04/09/29 労働政策審議会安全衛生分科会第11回議事録            第11回労働政策審議会安全衛生分科会 1 日時  平成16年9月29日(水)15:00〜17:00 2 場所  経済産業省別館1111号会議室 3 出席者  (委員) 公益代表  櫻井委員、今田委員、北山委員、内藤委員、名古屋委員、             平野委員、和田委員       労働者代表 仲田委員、芳野委員、中桐委員、鈴木委員、徳永委員       使用者代表 讃井委員、加藤委員、金子委員、山崎委員  (事務局)      小田安全衛生部長、中沖計画課長、寺岡安全課長、             阿部衛生課長、古川化学物質対策課長、             高橋建設安全対策室長、中村環境改善室長、             角元化学物質評価室長 4 議題  ・ 石綿障害予防規則案要綱について(諮問)  ・ 今後の労働安全衛生対策について  ・ 労働者の健康情報に係る個人情報保護法への対応について(報告) 5 議事録 ○分科会長  ただいまから、第11回「労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日 は、大村委員、眞鍋委員、中田三郎委員、伊藤委員、小島委員は欠席です。この結果、 労働政策審議会令第9条に規定する定足数を満たしておりますので、当分科会は成立し ていることを申し上げます。  議事に入ります。最初の議題は、「石綿障害予防規則案要綱」についてです。本件 は、厚生労働大臣から、労働政策審議会会長宛の諮問案件であり、当分科会において審 議を行うことといたします。まず、事務局から説明をお願いいたします。 ○安全衛生部長  本日は、お忙しいところご出席いただきましてありがとうございます。本日の諮問案 件は、「石綿障害予防規則案要綱」についてです。石綿については、平成7年にアモサ イト及びクロシドライトの製造が禁止され、昨年の政令改正により、本年10月から石綿 を含有する建材等の製品の製造等が禁止されることになっております。  これにより、製造される製品については9割余が減少することになっております。し かしながら、石綿はこれまで長年建材として使用されてきておりますので、今後はこれ らの建材が使用された建築物等の解体作業が増加することを踏まえ、このような解体作 業等に重点を置いて、石綿ばく露による労働者の健康障害防止対策の充実を図る必要が あることなど、対策の内容がほかの化学物質とは大幅に異なることから、現行の特定化 学物質等障害予防規則での対応から分離し、新たに石綿障害予防規則を制定して対応し ようとするものです。  この諮問案件については、本日の審議会でご審議の上、できれば答申をいただきたい と考えております。詳細は担当のほうから説明させますので、よろしくご審議のほどお 願いいたします。 ○化学物質対策課長  「石綿障害予防規則案」について資料No.1−2に基づきご説明いたします。まず、 今回の石綿障害予防規則の制定の趣旨ですが、石綿は、その繊維を吸入することによ り、肺がん、胸膜、腹膜などのがんである中皮腫等の重篤な健康障害を引き起こすこと が明らかになっております。  職業がんの労災補償状況を見ますと、平成14年度においては職業がんの認定総数94人 のうち、約8割の77名が石綿によるもので、その認定件数は、ここ数年増加傾向にあり ます。こういったことから、石綿は他の有害な化学物質とともに、労働安全衛生法、同 法施行令、特定化学物質等障害予防規則等により、製品の製造等に係る規制、作業にお いて講ずべき措置等に係る規制を設けております。  7頁の別添2をご覧ください。製品等に係る規制については、既に石綿のうちアモサ イトとクロシドライトの製造等については、平成7年に禁止しております。昨年の政令 改正により、石綿を含有する建材、摩擦材、接着剤の製造等の禁止が、本年10月1日か ら施行されることになっています。また、ジョイントシート、シール材といったもの は、禁止の除外品となっておりますが、その計画的な代替化の促進について、本年2月 に関係業界団体等に対して要請を行っております。  6頁の別添1をご覧ください。(1)の、石綿の輸入量ですが、我が国では、石綿を 産していないということで、諸外国から輸入しております。その輸入量については、折 れ線グラフにあるように、1970年ごろから1990年ごろまでが非常に多く輸入されてい て、年間約30万トンということで推移しています。その後、1990年ごろから急速に輸入 量が減少に転じております。  (2)は石綿の用途です。石綿の用途については、その約9割以上が建材に使用され ています。1970年から1990年にかけて大量に輸入されて建築物に使用された石綿が、建 築物の寿命とともに、今後解体されて排出されることになります。ある調査によると、 そのピークは2020年から2040年ごろに来るのではないかと言われております。こういっ たことから、今後は建築物等の解体作業における、石綿ばく露による労働者の健康障害 防止対策の充実が必要になってくると考えております。  1頁の(3)ですが、建築物等の解体作業については(1)から(3)にあるように、作業 が一時的、非定常的な作業であること、建築物等において石綿含有製品の使用箇所の判 別が困難な場合が多いこと、解体工事等に従事する労働者は必ずしも石綿に対する認識 が高くない場合があることから、製造現場とは異なった問題点があると指摘されており ます。したがって、今後の解体作業でのばく露防止対策については、こういったことを 踏まえた対策の充実を図っていくことが必要となっております。  7頁をご覧ください。先ほどは製品等に関する規制についてご説明しましたが、下に 作業等に関する規制が書いてあります。現在、石綿については特定化学物質等障害予防 規則で規制されているわけです。今後の石綿のばく露防止対策は、製造や使用の場面で はなくて、建築物の解体等の作業など、既に使用されている石綿を除去する場面におけ るものが中心となり、他の特定化学物質とは、事業者に求める措置の内容は大幅に違っ てくることになります。  このため、今般、特定化学物質等障害予防規則から分離し、新たに石綿障害予防規則 を制定し、建築物等の解体等の作業における対策の強化、石綿等が吹き付けられた建築 物等における業務に係る措置等について充実したいと考えております。これが、今回の 石綿則の制定の趣旨です。  