04/09/08 労働政策審議会雇用対策基本問題部会第16回議事録            第16回雇用対策基本問題部会 議事録 1 日時  平成16年9月8日(水)10:30〜12:00 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室(13階) 3 出席者 委員 (公益代表)           諏訪部会長、岩田委員、大橋委員、嘉治委員          (雇用主代表)           明致委員、安堂委員、奥田委員、郷農委員、成宮委員、樋渡委員          (労働者代表)           池田委員、高村委員、寺澤委員、中村委員、目取眞委員       事務局 金子高齢・障害者雇用対策部長、宮川企画課長、           石田高齢者雇用対策課長、吉永建設・港湾対策室長、           千葉企画官、松本企画課長補佐 4 議題  (1) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の施行について  (2) 新たな建設労働対策の検討について 5 議事内容 ○諏訪部会長  定刻となりましたので、ただいまから第16回「雇用対策基本問題部会」を開催いたし ます。 議事に先立って、今般、労働政策審議会臨時委員の交替があり、職業安定分科会長の指 名に基づき当部会の委員に交替がありましたのでご報告させていただきます。  まず、公益代表の廣見委員と松本委員が退任され、一橋大学大学院経済学研究科教授 の大橋勇雄さん、財団法人雇用振興協会理事長の椎谷正さんが就任されました。また、 使用者代表で田勢委員が退任され、全国中小企業団体中央会専務理事の成宮 治さんが 就任されました。さらに労働者代表では久保委員と津田委員が退任され、JAM組織局 長の高村豊さん、電機連合書記次長の成瀬豊さんが就任されました。  また、当部会に設置されている建設労働専門委員会と、港湾労働専門委員会の委員等 についても、同じく交替がありました。これらの委員等については部会長の指名による こととされているので、私のほうで指名させていただきました。まず建設労働専門委員 会については、公益代表の廣見委員と松本委員の後任として、椎谷委員と白木委員を指 名させていただきました。次に港湾労働専門委員会については、公益代表の廣見委員の 後任として、椎谷委員を指名させていただきました。なお、建設労働専門委員会及び港 湾労働専門委員会の座長については、「専門委員会に属する公益委員を代表する委員又 は臨時委員の中から、部会長が指名すること」とされていますので、それぞれの専門委 員会の座長として、公益代表の椎谷委員を指名させていただきました。以上が委員等の 交代関係です。  それでは、今日初めてご参加された新たな委員の方々に一言ご挨拶いただければと思 いますが、最初に大橋委員にお願いします。 ○大橋委員  一橋大学の大橋でございます、よろしくお願いいたします。 ○成宮委員  全国中小企業団体中央会の成宮でございます、よろしくお願いします。 ○高村委員  JAMの高村でございます。これまでは津田の代理として出席させていただいており ましたが、津田が7月の参議院選挙で当選したものですから、後任として私が出席させ ていただくことになりました。よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長  よろしくお願いいたします。続いて事務局にも異動がありましたので、ご紹介いただ ければと思います。 ○職業安定局次長  7月の人事異動で職業安定局次長になりました大石でございます。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○高齢・障害者雇用対策部長  同じく7月の異動で、高齢・障害者雇用対策部長を拝命いたしました金子でございま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○企画課長  企画課長の宮川でございます、よろしくお願いいたします。 ○高齢者雇用対策課長  高齢者雇用対策課長の石田でございます、よろしくお願いいたします。 ○建設・港湾対策室長  吉永でございます、よろしくお願いいたします。                 (出欠状況報告) ○諏訪部会長   議事に入ります。