04/09/14 労働政策審議会雇用均等分科会第36回議事録            第36回労働政策審議会 雇用均等分科会 1 日時: 平成16年9月14日(火)14:00〜16:00 2 場所: 厚生労働省 専用第21会議室 3 出席者:    労側委員:片岡委員、篠原委員、佐藤(孝)委員、吉宮委員    使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員    公益委員:若菜会長、奥山委員、樋口委員、横溝委員 ○若菜分科会長  定刻になりましたので、ただいまから第36回労働政策審議会雇用均等分科会を開催 いたします。本日は今田委員、佐藤博樹委員、岡本委員が欠席です。お手許に資料No.1 として名簿をお配りしておりますが、この中で委員の交代がございましたので紹介いた します。労働者代表の稲垣眸臨時委員が辞任し、電機連合中央執行委員の篠原淳子委員 が後任に任命されております。篠原委員、一言ご挨拶をお願いいたします。 ○篠原委員  はじめまして。電機連合の篠原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○若菜分科会長  事務局のほうでも異動があったようですので、順次ご挨拶をお願いいたします。 ○総務課長  総務課長の高井です。よろしくお願いいたします。 ○職業家庭両立課長  職業家庭両立課長の麻田です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○短時間・在宅労働課長  短時間・在宅労働課長の谷中です。よろしくお願いいたします。 ○均等業務指導室長  均等業務指導室長の達谷窟です。よろしくお願いいたします。 ○若菜分科会長  それでは早速議事に入りたいと思います。本日の議題は、1つ目が平成17年度雇用均 等・児童家庭局予算概算要求の概要について、2つ目が男女雇用機会均等対策について です。最初の議題から説明をお願いいたします。 ○高井総務課長  資料の説明に入る前に、お手許の資料の確認をさせていただきたいと存じます。資料 No.1は、いまご覧いただいた名簿です。資料No.2が、平成17年度雇用均等・児童家庭 局予算概算要求の概要です。資料No.3〜No.6が2つ目の議題、男女雇用機会均等対策 についての説明資料ですが、資料3が男女雇用機会均等対策の検討に関する資料、資料 No.4が男女雇用機会均等政策研究会報告書、資料No.5が男女雇用機会均等関係資料、 資料No.6が雇用均等室における行政指導等の状況です。早速資料No.2により、平成17 年度の概算要求の概要について説明させていただきます。  1頁目の冒頭にあるように、我が局の予算は「次世代育成支援対策の更なる推進と公 正かつ多様な働き方の実現」と、大きく2つの柱を持って要求しております。来年度要 求のポイントとしては、今年6月に決定した「少子化社会対策大綱」に基づいて今年中 に、具体的実施計画として「新エンゼルプラン」に代わる新たなプランを作成すること としており、これをにらんだ形で予算要求をしているところです。  下半分に主要事項が大きく2つ掲げられております。「次世代育成支援対策の更なる 推進」に関わることは、地域における子育て支援の関係、多様な保育サービスの関係、 子育て生活に配慮した働き方の改革等々です。下に「公正かつ多様な働き方の実現」に 関わることとして2つ事項を挙げてありますので順次説明いたします。  2頁ですが、要求額としては1兆1,082億円(5.2%増)を要求しております。内訳 は、児童福祉関係1兆971億円、労働関係111億円となっております。  3頁は1番目の地域における子育て支援対策の充実に関することです。(1)の下の ○でご覧のように、「つどいの広場」関係の要求、地域子育て支援センターの整備、乳 幼児健康支援一時預かり(病後児保育)等の充実のための要求をしております。いちば ん下にある放課後児童クラブの拡充についても引き続き進めるという内容です。  4頁は(3)にあるように、ファミリー・サポート・センター事業の拡充として、設 置要件の緩和等を図るとともに、本部の設置拡充を図るという内容です。(4)は児童 手当の国庫負担金で来年、支給年齢を「義務教育就学前」から「小学校3学年修了前ま で」に引き上げ、満年度化がなされるということで要求しております。  5頁は「多様な保育サービスの推進」の関係です。昨年12月に「仕事と家庭の両立支 援」の建議を頂き、保育所受入れ児童数の増加や延長保育など、多様なニーズに合わせ た保育サービスの充実について指摘をいただいております。この関係を盛り込んでいる わけですが、(1)にあるように、待機児童解消に向けた保育所の受入れ児童数の拡大 ということで、5万人増という内容の保育所の受入れ要求をしております。  (2)が多様な保育サービスの提供で、延長保育の拡充、一時・特定保育の推進、休 日・夜間保育の推進。いずれも箇所数増を要求しております。  (3)は総合施設モデル事業の実施です。就学前の教育・保育を一体とした総合施設 をつくっていこうということで、来年度は、いちばん下にあるようなモデル事業を実施 し、いろいろな検討をしていこうという内容で、30カ所の要求をしております。  6頁は「子育て生活に配慮した働き方の改革」です。(1)は新規として、子育て等 を両立する働き方の実現に向けた地方自治体の取組の推進です。次世代育成支援対策推 進法が昨年成立し、来年4月から施行されますが、都道府県市町村の行動計画を踏まえ て、地域における仕事と家庭の両立、勤務時間短縮、在宅就業の普及等々の自治体の取 組を支援していこうという内容です。  (2)が男性も育児参加できる職場環境の実現で、現在継続審議になっている改正育 児・介護休業法の内容を含めた、育児休業制度等の規定整備の徹底を図ること、更に有 識者会議の開催、モデル的取組を行う企業への支援等々の内容を盛り込んでおります。  (3)が同じく次世代育成支援対策推進法の関係で、一般事業主行動計画の策定・実 施の支援です。一般事業主に対する啓発、指導、あるいは次世代育成支援対策推進セン ターの活用等によって、この法律の円滑な施行を図るとともに、育児・介護雇用安定助 成金について、この事業主行動計画の策定の取組を反映させた形の支給要件に変えてい くという内容です。  (4)が「児童虐待の対応など要保護児童対策の充実」です。6頁のいちばん下にあ る児童相談所の機能強化、7頁にある里親支援の推進、その他、自立援助ホームの箇所 数増といった内容で虐待対策の充実を図っているところです。  8頁は「子どもの健康の確保と母子保健医療体制等の充実」です。(1)がいろいろ な研究の推進、(2)が小児慢性特定疾患対策の推進で、今年度から衣替えをした小児 慢性特定疾患対策の推進を引き続き行うという内容を盛り込んでおります。  9頁が「母子家庭等自立支援対策の推進」です。(1)の1つ目の○にありますが、 母子家庭の母等に対する職業訓練機会の拡大ということで、就労経験がないか又は乏し い母子家庭の母等に対する職業訓練を、今回は公共職業訓練を充実するという形で、い ろいろ予算を組み換えて要求しているところです。その他(2)の母子家庭等の子育て と生活支援の関係、(3)の経済的支援として、貸付金の充実、児童扶養手当の要求を 盛り込んでいるところです。  10頁は「施設の運営の充実」です。再掲ですが、保育所の受入れ児童数の拡大等々、 施設整備関係の予算要求をしております。  11頁が新々エンゼルプランの関係です。2つ○が書いてありますが、1つ目は今年中 に仮称「新々エンゼルプラン」をつくろうということです。さらに、2つ目の○にあり ますように、新たなプランにおいては、地方公共団体や企業においていま策定していた だいている行動計画を踏まえ、働き方の見直し等の分野を含めて、社会全体で今後5カ 年で達成すべき目標を策定していこうということで、暮れに向けて作業をしているとこ ろですが、そのための予算に盛り込まれている内容を11頁に掲げております。  これは大きく5分野掲げておりますが、1が就学前の児童の教育・保育の充実で保育 所等の関係、2が放課後児童対策の充実、3が地域における子育て支援の充実、4が児 童虐待防止対策の推進です。●が付いている3つ目と4つ目は、これまでのプランには なかった内容です。そして5つ目が小児医療等の充実という内容です。  12頁は「公正かつ多様な働き方の実現」という大きな目標の2つ目の内容です。その 1は多様な働き方を選択できる環境整備で、(1)がパートタイム労働者と正社員との 均衡処遇の推進です。これまでの施策に加えて、均衡処遇を進めるために先駆的な取組 を行おうとする事業主に対して、均衡処遇に向けた相談等を行うコンサルタントの派遣 を拡大するという内容を盛り込んでおります。(2)が在宅就業対策の推進で、eラー ニングによる習得達成度や適性等を自己確認できるシステムを開発する。その他情報提 供や相談、援助を行うという内容です。  (3)が多様就業型ワークシェアリングの普及促進で、短時間正社員制度等の導入に 向けたモデルの開発を進める。その他普及啓発を図るという内容です。  2が男女雇用機会均等確保対策の推進で、(1)にあるように、男女雇用機会均等法 の適正な施行、コース別雇用管理制度の適正な運用に向けた周知徹底、行政指導を行う こと、それから、13頁の上にあるように、今回検討をお願いしている事項について、来 年度においても必要な予算を要求しているところです。  (2)のポジティブ・アクションの促進については、引き続きベンチマークの提供、 企業等における取組のセミナーの開催、協議会の開催といった内容を計上してありま す。 ○若菜分科会長  ただいまの説明について、ご質問やご意見がありましたらお願いいたします。 ○吉宮委員  12頁のパートタイム労働者と正社員との均衡処遇の推進の所で、事業主に対してコン サルタントの派遣を拡大すると言うのですが、いまどんな内容の指導をコンサルタント は行っているのですか。そのマニュアルのようなものはあるのですか。 ○谷中短時間・在宅労働課長  現在、均衡の確保に向けて意欲のある事業所を各都道府県に1カ所程度選定した上で コンサルタントを派遣し、さらにその事業所が属している業種別の団体の方々を集めて 業種別使用者会議を行い、そこで均衡処遇の確保に向けた情報交換などを行うことでそ の普及を図っております。  現在、自主点検表を各事業所に配布し、それに基づいて自主点検を行っていただいて いるところですが、来年度にはこれを拡充し、診断表という形にしたいと考えておりま す。