04/09/21 第4回医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会議事録 第4回医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会 第5回ライフサイエンス研究におけるヒト遺伝情報の取扱い等に関する小委員会 第4回個人遺伝情報保護小委員会               第3回 合同開催 議事録 1.日時 平成16年9月21日(火)14:30〜17:00 2.場所 東海大学校友会館 望星の間 3.出席者   垣添座長、位田座長代理、黒木座長代理、江口委員、小幡委員、勝又委員、具嶋委員、   栗山委員、佐々委員、菅委員、高芝委員、辻委員、富永委員、豊島委員、南条委員、   廣橋委員、福嶋委員、藤原委員、吉倉委員 4.議題  (1)遺伝情報等の個人情報保護を中心とする研究における倫理上の諸課題への対応    について  (2)その他 5.議事 ○高山研究企画官  それでは、定刻になりましたので始めさせていただきたいと思います。  若干名の先生方は遅れているようですが、間もなくお見えになると思います。  それでは、本日は、文部科学省・ライフサイエンス研究におけるヒト遺伝情報の取扱 い等に関する小委員会、厚生労働省・医学研究における個人情報保護の取扱いの在り方 に関する専門委員会、経済産業省・個人遺伝情報保護小委員会の3回目の合同開催とな っております。  まず、委員につきまして、前回、前々回御欠席でいらっしゃいまして、今回御出席い ただいております南条先生を御紹介したいと思います。読売新聞東京本社論説副委員長 の南条俊二先生でいらっしゃいます。 ○南条委員  よろしくお願いします。 ○高山研究企画官  なお、現在までに宇都木委員、大山委員、鎌谷委員、武田委員、橋本委員、堀部委 員、柳川委員につきましては、御欠席との連絡をいただいております。  では、議事に入ります前に事務局より、今後の進め方について少し御説明させていた だきたいと思います。  この個人情報保護の関係につきまして、政府部内においてとりまとめを行っておりま す内閣府と3省で調整を進めてまいりました。先週、内閣府より、この医学研究の関係 につきましては、11月までに改正点にかかる告示を行うように要請を受けたところでご ざいます。そのスケジュールから逆算しますと、この法との関係の論点の整理につきま しては、本日の段階で一度とりまとめを行っていただきたくお願い申し上げます。そし て次回は、告示改正案について御審議をいただくこととさせていただきたいと思いま す。また、その後年内には、法制化についてどう整理すべきかということにつきまして 御議論いただければと思います。  以上、今後の進め方について御説明させていただきました。  それでは、議事を進めてまいりますので、以後の議事進行につきましては座長の垣添 先生にお願いしたいと思います。 ○垣添座長  皆さん、こんにちは。お忙しい中、また大変暑い中をお集まりいただきまして、まこ とにありがとうございます。それでは座らせていただきます。  では、これから議事に入りたいと思いますが、まず事務局から配付資料に関して御説 明ください。 ○事務局  本日の配付資料について御確認をお願いいたします。  本日の配付資料は、資料1−1としまして「個人情報保護に関して検討すべき事項に ついて」、資料1−2としまして「個人情報保護に関して検討すべき事項について(論 点)」、資料1−3としまして「「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に おける個人情報保護に関する見直しの方向性について」、資料2としまして「研究の進 展等に伴う見直しの論点について」が本日の配付資料となっております。  つけ加えまして、参考資料としまして、ファイルにとじたものを御用意させていただ いております。これは前回と同様のものでございまして、また、お帰りの際には机上に 残しておいていただきますようよろしくお願いいたします。  あわせまして、机上配付資料としまして、カラーで刷った図のものを3枚御用意して おります。それから、前回の議事録の未定稿でございまして、こちらにつきましては御 確認をいただきまして、修正等ございましたらこちらに記載のあて先まで、9月28日ま でにファックス等にて御連絡をちょうだいできればと思っております。修正の後、公表 の手続をとらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それから、机上に、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのため のガイドライン(素案)」というものをお配りさせていただいております。この素案に つきましては、先日9月16日に、厚生労働省の医療機関等における個人情報の在り方検 討会において配付された資料をお配りしております。  また、あわせまして、一枚紙でございますが、委員長の垣添先生より、医療機関にお ける遺伝情報の取扱いについてという、すが、厚生労働省の専門委員会の「医療機関の 個人情報のあり方に関する検討会」の座長・樋口先生にあてた申し入れ書を参考として 本日配付させていただいております。資料の乱丁、落丁等ございましたらお申しつけく ださい。以上でございます。 ○垣添座長  ありがとうございました。 ○垣添座長  それでは、本日の議事に入りますが、先ほど事務局から説明がありましたように、ま たこの作業を早めなくてはいけなくなりました。まことに残念ですが、本日が一応議論 の最終回になってしまいます。私も折角こういう機会ですから、個人情報保護以外に も、ゲノム指針に関して見直し等少し議論できれば大変ありがたいと思ったのでありま すが、内閣府からの非常に強い要請があるということですので、スケジュール上どうし てもそれができないので、今回のこの検討会は、来年の4月から本格施行されます個人 情報保護法と、それ以前につくられたゲノム指針との間に何か齟齬がないかどうかとい うことを検討していただくことを主目的として、それに限って御議論いただくというこ とに、まことに恐縮ですがさせていただきたいと思います。  それで、スケジュール上、本日で論点のとりまとめをしなくてはいけませんので、進 め方としては、まず個人情報保護との関連について議論いただきまして、続いて、資料 2に沿って研究の進展に伴う論点について議論いただいて、とりまとめをする。ただ し、これ全部を本日やりきれない場合には、研究の進展に伴う論点については、見直し をするときにまた議論を取り込ませていただくという形で整理させていただきたいと思 います。  それではまず、個人情報保護との関連についての議論で、資料1−1及び1−2につ いて事務局から御説明いただきたいと思います。 ○高山研究企画官  それでは、事務局より資料1−1と1−2につきまして御説明申し上げます。それで 1−1、1−2につきましては前回も御提出させていただきまして、前回の議論を踏ま えまして、事務局の方で文章につきまして見直しを行わせていただきまして、整理し直 したものでございます。特に1−1の1ページにつきましては、上2段落ほどの半ばま でにつきましては前回と同じでございますが、これの2段落目の5行目の「ゲノム指針 は」以下につきましては、文章につきまして整理をし直させていただいておりますの で、一度確認のため朗読させていただきますと、  ゲノム指針は、人間の尊厳及び人権が尊重され、社会の理解と協力を得て、研究の適 正な推進が図られることを目的として策定されたものであり、その基本方針の1つとし て個人情報保護の徹底を掲げており、ゲノム指針の一部は個人情報保護法第8条の趣旨 を踏まえたものであるといえる。  当該研究を実施する全ての研究機関等は、ゲノム指針の遵守が求められものである が、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法及び独立行政法人等個人情報保護法が適 用されるそれぞれの研究機関等は、個人情報の取扱いにあたってはそれぞれに適用され る法律を遵守する必要があることは言うまでもない。ただし、個人情報保護法の義務に ついては、学術研究機関が学術研究の目的で個人情報を取扱う場合は、この義務の適用 除外とされ、個人情報保護に関して努力義務が課せられている。  したがって、ここでは、民間研究機関等が学術研究としてヒトゲノム・遺伝子解析研 究を行う場合に、個人情報保護法の適用を受けないことにも配慮し、ゲノム指針におい て、少なくとも個人情報保護法の趣旨を踏まえているか整理を行った。  以上でございます。  そして、1−1の中につきましては、あわせて1−2をご覧いただければと思います が、先般提出させていただきました項目に従いまして整理し直してございまして、特に 1−2におきまして、四角の括弧で囲っておるところにつきましては、前回の委員会で 結論がまとまらなかった、あるいは結論が示されなかった、あるいはもう一度慎重に確 認させていただきたいことにつきまして枠で囲ってございます。1つは定義の問題でご ざいまして、「匿名化された情報について、法の「個人情報」に照らした解釈」、「個 人情報保護法と行政機関及び独立行政法人等個人情報保護法の個人情報の定義を踏まえ た、指針の定義の検討について」ということでございまして、前回も御議論をいただい たところでございます。  また、この部分につきましては、先般、国民生活審議会の方で各省から報告したとこ ろ、特に医学研究の分野につきましては、ここについて慎重な議論を行っていただきた いという意見もございまして、再度御議論いただくようお願いしたものでございます。  それで、資料1−1の3ページ目につきましては、整理すべき事項という形について 改めて整理させていただきたいところは、○以下のところでございまして、指針で定義 される匿名化された情報は、法の「個人情報」の定義と照らして、どのように解釈すれ ばいいかという形のものにつきまして、以下それについて整理させていただいたものを 3ページほどに書いてございます。  これにつきましては、後ほど別途、この文章だけではわかりづらいところがございま すので、机上配付資料三枚紙ということで御検討いただければと思います。  そして、あと四角で囲ったところにつきましては、利用目的変更時の本人の同意を得 ない利用についてと、提供者の血縁者への開示につきましては、これは前回の議事録案 でございますが、御確認させていただきましたところ、明確に結論の方が確認できなか ったので、再度この場で御確認いただければという事項でございます。  そして、1−2の最後に苦情処理ということがございますけれども、苦情処理につき ましても、国民生活審議会の方から、このあたりについて配慮いただくようにという形 で申し入れがございまして、資料1−1の33ページでございますけれども、少し整理す べき事項につきまして、「苦情の窓口として、提供者又は代諾者等が申し出のしやすい 窓口を設置するよう配慮されるよう追記する。」という形で、少し記載を加えたいとい うことでございます。  整理し直したところにつきましては、以上のところでございますが、各項目、前回の 指摘を受けまして語句等を整理し直してございます。  簡単でございますが、以上でございます。 ○垣添座長  ありがとうございました。  前回御議論いただきました点を踏まえて修文したものが資料1−1として配られてい て、そのときの議論のまとめは1−2になっておりますが、その中で不十分なものを四 角で囲ってあるということです。  前回、一番議論されました匿名化と個人情報の関係ですが、それに関しては資料1− 1の3、4、5ページに文章で記されておりますが、これですと少しわかりにくいとい う可能性もありますので、本日はこれに関する図を用意いただいておりますので、藤原 委員から御説明いただければ幸いです。 ○藤原委員  それでは、本来であれば堀部委員がおられれば堀部委員から御説明いただくのがよろ しいかと思いますが、便宜、私の方から御説明させていただきます。その前に、資料1 −1について1点だけ、座長よろしいですか。 ○垣添座長  どうぞ。 ○藤原委員  修文していただいて、非常にすっきりしてよろしいと思うんですが、先ほどお隣の福 嶋委員にお教えいただいたところ、公立の医学部、市立、府立とか県立ですね、がある ということでございますので、どこかに条例に対する配慮を書いておかれた方がよろし いかなと私は思いました。いわゆる、そういうところが抜けないようにという意味で。 ○垣添座長  わかりました。それは事務局、よろしくお願いします。 ○藤原委員  さて、机上に配付いただいた「個人に関する情報」の分類でございますけれども、こ れは事務局が書かれた本文を読んでいただければわかるんですが、前回、連結不可能匿 名化と可能匿名化について、可能匿名化という、対応表はあるけれども、匿名にされた というのをどう扱うかということについて議論があったと記憶しております。  それで、3ページの一番下に書いてございますように、これはやはり今の前書きにあ ります、ゲノムという非常に重要なものに関する指針でございますので、その一部であ っても、個人情報保護法の趣旨に即したものにしておいた方がよろしいのではないかと いうことが出発点になっております。  最初のポツですが、要するに個人情報というものは個人情報保護法制、これは機関法 も個人情報保護法もまた条例等もそうですけれども、識別可能性、個人を特定できる か。医学研究で言うと同定できるか、アイデンティファイできるかというところで判断 していると考えます。  そこで、連結不可能匿名化になると確かに第三者はもう特定できないわけですから、 その限りにおいては問題はない。問題はこの図の黄色のところですけれども、連結可能 匿名化をどう考えるか。そうすると連結可能匿名化を恐らく2つに考えられて、個人を 識別することが可能な情報ととらえる。つまり、名前等との対応表を持っていればそれ で識別できるわけですから、その意味ではこれは個人情報に当たるということになる。 しかしながら、個人を識別することが不可能な状態になってしまって、対応表も持って いないという場合には、いわゆる連結可能であっても連結不可能と同じ状態になってい る。