まず「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する 法律の施行に関する政省令について」ですが、これについては8月27日の職業安定分科 会において、その具体的内容を本部会において検討することとされたところでございま す。そこで最初に事務局から資料のご説明をお願いしたいと思います。 ○企画課長補佐  企画課長補佐の松本でございます。お手元の資料No.1からNo.5が、高齢法の施行関 係の資料です。No.1にあるのが、今般の施行に向けての検討日程のようなものです。  先ほど座長からお話があったように、8月27日の職業安定分科会で、当部会において ご検討いただくことされましたので、この後に説明するNo.2からNo.4の政令案要綱 (案)、また省令案要綱(案)についてご議論いただき、そのご意見を踏まえて、10月 中旬頃開催予定の職業安定分科会に要綱を諮問し、そこでまたご議論いただく運びにな ることと考えています。  具体的に「職業安定分科会に何を検討依頼されたか」ですが、資料No.1の2頁をご 覧ください。高齢法については政令委任事項、省令委任事項がそれぞれ3点ずつありま す。その前に資料No.1の3枚目をご覧ください。成立した高齢者雇用安定法の体制内 容が、主として3点ありました。  1点目は、65歳までの継続雇用についてで、事業主に65歳までの希望者全員を対象と する継続雇用制度の導入等を求めるという規定があります。これについて政令の委任事 項は、(1)の3つ目の○ですが、「政令で定めるまでの間は、労使協定ではなく就業規 則等で継続雇用制度の対象者に関する基準を定めることができる」という委任事項があ ります。そこにはありませんが、この基準は大企業と中小企業で期間を3年と5年にす るという建議でのお示しがありましたが、大企業と中小企業の範囲について、これも政 令に委任されています。  次に(2)で、再就職の促進措置として、1つ目の○、上限年齢を設定する場合には、 各事業所ごとの理由を具体的に提示していただくという義務が、今度設定されました。 また、2つ目の○ですが、離職を余儀なくされる高年齢者等に対しては、求職者がキャ リアシートを作成することが容易にできるよう、職務経歴等を示した支援書を交付する ことを義務づけられています。  上限年齢設定の理由の提示に関しては、提示方法、またキャリアシートを作成するた めの参考となる書面については、作成手続きと記載事項が省令に委任されています。  (3)の改正事項のシルバー人材センターの件ですが、シルバー人材センターは、届出 により労働者派遣事業を実施することができるとなっていますが、これに関して届出手 続等が省令に委任されています。  施行期日ですが、(1)の改正事項については、平成18年4月1日と法律で決定されて いますが、(2)(3)については施行期日が政令に委任されていて、公布の日から6カ月以 内の政令に定める日となっているので、今般この施行期日についてもご説明申し上げた いと考えています。以上が、政令・省令の委任事項の概要です。  次に資料No.2からNo.4をご覧ください。まず資料No.2ですが、政令の委任事項の うち、先ほどご説明した再就職の促進措置、シルバー人材センターの労働者派遣の届出 を行う場合の両者の施行期日ですが、これを平成16年12月1日としてはどうかという案 です。改正高齢法の施行期日は平成16年6月11日でしたので、法律で許された最大の期 限は12月10日ですが、切りのいいところで12月1日ということでご提案申し上げていま す。  次に政令委任事項の残り2つで、継続雇用制度の導入等に関する政令委任事項です が、資料No.3をご覧ください。まず1点目の高年齢者雇用確保措置の特例として、就 業規則により基準を定めることができる期間です。これは先般ご議論いただいた建議で もお示しのとおり、大企業については3年間、中小企業については5年間ということ で、大企業については平成21年3月31日まで、中小企業については平成23年3月31日ま でということでご提案を申し上げています。  次に政令事項の最後ですが、中小企業についての範囲です。常時雇用する労働者数が 政令に定める人数以下である場合が中小企業と法律で定まっているのですが、これを常 時雇用労働者数300人以下を中小企業としたいとご提案しています。  3番目にあるのは形式整備です。現在シルバー人材センター連合は、特定公益増進法 人に指定されていますが、根拠条項が移動するので、これを技術的に整備するもので す。