04/09/28 国際協力事業評価検討会(第5回保健医療分野)議事録 1 日時 平成16年9月28日(火)14:00〜16:05 2 場所 厚労省専用第12会議室 3 出席者 【会員】  青山温子会員(名古屋大学大学院)             上原鳴夫会員(東北大学大学院)             小林廉毅会員(東京大学大学院)             田中耕太郎会員(山口県立大学)             中村安秀会員(大阪大学大学院)             長谷川敏彦会員(国立保健医療科学院)       【専門会員】行松泰弘専門会員代理(泉澤潤一)(文部科学省)             國井修専門会員(外務省)             石川典子専門会員(国立国際医療センター)             建野正毅(国立国際医療センター)             水嶋春朔専門会員(東京大学医学教育国際協力研究センター)             橋爪章専門会員(国際協力機構)       【事務局】 村木国際課長、中澤国際企画室長、福田国際協力室長、             吉田補佐、釜石補佐、朝尾補佐、細川専門官、吉川専門官、             北村専門官 4 議事 ○吉田補佐  それでは国際協力事業評価検討会(第5回保健医療分野)を開催いたします。上原先 生、長谷川先生は遅れてお見えになると思います。最初に配付資料の確認をします。本 日の「議事次第」同検討会の「メンバー表」本日の座席表、第4回の検討会の議事録で す。そして「中間報告について」という題のペーパーが2つありますが、この1つは変 更履歴が入ったもの、もう1つは変更履歴の入っていない、すでに修正してきれいにし たものです。今日の議論の際には両方用意していますので、以前コメントを求めた際、 それがどう修正されたかについては、変更履歴が付いたものをご覧いただければわかる ようになっています。 ○中村座長  今日もいろいろディスカッションしなければいけないことがありますので、早速議事 に入ります。議事次第に沿って始めたいと思いますが、まず、会期前半のまとめとし て、中間報告(案)についてです。これは皆さんのお手元にメールでもいっていると思 いますが、本当に短い時間の中で事務局の方が精力的にまとめていただきました。これ について事務局から説明をお願いします。 ○吉田補佐  この報告については、これまで計4回の会議を開いています。またその間に3つのワ ーキンググループを開催して、その結果をまとめたものです。それぞれの会議の議事録 については、すでに公開していますし、またそれぞれのワーキンググループについて も、会議の会期ごとの結果について概要をまとめて各先生方の了解を取っております。 今回提示した報告書については、その議事録と、事務局でまとめた各開催ごとの議論の 結果を整理したものです。  中間報告(案)については、9月10日〜17日に第1回目のコメント収集を行い、その 後修正したものについて更に9月22日〜27日にかけて第2回目のコメント収集をしてい ます。先生方からいただいた修文案については、可能な限り反映して今日の案を配付し ています。  きれいに修正したものと、変更履歴が残っているものと両方あります。これについて 先生方からいただいた議論の中で、具体的にこの検討会で議論したほうがいいのではな いかという示唆を2カ所いただいています。1つは中間報告についての6頁です。人材 の養成の部分についての議論の中で、人材の評価でMPHを持っている方の扱いの記述 について、小林会員からこの検討会でもう少し具体的に議論したほうがいいのではない かという示唆をいただきました。もう1つは、22頁の国際協力の方針で、具体的には国 際協力の将来あるべき方針の考え方の「論点と戦略」の(1)目標軸に対する「戦略」 の部分です。これについて国別に大別する考え方、もしくは目標の設定の仕方につい て、もう少し議論したほうがいいのではないかという示唆を何名かの先生方からいただ いています。それ以外の報告書の内容に関して影響を与える修正はありませんでしたの で、可能であればその2点に集約して議論をいただき、できれば今回基本的な考え方を 了承していただいてまとめられればと思います。 ○中村座長  それでは中間報告(案)についてフリーの議論に入っていきたいと思います。まずそ の2点に絞ってと吉田補佐からありましたが、2点以外の部分で何かあればお願いしま す。 ○青山会員  中間報告はどのような位置づけになるのでしょうか。誰に提出することを考えている のですか。 ○吉田補佐  これは冒頭の表紙の下線部にありますが、厚生労働省が他の関係機関への影響を考慮 して、保健医療分野の国際協力のあり方を提言するという内容です。ここで得られた3 つの柱に対して、例えば(1)協議・調整機関の設置、(2)国際協力データバンクの 設置、(3)国際協力の将来あるべき方針の3つに関しては、今後、基本的な考え方に 関して、まずこの検討会でご了解をいただいて、その後関係方面に公表して、意見を求 めて、最終的にこの会議の会期末には最終化できる形に持っていければと考えていま す。その間にこれを実際に実施するに当たり、厚生労働省が保健医療協力のあり方を考 える上で実際に実行する、あるいはこれから調整する、ガイドラインとしてこれを利用 するという位置づけになると考えています。 ○青山会員  どちらかというと、厚生労働省の内部で考えるための資料と考えればよろしいです か。関係方面というのは外部という意味なのでしょうか。 ○吉田補佐  まずは厚生労働省としてこのように考えると。その次の段階として、関係省庁、関係 機関とも保健医療分野の協力を考えるに当たり、これについて協議・調整するための材 料にしていただくための提言です。 ○青山会員  つまり外務省や、JICA、JBICを含めているのですか。 ○吉田補佐  そのとおりです。 ○中村座長  いまの部分で私の理解としても、初めに思っていた以上に中間報告は、外部と共有す るものというイメージで思っています。ですから、今回国際保健医療協力に関する人材 連絡協議会議を設置する案が出ているわけです。また国際協力のデータバンクも出るわ けですが、これを元に厚生労働省から外務省やJICAなど、いろいろな所と相談して 具体的な形を詰めていく。そのための叩き台が中間報告という位置づけになるのではな いかと理解したのですが、よろしいですか。 ○吉田補佐  いまの説明のとおりで結構です。 ○中村座長  そういう視点でもう一度検討、要するに単に内部だけでやるものではない、という前 提のもとでご意見をいただきたいと思います。 ○長谷川会員  そうすると、厚生労働省の見識というか、国際保健にかかわるあり方を示さなければ いけないことになってきます。「なんだ、いまごろそんな事を言っているのか」とか、 「そんな事わかっていることで、いまさら何で提言するんだ、馬鹿じゃないの」では困 るのです。何か新しい視点、さすがにHealth Ministry、責任省庁が提言することだと。 何がいちばんのコアになってくるのか。  3つのアイテムを考えるときに、人材の育成、情報、1つの方向性というのは非常に いい整理だと思いますが、前後2つは3番目に属する課題です。3つ目をうまくするた めに人材を育成し、情報を溜める、資源を溜めるということです。3つ目をどうするか ですが、具体的にどうしたらいいかは私もよくわからないのですが、ただ感想めいたこ とを半分申し上げます。  2つの観点にも少しかかわってきますが、見ているとどうもプロバイダー・オリエン テッドだと。つまり、日本側の援助がどうあるべきかと書いているところがあります。 どうもコンシューマー・オリエンテッドはない。昨今、医療のあり方を掲げていて、こ の5年間の重要なシフトは、供給側からカスタマーに視点を変えていこう、平たく言え ば、患者中心の医療に変えていこうということです。3番目の「将来の方向性」につい て、日本がどうするのか。援助はどうあるべきかの議論が前に出る。  やはりその国の医療システムがどう発展していくかに対して、日本はさまざまな医療 機関の中でそれをやっていく。かなり新鮮ではないかと思います。例えばUSAIDは スパイを送り込むためにODAを使っていたとか、日本は当初、経済進出のためにリス クを企業に負わせないために、国がリスクを肩変わりしたとか、そういういろいろな歴 史があるのです。最終的にはそれぞれの国々が、それぞれの発展段階に対応して、どの ように発展していくかを、いろいろな国、あるいはマルチの機関が支えるという発想の 転換が必要ではないか。  実は7年ぐらい前に、これと全く同じことを3年間厚生労働省からお金をもらって研 究しました。つまり、国の発達段階に対応して診断的に、この国はこのような程度の発 展段階だから、こんなことをしたらいいのではないかという、いわゆる診断治療方式み たいな援助パッケージを考えましたが失敗しました。最終的には、あまり言えませんが 国民の税金を無駄に使ったのかもしれません。そういうアプローチはよくないことがわ かった。そこでヘルス・システム・デベロップメントをどう支えるかという視点で、3 年間やらせてもらった経緯があります。いまきれいに「これ」と机の上に示せないので すが、3番目に関しては、そういうトーンで書くことが重要ではないかと思います。 ○中村座長  3番目の「将来あるべき方針」の考え方について議論しないといけませんので、長谷 川会員からの話を一応頭の中に残したまま、それ以外の所を先に片付けて、すぐに国際 協力のあるべき方針の考え方(案)の目標軸の話に入りたいと思います。目標軸以外 で、他に議論しておくことはありませんか。それではMPHの趣旨について、小林会員 から説明していただけませんか。 ○小林会員  各論の議論に入りたいと思います。修正が入った6頁の(C)で、まず報告書という 前提で話をしますと、かなり断定的で、客観的なデータなどの裏付けがない表現なの で、もう少し慎重に書くべきだと思います。  もう1点は、文脈がよくわからないところがあります。例えば関連の学位はMPHし かないが、それでも駄目であるという意味合いなのか。それとも例えば国内に医学博士 や医師等の資格がありますが、それに比べるとよくないのか。そういうコンテキストが わかりにくいということです。  