(1) | 表示の順番について
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参考: | 加工食品品質表示基準(第4条(2)ア) 食品添加物以外の原材料は、原材料に占める重量の割合の多いものから順に、その最も一般的な名称をもって記載すること。 |
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ア. | 品目の特性を考慮して原材料を表示するか、原材料の重量順に表示するか。…(1) 現在の原材料表示には、重量順に記載している表示と品目の特性を重視して原材料を表示するものがある。例えば、ソースでは「野菜・果実(玉ねぎ、トマト、人参・・・)、醸造酢、砂糖、等」の順に記載するが、これを重量順に表示すると、場合によっては「砂糖、醸造酢、玉ねぎ、トマト、等」となることがありえる。
[検討結果] 加工食品品質表示基準では原材料の表示をするに当たっては、(1)食品添加物以外の原材料、(2)食品添加物、の区分毎にそれぞれ原材料に占める重量の割合の多いものから表示することとなっている。このような表示方法は一般消費者にとってもわかりやすいものと考える。 現在、個別品質表示基準においては、原材料表示が重量順に記載されていないものもあるが、一般消費者の多くは個別品質表示基準の存在を知らない、又は全ての個別品質表示基準を確認することは無理なことからも、将来的に原材料表示は重量順に表示をするよう基準を統一する方向が望ましいと考える。
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イ. | 製品時の原材料に占める割合で表示するか、配合時の原材料に占める割合で表示するか。…(2) 例えば、めんつゆの場合、製品時の原材料に占める割合で表示すると「醤油、砂糖、食塩、かつおぶしエキス、みりん、等」と表示されることが多いが、配合時の原材料に占める割合で表示すると、かつおぶしエキスの原料であるかつおぶし削り節が原材料表示の先頭に来て、以下「醤油、みりん、砂糖、等」となると考えられる。
[検討結果] 現行の加工食品品質表示基準では、原材料を多い順に表示することになっているが、どの時点をもって原材料の重量割合の多い順に記載するか決められていない。考え方としては、「配合時の原材料に占める割合」と「製品時の原材料に占める割合」の二通りの考え方があるが、「配合時の原材料に占める割合」の方が原材料を投入する際に重量換算をしやすく、蒸発等の状況を考える必要もないことから、表示実行上の点からすれば、メーカー側も対応がしやすいものと考える。このため、原材料の重量の割合は配合時の原材料に占める重量の割合で表示する方向が望ましいと考える。
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ウ. | 濃縮・乾燥の換算をして、記載順序を決定するか。…(3) 例えば、とんかつソースの場合、濃縮の換算をして表示すると、「野菜・果実(トマト、りんご、玉ねぎ、その他)、醸造酢、砂糖、食塩、等」と表示されるが、濃縮の換算をせずに表示すると、「砂糖、野菜・果実(トマト、りんご、玉ねぎ、その他)、醸造酢、食塩、等」と表示することがありえる。 このことについて、アンケート及びヒアリング調査によれば、製造業者でも換算して表示するか否かについて対応が分かれている。
[検討結果] 濃縮・乾燥の原材料を使用した際の原材料の表示方法を加工食品に横断的に決めることは実体上困難である。 このため、EUの規定(食料品の表示、掲示、広告に関する加盟各国の法律の近似化についての欧州議会及び理事会指令(2000年3月20日)第6条の5)にあるように、「濃縮または乾燥した形で使用され、製造の時点で還元される原料は、濃縮または乾燥前に記録された重量の順に記載することができる」という考え方としてはどうか。 ただし、どのような考え方で記載しているのかについて消費者から問われた場合、個別の事業者や業界は、当該消費者に対して明確に説明する責任があると考える。
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エ. | つけだれや揚げ油等の原材料はどのように表示するか。揚げ油を原材料の最後に表示するか、製品中に吸い込んだ量で表示するか。…(4) 例えば、コロッケを製造する場合に使用する”揚げ油”を表示する場合、食品添加物以外の原材料の最後に表示すると、「じゃがいも、牛肉、玉ねぎ、食塩、(中略)、小麦粉、揚げ油、食品添加物」と表示すると考えられるが、製品中に吸い込んだ量で表示すると、「じゃがいも、牛肉、玉ねぎ、揚げ油、食塩、(中略)、小麦粉、食品添加物」と表示することもありえる。また、この場合、どのように揚げ油の重量を測定するかという問題が残る。