具体的な内容については、要綱についてご説明すればよろしいのかと思いますが、要 綱ではわかりにくいことがあるかと思いますので、資料の2頁で、従前の特化則におけ る規制から変更される部分についてご説明いたします。  (1)は石綿含有製品の代替化の責務の明記ということですが、今般の政令の改正に より、禁止されなかった製品、これは使用量としては約10%ぐらい残っていると思いま すが、これについても石綿を含有しない製品に代替化をしていくことが必要です。  現行の特化則においても、第1条で事業者が講ずべき必要な措置として、「代替物の 使用」が列挙されておりますが、これをさらに明確化し、「事業者は、石綿含有製品の 使用状況等を把握し、計画的に石綿を含有しない製品に代替えするよう努めなければな らない」ということを明らかにすることとしております。  (2)は、建築物等の解体等における石綿使用の事前調査です。これについては、現 行の特化則においても、設計図書等により事前の調査をすることとされておりますが、 そういった調査によっても、石綿の使用の有無が必ずしも明らかとならない場合もあり ます。このため、石綿の使用の有無が明らかとならなかったときは、原則として分析に よる調査を行っていただいて、石綿の含有の有無を確定することとしております。  ただし、石綿等が使用されているものとみなして、部材等を湿潤な状態のものとし、 また、労働者に保護具、作業衣等を使用させる等の措置を講ずるときは、分析調査を要 しないことといたしたいと思います。  (3)は、建築物等の解体等における作業計画作成の義務付けです。建築物の解体等 の作業は非定常的な作業です。そういうことから、あらかじめ当該作業に従事する労働 者の石綿粉じんへのばく露防止対策等を盛り込んだ作業計画を作成していただき、その 計画に従って作業を行わなければならないことといたします。  (4)は、解体工事等の作業の届出です。現在、耐火建築物等に吹き付けられた吹付 け石綿の除去作業については、既に労働安全衛生法第88条に基づく計画の届出が義務づ けられているところです。しかしながら、吹付け石綿の除去作業に準じて、高濃度の石 綿粉じんを発生させるおそれのあるものがありますので、そういったものについてはあ らかじめ石綿ばく露防止対策等の概要等を、労働基準監督署長に届け出ていただくこと といたします。  具体的には、石綿等を使用した耐火被覆板を張り付けた建築物の解体作業など、粉じ んを著しく発散するおそれのある建築物又は工作物の解体等の作業を想定しているとこ ろです。  (5)は、保温材等の除去に係る措置です。これは、直接石綿を取り扱うことはない けれども、石綿を取り扱う作業と同一の作業場所で作業を行い、石綿粉じんにばく露す る、いわゆる間接ばく露の防止に関するものです。最も危険性の高い吹付け石綿の除去 作業については、現行の特化則において、当該作業場所を隔離することになっているわ けですが、保温材、断熱材等の除去作業においても、石綿が非常に飛散しやすいことか ら、当該作業を行うときは、保護具等を着用した方を除いて、関係労働者以外の者が立 ち入ることを禁止して、かつ、その旨を表示させることといたします。  また、複数の事業者が混在するような場合は、特定元方事業者の方に、作業開始前ま でに作業の実施について、関係請負人に通知するとともに、作業の時間帯の調整など必 要な措置を講じなければならないことといたします。  (6)は、石綿等の使用の状況の通知です。これは(2)でご説明いたしましたよう に、解体等の作業を行う事業者に対して、事前に石綿の使用状況について調査させるこ とといたしますけれども、調査を行う際に、非常に有効な資料であります設計図書等の 資料については、発注者が所有している場合が多いため、解体工事の発注者に対して、 当該工事の請負人に、当該建築物又は工作物における石綿等の使用状況等を通知するよ う努めなければならないことといたします。  (7)は、建築物の解体工事等の条件です。作業を請け負った事業者が、契約条件等 により、必要な措置を講ずることができなくなることのないよう、建築物の解体等の作 業を行う仕事の注文者は、建築物の解体方法及びその費用等について、この省令の規定 の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮させることといたします。  これは、現行の労働安全衛生法第3条第3項に類似の規定がありますが、これを石綿 則の中に具体的な条文として明記したものです。  (8)は、石綿等が吹き付けられた建築物等における業務に係る措置です。事業者等 は、その労働者を就業させる建築物に吹き付けられた石綿等が、損傷、劣化等により、 その粉じんを飛散させ、労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該石 綿等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならないことといたします。 これにより、石綿を直接取り扱う業務を行わない事業者も、石綿等が吹き付けられてい る建築物等で業務を行う場合には、これらの措置を講ずることとなります。  (9)は、石綿等の吹付けの全面禁止です。石綿等の吹付けについては、昭和50年の 特化則の改正により、原則禁止をされているところですが、作業場所の隔離、送気マス クの使用等の措置を講ずることにより、例外的に吹付けができることとされております けれども、今回、これらの条件を削除し、当該業務に従事させることを全面的に禁止す ることといたします。  (10)は、清掃の作業におけるばく露防止対策の充実です。現行の特化則において は、粉じんの発散のおそれの高い石綿等の切断等の作業については、石綿等の湿潤化、 呼吸用保護具等の使用が義務づけられております。しかしながら、これらの作業により 発生した石綿等の清掃の作業においても、石綿の飛散濃度が高いことがありますので、 このような清掃の作業についても、石綿等の湿潤化、呼吸用保護具等の使用を義務づけ ることといたします。  (11)は、特別教育の実施です。建築物の解体等の作業は、製造現場のように決まっ た作業を定常的に行う場合と異なり、いわゆる非定常的な作業です。また、これらに従 事する労働者は石綿を取り扱っているという意識が低く、石綿の有害性に関し、十分な 教育がなされておらず、結果として石綿粉じんにばく露している場合が多いと指摘され ております。このため、解体等を行う労働者については、必要な知識を付与するための 特別教育を義務づけることといたします。  (12)は、清掃の実施等です。現行の特化則では、作業場の床について、不浸透性の 材料で作らなければならない旨の規定はありますけれども、清掃の規定はありませんの で、作業場の床の構造を水洗によって、容易に掃除ができるものとし、また水洗する等 により、毎日1回以上清掃の実施を義務づけることといたします。また、休憩室の床に ついても同様の扱いといたします。  (13)は、作業記録等の保存期間の起点の見直しです。現在、特別管理物質(石綿も 含む)に係る作業の記録、特殊健康診断の個人票の記録については、現行の省令では、 「労働者が作業に従事することとなった日から30年間」保存するとされています。これ によると、作業の記録については、当該作業に従事することになってから30年間経過し た時点で、記録が破棄される可能性があるわけです。この場合、その後労働者が発症し た場合に、適切に作業記録等を参照できない可能性があることから、これらの記録の保 存期間を、「その作業又は健診の実施から30年間」といたします。なお、現行の特化則 でも、作業環境測定の記録については、今回改正の案と同じように「記録した日から30 年間」と保存義務がかけられております。  (14)は、作業衣等の持出しの原則禁止です。石綿は繊維状の物質で、衣服等に付着 しやすく、また空気中に浮遊しやすい物質です。そういったことから、作業衣等につい ては、作業の後、適切に管理がされないと、いわゆる二次発じんの原因となる場合もあ ります。このため、使用された呼吸用保護具、作業衣等を、他の衣服から隔離して保管 するとともに、付着した物を除去した後でなければ、事業場の外への持出しを原則禁止 をすることといたしております。  以上が、今回の石綿障害予防規則の概要です。なお、この規則の制定に伴い、私ども 予算措置等も考えております。石綿則の施行に関連し、具体的なマニュアルの作成、石 綿分析機関への指導等の予算も要求しております。なお、施行日については、公布から 周知等に要する期間を考慮し、平成17年7月1日より施行することといたしたいと考え ております。  今後は、石綿則と、予算措置等と併せて石綿に係る労働者の健康障害防止のために万 全を期していきたいと考えているところです。以上で説明を終わらせていただきます。 ○分科会長  ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。 ○中桐委員  先ほどの説明で、我々が危惧していたことは大体入っていると考えております。原則 的な使用禁止から、全面的な使用禁止に向けた代替品の開発等々についても、計画的な 取組をするということ、労働者への特別な教育措置等々については、我々も大変危惧し ている問題でしたので、監督官の皆様方の力をお借りしながら行っていただきたいと思 います。  3頁の(7)「建築物の解体工事等の条件」の3行目に、「解体方法及びその費用等 について」という、この「費用等について」というところは思いますに、解体作業を請 け負った方は、その費用については安く上げたいというのが注文主の意向でしょう。そ の際に、解体したアスベスト製品の処理について、普通ならば特定の産業廃棄物として 適切な処置をしなければならないわけですが、それは大体値段が高いのが実態です。関 東一円にもありますし、瀬戸内海の豊島にもありましたが、建築の廃棄物を不法に投棄 するということが起こりがちです。  そういったことを、この「費用等について」という部分でお考えになっているのかど うか。折角、解体作業等で、ばく露しないような対策をしておきながら、実は除去した 製品が山積みにされていて、その周辺の住民の方々に大変な被害と不安を起こすことが あってはいけないと思いますし、そういうことなのかどうかを最初にお聞きします。 ○化学物質対策課長  今回の場合は、建築物、工作物の解体等に伴う労働者ばく露の観点から、注文者に対 して、ばく露防止対策を講じるに当たっての費用について十分考慮していただきたい、 ということがこの要綱上は書いてあります。  廃棄物の処理に当たっては、当然コストがかかってきますので、趣旨的にはそういう もののコストについても、当然注文者が負担すべきものだと考えております。これにつ いては、環境省とも、今後この石綿則の公布の段階で、いろいろすり合わせをしていか なければならない点もあります。環境省でも、非飛散性の石綿ということで、石綿のス レートなどを扱うときのガイドラインを作ると聞いていますので、そういったものの中 にも、こういう費用の負担等についても、できるだけ具体化した形で入れていただける よう、連携を取ってまいりたいと思います。 ○中桐委員  これにつきましては、これで結構かと思います。要望ですが、関係する労働者への教 育等々の措置がとられるということで先ほども伺いましたが、是非お願いしたいと思い ます。請け負う方々は、例えば解体だけに臨時的に雇われる日雇の方々が清掃も含めて 入っていたりすると、教育したくてもなかなか難しい問題があろうかと思います。  今回は諮問の枠の中ではないので、諮問答申とは関係ないのですが要望として申し上 げます。アスベストというのは、30年経ってから悪性な中皮腫になったりする特性があ ります。こういったものについて、市民の方々の啓発活動も是非やっていただけないか ということです。  1つ心配しておりますのは、WHOの指摘では、水の中にあるアスベストについては 害がないということですが、古い水道管には、まだまだアスベストが使われている部分 がある。それについては大変コストがかかると聞いていますが、関係省庁で助成金も出 しながら撤去がされている所もあります。そういったアスベスト自体の危険性について は、市民並びに学校教育等で、子供たちへの啓発といったことについても、啓発活動と して関係する省庁との連絡会議等々を使って行っていただきたい。すぐに発症しないと いう特異性が、どうしてものど元過ぎれば忘れてしまうというか、また知らないという こともありますが、そういうことについて是非お願いしたいということです。  これは、国内にかかわる話だけでできておりますが、今後、アジア諸国を含めて、そ ういった産廃、また新しい製品の中でも、そういうものが移動する可能性も高いので、 これは厚生労働省の所管ではありませんが、関係省庁との連絡等で、今後長い目で定期 的なチェックをしながら対策を継続してお願いしたいというのが要望です。 ○分科会長  承っておくということでよろしいでしょうか。 ○中桐委員  はい。 ○徳永委員  要綱案のほうで教えてほしいことがあります。総則は非常に重要なところで、いま中 桐委員から指摘があったところです。今後、基本的には石綿含有製品等をなくしてい く、基本的には根絶していくという方向性の中での対策をいま進めていく。石綿の輸入 のピークが1960年代から1970年代に来ました。そこでは8、9割が建材関係で使われて きました。耐火性とか優れた性質を持っていますので非常に使われてきた中で、この問 題があえて言えばようやく製造関係と、健康予防対策が両輪という形で進んできている のかという感じがします。そういった意味でいうと、これからだなと率直に思っていま す。これでいい、という状況ではないと思っています。  そういう中で、含有しない製品を作っていくということで、業界の指導もしている、 計画書等の提出も指導しているということのようだが、現実には左官用モルタル混和材 などはノンアスベストと銘打っていても、実際は90数%のクリソタイルが含まれた建材 が販売されていました。今後、その辺の問題が健康障害も含めてどうなっていくのか非 常に心配しています。そういった意味では、モラルハザードともいうべき問題があるの かという気がしています。今後この問題については、相当指導を強めていただきたい、 早急に解決していただく、技術的開発を含め、そういう方向で位置づけをしてやってい ただきたいと思っています。そういう問題も含め、努力義務として出されたのだと解釈 したいと思っています。  第二の「事前調査」について確認の意味でお伺いします。「建築物等」の「等」、そ れから「解体等」の「等」をもう1回説明をお願いします。その項の使用の有無の「目 視等」の「等」は「設計図書」ということで説明があったと思いますが、そういうこと であればそれでいいです。その結果の記録をすることとなっていますが、記録と保存の 関係はどうなのでしょうか。保存を考えられておりませんでしょうか。これが含まれて いるかどうかということです。  2頁の三のところで、「一定の建物等の解体等の作業を行うときには云々」というの は先ほど説明がありましたが、規模で規定されていたものが解除されてなくなって、実 際に中身として、粉じんでの危険度はどこまで含まれているかということで整理したの だという説明でした。それはそれなりで、少し広まったというか、進んでいるのかと思 いますが、もう少しこの辺の説明をしていただきたいということです。  3頁の七は中桐委員が触れたことと関連しますが、注文者(発注者)の協力といいま すか義務といいますか、事業者と併せて発注者がいろいろな資料を提供する。そういう 意味では、共同作業として解体作業にかかわっていくのだという位置づけだと思ってい ます。これはこれで、整理をされているのだと思っています。この発注者については、 設計図書の話もありましたが、それを含めて危険有害情報を持っているわけですから、 それをどこまで求めていくのかということだと思います。その辺でお考えがあればお聞 かせ願いたいと思います。  4頁で、「呼吸用保護具等」という言葉が使われていますが、この「等」のところは どういうものまで含むのかをお聞かせ願いたいということです。  5頁の管理のところは、今後労働者の教育も、事業者に義務づけて、特別の教育をや っていこうということも含めてあるわけです。特に作業主任者の関係で、特別化学物質 等作業主任者ということの中で修了した者から、石綿作業主任者を選任するのだ、とい うことで一定の位置づけがされています。これは後で述べたいと思いますが、現実に解 体作業が進んでくると、特に民間の工事はいろいろな形で進んでくる状況にあります。 裾の広い対応が求められてきます。  要するに、現場の労働者は、全国的にいろいろな所でかかわってくることになります ので、やはり啓蒙して教育させていくことと併せて、小規模の仕事についても、適切で 有効的な責任者を置いていく必要があるのではないか。今回はこういう形で示されてお りますけれども、私の要望ということでお聞き願っても結構ですが、今回石綿則を予防 規則案という形で分離して位置づけされたという前向きの形になっているわけです。そ の辺も今後の検討課題として考慮していただきたいという要望を強くしておきます。  三の特別教育の関係ですが、これは具体的にこれから示していかれるのだと思います が、大体のイメージで結構ですので、内容と、どれぐらいの時間でやるのか。それか ら、実施主体はどこになるのか。事業者に義務づけることになってきますので、これは どこで行うのかということ。  先ほどの私の発言と絡むのですが、この教育を幅広く現場の労働者に徹底させていく という方向であるとすれば、やはり丁寧な教育が必要だとなると、一定の取組の仕組み を作っていかないと、なかなか浸透しにくい問題でもあるのではないか。このように思 っていますので、一定のイメージでも結構ですので、あればお聞かせ願いたいと思いま す。 ○化学物質対策課長  「建築物等」の「等」は、工作物を考えております。省令上は「建築物又は工作物」 は書こうと考えております。工作物というのは、人為的に作られたものであって、通 常、「土地に固定された物」ということになっておりますので、私どももそのような解 釈で工作物を考えていきたいと思っております。「解体等」につきましては、改修を含 む概念です。 ○分科会長  「目視等」というのは、設計図書をというご説明でしたが。 ○徳永委員  そういうことなら結構です。 ○分科会長  その結果を記録するというご質問のところで、保存等の関係についてはいかがです か。 ○徳永委員  記録させてどうするのかです。 ○化学物質対策課長  先ほど、作業の記録ということで、保存義務30年間ということでお話させていただき ました。その中に入ってきますので、当然記録としては30年間残るということで考えて います。 ○分科会長  次の頁の三の「一定の建築物等の解体等」というのを、もう少しはっきりしなくてい いのかというご質問でしたか。 ○徳永委員  先ほど、2頁から3頁にかけて説明がありました。 ○分科会長  いまのは、2頁の三の石綿等が張り付けられた一定の「建築物等の解体等の作業」と いうご発言ではなかったのですか。 ○徳永委員  「解体等」の「等」は前段のところでわかりました。 ○分科会長  次は、3頁の、発注者(注文者)のところで、危険有害性情報等を、発注者は持って いるだろうということで、それが適切に開示できるような配慮をということですね。 ○徳永委員  はい。