具体的には、均衡の確保に向けて意欲のある事業所を各都道府県に1つだけではな く、診断表に基づいて、均衡処遇について雇用管理を改善したいという事業主に対して もコンサルタントを派遣するということで、対象の拡大を図っていきたいと考えている ところです。  コンサルタントには賃金コンサルタント等の方に担当していただき、ノウハウの提供 等を行っていただいております。 ○吉宮委員  厚生労働省にすれば指針等がありますが、それに基づいてコンサルタントと意見交換 をし、具体的な持っていくべき方向を指導しているという意味に理解してよろしいので すか。 ○谷中短時間・在宅労働課長  本事業は21世紀職業財団に委託して実施しております。コンサルタントはパートタイ ム労働指針に基づいて事業を行うわけですが、いろいろな研修や交流会を行い、国の考 え方をコンサルタントの方々にも十分理解していただいた上で、事業所へ派遣し、指針 の普及を図ることとしております。 ○片岡委員  施策内容の説明を受けて、それを推進していただきたいという観点から2点ほど意見 を申し上げます。子育てに配慮した働き方の改革という項目の中で、男性も育児参加で きる職場環境の実現ということが掲げられていて、大変重要な課題だと思います。特 に、職場環境改善の具体的な中身について言えば、現在の男性の長時間労働を是正して いくということが、この項目の中で具体的には進められるべき重要な課題だと考えてい ます。  いろいろ調査いただいたものを拝見する中では、子育て期にある30代の男性を中心 に、就業時間が最も長いというものや、帰宅時間も遅い。そういった働き方ではありま すが、この世代の「両立をしたい」という意欲も高いというデータがいろいろ示されて います。そういった意味からも、男性の育児参加を促す上で労働時間短縮は欠かせない と思いますので、長時間労働の是正ということも、是非この中では施策として進めてい ただきたいと思います  もう1点は「多様な働き方を選択できる環境整備」の項目についてです。今ほどコン サルタント業務に関わっての質問のやり取りがありました。併せて説明では、これまで の施策に加えて特段これという説明がありましたが、正直に言って、この内容を拝見し たときに、「パートタイム労働者と正社員の均衡処遇を推進する」に関わる取組として はその範囲が非常に限定的ではないかと思いました。パートタイム労働者の均衡処遇を 進めていくための積極的な啓発活動も、是非この中では取り組んでいただきたいと思っ て意見を申し上げています。  もちろん先駆的取組で、相乗効果としてそれが広がっていくことは大いに期待してい ます。ただ、平成14年9月から行われたパート労働対策の中でさまざま意見を申し上げ てきましたが、この間のパートタイム労働に対する法的な整備は不十分で、その審議も 指針の改正にとどまっています。この項目のタイトルが示す「多様な働き方を選択でき る」、つまりパートタイム労働が働く人自らが選択する働き方になるには、パートタイ ム労働者の均等待遇原則の確立が欠かせないと考えます。審議会の中でもさまざま申し 上げてきましたし、その議論なども参考に、パートで働く人の実情を踏まえた均衡処遇 の実現に向けた啓発活動を是非進めていただきたいと思います。 ○渡邊委員  5頁の「多様な保育サービスの推進」の中で5万人増やすということで予算措置がで きたようです。そこでお尋ねしたいのは、全体で待機児童がどのくらいあって5万人増 やすのか、わかったら教えていただきたいのです。 ○高井総務課長  待機児童は、今年4月の時点で2万4,000人です。去年4月の時点では全国で2万 6,000人いたということで、2,000人減ったということです。  保育所の受入れは今年4月で197万人だったと思いますが、それを毎年2万2,000カ所 の保育所で5万人近く受入れを増やしているという状況です。 ○若菜分科会長  ここで局長から一言ご挨拶をいただきます。 ○伍藤局長  事務的な説明に入る前に、一言挨拶を申し上げます。男女雇用機会均等対策の見直し についてご審議をお願いしたいということで、お忙しい中お集まりいただき、大変あり がとうございます。本分科会においては、一昨年度はパートタイム労働対策について、 昨年度は仕事と家庭の両立支援について検討していただきました。これは今、育児・介 護休業法の見直しということで国会へ提出しておりますが、残念ながら、継続審議にな っておりますので、秋の臨時国会では、できるだけ早く審議をお願いしたいと思ってお ります。  今回は男女雇用機会均等対策についてのご審議を新たにお願いしたいということで す。ご承知のとおり、我が国における男女雇用機会均等政策については、昭和60年に男 女雇用機会均等法が成立しました。平成9年に大幅な見直しが行われ、それまで努力義 務規定であったいろいろな規定が、差別は原則禁止というような大幅改正を行ったわけ で、均等行政の大きな展開が図られたわけです。  ただ、現実を見ますと、いろいろ厳しい雇用情勢の中で、依然として妊娠・出産を理 由とする解雇などの男女差別的な取扱いが、なかなか減少傾向に進まないということも ございます。それから、管理職につく女性の割合も、増加はしてきておりますが、諸外 国と比べると未だしという感がぬぐえません。男女が持てる力を十分に発揮するという 柔軟な社会には、まだ格段の努力が必要ではないかと思っているところでございます。 後ほど事務的な説明の中で触れると思いますが、平成9年にこの男女雇用機会均等法が 国会で審議された際の附帯決議においても、性差別の禁止あるいは間接差別等につい て、いろいろご指摘をいただいています。それから、法施行後適当な時期に検討を加え るべきであるという規定も、同様に附帯決議に盛り込まれているところです。  こうしたことを踏まえて、厚生労働省において一昨年の11月に、学識経験者から成る 男女雇用機会均等政策研究会を設置しました。当分科会の委員でもある奥山委員に座長 を務めていただき、本年6月に報告書を取りまとめていただきました。今回は、その研 究会の報告書も1つの土台として、男女雇用機会均等政策の一層の新たな展開を目指し て幅広くご検討いただければと思っているところです。検討の目処としては、できれば 来年末ごろまでに一応の取りまとめをいただければと考えております。大変ご多忙の 中、ご苦労をおかけすると思いますが、何卒よろしくお願いいたします。 ○若菜分科会長  議題1についてご質問やご意見がなければ、議題2の討議に移ります。次の議題は 「男女雇用機会均等対策」です。最初に事務局から説明をお願いいたします。 ○石井雇用均等政策課長  私のほうから、資料No.3〜6に基づいて一括して事務的な説明をさせていただきた いと存じます。資料がやや大部で、極力ポイントを絞ってと思っておりますが、多少説 明時間を頂戴することをお許しいただきたいと存じます。  資料No.3は、先ほど局長の挨拶の中で申し上げた事項が記されているものです。平 成9年改正の際に衆参両院で付けられた附帯決議、そして平成12年7月に策定された男 女雇用機会均等対策基本方針です。まず衆議院で付された附帯決議です。第1項に、性 差別禁止、そして、間接差別について引き続き検討すること、といったようなことが付 されております。  第8項において、ポジティブ・アクションについて指摘がなされております。最後の 第12項で、法施行後適当な時期に検討を加えるという、見直し的な条項がついていま す。  同様の附帯決議は参議院のほうでもついております。これは割愛させていただきます が、最後の頁をご覧ください。これは均等法の第4条に基づき、当審議会の意見を聞い て策定した男女雇用機会均等対策基本方針です。附帯決議同様、ポジティブ・アクショ ン、間接差別、性差別禁止についての指摘もございますが、最後(2)に、母性健康管 理対策の推進という所があります。ここで、妊娠・出産を理由とした不利益取扱いにつ いて検討を行うこと、という形で言及がなされております。  続いて資料No.4ですが、これも先ほど局長から紹介いただいたものです。男女雇用 機会均等政策研究会報告書の概要という形で整理いたしております。この資料の中ほど にA3判のチャートが付いておりますが、これに基づいて概要を説明いたします。  これは学識経験者にお集まりいただいて、平成14年11月に検討を開始し、この6月に 報告書としてまとまったもので、座長は奥山委員にお願いしております。  検討したのは4つの項目です。上に4つ、四角の箱の中に並べて書いておりますが、 「男女双方に対する差別の禁止」、「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止 」、「間接差別の禁止」、「ポジティブ・アクションの効果的推進方策」、この4点で す。  まず男女双方に対する差別の禁止ですが、平成9年改正により均等法も、それまで許 容していた女性に対する優遇を原則禁止にしたわけです。  いろいろな動きがある中で、これを「男女双方に対する差別禁止」とすべきという議 論があるわけですが、これについて、女性に対する差別問題から見てどのような意義が あるかというあたりを特にご議論いただきました。真ん中の箱に入っております。  結論としては、女性の差別問題にもプラスになるであろうということです。1点目と しては、いわゆる性差別禁止の理念が明確になるという観点からのものです。福祉的な 色彩から脱却し、職業上の能力等、そうした根拠に基づき処遇するという考え方が明確 になるという点です。  2点目は、男女間の職域分離の是正が進むとともに、賃金を含む男女間の格差の縮小 が図られることが期待されるということです。  その他報告書の中では、男性の側の共感が得やすくなることにより、女性差別禁止の 徹底が進むのではないかといったようなことも指摘されております。  ただ1点検討すべき事項として取り上げておりますのが次の箱にある、均等法第9条 にある特例措置との関係です。仮に男女双方の差別を禁止したとして、いま現在均等法 第9条で許容しているような、いわゆるポジティブ・アクションに相当するような措置 を男性に対しても適用する必要性があるかどうかという点です。  ちなみに、諸外国でもこの対応は分かれております。EU、イギリス、スウェーデン などでは、仮に男性がまだ入っていない、例えば保育士や一般事務職などが考えられる わけですが、そういうところに男性が入っていきにくい。その職域拡大といいましょう か、促進を図るために優遇的な措置を講ずる。そうしたことも許容し得るような規定が 明文上ございます。  一方フランスやドイツなどにおいては、ポジティブ・アクションとして許容するよう な優遇措置は女性に対してのみという形になっております。