以上が資料No.2とNo.3の政令委任事項についてのご説明です。  次に資料No.4です。省令委任事項について、省令案要綱の(案)です。まず初めに、 求職活動支援書について、作成手続と記載事項についてご提案しています。まず支援書 の作成手続ですが、1頁のイにあるように、(イ)から(ハ)まで3点を定めたいと考 えています。  1点目は、求職活動支援書を作成するに先立って、高齢法で努力義務が課せられてい る再就職援助措置を共通して講じようとする場合には、過半数組合、または労働者の過 半数代表者の意見を聴くことを手続きとして規定したいということが(イ)です。  (ロ)は、求職活動支援書は本人が希望する場合に交付を義務づけられるものです が、手続きとして離職予定者が決定した後は、交付についての希望を事業主に聴いてい ただいて、作成交付していただきたいということです。2頁の(ハ)にあるのは、支援 書作成に当たっては、離職予定者の希望を聴いていただきたいということです。以上の 3点が作成手続きです。  次に2頁のロです。記載事項について、「法に定めるもののほか」とありますが、再 就職援助の措置は必ず記載すべきものとして法律ですでに規定されています。その他の 記載事項として、(イ)から(ヘ)までを掲げています。(イ)と(ロ)は、対象者を 特定するための情報ですが、キャリアシートを作成し、再就職の助けにするという性質 上、職務の経歴、資格、職業能力に関する事項、その他関連する事項を記載していただ くものとしたいとご提案しています。  次に省令委任事項の理由の提示です。上限理由を設定する場合の理由の提示について の方法です。3頁をご覧ください。原則がイですが、この他に例外、または特定の場合 について、ロとハの2点の例外事項を定めています。  まずイです。原則として理由というのは労働条件を示す際に併せて記載していただ く、これを原則としています。次にロですが、求人企業が自ら求人する場合ではなく、 職業紹介機関等に依頼する場合、職業紹介機関等に条件を示す書類において、理由を記 載していただくということです。ハは、その他、自ら求人する場合であって、新聞・雑 誌等に広告を出す場合にあっては広告に記載していただくのが原則ですが、スペースが 狭い場合などが想定されますが、広告に記載することが困難である場合には、求職者か ら問合せがあった場合に書面交付、またはEメール等の方法で提示することを可能とす ることとしたいということです。  次に4頁の二です。シルバー人材センターの業務の特例に関してで、労働者派遣事業 を届出で行う場合の届出先を、都道府県労働局長とする。また備付書類の記載事項につ いて定めるのが、4頁から5頁にかけてあります。  三に「その他」とあります。まず「都道府県労働局長への権限の委任」とあります。 これは求職活動支援書の作成交付、また上限年齢の理由の提示、これらをなさらない場 合において、労働大臣が助言、指導、勧告をするという規定が、改正高齢法に盛り込ま れています。これは法律では労働大臣の権限として規定されていますが、これを省令に おいて都道府県労働局長へ権限を委任したいということです。ただ、現行の高齢法施行 規則において、労働局長に委任された権限は公共職業安定所長にも権限委任できること となっているので、結果として支援書の作成等に関する指導権限は、安定所長に委任さ れることになります。「その他所要の規定の整備」とあるのは、労働者派遣法施行規則 等において、技術的な整備を行いたいというのが内容です。  次に5頁の第二です。この改正高齢法の施行に関して、文言や制度が変わることに伴 って、現在、再就職援助計画を策定し、その措置を講じた事業主に対して支給される労 働移動支援助成金について、支給要件を「求職活動支援書を作成し、措置を講じた事業 主」と変更するといった整備を行いたいということです。施行期日ですが、法律の施行 に合わせて平成16年12月1日に施行することと考えています。  所要の経過措置とあるのは、現在、再就職援助計画を策定するという指導を受けた場 合に、なお従前の例によって、法律の施行後も作成していただくということで、また、 現行の要件である労働移動支援助成金が、改正法の施行後においても従来どおり支給さ れることについて、経過措置を設けたいというのが、所要の経過措置の内容です。以上 が政令案要綱(案)と省令案要綱(案)についてのご説明です。 ○諏訪部会長  本件についてご意見、ご質問等があれば、どうぞお出しください。 ○樋渡委員  質問ですが、資料No.4の2頁で、求職活動支援書の記載事項が(イ)から(ヘ)ま で明示されています。これは本人に交付するものですね。例えば(ニ)や(ホ)という 資格・免許あるいは技能・知識というのは、資格の場合、企業がこれまでに講座やセミ ナーというのを指定し、それを受講した結果、資格が取れたと。企業が認めた資格につ いては把握できると思うのですが、個人が取得した免許については、必ずしも全部は把 握できないと思います。あるいは(ホ)の技能や知識についても、同じようなことが言 えると思うのです。  一方で、個人は自分で履歴書を出します。その点は(ニ)や(ホ)は自分で把握でき るものは書くはずなので、これはある程度事業主ができることで記載することになるの ではないかと思いますが、そういうことでよろしいのですか。 ○企画課長補佐  そのとおり、求職活動支援書の記載事項については、事業主が把握している範囲で記 載するということで結構です。個人が承知しているものについて、それを申告させ、そ れも含めて書くこともやっていただいても構いません。法で求めているのは事業主の承 知している範囲で書くというところまでです。 ○樋渡委員  もう1点ですが、先ほど、求職活動支援の対象となる人を雇った場合の事業主側に助 成金が付くという話がありましたが、その際に求職活動支援書を再就職先に個人が提示 することになるのですか。 ○企画課長補佐  その場合にはご提示いただくことになります。 ○樋渡委員  そうすると個人の交付ということではなく、助成金が対象になる場合は再就職支援先 に支援書が渡るということになるわけですね。 ○企画課長補佐  渡ることになります。 ○樋渡委員  そうすると、必ずしも個人の交付ではないこととなりますね。 ○企画課長補佐  交付する先は個人ですが、特定求職者雇用開発助成金の支給要件として、「支援書を 交付された者を雇い入れたとき」というのが要件になっているので、それを確認するた めの手続きとして必要となる場合があるということです。 ○樋渡委員  では必ずしも個人だけに留まるわけではなく、再雇用先にも支援書が提示される場合 があるということですね。 ○企画課長補佐  そういうことです。 ○高村委員  資料No.3の政令案要綱についてですが、労使の協議が整わない場合に就業規則で基 準を示す、それが第9条に示された「継続雇用制度を導入したものと見なす」という規 定になっているのですが、労使の協議が整わないという客観的な判断をどういうふうに お考えになっているのかを伺いたいと思います。  それから、就業規則で定める基準について、仮に会社が就業規則の中で「会社の認め るもの」といった形で就業規則に基準を定めた場合、結果としてほとんどの人が継続雇 用されないケースも出てくる可能性があるのではないかと心配しているのですが、その ときの基準というものについて、高齢者雇用安定法の趣旨に則ったものでなければいけ ないと思いますが、その基準をどういうふうにお考えになっておられるのか、また、そ の基準に合致しない場合に行政としてどういう対応をされるのか、その点についてお伺 いしたいと思います。 ○企画課長  第1点目ですが、これは法律にきちんと書かれているとおり、改正高齢法において、 努力したにもかかわらず協議が整わないときというのは、誠実な労使協議がなされたか どうかということを実質的に判断することになろうかと思います。例えば1つのケース として、一方的に提案内容を通知しただけのケースのようなものは、努力したにもかか わらず協議が整わないときに該当するのではないかと考えています。いずれにしても、 この点について適切な対応がなされていないのであれば、公共職業安定所を通じて適切 な指導という形になろうかと思います。  2番目の基準の問題ですが、この基準自身は私どもとしても、法律の内容、高齢者が 意欲と能力に応じて働き続けることができる労働市場を、企業内、企業外に整備すると いうのが改正法の趣旨ではないかと思っています。そういう趣旨を踏まえて、できる限 り具体的あるいは客観的な基準をつくっていただきたいと思います。  その中で1つお示しがありましたように、例えば「企業が必要と認めるようなもの」 というものでは、私どもとしては、それは基準ではないのではないかと考えています。 もしそのような基準として不適切な、法の趣旨に合致しないような基準が定められた場 合には、先ほど申しました公共職業安定所を通じて実態を調査し、必要に応じて助言、 指導、勧告を行うという対応になろうかと思っています。  