以上が、ここの整理の仕方であろうということです。  そこで、指針としては、遺伝情報であるということで、具体的に問題になりますの は、例えば第三者提供とか関係者からの、本人からの開示の請求の場面であるとか、あ るいは取得のときにどうするかということでございますが、全く対応表を持たないとい う第三者機関に出てしまえば、当該第三者機関では、当該研究機関等では対応表を持っ ていないわけですから、個人の識別しようはないと。あるとするならば、法の趣旨から は、それは個人情報でないということにしても構わないのではないか。ここのところ は、ですから相対的な話でありまして、名前等との対応表を持っている機関にとって は、それは個人情報であろうということですね。という整理が前提になるんじゃない か。  あとは同一の法人、1つの大学の中で部門を分けて持っていたらどうなるのかという ことになるんだろうと思いますけど、その場合は一般的な企業等とは違って、やはり個 人情報というか遺伝情報を扱っているということで、そこは同じ法人内で遺伝情報を扱 っているのならば、それは対応表をどこかの機関が持っている、管理者が持っている限 りにおいては、やはりそれは連結可能であるから個人情報なんだという整理にしてしま えばいいんじゃないか。  ただ、定義をそうしましても別に実質的な研究等には、これから事務局から御説明い ただくと思いますが、何ら問題はない。確認しておきますと、この文章の4ページで上 から11行目ぐらいからですが、「匿名化された情報のみを保有する機関においては、実 質的には匿名化された情報から個人を識別することはできない。したがって、当該機関 の保有する情報は法及び指針における「個人情報」には該当しないと考えられる。」と いうことですね。あとは、「ただし」ということで、ここのA、B、C、Dどれであっ ても、例えば識別することができないような情報だけをもらっているような研究機関に あっても、それは遺伝情報であるということで厳しい管理はしていただこうと。遺伝情 報である限りは、この前文に出てきたような、人間の尊厳であるとかというお話とかか わるわけですから、丁寧に管理をしていただきましょうということでいいのではない か。つまりC、Dは遺伝情報ということで、個人情報ではないけれども、厳しく管理し ていただくということで、ゲノム指針としての厳しさは十分出ているということ。  あとは、機関が全く違った機関に出せば、その機関が対応表を持っていなければ、そ こは連結不可能の匿名化情報を持っているのと同じことになるので、個人情報としてで はなくて遺伝情報として管理していただけばいい。これはそういう整理になっていると 思います。  4ページに、今の遺伝情報の観点から、A、B、C、Dすべて個人情報としてしまえ ばどうだという考え方についての具体的な支障を事務局で書かれておられますが、具体 的にはこういう支障がある。こういう支障を正面から言うかどうかはともかくとして、 具体的にはこういう支障がある。逆に言えば今回のような整理であれば、こういう具体 的な支障は出てこないということです。  私の説明は以上ですので、もし何かあれば例えば高芝委員であるとか、あるいは事務 局の方から補足していただければと思います。 ○垣添座長  藤原委員、ありがとうございました。事務局から何か補足いただくことはあります か。 ○高山研究企画官  おおむねそのような感じかと思いますが、配付資料におきまして少しこの場で御確認 いただければと思いますのは、図が2枚出ておりまして、1つは試料提供者、研究機 関、研究機関と3つ書いてあるものでございまして、その真ん中の研究機関において は、試料等提供機関、試料等の提供も行う機関であって、ある段階までは試料提供と個 人情報がくっついておりますが、ある段階において切り離されて、以降匿名化がなされ たものについて研究が行われることもありますし、第三者の機関へ提供されることもあ るという形で、1つの機関の中で情報の性格が変わり得る場合を示したものでございま す。こういうケースがございます。  それから、具体的な手順についてはもう一枚の絵で示させていただきまして、試料提 供に当たりましては、文書による説明と同意がなされた後、試料の提供、あるいは試料 にあわせて診療情報が提供されるわけですが、それが試料等提供機関で行われまして、 その段階で幾つか安全管理措置などいろんな体制を整えた上で、連結可能または不可能 匿名化された試料が次の研究の方へ進むということを模式化されたものでございます。  あるいは、今後あり得るものについては、試料の提供者自身でないケースについて遺 伝情報の開示がありますので、図に書かせていただきました。  補足的には以上でございますが、個人情報の扱いで、先生の御説明のところで私の方 も少し混乱しているところがございまして、最初の試料提供者、研究機関、研究機関に おけるところにつきまして、事務局としては、個人を識別することが可能な情報の範囲 までのところについて、法との関係で個人情報ではないかと。そして匿名化が行われた ところ、1つの機関内で安全管理措置を踏まえた上で匿名化が行われた以降について は、遺伝情報としてきちんと扱うけれども、それはここに言う個人情報ではないと。こ の図で色が変わっている部分については、別の整理ができるのではないかという形でこ の図を提出させていただきましたが、ここは一度、先生方の御意見をいただいて整理い ただければと思います。 ○垣添座長  今最後に言われたのは。 ○高山研究企画官  1つの機関の中で情報の性質が変わり得るのではないかということでございます。 ○垣添座長  それは先ほど来、藤原委員からも御説明いただきましたように、最初の資料の「個人 に関する情報」の分類ということですけれども、AとBは個人情報保護法の対象の個人 情報そのものであって、黄色で示された部分、連結可能匿名化だけど、連結が不可能に なっているCと、それから本当に不可能匿名化のDと、C、Dに関しては個人情報保護 法上は個人情報ではないけれども、遺伝情報を扱っているので、現在3省ゲノム指針の 中にうたわれているような、その取り扱いを変えないで要するに含めておくというたし か整理だと思いますが、それでよろしいんじゃないでしょうか。 ○位田座長代理  基本的な考え方の方向としてはそれでいいと思うんですが、ただ、Cの部分とDの部 分を考えてみますと、個人情報保護法の範囲では、A、B以外は個人情報ではないとい う取り扱いで整理ができると思うんですが、Cについてはなお対応表が残っているとい うこと、そういう事実から考えると、何らかの形で本人を識別する可能性はゼロではな いと。それに対してDの方は対応表も何もなくなりますので、そういう可能性はゼロで あるということからすると、指針の中ではCの取り扱いとDの取り扱いは一応別に、特 に安全管理措置という点では、別にした方がいいのではないか。ただ、法律上の考え方 からするとCとDは、一旦匿名化されて別のところに出て行った場合には個人情報とし て扱わない。  ただ、問題は、先ほど事務局の方がおっしゃったように同じ研究機関の中で、例えば 大学の医学部の中で、実際に血液をいただいてそこで匿名化するんだけれども、その同 じ医学部にあるところで研究もしているという場合に。もちろん取り扱いの場所とか、 個人情報管理者というのはいるにしても、余り不信を抱いてはいけませんが、漏洩の可 能性がある、もしくは対応表が流れてしまう可能性があるのではないか。そこのところ を安全管理措置でどういうふうにチェックするかという問題はあるかと思います。 ○吉倉委員  今説明があったことについての確認なんですが、今の説明だと結局、この薄緑あるい は緑まではこの法の対象になるけれども、白いところは法の対象ではなくて指針だと、 そういうぐあいに施設として仕分けを考えてよろしいか、その辺いかがでしょうか。 ○高山研究企画官  この表の整理としては、そういうようなものを提案させていただいたところでござい ますが、いろんな観点から御議論いただければということでございます。 ○吉倉委員  そうすると、例えばDNA等抽出会社はこの法の対象にならないと、そう考えてよろ しいわけですね。 ○高山研究企画官  個人に関する情報がない場合に、DNAだけを送るものについては、事務局としては 個人情報のところ、法律からいくと対象外だと思います。ただ、ゲノム指針からいく と、これはDNA自身の中に幾つかのいろんな情報も含まれておりますので、それは指 針の上からはきちんと取り扱わなければいけないのではないかと思います。 ○吉倉委員  ちょっとしつこいんですが、そうすると、そういう会社は本来この個人情報を知るは ずがないと。ゆえにこの会社はこの法律外であると、指針のもとにある。ただ、こうい う匿名化の話はどういう格好でも出る話なので、その辺のところはもうちょっとはっき りした御返事をいただきたいんです。 ○豊島委員  事務局のお話、御回答で非常にはっきりしていると思います。だから、法律の中では ないけれども、ガイドラインでは規制されるところに入ると、事務局はそういうふうに 言われたというふうに私は思います。私は基本的にはそれでいいと思うんです。一番の 問題は、ユネスコのガイドライン云々の問題も全部含めて一言言わせていただききます と、我が国の企業は外国で非常にたくさんテストをしている。これは完全にユネスコの ガイドラインから言うと違反になるはずなんですね、基本的に。なぜ日本の中でしない で外国でするかということは、外国の方がしやすいからそれを利用してやっている。だ から、自分の国で例えば医薬品その他をテストするべきものでも、外国へ持って行って するというのはユネスコの精神には反しているわけです。だから、そのことを考えると これ以上の縛りではなくて、今のガイドライン程度の縛りで、法律の外で縛るというの が基本的には一番妥当な線ではないかと私は思います。 ○辻委員  今の豊島委員の意見に賛成ですが、今日はちょっと文脈が違うと思いますが、やはり 研究をいかに正しく推進するかという点で、ガイドラインのあり方というのは後ほどま た検討いただく機会があったらいいなと思います。規制の話ばかりですね。 ○垣添座長  冒頭、申し上げましたが、今回は非常に厳しいタイムリミットがあるものですから、 個人情報保護との関係でゲノムの指針の方を見直すという観点で、ずっと御指摘の点は よくわかっております。 ○辻委員 ただ、今のガイドラインは、研究を推進するという点でさまざまな少し足か せになっている部分がありますので、その見直しはぜひやっていただきたいと思うんで す。 ○垣添座長  それは別な機会にということにさせていただきます。 ○辻委員  別な機会というのは、この一連の作業の中でということでしょうか。 ○垣添座長  いや、ここでは不可能だと思います。 ○辻委員  そうするとどの場で。 ○垣添座長  それは結局、ゲノム指針ができ上がってから5年以内に見直すということになります から、それも含めて。 ○辻委員  私はいつも申し上げているんですけど、現場ではさまざまな問題点が出ていますの で、その見直しはぜひやっていただきたいと。 ○垣添座長  それは私もよくわかっていますけれども、この検討会でそれを取り上げることは日程 的に不可能ですので、それは御勘弁ください。 ○辻委員  でも、それでは僕はなかなか引き下がれないのですが、やはりガイドラインというの は、研究機関あるいは民間会社において、研究を進めてこそ、その成果を国民にフィー ドバックできてこそ、意味があるわけですね。ですから、そこの部分はぜひ力を入るべ きところだと私は思います。それを今回はやらないというように宣言されるのは、それ はちょっといかがなものかと思います。 ○垣添座長  私も大変困っています。それでは、御意見として承っておきます。 ○辻委員  それから、言葉の問題ですが、これは非常に小さな問題かもしれませんが、「個人情 報」と「遺伝情報」という切り分けで、言葉が出てきたんですけど、僕が理解するとこ ろでは、遺伝情報というのはさまざまなものを含むように思います。例えばゲノム情報 とか、むしろそういう言葉の方がこの文脈には合っているのではないかと考えました。  それからもう一つは、遺伝カウンセリング体制、これは福嶋委員の意見も伺った方が いいのですが、遺伝カウンセリング体制とありますが、ここで出てくるものは通常私達 が考える、診療における遺伝カウンセリングとはちょっと違いますので、例えばゲノム 研究カウンセリングとか、何か研究に関するカウンセリングという意味合いではないか と思いますが、むしろそういったもので示した方がより内容をあらわすのではないかと いうように思います。 ○廣橋委員  個人情報の定義で、同一研究機関内に個人情報管理者による匿名化した後の研究部門 がある場合はどう扱うかという問題に戻りますが、その個人情報であるかどうかという ことの定義が対応表と一緒にあると。その対応をつけてこの情報が誰のものであるかと いうことを同定し得るかどうかということに基づくのであれば、やはり大きな意味での 大学とか大きなナショナルセンターなどの統一機関の中であっても、病院で試料が採取 されて個人情報管理者によってきちんと匿名化されて研究部門に移った後は、他研究機 関に移したのと同じように個人情報ではない。しかし、ガイドラインによって厳しく注 意義務を持ってやるというふうにした方が統一性が高いと思うんです。  しかも、そのために個人情報管理者の仕事をきちんと行うということを義務づけた方 が本当に実際上より安全に実施することができるのではないかと思うので、私はこの事 務局案のように同一施設、例えば大学の中であっても研究部門に個人、匿名化されて渡 った後は、個人情報ではないというふうに位置づけて、注意義務を強く課した方がいい のではないかというふうに思います。 ○黒木座長代理  廣橋委員と全く意見は同じなんですが、最初、藤原委員が、当該機関にとって個人情 報かどうか、つまり連結可能な場合もその対応表を残している場合にはその機関にとっ て個人情報かどうかという発言をされたんですが、機関にとってではなくて、誰が何を 扱っているかということに対して、個人情報かどうかという観点で見るべきではないか と思います。 ○藤原委員  この点は、私としては事務局の意見は確認しておいたつもりだったんですが、どうも 齟齬があったようで失礼しました。