この点については、現在の 我が国の女性の置かれた状況に十分留意しつつ検討することが必要ではないかとしてお ります。  2つ目は妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについてです。検討の経緯について もいくつか書いておりますが、3点目をご覧いただきたいと存じます。現行均等法の第 8条においては、妊娠・出産、あるいは産休を理由とする解雇については禁止している ところですが、解雇以外の不利益取扱い、昨今では身分変更や不利益な配置転換といっ たような相談も上がってきておりますが、そのようなことについては規制がないという のが現状です。  しかしながら、裁判例の動向を見ますと、若干一歩出た判決が出ております。ここで 最高裁判決として取り上げているのは「日本シェーリング事件」と「東朋学園事件」で すが、いずれも賃上げないし賞与の支給要件として、出勤率を80%とか90%とかという 高い率で設定し、なおかつ、出勤率の算定に産休で休んでいる期間が入ってしまう、結 果その女性が賃上げや賞与の支給対象にならないといったようなことが争われた事案で す。これらの事案について最高裁判決では、休んだ間の賃金の減額は許されるとして も、結果として法律上の権利行使を抑制するほどのこのような不利益取扱いは許されな いという判示をしているわけです。  翻って諸外国の状況ですが、この研究会ではアメリカ、イギリス、フランス、EUに ついては実地の調査をかけ、また、文献でドイツ等について補っておりますが、それら 諸外国における状況を見ると、いずれも解雇以外の不利益取扱いについても規制をして おります。また、妊娠・出産となると、実はその結果休みがちになるとか、労働不能に なったり、能率が落ちたり、そういった状況を伴うことがあるわけですが、そうしたこ とにならず、単に妊娠していることのみを理由とした不利益取扱いは禁止しておりま す。  また、妊娠・出産に起因する症状による能率低下や労働不能の場合についての取扱い についての対応は、国によって分かれているという状況です。さらには、産休からの復 帰においては、原職、または原職相当職への復帰を求めるのが大勢ということです。  こうしたことを踏まえて、検討に当たり留意すべきことを下の箱に整理しておりま す。1点目として、諸外国では規制がなされているという点。2点目としては、育児・ 介護休業法では、平成13年の改正により、育児休業の申し出あるいは育児休業をしたこ とを理由とする不利益取扱いが禁止になっているわけで、そうしたこととのバランスを 考える必要があるという点です。3点目として、産休後に原職または原職相当職への復 帰を求めることも合理性があるのではないかということ。そして4点目として、産休中 休んでいるわけですが、その間の評価については、最高裁判決の趣旨を踏まえながら、 社会的なコンセンサスの形成が必要なのではないかとしております。とりわけ、休業し なかった者とのバランスをどう考えるかという点が難しい点であろうということで記し ているところです。  続いて次の項目、間接差別についてです。検討の経緯の2点目をご覧いただきたいと 思います。我が国が批准している女子差別撤廃条約に基づいて設置されている女子差別 撤廃委員会の日本審査というものが、実は昨年夏にございました。その最終コメントで 間接差別について取り上げられたことから、ますます注目されるようになってきている という状況があります。  間接差別の概念は、やや目新しい部分もあるわけですが、ここでは性差別についてと いうことで1つ定義を置いております。ここに4行ほどで整理しておりますが、「一般 的に、間接差別とは、外見上は性中立的な規定、基準、慣行等が、他の性の構成員と比 較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与え、しかもその中立的な基準等が職 務と関連性がない等合理性・正当性が認められないものを指す」ということです。3つ の要素から構成されているということではないかと思います。  この間接差別は、通常間接差別と呼んでおりますが、もともとはアメリカでスタート しておりまして、1971年の人種をめぐる裁判から考え方が出てきたわけです。これがヨ ーロッパに渡り、アメリカでは「差別的効果法理」と言っておりますのが、ヨーロッパ で「間接差別」とされ、広くは間接差別という形で知られているものとなっているわけ です。  諸外国でも、裁判例の集積を通じて具体的なイメージが徐々に形成されてきたという 経過がございますが、我が国においてはどうかということになると、現状、雇用の分野 において、こうした考え方に立って判断された裁判例は見い出せないわけですが、1つ 世帯主の被災要件について判断された高裁判決があり、報告書では11〜12頁で紹介して おります。  間接差別の概念と他の概念との比較をその次に整理しております。男女異なる取扱い をする直接差別とは異なって、間接差別は一見、「性中立的な基準が与える影響の違い に着目するもの」という点があります。そして、差別意図の有無は問わないというのが 特徴点です。  2点目としては、これがよく混同されるわけですが、格差というものが出発点になる ということがあり、いわゆる結果の平等と同旨ではないかという指摘があるわけです。 格差の存在は前提とはなりますが、仮に格差があっても、基準等に職務との関連性など が認められれば差別とはならないものです。  3点目はポジティブ・アクションとの関連を整理しております。ここで言うポジティ ブ・アクションは男女双方を対象として行う取組です。例えば女性が事実上満たしにく い採用・登用条件を見直していくといったようなものを念頭に置いておりますが、かな り似たような目的を持っております。しかしながら、間接差別が違法という評価を受け るものという点で決定的な違いがあります。  諸外国における状況ですが、違法性の判断方法はほぼ同様なのですが、実際の適用状 況にはかなりの違いがあるということが、この研究会の中で整理されております。1つ は、不利益の有無の判断基準を有しているのがアメリカですが、例えば欧州司法裁判所 では、各国の国内裁判所の判断によるとしておりますし、またイギリスなどでは、労使 が参加している雇用審判所が一義的に不利益があったかどうかを判断することになって おります。したがって、事案によってややまちまちな結果になっているという特徴があ ります。  もう1つ適用された事例に着目しますと、アメリカでは採用や昇進をめぐる事案が多 く、例えば賃金やパートについての事案は把握されていません。しかしながら、ヨーロ ッパではフルタイムとパートタイム労働者、この間の処遇について、労働時間のみが違 うというのが一般的な中にあって、パートの事案も間接差別ということでかなり多く取 り上げられている状況にあります。  検討に当たり留意すべきこととして4点まとめております。1つは、今回調査を行っ た諸外国では何らかの形で間接差別についての規制を行っている状況にあるという点で す。2点目ですが、いわゆる結果の平等とは異なるといった、間接差別法理の理解の徹 底が必要であるという点。3点目としては、どのようなものが間接差別に該当するかに ついて、あらかじめイメージを示し、予測可能性を高め、法的安定性を高めていくこと が必要ではないかという点です。  最後に4点目ですが、間接差別ということになると違法性を問われるわけですが、仮 にそれに該当しない場合であってもポジティブ・アクションの積極的な推進が必要では ないかということです。ここでも間接差別のイメージがいまひとつ分からない部分があ るかと思いますが、このチャートの直前に、間接差別として考えられる例が3枚綴りに なって書かれております。後ほどご覧いただきたいと思いますが、若干紹介しておきま す。  具体的な事案として、ここでは7つ挙げておりますが、それらは、これまでさまざま な所で指摘されたものを検討したものです。ただ、これは実際には個別具体的な事案ご とに事実認定を行って判断すべきもので、例えばここで取り上げている、コース別雇用 管理だからとか、身長・体重要件だから、直ちに間接差別ということにはならないもの です。総合的に、個別事案ごとに判断を下していくというものになるわけです。  また、この研究会では若干異論があった事項として、転勤を要件としたコース別雇用 管理の話とパートタイム労働の処遇については、間接差別の俎上に載せるべき事案では ないのではないかという意見もありました。ただ、仮に載せるとした場合に、どういう 場合に間接差別となり得るのかという形で整理しておりますので、後ほどご覧いただけ ればと思います。  最後になりましたが、ポジティブ・アクションの効果的推進方策について説明いたし ます。検討の経緯の2つ目ですが、企業の理解は進みつつありますが、まだ大きな広が りを持つ動きには至ってないという現状です。そして、ポジティブ・アクションについ ての諸外国の取組ですが、これはそれ以外の3つの検討課題と違って、国によって取組 方がやや異なるという特徴点があります。使用者の自主的な取組を尊重するイギリスの ような例もあれば、雇用状況報告書等の作成を義務づけるフランスやスウェーデンのよ うな例もあります。取組方法も様々ですし、実際、女性の登用状況も様々であるという 違いがあります。  検討に当たって留意すべきこととして4点ほどまとめております。1つは、ポジティ ブ・アクションというと、どうしてもクォーター制、割当て制のイメージがまだ強いと いうことがあり、ポジティブ・アクションの措置には幅広い、多様な手法が含まれてい ることについての一層の理解の促進が必要ではないかというのが1点目です。  2点目として、例えば雇用状況報告書の作成の義務づけなど規制的な手法によると、 一定の成果が上がることは期待される一方、企業や行政のコストも伴うということか ら、費用対効果を上げる工夫が必要なのではないかという点です。  3点目として、奨励的な手法で実効性を持たせるためには、企業に対してインセンテ ィブ付与の工夫、とりわけ企業トップがその必要性を理解することが重要であって、理 解させる仕組みのあり方が重要なのではないか。本文中では、社会的責任投資の例など を挙げて、企業トップとしては、投資家や消費者の評価が得やすい、有能な人材確保に 資するといったようなことがインセンティブ付与につながる。それを可能とするために は、客観的な基準による認定などの工夫が必要なのではないかというようなことが記載 されております。さらには、個々の企業の取組だけでなく、全般的な様々な分野でのポ ジティブ・アクションの推進が重要であると締め括っております。