そういう意味で、他の文脈はこれから何をすべきかとか、中間報告の表現として残り 1年半でどうすべきかということが中心ですので、もしここに書くのであれば、学位な どに関してデータ的な検討はしていないので、もっと包括的な学位の種類、職歴、実地 経験等の有無を併せて総合的に判定する仕組みを検討することが必要である、つまりど んなバックグラウンドが適当なのかを考えるべきであるという表現にしたほうがいいの ではないかと思います。 ○中村座長  人材育成、あるいは人材の評価のMPHに関しては、他にご意見はありますか。 ○青山会員  これに関連してですが、一般に日本の組織の中では、大学院を卒業したことがあまり 評価されていないように思います。博士号や修士号を持っていても、なかなか学歴とし て評価されず、勉強したことがキャリア・アップにつながりにくいので、学歴・学位や 職歴を総合的に判断するシステムを作っていくべきではないかと思います。そのときに 外国の学位をどう評価するかが、問題になると思います。確認した情報ではありません が、JICAは専門家の最終学歴として日本の大学しか認めないらしいとのことです。 厚生労働省の保健医療の専門家の場合は、外国の大学院を修了した場合、どの大学のど ういった学位は評価するのか、きちんと決めていく必要があると思います。 ○中村座長  学位の問題については非常に大事な問題だと思いますが、学位、MPHに関してはよ ろしいですか。そのあたりを報告書の中に含んでいただいて、今日出た議論をまとめて いただければと思います。  次に22頁の検討軸の議論に入りたいと思います。先ほどの長谷川会員の続きでもあり ますが、私も今回は国別でまとめてあることに関して、これでいいのだろうかと意見を 出させていただきました。先ほど診断治療のモデルで援助を考えたときに、研究班で研 究はしたが駄目だということがわかったとおっしゃっていましたが、どこが駄目だった のか、そのレッスンを是非教えていただきたいと思います。 ○長谷川会員  だいぶ昔のことになるので記憶をたどりながら考えました。1つはスタティックなの です。ある1時点で横断的にここのIMRはどうだとか、こういう問題があるといった ときに、その部分のこの部分を足せばいいみたいな発想になってくると、実は数年後に はその国自身が変わっていくことがある。医療システムは生き物で、だんだん成長して いく、リボルブしていく。そういう発想をなくして現在の状況を診断するときのアプロ ーチにしてしまっていたのです。確かにどのような援助でも、援助対象についてよく理 解し、どんなものが必要かを考えることは絶対に必要だと思います。そのときのアティ トゥードは我々は医学校にいたせいもあるかもしれませんが、スタティックにここが熟 していないという捉え方をしたときに、これはダイナミックではないという形になって しまう反省が1点あったことを覚えています。  いろいろな課題がありますし、ここだけ、あそこだけという場合、結局、いろいろな 国が、じゃあ私はここ、私はここ、という形になってくると、部分的な極大化が起こっ てしまう。例えばアメリカはチャイルドサバイバルに興味があるということで、そこだ けに力点を置いてしまうと、リソースがそこに集まってしまう。ところが、システムは 全体像ですから、部分が肥大化して、全体を殺してしまうようなことが起きてしまう。 結局、発展途上国自身がドライバーシートに座って、自分でどのように発展したらいい か考えた上で、いろいろな国が協力しながら援助していくシステムができなくなってし まうのではないかという心配です。その2つは鮮やかに覚えています。  結果論として、今年の3月に厚労省主催のシンポジウムがありましたが、上原が騒い でいましたが、「昔から言っているのに、いまごろ気付いたのか長谷川」と怒られまし たが、そうなのです、最近気が付いたのです。システムをシステム的に考えていくこと は必要です。あの会議でも確認されたと思いますし、途上国の方にもそういう発想はす ごく好感を持たれたのではないかと思います。もう少しスペシフィックに考えます。 ○中村座長  私自身がいままで国別の方に出ていたのですが、MDGsの達成が優先課題となる 国、経済格差の解消が優先課題となる国、ODA卒業間近の国と分けてものを考えてみ たときに、これでは全部なかなかカバーできないのではないかと思ったのは、いま長谷 川会員から話されたこともあります。  もう1つは、いまインドネシアの都市部ではかなりの部分で社会保障、保健医療をど うやっていくかが大きな課題になりつつある。それでいて、イリアンジャヤに行けば、 それはヘルス・インシュアランスと言うよりは、うちはまだマラリアですと言っている わけです。これがリセントラリゼーションですから、各地方でファイナンスも全部持っ て、自分たちでそれをアロケーションしていく。このときに一体どこに焦点を絞るかと 言うと、かなり事情が変わってくるわけです。すでにUSAIDはそれに対応して、同 じインドネシアの協力でも、今度のプロジェクトはインドネシアの都市部だけで、ある 州全体はやらないのです。州の中でも都市部だけをやりますとプロジェクトを立ち上げ つつある。要するに、全く国という判断ではなく、本当にユーザーのニーズをメインに 考えたら、インドネシアのいくつかの大都市の人たちのニーズは何か。そこに当てたプ ロジェクトということです。農村は農村でまた別の考えがある。  そうしたら、1つの国の中で(a)と(b)とか、(a)と(c)という組み合せ が、現実の中で起こっているのが現状ではないか。国を元にして、国を地域診断ふうに 考えてランクづけて、それに対してアプローチしていくという方法が少し現実と合わな くなってきつつあるのではないかという印象を持ちました。 ○青山会員  いまのお話に関連してですが、この報告は、厚生労働省が関わるODAで何をするべ きかを議論していると理解しておりました。例えば、ある大きな国の中で非常に貧しい 地域もある一方で都市部の経済発展が進んでいるとき、ODAで何をするべきかを決め るのは本当に難しいと思います。もしその国の政府にニーズを尋ねたら、日本の資金で はプライマリー・ヘルス・ケアのような小さなものをやらず、都市の病院を整備してほ しいなどと言われる可能性があります。しかし、日本側がその国のニーズを考えた場合 には、地方の基礎保健のほうが重要であり、日本のODAで取り組むべきと判断される こともあると思います。その一方、それだけの国になっていれば、自力で地方の改善に 取り組むべきであり、日本のODAではそのための政策助言をするべきなのではないか という考え方もあると思います。  例えばタイぐらいの中進国になってきた国では、日本は何をするべきでしょうか。パ ートナーとして第3国研修に取り組むのも1つの考え方であり、国内の格差が残っている 所に支援をしていくのもまた1つの考え方だと思います。さらに、直接ODAにより取 り組むだけではなく、ODAの資金でNGOを支援するやり方もあります。  私は、このように対象国をレベル分けして考えることは、そんなに悪いとは思ってい ません。大体のイメージがつかめてよいのではないかと思います。しかし、厳密にそれ ぞれの国のことを考えると、この分け方が必ずしもあてはまらないので、何に重点をお いて支援していくべきか、ODAの役割をもう少し考えるべきではないでしょうか。相 手国のニーズと言っても、その国の政府の求めることが、日本が本来やるべきだと考え ることと違う可能性もあります。ODAで何をするのか、焦点を絞って考えたほうがよ いのではないかと思います。 ○田中会員  私は主体は援助を受ける国が自分で考えながら、他の力を借りながら、しかし自分で 主体的に作っていく姿勢をしっかり出すことは重要なことだと思います。1つの国の中 にいくつかのレベルが混在している国が随分出てきていることも事実だと思います。と りわけ、アジアは日本がこれまできた以上のスピードで、格差を拡大させながら急激な 発展をして、トップが来て外交現象がすごく激しくなっていますから余計にそうだと思 います。ただ、展開としては日本のこれまでの援助の反省というか、援助の経験を踏ま えて言うと、細部にわたる異論はあり得ますが、やはり明示的にこういう形で物事を考 えたときに、どういう視点や見方で考えていくのか明示することが議論があるだけに重 要だと思います。  日本のみならず、各国のこれまでの援助がなかなかうまくいかなかった1つの原因 は、その国のトータルな経済社会の発展水準とミスマッチな部分に不適切な援助が集中 してしまったことは現実にあるわけです。私もより精緻な基準化は必要だと思います が、その国の経済社会の発展水準に応じて、まず優先順位の高いシステムに投入すべき レベルがいくつかあり、こういう形でレベルを考えて、それをベースにしながら国別、 地域別、あるいは状況に応じて柔軟に、現実には相手国との話し合いの中で、相手国の 主体性を活かしながら展開していく姿勢を盛り込んでいく。これはこれまでのことを考 えれば、こういう仕組みというか、明示的に議論していくことを大事にしたいと思いま す。 ○中村座長  特に「将来あるべき方針の考え方」は、そういう意味では外務省やJICAと非常に 密接にというか、むしろ直接的に関係すると思いますが、何かご意見はありませんか。 ○國井専門会員  意見というか、コメントですが、これは厚労省さんのほうである程度まとめて、それ を内部的、または外部的にこういったものができたので参考に使ってもらおうという形 で、本当にいいものをどんどん作っていただければと思います。  実際にそれをODAの戦略の中にどのように組み込むかを考えますと、1つは中期政 策が今年の12月までに見直されますので、今まさにそれを書いているところです。もう 少し早くできると、それにうまく入れ込めたかと思いながら、いま作っているものは厚 労省さんのほうに行きますので、そちらでまた加えてもらえればいいのではないか。い ずれにしても、ODA大綱が改定され、その後の中期政策ということである程度骨子を 打ち立てる。その下は国別の援助計画に落としていますので、確かに国のレベルを大別 して3つに分けるのもいいのですが、実際に見てみると、例えば(c)や(b)に類す るような国でも、国によって状況は全然違います。こういった援助を考える場合は、ど うしても現地の国のニーズと一緒に、現地の援助環境、そこでどのようなギャップがあ るのかという話をして、また我々のキャパシティというか、3つの要素が噛み合わない といけない。そうなると国別でかなり異なってきていますので、ある程度国別で援助政 策、援助計画を作っていく。