ただ、この2つ目の図については、今両先生おっし ゃったような考え方があり得ることはよくわかりますが、国民から見て国立大学何々法 人と言ったときに、部門が違うからこれは違いますよという説明ができるかどうかで、 私としては多分そちらの説明の方が難しいのではないか。同じ大学にありながら、先ほ どゲノムとおっしゃいましたが、そのゲノムの情報に関しては、そういう説明はなかな か苦しいのではないかと。  それから、御懸念のいろいろなところも、何々大学法人ということで外から管理して いる部門を捉えて種々の請求をされたら結局は同じことになるので、それほど実益がな いんじゃないかと思いまして、私としての整理をさせていただきましたが、ここは先ほ ど来座長がおっしゃっておられるように時間もないところですので、私の意見は意見と して、また整理は整理として述べますので、もしここの多数がそうではないということ なら、それは今後国政審とかそういう場で再び、全くここに入っていない第三者がどう 思うかという点で検討していただいても私は結構だと思います。相対的に見るというの をどう見るかというのは、今両先生がおっしゃったように難しい問題があることは事実 だと思います。それは企業の部門でも同じような問題が生じますので。 ○垣添座長  それでは時間もありますので、「個人に関する情報」の分類ということに関しては、 事務局が提案されましたように、あるいは藤原委員から御説明いただきましたように、 個人に関する情報A、Bは指針の対象であるけれども、C、Dはゲノム指針の――間違 いました、個人情報保護法、法律の対象であって、C、DはA、B、C、Dすべてを含 めてゲノム指針の対象という整理にさせていただいてよろしゅうございましょうか。  ありがとうございます。 ○江口委員  この「個人に関する情報」の分類、これは賛成です。しかしながら、ここの試料等が 個人を識別することが不可能な情報となる範囲について、ここの真ん中の青と白のとこ ろについては藤原委員の見解に近いです。ただ、分け方としてどのように分けるかとい うことに関して言えば、この研究機関というのが倫理指針で言う研究機関の長というと ころでの研究機関であるならば、私は反対です。倫理指針において。研究機関の長とい うのが、例えば医学部長というのは研究機関の長になっていると思うんですが。それで あれば、同じ医学部の中であればこういう青と白には分けられないと。しかしながら、 研究機関の長が医学部である、実際に解析するのが他の理学部であったという場合に は、白になっておかしくないというふうに思います。倫理指針で言うところの言葉を使 って、この青と白は分けていただきたい。 ○垣添座長  この3枚目の資料の研究機関の中の青と白の部分の整理ですね。 ○吉倉委員  私も江口先生の御意見、同じような意見を持ちました。それで、同じことは企業で、 個人が遺伝子診断をやってもらっているんですね。そういうのは今度はこのスキームだ とできるのかできないのか、その辺いかがなんでしょうか。大学と同じような、ちょっ と似ていますが。 ○高山研究企画官  先生がおっしゃられるのは、企業が商業ベースでやられるということになりますと、 申しわけありませんけど、この場では医学研究のところ、学術研究のところを中心とし て議論しておりますので、私ども思いまするに、医療との関係であれば、医療関連産業 であれば、厚生労働省の中の医政局において検討すべき課題で、もし、中において医療 と関係ないということであれば、どちらかというと経済産業省さんの産業における指針 の方が適用になるのではないかと思います。それで、じゃあ今この場でどうだというこ とになると、はっきり結論を申し上げられないというところでございます。 ○吉倉委員  対象としないということであれば、それで十分です。 ○勝又委員  ちょっと確認なんですけれども、研究を進める上で、先ほど吉倉委員の方からも話が あったんですが、抽出を請け負ったり、あるいは検査を請け負う会社もどんどん利用さ れてくると思うんです。そのときの考え方は一応確認しておいた方がいいかなと思った んですが。というのは、連結不可能な情報だけで来ると法律上は関係がないことになり ます。じゃあ研究指針でカバーするかというと、研究指針の方も研究を目的としている 機関ではないということになりますね。そうするとそこは指針でもカバーがしにくいと いう気がするんですが、そういうことは、それはやむを得ないということで整理するの かどうかを確認したかったんですが。つまり、どこもコントロールがないということに なりませんか。 ○高山研究企画官  研究分野、研究を実施するに当たりまして、分析だけを外部に委託するというケース もありまして、それについては、この中におきまして、外部に委託する場合についての 手続、監督とか規約などの言葉が出てきますけど、それについては規定しております。 それ以外として、一つは医療において外部に検査を委託する場合につきましては、もち ろん医療の方につきまして、法の適用等をうたっている部分については、今日もちょっ と医政局などにおけるガイドラインにつきまして、法の解釈につきまして資料を提出さ せていただいたところでございますし、あるいはその中において、商業ベースのところ について医療の関連産業の部分がございますので、今日はちょっと持ち合わせていませ んので、どこまで検討しているか今申し上げられませんけれども、御懸念については、 この医療産業の関係であれば医政局の方が担当になると思いますので、改めてそれにつ いて、御懸念あったことをお伝えしたいと思います。 ○勝又委員 基本的には依頼するところが責任を持つという解釈で行くということです ね。わかりました。 ○垣添座長  大体そういうことだと思います。ありがとうございました。 ○黒木座長代理  先ほどの江口委員及び藤原委員の御意見についてなんですけど、この表の研究機関の 中で右と左に分かれていることですが、個人情報管理者というのがガイドラインの中で 非常に厳格に定義されて、守秘義務が課せられているわけですから、同じ機関の中であ ってもそれは特別心配する必要はないのではないかと思います。外から見た場合という ことを藤原委員がおっしゃいましたけれども、そもそも倫理委員会というのは、同じ機 関の中につくった倫理委員会ですから、そこが審査しているわけです。そこはきちんと した審査をするという前提になっておりますので、同じように管理者も同じ機関の中に いても、僕はそれが厳密にガイドラインが守られる限り問題はないと思います。 ○辻委員  先ほどの遺伝子診断に関することなんですが、最近は検査会社に出すことは増えてい ると思うんですが、そのときのルールはどういうふうになるんでしょうか。つまり個人 名を出さずに出すやり方なんかも、実際にはかなり工夫しているんですが、診療との関 連では、匿名化とか必ずしもなじまないといいますか、そういう大げさなことはかえっ て診療がスムーズにいかないという面もあるんですが、実際にそういうことで企業に出 す例はふえているんですね。そこをどう整理するかというのを検討課題かと思うんで す。 ○福嶋委員  今の辻先生の言われたことについては、現在いわゆる検査センターでは、日本衛生検 査所協会という協会をつくって、そこで内部の指針をつくっています。そこのルールと しては、遺伝情報を扱う場合には、匿名化した検体を扱うということになっていますの で、それが厳格に守られれば、ここで言う匿名化した検体が外に出てそれを解析すると いうことになりますので、個人情報を扱うということは避けられていると思います。で すから、その衛生検査所協会に所属している検査会社にとってみれば、そういうことを 匿名化された検体だということを確認して受けるというルールになっています。ただ、 これに所属していないベンチャー企業などが出てきていて、それの縛りがどこもかから ないという問題があるのは事実だと思います。 ○辻委員  僕の質問は、逆に今福嶋委員が匿名化とおっしゃったんですが、その管理の仕方のル ールというか、あまり決まってないのではないか。大規模研究する場合はきちっとした 個人情報を管理者がいて匿名化するわけですけど。 ○垣添座長  もっと小さい規模の臨床検査のような。 ○辻委員  ええ、臨床検査に近いところで出すケースがふえてきていて、一応匿名化で出すとは 言っても、実際に医療機関で匿名化をどう管理するかというのはルールも何もないと思 うんです。 ○垣添座長  おっしゃるとおりで、これはこの会議の最初のときにも少し議論があったと思います が、きょうの資料の中に加わっております、樋口座長に対して私の名前で、この検討会 の座長の名前で申し入れましたのは、まさにその点だという気がいたします。つまり医 療機関における個人情報のあり方に関する検討会で、今のような遺伝子、あるいはゲノ ム情報に関する取り扱いをぜひ検討していただきたいという申し入れをしましたので、 それで整理させていただければと思います。よろしゅうございましょうか。  それでは、一応「個人に関する情報」に関しては、基本的には事務局から御提案いた だいたとおりに整理させていただきます。  続きまして、もう一つ個人情報保護法の定義について、資料1−2の2つ目の四角で すか、「他の情報と容易に照合することができ」云々で、特定の個人を識別できること となるものを含むと、その「容易に」を入れるか入れないかという議論がありました が、これを削除するということでこれまで議論されてきたと思いますが、その整理でよ ろしゅうございましょうか。つまり、より厳密に照合のことを規定するという整理でよ ろしゅうございましょうか。  ありがとうございます。  それから、あと資料1−2に関して、利用目的の特定、利用制限、利用目的の通知、 それから、適正な取得、データ内容の正確性の確保、安全管理、ここまでは前回ずっと 御議論いただきましたので特に触れませんで、第三者提供の制限というところで、四角 でくくられましたように、提供者の血縁者への開示について、まだもう少し議論がある かと思いますので、ここに関して何か御意見があったら御発言ください。これは1−1 からいきますと18、19、20、21ですが、この部分に関して御意見をいただきたいと思い ます。  代諾者からの開示の希望があった場合に、指針では、代諾者が開示を求める理由、ま たは必要性を倫理審査委員会に示した上で、当該委員会の意見に基づき研究機関の長が 対応を決定しているということです。  一番下のところに、代諾者のうち親族又はそれらの近親者に準ずると考えられる人に ついても、提供者の個人情報を提供することは妥当であるというような整理でしょう か。  それから、22ページには、血縁者の生命に重大な影響がある可能性がある場合と規定 していて、法律のこれこれに該当するものと考えられ、第三者である提供者の血縁者に 開示を認めることについては、法の趣旨を踏まえた対応がなされているということで、 ゲノム指針のとおりですね。 ○吉倉委員  この19ページの細則でちょっと細かいかもしれませんが、「研究責任者は、代諾者に ついて、一般的には」とこう書いてあるんですが、この「一般的には」と入れたのは、 例外があるということでしょうか。 ○位田座長代理  私もこの代諾者に関する規則を議論したときに、完全に100%覚えているわけではな いので間違っていたら訂正していただきたいんですが、ここに上がっている1、2です ね、任意後見人云々、それから提供者本人の配偶者云々というのは、法律で、代理をする人はこの人とか、代諾できる人はこの人と決まっている場合か、もしくは親族という ふうに考えているのですが、例えば、いわゆる同棲しているカップルの相手方という人 が代諾をするのが適当であるケースもあり得るであろうと。  特に高齢者になってくると、例えばこれは非常にレアなケースなので、そういう意味 で「一般的に」とここに書いてあるんですが、例外的に、例えば高齢者で身寄りはほと んどないんだけれども、そのときに一緒に住んでいる人がいて、身の回りの世話も全部 その人がやっているというケースの時に、その人に代諾を求めるということはあり得る であろうと。  ただ、実際に身寄りの人が出てきて、問題になるケースがないわけではないとは思い ますが、そういう意味では、この人達だけと言ってしまうと抜け落ちるケースがあり得 るというふうに考えられので、「一般的には」という形にしたんだと私は記憶している のですが。 ○南条委員  議論に全然参加していなかったので御迷惑があるかもしれませんが、今の話などの場 合ですけれども、他ももう一点ちょっと気になるところがあるんですが、この言葉の表 現でかなりこれは穴ぼこになってしまう、御専門の方にとっては大丈夫と思われるかも しれないけど、という感じがあってお聞きするんですが、この「一般的には」というの はなくても、1、2の2の方の一番最後の方に、「それらの近親者に準ずると考えられ る人」というのがあるから、そこでさっきおっしゃったようなことは包含されるんじゃ ないかなという感じがするんです。だから、「一般的には」というのを入れてしまう と、ほかにも拡大解釈がどんどんされてしまうんじゃないかと思うんです。  それと同じように、「原則として」というのがかなりあちこちにあるんですが、原則 としてと書いてその後で細則をセットとして入れるとすれば、「原則として」と書くよ りも、細則に定めるほかは云々とやった方が明確になるのではないかと。そうしない と、細則以外にも原則としてというところで、もっとほかにも開示していいようなもの があるのかね、という印象が出てきてしまうんじゃないかという、この辺は今までの議 論の中でそういうものがあってクリアされているかもしれませんが、その手前の方でも かなり原則としてというのがあって、その後で細則がセットで出てきているので、でき れば細則で、以下に定めるもののほかとか何かした方が明確で、きちっとできると思う んです。 ○垣添座長  わかりました。ありがとうございます。このゲノム指針の条項の見直しをするとき に、今の南条委員の御意見を参考にさせていただきたいと思います。  それでは、この個人情報保護法の定義との関係で、「他の情報と容易に」という、照 合できるというこの「容易に」を削除するという整理でよろしゅうございましょうか。  ありがとうございます。  