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資料2

「アレルギー物質を含む食品に関する表示について」
に対して寄せられた意見について(案)

厚生労働省医薬食品局
食品安全部基準審査課

 アレルギー物質を含む食品に関する表示について、平成16年8月2日から8月31日まで厚生労働省のホームページ等を通じて御意見を募集したところ計39件の御意見をいただきました。今回、御意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

 お寄せいただいた御意見とそれらに対する厚生労働省の考え方について、以下のとおりとりまとめましたので、公表いたします。なお、取りまとめの都合上、いただいた御意見のうち同趣旨のものは適宜集約し、また、パブリックコメントの対象となる事項についてのみ考え方を示させていただいております。ご質問等には、関係法令等を整備する際Q&A等に反映させていただきたいと考えています。

1. アレルギー物質を含む食品に関する表示を取り巻く環境、制度

特に御意見等ございませんでした。

2. 制度見直し検討の基本的考え方
 企業の実現可能性よりも健康被害防止の観点に重点を置いてください。(2件)

 表示を義務づけたり、推奨することは、製造者等に一定の行為を求めることとなることから、健康被害防止の観点はもちろん、実現可能であるかも含めて合理的に検討を進める必要があると考えています。

3. 食物アレルギーに係る実態調査
 (症状が重いもの)と(知らずに摂取する可能性が高いもの)の両方の観点からデータを検証してください。(1件)
 遅延、遅発型のアレルギーについても検討してください。(1件)
 経口負荷試験陽性症例も集計してください。(1件)

 実態調査は厚生労働科学研究で行われております。研究班等の検討の場に御意見をお伝えしたいと思います。
 なお、今回の見直しの基になった実態調査に関しては、食品との因果関係を明確化するために、何らかの食物を摂取後60分以内に症状を呈したものを調査対象としています。

4. アレルギー表示のあり方に係わる具体的事項
(1)表示対象品目の見直し
 表示品目に、ゴマを加えてください。(20件)

 ごまについては、今村先生らの報告における発症数では、上位に位置づけられましたが、今村先生らの報告は、患者及びその家族等を対象としたレトロスペクティブな調査であり、記憶バイアス等が介在している可能性が否定できないことから、さらなる調査を積み重ねたいと考えております。

 表示品目に、大豆(5件)、メロン(3件)などを加えてください。)

 これらの品目については引き続き調査を行い、状況把握に努めていきたいと考えています。

 現在の表示品目から特殊なあわびなどは除いてください。(3件)

 今回の調査において症例の報告が非常に少なかった、あわびやまつたけ等については、過去に症例報告もあることから、直ちに推奨品目から除外するよりも、さらなる調査検討を進めていきたいと考えております。

 表示品目にエビを加えてください。(5件)
 その際に、エビやカニについてアレルギー症状を示す患者さんは自分のアレルゲンについて個別品目ではなく、甲殻類として認識している事を考慮してください。(1件)

 エビ、カニについては厚生労働科学研究等を活用し、詳細な研究を今後行う予定です。

 包材のコストなどの問題もありますので、バナナの表示に関して猶予期間を設けてください。(3件)

 特定原材料に準ずるものの表示については、義務ではなく、推奨されるものですが、平成13年4月に、アレルギー表示制度が施行された際に、1年間の猶予期間を設けたことを鑑み、同様の対応を考えております。

 表示対象品目について交差抗原性の観点を考慮してください。また、この際に、現在表示対象外となっている陸封性のさけや牛の血液についても表示対象としてください。(1件)
 表示に際しては抗原性の経時的変化を考慮してください。(1件)

 今後、食品中に含まれるアレルギー物質に関する研究を行う過程で新たな知見が得られた際には、表示対象の見直しの参考にさせていただきたいと考えております。

 特定原材料として設定する根拠、基準を明らかにしてください。(1件)

 現在の特定原材料は、食物アレルギー研究班表示検討グループの報告書等に基づき、個別食品ごとの発症件数や特に症状が重篤なものの件数を基準に、当時の食品衛生調査会の審議等を経て決定しております。
 なお、平成12年〜平成14年度に実施された厚生労働科学研究「重篤な食物アレルギーの全国調査に関する研究」の報告書等に基づき、今回、共同会議において見直したところ、特定原材料については、引き続き維持すべきという旨の結論をいただいております。

 現在の品目すべてを特定原材料としてください。(1件)

 表示を義務づけることは、製造者等に対して一定の行為を求めることとなることから、健康被害防止の観点はもちろん、実現可能であるかも含めて合理的に検討を進める必要があると考えています。

