 正取扱いの内容の1つとして、今回、告示に書くことによって、個人情報保護法の遵守 が位置づけられていくという整理になるかと思います。 ○樋口部会長  派遣先の扱いは、どういうことになるのですか。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  こちらは単に個人情報保護法が適用されるという関係となります、いま派遣法の中 で、業監督的な規制は派遣先にはもちろんありません。そこは今の整理に従うというこ とで、今、個人情報適正取扱義務のある派遣元と紹介事業者についてのみ対象とし、こ うした業監督の対象となっていない。派遣先については、個人情報保護法が一般法の中 で適用されていくという整理です。 ○樋口部会長  ただ、派遣先は雇用主ではないですよね。 ○需給調整事業課長  そうですね。派遣先としては、一般的な適用としての派遣、事業主と自分が自ら雇用 する労働者ということです。もう1つ、個人情報保護法の中で従業者の監督という規定 もありますので、現実には従業者という意味では雇用関係がなくとも、実際上、個人情 報を取り扱う人間については監督しなければならないというものが、個人情報保護法の 規定の中にはあります。その意味では、例えば派遣労働者が派遣先に行って、派遣先の 中で個人情報データを扱われるということであれば、その個人情報保護法の規定に沿っ た形での従業者の監督は、個人情報保護法上の義務としては行わなければいけないとい うことです。 ○鎌田委員  非常に初歩的な質問で、自分で調べてくればよかったのですが、法律と告示の適用範 囲についての質問です。個人情報の取扱い事業者という場合には、雇用主や従業員を雇 っている事業主という押さえではなくて、「個人情報データベース等を事業の用に供し ている者」ということです。そうすると、例えば告示で職業紹介事業者、労働者の募集 を行う者、派遣元事業者は、そのままの資格で個人情報データベース等を事業の用に供 していれば、個人情報の保護に関する法律の適用範囲に入ると解している。つまり、告 示案の要綱の3の1の第1を見ると、職業紹介事業者が個人情報データベースを用いて 事業を行っていると考えれば、そういった要件に該当すれば、そのものとして個人情報 保護の第4章第1節以下の義務を遵守するということになるのですか。それとも、新た に付け加わった告示案の内容で、いわば適用範囲を拡大することになるのですか。個人 情報取扱い事業者というのは、雇用主に限定するというニュアンスではないように見た のですが。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  個人情報保護法上は、とにかく事業の活動の中でそういうものを使うということであ れば、例えば人事情報だけであっても5,000件以上のものを体系的に整理して使用する のであれば対象となるものです。それは会社全体の人事部門のほか、例えば、派遣部門 など多数の部門を持っている場合であっても、会社トータルとして事業者として適用さ れるという制度になりますので、必ずしも個別の事業の用途という中で紹介事業などに 限定して適用されるというものではありません。その会社が企業活動全般を行う中で 5,000以上のものを体系的に取り扱うというのであれば、それはすべてが個人情報取扱 事業者に該当するということになるものです。 ○鎌田委員  そうすると、職業紹介事業者であっても、労働者派遣事業者であっても、いま言った 趣旨で個人情報を事業の用に供していれば、もちろん法適用があると。そうすると、 「また」以下で拡大していますね。言ってみれば、この部分が少し適用を拡大してい る。努力義務になるわけですが、これが生きていると。そうした場合に、先ほどからの お話の中で、個人情報の保護に関する法律の規定の適用と、同時に職業安定法上の個人 情報保護規定、労働者派遣法上の保護規定、両方かかってくるということになっている 。例えば「利用目的外の保存」というのは両方にありますから、両方違反した場合に、 制裁の中身がどうなのか、私はよくわからないのですが、指導でも、あるいはもう少し きつい制裁なのかもしれません。その適用関係というのは、どのようになるのですか。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  基本的には、両規定が複合的に適用されていくというように考える。 ○鎌田委員  それぞれ処罰を受ける、制裁を受けるということですか。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  両方の規定が複合的にも適用されていくということで、それぞれの2つが同時に根拠 に基づく指導等が行われる。ただ、当然、例えば安定法などで命令みたいなものをかけ る際には、法律上の要件としては「業の適正な運営を確保するため」という条項があり ます。一方、個人情報保護法でそうした命令をかけるには、「個人の権利利益が侵害さ れていると認められるとき」という趣旨の規定があります。結局は違反の内容に応じて そうした命令規定の適用の可否を判断していくことになると思いますが、一般的には両 条項が複合的に適用されることになると考えております。 ○鎌田委員  そうすると、主務官庁は、労働者派遣法や職業安定法は厚生労働省になりますが、個 人情報保護のほうはどうなるのですか。 ○需給調整事業課長  主務大臣という形で、それぞれが所管の大臣が所管するという形です。 ○鎌田委員  そうすると、その辺の所は言ってみれば全く独立に別々にやるというわけでもない。 ○松井委員  細かいところですが、5,000件のカウントの仕方の時点は、どのようになるのでしょ うか。努力義務がかかるところと、かからないところと、義務化のところとありますの で、もしこういう指針を出すなら、そういう点も併せて説明書等も付いていたほうがい いと思うのです。 ○需給調整事業課長補佐(駒木)  こちらは個人情報保護法の施行令の2条にあるのですが、過去6カ月の間に、1回で も5,000件を超えるような情報を取り扱うということであれば、それは個人情報取扱い 事業者に該当する。ですから、一時的にでも5,000を超えれば該当するという内容です。 ○松井委員  そうすると、来年4月1日からの施行でいくとなると、明日から来年の3月の間で 5,000件以上のときには該当するという整理になるのでしょうか。 ○需給調整事業課長  実際の個人情報保護法の施行の対象の確認をした上で、周知・啓発するときには、そ の点を踏まえてさせていただきたいと思います。 ○松井委員  よろしくお願いいたします。 ○樋口部会長  よろしいですか。ほかにないようでしたら、当部会として本件についてこれを妥当と 認め、その旨、職業安定分科会に報告することとし、部会長名の報告文において、私に ご一任いただきたいと思いますが、よろしいですか。                   (了承) ○樋口部会長  ありがとうございました。それでは、そのように扱わせていただきます。次の議題の 「一般労働者派遣事業の許可の諮問」に入りますが、冒頭お願いしたように非公開とさ せていただきますので、よろしくお願いします。 ○樋口部会長  以上をもちまして、第62回労働力需給制度部会を終了いたします。次回は、10月28日 (木)の17時からという予定ですので、よろしくお願いいたします。本日の署名委員 は、雇用主代表は松井委員、労働者代表は川畑委員にお願いいたします。どうもありが とうございました。                     照会先:職業安定局需給調整事業課調整係                         電話03-5253-1111(内線5747)