それでは、資料1−2の裏のページに参りまして、保有個人データに関する条項、保 有個人データの開示、利用停止、開示を求める際の手続及び手数料、理由の説明、これ らは前回議論いただきましたが、最後に、新たに出てきた話として苦情処理の話があり ます。資料1−1では一番最後のページになります。33ページになりますが、これに関 して御発言いただければと思います。  整理としては、苦情処理については、指針においても規定されており、法の趣旨を踏 まえた対応がなされているが、苦情の窓口として、提供者又は代諾者等が申し出のしや すい窓口を設置するよう配慮されるよう追記する、という考え方でありますが、それで よろしゅうございましょうか。 ○吉倉委員  先ほど質問したことと関係があるんですが、この表で緑と青と白になっています。そ れで、これは流れというのは緑から青に行って白に行くわけですね。そうすると今の苦 情処理の矢面に立つのは一体どこか、緑色の人か、青の人か、白の人はまず無関係と、 そういうような理解でよろしいわけですか。どの辺が法的な責任者になるんでしょう か。 ○垣添座長  これは事務局、何かありますか。私はこの真ん中のブルーの部分かなと思いますけれ ども、いかかでしょう。 ○高山研究企画官  事務局としましても、個人情報とつながりのあるところになりますと、この表におけ る緑は提供者本人ですし、白のところは匿名化されて対応表がなければ識別することが できないので、青の部分かと思います。 ○垣添座長  よろしいでしょうか。  ありがとうございました。  それでは、一応資料1−1と1−2に沿って御議論いただきましたが、これをとりま とめたのが資料1−3ですけれども。 ○高山研究企画官  もう一点だけまことに恐縮ですが、御確認いただいておきたいところがございまし て、資料1−1の10ページから11ページにかけて、利用目的変更時の本人同意について という部分がございまして、前回と整理の仕方を変えてないんですが、前回ちょっと最 終的な結論が議事録等で確認できなかったもので、こういう整理でよろしいかどうかだ け、念のため御確認いただければと思います。 ○垣添座長  これは、どこが問題でしたか。 ○高山研究企画官  御確認だけでございます。 ○垣添座長  11ページ、「本人の同意を得ないで試料等を利用する場合として、指針では社会的利 益の貢献が大きな研究に限定しており、すなわち法第16条第3項第3号の例外規定の 「公衆衛生の向上」の要件の該当性について、倫理審査委員会において審査されると考 えられること、さらに、法第18条については、この場合は指針で公表することが規定さ れていることから、法の趣旨を踏まえた対応がなされているものと考えられる。」、つ まり、今のゲノム指針、特にいじらなくてもいいという整理ですね。  いかがでしょう。よろしいでしょうか。  はい、ありがとうございます。 ○小幡委員  ちょっと1点だけよろしいですか。前回のやりとりでちょっとはっきりしなかったこ との確認なんですが、個人情報の定義がこういうふうになったので、私もこれでよろし いと思いますが、利用停止がきたときの場合ですが、この場合は連結可能匿名化のとこ ろの対応表を持っている研究機関のところが、氏名のところの対応表のそこの当該部分 だけを削除してそれでもう足りると、そういう整理でよろしいですね。ちょっと前回違 うやりとりがあったものですから、そこだけ確認したいと思いまして。ということにな ると思うので、この定義で言えば。 ○垣添座長  何か御意見ありますか。  よろしいですね。では、前回の議論どおりということでよろしくお願いします。 ○位田座長代理  多分今のところは、4ページの、連結不可能匿名化された場合もしくは連結――4ペ ージの一番下のポツの(1)のところですが、連結不可能匿名化された試料と連結可能匿 名化された試料で同意が撤回されたとき、そういう想定ですよね。ここでは、その撤回 の場合の廃棄とか開示要求等に対応することは物理的に不可能であるというふうに書い てあるんですが、物理的には可能なケースがやはりある。対応表が残っている以上はあ るんだろうと思うので。連結不可能匿名化にすると物理的に不可能になると思います が、そこのところは連結、同じ個人情報ではないというCとDですか、CとDについて は廃棄から開示要求等についての取り扱いと、それから連結不可能匿名化、Dの場合の 取り扱いと少し区別する必要があるんじゃないかと思います。物理的に不可能というの は当たらないと思っているんですけれども。 ○高山研究企画官  青い資料の方で現在の指針がついてございますが、ゲノム指針の方が参考資料1−2 に。その13ページの方に(5)で、これはインフォームド・コンセントの撤回があった 場合という規定がございまして、原則として当該提供者にかかる試料等及び研究結果を 匿名化して廃棄しなければならないと。ただし、廃棄の例外に関する細則がございまし て、以下の場合は差し支えないということにつきましては、1つは連結不可能匿名化さ れている場合と、もう一つは廃棄しないことにより個人情報が明らかになる恐れが極め て小さく、かつ廃棄作業は極めて過大である等やむを得ない場合と。また、研究結果が 既に公表されている場合は、研究結果については廃棄しなくても差し支えないというよ うな現在の規定でございまして、これに従いまして、必要に応じて中の倫理審査委員会 に相談するなどして適切な処理をされるものと思われます。 ○位田座長代理  私も基本はそうでいいと思うので、物理的に不可能というのは違うだろうと。したが って、私は小幡委員の御質問は妥当だと思っているんですけど。一緒に扱うわけにはい かないでしょうと。 ○小幡委員  そうなんですけど、今の事務局の説明でなくて、要するにCがDになるわけですよ ね。そこで本物匿名化するわけですね。普通はそういうふうになるという理解でよろし いですね。と思ったんですけど。いいです、また混乱するといけないから。前回ちょっ と、いつまでも、もう既に連結可能匿名化で言っているものについては追跡してという 話があったものですから、そういうことではないんだろうなと、この仕切りではという 確認をしたかったわけです。 ○位田座長代理  私の整理では、ある程度の段階までは対応表が残っていて、指針の規定では、非常に 大きな負担が研究者の側にかかる場合には、倫理審査委員会にもうこれ以上は廃棄でき ませんという、例えば申請なら申請して認めてもらえば、もうこれはDの場合と同じよ うに扱う。しかし、ある段階までは対応表が残っている以上、廃棄することがそれほど 大きな負担を研究者にかけなくてもできるという場合には、廃棄はしてもらおうと。だ から幾つかの段階に分かれると思うので、その判断を倫理審査委員会がやるという整理 でいいんじゃないか。だから、何でもかんでも連結可能匿名化してしまえば廃棄できな いという話ではないだろうと思います。 ○垣添座長  そうですね。よろしゅうございましょうか。  それでは、資料1−3に沿って、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」 と、それから個人情報保護の関係の見直しについて、事務局からとりまとめの説明をい ただけますか。 ○高山研究企画官  今日もいろいろ御議論いただきまして、ありがとうございました。先ほどの整理され たものにつきまして、見直しの方向性についてという形で資料1−3で整理させていた だいたものでございまして、1つは、個人情報の定義と連結可能匿名化及び連結不可能 匿名化された情報の整理を行うという形で、現在のものについての見直しの作業に入り たいと思います。あと、データの正確性の確保に関する規定を追加する。1枚おめくり いただいて、安全管理措置にかかる規定を追加する。1枚おめくりいただいて、訂正及 び利用停止にかかる規定を追加する。そして、おめくりいただいて、開示等の求めに応 じる手続及び手数料にかかる規定を追加する。理由の説明にかかる規定を追加する。そ して最後のところとして、苦情処理の窓口の設置について補足する、という形でござい まして、特に御議論いただきました個人情報の定義と匿名化のところは十分整理いただ きましたので、その方針に従いまして、この指針について同改正点については事務局の 方で整理させていただいて、ここで整理していただいたものをもとに、次回最終的に告 示の改正案にした形で提出させていただきますので、その際に御確認いただければと思 います。 ○垣添座長  そのような方向でよろしゅうございましょうか。  もし軽微な文言の修正その他がありましたら、これは恐縮ですが、座長及び座長代理 及び事務局の方に御一任いただければ幸いです。もちろん大きな問題がありましたら、 またこの検討会に差し戻しをいたしますが、よろしゅうございましょうか。 ○辻委員  本当にしつこくて申しわけないんですけど、その個人情報保護に関する見直し以外の 見直しについて、具体的に踏み込んで作業はしないということでしょうか。 ○垣添座長  私時間のことで先ほど少し強い調子で申し上げたかもしれませんけど、これから2番 目の議題に当たります、研究の進展等に伴う見直しということで、当然その中の議論 で、研究の進展に伴う見直しですから、取り入れられるところは取り入れてまいりま す。 ○辻委員  この機会ですので、ぜひそれは前向きに具体的に検討いただきたいと思うんです。 ○垣添座長  私も基本的にはそういう立場でいるんですけれども、とにかく、スケジュールが非常 に厳しいということで。 ○辻委員  そういうことで事務局にも確認したいんですが、これだけで終わるわけではないんで すよね、作業は。いや、これはとても大事なことだと私は思うんです。 ○高山研究企画官  前回からお願いしておりますとおり、個人情報保護法の関係でまず御整理いただい て、それで一つの区切りとして整理したものを挙げていただくと。その後になります が、本日も御議論いただいて本日整理していただいたところについて、告示の改正の準 備が間に合えば、合わせて次回改正文について御説明させていただきたいと思います。  それとともに、一方では国会の附帯決議などで法制化について検討、法制化すべきど うかということについて、ガイドラインのままでいいかどうかということですけれど も、それについてそれぞれのところで意見を伺って御検討しなさいということも求めら れていますので、その議論もいただいて、ガイドラインのままでいいのか、法制化とい うことも、個人情報保護との関係で御議論いただくという形の後といいますか、その 後、研究の進展でさらに見直すところについて論点をあぶりだして、さらにいい指針に していきたいという形で考えてございまして、時間的に今どうだという形のことは申し 述べることはできませんけれども、お願いとしては、まず個人情報保護法との関係での ガイドラインの整理、それについて法制化についてどうするかという議論について一定 の結論をいただく、それとともに研究の進展等の見直しについて十分議論をいただくと いうことかと思います。 ○具嶋委員  今の御意見でもよくわからなかったんですが、結局は、垣添先生が言われたように、 5年以内の見直しで再来年の春になるのか、告示の改正で来年になるのか、その辺を教 えてください。 ○高山研究企画官  冒頭申し上げましたとおり、政府全体の中でこの個人情報保護法にかかるもの、個人 情報保護にかかるものについてとりまとめを行っている内閣府よりおり、個人情報保護 法との関係で整理を行って、その結果について11月中に告示を行ってくださいというよ うな要請がございまして、その関係から逆算して、またパブリックコメント等の手続を 考えますと、次回の委員会あたりで一度告示の改正案を御審議いただいて、御了解いた だいた上でそういう手続をして改正に持っていきたいということがございます。  そうしますと、これから終了時点まで一度、研究の資料2に従いまして御議論いただ いたものについて、結論の得られたものについて、得られたものにつきましてはそちら に盛り込めるかと思いますが、時間の関係上、さらに慎重に議論すべきものについて は、告示の改正の手続関係の御議論をいただき、その後、法制化の御議論をいただいた 後に十分御検討いただければと思います。その時間について、すぐ結果が出るものなの か、あるいは相当時間のかかるものなのかということは現時点で予測できないのもござ いまして、その関係からいくと、5年後先にしかやらないのかということについては、 そういうものではございません。 ○上田厚生科学課長  端的に言うと、来年の4月に個人情報保護法が施行される。これまでにいろんな指針 については整合性を持たなければいけないということで、これを作業したい。ただ、4 月1日ですから関係者の準備もありますから、できるだけ早く告示しなければならな い。そのおしりを我々は11月だと思っております。それ以外のことについては、これか ら1時間ぐらいその議論をさせていただきますから、間に合うものは入れますが、当然 継続的に審議しなければいけないものが出るわけですから、それは改めて議論したい。 それはこの場をかりて延長して、例えば11月以降延長してやるのか、改めてまたやるの か、そこは検討させていただきたいんですが、いずにしても、議論は我々として続けて いきたいと。ただ、今現時点では、個人情報保護との整合性をとるため、それから準備 期間、予行期間というのがございますから、11月までに、まず個人情報保護との関連の 部分だけは議論していただきたい、こういうことでお願いしたいと思います。 ○江口委員  資料2について、今日合意ができれば、倫理指針を変えることはやぶさかではないと いうことですよね。 ○垣添座長  それはそのとおりです。ですから、今日議論された部分は当然スケジュール的に間に 合いますので、それはできるだけ織り込んでまいります。ただし、もっと十分な議論を しなければいけない部分に関して、日程的に非常に厳しいところがあるということで す。 ○上田厚生科学課長  ですから、早く、第2部の方の議論に入っていただいた方がありがたいんですけれど も。 ○江口委員  資料2の議論を始めた方がいいと思います。 ○吉倉委員  この前私が申し上げたのは、生きている、生存するという個人に関する情報、この件 は結局どうなったのかよくわからないんですが、個人情報保護法の場合は、生存すると いうのが入っておりまして、今のところの議論だと、この辺のところはどう取り扱うの か私ははっきりわからないんですが。