研究会報告について は以上です。  続いて資料No.5をご覧いただきたいと思います。今回は均等対策に係る議論の第1 回目ということで、全般的・基本的な資料を用意いたしました。資料の中身をご覧くだ さい。  資料の最初に出てくるのが「I 採用」と書いたペーパーです。ほぼ3年に1回、均 等についての雇用管理状況を把握している女性雇用管理基本調査というものがありま す。先般、平成15年度の状況が取りまとめられましたので、それを含めて整理しており ます。  このグラフは、新卒者または中途採用者を採用した企業の状況です。その企業がいず れの職種・コースとも男女とも採用したか、あるいは女性のみであったか、あるいは男 性のみであったか、さらには職種やコースによって異なる結果であったか、この4区分 で整理しております。いちばん左にあるのが「男女とも採用」という所で、実は改正均 等法の施行が平成11年度であり、平成10年度と平成12〜15年度との間で大きく改善し た、すなわち「男女とも採用」が増えていることを期待していたわけですが、全般的に 採用の抑制が厳しい中、男女とも採用した企業割合は、正直なところ、新卒者について はあまり増えている感じにはなっておりません。下にある中途採用の所を見ますと、こ こは平成10年度が「男女とも採用」が33.6%、平成15年度には53.0%と上昇いたしてお ります。  また、技術系は相変わらず「男性のみ採用」がかなり目立っております。グラフの色 では真っ白で示しておりますが、ここが目立っている状況です。  2頁に移ります。男性のみを採用した企業に対して、どうして男性のみ採用だったの か。これは平成15年度のデータです。最も多いのが左から2つ目にある「女性の応募が なかった」というものです。技術系について「男性のみ採用」が大変多かったわけで、 工学部に女性の進出がまだ少ないということとも関連しているということで後ほど紹介 したいと思いますが、これがいちばん多くなっております。  2番目が「募集・採用人数が1人であった」で、これが25.5%です。これを足すと8 割を超えております。とりわけ「募集採用人数が1人だった」というのは、企業規模が 小さい所で目立っており、3割近くにのぼっています。  ただ、ここには紹介しておりませんが、企業規模が大きい所では「男女とも採用」と した企業割合は、ほとんどすべての採用区分で上昇していたということを報告させてい ただきたいと存じます。  次の頁は配置・昇進です。これも採用と同様、配置について、いずれの職場とも、男 女とも配置しているか、あるいは女性のみの職場があるか、男性のみの職場があるかと いう形で聞いておりますが、これも先ほど同様、「男女とも配置」という所は必ずしも 増えていないようです。若干増えていると思うのが、下から2つ目にある販売・サービ スです。従前から女性の配置が少ないと指摘されている営業については、まだ6割台と いう状況になっています。  次は昇進です。女性管理職を有する企業の割合ですが、1人でも女性の管理職がいれ ば「あり」とカウントされるものです。係長相当職以上で見た場合に、平成10年度に 58.4%の企業で係長相当職以上の女性管理職ありということでした。それが平成15年度 は62.5%で、4.1%ポイント上昇しております。それぞれのレベルで上昇しているよう ですが、係長の所がやや伸び悩みという状況です。  規模別に見ると、大規模であるほど女性管理職がいる企業割合は高く、中小に比べて 上昇幅もやや大きめかなと思います。とりわけ5,000人以上規模の部長あるいは課長の 所での企業割合が大きく上昇しているようです。  5頁は女性管理職の割合で見たものです。係長相当職以上に占める女性の割合は、平 成10年度は5.1%でしたが、平成15年度は5.8%になっています。それぞれのレベルで若 干上昇しております。これも、ポストが高くなるほど値は低いということになっており ます。  規模別には先ほどとは対照的に、規模が大きい所ほど女性割合は低く、小さい所ほど 高い形になっております。産業別を下に記しておりますが、産業別で高くなっているの が医療・福祉、教育・学習支援業。低くなっているのが建設業、電気・ガス・熱供給・ 水道業などです。  6頁は役職別管理職に占める女性の割合の推移を、グラフで示したものです。  7頁は、女性管理職が少ない又は全くいない理由別の企業割合です。最も多いのは 「必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」というもので、平成15年度では 48.4%です。そして、減ってきてはおりますが、勤続年数の関係を理由とするものが下 2つに並んでおります。「将来管理職につく可能性のある女性はいるが、現在、管理職 に就くための在職年数を満たしている者はいない」「勤続年数が短く、管理職になるま でに退職する」といったようなものが続いております。  8〜9頁には、男性のほうが早く昇進、昇格する者が多いといったようなことが示さ れております。入社してから6〜10年までのところで差がつく時期であると答えた事業 所割合が高いというものが示されております。  10頁はコース別雇用管理です。コース別雇用管理制度がありとする企業割合が若干増 えており、平成15年度においては9.5%です。ただこれは、規模別に見ると若干様相が 違っており、300人以上の所では、平成10年度をピークに若干低下している状況にあり ます。一方300人未満の所では若干上昇しております。ただ、中身を見ると、典型的な コース別と思われる総合職と一般職の組み合わせは、小さい所では非常に少ないという 状況で、内容はやや違うのではないかと思います。  11頁はコース別雇用管理制度をとっている企業の産業別の状況ですが、金融・保険業 が突出して多いという状況です。  12頁はコース別雇用管理制度をとっている所での採用状況の推移です。先ほど新卒に ついて、「男女とも採用」はあまり増えていないと申し上げましたが、ことコース別を とっている所について見ると、総合職、準総合職、一般職も「男女とも採用」は伸びて いる状況にあります。  13頁はコース別雇用管理制度の見直しをした企業割合です。産業規模計で過去3年間 に見直しをした企業でとっておりますが、23.0%です。これも規模別に見ると、5,000 人以上では45.2%と、約2社に1社は見直しをしているという状況でした。  見直しの内容を14頁に示しております。いちばん多いのが、中ほどにある「コース転 換の柔軟化」で、これが37.6%。続いて、「コースを分割または統合」が25.1%、3番 目に位置しているのがコース転換希望者に対して教育・訓練を実施する等、「コース転 換円滑化のための措置の導入」です。  コース転換制度については、15頁でわかるように、「転換制度あり」とする企業割合 は高まる傾向にあります。  16頁からはポジティブ・アクションについての数字を整理しております。ポジティブ ・アクションの取組状況ですが、ポジティブ・アクションについては、ご案内のとおり 平成9年改正で初めて規定が盛られたものです。平成12年度においては、すでに取り組 んでいるとする企業割合は26.3%でしたが、平成15年度に3.2%ポイント上昇し、29.5 %となっております。その一方、今後取り組むこととしている企業割合は、13.0%から 8.8%へ若干低下しております。したがって、取り組む考えがある所は現実に取り組ん だというシフトは見えるわけですが、広がりはあまり見られない状況なのではないかと 思っております。  これも規模別に随分差があり、例えば5,000人以上の所を見ると、平成15年度では 74.0%、4社に3社取り組んでいる状況にあります。ただ、小さい規模になるとその値 が落ちて、30〜99人規模になると4社に1社程度という状況です。取組に非常に熱心な のが金融・保険業や情報通信業ですが、建設業や運輸業では取組の状況が少ない、低い という状況です。  取組の内容を見たのが17頁です。取組内容として最も多くなっているのが「人事考課 基準を明確に定める」というものです。その次に多いのが「女性を積極的に採用」する というものです。変化で見てやや伸びているという感じがするのが「両立のための制度 の活用促進」です。また「女性を積極的に登用」というのも若干増えているかなという 感じがしております。  19頁はポジティブ・アクションに取り組まない理由別の企業割合をとっております。 最も多いのは「既に十分に女性が能力発揮をし活躍をしている」ということですが、 「日常の業務が忙しいため対応する余裕がない」も12.7%です。平成15年度の調査では 「トップの意識が伴わない」という項目をとったところ、8.1%の数字があがっており ます。下の表は、ポジティブ・アクションの取組状況別の女性管理職割合の状況をクロ ス集計したものです。ご覧いただきたいのはいちばん下で、いまのところポジティブ・ アクションに取り組む予定がなくて、「トップの意識が伴わない」。ここは女性管理職 を有する企業割合で見ても、管理職に占める女性の割合で見ても、産業規模計をかなり 下回っているという状況にあります。  20頁はセクシュアルハラスメントの関係です。セクシュアルハラスメントについても 平成9年改正で盛り込まれたものです。右に平成10年度の状況を、左に平成15年度の状 況を記しております。この調査の仕方はあまり整合的でなく、比較がしにくくなってお りますが、全体的に言えるのが、平成10年度に比べて平成15年度になると、さまざまな 項目に対して取り組む企業割合が増えているということです。  もう1つ言えますのが、規模間格差が大きいという状況があるということです。例え ば、下の2の「セクシュアルハラスメント防止のための相談・苦情対応窓口の設置内容 別企業割合」を見ますと、いちばん多く対応されているのが「人事担当者や職場の管理 職を相談担当者に決めている」という所で、規模計で55.3%です。ただ、この項目だけ 見ましても、規模が小さくなるにつれ、取り組んでいる企業割合が低くなっておりま す。なおかつ、5,000人以上規模などを見ますと、それ以外に企業内に相談室を設置し、 対応の専門家を配置するとか、労使による苦情処理委員会を設置するなど、さまざまな 措置を組み合わせて実施している状況が見て取れます。  22頁からは「妊娠・出産、母性健康管理等」について取り上げております。女性一般 労働者の妊娠・出産・産休取得に伴う配置転換の方針別事業所割合です。妊娠あるいは 出産、さらには産休のいずれについても概ね6割の事業所は、原則として配置転換を行 わない方針でいることをこの資料から窺い知ることができます。