現在バングラデシュ、インドネシア、フィリピンに関して は、国別援助計画の下に、マストではないが各国のODAタスクフォース、これをどう いうふうに統一していくか、大使館、JICA、JBICが中心になり、保健セクター の援助計画を作っています。いずれにしても、これが広まってくると、各国で国別援助 計画の下に、もう少し戦略的な細かいものを作っていくという話になってきます。そん な形でガイドラインをどんどん作っていくという感じです。  MDGsは来年に中間報告が出ますので、これで大体世界のオントラック、オフトラ ックの国がわかって、これに関して問題点がどんどん出てくると思います。ですから、 それを見ながらMDGsをどうするか考えられればいいと思います。システムに関して は、確かに長谷川先生と同感な部分がありますが、実はシステムが重要だということも かなりわかってきている。いわゆるプロジェクトからプログラム、プログラムよりもシ ステムをきちんとやっていくべきだと考える傾向はあります。ただシステムを作ろうと して、PRSPのような形の大きな戦略フレームワークを作って、その下に保健医療に 関してもシステム全体的に作っていこうということで、例えば5年間計画とか、がっち りとした計画が立てられていながらも、システムは全然作れないで、紙に書いたシステ ムはあるが、ドナーはそれに対してやろうということで、5年間頑張ってきても全然で きないところがあります。最終的にはきれいなシステムという建物をつくるためには中 に水道管があり、いろいろなタイルの材料があるということで、全部揃えなければいけ ないのですが、それが全然揃わない段階が国として多い。ですから、システムを最終目 的にしながらも、いま我々はどこの部分を用意したり、作ったり、そこの部分を一緒に 考える必要があるのではないか。つまり、いままではパーツばかりを集めていたが、シ ステムは重要ということで、システム、パーツ集め、部分づくりをどのように組み合せ るかが次の問題だと感じています。 ○橋爪専門会員  JICAは基本単位は国なので、国ごとにやっていくことは当たり前のことです。や はり十把一絡げに保健医療はMDGsと言える状態ではないことは、現場ではよくわか っています。何らかの発展の段階に応じた考え方を区別することは大事な点だと思いま す。  我々の目標は、ドライバーシートにその国の人を座らせるということですが、国によ っては18歳に達していない運転手がいるので、そこはドナーがドライバーシートに乗っ て、運転の仕方を教えてあげなければいけない段階の所もあります。国によっては、我 々が行く前にドライバーシートに座っていて、どちらかというと教習所の教官になれそ うな運転技術を持っているような所もある。ですから、そんな国を全部十把一絡げにや るわけにはいかないので、仮に(a)(b)(c)と分類をしたのです。こういう分類 は細かければ細かいほどきめ細かになりますが、あまりきめ細かにやる作業がどういう 意味を持つか。結局はきめ細かにやろうと思ったら、国ごとにやるのがいちばんいい。 ですから、大雑把に世界中を見渡すと、3つか4つの段階の分類でいいのではないか。 いずれにしても、主張したいのは十把一絡げにやるものではない。国の発展状況に応じ て援助の仕方を考えるべきである、ということは是非盛り込んでいただきたい点です。  開発を考えるときにもう1つ盛り込んでいただきたいことは、開発の担い手は働き盛 り年齢層、および若い年齢層の人たちが、担い手がバタバタ死んでいる。ですから、開 発をしようにも開発の原動力がなくなってきている視点も必要です。それは後発開発途 上国に集中しています。ひと昔前の死因分類と随分様相が変わっていまして、WHOが 発表している所得別のデータを見ますと、もう働き盛り年齢層の第1位はAIDSにな っていまして、AIDSでバタバタ死んでいます。マラリアの順位が随分下に落ちて、 第2位から第5位が戦争やバイオレンス、交通事故がズラッと並んで、伝統的なマラリ アや結核が並んでいた。こういう開発の担い手がどういう原因で、開発力を削いでいっ ているか。  日本の戦後が結核対策を集中したことで、生産力が増したのと同じような発想で開発 は考えなければいけない。ですから、そういう切り口を持ってくれば、保健医療で何を すべきかは、いの一番にAIDS対策をグンと持ってこなければいけない。まだあまり 世界中で取り込んでいない暴力や交通事故などに対する援助をどうするか、という視点 も必要なのではないかと思います。 ○中村座長  この前アフリカの国へ行って、保健と教育との連携の話をしたら、真っ先にAIDS で教育の部分でいちばん大事なことは、教員を死なないようにしてくれることだという ことです。まさにいまはそういう状況です。「将来あるべき方針の考え方」に関して、 他にご意見はありますか。3つの分類から少し離れますが、青山会員から話があった南 南協力の部分は、この報告書にはあまり入っていないですか。 ○青山会員  昨日のODA総合戦略会議で、タイの国別計画に関連した話が紹介されました。タイ は10月に省庁を改変して、これまであった援助の受け入れ省庁を、援助の供与省庁に変 えるとのことでした。つまり、タイは、これからは援助を受けるのではなく、援助をす るように体制を変えるということです。  顧みれば、1950年代、1960年代の日本も、まだ援助を受けていながら、援助をしてい たわけであり、援助をすることによりキャパシティを育成してきました。したがって、 そういうレベルの国に対しては、パートナーとしてともに取り組むことも、相手側は望 んでいると思います。  国別計画では、経済開発に重点がおかれますので、そういうレベルの国には保健医療 分野の援助はいらないということになってしまうのではないかと思いました。そうなる と、ある程度のレベルに達した国に対しては、システムづくりや、周辺の国の人づくり を助けるときのパートナーになるなどの、新たな視点が必要なのではないでしょうか。 直接的な保健医療分野の支援を、どこまでそういう国に対してやっていくのか、見極め がいるのではないかと思います。 ○中村座長  いまの意見につながりますが、個人的には国際協力、ODAを離れて、途上国の大学 と研究協力をここしばらくかなり積極的にしています。そういう形になってきますと、 いまどこで手を離すかという話がありましたが、実は知らず知らずのうちに、コーポレ ーションからコラボレーションへと自然に移っていきます。こちら側から何かするので はなく、本当に対等のコラボレーションです。  この前オーストラリアへ行ってきましたが、ユニセフの次長も来ていて、そしてアジ アの各国の研究者がいて、そして私も日本側の研究者として行った。そしてみんな対等 にアジアの中で虐待に対する対策のコラボレーションをどうするかという話があり、そ ういう状況が1つはコラボレーションという気がします。そういう視点も、今後は国際 協力の1つの形としてあるのではないか。 ○水嶋専門会員  当センターは文科省領域の高等教育の国際協力の基盤センターの1つですが、いま実 際アフガニスタンの支援の仕事にかかわらせていただきまして、国際医療センターを中 心とした医療協力と並行して、あるいはタイアップした医学教育の協力という展開が1 つあります。そういう意味では、すぐに大学間協定、あるいは交流での共同研究までは いかないが、その前の保健従事者の教育のサポートや、そういったものを同時変更する ことで割と厚みがある協力が展開できるという印象を持っています。 ○建野  文科省の拠点構想と、いまのお話と何か連携があるのですか。 ○水嶋専門会員  文科省のそれは、中根千枝先生が座長となった国際教育協力懇談会がありまして、い ままで教育の協力はなかったのですが、理系の初等教育がメインだったのです。そこか ら高等教育の分野でもきちんと協力を進めていきましょうと。そういう意味で、例えば 名古屋大学には農学に関するもの、あるいは法律、豊橋科学技術大学に工学部、当セン ターに医、歯、薬、保健、栄養を含めた医学教育関係、初等、中等は広島、筑波にあり ますので、今後各分野は農水関係の協力は、農学部とオーバーラップしている所もあり ますし、保健関係の教育は医学教育ともちろんオーバーラップしています。国内では人 事的に刻々と動いているわけです。そういうシステムはカウンターパート側にもあるわ けで、現場での協力、医学と並行して、高等教育機関同士の協力は今後厚みを増すと思 います。文科省では、そういうことを考えていると伺っています。 ○中村座長  できればと言いますか、研究、実地、ODA、NGOもマルチチャンネルの協力が、 日本側でも有機的に連携したときに、確かに厚みを持つ。実は欧米の協力がODAだけ ではなく、目に見えない形でというか、大学の研究協力が、実はODAを実施するとき に大きな厚み、深みとなって機能している気がします。上原会員にはいらしたばかりで 恐縮ですが、国際協力の将来あるべき方針に関して、議論が出尽くしていますが何かコ メントはありますか。 ○小林会員  追加的な話ですが、16頁に「国際協力の将来あるべき方針」ということで、4つ方針 があります。最初はあるべき方針を決めるということで、これは全体の目標としてよろ しいと思います。2番目、3番目はこの報告書にかなり詳しく議論されていますが、最 後の4番目の「他の国・機関との方針を比較する」をもう少し具体的に目標をある程度 出しておいたほうがいいのではないか。  主要援助国もかなりたくさんありますので、例えば援助金額がほぼ等しい国とか、あ るいは日本のように後発で援助国に入った国と比較するとか、日本と比較したときに参 考になる国にターゲットを絞るというか、そういう議論もしてはいいのではないかと思 います。少なくとも、この報告書には他国との比較はほとんど取り上げられていないの で、後半1年半の指針の意味でもそういうことも触れてはどうかと思いました。 ○長谷川会員  2つコメントしたいと思います。いま日本の産業界でもすごく問題になっているもの は、プロジェクトがあってプログラムがないとか、あるいは大きなポリシーがなくて、 局所の極大化を図っている。つまり、会社である部分に関して一生懸命頑張っている課 が、会社全体の利益を損っている構造になっていることが大きな課題です。それをうま く全体像を見せるということと、プログラマーはそれを実際に執行することについては トレーニングとか、物の開発とかマネジメントがあります。トレーニングすると言えば トレーニングキットさえできているそうであります。それも最悪なパターンで、課があ って局なしとか、局あって省なしという構造になって、全体としてはうまくいっていな い所がある。