例えば、死んじゃってその孫あたりがおじいさん の情報について文句を言うとか、いとこ、はとこが文句を言うとか、そういうのがあり ますので、生存する個人情報とは何かというのを、もう少しはっきりさせていただきた いと思います。 ○垣添座長  あれは前回の議論はどうなりましたっけ。 ○高山研究企画官  資料1−1の10ページのとのころに整理されています。10ページの代諾者等への同意 のところで一応の整理がされていますが、その最後の方として、真ん中の方の空白があ る2、3行上で、「なお、法では「個人情報」は生存する個人に関する情報であり、死 者の情報は含まれていないが、指針ではこれも保護すべき対象として、代諾者等の(遺 族)の同意を求めることとしている。」という形で、もちろん死者の情報であっても、 生きている個人に関係し得るものがありますので、それは指針としても保護すべきだと いうことだと思います。 ○垣添座長  個人情報保護法とゲノム指針との間でちょっと違いがありますが、このゲノム指針の 方では、死者の情報も含めるという整理だったんですね。 ○吉倉委員  ということは、これは死者の情報というのは、代諾者にかかわる情報であれば、死者 の情報は生存している人の個人情報と、そういうぐあいに細則を援用すればいいという ことでしょうか。 ○高山研究企画官  研究の中でどういう情報を含めて研究の対象となるかということもあるかと思います し、例えばこの中でもあると思いますが、亡くなられた方で一定の同意を得て組織等を 残されている。その中で改めて解析したい場合については、倫理審査委員会にかけて、 こういう条件でやりなさいというところについて、残った遺族の方にきちんと説明して 再度同意をとって活用するということもありますので、その場合は死者と生きている個 人がつながるものについても、生きている個人を特定し得るような情報の関係について は指針で十分配慮しているかと思います。 ○吉倉委員  くどいんですが、要するにこの細則の2の代諾者の選定の基本的な考え方に関する細 則、これに該当する人がいる限りは、生きた個人情報と考えるわけですね。 ○豊島委員  吉倉委員の聞いておられる答えに、高山さんのはなってない。だから、法律で縛られ るところではなってないけれども、指針では縛られると、そういうことです。ですか ら、そこは明確な区別があると考えた方がいいと思います。 ○垣添座長  私も先ほどそう申し上げたつもりですが。よろしいでしょうか。  ありがとうございます。  それでは、資料2に沿って、研究の進展等に伴う見直しの論点に入りたいと思います が、まず事務局から何か御説明いただくことはありますか。 ○高山研究企画官  資料2の研究の進展等に伴う見直しの論点について、これは1回目の合同開催におき まして、いろいろ御議論いただきましたものを、各項目に従いまして論点を整理し、後 の方の関連のゲノム指針の規定も後ろにつけておりまして、議論いただけるような形で 整理させていただいたものでございます。  それで、定義で論点、対応案、あるいは対応のイメージ例という形でそれぞれまとめ られておりまして、基本的考え方から以下整理してございますので、それぞれ項目につ いて御議論いただければと思います。 ○垣添座長  もう一つ、研究の進展等に伴う見直しの論点について、前々回出た方向性ということ で配られていると思いますが、丸が前回結論、あるいは方向性が得られていない論点、 黒丸が前回おおむね結論が得られた論点、二重丸が今回追加された論点ということで、 二枚紙に整理させております。  そういう観点からしますと、まず基本的考え方では、遺伝情報の定義については1ペ ージ目、遺伝情報(ジェネティック・データ)の定義についてということで、論点は、 遺伝情報について、その対象と定義をより明確化する必要があるかということで、対応 案としては、基本方針の中でヒトゲノム・遺伝子解析研究は、「遺伝情報」が子孫に受 け継がれ、個人の特質や体質を示すことを踏まえ実施することを、一層明確化すること でよいか。  具体的には、基本方針として、本指針は、ヒトゲノム・遺伝子解析の過程を通じて得 られる遺伝情報の特質を踏まえ云々ということで、その下に注がついておりますが、こ ういうような取り扱いでよろしいかどうか、これに関して御意見いただければ幸いで す。  その次のページに、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の関係した部分が 四角の中に納められています。  1ページ目の一番最後の行に、「子孫に受け継がれ得る情報で、個人の遺伝的特徴や 体質を示すものをいう。」というような定義として整理されておりますが、これに関し て特に御意見ありませんか。  よろしゅうございますか。ありがとうございます。  それでは、次はプロテオームの情報についてということですが、これは前回、前々回 ですか、プロテオーム全般は対象としない。これに関しては「現行指針どおり、子孫に 受け継がれ得るゲノム又は遺伝子に関する情報を明らかにする目的で研究が実施される 場合のみ指針の適用を受けることとする」と。この研究をやってる最中に、偶然の事由 によって遺伝情報が得られた場合には、当該遺伝情報は匿名化して廃棄することとし、 他の機関に提供する場合には連結不可能匿名化する手続を規定する。これは特例とし て、遺伝情報にさかのぼっていくような情報に関しては気をつけるけど、それ以外に関 してはこの指針の対象としないという整理になっていたと思いますが、それでよろしゅ うございますね。 ○具嶋委員  偶然の理由により遺伝情報が得られた場合に、匿名化して破棄してしまうという点が よく理解できません。もしこの情報が患者さんに医療にとって非常に有用なものであれ ば活かすことができないのかお聞きしたいと思います。 ○辻委員  例えばそういう場合は、当該機関の倫理委員会で審査して対応策を検討するとか、い ろんな意味で有用な場合もあるというのは御指摘のとおりと思いますので、一律廃棄と かと決めない方がよろしいのではないでしょうか。予測できないことも結構あると思い ますので。 ○垣添座長  ほかに御意見ありましょうか。 ○廣橋委員  同じです。 ○安藤生命倫理・安全対策室長  この規定を、このポツの2つ目を書かせていただいたのは、偶然出た遺伝情報をさら に突き詰めて研究しようという場合は、これはまさにポツの1つ目に書いてあります、 「ゲノム又は遺伝子に関する情報を明らかにする目的で研究が行われる」と、ここにか かってきまして、したがって、このために必要な手続というものはこの指針に沿って考 えられることになるだろう。そうではなくて、たまたま遺伝情報だけが得られてしまっ た。ただ、そこを突き詰める研究はもうしない。引き続き、たんぱく質の構造のみ研究 を続けるという場合に限って言えば、丸ポツの2つ目のように、当該得た遺伝情報につ いては廃棄するといった手続等が考えられるのではないかということで、そこは分けて 書かせていただいたものでございます。念のためでございます。 ○江口委員  廃棄する場合も、この文章だけであれば、当該研究者が倫理委員会に諮ることもなく 廃棄すればいいというふうな感じになるので、辻委員、具嶋委員の主張のように、全体 は倫理委員会に諮って、そこに従って処理すればいいんだろうというふうに思うんです けれども。 ○垣添座長  御意見は大筋、倫理審査委員会に諮ってその取り扱いを判定してもらうという整理が 大勢かと思いますが、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。  それでは、次は透明性の確保に関する視点です。3ページ。これは論点は、地域住民 等、一定の特徴を有する集団を対象に研究を行う場合、いわゆる疫学研究ですか、研究 の実施前及び実施中において関係者・集団の意見を聴く手続を規定する必要があるかと いうことに対して、対応案としては、地域住民等、一定の特徴を有する集団を対象にし た研究を行うゲノム疫学研究においては、地域及び集団の遺伝的特質を明らかにする可 能性があることから、以下の内容を規定する。対応のイメージの例ということで、十分 説明し、かつ研究の進展に努め、研究実施中も研究に関する情報提供を含め地域住民等 との継続的な対話に努めなくてはならないということでありますが、いかがでしょう か。 ○福嶋委員  ここに「継続的な対話」という言葉が出てくるんですけれども、なかなかイメージし にくいんですね。例えば日本人特有な遺伝、ゲノム情報を得ようという研究の場合、ど うやったら日本国民全体と対話できるかということになると思うんです。 ○垣添座長  もう一歩、具体的に言えば。 ○福嶋委員  集団に、いろんな対話、継続的な対話と書いてありますね。情報提供ならできると思 うんですけど、対話となると集団を対象とした場合、なかなか。対話というふうに記載 されるとやはりイメージが。 ○垣添座長  そうすると情報提供等とか何か。 ○福嶋委員  情報提供であればいいと思います。 ○佐々委員  前もお願いしたんですけど、やはりこういうことで情報提供とか、できれば対話がで きることがすばらしいと思いますが、それについては特定の地域のみならず、日本全体 の教育ということについて、どこかで必ず触れていただきたいと思うんです。それで、 先ほども一つの機関に見えるかどうかという話がありましたけど、やはり国民にきちん と、さっき具嶋委員が言われたように、こういう研究はみんなの平和や幸せのためにや っているんだと見えるようにしてください。悪い事件ばかり出てくるので不信にはなり ますけど、やはり指針や法律はあくまでも性善説で、みんないい方のためにやっている という姿勢で検討していただいて、文章はつくっていただく方が国民の方も気持ちがい いと思うんです。そのためには難しいけれども一応「対話」として、やはりこれには対 話ができるような教育の基盤とか、それから学校教育ばかりでなく、社会教育において もというような事柄をどこかに入れていただきたいと思います。 ○垣添座長  そうですね、対話と書かれると、確かに集団を相手にしてなかなか難しいところがあ りますから。 ○豊島委員  確かに対話するということは難しいことは難しいんですが、努力しろで。しなければ いけないんじゃないですから、努力はしたらいいと思うんです。例えば今の30万人プロ ジェクトの場合には各地区、北海道から九州まで全部どこででも必ず説明会は開いて、 そのときに質問条項はいただいて、それに対して答えられ範囲でできるだけ答える、時 間いっぱい答えるように、あるいは時間の後で来られても答えるようにしていますの で、努めるということはそれでいいんじゃないかと。努力目標ですから、できるだけし た方がいいと思っております。 ○垣添座長  わかりました。では、情報提供とそれから対話の努力ということを加えさせていただ きたいと思います。  それから、もう一つ御指摘の教育の重要性は皆さん御異論がないと思いますので、こ れはどこに含めるかちょっと今私も御案内はできませんが、ちょっと事務局で検討させ ていただきたいと思います。 ○位田座長代理  対話という言葉が妥当かどうか、適切かどうかという問題だけの話で、情報提供とい うのは一方通行なので、これでは困りますよという話だと思うんです。対話という言葉 を使うかどうかはちょっと事務局にお考えいただいた方がいいかと思います。 ○垣添座長  わかりました。  それでは先に進ませていただきます。次は、国際共同研究における指針の運用の考え 方についてということで、3ページ、今の一番下の段落ですね。相手国に指針がない場 合や相手国の指針等と内容が異なっている場合における我が国の指針運用の考え方につ いて。それで、海外との研究のあり方について、我が国の基準に従わなくてよい例外の 内容を次のとおりということで整理されておりますが、いかがでしょうか。これも大分 議論がありましたが。 ○福嶋委員  これもその研究機関の倫理委員会が審査するということになっておりますが、それぞ れの研究機関で相手国の状況を審査するというのは、ほとんど不可能に近いんじゃない かと思います。それで国際共同研究の場合には、ユネスコ宣言に準拠した研究計画であ るということの保障を相手国の研究責任者と取り交わすような覚書があれば、それで十 分なのではないかと思います。 ○垣添座長  ユネスコ宣言に準拠するということでよろしいのではないかということで。 ○位田座長代理  そういう覚書を交わされるのはいいんですが、その覚書の内容が本当かどうかという のを審査するのはやはり倫理委員会になるので、同じだと思います。つまり、相手国の 状況がどうであるかということを研究者御自身が倫理審査委員会に説明する。それはや はり必要だと思うんです。それを覚書を交わしたからこれでいいでしょう、という話で はないと思います。  なかなかわかりにくいというのは、それは研究者御自身は相手国といろいろやりとり されているはずなので、あなたの国の例えばゲノム研究に関するガイドラインがありま すかということはお聞きになれるでしょうし、なければないで、どういうふうにやって いるかということもお聞きになられるでしょうから、それについての情報を倫理審査委 員会に出されれば、そこで審査委員会が判断すると、そういう話だと思います。 ○吉倉委員  ユネスコ、WHOのガイドラインは、たしか20年くらい前ですか、既にあると思うん ですが、内容を見ると、こういうことをやりなさいと書いてあるだけなんですね。だか ら、あれに合意しても、実際どうかというのは、むしろあそこのガイドラインにあるの は、こういうことをやれということが書いてあったり、何をやれというのはきちんと書 いてないと思うんです。だから、ちょっと福嶋委員と大体同じような意見なんですが、 それに沿ってこういう合意文書をつくるというのが正確なのではないかと思います。 ○垣添座長  なるほど。ユネスコのガイドラインに沿った……。 ○吉倉委員  内容は大体これと同じです。だから、それに沿って次のようにやるというのでいい。 ○垣添座長  最終的には、施設の倫理審査委員会の承認を得るということですね。  今のユネスコ等の話をここの文章に加えるかどうかですが。要らないですか。 ○福嶋委員  相手国の研究の進め方の責任者は、相手国の研究代表者だと思うんですね。