本人の希望を考慮し、 会社が決定するというのが大体3割で、約9割強の企業は本人の希望を尊重している状 況にあるのではないかと思います。  23頁で、母性保護措置等により休んでいる期間、不就業期間の取扱いがどのようにな っているかということです。縦に「産休」から「出産後の症状に対応する休業」まで7 つの項目、横には「昇進・昇格の決定」「昇給の決定」「退職金の算定」と3つの項目 について整理しておりますが、とりあえず(1)の産休についてご紹介します。  「昇進・昇格の決定」にしても、「昇給の決定」にしても、「退職金の算定」にして も、特に決めていない企業割合が45%あるいは40%ぐらいあります。労働者の出勤状況 を考慮しているのが5割前後といったところではないかと思います。なおかつ、「退職 金の算定」について出勤状況考慮と回答している企業割合が高い傾向にあり、これは産 休以外の項目についてもほぼ同様なのかと思います。  それでは出勤状況を考慮している約5割の企業で、どのように考慮しているのかを見 たのが24頁の資料です。「昇進・昇格の決定」の「産前産後休業」を見ますと42.6%の 企業で、就業したものとみなすと回答しています。  右から2つ目の8.0%という数字は、就業すべき日数として取り扱っていないと回答 しています。したがって、合わせて半分の50.6%の企業では、産休によって休んだ期間 が昇進・昇格に影響を与えない、加わらない形の取扱いとなっているということが言え ると思います。他についても若干数字の違いはありますが、概ねそのような傾向になっ ているかと思います。  26頁で「母性保護等の措置の請求者の有無別企業割合」を取っています。これも平成 9年改正で、保健指導又は健康診査を受けるための必要な時間の確保などについて義務 化がされたわけです。実際にそういう規定があることを受けて、請求者が出ているのか どうかということです。請求者がありということで答えている企業割合が高い項目は、 3つ目の「妊娠中・出産後の通院休暇」です。まさに保健指導や健康診査を受けるため に時間を確保する、というところでの利用が多い状況です。実際に対応している人は、 人事労務担当部署の担当者が多いという状況です。  27頁ではその他ということで、さまざまなものを掲載しております。27頁でお示して おりますのは、平成9年改正の男女雇用機会均等法の施行に伴う雇用管理制度の見直し の実施企業の割合です。  いちばん上にありますのは、「女性又は男性のみの募集・採用方針を見直し、男女不 問に」という項目で、先ほど「男女とも採用」が思ったほど増えていないと申し上げま したが、男女不問にしたとする企業割合は47.7%です。従前からそのようにしている企 業47.3%を加えると、合わせて95%の企業が男女不問にしたと回答しています。  その他新しい規定については、見直したと答えている企業割合が高くなっておりま す。中ほどにあります「セクシュアルハラスメント防止対策のための相談体制の整備」 については61.7%の企業が新たに実施したとしております。その次の「母性健康管理の ための措置」は43.6%です。その次の、時間外・休日労働、深夜業についての男女別の ものを一緒にしたというのが81.6%です。  28頁では、前回改正においては、時間外・休日労働、深夜業の規制の解消がなされた わけですが、これに伴い女性の雇用関係がどう変化したかを聞いております。「特に変 わらない」というのが70.9%と高くなっておりますが、「責任ある職務に就く女性が増 えた」とか、「女性が配置される部署が広がった」と答えているものも1割前後ありま す。「女性の時間外労働が増えた」というのが14.2%となっております。  29頁では、女性の就業時間がどのように変化したかということを、就業構造基本調査 を用いて整理しております。上が女性、下が男性です。就業時間の分布を見たものです が、女性について申し上げますと、平成9年と平成14年の比較では、週労働時間は49時 間から59時間であったとされる方の割合が増えていて、10.3%から14.5%と4.2%ポイ ント伸びております。これに続くのが60時間以上で、ここで2.3%増えています。  対する男性ですが、最も増えているのが60時間以上というところで、そもそも値も女 性よりも高いわけですが5.6%ポイント上昇しております。続いて49〜59時間というと ころで4.3%ポイント上昇という状況でした。  次に深夜業の関係を取り上げます。31頁では「深夜労働従事者の有無別事業所割合」 を取っております。ここでは、「所定内労働で深夜労働がある者のいる事業所」という ことで取っておりまして34.3%です。これを100として、そのうち「女性が所定内労働 で深夜労働がある女性のいる事業所」はどうかと尋ねたところ36.9%、男性については 82.6%でありました。内訳として、「交替制」と「交替制勤務以外」とで取っておりま すが、多いのは交替制で、これは男女とも同じです。「交替制勤務者で深夜労働がある 女性がいる事業所割合」は63.9%に対し、「交替制勤務者以外」は41.8%という状況に なっております。  これを掛け合わせますと、女性の深夜労働者ありの事業所と、男性の深夜労働者あり の事業所が出ますが、「女性の深夜労働者あり」とする事業所割合は、男性の半分以下 になります。  その変化を取っておりますのが32頁です。このグラフの左のほうですが、「交替制勤 務者以外の深夜労働者あり」の事業所において、そこで働いている女性ないし男性の深 夜労働者が増えたか減ったかを尋ねております。女性については「増えた」が24.5%、 「減った」が22.2%ですから、ネットで増えている状況です。男性は「増えた」が16.0 %、「減った」が27.3%で、ネットでは減少したということです。これは、交替制勤務 者についても同様です。  33頁以下は、働く女性の状況ということでデータ編です。よく「M字型」と称されて おります、年齢別労働力率の状況です。30〜34歳層がM字の底であったわけですが、平 成14年からここが6割を超えております。現在は60.3%です。10年前と比較すると、底 は上がってきている状況ですが、主として未婚者の増加によるということが、次の「配 偶関係別」のところで示されています。しかしながら既婚者、有配偶のところも25〜29 歳、そして30〜34歳で若干ではありますが労働力率は上昇している状況にあります。  34頁は雇用者数の推移です。昭和40年からグラフでお示ししておりますが、現在、女 性雇用者数(全産業)では2,177万人です。雇用者数全体の40.8%を占めております。 徐々に増えつつあり、割合も高まっている状況にあります。35頁、36頁はその内訳です ので割愛させていただきます。  女性の雇用者数は増えているということですが、37頁は短時間雇用者数の推移です。 短時間雇用者数が増えていて、実は女性の雇用者数の増加の大半はこの短時間雇用者数 であるということです。雇用者数の4割が女性でありまして、その女性雇用者の約4割 が短時間雇用者という関係にあります。  しかしながら、短時間雇用者は、近年男性でも増えております。注の1つ目のポツ で、「短時間雇用者中女性の占める割合68.4%」と書いておりますが、実は平成12年度 は71.6%でして、平成12年度以降、男性が占める割合が上昇している状況です。  38頁は平均年齢及び平均勤続年数の推移です。年齢も高まっておりますし、勤続年数 は男女とも伸びているということです。平均勤続年数の男女差を見ますと、平成10年に おいては、男女の平均勤続年数の差は4.9年でした。平成15年では4.5年に縮小しており ます。  平均勤続年数の長期的なトレンドを次の図で示しておりますが、平成15年で女性の平 均勤続年数は9.0年ですが、これを左のほうへ引っ張っていただきますと、大体昭和40 年代半ばごろの男性の平均勤続年数に匹敵する長さに現在はなっている状況です。  39頁は、勤続年数の階級別に見た構成比の推移です。これも、長く勤続する女性の割 合が高まっていることを示すものです。このグラフの白抜きのところが、勤続年数10年 〜14年で、そこから右を足し上げますと勤続年数10年以上の者の割合がわかります。平 成15年において、勤続年数10年以上の方の割合が、女性については35.2%、男性は53.8 %ということで、男性に比べて少ないとはいえ、最近この割合が増えている状況です。  40頁は学歴別状況です。女性の大卒者の割合は、男性に比べて低くなっております が、どんどん伸びて高学歴化が進んでいることをここでお示しております。  41頁は関係学科別大学在学生数の構成比の推移です。先ほど、採用のところで、技術 系は「男女とも採用」が少なく、「男性のみ」というのが多いと申し上げましたが、こ こで工学部に進んでいる女性の割合は4.8%と非常に少ない値で、なおかつ増えており ません。男性は26.4%です。人数比で見ると、約10分の1ぐらいになっている状況で す。女性については、かつて多かった人文科学は減って、社会科学は増えつつあります が、まだ技術系というところで、企業が必要とする工学部のほうへ進む方はあまり増え ていない状況です。これなどが、「男女とも採用」に至らない1つの原因にもなってい ると思います。下の図は、「所定内給与(一般労働者)」についてのものですが、男女 間賃金格差の推移を示しております。  42頁以降は意識の変化を取っています。女性が職業を持つことについての意識につい て、内閣府の世論調査によって見ています。上から4つ目のアンダーラインを引いた下 の、直近のところが平成14年7月といういちばん新しいデータの数字です。この中ほど にあります「子供ができても、ずっと職業を続けるほうがよい」が37.6%と、初めてそ の右にある「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつほうがよい」 を上回っております。  43頁は、どのポストまで昇進したいかと、女性新入社員の意識を尋ねたものです。 「役職に就きたくない」とする女性は減り、偉くなりたいという方が増えている傾向が 読み取れます。  44頁は現在の職場の満足度ということで、3つの項目について聞いております。全体 的に男性に比べ「不満」「やや不満」とする者の割合が大きい状況です。45頁の職場に おける男女の地位の平等感については、わずかではありますが「平等」とする方の割合 が増えております。ただ、数値としてなお多いのは「男性のほうが優遇されている」と 答えた方で6割前後ということでいちばん多くなっております。46頁は、類似のデータ がありますので割愛いたします。  