したがってマクロのマキシマイゼーションとミクロのマキシマイゼーショ ンをどう一致していくかプログラム執行上大きな課題である。  先ほどこれからの新しい特徴を出されましたが、中村座長のお話は大変面白かったで す。マルチチャンネルでいろいろな人がかかわっていく。当該国に関しても、マルチも かかわる、バイもかかわる、いろいろなステイクホルダーがいる。そうすると、いま言 った状況が起こりやすいわけです。そこで日本側として全体のマスタープランという か、アセスメントというか、そういうものをきちんと押さえて、その全体像の中でそれ ぞれのプロジェクトなり、個人なり、個々のチャンネルがアクションしていくことが望 ましいのではないか。したがって、あるべき姿というものは、各国のそういうセクター の全体像をきちんと押さえて、マスタープランのようなものを日本が積極的にやってい くことが必要なのではないか、というのが流れとしてのコメントが1点です。  2点目は、分類の課題ですが、先ほどの分類が提供側オリエンテッドのにおいがし た。つまり、援助が必要、援助が必要ではないというのは、まさしく援助からものを考 えているのではないか。むしろ国の発展状況や、デマンドみたいなもの、ニーズみたい なものをきちんと把握するような分類がいいのではないか。元に戻せば、分類は何のた めにするかというと、何かをするためにするわけです。先ほどのMDGsの分類になる と、どうも援助という形に引きずられるのではないかという心配が若干ある。むしろ、 その国自身をそのまま受け止めるような形の分類のほうがいいのではないか。近々では スリランカの状況を見ていて、結局システムですからアウトプットとリソースが変わる わけですよね。そうすると、アウトプット側の変化と、リソース側の変化は割とパター ンがはっきりできるのです。  端的にリソースのほうはタックスでアウトポケットであったのが、だんだんインシュ アランスになってきて、インシュアランスではやり切れなくなって、日本みたいにタッ クスを混ぜなければいけないパターンになってくる。  アウトプットのほうは疾病構造が変わっていって、特にスリランカは有名ですが、ニ フゼジーズが終わってくると非常にお金がかかるクロニクジーズが出てきたり、その間 に例えば交通事故など外傷関係が増えてくる構造になってくる。スリランカのように成 功した国は、成功体系上にシステム全体をターゲットに対するサービスにおいても変え られないし、リソースにおいても相変わらず税金でしかやれない。ユーザーチャージは できないことになっている。そのターゲット、あるいはアウトプットのほうは、移動し てもどう組んでいけばいいのか、頭で考えてゆっくり変えていけるのでしょう。ところ がリソースのほうは経済発展がまず1つにある。それこそスリランカは戦争がなくなる 条件が必要でした。世界中でソーシャリストという名前が付いた国は3つしかありませ ん。キューバ、北朝鮮、スリランカです。そうすると、ものすごくポリティカルなウイ ンドウ・オポチュニティを開かない限りできない。指導者は、これではいけないとわか っているのですが、国民には言えない。みんなソーシャル・インシュアランスを次に始 めなければいけないとわかっているのですが、どうしていいかわからない。その2つの 変化を考えた場合、割とアウトプット、ターゲットのほうはやりやすいのですが、後者 は政治的タイミングがいる。  よく言うと、ポリシー・ダイアローグをしているうちに、みんな意識が変わってきて ある日突然状況が変わればパッと変わることがあると思います。何もなければ変わらな いことがある。いわゆるディスカッション、ポリシー・ダイアローグ、そのセンシタイ ゼイションの重要性は背景にあると思います。昔、上原会員に教えてもらったのです が、ヘルスタンションという考えがそれに近いと思います。しかも、クラシフィケー ションで言うと、どうしようもない落第生しかいないアフリカと、少し前に少しずつい ろいろな国があるアジアはだいぶ違うと思います。そうすると、学び合うことができる わけです。アジアの場合は少し前にいますから、そこの国からノウハウを盗むとかいう ことができる。お互いに共に学び合う。アフリカみたいに全員駄目というのではないの で、第3国研修の可能性も出てくるのではないかと思います。私はむしろシステム自身 の発展の段階を考えたほうがシステム援助しやすいのではないかというのが提言です。 ○上原会員  議論のほうはもう終わっていることなのであまりかき回すような話はしません。た だ、この報告書のことは叩き台の段階だと思いますので、文書としてこれから作ってい かれると思います。全体のことについて細かい話をする気はないのですが、考え方のと ころで気になるところを2、3点コメントさせていただきます。  1つは論点というところで、「国民は成果重視を希望しているように見えるが、プロ セス重視傾向の方針を変えるのかどうか」とあるのですが、用語法を少し間違えている のではないかという気がするので。 ○中村座長  何頁ですか。 ○上原会員  17頁です。まず、MDGsというのは、ご承知のように、いつまでもインプットパフ ォーマンスだけを続けても成果は出ないので、はっきりと結果を出していこうというこ とで、自身が各コミュニティで提言したことでもありますし、今回のサミットを通じて 出されたことでもあります。成果を出すためにはプロセスを重視しなければいけないと いうのが、通常の考え方なのです。成果重視とプロセス重視は2つの違うアプローチと いう記載の仕方をしているので、そこはロジックとして検討されたほうがいいのではな いかと思います。  それから、いままでの話を聞いていたら、MDGsに関して何点か議論をされていま す。私はいま國井先生等のご指導を受けながら、MDGsの保健分野について考えろ と、言われることをやっていたのですが、日本の援助は必ずしもMDGsをメインにや っていくわけではないので、日本の保健分野の援助がMDGsに関してはどうかかわる かという論点と、今後の日本の保健セクターの援助はどうあるべきかという論点は、多 少違うという気がします。私の個人的な意見としては、日本がなぜ援助をするのかとい う答えを出せるテーマを掲げることができたので、人間の安全保障を日本の援助の目標 に据えて、その中でMDGsにどうかかわっていくのか、その他のグローバル・イニシ アティブに関してもどうかかわっていくのか、という書き方をしたほうがいいのではな いかと思います。  MDGsそのものについてはターゲットのあり方、ゴールのあり方にいろいろ意見は ありますが、少なくともあそこに挙げられていることは、当然達成しなければならない のは間違いありません。MDGsに対して、日本の援助がどうあるべきかということで 要求されていることはたくさんありますが、いちばん重要なものは戦略性だと思いま す。2015年という期限を設定してやるということです。どの相手国が重点国であるかを 考えること、その国の中で格差があるわけですから、一般的にMDGsの低い国であっ たらよいという話ではなく、その国のMDGsをよくしていくために、日本がその国の どこに、どういうふうに戦略的に援助を入れていったらいいのかということです。これ は相手国が持っているMDGs戦略と、日本の援助の基本方針をすり合わせながらつく っていかないといけない話です。  そこで挙げられていることは、まさにミラノサミットのアナン事務総長の演説そのも のがそうであったように、日本国憲法を引用したような文章を含めて、欠乏からの自由 と恐怖からの自由ということを言っているわけです。挙げられているのは、まさにそう いうターゲットを挙げているわけです。ただ、1つ矛盾をきたしそうなところは、MD Gsを国レベルで考えるということであれば、層別をきちんとかけていって、いちばん 悪いところ、改善できるチャンスのあるところをやることになります。そうすると非常 に人数の少ないマイノリティであるとかは、MDGsの数字を上げるだけなら除外され る可能性があります。この点において、こちら側の価値観をはっきり持っていないと、 ヒューマン・セキュリティとMDGsとは齟齬をきたす可能性があります。そういう意 味においても、日本はヒューマン・セキュリティを基本的な価値として掲げて、その中 でMDGsの戦略をつくるほうがいいのではないかと思っています。  それから、MDGsは「バーティカルなアプローチ」で、それに対する「PHC+リ フェラルシステムの確立」という記載があります。私はMDGsは必ずしもバーティカ ルなアプローチではないと思います。課題をはっきりさせるという点において、戦略性 をリードするのは非常にいいと思います。マラリアなどはある程度バーティカルでいい かもしれませんが、それに対するアプローチというのはバーティカルにしたほうがいい か、マラリアも地域によってはバーティカルにできることは標本がなくなってしまっ て、地域レベルでその地域の弱いところを分析して、システムで対応しなければいけな くなっているところはたくさんあります。だから、課題は疾患、見えるものであったと しても、アプローチはバーティカルなものもあれば、システムもあるし、人材育成が急 務なところもあります。  重要なことは、それぞれの国において重点的な地域とターゲット・ポピュレーション をはっきりさせて、一般的に何かをやればいいというのではなく、なぜターゲット・ポ ピュレーションがMDGsの悪い値なのかを分析して、私はこれを「質」と呼んでいま すが、いままでのやり方と違う効果のあるやり方、援助の質が問われています。あるい は我々がインプットしていくプログラムの質が問われているのが、MDGsが要求して いることです。援助の形としてのバーティカルやシステムではないと思います。その論 点についても、検討する機会があればしていただけたらいいと思います。以上です。 ○中村座長  国際協力の将来あるべき方針の考え方の目標軸の部分で、今回は中間報告の最後の議 論ということなのですが、大体議論が出尽くしたような気がします。 ○青山会員  国のレベルの分け方について、先ほどから議論になっていましたが、私は、基本的に はおおまかな3段階の分け方でよいけれど、もう1つ付け加える必要があると思っていま す。旧社会主義の中央アジア諸国やモンゴルなど、移行経済の国々は、この(a)(b )(c)の分類に入らないと思います。これらの国々は、社会主義下で政府による医療 が肥大し、病院や医者の数がたいへん多いのに、それに見合った結果を出していませ ん。