そことの 契約がなされているのであれば、相手国がどういうふうにやるかということの責任ま で、日本の研究者が責任を持つ必要はないんじゃないかと思うんです。 ○垣添座長  そうすると、また問題が出てくるかな。 ○位田座長代理  そこはもちろん信頼関係なので、相手国の研究者が善意でというのはいい意味の善意 ですが、きちっと自分の国のガイドラインなりやり方なりを守ってやってくれるという 場合には問題はないと思いますが、しかし場合によって、これは日本の研究者はそうで ないとしても、ほかの国の場合にはしばしばあったケースですが、結局は先進国の研究 者が研究したいから、相手国に行って取りやすいところから取って帰ってくると。ユネ スコの考え方はそういうことがあってはいけないという考え方に乗っかっているので。 日本の場合にそれが全くないということが本当に言い切れるかという問題だと思うんで すよ。私は基本的には研究者の方々を信頼しますが、やはりそうでないというケースが 出てくるかもしれないので、そのときに倫理審査委員会にかけるのがそんなに大変なん でしょうか。つまり相手の国に押しつけるというのはおかしいと思いますけど。 ○福嶋委員  いや、倫理委員会が審査できないということですよ。 ○位田座長代理  いやいや、だからそれを説明していただいて、相手の国ではこういうことがやられて いますよということを説明していただければ、適切な倫理委員会だったら審査できると 思います。 ○福嶋委員  ですから、それを覚書の中に記載しておけばいいのではないかと私は思うんです。 ○位田座長代理  だから、その覚書の中身も倫理審査委員会の審査の対象になるでしょうと申し上げて いるわけです。 ○辻委員  海外との共同研究のあり方、実態というのは、様々だろうと思うんです。ですから、 向こうにも同じような研究機関があってやる場合もあるけど、そうじゃない場合もある と思いますので、やはり僕は位田先生がおっしゃるように、倫理審査委員会での審査を する、そこに権限をかなり認めて倫理委員会で判断するというところに柔軟性があって よろしいんじゃないかと思います。 ○垣添座長  ありがとうございました。  一応今の御議論をまとめますと、この1、2、3の整理でよろしゅうございましょう か。  はい、ありがとうございます。  先に参ります。次は教育目的の遺伝子解析について、今回追加されておりますが、や はり4ページです。前回少し議論がありました。教育目的の遺伝子解析に関しても本指 針の対象にすべきではないかということで、対応案として、そこにあるような文章にな っております。  研究ではないので本指針の対象とはしない。しかしながら、これらの目的で遺伝子解 析を行う場合においても、本指針の趣旨を踏まえた適切な対応を望む。これはよろしい ですか。  ありがとうございます。  先に参ります。次は2番の研究者等の責務です。5ページからで、責任体制のあり 方。組織長、施設長の責務、現行でよいのではという案がありましたけど。研究機関の 長の責任について。 ○高芝委員  この点についてなんですが、先ほどの資料1−3とちょっと比較をしたりしてみてい るんですが、資料1−3の一番下、データ内容の正確性のところ、ここは「研究機関は 」というのを主語にして、規定の追加を検討される。次に裏を見ますと、安全管理につ いては、3行目のところで、「研究機関の長の責務として」とされている。次のページ の委託のところを見ると、真ん中あたりですけど、「研究機関の長は」云々ということ で、文案を考えられ、追加の検討をされている。その後、訂正利用とか、開示等の手続 や手数料、理由の説明、苦情処理については、とりあえず主語の部分がこれからの検討 ということで入っていないようなんですが、いずれにしても、少なくとも例えば安全管 理措置ですと、それなりのコストもかかってくる、費用問題も出てくる点というのは、 やはり落とせない点ではないかと思います。  この指針はもともと研究を中心に考えてきたところもあるので、「研究機関の長」と いうことで位置づけがされてきたと思うんですが、今後、個人情報保護法との整合性な り安全管理措置の点も踏まえますと、やはり研究機関としての責務について検討する、 ないし触れる部分が大分出てくるのではないかと思いますので、意見として申し述べま す。 ○垣添座長  例えば、どういう規定が必要ですか。 ○高芝委員  一番のところは、やはり安全管理措置のところ、組織的な部分がありますし、技術的 な部分になると大分コストの問題がかかってくると思うんです。ですから、病院長であ れば決裁権限があるかとか、保健所、大学の医学部の医学部長さんの予算でということ で、それで足りるのであればいいと思うんですが、やはり組織としての問題がどうして も出てくるところがあるのではないか。また、手数料を取れるというとこら辺も、これ は組織としての問題になる部分、個別につめて見る必要があるのではないかと思いまし た。 ○福嶋委員  同じことなんですが、この研究機関の長の責務として倫理審査委員会を設置しなけれ ばならないとありますけれども、設置するだけではなくて、倫理委員会が機能するよう に予算的措置も講じなければならないとか、そういうふうな形で文言として記載してい ただけると、各研究機関にとっては倫理委員会の審議もスムーズに進みますし、実効性 の持てるガイドラインということになるんじゃないかと思います。 ○垣添座長  現行はどうなっていましたか。 ○福嶋委員  ただ、「設置すること」となっているだけなので、予算的措置を講じることというふ うに。 ○垣添座長  なるほど、そういうことも含めて。そうすると先ほどの高芝委員の御指摘にもかなう ということになるわけですね。それは非常に具体的な御提案かと思いますが、特に御異 論はないと思いますが、いかがでしょうか。  では、それは文言として加えさせていただきます。ほかに御意見ありましょうか。  それでは、次に参りまして、研究機関及び試料等提供機関の責務について、6ページ になります。研究機関及び試料提供機関の責務(匿名化作業等)を分けて検討する必要 があるのではないかということで、対応案として、そこに3点挙がっております。  それで、今事務局からカラープリントの席上配付資料が配られましたが。 ○高山研究企画官  今新たに絵の形で席上配付資料というのを配らせていただいた趣旨でございますが、 従来は上の方の黒い点線の部分で済んでいたんですが、いろいろ社会の状況が変化する 中で、例えば下の赤枠の部分について、現段階で想定し得る、やられていないとは思い ますが、想定し得るものとしてこういうのがあるけれども、この指針の範囲内でこうい うものが可能かどうかということについて一度御検討いただければという形で出させて いただいたものでございまして、例えば匿名化という作業につきまして、この部分を外 部委託できるかどうか。そして、資料2の6ページのとのころの対応案の2つ目のポ ツ、業務の外部委託のところで、例外としてこういうことを規定してはどうかという一 つの提案という形で書かせていただいております。ただ、いろんな御意見があるかと思 いますし、こういうのがあり得るのかどうか、一度御検討いただければということでご ざいます。以上です。 ○垣添座長  ありがとうございます。  これは多分現場の立場として、匿名化作業がもう少し、現場の負担を軽減することが できないかといった議論もありましたので、そういうことを踏まえての資料かと思いま すが、この点に関して、要するに匿名化作業の外部委託ということに関して何か御意見 はありましょうか。 ○江口委員  私及び私の関連企業等で、SNPのタイピングを外部委託を受けて作業をしたり、あるい は匿名化に関する作業の手伝いなんかすることがあるんですけれども、その匿名化作業 の外部委託というのを例えば当社、三井情報開発が受けるかというと、受けないです ね。必ず匿名化は各研究機関、試料提供機関でやってもらわないと、そこから出てくる とすると一体どういう形で情報が我が社に来るんだろうなというちょっと危惧を覚えま すが、これの趣旨がもう一つ読めない。 ○豊島委員  確かに今江口委員のおっしゃったとおりだと思うんですが、例えばですけど、大して 大きくない病院だと匿名化は大変だろうと思いますね。ある意味では。一応の匿名化は できるけれども、それはあっという間にわかるような匿名化。それで、それをその後解 析するときには、例えばランダマイズ、乱数表を使ってやるような場合には、その一応 匿名化した部分をお願いして乱数表にしていただくと、その人自身も直接にはアクセス できないようになります。そういうことをここは想定しておられるんじゃないかなと、 これを見せていただいて、そういう感じがします。  そういう作業はあり得ないことではないです。例えば簡単に言いますと、今の30万人 プロジェクトの場合には、各病院で万単位の人の血液をとることになりますね。その病 院は当然匿名化します。それが行った先でDNAを抽出するときに、もう一度匿名化さ れたのを乱数表でもう一度わからなくします。ですから2段階になりますから、最初の 匿名化は当然病院でされている。そういうことがここで委託される場合があり得るのか ないのか、そういうことになると思います。 ○垣添座長  ありがとうございます。  事務局として、この資料を追加して配られた趣旨をもう一度御説明いただけますか。 つまり、こういう要望がかなり高いということで何か配慮されたのか。 ○高山研究企画官  こういう要望もあったということで出させていただいたところですが、指針の配慮と の関係で、最初のところから匿名化の作業を出すのについては非常に危惧が大きいとい うことであれば、先ほど豊島先生のおっしゃられたような2段階目の匿名化に限ると か、制限をつけて認められるものかどうか、というような御検討をいただければと思い ます。 ○垣添座長  わかりました。そういうことで、一番最初の匿名化は病院内でやられるけど、その後 もう少し厳密な匿名化に際して、このような外部委託というような、外部の機関でやっ てもらうようなことも考えられるかどうか、それはやはり許されないのかどうか、その あたりに関してもう少し御議論いただけますでしょうか。 ○吉倉委員  先ほど聞いた法律の関係、責任者との関係は、そうするとこの方たちは個人情報保護 法の対象になると考えていいんですか。それでいいわけですね。今江口さんがおっしゃ ったように、委託されて何もよくわからなくてこうやった場合でも責任になると、それ でいいわけですね。 ○高山研究企画官  第1回目の匿名化において、病院内で指針に定める匿名化のところをされて外に出し た段階においては、先ほどの整理で対応表がありませんので、その場合は法の上ではな らないと思います。ただ、2段階目の匿名化の作業を認めるのであれば、指針の上で何 らかの規定を配慮しておくべきだと思います。 ○吉倉委員  そういう整理ですね。 ○藤原委員  今の1段階目の匿名化というのは、どの制度の匿名化を想定しているんですか。私も さっきの江口委員の御意見とほとんど同じなんですけれども、ここの匿名化の程度によ っては、別に議論を蒸し返すつもりはありませんけれども、最初の話はやはりおかしい というさっきの江口委員の御指摘は、僕はそういう御指摘だと思って聞いていたんです が。 ○垣添座長  要するに匿名化を、あえてこういうものを持ち出さなくてもきちんとやっていて、し かも個人情報管理者の責務をもっときちんと、仕事をきちんとやってもらうべきである という御議論もこれまであったと思いますので、そこは個人情報管理者がきちんとその 責務を負っていただければ、特にこの外部委託ということを考えなくてもよろしいよう な気がしますが、いかがでしょうか。  そうすると、医療機関の中できちんと匿名化されるということですけれども。 ○福嶋委員  これがいいのかどうかちょっと別問題として、多施設共同研究で、小規模な病院に共 同研究を依頼して患者さんの試料を集めるということがあると思うんです。そのときに 主たる研究機関に検体を集めるのではなくて、どこか検査会社に、とにかくこの病気の 方がいたらあそこに血液と、多くの場合はカルテ番号とかそういうことになると思うん ですが、ある意味では匿名化、ですけど容易に個人情報に結びつくような情報と検体と がそこに届いて、例えばそこでDNA抽出をして、全国各地の病院で集めた試料をある 程度揃ったところで、主たる研究機関に届けるというような外部委託業者ということが あり得るんだと思うんです。そういうことなんだろうと思うんです、この表を見て。そ ういう研究も成り立つのではないかと。 ○江口委員  個人的にはそれはやめた方がいいと思います。ある中核的な研究機関が小病院とかい ろんなところの協力を得てサンプルを集めるというのは、現在行われていることだと思 います。各小病院、診療機関等がそれぞれで匿名化はしていないで、中核病院に集めて そこで匿名化して、その後、匿名化されたサンプルを外部委託して何らかの操作をする ということはあるんですけれども、各小機関が直接外部委託のところにサンプルなり集 めてそこで匿名化をするというのは、現在の倫理指針が、その研究機関の中で閉ざされ た世界で、それだけは計算機もほかと離れた段階で匿名化すべきと書いてある状況のも とで、小機関、小さな小病院から外部委託、例えば当社のようなところに送られてき て、当社で匿名化して中央の研究機関に回すというパスは設けるべきではないと思いま す。 ○垣添座長  わかりました。ありがとうございます。  それでは、こういう席上配付資料というのが配られましたけど、この問題に関して は、各医療機関の中で匿名化するという原則を変えないことで対応させていただきま す。  それでは、先に参ります。多施設共同研究における対応について、これは8ページ。 ○高山研究企画官  7ページの下の方に、外部委託する際の手続のあり方のところを御確認いただければ と思います。 ○垣添座長  外部委託する際の手続のあり方、7ページの下の方ですね。業務の一部を外部に委託 する際の手続のあり方に関して整理する必要があるか。対応案として、業務の一部を外 部に委託する場合には、委託機関等に倫理審査委員会の審議と結果に基づく委託である ことを明示すること、たしか前回か前々回かそういう御議論をいただいておりますが、 これでよろしゅうございましょうか。  では、これは対応案とおりにさせていただきます。  