(2)コンタミネーション(混入)の防止
 コンタミネーション表示では、製造ラインの状態を含め明記しください。(8件)

 製造者等は、コンタミネーションを防止するための対策の実施を徹底すべきであると考えております。しかしながら、コンタミネーション防止対策の徹底を図っても、なおコンタミネーションの可能性が排除できない場合については、引き続きアレルギー疾患を有する者に対する注意喚起表示を推奨していきたいと考えております。

 微量のものについても原材料欄へ表示をしてください。(5件)

 最終加工品における特定原材料等の総タンパク量が数μg/g(ml)レベルに満たない場合には、アレルギー症状を誘発する可能性が極めて低いため、表示が省略できることとされています。

 コンタミネーション防止の具体策を示してください。(3件)

 具体的には、これまでも、他の製品に用いた原材料中のアレルギー物質が製造ライン上に混入しないよう当該ラインを十分に洗浄する、アレルギー物質を含まない食品から順に製造する、可能な限り専用器具を使用する等、コンタミネーション防止対策の徹底を図り、それでもコンタミネーションを起こす場合には注意喚起を表示するように通知しておりましたが、今後、コンタミネーションを防止するための措置のさらなる検討を進めていきたいと考えております。

(3)特定原材料等を使用していない旨の表示の新規促進
 使っていない旨の表示は義務表示でも行われるようにしてください。(1件)

 「使用していない」旨の表示は、推奨品目だけではなく、義務品目についても新規に促進することとしています。

 「使用していない」旨の表示は「含んでいない」ことを必ずしも意味するものではないことの周知徹底をしてください。(4件)

 パンフレット、ホームページやQ&A等を活用しながら周知を十分に行っていきたいと考えております。

 「使用していない」旨の表示は控えるべきであると考えます。(2件)

 特定原材料に準ずるものを使用しているか、していないかの判断ができず、食品選択の可能性が狭められているという指摘があることから、特定原材料等を使用せずに食品を製造した場合、特定原材料等を「使用していない」旨の表示をすることにより、食品選択の一つの方法として促進させていただくことになりました。

 「社会通念に照らし特定原材料等が含まれると認識する食品」を教えてください。また、この範囲にない食品には表示してはならないのでしょうか。(2件)

 品目としての小麦を例に挙げれば、ケーキには小麦が含まれると認識されるのに対し、ミネラルウォーターには小麦が含まれるとは認識されない食品と考えられます。詳細はQ&A等で具体的にお示しする予定です。

 スクリーニング検査で陰性の場合、使用していない、あるいは含んでいないという表示をしても良いのでしょうか。(1件)

 特定原材料等を使用した最終食品に関しての表示に関しては、配合表等に基づき行われるものであり、スクリーニング検査のみで、使用していない、含まないという表示をすることは、適切な表示とは言えないと考えられます。

 最終商品の検証なしに「使用していない」旨の表示は可能なのでしょうか。(1件)

 使用していない旨の表示については、推奨品目の表示を中心に検討しているところであり、推奨品目の検査キットについては、今後の研究課題であることなどから、現段階で「最終商品の検証」を行うことは困難であります。

 特定原材料に準じるものを使用しているか、していないか把握する方法の一つとして「その他」という表示方法を検討してください。(1件)

 個々の患者さんでアレルギーを発症する食品は異なることから、含まれている特定原材料等については明記していただくべきであると考えております。

 特定原材料に準ずるもののうち何品目を表示対象品目としているか判断できないため、包材に対象品目を記載するようにしてください。(2件)

 ご指摘の点を踏まえ、今回の見直しについては、「使用していない」旨の表示を新たに促進することとしました。また、一括表示欄外での記載やホームページ等を活用して、情報提供について任意的な取組を容認することとしました。

 こしょうの中にそば粉が入っているような、「社会通念に照らし特定原材料等が含まれると認識」できないものは流通させないでください。(2件)

 そばのような義務品目を含む食品には、既に表示がなされていると考えております。
 また、推奨品目についても、表示対象としているか否かの情報提供等により、推奨品目が含まれているか否かの判断が可能になると考えております。
 なお、使用していない旨の対象を「一定の特定原材料等を含むであろうとアレルギー疾患を有する者が社会通念に照らし認識する食品」としたのは、例えばミネラルウォーターのような食品に対して、使用していない旨の表示を指導することは適当でないという考え方に基づくものです。