最近のデータをもとに、グラフを作りなおしてみましたが、医師数や病院数は、数 年前と同様、日本と匹敵するぐらいに多い状態のままであり、合理化は進んでいません でした。これらの国では、治療的な面に偏っていて、公衆衛生や予防的な面が十分確立 されていないのではないかと思います。そういう国から、病院に関する要請が挙がって くる可能性は大きいですが、そうではなく、日本が得意としていた予防医学、公衆衛生 の面での支援が必要ではないかと思います。それで、もう1つ分類を加えたらどうかと 思います。 ○橋爪専門会員  上原先生のご発言の、プロセスと成果のところです。このプロセスというのは開発プ ロセスのことだと思います。開発プロセスと成果が必ずしも同じベクトル上にないとい う意図が込められているのだと思います。というのは、開発プロセスを無視して、成果 主義に走っている他国ドナーがたくさんあります。成果を出そうと思ったら、そこの国 でいちばん能力の高そうな人を、高いお金でローカル・コンサルトで雇って、必要な予 防接種薬剤などをたくさんあげたら、早く成果は出ます。それは開発プロセスを無視し たやり方です。  JICAがやっているのは、あえて予防接種の薬剤をあげずに、予算化させる努力を させるとか、いちばん優秀な人を引き抜かずに、安月給で我慢させながら自らインセン ティブを見出してとか、いろいろな工夫をさせてとか、かなり遠回りで、よそのドナー であればすぐに成果を上げられるところを、成果を上げるのに時間のかかるやり方をし ています。それを短い言葉で表現すると、こうなるのかと思います。強調したいのは、 成果重視に走るのか、日本のODAがやっているような開発プロセスを重視するのかと いうところです。 ○上原会員  いまのようなお話はUSAIDをイメージしておっしゃっていると思うのですが、成 果という言葉の英語にかかわってくると思うのですが、アメリカということは書きにく いと思うのですが、もしそうであれば、そういうことに触れて書いたほうがいいと思い ます。成果という意味がアウトカムであるということであれば、我々はアウトカムを達 成する援助をしていかないといけないので、そのためのアプローチとして、それぞれの ところで人材がいないためなのか、人材はある、能力もある、しかしお金がないだけな のか、そういうのはそれぞれ違うわけです。  逆に日本のほうは、本当に開発プロセスという格好で重視してやっているかという と、これは我々の実感ですが、ものによれば結果が出ないことの言い訳としてやってい るところも随分たくさんあります。通常の言葉の表現としては、アウトカムが出ないの はプロセスが間違えているから出ないので、アウトカムを出すためにはプロセスをきち んと分析して、プロセスをよくしようという考え方で、プロセス重視という言葉が使わ れます。いまのアメリカなどのことは私も批判的なのですが、それと区別する意味であ れば、その辺のことに触れた上で書いたほうがいいのではないかと思います。 ○長谷川会員  デビルズ・アドボケイトとして、皆様方に一言だけお聞きしておきたいことがありま す。ポリティカルな一種というか、ジオポリティックスというか、地域の重点性という 課題です。はっきり申し上げて、例えば我々はアジアに重点を置くとか、そういうアプ ローチを書くべきなのか。もっと踏み込んで言うと、現在アジアにおいては非常にポリ ティカルなバランスが変わってきて、これからは中国の時代と言われています。大きな 力を持っていて、もうすぐ日本のGNPを追い抜きます。力が付いてくると、ガンガン 日本の企業を買収する形になってくると思います。しかも軍事力においても圧倒的に中 国が有利です。  そういう形の中で、いかに日本が中国包囲網をつくっていくのか。台湾、ベトナム、 ラオス、カンボジアを大切にし、タイもアラートしてやっていく必要があります。向こ う側に回っていくと、中央アジアの国々、タジキスタンなどともきちんとやっていく必 要があります。中国自身が湾岸と、発展途上国である内陸部分とあります。内陸部分と いうのは、ラオス、カンボジア、中央アジアの国々とやっていかざるを得ません。太平 洋側は我々と、さらにニュージーランド、オーストラリア、とやっていかなければとい う中で、中国包囲網としてODAをどう使っていくのか。ジオポリティカルな問題とし て問題提起をすることはこの中では必要ありませんか。 ○田中会員  いまのことに関連してですが、いまの中国云々もそうなのですが、もう少し広く、先 ほど橋爪さんがおっしゃった、例えば死因の戦争、暴力をどう考えるかという問題、あ るいは先ほど上原さんがおっしゃったような人間の安全保障といった価値感を明確にし ていくという辺り。今日の時間でも、何度議論をしても結論の出る話ではないのです が、長谷川さんの話に関連する話としてお話したいと思います。  本当は、この国際協力の将来あるべき方針の前提には、なぜこういうことをやるかと いう前提にある、日本政府は何のために国民の税金を使って、ヘルスの分野で国際協力 をするのかという議論が必要だと思うのです。ただ、比較的好意的にヘルスの分野の国 際協力について支持してくださるというのは、ある意味では価値中立的と言うか、非政 治的と言うか、人道的と言うか、そういう要素があるから、あまり考えずにいいことだ から頑張れと言ってくださるように思います。しかし、本当はその背景には、いまの問 題とは切っても切り離せない問題があると感じておりました。  上原さんがおっしゃったような、1つの明確なポリシーを持つというのは本当は極め て重要なのだと思いますが、私は憶病なのかもしれないのですが、例えば戦争が死因の 第一というのは現実だし、それがいくつかの国で最も人々の幸福を妨げているのも現実 です。  保健医療という協力の枠組みの中で、例えば安全保障の問題、戦争の問題は、本当に かかわれるのだろうかというと、それはちょっと無理なのではないかと思います。大き な枠組みの一部にはかかわれるかもしれませんが、少なくともヘルスの分野が、その問 題を主導的に語っていくのは無理なのではないかと感じています。  それから、先ほど青山さんがおっしゃったような、従来の社会主義国から移行経済を している国の援助についても、もちろん一定の枠組みの中で援助できることはたくさん ありますが、アメリカあるいは世間がやっている意味での、アメリカ流の民主主義、イ デオロギー体制普及の戦略、手段としてということまで、政治的にコミットできる成熟 さは、まだ日本は持っていないのではないかと思います。そこはいい意味で、イデオロ ギーや政治に対する一歩引いたと言うか、慎重なかかわりの中で、ある程度専門的、技 術的に問題の解決に貢献できる分野に、保健医療の分野はかかわっていくという辺り の、1つの節度を持っておかないと。とは言っても完全に価値中立的であり得ないと思 うのですが、ある時期にはそこのスタンスをきっちり議論しておかないと、大きなとこ ろに踏み込みきれない問題にぶつかるのではないかという感じがかなりしました。 ○上原会員  人間の安全保障を勘違いされていると思うので、補正だけしておきます。人間の安全 保障は橋本さん以来で、橋本さん、小渕さん、昨年の小泉さんの年頭の所信表明でもお っしゃっていまして、いまのJICAの総裁も国連のコミッションでおっしゃっていま す。これは名前がまぎらわしいので誤解が起きやすいのですが、ヒューマン・セキュリ ティは従来のような戦争、軍事を中心とした国家安全保障にかかわって、人々が安心し て暮らせる社会を国という枠ではなく、それを超えて、コミュニティの重視を含めて創 っていこうというものです。その中でヘルスは重要な柱の1つとして置かれています。  日本は何のために援助するのか、その1つは日本の国としての国際戦略が全然見えな くて、私どもは国際政治学は専門ではありませんので、こういうことは政治学の方々は 政府にどういうふうにアドバイスされているのかと思うことがありますが、そこは先ほ ど長谷川会員が言われたように、多分必要なもので、援助はその中の位置づけだと思い ます。しかし、我々はそういうことについては全くどうしたらいいかわかりません。む しろそれは上から落ちてきて、その中で保健をどう当てはめるかという話だと思ってい ます。そこは我々は上から落ちてくるまでは思考を停止していいのではないかと思いま す。  ただ、人間の安全保障は、日本がなぜ援助するのかという目標を初めて掲げたもの で、それを1つのアイディアだとしながら我々の目標をつくっていくのは、ODAを考 えるにおいては不自然、また非常に貴重なチャンスを逃すことになるのではないかと思 います。 ○青山会員  先ほど国益か人道かという話が出たのですが、今回の議論はODA大綱を前提にして いると理解していました。大綱の議論の中で、すでに国益も人道も取り込まれ、人間の 安全保障も重点事項に挙がっています。それを踏まえて議論すればいいのではないかと 思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。 ○中村座長  私もそう思います。 ○國井専門会員  細かいところですが、22頁の戦略のところです。「リハビリ、介護、障害者福祉、リ プロダクティブヘルス、HIV/AIDSケアなどのテーマは、(C)のレベルが基本 だが」というのですが、リプロヘルスはMDGsの1つでもありますし、重要なものな ので除いてもらったほうがいいと思います。HIV/AIDSケアも以前は予防中心と いうことでやってきたのですが、最近は予防をやるのにもケアができないと、もうVC Tもやらないという国が多いのはエビデンスとして出ているので、いまは予防、ケア、 治療はパッケージになっているので、これはサーベイラーも一緒にやっているというこ とで、これも消されたほうがいいと思います。 ○長谷川会員  元に戻って恐縮ですが、私は個人的に近年上海に何度も行くようになって、すごいエ ネルギーで、日本は負けているのがはっきりわかって、我々は老いさらばえ、人口の3 分の1が65歳以上で、歳を取って死んでいきつつある家に、近いうちに土足で外国人が 入っていくのではないか、これから50年間は大変だなと思います。アメリカにも見捨て られているし、本当の日本の安全保障をどう考えるのか、どういうふうにやっていくか というのはすごく重要だと思います。私個人的には、特にヘルスセクターにおいてもO DAをそういうコンセプトでやってほしいと思います。しかし、今回のレポートの中で は扱わないと決めるのなら、それは決めるでいいと思います。  