また、このような基準、今後労使の話合いが真摯になされようと考えているところで すが、施行に向けて労使間の話合いに役立てる観点から基準に関する事例の収集を行い その情報提供に努めていきたいと考えています。以上です。 ○安堂委員  いまのお話で、「企業が必要と認めたもの」というのは非常に駄目だという考え方の ようですが、これそのものを労使協定にしてしまえば問題はないですよね。 ○企画課長  企業が必要と認めるような場合の必要性の基準が、まさに労使の話合いの中で具体的 に、明確に定まっていると判断できるようなものであれば、それは基準が定められたも のとなり得ると思います。ただ、単純に「企業が必要と認めた場合」というのが基準に なるかと言われれば、それだけでは基準にはならないという趣旨で答えさせていただき ました。 ○安堂委員  現にそう決めていても駄目なのですか。 ○企画課長  労使間で真摯な話合いの結果ということになるかと思いますが、私どもとしては、そ の中で具体的、あるいは明確な基準を定めていただきたいと考えているのは従来からご 説明しているとおりですので、単純に企業が全て一方的にと言うか、何ら基準もなく定 めるというのでは、基準とはならないのではないかと思っています。 ○安堂委員  決して一方的ではないのです。 ○企画課長  一方的ではないものを労使の話合いの中で努力して決めていただく形があるのではな いかと考えています。ですから、文言として単純に「企業が必要と認めたもの」という ものだけを示されて、これが基準ですと言われれば、それは基準としては具体的、客観 的なものではないかと申し上げているところです。 ○安堂委員  労使協議ができていて、労使協定の中にすでに入っていてもですか。 ○企画課長  いま申し上げたとおり、結局労使協定の結果、それだけの文言だけであるというので あれば、具体的な明確な基準と評価できないのではないかと考えています。ただし、そ の中で様々な企業がどういうふうにそれを判断するためのメルクマールや、定性的、定 量的なものをどこまで書き込めるかというのが、まさに労使で真摯に話し合った結果こ うなったということであれば、それは私どもは最大限に尊重したいと思っています。 ○安堂委員  そうすると、いま決まっているのがこういう形であれば、これは駄目ですよと介入す るのですか。 ○企画課長  駄目だという意味ではなく、その間の事情をよく聞かせていただいて、その運用も含 めて、そういう意味での基準となっているかどうかを判断させていただいた上、単純に 企業が一方的に決めるということになっていないのかどうかというのは、よくお話を聞 かせていただきます。 ○安堂委員  一方的ではなく、労使でよく協議をしてすでに決まっているのです。それでも駄目な のですか。 ○企画課長  基準というのは、あくまでも人を選別する際の基準ですので、その基準に当てはまる かどうかということを議論いただいた結果を明確にしていただくことになるかと思うの で、手続きとして企業が何らかのところで判断するということがあると思いますが、そ の中でそれだけしか担保されていないというのであれば、それは具体的にどういう基準 で選ぶ基準なのですかという辺りを、労使、企業の方、事業主の方に聞かせていただく ことになると思います。 ○安堂委員  我々の理解は、この移行措置期間については、経営側は採用するかしないかという、 経営上の1つの経営権として認識しているのです。そうすると根本的におかしいので す。 ○企画課長  先ほど申しましたように、基準の中で、法の趣旨としては「高齢者が意欲と能力に応 じて働き続けることができる労働市場を整備する」ということを踏まえた運用を行って いただきたいと考えています。ですから、文言でこういう形で決まっていますが、それ を具体的にどういうふうに運用しているのかということも含めて、いろいろ話を聞かせ ていただいた上で、しかも労使間の折衝過程も当然あるでしょうから、その辺りの話も よく聞かせていただいた上で、一律的な指導をするつもりはありませんが、その中で具 体的にそれが基準として運用される文言となっているのかは、よく判断させていただき たいと思っています。 ○中村委員  この件について昨年1年間議論しながら、それぞれ合意されてきたということで、根 本の基本は将来的な労働力構造、日本の姿を含めたところで、それぞれ現場の実情を踏 まえて、前に進める方向でお互いにいかに汗をかいていくのか。