どの辺までということです。 ○化学物質対策課長  石綿の有無の調査をするのは、一義的には事業者責任と私どもは考えております。そ れをより効率的に行う観点から、あるいは無駄なことをさせない観点からも発注者、当 該建築物の所有者になる場合が多いと思いますけれども、そういう人は設計図書等を持 っているわけです。そういうものを幅広く探していただいて、あれば必ず元方事業者に 対して提供していただくということを考えております。  これは、すべからく広報していかなければ、実際問題として周知されませんので、パ ンフレット等で、きちんとその趣旨を書くようにしていきたいと思っています。 ○分科会長  4頁は具体的なご質問で、「呼吸用保護具等」の「等」はどういうものですかという こと。 ○化学物質対策課長  この「等」は作業衣を指しています。 ○分科会長  5頁の「特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、石綿作業主任 者を選任する」というところは、もう少し幅広くまた別に考えられるのではないかとい うご質問ということでよろしいですか。 ○徳永委員  逆に言いますと、石綿の部分をしっかり教育させた人でいいのではないか。今回こう いうことで出されていますので、これはこれで石綿作業主任者はそこから選出するので すよということですが、幅広くそういう配置をきちんとしていくということであれば、 その辺の工夫がもう少し必要ではないか。私は、前からそういうことを申し上げていま す。本日は、するとかしないというのは結構ですが、そういう方向で今後も検討してい ただく必要があるのではないか、ということで強く要請しておきます。 ○化学物質対策課長  作業主任者の件ですが、今回、石綿作業主任者ということで、特定化学物質等作業主 任者の中から選任することにしています。今回、石綿則が制定されたということ、建築 物の解体に伴う石綿ばく露防止対策というのはかなり強化されてきたことから、当然そ の技能講習の中身といいますか、内容についても見直していかなければいけないものと 思っています。  具体的に言うと、化学物質関係作業主任者技能講習規程が告示で定められておりま す。これについては、今回の石綿則の制定等を踏まえて必要な改正をやっていきます。 これに関連して技能講習のテキストにも、こういったものが入るように見直していきた いと思っております。  これを、具体的にさらにどうかということについては、委員からそういうご指摘があ ったということは十分踏まえ、今後検討してまいりたいと考えております。 ○分科会長  同様のことだったと思いますが、作業者に対する特別の教育の件で、イメージはどう かということでしたね。 ○徳永委員  大体で、アバウトで結構です。 ○化学物質対策課長  特別教育については、告示で定めるものですが、まだ具体的にどれということは考え ておりません。いまのところ時間的には、4時間程度のものを考えています。これまで の類似の特別教育の時間を見ましても、概ねそういった時間のものが多いものですか ら、そういった時間を考えております。  中身的には、石綿の有害性であるとか、解体作業に伴う留意点、保護具の使用方法等 の内容になろうかと思います。 ○徳永委員  方向はそれでいいのですが、できるだけ実効性のある、有効的な教育が必要だと思い ますので、そういう場所についてはいろいろな工夫をしてほしいと思います。 ○化学物質対策課長  委員もご存じのように、法的には特別教育というのは、事業者の義務として第59条を 根拠に課せられているわけです。中小の事業者は適切な教育をやろうと思っても、なか なかできない場合もあります。特別教育のいくつかのものについては、関係団体でやっ ている例もあります。今回の特別教育についても、必要なテキストは私どもで作る予定 にしております。できれば、関係の事業者団体等で、全国各地でできるような体制を作 っていただき、地元で受けられるようなことを考えていきたいと思っています。 ○徳永委員  当然事業者の責任もありますけれども、そういう労働者に勉強させると、どんどん出 せるというのは、費用のことも含めていろいろあると思います。それらを含めて、有効 的に活用できるような仕組みを作ってほしい、ということを要望しておきます。 ○讃井委員  ILO条約との関係で質問いたします。ILOには、石綿に関する162号条約という のがありますが、まだ日本は批准しておりません。今回、製造の禁止と予防規則ができ ることにより、対策が随分充実することになるわけです。それと条約との整合性といい ますか、ある程度批准に関する動きがどうなっているかについて教えていただきたいと 思います。 ○計画課長  ILO162号条約ですが、今回かなり詳細な規定ができましたので、これに基づいて、 できるだけ批准できるような方向でこれから検討していきたいと考えております。た だ、関係するほかの省庁もありますので、そちらのほうとの調整も必要になってまいり ます。したがって、そうしたものができれば、具体的に外務省へ持ち込んで検討という 形をとりたいと考えております。 ○仲田委員  その前の説明への質問ということではないのですけれども、来年7月から施行してい くということだと思っています。その際は、一定期間を経た後だと思うのですけれど も、こういった重要な施策の定着度合や浸透度合は何らかの形で検証されるのかどうか をお伺いします。 ○化学物質対策課長  具体的にはまだ考えておりませんが、解体業者はそんなに規模の大きい事業者ではな いものですから、制度は作ったけれども、全然現場で実行されないというのは、私ども の本意ではないわけです。私どもは、この規則の制定を契機に、都道府県労働局、労働 基準監督署を総動員して、施行日までに新しい省令の周知をやっていきたいと考えてい ます。  その後は監督署の監督指導等を通じて、どのぐらい定着したかを見ていきたいと思っ ております。そういったものを踏まえて、定着を図るべく、新しい措置が必要であれば 検討していきたいと思います。 ○仲田委員  違反を挙げるということが目的ではなくて、定着していくことが大事なことかと思い ます。限られた原資の中ではなかなか難しい面が多いのかと思いますが、効率的な政策 のフォローを是非お願いしたいと思います。 ○加藤委員  いまのお話と一緒かもしれませんが、特別教育等を含め、中小の会社の方が多いと思 うのです。そういう会社が自社で教育をする場合の補助などの制度を是非お願いしたい と思います。  