47頁は、21世紀職業財団で行った調査です。女性総合職と同期の男性総合職との人 事間上の差で、「差がある」と答えている方が6割です。どういう項目で差を感じるか というと「昇進」「給与」「仕事の与え方」が3つの要因となっております。  48頁は、仕事を継続していく上での障害の理由です。最も多いのが真ん中ほどにある 「仕事と育児・介護を両立していくための制度が不十分である」が44.3%です。その次 に多いのが下から2つ目の「男性優位の企業風土」、3つ目は真ん中よりちょっと上の 「職場の受入態勢の問題」を指摘しています。  49頁は、企業の側の見方です。女性の活躍を推進する上での問題点です。勤続年数の 関係については、かつて大変多く指摘を受けておりましたが、いちばん上にある「女性 の勤続年数が平均的に短い」というのは、だんだん年を追うにつれ減ってきておりま す。片や増えておりますのが、「家庭責任を考慮する必要がある」でして、平成15年度 は48.7%でした。「女性の意識」あるいは「社会全般の理解」的なものについては全体 的に年を追うにつれ減ってきております。  若干メンションしたいと思うのは、まだなお、「女性には法制上の制約がある」とい うことを理由として掲げる企業割合が14%ぐらいある点です。産業を見ますと、運輸、 建設、製造業といった所で若干数字が高くなっています。資料5のご説明は以上です。  資料6は、雇用均等室における行政指導等の状況です。1頁は、雇用均等室が扱った 均等法に係る相談件数です。昭和61年度以降の数字を挙げておりますが、中ほどの平成 10年度と平成11年度で仕切りが黒くなっております。改正均等法前後では、とりわけ事 業主からの相談が増えて相談件数がはね上がっております。平成15年度では1万8,266 件と、大体この辺のオーダーで落ち着いています。最も多いのが「セクシュアルハラス メント」で4割を占めていて7,403件です。  この相談件数の内訳を平成11年度以降について取ったものが2頁です。相談者の内訳 を、事業主と女性労働者等の2つに内訳で分けております。女性労働者等の「等」は、 家族の方や組合の方などが含まれます。相談者の内訳別で事業主が、例えば平成11年度 から平成12年度にかけて、1万件ほどドンと減っているのがわかります。相談者の内訳 として、7割が女性等、3割が事業主といった構成になっております。  このところ、女性労働者等からの相談で若干増加傾向にあるのが、真ん中にある「法 第8条関係」(定年・退職・解雇の関係)です。平成12年度は912件だったのが、平成 15年度では1,157件になっております。この中には、妊娠・出産を理由すると解雇も含 まれています。これ以外に先ほど申しました、「不利益取扱い」的な事案、これはもの によっては、この解雇の中に含まれるものもありますし、「その他」で含まれるものも 出てきます。  3頁は、労働局長による紛争解決援助件数です。昭和61年度から平成15年度にかけて 整理しております。上段から下段へと、下段のほうが新しいわけですが、件数としては 上段よりも下段のほうの件数が多いというのが特徴点として挙げられます。法第13条に 基づく労働局長による紛争解決援助が増加傾向にあるということです。より積極的に使 われるようになってきていると思います。  第8条関係のうち「妊娠・出産関係」については平成11年度ぐらいから増えていると いうことで内訳を取り始めたのですが、近年この辺の件数が伸びてきている状況にあり ます。  4頁は調停です。調停件数について昭和61年度から見ていただきますと、年によって 変動が大きいわけです。ザッと計算いたしますと、昭和61年度から平成10年度にかけて の、年間平均の件数は8件強ですが、平成11年度以降は10件強で、個別労使紛争の中で 紛争解決援助、労働局長の援助件数ほど増えておりませんが、若干調停も増えているか という感じを持っております。  5頁は調停の開始状況です。法改正前の昭和61年度から平成10年度と、平成11年度以 降で分けております。特徴として申し上げられるのは、(注1)あるいは(注2)で掲 載しているものです。平成9年改正により、調停の開始が一方申請で可能になりまし た。その影響かと思いますが、申請件数に対する調停の不開始率が、法改正前は89.6% でしたが、法改正後は0%になっています。  6頁は、法律第25条に基づき、法の履行確保のために計画的に均等室の職員が事業所 訪問などを行って助言等する件数を並べたものです。平成15年度においては、5,624件 の助言等の指導を行っています。いちばん多いのが「セクシュアルハラスメント」で9 割強を占めています。新しい規定ということもあるでしょうが、先ほど、相談も多いと 申し上げましたが、それを受けて指導になってくるものも含まれています。  なお、第5条、第6条関係ですが、前の均等法改正のときには、とりわけ配置の関係 の相談が増えているということが問題になったわけですが、これも件数は落ち着いてい るとはいえなおありますし、従前ほど単純明快なケースばかりではありませんで、対応 に苦慮するものも少なくないということも申し上げておかなければいけないと思いま す。以上で資料6のご説明を終わります。 ○若菜分科会長  ただいまの事務局の説明について、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたしま す。 ○吉宮委員  進め方について発言いたします。先ほど局長から、この検討依頼の経緯というか、国 会の附帯決議等の紹介がありました。奥山先生が座長の報告書を土台にして、幅広く検 討を願いたい。取りまとめは来年末までという2つのことを言われました。確かに、こ れから重要なテーマですので、幅広く議論することを私どもも願っています。  課題は至急解決すべき課題でもありますので、できるだけ早く解決したいと思いま す。育児・介護休業法も臨時国会でどうなるか、それによってその後省令指針の見直し も当分科会であろうかと思います。それがなければ、もう少しこのテーマについて議論 が深まると思いますが、できるだけ早くまとめるように期待したいと考えます。  いくつかの資料の報告がありましたが、2つほどお願いがあります。先ほど課長から もお話がありましたように、ILOなり国連等の、1999年均等法改正後の、日本に対す る様々な意見があります。この検討は専門家の研究会でも諸外国の例に基づいて検討を 重ね、当審議会でもその面の検討かと思いますので、その資料を提出していただきたい と思います。それから裁判例も、今後の検討で重要な資料となると思いますので、その こともお願いいたします。  審議の進め方ですが、通常当審議会でいろいろな調査を基に、あるいはいろいろな資 料を基に検討を重ね、それで労使の意見がテーマ別にまとめられ、それでパブリックコ メントを求め、さらに公益の皆さんのご意見も入れて論点整理がされて、それに対する パブリックコメントというふうに、私の経験する限りではそういう手法で来たかと思い ます。  このテーマは、労働組合はもちろん大きな関心を持っていますが、労働組合以外でも さまざまな団体・専門家が注目しているテーマだと思います。従来型のパブリックコメ ントは形だけ整えているといいますか、いわばそういうチャンスをつくりましたという 程度で心が入っていない。当審議会にも十分反映されていないと考えます。できれば早 く皆さんのご意見を聞き、国民の皆さんの意見を基にここで議論できるような取扱いを 是非お願いしたいと思います。  したがって、連合でもこのテーマに基づいて調査等を行い、取りまとめたものもあり ますから、適当な時期に私どものデータ等も出させていただいて、職場の実態と、解決 すべき課題をこの場でも少し議論の参考になればと思います。  研究会は、国会の附帯決議を基に、4項目でまとめられています。ところが附帯決議 では幅広く見直しすべきだと言われています。今後の報告書の土台にしてほしいという 局長のご意見ですが、4項目に絞った意味といいますか、「男女双方の問題」「間接差 別の問題」「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い禁止の問題」「ポジティブ・アク ション」という4項目に絞っての結論です。私どもは、それこそ幅広く議論すべきだと 思いますので、4項目に絞った意味合いについて説明していただければと思います。 ○石井雇用均等政策課長  4点目についてご説明いたします。男女雇用機会均等対策の研究会を設置したとき に、どういう項目を議論するか、というところから入ったわけですが、当面の問題とし て、附帯決議、あるいは基本方針で検討すべきとされている具体的な事項として4つあ りました。それを研究会でご議論いただいた、ということに尽きるわけです。それ以外 に検討すべき項目はないとは申し上げませんけれども、これは、まさにいま審議会を開 いて、幅広くご議論いただく場ができたわけですし、そこで漏れているものがもしあれ ば、それはここの審議会で挙げていただければよろしいのではないかと思います。  ただ、研究会というのは、専門的な見地で議論すべきものであり、とりわけ間接差別 などについては、法概念について一体どのようになっているのか、といった辺りをかな りきっちり、諸外国の状況も踏まえて整理すべきものでして、そういう性格のものでし たので、研究会としても非常になじんだ事項だったのではないかと思っております。 ○若菜分科会長  いまの点はよろしいですか。 ○吉宮委員  はい。 ○川本委員  吉宮委員がパブリックコメントのことに触れられましたが、いま聞いていて思いまし たのは、連合でもいろいろ調査をしているということでした。たぶん、幅広く組合員か ら上がってきた意見、それから調査等もされていることを考えると、ある程度議論が進 んだ段階で、しかるべき時期にパブリックコメントは取ればいいのではないかと思いま す。あまり早く幅広く取りすぎても収拾がつかなくなるのかという気がいたしましたの で意見を申し上げておきます。 ○吉宮委員  私が言ったのは、従来型というパターンはないのかもしれませんが、要するに労使の 意見がテーマ別にまとめられてパブリックコメント、それから公益の意見も入れたテー マ別の論点整理というのがほぼ固まった段階でパブリックコメントというふうになる と、それは聞きましたというだけであります。我々労働者代表が、労働者個人のすべて の意見の代表をできるかというと、努力はしますけれども、必ずしもそこまでいかない 面もあります。私の所だけではないと思いますが、いろいろな意見が寄せられていま す。それらも含めて、私どもはどう考えるかというのは出します。