[検討結果] つけだれや揚げ油のようにその原材料が最終製品に全て残るのではなく、一部が製品に吸い込まれるような形の原材料の場合は、食品添加物以外の原材料の最後に表示することも認めることとしてはどうか。
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オ. | エキス等の表示をどのようにするか。…(5) ハーブやスパイス等抽出して廃棄してしまう(形状が残らない)ものや、煮物の下処理・におい消しとして使用する野菜や香辛料といった最終製品への残存を数値化できないものの表示順位はどのようにするか。
[検討結果] 緑茶、ハーブ、煮物の臭い消しの野菜など、製品の製造過程で使用されるが、最終製品にはエキス分しか残らない場合は、食品添加物以外の原材料の最後に表示することも認めることとしてはどうか。 |
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(2) | 括弧書きの記載について
| 一つの製品に種類の違う食肉、野菜を複数使用するものは、それぞれを括弧書きでまとめて表示したほうがわかりやすい。その際、どの範囲までその原材料を認めるか。…(6) 加工食品品質表示基準において、例えば原材料に野菜を表示する場合、個別に「玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、等」と重量の多い順に表示するが、同種類の野菜等が使用されているならば、括弧でくくるほうが表示しやすく、消費者にとってもわかりやすいのではないか。 実際に個別品質表示基準であるレトルトパウチ食品や調理冷凍食品等では、「野菜(玉ねぎ、人参、じゃがいも)」「食肉(牛肉、豚肉)」「魚肉(まぐろ、たら、あさり)」等と表示することを規定している。
[検討結果] 一つの食品の中に、明らかに性質の異なる要素が組み合わされ、分離が可能な場合は、それぞれに分けて記載した方がわかりやすく、個別品質表示基準などでもそのように規定されている。 従って、使用目的が異なるものについては、分けて表示することは認められることが望ましい。 一方、原材料のグループで括るものとしては、ウスターソース品質表示基準等があるが、野菜や肉などを何種類も使用する場合は、原材料欄のあちこちに書いてあるよりも、それぞれを括弧書きでまとめて表示した方がわかりやすい場合がある。 この場合、(1)肉や野菜など括って表示した場合は他の原材料より上位となるが、その中でわずかしか使われていない原材料がある場合、その原材料が多く使用されているとの優良誤認を与える場合もあること、(2)アレルギー表示や複合原材料表示など括弧書きで表示されるものもあるので、括弧書きが多くなった場合はかえってわかりにくくなるのではないかという懸念もあることから、原材料をグループで括るような場合には、その括り方が合理的かつ消費者に優良誤認を与えない範囲で認めることとしてはどうか。 |
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(3) | 原材料表示の記載範囲について
ア. | 原材料に少量加えられたものも記載するのか。…(7) 添加物を薄めるために使用している、「賦形剤」の扱いをどうするか。また、製造過程で使用する菌を育てるために加えた栄養分も表示するのか。 例えば、調味料製剤に賦形剤として「乳糖」が配合されているが、原材料として表示する必要があるのか。同様に、香料製剤に「デキストリン」、「乳糖」が配合されているが、原材料として表示する必要があるのか。
[検討結果] 添加物と一体となって使用される賦形剤のように、使用量がわずかであって、最終製品に影響を及ぼさない原材料については、表示する必要はないのではないか。
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イ. | 原材料に加えられた加工原料の原材料まで遡り記載するのか。…(8) 例えば、しょうゆの原材料として「生揚げ(きあげ)」を使用しているとしても、実際の原材料表示では、「大豆、小麦、・・・・」と表示されている。
[検討結果] 食品に使用される原材料の多くは、既に多段階の加工工程を経ており、この全てについて、加工工程が全くなされていない加工前の農産物等の段階まで遡って表示することは実体上不可能であり、また、一般消費者にとってもわかりにくくなる場合がある。 このため、基本的に原材料表示は、加工食品を製造する業者が使用する状態の原材料を一般的名称で表示することが望ましいのではないか。 しかし、使用する状態の原材料名をそのまま記載するとかえってわかりにくい場合には、その原材料の加工前のわかりやすい原材料名を表示することも認めてもよいのではないか。 |