こういった規則ができた場合に、パンフレットを作って配るのはよくわかるのですけ れども、団体に入っていない会社も多いので、末端では知らないということがよくあり ます。その辺はどうやってやるかは難しいと思いますけれども、いろいろな機会を通し て、説明会等を積極的にやっていただけるといいのかと思っておりますので、よろしく お願いいたします。 ○化学物質対策課長  確かに、解体業者で組織されているのは、国土交通省の話を聞くと、大体4分の1ぐ らいと聞いております。そのアウトサイダーに対してどうやっていくか、というのがい ちばん問題だろうと思っています。団体がないわけですから、地方の局署をうまく使っ て周知活動をやっていくことかと思っております。具体的なやり方については、地方局 に対して指示していきたいと考えています。  特別教育の補助制度ということですが、いままでも特別教育としていろいろなものが あります。いままで予算要求で、補助というのは私の知る限り制度上やっていないので はないかと思います。補助ではないのですけれども、必要なテキストは国のほうで使え るような形にはしていきたいと思っております。 ○山崎委員  関連してですが、その件についてはマニュアルをお作りになるということですが、そ れを委託事業で各団体に渡す、というようなことはお考えになっていますか。例えば、 労働基準が改善されたときに、それについては各団体に委託事業で回し、各団体がいろ いろな方を集めて教育をして成果を上げていると聞いています。その措置はできないの でしょうか。 ○化学物質対策課長  先ほど言いましたように、マニュアルの作成と、それに基づく指導は、来年度の予算 要求でしております。マニュアルの作成、周知については中災防や建災防といった所で 行うことになるのではないかと思います。 ○山崎委員  それ以外に、解体団体など各団体に下ろして、直接経営者はもちろん、従業員にまで 周知徹底することはどうなのでしょうか。各団体ともそれほどお金がないので、委託だ といくらか管理費も入るからやりやすいと思うのです。 ○化学物質対策課長  来年度の予算がどれだけということがわかりませんが、ご指摘のあった点は検討させ ていただきます。 ○名古屋委員  要望です。石綿障害予防規則に書かれているのですが、「石綿」が一体何かというこ との定義がどこにもないと思うのです。この定義がきちんとしていないと、一体これは 何を目的にしたものなのかと。いまあるのは、測定の中で「5μ以上」というのがあり ますが、それでは1%のときにはどうなのかというものがありません。いま回答は求め ませんが、第二条に「必要な定義規定を設ける」と書いてありますから、この石綿は一 体どういうものを対象にした規則なのかということ、いままでこういうことはあまり書 かれてなくて、曖昧に来ておりますので、是非そこのところはきちんとしていただきた いと思います。  例えば、後々教育機関ですると言われておりますが、どういう教育をし、どういう装 置を使ってということになるのか。第二条に「使用の有無」と書いてありますが、「有 無」と言われたときに、ILOのようにアスペクト比だけでいくのか、物質だけでいく のかということがあると思います。この中に、きちんとした定義を書いて、この条文で いったらアスベストとは、石綿とは何かということを書いていただきたいという要望で す。 ○化学物質対策課長  委員のご指摘のように今後きちんとした定義をしていきたいと思います。 ○分科会長  ほかに発言がないようでしたら、当分科会として、「石綿障害予防規則案要綱」につ いては妥当と認める旨の報告を、私から労働政策審議会会長宛に行うことにしたいと思 いますがいかがでしょうか。                  (異議なし) ○分科会長  ありがとうございました。そのようにさせていただきます。なお、報告文について は、私に一任させていただくということでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○分科会長  ありがとうございました。そのようにさせていただきます。安全衛生部長から挨拶を いただきます。 ○安全衛生部長  ただいま、「石綿障害予防規則案要綱」の諮問案件についてご審議いただきまして、 妥当と認める旨のご報告をいただき、誠にありがとうございます。労働政策審議会の運 営規程により、本分科会の議決をもって審議会の議決とされることとなっておりますこ とから、労働政策審議会として了承いただいたことになります。  これを踏まえまして、私どもは速やかに石綿障害予防規則の制定作業を行い、円滑な 施行に努めてまいりたいと考えておりますので、委員の皆様方には、今後とも是非ご指 導、ご協力をお願い申し上げます。 ○分科会長  それでは議題の2つ目、「今後の労働安全衛生対策について」です。本件について は、今後当分科会で数回に渡ってご審議いただくわけですが、まず事務局からご説明を お願いいたします。 ○計画課長  資料No.2が検討項目(案)とスケジュール(案)です。検討項目(案)ですが、前 回の審議会におきまして、今後の安全衛生対策のあり方検討会など4つの研究会、検討 会の報告を私どものほうからご説明申し上げたわけです。この検討項目(案)は、その 報告の中で提言がありました項目のうち、制度改正に関わると思われるものを集めて書 いたものです。  上の2つの○は、今後の安全衛生対策のあり方検討会の関係で、自主的な安全衛生の 取組を促進するための環境整備については、危険・有害性の調査に関するものです。ま た、自主的取組の推進は、具体的にはマネジメントシステムの話で、そのための導入支 援、インセンティブをどう考えていくかです。(3)は安全衛生委員会の活性化で、それ と同時に安全衛生担当者の教育の充実という提言もあったわけです。  次の○は、こちらもあり方検の関係ですが、元方等を通じた安全衛生体制の実現とい うことで、一体的な管理の構築についてです。これは、安全管理者・衛生管理者の専属 性、選任要件の問題です。また、(2)は元方事業者の関係で、協力会社との関係につい ての管理の構築の問題です。(3)は、施設・設備の管理権原に着目した対策です。発注 者等に関しての提言があったということです。  次の○は、過重労働・メンタルヘルス対策の検討会を受けたもので、過重労働、メン タルそれぞれについてご提言がありました。  次は健康情報の関係です。