そのためには、今非常 に環境が動いていて、まさしく現場の実態というものが多様な中で、労使それぞれ実態 を踏まえて、前に進めるという形の中で努力していこうというのが、ギリギリの合意点 だったのかと思います。経営権の話は個人のご主張としてはあるかもしれませんが、そ ういう枠組みで努力をする。  現行の協定がどういう形になっているのであろうと、この法の施行期日からは法の目 的に向かって、基準のあり方も含めて労使で議論をしていく。そのときには、基本的に は希望者全員と言うか、本来は全員が65歳までいくという環境をつくるというのが大前 提ですから、そこの中でいかに透明で、フェアな基準をつくっていくか。その中で現場 としてのそれぞれの苦労をどうするか。  そういう基本に立ち返って、これはまさしく日本の国家問題ですので、労働組合とし てもそういう努力を一生懸命重ねたいと思っています。使用者側の方としても、言いわ け、逃げ道ではなく、きちんとそういう対応を取ることが、まさしくこの審議会で議論 をしてきたことの経過だと思っています。これは使用者側の方にもぜひよろしくお願い したいと思います。 ○安堂委員  先ほどのお話で「一律的な指導はしない」とおっしゃったので納得しますが、基本的 に、今こういうことができないからどうしようという議論もあったわけです。できたら 急にそういう考え方で押し付けられるのは困るのです。企画課長が言ったのは、一律的 な指導というのは全く関係なく、まさに官で全部やってしまうという感じで私は聞いた わけです。 ○企画課長  もしもそういうふうにお聞きになられたとすれば、やや私が舌足らずだった面はある かもしれません。先ほど申しましたように、意欲と能力に応じて働き続けることができ るような労働市場をつくっていこうという法律の趣旨を踏まえ、それから労使の真摯な 話合いの結果も尊重していこうということも含めて、文言をとらえて一律に切り捨てる ような形で指導することはありませんが、その辺の労使の真摯な話合いの状況、運用状 況も合わせて、総合的に判断させていただきたいと考えています。 ○安堂委員  個別に話をして申し訳ないのですが、我々の労使関係がそういう状況にないという理 解の上で話をしていただきたいということです。 ○諏訪部会長  他にいかがでしょうか。ご質問、ご意見が特にないようでしたら、当部会として本件 について、先ほど事務局からご説明のあった資料の内容について、これを妥当と認め、 その旨を職業安定分科会に報告することとし、労使双方からいま出たご意見の内容につ いては併せて分科会において説明することとしたいと思います。そこで、これらの報告 の内容については私にご一任をいただければ幸いでございますが、そのような処置でよ ろしゅうございますか。 ○郷農委員  この討議している内容自体ではないのですが、資料No.3の二に、中小企業の事業主 は300人以下であるということは書いていただいているのですが、対象期間が3年であ るか5年であるかにかかわってくるので、人数がフラクチェートした場合は、どのよう に対応してくださるのかお考えを伺いたいと思います。 ○企画課長補佐  まず人数については、ある一時点で300人以下であるか、301人以上であるかをもって 判断するのではなく、企業の状態としてどうあるかをもって判断したいというのが大前 提です。状態として途中で増えた場合、減った場合の取扱いですが、3年経過前に減っ た場合は中小企業として取り扱います。大企業が3年経過後に減った場合にあっても、 これはすでに3年間のあいだに措置がなされるべきと考えているので、3年経過後に人 数が300人以下となった場合は特例の対象とはならず、労使協定で定めていただくべき ものと考えています。  一方、途中で増えた場合ですが、3年経過後に増えた場合には、その時点から特例の 対象とはならずに、大企業としての労使協定の締結をお願いすることになるかと存じま す。以上です。 ○企画課長  いずれにしても状態で判断するということです。何かの事情で一時的に301人を超え るような状態になっても、それは状態とできるかどうかで判断する期間が一定程度ある のではないかと考えています。 ○諏訪部会長  よろしゅうございますか。それではただいまの件でございますが、これらの報告の内 容については私にご一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。                  (異議なし) ○諏訪部会長  ありがとうございました。それではそのように、当部会として職業安定分科会にご報 告申し上げたいと存じます。  次の議題に移ります。次は「新たな建設労働対策の検討について」です。初めに事務 局からご説明をお願いいたします。 ○建設・港湾対策室長  建設・港湾対策室長の吉永でございます。本議題については、8月27日に開催された 職業安定分科会においてご報告申し上げ、その後審議の中で、雇用対策基本問題部会、 その下部に設置されている建設労働専門委員会において、議論、検討をすることという 形で整理いただいたところです。  資料No.6「新たな建設労働対策の検討について」に沿って、考え方をご説明いたし ます。基本的な視点ですが、建設投資は減少基調にあると見込まれています。現在の建 設業の雇用・就業の場は、今後、一層減少すると見込まれる。資料に概略のグラフを付 けています。2頁目に投資あるいは就業者の推移について書いています。いちばん上の 折れ線グラフが建設の投資です。建設投資については平成2年がピークです。ピーク時 と比較すると、現在は3分の2程度に減少しているところです。一方、2番目の折れ線 が許可業者数です。平成12年がピークですが、大体1割程度の減少になっています。就 業者数で見ると平成9年がピークで、これも1割程度減少して、現在は604万人程度が 就業者という状況です。  全体として建設投資が減少していますが、特に公共投資が対前年度月比で、2桁を割 り続けるという状況です。特に2桁と言っても、約20%程度の減少が続いている状況に あります。民需はやや持ち直してきたということは言われていますが、それでも減少幅 が少なくなったということに留まっていて、全体として見ると、まだ減少が引き続いて いるという状況です。特に地方の中小企業においては、公共工事への依存度が高いとい う状況で、非常に苦しい経営環境にあると理解しています。  地方レベルで見てみると、就業者数で見た場合の建設業が最大の産業である地域とい うのが非常に多くて、東京近辺あるいは地方の一部を除き、ブロック別で見ると、建設 業が一大産業になっていて、こうした建設業の状況は地域の産業社会全体にも大きな影 響を与えている次第です。  こうした中で政府全体として、3頁にありますが、今後、建設業の投資の改善が見込 まれない状況では、供給過剰の状態が続いている中で、建設業の新分野進出を円滑化す るための施策を各省庁、国土交通省、経済産業省等と連携を取りながら進めていくべき という閣議決定がなされています。その中で雇用対策の活用についても、早急に取りま とめを行うという状況になっています。  4頁ですが建設業について構造改革特区提案あるいは地域再生という形での検討の要 望が出てきています。1点目は長野県の小谷村からです。第4次と第5次で若干提案内 容は変わってきていますが、村内の建設業者が共同で人材をプールして、そこから他の 建設会社に対して人を融通することはできないかというようなものです。岐阜県の建設 業協会からは、市町村単位で事業共同組合を設立した上で、そこから事業共同組合の傘 下の企業に対して人の融通を行い、その事業共同組合を中核として合併共用化を進めて いくことはできないかというご提案をいただいているところです。  また、1頁に戻っていただくと、もう1つ大きなポイントとして、建設業については 技能労働者の高齢化が非常に進んでいる状況です。就業者の過半数が45歳以上、そのま た過半数が50歳以上という状況で、技能労働者が非常に必要となる産業でありながら、 おそらく今後10年以内に技能者不足の状況になることが懸念されているところです。  こうした状況の中で、全体としての雇用状況は非常に悪く、また雇用の過不足感で見 ると過剰のほうがやや多いという状況ですが、一方で一部の技能職種については、なお 不足という事業所も、事業所単位ではあるという状況です。こうした中で、いかに建設 業の中で雇用を吸収していくか、また建設業で吸収できない、あるいは他産業に進出す るという方たちにとっては、そういう方をどういう形で他産業への移行を円滑に進める かということです。資料の5頁にあるような、建設雇用再生トータルプランという形 で、1点目が建設業界内での円滑な労働移動への支援、2点目が、建設業外への円滑な 労働移動の支援です。また、特に新規成長分野への移行の促進、こういうものを全般的 に進めるためのワンストップサービスという形での相談援助を現在進めているところで す。