11月にパブリックコ メントをかけろということを言っているわけではありませんで、その辺のところは柔軟 に考えますが、いずれにしても、従来型のものは改めてほしいということです。 ○奥山委員  その点について、いま私が聞いたところでの感想です。吉宮委員のおっしゃること も、私個人的には非常によく理解できております。従来型というのがあったのかどうか わかりませんけれども、おっしゃりたいことは、従来こういう審議会の席で、ある程度 テーマや論点を決めて、その論点が明確になった。政策の方向付けと、政策の内容があ る程度固まったところでパブリックコメントを聞いても、それが本当に良い形で、そう いう政策の中身として反映しにくい部分もあったのではないか。そういう点では、もう 少し早い時期にパブリックコメントを伺って、それが政策の方向づけや内容に反映でき るような時期にやりたいという趣旨だろうと思うのです。私も、そういう点では理解も しますし、賛同もします。  ただ、その時期が、今回の均等対策のケースに当てはめて考えますと、まだこの審議 会の中で具体的な論点整理などがされておりません。研究会報告は、あくまで先ほど事 務局がおっしゃったようなことを中心に、近時のいちばん重要なテーマを中心に議論を 深めて、ある程度明確化をしただけの話で、これ以外のことは議論する必要はないし、 それは全然無意味なものだとは決して言っていないです。  そういうものを踏まえた上で、ある程度議論の中身が、あるいは論点が整理されたと ころで聞く、ということも一方では大事なのではないか。そういう点では、そういうも のが明確になった時点で聞いたほうが、より政策への反映が望まれるのではないかと思 いますので、例えば10月とか11月の時点というのはあまり適切ではないような気がしま す。そこは、自ずから議論の流れの中で出てくるところだろうと思います。 ○吉宮委員  私の記憶に間違いがなければ、当時私は審議会委員ではなかったのですが、1995年の 見直しの時期に、募集・採用における女子学生の問題についてデータがありました。 「就職黒書」というのが出されて、実際の募集・採用でどんな経験をしたかという、デ ータでは見えないものがありました。そういうものを参考にして議論がされたように記 憶しています。  そのようにデータ上では見えないさまざまな、先ほど妊娠・出産の不利益取扱い禁止 がどうだというのも何が起こっているのか。それがすべてではないと思いますけれど も、できるだけ生の声が反映できるような議論をしないと、改善策といっても有効な手 立てはないと思いますので、そういう意味での意見をできる限り適切な時期に行うべき だということを申し上げております。 ○樋口委員  先ほど、衆参両方からの附帯決議の中から4点に絞っていったという話でした。労働 時間の問題が附帯決議の中で、非常に重い位置づけとして入っています。衆議院では5 番目の条項で、「国際公約ともいうべき、年間総実労働時間」とあって、国際公約だっ たのだということを初めて知りました。年間総実労働時間1,800時間の、早期達成に向 けて、政府が一体となって労働時間短縮対策を総合的に推進する」。  これは、別の部会の議論とも関連してくると思うのです。先ほど課長から、29頁の資 料として、長時間労働者が増えている、これは男性も女性も増えているというお話があ りました。これを見る限りにおいて、労働時間が短縮傾向にあるとは必ずしも言えな い。  この問題を、女性が働きにくい1つの要因として、労働時間が長いという問題がある とするならば、ポジティブ・アクションなり、いろいろな所で考えていかなければいけ ない問題だと思うのです。これは、政府の中のどこで検討しているのか、あるいはここ ではどういうふうに位置づけていくのかについて、お考えがありましたら教えていただ きたいと思います。 ○石井雇用均等政策課長  基本的には、平成9年の衆議院の附帯決議の5項目については、その後、通称「時短 法」と呼んでおりますが、労働時間短縮の促進に関する法律の、限時法だったわけです が、5年延長という形でまだ引き続き取り組みましょうということになっているかと思 います。この法律の年度が平成18年3月で切れるかと思います。しかし、労働時間短縮 というのは基準局を中心にこの施策の推進をしております。特にもうすぐ法律が切れる わけですから、一生懸命努力している最中かと思います。  樋口委員のお話の中で、とりわけ長時間労働のところに着目されていたかと思いま す。働きすぎということで、いろいろ問題が大きくなってきておりますので、最近は監 督署もサービス残業が行われないよう、かなり徹底した指導を行っている最中かと思い ます。  全般的には、労働時間の短縮、とりわけ子育て期、あるいは介護されている方にとっ ては切実な問題だろうと思います。先般、労働政策審議会にも報告がされたと承知して おりますが、働き方の見直しを大きくテーマに掲げた研究会の報告なども取り上げられ ております。これは、現在も時短ということで進めておりますし、また新たな観点も加 えて、こういう問題に省を挙げて取り組んでいると認識しております。  担当する審議会ということであれば、直接的には労働条件分科会ではないかと思って おります。 ○片岡委員  1点は、資料に関しての質問です。その質問の理由を申し上げておこうと思います。 先ほど説明のあった均等室における行政指導の資料のうち、特にセクシュアルハラスメ ントについて、被害に遭った人がどのような救済のされ方をしているのだろうか、とい うことをデータを見ながら考えています。いまの時点で具体的なものがわかれば教えて いただきたいですし、本日でなくということであれば、いまのうちに意見を申し上げた いと思います。  4割を占める相談事例の中の項目「セクシュアルハラスメント」ですが、おそらくこ れは氷山の一角だと思います。それでも4割を占めていますし、相談者の8割は女性と いうことです。助言などの是正指導の割合も、他の項目に比べて際だっているという説 明でした。  こうした案件に行政としても対応しているという中で、やはり気になるのは被害に遭 った人たちが、その後も働き続けているのだろうかどうか。心的な問題を抱えて、その 後どんな状況にあるのだろうか、不安がどうだろうかというところが気になるところで す。そういった点について、わかっていれば教えていただきたいと思います。  1999年にセクシュアルハラスメント防止に向けた規定が入りました。私も労働組合の 役員の一員として、確かに対応は進んだことは実感しています。その実感はあります が、その中で新たな課題も抱えました。相談担当者の配置は行われたけれども、相談担 当者による2次被害が発生したという事例。指針では、事業主が取り組むべき内容に、 事後の迅速かつ適切な対応を求めていますが、現場では、どちらかというと加害者を処 分するほうに目が向きがちで、被害に遭った人への対応に欠け、その後働き続けること が困難な例、あるいは後遺症に苦しむ例なども見聞きをしました。  先ほど吉宮委員も触れましたが、そういったことがどうなっていくのかということに 対する、審議会委員への要望も既にいただいています。こうした相談を通じて見えてく る課題もあると思います。いま申し上げたように、労働組合が取り組んだ中でも、不十 分で反省すべき点はこのテーマに限ってはありますので、是非その後の状況がどうであ ったのかということも、お示しいただけたらいいと思います。  もう1点は、進め方に関しての意見です。均等法の改正審議に当たって、研究会が示 された課題は大変重要と認識していますし、積極的に検討すべきだと思います。しかし ながら、法律ができて20年というお話がありましたが、現在の社会や職場状況を踏まえ れば、法律の実効が一層求められていると思います。  その具体的な中身としては、樋口委員からも指摘がありましたが、1999年に女子保護 規定解消がされた以降、一般労働者の残業問題が、例えば36協定の水準を巡っても、そ のままの状況などもあり、むしろ男性の長時間労働に合わせた働き方といいますか、そ ういうことが問題としては改めて問われてきていると思います。セクシュアルハラスメ ントについては、いま指摘をさせていただいたような検証が絶対必要だと思います。  併せて、この間厚生労働省からいただいた資料でも、正社員の女性は半数を割るとい う状況の中で、いわゆる雇用形態が多様化し、正社員の男女間のみでなく、雇用形態間 に生じる問題なども、実質的な男女平等を考えていく上で視野に入れた検討が不可欠に なっていると思います。  まだまだ職場の実態を申し上げれば、妊娠・出産以前に、仕事を続けたいけれども諦 めていく、というような差別を我慢する以外に乗り越えられなかったというような職場 実態なども徐々に、この改正審議に向けて声も寄せられつつあります。いま申し上げた ようなことなども含め、20年経過して社会から求められている、あるいは職場状況を踏 まえた改正審議が行われるよう幅広く検討をする必要があると思っていることを申し上 げたいと思います。 ○石井雇用均等政策課長  1点目のセクシュアルハラスメントの関係について、いまわかっている範囲でお話を させていただきます。詳細はまた改めてと思っております。セクシュアルハラスメント の相談がなされたときに、どのような救済がなされているのかというお尋ねであったか と存じます。  セクシュアルハラスメントについては、事業主に配慮義務が課されているわけです。 片岡委員からお話がございましたように、仮にそういう事案が起きたときに、事業主と しては迅速かつ適切に対応することが求められているわけです。私ども均等室の窓口に 寄せられるセクシュアルハラスメントについての相談は、大きく分けて2種類ありま す。1つは、相談をしたけれどもきちんと対応してくれない。まさに迅速な対応、適切 な対応がなされないという相談があります。もう1つは、相談をしたいけれども、その 窓口がきちんと整備されていない、体制に不備があるということでの相談です。  前者については、規模別を問わず大企業でも起こり得るものです。話を聞いてみる と、かなり深刻な事案も少なくありません。そのようなことがあり、数年前から均等室 で、セクシュアルハラスメントについてカウンセリングを行いながら、きちんと指導が できるような体制も整えておりまして、とりわけ都市部の均等室などでは、それが非常 によく利用されている状況にあります。  私どもも、その相談を受けてきちんと対応していないケースについては、もちろん事 業主を呼んで、どういう状況になっているのかを把握した上で指導するわけです。その 結果、きちんと対応してもらえました、改善されたとして御連絡をいただくこともあり ます。