こちらにつきましては、実は前回の審議会が終わりました あとに、個人情報保護法を所管する内閣府のほうから、ガイドラインを出すのであれば 早急に、できれば10月中に出して欲しいという大変強い要請がありました。大変恐縮で すが、時間的に余裕がないこともありまして、その内容についてはできれば私ども事務 方にお任せいただければと考えております。なお、詳細につきましては、のちほど労働 衛生課長より資料3に基づいて中身をご説明したいと思っております。  4点目は、化学物質管理の推進です。GHSの国連勧告等に合わせたいまの制度の充 実等の提言がありました。その他、当然この検討会の報告にない事項でも皆様方からご 提言があるかと思いますので、そういったものについても検討するということです。  これについてどのようなスケジュールでやっていくかが、次のスケジュール(案)で す。本日9月29日は、前回4つの研究会の報告書をお出ししましたので、もしご質疑等 があればその点に関して今日もお受けしたい、併せてこの検討項目とスケジュールにつ いてこれからご議論いただきたいと考えております。  今後の進め方ですが、本日の議論を踏まえて、できれば3回程度でそれぞれの内容を 検討していただくこととしてはどうかと考えます。10月6日にすでに日程を取らせてい ただいておりますが、この会においては安全関係の中で自主的な取組促進の環境整備 と、化学物質管理の推進について。次の会では、なかなか量が多いので、議論が残れば その残りと併せて元方等を通じた安全管理体制の実現についてご議論いただく。3回目 として、過重労働・メンタルヘルス、あるいは健康情報の保護についてご議論いただき まして、11月中に取りまとめの素案を考えたいと思っております。12月を目途に取りま とめをいたしまして、制度改正の必要について結論を得た場合には、厚生労働大臣に対 する建議として取りまとめたいということです。以上です。 ○分科会長  前回、事務局から4つの報告書の内容についてすでにご説明いただいておりますの で、一応ご承知のことと存じます。その内容も含めてご質問、ご意見等ご自由にご発言 をいただきたいと思います。 ○加藤委員  いまの説明の中で、健康情報の保護の問題についてですが、これは安全衛生法の改正 ではなくガイドラインとして別に出るという見方でよろしいのですか。 ○計画課長  検討会の中でご提言のあった事項のほとんどがガイドラインになっていくだろうと思 っております。ただその中で、例えば特殊健康診断の結果を本人に通知するというご提 言がありましたが、いま一般健康診断について安衛法の中で規定がありますので、その 横並びから言うと安衛法の改正が必要になるのではないかと考えております。 ○労働衛生課長  少し補足させていただきますが、内閣府のほうから10月までにガイドラインをという 強い要請があったと、先ほど計画課長から説明をいたしました。この健康情報に関しま しては、個人情報の点から考えてみますと、実は7月1日に厚生労働大臣告示で出して おります「雇用管理指針」の個人データの保護とほとんど内容が重なっているわけで す。健康情報ですので、多少の収集部門や生データにアクセスする人たちを産業保健関 係の人に限る、あとの方は加工されたデータにアクセスできるようにするのが望まし い、あるいはHIVやウィルス感染や遺伝関係等、収集すべきでない情報の内容がある などのご指摘があります。このごく一部の雇用管理指針と離れた特殊な部分につきまし て、どのような形でガイドライン化して周知するかを、いま行政の技術的な部門で検討 したいと思いますので、その内容についてはできればお任せいただきたいと考えており ます。 ○分科会長  この課題は、今日3番目に「労働者の健康情報に係る個人情報保護法への対応につい て」の報告ということで、最後に5分ぐらいでご説明いただくことになっております。 ○中桐委員  計画課長からご説明がありましたので再確認なのですが、ここで示されています検討 項目(案)、2頁のスケジュールにあります大きな○の形で設定するのは、限られた期 間の中で議事を進めていくうえで必要だと思いますので、それはそれで理解できるので すが、「その他」になるのでしょうが、このテーマに限定しない、委員のほうから意見 や問題点などがあれば、これにとらわれず追加的に議論してもよいということでよろし いのでしょうか。 ○計画課長  それは結構です。ただ時間的なものもありますので、できるだけそれを含んでお願い したいと思っております。 ○中桐委員  先ほどの健康情報の扱い等についても、急だと思いますが10月にガイドラインを出す ということですが、この4つの検討会は、もちろんマスコミ等とのアレですが、安衛法 の改正を目指した1つの検討会として、省内の検討会から学者や経験者を集めて公開の ものまで進んでいったわけです。それぞれがいまある安全衛生法について、最初の今後 の安全衛生対策のあり方検討会だったと思いますが、当時の安衛部長が「新しい対策の 哲学的なものを含めて皆様で検討していただきたい」とのことで、かなりいまある制度 では直面している課題が今後の検討に係るものに入っているでしょうし、過重労働・メ ンタルにもあるのでしょうし、健康情報もそうだったのかもわかりません。化学物質も あったと思いますが、共通して本省のほうで考えられたことですが、いまの安衛法はこ のままでは駄目で、新しい考え方や新しいやり方が必要ではないかという問題意識もチ ラチラ見えていたのです。それはこれから始まる議論の中でもそのような形で考えられ ていくのかどうか。それで整理をしていけば、健康情報は厚生労働省の都合ではなく政 府の都合でガイドラインを早く出してくれということで、安衛法の改正ではなくガイド ラインでいけるのではないかということで出すのだと思います。4つの検討会がどのよ うな問題意識で立ち上がり、またいま検討会報告書が出てきて、今後少し根本的な問題 を含めて議論をしていきながら、来年の通常国会に改正案も含めて出していこうとして いるのかどうか、その辺りがよく見えない。大丈夫かなと言うわけではありませんが、 どのようにいくのか不安があるので、いまどのようなご認識なのかお聞きしたいと思い ます。 ○計画課長  検討会を4つ立ち上げたわけですが、それぞれ経緯があって立ち上げたものもありま す。ただ根本にありましたのは、例えば過重労働・メンタルヘルス対策ですと、心臓疾 患や過労死の方、あるいはメンタルヘルスでうつ病にかかる方が大変増えているという ことで、見過ごせない現状がある。また、安全関係ですと、昨年来日本を代表する企業 で重大災害が頻発したわけです。