ただ、最後に1つだけ、その中間ぐらいで残りの部分があるのではないかという気が するのです。というのは、中国と言いましたが、今後彼らもすごく早いスピードで高齢 化を迎えると思います。本当に日本も50年後まで持つのかという議論があると思うので すが、同様に中国もそうだと思います。ともに相哀れむという協力関係があり得るかと いう気がする部分があります。  もう1つは、怪しからんのですが、フクハラさんが中国に行って確認したのですが、 中国は85年頃から市場経済化をして、いままでの組織は全部潰れて、行政組織が育たな いのです。行政とは何かわからないところに、感染症がCDCを中心に中央集権的に始 めて、各行政単位でそれを立ち上げていく瞬間にSARSが起こってしまったのです。 行政アームがないので古典的な解放軍が出てきてやらざるを得ませんでした。何が言い たいかというと、SARSは結局国益の問題です。感染症に関して言えば日本も中国も 変わらないということですので、少なくともその辺を強調する必要はないのかと。軍事 的な、ものすごくジオポリティカルな、ハイレベルなポリティカルなことはここでは述 べないにしても、日本の国民の健康を守るための事業ですという言い方は必要ないのか というのが気になるところでした。  最後に一言だけ聞きますが、それは一切考えず、純粋に国際人道的な立場でこのレポ ートを書くというのであれば、それはそれで皆様方のご意見として。 ○田中会員  22頁の下に人の移動の観点から感染症云々がアジアを重視するというのは、そういう 文脈の議論だったかと思います。 ○長谷川会員  一応入っているということですね。 ○中村座長  先ほど青山会員からもあったように、基本的にはODA大綱という大枠に基づいた、 保健医療分野での国際協力のあり方を将来にわたって考えていくということで、国際協 力そのものをどう考えるかというのは少し別のスキームかという気はします。この中に いろいろな政治的な配慮の部分が入っていると思いますので、よろしくお願いします。  時間を大幅に過ぎていますので、国際協力の将来あるべき方針の考え方の議論は終わ らせていただいて、後半の議題に入っていきたいと思います。その前に、基本案の今後 の取扱いについてはどうしましょうか、今日の議論を踏まえて、事務局でまとめていた だいて、最終的な中間報告を作成していく。これは中間ですので作業を急がないと出て こないので、そういう形にしたいと思います。今後に関して事務局からお願いします。 ○吉田補佐  基本的にはいま起案いただいたとおりです。今日いろいろ貴重な意見が出ているの で、それを分類すると、いま提示されているドキュメントの中で多少文章を加える、あ るいは修正したほうがいい部分と、基本的に今日の議論は、いままでの議論と同じよう に議事録の形で残るのですから、追加的な議論ということで注釈として扱うほうがいい 部分と大別されると思います。ですから、そういう形で事務局で整理をして、座長と相 談して中間報告にしたいと思っています。  この報告書自体はこれまでの議論の経過を整理しているので、材料となっているのは これまでの議事録です。これまでの議事録はすでに公開していますが、議事録をこの報 告書の添付資料に位置づけたいと思っています。 ○青山会員  中間報告ですから、あとは座長と事務局に一任でよろしいのではないでしょうか。も う大体議論も尽くしていますし、あとは一任でよいと思うのですが、いかがでしょう か。 ○中村座長  では、事務局と私に一任させていただいて中間報告書を出して、そこに議論の議事録 をアタッチドで全部入れる形の中間報告を早急に作るということでよろしいでしょう か。                   (了承) ○中村座長  その後に関しては、中間報告を関係各省に送り、ホームページに載せたり、事務局で も少し考えていると思うのですが、何かありますか。 ○吉田補佐  その点については、今日の議論を踏まえて修正したものについて中間報告を完成させ ますが、中間報告という意味での案は取れるのですが、中間報告を構成している3つの 柱の成果物については(案)の状態ですので、これについては今後公開した後、関係省 庁、関係機関を含めた情報提供、ホームページや投込みで公表して、ご意見があればコ メントを受け付けることとしたいと考えています。それについての議論とフォローアッ プについては、またこの検討会に適宜報告をし、最終的にこの検討会の会期が終わる頃 に、最終化ができればというふうに進めたいと思っています。 ○中村座長  いまの話を聞きながら思い出して、ここで事務局と皆さんの了解を取っておかないと いけないと思うのですが、日本熱帯医学会で、10月15日に「21世紀の人材育成」という シンポジウムがあるのですが、そのときにも国際協力事業評価検討会における人材養成 のあり方に関して出させていただいて、関係者のご意見をいただきたいと思っていま す。  そのようにして、中間報告の成果をいろいろな機会に発表して、いろいろなフィード バックをもらって、いい最終報告につなげていけるような形にできればと思っていま す。そのようなことでよろしいでしょうか。                   (了承) ○中村座長  それでは続いて議事次第の2つ目で、「会期後半の議題」にいきたいと思います。こ れに関して事務局から、いま考えている案などを教えてください。 ○吉田補佐  まず、後半の議題等に加えて予定を先に紹介したいと思っています。  いま説明しましたように、今回の中間報告のフォローアップに関しては、当然ながら この後半の会議の議題になると思っております。それに加えて、2つのイベントを考え ています。  1つは、いまのこの検討会ですが、「保健医療分野」のほか、「労働分野」やあとま もなく「水道分野」も始まりますので、それらとの合同開催を今年度末をメドに1度や りたいと思っています。  また、来年度、この会議の最終年度になりますが、その際には、前回こちらのほうか ら提案したとおり、もう少し大規模なシンポジウムというか、あるいは、国際シンポジ ウムというか、そういう形で広く成果の普及といろいろな意見の聴取等含めた会議を開 ければと考えているところです。  それらを踏まえまして、後半の議題ということなのですが、今回、中間報告をまとめ るに当たって、このワーキンググループを3つ立てて、それぞれ人材養成とデータバン クと国際協力の方針ということで、この3つについて議論を行っていただいたわけなの ですが、それぞれの(案)となっている成果物について、これから幅広く意見を受け て、必要な調整等を行っていくと、そのフォローアップをすることになると思います。 その際に、3つの分野に横断するようなテーマに視点を当てたときに、どういうテーマ があるかと考えてみると、いくつかキーワードが出てきます。  1つは、いわゆるモニタリングと評価というものです。これは、まだ国際協力のある べき方針というのは案なのですが、当然、こういったものを作れば、今度それに基づい てどういうモニタリングで評価をしていく、というのが当然必要になってきますし、ま たこれから作ろうとしているデータバンクについても、それをどういうふうに利用して いくか、ということが当然必要になってくる。  あともう1つは、今回の報告書の中を読んでいただくとわかるのですが、随所随所に 具体的に研究レベルで何らかの分析を行ったほうが良いと思われる点が、いくつか指摘 されております。ですから、そういったことについてのいろいろなサジェッションみた いなものも1つあっていいかと思います。  あともう1つは、調整と協調ということで、例えばこの人材養成の分野に関しては、 協議調整機関の設置をするということで、そういう案を提示しているのですが、それを 行うには、当然ほかの省庁との協議や調整が必要になってきます。また、そういったも のをやるに当たって、行政だけではなくて、例えばNGOだとかそういったところも絡 ませていろいろな検討をしていく必要もあるだろうし、また先ほどのデータバンクの利 用であるとか、先ほどの方針の所で議論がありましたが、ほかのドナー国、もしくは機 関との比較、あるいはそういった中で、いろいろな調整とか協調を考えていく必要があ るのではないか、という切り口が出てくるのではないかと考えていて、いま申し上げた モニタリングと評価、あと研究についてのサジェッション、あと調整と協調といった3 つの視点が出てくるのではないか、と事務局のほうでは考えました。これはあくまでこ ちらの案ですので、今日先生方のほうから具体的にこういったことを議題にしたほうが いいのではないか、そういう提案をもしいただけるのであれば、是非いろいろサジェッ ションいただきたいなと考えております。以上です。 ○中村座長  どうもありがとうございました。ちょうど3年間の予定の1年半、全くマラソンの折 り返し地点で中間報告が出たわけですが、残りの1年半を今後この有意義な中間報告を もとに今度どのようにステップしていくか、という話だろうと思います。  しかし、初めにちょっと予定の所で確実な所だけをいくつか確認しておきたいと思い ますが、たぶん、いまのお話だと他の分野でも同じような「労働」、「水道」、「社会 福祉」はまだわかりませんが、そういう検討会はしているので、合同開催しようという のが1つ。2005年3月に予定されています。2004年度中に行うということです。 ○青山会員  大学は、期末は忙しいのですが。 ○中村座長  是非是非、こういうところでいろいろな意見交換や実際の交換ができて面白いと思っ ていますが、それと国際シンポジウムが2005年度の後半ぐらいと、ちょうど1年後ある いは1年後ちょっと先ということを考えていらっしゃるのですが、これに関しては、ま だ今日のところであまり具体的にディスカッションすることはなくて、これは今日の段 階ではそういうものもあると思っておけばいいぐらいですかね。 ○吉田補佐  はい。 ○中村座長  一応大きな予定としては、そういうことが予定されております。  それともう1つ、ぼくのほうで具体的なテーマに入る前に、特に事務局の方と確認し ておきたいところは、今回、中間報告で出たことが3つ大きな柱があって、そのうち、 特に1番と2番ですが、「国際保健医療協力に関する人材連絡協議会議(仮称)」とい うのを、設置していこうという案を出すわけですね。  それともう1つ、国際協力のデータバンクというのを設置して、これで情報を集めて いこう、という2つの方針。2つの方針といいますか、具体的なのがあるのです。これ に関しては、各々の担当機関がこの2つは具体的にこれから動いていく話だろうと思う のですね。