しかしながら、このような状況が厳しい建設業の実態からして、なかなかうまく進 んでいないというのが正直なところで、こうした中で新たな建設労働対策をいかに進め ていくかについて、ご議論いただきたいと考えている次第です。  検討課題としては1頁の2にありますが、申し上げたような状況を踏まえ、事業主の 新分野進出をいかに支援していくか、その支援方法をいかに強化していくかということ です。また、建設業の離職者をどういう形で円滑に労働移動を進めていくかということ です。3点目は、先ほど申しました小谷村、岐阜県の建設業協会からの要望などがあり ますが、労働力需給調整システムについて、一定程度新たなものが考えられるのかどう かということ、また今後必要となる技能労働者を育成し、または業界の中で有技能者を 確保していく方策について、検討をしていく必要があるのではないかと考えています。  このような状況ですが、スケジュールについては特段書いてありませんが、法律制度 にわたるものについては、次期通常国会に向けた議論が必要になるかと思っています。 そういう意味で、年内にご議論が取りまとめられることを期待しているところです。建 設労働については本部会の下に建設労働専門委員会が設けられていて、建設の労使を中 心として、建設労働について大きな知見を持ったご議論が可能かと思っているので、こ ういった場面を活用しながらご検討いただき、その報告を待って、新たにまた当部会で ご議論いただければと考えています。ご議論、何卒よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長  ただいまのご説明にありましたように、本件は当部会の下に置かれた建設労働専門委 員会で具体的にご審議をしていただくということになります。しかし、この基本問題部 会の委員の皆様にも、この際いろいろご意見、ご質問等があろうかと思いますので、ご 自由にご議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○郷農委員  本来建設業は請負業の形式で、これまで業務をしておられたと思うのですが、それが 派遣業を兼ねるということで、何か矛盾などは起こらないのでしょうか。 ○建設・港湾対策室長  ご指摘のとおり、これまである意味需給調整は請負の中で実施されてきた経緯があり ます。重層下請けの中で、使用者責任をいかに明確化するかということが、これまでの 雇用対策の中心でした。こういう基本的な考え方というものは、これまでも変わらない のだろうと思っています。  実際に小谷村、あるいは岐阜県のものが労働者派遣的なものを求めているのかという ことはよくわかりませんが、趣旨・目的からすると、雇用の安定のために緊急避難的に 他の事業主で就労する機会をつくってほしいということだと思っています。そういう中 で雇用主責任、使用者責任というものが明確化されていれば、既存の下請関係、請負関 係でこれまである程度整理がなされてきたものに対して、悪影響を及ぼす性格のものに はならないのではないかと考えている次第です。 ○諏訪部会長  他にいかがでしょうか。特にご意見、ご質問等がございませんようでしたら、本件に ついてはただいまの議論も含めまして、具体的内容は当部会の下に置かれる建設労働専 門委員会においてご審議をいただき、その結果がまとまり次第、当部会にご報告をいた だくという措置にさせていただこうと思いますが、これでよろしゅうございますでしょ うか。                  (異議なし) ○諏訪部会長  ありがとうございました。それではそのように取り計らわせていただきます。建設労 働専門委員会の委員の皆様には、どうぞよろしくお願いいたします。  その他にご意見、ご質問等はございますでしょうか。                  (意見等なし) よろしゅうございますか。他にご意見等がございませんようでしたら、本日の議論は終 了させていただきます。                 (署名委員の指名) 以上をもって第16回雇用対策基本問題部会を終了させていただきます。本日はお忙しい ところをご参集いただき、ご意見を賜りましてありがとうございました。                       (照会窓口)                        厚生労働省職業安定局総務課総務係                        TEL :03-5253-1111(内線5711)