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(4) | 水を原材料として表示するのか。…(9)
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参考: | 包装食品の表示に関するコーデックス一般規格(4.2.1.5)
添加された水分は、複合食品に使用され成分表示にその旨明示される塩分、シロップ又はだし汁といった成分の一部となる場合を除いて、成分表に明示するものとする。製造の過程で蒸発される水分又はそのほかの揮発性成分は明示する必要はない。 |
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[検討結果] コーデックスの規格においては、原材料として水を表示すべきとの規定があるが、我が国の加工食品品質表示基準には水の表示についての規定がないことから、ミネラルウオーター等を除き一般的には原材料として水の表示は行われていないのが現状である。 水はなくてはならない原材料であるから表示が必要という意見もある。一方で、水の表示が消費者の選択にどれほど役に立つのかという意見等もあり、水の表示に関しては賛否両論の意見がある。 基本的に、国際基準があるのであれば、合理的な理由がない限り、表示することが望ましいものの、上記のような状況から、水の表示に関しては、今後の社会情勢を踏まえつつ、諸外国の表示実態や水を原材料表示することに意味があるか、また、水の表示を実行する上での問題点等を更に検討した上で整理することが必要ではないか。 また、海洋深層水のように特色のある水を強調表示する場合には、現行の特色のある原材料表示の規定(加工食品品質表示基準第5条)を適用することも検討すべきではないか。
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(5) | 複合原材料の記載方法について
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参考: | 加工食品品質表示基準(第4条(2)ア但書)
2種類以上の原材料からなる原材料(以下「複合原材料」という。)については、当該複合原材料の名称の次に括弧を付して、当該複合原材料の原材料を当該複合原材料の原材料に占める重量の割合の多いものから順に、その最も一般的な名称をもって記載すること。この場合において、複合原材料の製品の原材料に占める重量の割合が5%未満のとき又は複合原材料の名称からその原材料が明らかなときは、当該複合原材料の原材料の記載を省略することができる。 |
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・ | 複合原材料の表示省略に関連して、原材料の名称から構成される原材料が一般的に判断できるか否かの基準が不明確である。…(10) 例えば、”デミグラスソース”を原材料表示として使用する場合、一般的になじみはあるが、構成される原材料が明らかか判断できない(明らかでない場合は、括弧書きでデミグラスソースの原材料を重量順に表示する)。 |
・ | 複数の複合原材料に同一の原材料が使用されている場合、それらを全て個別に表示するのか。…(11) 例えば、ブルーベリーケーキの原材料を表示する場合、果実そのもののほか、ジャムでの使用、スポンジ内に乾燥した果実を使用した場合、ブルーベリーをそれぞれの複合原材料表示に含めるのか。 |
・ | 複数の複合原材料を使用した場合、複合原材料表示の内容が膨大になる。…(12) スープや惣菜のように、複数の複合原材料を使用した場合、文字数が増えて読みづらくなっている。その状態が消費者のためになるのか。 |
[検討結果] 複合原材料の表示は、括弧を付して原材料に占める重量の多い順に一般的名称を記載すること、また、複合原材料の名称からその原材料が明らかなときは複合原材料の原材料の記載は省略できることとなっている。 複合原材料の名称からその原材料が明らかか否かについては、複合原材料は多岐にわたっており、全ての複合原材料について原材料の名称から構成される原材料が一般に判断できるかどうかについての基準を設けることは難しいことから、それぞれ個々の企業の良識で対応することでやむを得ないのではないか。 また、複合原材料の原材料を表示する場合、現行の規定では、原材料の省略が認められていないため、使用している原材料を全て書かなければならないことも表示を複雑にしている要因にもなっている。 このため、複合原材料の原材料については、表示のわかりやすさの観点から、例えば主要なもののみを表示するような方法についても検討してはどうか。