それとこのワークショップ、私たちのグループといいますか、評価検討会と いうのは、どんな関係になっていくのかというのを、ちょっと説明していただけます か。 ○吉田補佐  フォローアップをするということで、実際に動かしていくに当たって、いろいろな具 体的な内容が出てくると思いますので、それについて適宜この検討会のほうに報告をし て、あるいは逆にこちらのほうからいろいろな示唆をそちらの検討のほうに反映させて いくようにバック・トゥ・バックでしたいと思っています。 ○中村座長  そういう意味では、この人材養成とデータバンクに関しては、実際の形としてはもう 既に後半の部分では動き始めて、その動いているものに関して、私たちが関連しながら やっていくという理解でよろしいのですね。 ○吉田補佐  はい。 ○中村座長  そういう状況の中で、この中間報告が終わった後、この検討会としては、次に何をす ればいい、何をしたらいいかという、どういう部分で分析を進めていけばいいかという ところは全くフリーですか。 ○長谷川会員  何か3つ、クロスカッティング・テーマをおっしゃっているのですか。3つの部会で すか、それとも人材・情報と。 ○吉田補佐  この会議前半の3つのテーマに共通するかということです。 ○青山会員  この検討会の始まったころに、事例を検討する、という話があったように思います。 国際シンポジウムでも、何か事例を元にして、相手国の方にも来ていただいて議論する 形にするとよいのではないかと思いますが、事例検討は、もう考えていないのでしょう か。 ○吉田補佐  最初に遡るとそういう提案をしていたのですが、実際の議論の流れというのを考えた ときに、仮にそういう実際の例の検討というのをテーマにした場合は、それをこのフォ ローアップの中でむしろできるのではないかと考えております。  この会議が始まったときに、最初に事務局のほうから、ケーススタディをやってそれ に基づいて何らかの評価方法みたいなものを見出すべきではないかという提案を、差し 上げたのですが、ただ、検討会の総意として、まずはこの3つについて、やはり何らか の形になるものを、きちんとコンセンサスを得て、それをもとにまた後半の議題を考え ていくと合意していたのではないかと思います。  これまでの議論を考えると、そういうふうな方法も当然あるのですが、むしろせっか くこの3つのテーマに関して、まだ案ではありますが、具体的な成果物に近いものが得 られていますので、むしろ、それらをフォローアップする中で、相互にリンクできるよ うなテーマを取り上げて、それらにフォーカスを置いて議論をしていったほうが、より 現実的なのではないか。実際に、この3つの成果物を案から実際に案が取れる段階に動 かしていくときに、その横断的なテーマにフォーカスを置いた議論を並行させることに よって、より実際的に動かせるようなものになっていくのではないかと考えて、今回、 そういう提案をしております。 ○中村座長  ほかに何か、質問とか議論とかありますか。 ○田中会員  いまの事務局のご意見と関連するのです。でも、ちょっとイメージがわからないので すが、おそらく今回の3つの柱というのは、さっきからとにかくおっしゃったのです が、基本的には3がいちばん目標というか、大きな柱があってその足腰を確立するため のいわばインフラ整備として、1があり2があるという感じかなと思っていて、1と2 というのは、今までなぜ人材の需要と供給の面での調整がうまくいかなかったとか、あ るいは最終的にさっき申し上げましたが、要するに、データベースがこれだけ、これま で何回も繰り返し提言されながら、なぜ実際に作られなかったのか。それはやっぱり別 にはコストとの見合いで、緊急度、必要度が薄く、やっぱりやる以上は意味がなけれ ば、使えるものでなければ意味がないというもので、これまでやはりできなかった理由 があると思いますし、それは今回十分議論をしていただいて、新しい意見を出していた だいているので、是非今度こそはと思っています。  基本的には、ここまで詰めてきたらあとは、かなり実務的な工夫とか、協力関係と か、実践のレベルに移っていくのだろうなという感じがするので、この検討会として、 その展開状況をまたお話いただきながら、こうした議論をするのは大変ぎりぎりだとは 思いますが、かなりの部分が、実務のレベルの宿題に移ってくるのだろうという感じが するのですが、おそらく三部作の中で言うといちばんの議論としては、いろいろな議論 が出うるし、それからまだ詰め切れてないと言えば、たくさんの宿題が残っているとい うのは、全部第三部の基本的な戦略の部分だろうと思うので、この辺を後半でどうして いくのか、1、2とちょっと毛色が違うかなという感じがするので、少し議論をしたら どうかという気がしたのですが、いかがでしょうか。 ○小林会員  まず具体的に提案できるものとしては、16頁の3−3の「基本的な考え方」の4番目 ですね。この報告書では、まだやっぱり他の援助国との比較が、この検討会で作った軸 で他国の援助方針を分類するというか、分析する作業はまだ足りないと思いますので、 それを後半でこの検討会でやるか、あるいはどこかにそれを委託するかは、議論が必要 だと思います。例えば、2005年度の国際シンポジウムをそういう目的でやる、というの も1つの案だと思います。  それから、あともう1点は、先ほど人材の連絡協議会というのがいちばん最初の第1 番の提言ですが、そこで何をやるかというのは、あまり具体的には報告書の中には上げ られてないので、例えば(1)の1本目の軸の中で、いくつか課題が出ていると思いま すので、そのいくつかを具体的に協議会のほうにお願いをしてみるのもいいのではない かと思います。例えば、いちばん最初に話題になった学位の種類や実地経験の有無等 も、そういう協議会の中で、どのようなものが重要なのか、あるいは組み合わせなのか ということを、議論してもらってもいいのではないかと思います。ある程度、数を集め る作業をしなければいけないのではないかと思います。 ○中村座長  ありがとうございます。ほかに何かご意見ありますか。 ○上原会員  次のテーマかどうかわかりませんが、どういう主張があるかという趣旨で言えば、2 つ提案します。  1つは、こういう援助がこういうふうにならないと、この保健セクターは今まで以上 に良くならないだろうということを考えるため、この方針とかいろいろ作ってこられて いると思いますので、その援助の、とりわけ案件の立案、その前の援助指針から始まっ ていいと思うのですが、プロジェクトのマネジメントから評価というのは、あくまでも 全体からフィードバックまでの援助のプロセスに沿って、こういうふうになっていくと いいねというのと、現在がどうであるかということのギャップですね、そのギャップが なぜ生じているのか、それに対して、厚生労働省のイニシアティブでそのギャップを埋 めるために協力できること、サポートできることは何かということを洗い出していくこ とで、具体的に援助がこの方針に向かって変わっていくための成果物というものを、何 か出していけるといいのではないかと思います。  それからもう1つは、私はちょっと理解してないのですが、この第3部と書かれてお ります援助方針という所、例えば、先ほどの(a)(b)(c)という分け方とか、何 かこれはもうこれでいくということなのですか。私は何か非常にこれは不思議な感じが するのですが、もしこの辺の議論がこれからなのであれば、そのことと並行してもう少 しこの議論を、先ほどの他国の方針というお話もありましたが、戦略方針の所を詰めて いくという作業があるのかなという気がします。 ○中村座長  ほかにご意見ありますか。 ○國井会員  この検討会に期待したほうがいいのか、また別のほうがいいのかわからないのです が、具体的にむしろ戦略面で必要なのは、大枠ではなくてもう少し細かい話になってき ていて、例えばシステムの話を長谷川先生がされてましたが、どういうスキームを使っ て、どのような形でやっていくのかという具体的な話のほうがむしろ、戦略的には必要 なのですね。例えばAIDSといった、優先分野をまずどれにしていくか。おそらくそ れは中期政策で決まっていくと思うのですが、中期政策で決まった大枠に沿って、では 具体的にどういうところに選択と集中をしていくのか。それをやるために、先ほど言わ れたリソースをどのような形で集め、アウトプットまたはアウトカムをどこに設定して いくのか。先ほど言ったプロセスとアウトカムの議論にまた戻るのですが、アウトカム を設定するが、タイムスパンが、実は考えていないことが多くて、やはりシステムの話 では、かなり長く作っていく中で、この5年でやれることとか、3年でやれることとい うタイムスパンをまた設定しないといけないので、具体的にそういう細かい戦略という のを作っていく作業が必要だったり、また現場では最も必要としているので、そんなこ とすべて難しいかもしれないのですが、大枠なんかも作ってもらうと、現場の人たちは 使えるのかなと思いますが。 ○中村座長  なかなかいろいろな意見が出ていて、どれも重要そうでどうしようか、という気がし ますが、ほかに、何かご意見ありますでしょうか。まだ、ちょっとこのままだとどうし ても4時には終わりそうになくて、ちょっと過ぎてしまいそうなのですが、もう少しみ んなフリー・ディスカッションで意見を出していただいて、そのあとはもうフリーでは なくなって、まとめに入りたいと思いますが、まだ何かアイディアがありませんか。 ○田中会員  ちょっと質問にもなるのですが、私、7頁の下に書いてある「国際保健医療協力に関 わる人材連絡会議」をたぶんあまり正しくとらえてなかったのかもしれないので、これ を例えばフォローするというのはどういう形でこの検討会でフォローできるのか。こう いうのを作ったほうがいいという提言なのか、それとも実際にこの検討会の会期内で作 って何かその会議の成果なりを見るところまでやるのかというところを、ちょっと聞か せてもらいたいと思います。 ○吉田補佐  どこまで達成できるかは、調整と協議次第なのですが、今度事務レベルで具体的には こういった案について、関係省庁にも声をかけて、こういったものの設置を呼びかけて 具体的な調整をしていきます。そこで、いろいろな提案のあった事項であるとか、具体 的にはどういう作業をやるのか、という内容も詰めていって、その結果を適宜こちらの 検討会のほうに報告をして、また逆にこちらの検討会のほうで、こういった作業を入れ たほうがいいのではないかと、あるいはこういうふうにしたほうがいいのではないかと いうサジェッションがあれば、そのサジェッションをいただいて、それをまた事務レベ ルのほうの作業に返していくと、そのやり方を考えております。  