さらに、企業内の形態を見ても分社化や組織の再編等 が進んでおりまして、従来安全衛生法が想定していなかったような事態も出てきている のではないかということで立ち上げたものです。  そういう意味では、安全衛生法の中でいままでなかった思想の提言がかなりありま す。具体的に申しますと、例えば危険・有害性の調査を広くやっていこう、あるいはマ ネジメントシステムの形で、従来の個人の力量に頼っていた政策をやめ、むしろ組織の 中で組織を利用して継続的・計画的にサイクルでやっていくなど、新しい考え方がいろ いろ出ていますので、こうしたものを安全衛生法の中に取り込んでいく。取り込んでい くためにはどうしていけばいいかを、具体的にこの審議会でご議論いただこうというこ とです。そのような考え方でやっております。 ○加藤委員  いまの質問と同じかもしれませんが、この4つの委員会と委員会の構成メンバーで、 特に労働安全衛生法の問題は、企業なり労働組合なり一体になって企業の中で活動して いる部分が非常に多い。委員会の構成メンバーは大学の先生を中心に構成されていて、 労の側、あるいは使の側からの意見がなかなか言いづらい雰囲気があるかと思います。 突然このような安衛法の改正の中に入れるよりも、そのような検討会の中でお互いに勉 強しながら作り上げていくことも、もう少しご配慮いただけると、我々としてももっと 広く意見を聞いてお伝えできるかと思っていますので、今後是非その辺りをご配慮いた だければと思います。 ○計画課長  若干補足させていただきます。今後の労働安全衛生対策のあり方検討会などにおいて はそういったご指摘もありましたので、検討会としてヒアリングを実施いたしまして、 鉄鋼連盟や化学工業界、電気や機械の企業などに来ていただいてお話を聞く。また、日 本経団連の安全衛生部会にもこの検討会の報告書が出る前にご説明に上がる形で、でき るだけ意見を聞くように努めたつもりです。ただ、発足から報告書まで手短にやろうと いう部分も若干ありましたので、そういった点があったとは考えております。今後はそ のような方向できちんとしたいと思います。 ○分科会長  ほかにいかがでしょうか。特にないようですので、それでは今後の進め方ですが、次 回以降、事務局のほうである程度具体的な論点をまとめた資料を作成していただきまし て、それをたたき台にしてご議論いただくことにしたいと思いますが、いかがでしょう か。                  (異議なし) ○分科会長  そのほうが話がよく進むだろうと思いますので、そういった方針で事務局のほうで整 理をお願いいたします。ほかにご発言がなければ、この議題につきましてはこれで終わ らせていただきまして、次は「労働者の健康情報に係る健康情報保護法への対応につい て」の報告です。事務局のほうからお願いいたします。 ○労働衛生課長  資料No.3「個人情報保護法への対応状況」です。基本的には、個人情報保護法は平 成17年4月からの施行になるわけで、これに関しまして厚生労働分野では医療福祉、雇 用一般、雇用の健康情報の3つのスケジュールが出ております。各分野ごとにガイドラ イン、もしくはそれに準ずるものを公表して、7月1日の法の施行に合わせてまいりた いということですが、そこに周知期間を置きますとかなり作業日程が限られてくる状況 です。  次頁から、個人情報の保護に関する法律の概要が約3頁あります。5頁に、本年7月 1日付で厚労大臣の告示として出された「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを 確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針について」というものがあります。 先回、この健康情報の検討会報告についてご報告をさせていただいたところですが、個 人情報の保護という大きな観点から見ますと、この個人情報保護法の考え方、つまり個 人情報の有用性に配慮しながら個人の権利・利益を擁護する、自分に関する情報につい ては本人がコントロールする素地をきちんと保証するという考え方が貫かれているわけ です。  この雇用管理に関する指針の5頁の主な項目をご覧いただきたいのですが、雇用管理 情報については、「病歴、収入、家族関係といった特殊性を含むことに鑑み」とありま す。つまり、労働者等の健康情報につきましては、広く見れば雇用管理情報の中に包含 されることになるわけです。検討会の中では、その健康情報の特殊性についていろいろ ご審議をいただいたところです。  そこのところを少し申し上げますと、ほとんどの健康情報の取扱いの考え方は、雇用 指針とかなりオーバーラップをしてくるわけですが、多少特殊な点がありまして、例え ば健康情報の範囲を健康情報の中で明らかにしなければならない、これは法令に基づく 場合がいちばん大きい。安全衛生法による一般健診は、事業者に義務として課されてい るものなので、これに関する議論の内容も検討会報告にありました。それから、健康情 報という個人データを取り扱う方々についてです。結果そのものは、その特殊性から産 業医、産業看護職、衛生管理者のような保健関係者が扱うのが望ましい、それ以外の一 般のところは加工された情報として出されることが望ましいことなどがあります。  事業所内の規定その他については雇用管理指針とほぼ同じですが、先ほど申し上げま したように、健康情報にはHIVやB型肝炎、C型肝炎の感染状況、色覚検査等遺伝情 報に関する部分など、収集すべきでないと考えられるものもあります。大方はこの告示 としてお示しした雇用管理指針とダブルわけですが、この特殊な部分をどのようにガイ ドライン化して公表していくかについて、現在私ども行政側で技術的に検討していると ころです。 ○分科会長  ただいまのご説明について何か質問等ありましたらお願いいたします。よろしいです か。それでは、当分科会としてただいまのご報告を承ったこととさせていただきます。  それでは、今日の会議は以上をもって終了いたします。議事録の署名は、仲田俊一委 員と加藤委員にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。皆 様、お忙しい中ありがとうございました。なお、次回は10月6日の2時から、厚生労働 省労働基準局第1・第2会議室ということですので、よろしくお願いいたします。               照会先:労働基準局安全衛生部計画課(内線5476)                    03−5253−1111(代表)