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(6) | その他
ア. | すべての加工食品の表示を横断的品質表示基準に統一できるか。または、個別品質表示基準を原則にしてその他を横断的品質表示基準でカバーするか。…(13) 品目によって表示の仕方が異なる場合があり、その製品がどの品目に属し、どのような表示をしなければならないのか判断が難しいケースが多く、業者にとって負担となっていることがある。また、消費者にとっても統一されていない表示方法は正確な判断材料になっていない場合がある。全品目の表示法の一本かも視野に入れた検討が必要ではないか。
[検討結果] 現在、JAS制度に関する検討会(JAS制度のあり方検討会)で検討が進められていることから、その結果にゆだねることとする。
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イ. | 他法令の表示に関連する事項…(14) 例えば、原材料として「しょうゆ」を使用した場合、アレルギー表示の規定により(小麦を含む)という表示が必要となるが、小麦の表示は原材料表示として表れない。
[検討結果] 原材料として「しょうゆ」を使用した場合、食品衛生法に基づくアレルギー表示によって(小麦を含む)という表示が必要となる。 JAS法の原材料表示では、原材料として「しょうゆ」を使用した場合は「しょうゆ」の原材料まで表示する必要はないため、原材料表示に現れない「小麦」が原材料欄に表示されることとなるが、アレルギー表示のように食品衛生法等他の法令により表示が義務付けられている事項については、原材料表示に書かれていないものが表示されても問題はないと考える。
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ウ. | 製造過程で使用されている発酵菌についても表示するのか。…(15) 例えば、納豆における「納豆菌」、ヨーグルトにおける「乳酸菌」、食酢における「酢酸菌」のようなものも表示するのか。
[検討結果] 一般的に菌については、いわゆる原材料として食品の内容の一部として認識されているものと、食品の製造過程に必要とされているものがあるが、いわゆる食品の内容の一部と認識されているものについては、表示してもよいのではないか。 また、同じ商品であってもメーカー毎に表示があったり、なかったりと表示方法が異なると消費者にとってわかりにくいため、業界の表示基準を統一することが望ましいのではないかと考える。
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エ. | その他(特色のある原材料の使用割合の表示について)・・・(16)
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参考:加工食品品質表示基準(第5条) 特定の原産地のもの、有機農産物、有機農産物加工食品その他の使用した原材料が特色のあるものである旨を表示する場合又は製品の名称が特色のある原材料を使用した旨を示すものである場合にあっては、次の各号に掲げるいずれかの割合を当該表示に近接した箇所又は第3条第1項第2号の原材料名の次に括弧を付して記載すること。ただし、その割合が100%である場合にあっては、割合の表示を省略することができる。
(1) | 特色のある原材料の製品の原材料に占める重量の割合 |
(2) | 特色のある原材料の特色のある原材料及び特色のある原材料と同一の種類の原材料を合わせたものに占める重量の割合(この場合において、特色のある原材料の特色のある原材料及び特色のある原材料と同一の種類の原材料を合わせたものに占める重量の割合である旨の表示を記載すること。) |
2 特定の原材料の使用量が少ない旨を表示する場合にあっては、特定の原材料の製品に占める重量の割合を当該表示に近接した箇所又は第3条第1項第2号の原材料名の次に括弧を付して記載すること。 |
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[検討結果] 現在、特定の原産地のもの、有機農産物、有機農産物加工食品のみが対象としてQ&Aで明示されているが、特色のある原材料の使用割合の表示については、消費者の関心を踏まえて、対象範囲の拡大(例えば、「海洋深層水」「特定の品種」など)を図るべきではないか。 |
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