続きまして、8ページの多施設共同研究における対応についてということであります が、この対応案はいかがでしょうか。  要するに、中小医療機関が多施設共同研究に含まれていた場合に、中央の医療機関で 倫理措置審査を一括して行うという、たしかそういう御議論だったかと思いますが、そ ういう道を開くかどうかということですけれども。対応案の一番最後にありますよう に、他の医療機関は、各自の機関特有の問題がないと認める場合には、迅速審査を行え ることが明らかになるよう規定してもいいのではないか。少し上に、倫理審査委員会が 研究計画全体について一括して審査を行うという話でありますが。 ○辻委員  細かい文言のことなんですが、迅速審査を行えるというよりも、迅速審査に努めると か、何かそういうふうなことを書いてもらった方がいいように思います。現状は非常に ブレーキになっています。 ○垣添座長  確かにそれで研究がなかなか開始できないという話は私もいろいろ聞いております が、これは別に文言の修正は、特に問題ないですね。 ○位田座長代理  その言葉遣いで、迅速審査というのは決まった審査のやり方で、つまり会議を開かな いでもいいという話なんですけど、先生がおっしゃったのは迅速な審査ですよね。早く 審査をしろとそういう趣旨ですよね。ちょっと違うと思います。 ○辻委員  希望としては、全体として多施設共同研究を適正な審査に基づいて迅速に進めるよう な形で皆さんが努めていただければいいと思うんですが、そういう精神が入るような形 で書いていただけるとありがたいと思います。 ○福嶋委員  やはり多施設共同研究の倫理審査のあり方について1項目設けて、多施設共同研究の 主任研究、主たる研究機関においてはきちっとした審査をして、その審査の内容を共同 研究施設にはそれを情報提供して、共同研究施設においては多施設共同研究への参加に ついて、参加の部分について迅速に審査を行うと記載するといいのではないかと思いま す。 ○垣添座長  非常に具体的な御提案だと思いますが、それでは具合が悪いというような、緩すぎる のではないかという御意見はありますか。多分、研究の現場としては今のような御提案 は、今現在大変困っている問題の一つの解決策ではないかという感じがいたしますが。  特に御異論なければ、そのように文言を整理させていただきます。ありがとうござい ます。  それでは次、9ページの倫理審査委員会の議事内容の公開について。議事内容を非公 開とできる要件として、人権保護、研究の独創性、知的財産が記載されているが、この ほかに「競争上の地位の保全」を加えるべきではないか。 ○吉倉委員  この情報公開法とそれから個人情報で、この前発言したとき私混同していたんです が、情報公開法の場合、こういう場合は情報しないこととなっていますが、それが適用 されるんですか。情報公開の場合、公開してはいけないものが幾つか情報公開法の解説 書に出ているんですが、ああいうのをそのまま適用するのはどうなんでしょう。あれプ ラスこれをまたやるという、そこら辺ちょっと教えてもらいたいんですが。 ○垣添座長  これは事務局、何かお答えいただけますか。私もよくわからない。個人情報保護法と 情報公開法か、ちょうど相反するような感じがしますけれども。 ○藤原委員  情報公開法の対象になるかどうかは、この倫理審査委員会の文書が、いわゆる行政機 関あるいは独立行政法人等の組織供用文書になるかどうかです。つまり、これを例えば 監督の機関に提出したら、その役所の組織供用文書になりますし、あるいは監督法人と いうものがあれば、そこの文書になります。行政機関とかそもそも国立大学であれば、 もう国立大学法人ですから、そこの文書ですから、対象にはなります。その場合には、 ここに書いてある問題は5条の2号という法人等情報というお話で、その法人等情報の 中に企業の競争上の地位というのがあるから、加えるべきではないかというお話だと思 いますが、前に書いてある研究の独創性とか知的財産はその一つの中身ということだろ うと思います。ただ、ここにこう書いてあれば自動的に非公開になるというものではな くて、実質的にその内容を見て、本当に競争上の地位を脅かすという事情があれば、当 然のことながらそこは出てこないと、そういう仕組みです。 ○吉倉委員  要するに情報公開法の除外規定は適用されると思っていいわけですか。 ○藤原委員  もちろん情報公開法の5条の不開示事由には、文言上は該当します。ただ、実質的に 該当するかどうかは、その文章の性質によるということです。幾ら競争上の秘密と書い てあっても、中身が本当は何も書いてない文章だったら、そんなもの出せということに なりますし、簡単な文章でも、ここにある知的財産権であるとか企業のノウハウ、ある いは顧客との関係で守らなければならない情報であるならば、それは出ないということ になります。 ○吉倉委員  わかりました。 ○小幡委員  吉倉委員の質問は確かにそうなんですけど、ここは別にゲノム研究の指針として倫理 審査委員会の議事内容を公開するかどうかという話を指針でやっているんであって、情 報公開法で開示請求が来たときにどうできるかという話の議論で全然ないわけです。た だ、参考にできるということで多分事務局は、この対応案を持ってきているわけで。大 体、民間、私立大学なんかですと全然、そもそも情報公開法なんてないですから。だか ら、そこはちょっと切り分けて、ここのヒトゲノム研究の倫理審査委員会のあり方とし ての公開性を考えるときに参考になるものとして持ってきていると、そういう理解の方 がいいと思います。本当に開示請求が来るという、そこまで想定する必要は全然ここで はないと思います。 ○垣添座長  わかりました。では、ここに関しては事務局提案とおりにさせていただきます。  では、先に参ります。今度は3番目、10ページ、提供者に対する基本姿勢ということ で、まずインフォームド・コンセント対応者の要件について、これに関していかがでし ょうか。  研究責任者以外にも説明が行われるようにする。対応案のような人が行うことについ て議論されている。あ、そういう議論はされていない。そうか、初回の議論のときでし たか、ちょうどリサーチナースとか、あるいはリサーチコーディネータといった人たち が入ってきて、臨床現場の業務の忙しさを助けて説明すると。そういう人たちが入って くることに関する議論がありましたけれども、この点ですね。 ○高芝委員  ここの点について必要性があるかどうか、実際に研究をやられる方の考えといいます か、実務が十分にあると思うんですが、私の立場として一つお話したかったのは、対応 策、それから対応のイメージの例、両方とも、2番目の中ポツですが、試料等研究機関 に属さない人に関しては契約により対応できる。この契約というところが出てきている んですが、この契約の当事者がだれになるのか、現在の指針ですと、インフォームド・ コンセントを取得するのは研究責任者になっていますので、研究責任者は契約の当事者 となるのか。そうすると多少落ち着きがよくないのかなというところもありますので、 そこも含めて研究所の長にするのか、研究機関の長にするのか、研究機関にするのか、 そこも含めて検討が必要かというふうに思いました。 ○垣添座長  高芝委員のお考えは、契約の当事者は今御指摘のどなたが適当とお考えですか。つま り研究の当事者か、あるいは研究機関の長か、あるいは研究機関か。 ○高芝委員  そうですね、契約の当事者という意味であれば、研究機関が一番落ち着きがいいのか なというふうに思います。 ○垣添座長  この点に関して御意見ありましょうか。 ○菅委員  現場に近い者としまして、この研究責任者がすべてやるというのは現実的に不可能で して、医療機関として。非常にたくさんの患者様に同意書をお願いしてやるので、時間 的にも非常に大変ですので。これは研究グループとして、研究責任者のほかに、現実に ドクターがちゃんとした内容を知っている者がおりまして、各自が同様な責任で対応し ておりますので。やはりその責任者だけが実施するというのは、もう現実困難というこ とで、非常に研究の進行を妨げることになりますので。やはり責任をとるのは責任者で すが、現実には各ドクターがやって、グループとして、倫理委員会で通っているメンバ ーがやっていいというふうにしていただきたいと思います。 ○辻委員  ここは研究の内容によっても随分幅があって、非常に難しいと思うんですが、例えば 医師、看護士等医療従事者という規定は、随分厳しい規定だなというふうに正直思うん です。インフォームド・コンセントをとるときに、かかわれる人をここまで限定する必 要があるのかどうかというのも検討する必要があるのではないか。つまり、もう少しこ こは緩くても、それなりの研修を受けて一定の研修知識を持ってそれでやれる形を、そ の研究によってはとってもいいかもしれないというふうにちょっと思うところです。 ○垣添座長  例えばどんな研究を想定しておられますか。 ○辻委員  対象者が非常に広いときに、それぞれを医師または看護士がすべてやるというのが、 またそれは非現実的なことになってくる。 ○垣添座長  例えば何万人とか何十万人の疫学研究とかそういうものに際して。 ○辻委員  規模が大きくなるとそうなってくると思うし。それから、例えば研究内容によって は、すべてを対面でというのもなかなか難しいところがあるかもしれないんですね。 ○垣添座長  説明会とかそこでの質疑。 ○辻委員  例えば、アメリカのある具体的に行われている研究を例に挙げれば、ある種の研究に 参加する意思があるというふうに申し出れば、その文書のやりとりでもってインフォー ムド・コンセントをとるというやり方も行われている事例はございます。実際にそうい うことも認めないと研究が非常に進みにくいという場面もあって、なかなか難しいんで す。僕は研究内容によってインフォームド・コンセントの取り方については、倫理審査 委員会で審査する、そういう柔軟性とか、そこに責任を持たせる形で対応する方法もあ るんじゃないか。つまり2つの点ですが、インフォームド・コンセントをとることにか かわる人をここまで厳しく限定する必要があるかどうかという点と、それからもう一つ は、インフォームド・コンセントの取り方を研究内容によっては倫理審査委員会で審査 して、少し柔軟に対応する部分を残してもいいんじゃないかというように思うんです。 ○藤原委員  今のお話はよくわかったんですが、高芝委員の質問は、契約の当事者としてインフォ ームド・コンセントの書類の中に、最終的にだれの名前とだれの名前が出てくるんだろ うという、そういう御質問ではないかと私は解釈したんですけど。 ○垣添座長  そうか。それでよろしいわけですね。 ○高芝委員  そうです。契約ですので。 ○垣添座長  契約ということで。そうか。そうすると研究機関の長なのかな。 ○栗山委員  インフォームド・コンセントをやられるということは、大事な個人情報にかかわるこ とですよね。それで例えば私が聞かれた場合に、それではどういうあれだか、どういう 人がそれをどういう目的で必要だということがよくわかれば、まずそこで一番最初の突 破口ではないかと思うんです。  もう一つは、いろんな研究をされるときに、何か情報を先生方の方から求められるの か、それとも、さっきちょっと印象では、アメリカの例ではもっと広い範囲で、みんな 自発的にも出せる情報があるのかどうかというところなんですが、これだけ個人情報を 保護するという観点で議論されている内容からすれば、インフォームド・コンセントを とる人というのは、ある程度信頼のできる人を持ってきていただきたいなという感想で す。 ○垣添座長  わかりました。後ほどこの問題はもう一度戻りますが、先ほどの契約の当事者という ことに関していかがでしょうか。つまりインフォームド・コンセントをとる人として、 医師、看護士以外の人も入ってくる可能性があったときに、試料等提供機関に属さない 者について契約してそういう作業を行ってもらうという可能性のときに、契約の当事者 としては。 ○位田座長代理  この前に指針をつくったときに、ここのインフォームド・コンセントで医師、看護士 に限定したのは、守秘義務がかかっているからという話だったと思うんです。インフォ ームド・コンセントは当然、その個人情報まで取り扱うことになるので。したがって、 こういう守秘義務がかかっている人であれば、インフォームド・コンセントの説明者に なっていいでしょうと。通常はその研究機関、これは試料提供機関ですから、試料提供 機関の正規の職員である。正規のレギュラーに雇われているお医者さん、もしくは看護 士でやりましょう。  だけど、実際に大きなプロジェクトを動かすときには、これは本当に雇用契約という 趣旨ですけど、契約で例えばメディカル・コーディネータのような方を雇って、その人 に説明をしてもらいましょう。そのときに、だれがメディカル・コーディネータとして 適切であるかというと、やはり守秘義務がかかってる人という意味で、医師なり看護士 なり何なりの資格を持っている人と、そういう形で限定してきているんだと思うんで す。そういう意味で実際に同意書にだれの名前を書くかということに最終的には連動す るんですが、もともと医師、看護士等医療従事者と限定しているのは、そういう守秘義 務の観点から限定しているので、それを何らかの形で外すという趣旨なのか、それを外 さないのであれば、このままでもそれほど大きな問題はないと思っております。手が足 りないときには、守秘義務のかかっている人をそのときに契約で雇って、コーディネー タとしてそのプロジェクトの中で動いていただくという可能性はあると思います。 ○辻委員  趣旨はよくわかるんですが、ただ、例えば数千とか数万とか、あるいは30万とかとい う規模で考えたときに、あるいはむしろ数千ぐらいの方がいいかもしれませんが、こう いうふうな規定はかなり非現実的なところも僕はあるように思うんです。むしろゲノム リサーチコーディネータのような方を、きちっとしたトレーニングなり一定の知識を持 っていただいて、こういうことに当たっていただく方の助けがあった方が、その説明も 十分できるし、よいのではないかと僕は思うんですが、そこは現にそうしているところ も多いのではないかと思うんですけれども。 ○垣添座長  それは、医師、看護士等の「等」では読めませんか。 ○福嶋委員  医療従事者。 ○垣添座長  等医療従事者か。そうか、そこで。 ○位田座長代理  よろしいですか。説明はいいと思うんですよ、そういう形でやられて。ただ、実際に インフォームド・コンセントをとられるときに、Aさんに来ていただいて説明して同意 をいただくということですから、Aさんから試料を取ったという個人情報は残るわけで すね。そこの守秘義務の話をしているので、説明は例えば医療従事者ではだめだという のであれば、何らかの形でAさんから試料をいただきますという個人の情報が、ちゃん とその秘密が守られるということをどう確保するかという、そこの問題だと思うんで す。それは単に契約だけだと、違反したら契約が切れるというだけで本当にいいのか、 もしくはもう少し厳格な基準を示すのかという話で、従来はインフォームド・コンセン トというのは個人を取り扱うことになるので、したがって、ここのこういう枠の中の人 に限定をしましょう、契約で臨時に雇う場合であっても同じ資格にしましょうと、そう いう話だと思うんです。 ○辻委員  これを読むと、説明をする役割も含めてすべて医師、看護士等医療従事者となってい ますから、それは非現実的なところがあるんじゃないかなと思うんです。インフォーム ド・コンセントの責任をとる立場としての署名とか、最終的な責任をとる方というのは そうであって僕はよいと思いますが、やはり十分な説明をするところと、うまく全体を コーディネートした方が僕はいいと思うんです。これを読むとそうは読めないように僕 は思うんです。僕の立場から見ると。 ○福嶋委員  後ほどの遺伝カウンセリングのところでもディスカッションになると思うんですが、 我が国ではこういう職種が育ってないんです。アメリカでは遺伝カウンセラーという職 種があって立派な医療職として2000人いるのに、日本では新しい医療職をつくるのが難 しいということなんです。ですから、医師、看護士よりもきちっと研修を受けて遺伝学 を学び、心理学を学んだ人がいて、その人を医療職と認定すれば、こういうところは一 挙に解決できると思うんです。  ですから、本来はそういう守秘義務もかかる医療職を新しくつくるべきなんです。で すけど、それがいないのでこういう問題になって、それを医療職だけに限定すると研究 の発展は望めないということなんですね。ですから、新たな研究、研修の内容とかどう いう勉強をしてきたかということを個人個人審査して、そういう方は説明するのにも能 力があるし、きちっと守秘の重要性も理解して、それを何らかの形でクレジットとして 医療職と同等の守秘義務を課すようなもの、タイトルをつくるというのが理想的なとこ ろだと思うんです。  現実的なこととしては、守秘義務をどうやって法律として守るかということはありま すけれども、医師、看護士だけではなくて、研修の内容をこれだけの研修をしてもらっ た人なんですよということを倫理委員会で承認して、そういう人だったらインフォーム ド・コンセントの担当者にしていいのではないかというふうに思います。 ○黒木座長代理  数千人、数万人、あるいは数十万人の規模になると、やはり対面でとるというのは不 可能になると思うんです。そのときは書類で書面でアンケートのような形にして出す と。そのときには国勢調査と同じような形での守備義務を守るという方法があってもい いんじゃないかと思います。 ○垣添座長  ここは確かに研究の推進と、それから個人情報保護、個人の人権の保護という点で非 常に重要な点だと思いますが、さてどうしましょうか。一つは試料等、提供機関に属さ ない者について、契約によって対応できないかということに関しては、これはやはり研 究の進展から考えますと、そういう必要性がこれからますます出てくるのではないか。 その場合に、先ほど高芝委員から御指摘の、契約の当事者はだれかということですが、 これはやはり主任研究者になるんですか。私はそういう感じがしますが、違いますか。 ○高芝委員  ここの契約が雇用契約というのは当初予定していなかったんですが、雇用契約であれ ば雇用主、研究機関なら研究機関になるのかなと思ったのが一つと、それから、資料1 −3のところの2枚目の表のところで、22条の委託の関係の監督を入れることを検討い ただくことになっています。個人情報保護法では、21条で従業者の監督責任で、22条で は委託の場合の委託先の監督責任ということになってきておりまして、ここで指針の方 にも、「研究機関の長は」と書いてありますが、私としてはこれは研究機関の方がいい と思っている意見はあるんですが、いずれにしても、指針においても必要かつ適切な監 督の内容がつけ加わってくる。そういう意味で、その内容をまた契約の内容に盛り込め ば、守秘義務と同等になるかどうかなんですが、一定の歯止めにはなるのかなと思いま す。 ○垣添座長  その契約条項の中に、守秘義務が当然文書として加わることになるわけですね。その 場合に研究機関の名前を付して主任研究者の名前でやるというのは、多分現実的な話で はないかと思います。違いますか。 ○佐々委員  個人遺伝情報というのはとてもセンシティブなものなので、今福嶋委員が言われるよ うな、まだ日本でそういう教育制度とか仕組みができていない以上は、もしも不適切な な人と契約してしまって、その人が非常に医学の進歩とか研究に対して不信を招くよう なことを起こしてしまったときには、申しわけないけど、やはり機関なり機関の長が、 こういう人を間違って雇ってしまったという社会的制裁を受けていただくぐらいの覚悟 で、やはりこのお仕事は引き受けていただきたいと思うんです。 ○垣添座長  私が申し上げているのは、その機関の長の責任はおっしゃるとおりだと思うんです が、非常に現実的な問題として、契約とかそういったことに関して言うと、どうなのか なと思っていましてね。これは研究機関の長の名前にしておくのは多分一番妥当な話だ と思うですが、実際問題としては主任研究者が一番事をわかっていますので、その人の 名前が出てないとなかなか難しいかと思いまして。 ○豊島委員  基本的には、例えば委託費が研究機関へ来てそこで契約を結ぶときは、研究機関の長 が簡単にそれに対応することになると思います。そうじゃなくて科研費なんかの場合は 主任研究者のところへ来ますから、主任研究者がやはり結ばなければいけない。だけど 主任研究者が結んでも、研究機関の長が間接的に責任を負わなければいけないと、そう いう解釈でいけませんでしょうか。 ○垣添座長  それで、私は研究機関の名前を入れて、主任研究者の名前にしておくと、両方にかか るかなと思ったんですが、そういう整理でよろしゅうございましょうか。  では、これはそうさせていただきます。  次に、医師、看護士等医療従事者というところですが、つまり規模が大きくなればな るほど医師、看護士だけでは対応し切れない。ただし問題としては、今佐々委員も御指 摘のように、日本にそういう職種が十分育っていないという状況で、ここをもう少し緩 めていいかどうかという点、もうちょっと御発言いただけますか。  つまり、これはここでイエスということになると、指針の非常に重要な見直しの一つ のポイントになるかと思いますが。 ○福嶋委員  やはりこれは研修の内容ということだと思うんです。どういう研修をさせたか、どう いう能力を持たせることができたかということが問題になるので、研修の内容を確認し た上で、契約をもって守秘義務を課すと。医療職に自然に課せられる守秘義務ではなく て、契約によっても守秘義務を課すことができると今隣の藤原先生から伺いましたの で、そういうことでいかがでしょうか。 ○垣添座長  そうすると研修の内容も、この中に少し文章化しておく。あるいは研修の中身を少し 規定するような文章を加えた上で、この医療従事者等の部分を取るということですか。 いかがでしょう。 ○位田座長代理  私は一般的にそういうふうに開いてしまうというのは若干危惧を感じるんですけど、 これまでやはり守秘義務がかかっているものとして考えて、そこにかなり大きな不便が 今まであれば別なんですね。説明するのは必ずしも守備義務がかかっている人でなくて もいいでしょうし、例えば辻委員がおっしゃったような何千人単位で試料をとらないと いけないときに、例えば説明会なら説明会をやって、そのときに別に医療従事者でなく ても、研究のことがよくわかっている方が説明をされるというのは、それは問題ないと 思うんです。そこは研修の内容の話なんですが、だけど、実際に最後に例えば、じゃあ 私は試料を提供しましょうと言ってこられたときに、最終確認をするためのインフォー ムド・コンセントというか、コンセントを受ける立場にある人は、やはり守秘義務がか かっている人でないといけないのではないか。  今日本に、そういう医療従事者以外の人を雇って説明し、インフォームド・コンセン トをとるという制度がないからといって、今からその研究、それだと研究しにくいから というので開けるというのはやはり順番は違うと思うので、そういう制度をつくるとい うことにまず進んでいただいて、それができてから医療従事者以外でインフォームド・ コンセントの当事者になっていただくというのは、それは問題ないと思いますが、今の 段階ではそういう制度も整っていないので、ちょっと難しいのではないかと思います。 ○辻委員  全部を開けろというわけではなくて、ただ、そのプロセス、例えば30分なり1時間か かって説明するような状況にあって、そのすべてをここに掲記された方々で担当しなけ ればいけないというのは非現実的であるというふうに僕は申し上げているわけでありま す。十分説明するには、むしろそういう方々に手伝っていただいた方がいいわけです ね。 ○位田座長代理  説明はそうだと思いますね。 ○辻委員  これを読むと、すべてのプロセスを医師または看護士等の医療従事者にしなければい けないと読めるんですよ。 ○位田座長代理  この書き方に問題があるだろうということは認めますが。 ○辻委員  それが一つと、そこはちょっと工夫していただいた方がいいと思うんですが、つまり 説明とかそういったことにかかわる人の役割があって、そういう方々を含めて、よい形 のインフォームド・コンセントをとるということが大事だ私は思うんです。  それからもう一つは、これも検討していただければありがたいんですが、さっきも出 ましたが、対面でということでなくても、倫理審査委員会が認めた場合に書面でとる道 も、その倫理審査委員会で検討できるという程度のことはあってもいいのかなと私は思 うんです。すべてを対面でないといけないとなると、ちょっとそれは縛りがきつ過ぎる のではないかと思います。 ○垣添座長  確かに研究の進展で、いろんなあり方が出てきたということでの御発言かと思います が。 ○吉倉委員  短く、私は位田委員の意見でよろしいと思います。賛成です。 ○豊島委員  説明は先ほどおっしゃるとおり、だから位田先生のおっしゃるとおりでいいんだと思 うんです。それで最後にとるときに、例えばDNA検査するんだったら普通採血なんで すよね。これはやはり医療従事者がしなければしょうがないんですよ。だから、そこの ところで最終的なサインと印鑑をいただければ、できる問題だろうなと。それ以外のと ころは今のところちょっと、そこもスキップすることはできないので。だから、説明は 全部そちらでいいと。だから、最終的なサインをいただくときに医療従事者がサインを いただくということで、何とかカバーできるんじゃないかと思うんです。 ○辻委員  現実には採血だけではなくて、例えばですけど、頬粘膜であるとか、あるいは爪であ るとか、そういうふうな採取の仕方もあり得るんですね。だから、必ずしも採血になる というわけではないかもしれないですね。 ○豊島委員  爪ぐらいの問題は別にいいと思います。 ○垣添座長  わかりました。この説明の部分とそれから最後の同意を得る部分に関しては、現状で 緩めてしまっていいか、もう少し議論が必要だと思いますので、きょうの段階ではここ でとどめさせていただきます。  それで、既に予定の時間になりましたので、あと3ページほど残ってしまいましたけ れども、まことに残念ですが、きょうの議論はここで終わらせていただきます。 ○垣添座長  事務局として今後の予定等その他説明がありましたら、お願いいたします。 ○高山研究企画官  どうも熱心な御討論、ありがとうございました。研究の進展につきまして合意を得ら れたところにつきまして整理させていただいて、先ほどの最初に御議論いただいたとこ ろに含めて提出させていただきたいと思います。  ただ、今日お時間の関係でもし御意見いただけなかったところがありましたら、また 各省の担当者の方にメール等におきまして、今週の金曜日までお寄せいただければ幸い でございます。あと議論が分かれたところについては、事務局の方でもう少し整理させ ていただきたいと思います。  そして、次回の委員会で改正案を提示させていただきまして、最終的な形で御議論い ただきまして、その後パブリックコメントの手続をとりたいと思います。次回は、10月 13日水曜日の10時から12時30分を予定してございます。  それと、またお願いですけれども、参考資料の方は机上に残していただきますように お願いします。以上です。 ○垣添座長  今御説明の、今週金曜日までに御意見を寄せていただきたいという話は、今日議論で きなかったこれから先の部分も含めてということですか。それとも、これまでの部分で 発言が十分でなかったところを寄せてくださいということですか。 ○高山研究企画官  御意見ですので、今までのところ一応の決着を見たところで、もう少し意見というこ とであればお寄せいただくとともに、今後の参考になりますので、これ以外のきょう議 論できなかったことについて、記載を分けてといいますか、今後のこととしてこういう 意見だということがありましたら参考にさせていただきたいと思います。 ○垣添座長  わかりました。次回の検討会で、これまで御議論いただいたところを整理して、あと 残り部分を議論いたしますが、もし御発言がありましたらお寄せいただければと思いま す。  それでは、これをもちまして今回の検討会を閉じさせていただきます。どうもありが とうございました。                                     −了− 【問い合わせ先】  厚生労働省大臣官房厚生科学課  担当:鹿沼(内線3804)  電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171