ですから、具体的にどこまで達成できるかというのは、いまの段階ではちょっと残念 ながら即答はできません。できる限りのことを実現に向けてしたいと思っております。 ○中村座長  ほかに、何かご意見ありませんでしょうか。私はずっとみなさんの話を聞きながらま とめ、それで初め事務局のほうから3つ、モニタリング、研究、協調というご意見もい ただいて、これもすごくいいなと思っていたのですが、1つは、今日のずうっと議論を 聞いてて、私の個人的な感想で言うと、やっぱり中間報告でやる(1)の国際協力に携 わる人材の養成、(2)の国際協力データバンクの構築に関しては、かなりの部分で実 務的なところが、主体になってやっていって、この検討会はそれのサポートという形で たぶんやっていくのがベターだろうし、実際に実務で動かないと、前にも言ったよう に、机の上だけで、ずうっと、いくらいいことを言っていてもだめなので、実務のほう がメインになっていくだろう。やっぱり(3)の国際協力の将来あるべき方針に関して は、一応、中間報告は出たものの、まだ今日でも議論でかなり詰まっていない。まだま だ、議論する余地がいっぱいある。そういう意味では、この(3)の国際協力の将来あ るべき方針が決まった上で、何か次のことをするのではなくて、やっぱりこの最終報告 に向けて、これをもうちょっと詰めていく方向で、何か考えたほうがいいのではない か、という気がちょっと今日の話をしながらしたのですね。  もうちょっとこれが、今日の中間報告のところで、かなり煮詰ったのであれば、この 煮詰った将来あるべき方針をもとにモニタリングとか、研究、協調のあり方というのは いけるでしょうが、たぶん、協調ということをやり始めても、保健医療で協力のあるべ き姿は何だというところに戻ると、結局、堂々巡になってしまうので、むしろ、いまは この(3)のところを中間報告からもう1歩最終報告に向けて、もう1回練り直すこと をしたほうがいいのではないかというのが、何か印象として思いました。  そのためには、もう既にワーキンググループでりっぱな叩き台と言ったら失礼です が、中間報告で出していただいたので、これをもとにこれを今度抽象的に議論するので はなくて、これをもとにしながら、例えば事例検討を考えるとか、あるいは他の援助国 との比較なんていうのは、まさにこの将来あるべき報酬をもって、他の援助国では、ど うなっているか比較する中で見えてくるのではないか。  もう1つは、國井さんのほうから言われた細かい戦略ですね。この方針に基づいて、 かなり細かいところまでディテールを1回詰めてみる。ディテールを詰めてしまった ら、逆に大きなところでこの4つに分けた方がやっぱりこれでは、ディテールは走らな いよというのが逆に見えてくると思うので、ディテールを詰める細かい戦略のほうをや っていくのと、他の援助国を比較するということで、もう1度この国際協力の将来ある べき方針をみんなでまとめるという方向もあるのではないかとそんな気がいたしました が、どうでしょうか。 ○橋爪専門会員  委員長のご提案の中に、「事例」という言葉が出たのですが、事例というのは、たぶ ん、特定のプロジェクト事例とかも、国の背景とかで全然違うので、事例が事例になら ないのですが、特定の課題を事例にしたらいいのではないか、というアイディアは提起 できるのではないか。  例えば、HIV/AIDS。HIV/AIDSに厚生労働省として、今後どう取り組 んでいくか。現実に途上国の死因の第1位である。それから、人間の安全保障の重要テ ーマでもある。要請もたくさん上がってきている。でも、ここで言っている日本国内の それに対応できるリソースをどうやって探し出すのか、どう育てるのか。HIV/AI DSの取組ということで、未解決課題がたくさんあるわけですね。それから、HIV/ AIDSをよその国との比較、アプローチの比較とか、いま議論されたようなことが、 すべてHIVという事例を通じて深めることができると思うので、後半で何か事例に基 づいてやるとしたら、HIV/AIDSという事例をもとにやればいいのではないかな という1つの提起です。 ○建野  いまお聞きして、私も國井先生が言われたように、もっとディテールをやってもらわ ないと、我々現場をやる者は何をやればいいのかわからない。今までは、いろいろな提 言は聞きました。このままですと、また何年か、5年前もやった、10年前もやったのと 同じで、振り返ったら何をやったのか、となりかねませんので、もっとやっぱりディテ ールをどう実践していくのか。どういうシステムならシステムづくり、我々も非常に思 っているのですが、そのシステムづくりをどうやって進めていくのか、どうやって外務 省は納得するのか、どうやってJICAを納得させるのか。そういうもっと具体的な形 で進めていけるようなことを、ここで最初にしていただくと、我々実践部隊としては、 非常にやりやすくなりますし、本当に長谷川先生が言われたような話題も、非常に感じ ていますので、だから、システムづくりをどうやっていくか。それもいろいろなケース バイケースに合ったようなシステムづくりをどう作っていけばいいか。そういうところ をもっと押していただければ、我々のほうも非常にやりやすくなりますし、JICAの ほうともいろいろ喧嘩もまたやりやすくなりますし、その辺是非よろしくお願いいたし ます。 ○長谷川会員  いろいろな手法があると思いますが、もし事例にこだわるのであれば、AIDSがち ょうど対極に当たるような制度づくりといいますか、当該国のアセスメントの手法です とか、あるいは、ヘルスプランづくりですとか、あるいはその一部である制度づくり、 近年大変東洋国からのリクエストも多いと聞いているのですが、そういうものと合わせ るといいのではないかと、やるうちに熱くなるといううわさも聞いていますし、先ほど の人材開発の課題も連なってくるのかと思いますが。 ○上原会員  私、長谷川先生のご提案に大賛成です。具体的な事例という言葉はどうかはわかりま せんが、具体的な目標を1つ、時間とか率の問題とかいろいろ考えますと、いろいろで きませんが、どこかが本当は、例えば理事であればそれぞれの項について、戦略を立て るべきなのですが、どこもあまり立てているふうには見えないというところがあるわけ ですが、どこかができるかと言えば、厚生労働省がイニシアティブをとれる分野ではな いかという気もあります。それは戦略だけではなくて、援助体制が変わらないといけな い部分もあるので、そういう意味では、例えばAIDSであってもいいし、マラリアで あってもいいし、乳児死亡であってもいいのですが、AIDSというのはわりとやりや すいかもしれないという気がします。それを置いて、それこそその戦略づくりからプロ セスの案件発掘から案件形成から評価からの具体的に何が必要で何が足りないか、どう やればそれをよくできるか。そのために自分たちがやることは何かということのその話 の中に、制度づくりであるとか、政策に対するアプローチが必要になってくるのではな いかということも、見えてくると思います。それから、我々が備えなければいけない援 助能力というのをそこから引っ張り出してくるということが可能、そのつもりであれば 可能になるのではないかと思います。 ○中村座長  ほかに何かご意見がありますか。これは今日できたら、かなりのところで具体的に方 針を決めてしまったほうがいいですよね。 ○吉田補佐  そうですね。いただいた意見を総合しますと、それは事務局のほうの考えと実は大し て差はなくて、差がないというのは、フォローアップは当然の議題と思っていますの で、いまいただいた提案すべて中間報告のいわゆる3番目の議題のフォローアップと位 置づけて考えられますので、その中でやっていくのが、事務局としても賛成できるもの と思っています。 ○福田室長  具体的にこの検討会にお願いしたい部分とそれから、省庁の中でまさに実務におりる 部分として、インプリメンテーションしてくる部分と、新たな課題として課題に対する いろいろな検討という形で、もう少し中身を掘り下げるような形の部分と性格がいくつ か違うものがあって、それをどういうふうにやっていったらいいかなということを、ち ょっと先生方の示唆もいただきながら、事務局のほうでそこを整理して、進め方につい て協議をさせていただければいちばんいいのかな。ここで、すべてたぶん決めきらない と思いますので、整理の仕方としては、そういう3つぐらいのところから、この先生方 のコミットメントの強さみたいなものを少し整理させていただいて、それで進めていけ たらいいのではないか。先ほど國井さんのほうからも話がありましたが、ちょうどいま 中期政策の絡みでいろいろ動きがあるものですから、議論は議論として深めながらも決 めなければいけない部分もいろいろありますので、そこら辺の部分をうまくバランスを とりながら、先生方の意見をお聞きしながらやっていくという形に、実務上はならざる を得ないと思っていますので、そういった観点からご理解を賜りながら、また応援をい ただければと思っております。 ○中村座長  今日のところでは今後の議題としてかなりの意見が出て、どれをどのようにという整 理は、今日ここの場ではきっちりはできてませんが、吉田さんのほうはこのぐらいのま とめ方でだいたい大丈夫ですか。 ○吉田補佐  ええ、先生方の意見の方向性というのはだいたい見えておりますので、あとはいま話 がありましたように、事務局のほうで整理をした上でまた先生方に諮って相談したいと 思います。 ○中村座長  わかりました。そうしたら、今日のところではこういう後半の議題に関していろいろ 意見が出ています。先ほど福田室長のほうからも話がありました。その辺でちょっと整 理していただいて、またその結果に関しては、メールなんかでフィードバックしていた だいて、それでまた今後具体的な後半の動きに関しては、その後具体的に動いていく と、そんなことでよろしいでしょうか。 ○吉田補佐  はい。 ○中村座長  では、どうも長い間、今日はちょっと司会も先が見えないもので、何かなかなか何を したらいいかよくわからなくて、ちょっと不束な司会になって申し訳ありませんでした が、皆さんご協力どうもありがとうございました。 (了) (照会先)  厚生労働省国際課国際協力室   室長補佐 今井   協力企画係長 吉村   03-5253-1111(内線7305)