もう1つは、相談の体制がないからという所は非常に明々白々ですから、直ちに そういう体制をとるように指導し、多くの場合、特に中小ですと、担当者を決めるとい う形で対応される。あとは様子をみてという形になります。  ただ、不幸にしてこの会社にもう居たくないと、それだけの傷を負って来る方につい ては、むしろ辞めてから相談に来る方も少なくありませんで、そういう場合はそもそも 就業継続のチャンス、そういう形での解決が図られるチャンスを失った形でになってし まっているわけです。とにかく、そういうことになる前に、相談をしてください、とい うことを申し上げている状況です。  どのぐらい就業継続しているか、というところについて数字的なものは把握できてお りませんけれども、就業継続できずに来られる方もいるということです。大手企業で は、企業のイメージダウンにつながる問題でありますから、先ほどのデータでもご紹介 いたしましたとおり、とりわけ軽いうちにそういう相談が来ることがいちばん良い状態 で解決がつくということで、熱心に取り組む所では、さまざまなルートで、早い段階で 相談が得られるような体制を整えておられます。  そういう企業においては、企業の中でかなり自主的な解決が図られているというよう に、一方においては喜ばしい状況も見られていると認識しております。足りないところ については、また改めて整理をさせていただければと考えております。 ○吉宮委員  研究会報告と調査報告についてですが、研究会でポジティブ・アクションで検討に留 意すべきことの(2)に「規制的手法によれば、一定の成果が上がるが」ということが記 載されている一方、「企業・行政のコストも伴うことから、費用対効果を上げる工夫が 必要」ということが書いてあります。  先ほど課長が、実態調査の19頁で「ポジティブ・アクションに取り組まない理由別企 業割合」の中で、なぜ取り組まないかという中に、「コストの上昇につながる」という のは、平成12年度は5.5%に対して、平成15年度は1.1%ということで、このデータを見 る限りコストの上昇ということについて、企業の方は感じていないようですが、研究会 ではコスト負担になるとおっしゃっているのですが、この辺はどのように理解したらい いのでしょうか。  2つ目は、コース別雇用管理について何年でしたか、制度設計に当たって留意すべき 事項という通達を出して、趣旨に合わないものは改善してくださいというものがありま した。それで、行政側が狙っていたコース別雇用管理の趣旨をちょっと間違えていたと いう資料はあるのですか。  14頁に「見直しをした」というのがいくつかあって、これ自身はどういうふうに見直 したかということです。趣旨に合わないようなコース別のデータがあれば出していただ いたほうが、今後の議論のためにいいのかと思います。 ○石井雇用均等政策課長  1点目のポジティブ・アクションについてのコスト負担の話ですが、これはディメン ジョンが違うのかなと思っております。調査のほうで出ている、「なぜポジティブ・ア クションに取り組まないのか」というのは、現時点でポジティブ・アクションに取り組 まない理由として取っているものです。ポジティブ・アクションの取組方は様々にあり 得るわけです。その理由として、「コストが伴う」ということで回答する企業割合はあ まりないということです。  対しまして、研究会報告で言っておりますのは、例えば諸外国の例では、雇用状況報 告を毎年役所へ提出させる、あるいはその状況報告に基づいて改善すべき点の計画書を 策定して提出させる、あるいはその審査を受けるといった仕組みを持っているところで す。そういう規制的な方法をとった場合において、企業としては毎年調査をするとか、 毎年検証をして計画を作る。行政からすれば、毎年どのぐらいの数になるかわかりませ んが、それをチェックして、審査をして、場合によっては指導するといった面でコスト が伴い得ると。これは、日本ではなくて、諸外国でなされているような状況についての コストという問題です。  2点目のコース別の留意事項の関係での見直しですが、これはさまざまな見直しがな されているのは14頁の資料からわかります。よりコース別留意事項に沿って柔軟化とい いますか、そういう形で見直しをかけている動きが見て取れるわけです。とりわけ転換 制度などについて、柔軟に対応しようとする動きも見えるかと思います。留意事項につ いては3段階で示しております。「均等法に違反しないために留意すべき事項」、「男 女別の雇用管理とならず適正かつ円滑に行われないようにするために留意すべき事項 」、「女性の能力発揮のために行うことが望ましい事項」の3段階に分けております。 1番目のものが、まさに均等法違反になるものです。  先般発表しましたコース別を採用している企業に対する、二百数十社を対象にした指 導の中では、十数社が均等法違反が見つかっております。平成12年度の後半にも行って おりまして、そのときも十数社が均等法違反が発覚しております。そこは是正指導をか けて、是正が図られているところです。なお一定割合違反をしている所がある、という のが現状なのではないかと思います。  ただ、まだ、現状で十分ということは申し上げませんけれども、良い方向で見直そう という動きも同時に見て取れるのではないかと思っております。 ○奥山委員  ポジティブ・アクションの研究会の報告書の中身と、先ほどの説明の調査での、企業 の意識のずれがあるのではないかというお話についてだけ、私なりのコメントをさせて いただきます。  調査報告の19頁、「ポジティブ・アクションに取り組まない理由の企業別割合」で、 「コストの上昇につながる」というのが、平成15年度は1.1%となっております。これ は私の推測ですが、我が国の企業は、事業主がポジティブ・アクションとコストの問題 についてどのようにリンクして考えているのかよくわかりませんが、おそらくポジティ ブ・アクションでいろいろな施策、具体的にはいろいろな手立てがあります。そういう 手立ての中でも意識の改善、役割分担意識の解消、各種休業制度、労働時間の短縮とか いろいろな施策があるわけです。  コストの上昇につながるということの意識が低いのは私なりに考えますと、意識の改 善、均等法、労基法、その他の法律の要請によるような休業制度の整備という点ではや らざるを得ないし、そういう点で直接お金がかかるということでは必ずしもない。そう いうところの意識がかなりここに出てきているのではないか。  いまご説明がありましたように、アメリカでは一定の業種と契約額を決めて、形の上 では自主的なのですけれども、政府契約をするためには自らの努力において、企業の中 でポジティブ・アクションをしなければいけない。そのときにも、例えばアメリカでし たら人種、性別、国籍といったいろいろな枠組みの中で、募集・採用の人数比、配置の 人数比、訓練の機会の付与とかいろいろなことを毎年自分たちで計画を出して、チェッ クをして、そのチェックを政府のしかるべき機関に報告しなければいけない。報告を受 けた政府は、アットランダムに調査をする。アメリカの場合は、大体5、6年に1回や っていますが、行政についてもそういうときには時間、費用、人員等のコストもかかる ということを考えると、おそらくポジティブ・アクションに規制的な方法をとろうとし たときに、我が国でもそういう形でのコストが出てくることは予測されます。  この調査のところで、コストの負担について意識がなされていないのは、ポジティブ ・アクションの中身をそこまでのものとして、まだあまり意識されていないというか、 啓発とかご理解いただくようなところまで進んでいないという、そこのずれがあるので はないかと思っています。  研究会報告というのが、直ちに日本の事業主の意識との差になって出ているのではな いか、ということではないのだろうと考えております。 ○篠原委員  1点ご意見と、1点ご質問ということで2点述べさせていただきます。先ほど、樋口 委員からもいろいろお話がありましたように、労働時間の問題はいろいろな所で論議さ れています。そういった意味では、安全衛生関係の部分において、いろいろな規制が徐 々に整備がされているところがあります。時間外労働というのは、男女平等関係の部分 については、とてもかかわりの深いところだと思います。できれば、このような場でも ワークライフバランスみたいな部分についての意見交換もできればありがたいかと思っ ています。  質問させていただきたいのは、資料編の41頁に「男女間の賃金格差の推移」がありま す。研究報告書の概要で、「男女双方に対する差別禁止とする意義」の2つのポツに 「賃金を含む男女間格差の縮小が図られることが期待」と書いてあります。私の認識が 甘かったところもあるのですが、どちらかというと賃金格差がどんどん縮まっているの かと認識していました。データ的に見ると、賃金格差が広がっているということになっ てくるのかと思うのです。もしわかればで結構ですが、なぜこのような現象が出てきて いるのでしょうか。 ○石井雇用均等政策課長  趣旨を取り違えていたら教えていただきたいのですが、41頁にお示ししておりますデ ータに限って言いますと、男女間の賃金格差は縮小しております。男性を100とした場 合に、女性がどのぐらいかということで、昭和55年からトレンドを取っておりますけれ ども、まだ格差はありますけれども、だんだん100に近づいておりますので一応縮小傾 向です。ただ、これは一般労働者についてのものですので、全く就業形態も問わず、す べての労働者で見た場合には、男女間の賃金格差は必ずしも縮小していない状況にある かと認識しております。いまのご質問に対する答は、これでよろしいでしょうか。 ○篠原委員  私が、意味を取り違えていたようでした。ありがとうございました。 ○若菜分科会長  ほかにご発言がなければ、時間もまいりましたので本日はこのぐらいにさせていただ きます。最後に、審議のスケジュールについてお願いいたします。 ○石井雇用均等政策課長  他の議題についてのご審議もお願いすることになるかもしれませんが、今後、当分の 間概ね月1回ペースを考えております。 ○若菜分科会長  本日の署名委員として、労側は片岡委員、使側は前田委員にお願いいたします。次回 の予定を事務局からお願いいたします。 ○石井雇用均等政策課長  次回は、10月7日(木)の午後2時から、第21会議室で行います。議題は、本日に引 き続き「男女雇用機会均等対策について」を予定しております。よろしくお願いいたし ます。 ○若菜分科会長  本日の分科会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課 法規係 (内線:7836)