(4)アレルギー疾患を有する者に分かりやすい表示方法
 文字の大きさや色などを変える表示方法が可能となりますが、原産地表示など他の重要な項目が目立たなくなる可能性もあると思います。このため基準が必要だと思います。(4件)

 Q&A等で具体的な表示方法についてお示ししたいと考えております。

 複合原材料や添加物に対して特定原材料等が重複して使用された場合に省略せずに個別に表示するよう義務づけてください。(10件)

 複合原材料や添加物に対して特定原材料等が重複して使用された場合には、原材料表示中繰り返し表示を全面的に義務づける必要はないと考えておりますが、個々の原材料の直後にカッコ書きする「個別表示」が食物アレルギー患者の方にとって有用なケースもあることから、「個別表示」の意義を引き続き周知したいと考えております。

 子どもが自ら選択できるように、落花生をピーナッツと表示するなど、子どもでも分かるような表示方法にしてください。(3件)
 表示ラベルや表示欄の印字スペースを広げて見やすくする取組をしてください。(1件)
 問い合わせ先を明記するようにしてください。(1件)
 アレルギー表示がわかりにくいので、表に○×で記載するなど、分かりやすい表示する方法を検討してください。(1件)
 アレルゲンマークの検討をしてください。(1件)
 アレルゲン除去を段階的にランク付けした表示方法の検討をしてください。(1件)
 食べ慣れた食品の原材料が変更され、アレルゲンが入っていることを知らずに食べる可能性があるので、原材料を変更した場合はその旨を表示してください。(1件)
 面積が小さい場合にも表示をしてください。(1件)

 今後とも、表示の内容については、共同会議の意見を聞いて定めてまいりたいと考えております。

(5)制度の普及啓発、研究の促進等
 アレルギー対策商品に、アレルゲンが混入することによる発症事故が後を絶ちません。アレルギーの人でも安心であると記載しないでください。また、誤解を生む商品名があります。(3件)

 いわゆる「アレルギー対策食品」は、必ずしもアレルゲンが含まれていないことを意味しているものではないと考えております。また、製造業者に対しては、誤解を生むような商品名は望ましくない事を指導しております。

 企業側への正しい表示の徹底を促してください。また、表示することは、企業にとっても有利なことであると周知してください。(3件)

 これまでも食品製造業者等にリーフレットの配布等を行い、アレルギー物質を含む食品に関する表示制度についての普及啓発に努めてきました。引き続き普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

 食品衛生担当者に正しい表示方法についての研修を行い、理解を深めるようにしてください。(2件)

 表示の適正化、充実化には、食品衛生監視員が行う監視指導の適切性の確保を欠くことはできないことから、引き続き都道府県等の食品衛生監視員に対し、必要な研修の実施等を行いたいと考えております。

 飲食店・給食施設・対面販売での表示を義務としてください。(8件)

 対面販売や外食産業にかかる業者等については、法的義務はかかりませんが、品書き、メニュー等を通じ、アレルギー疾患を持つものに対する情報提供の充実化に向け自主的な取組を推進していきたいと考えております。

 面積が小さい場合にも表示をしてください。(1件)
 教育機関等へ納入する業者は、表示義務がない場合でも表示するようにしてください。(1件)

 今後とも、表示の内容については、共同会議の意見を聞いて定めてまいりたいと考えております。

 パンフレットは必要な人に配布してください。(2件)

 現在のパンフレットは各都道府県の衛生部署、消費生活センター等に配布しているところです。

 正しく制度を理解するよう、医師が正しく患者に指導したり、教育関係者等への講習などの取組をしてください。(3件)
 万が一に備えてエピペンを使えるようにしてください。(1件)
 香料について過敏な反応が起きるため、化学物質過敏症についても対策をしてください。(1件)

 今後もパンフレットの配布、インターネット等を通じ積極的に制度を正しく理解していけるよう、普及啓発を行ってまいりたいと考えております。
 また、関係の部署へこれらの御意見については、お伝えしたいと思います。

5.終わりに
 3年目途では遅いと思います。前倒しで検討をしてください。(1件)

 3年以内に見直しを行うということになっており、見直しが必要な新たな知見が出てきた段階で、検討を開始する予定です。

6.その他
 表示品目の見直しの議論の場に患者代表を加えてください。(5件)

 今回のように意見募集等を通じ、各方面のご意見を検討材料としたいと考えております。

 卵から作られた卵殻カルシウムなど、特定原材料等より製造される食品添加物について、表示が免除される条件を教えてください。(1件)

 例えば、卵殻カルシウムでは、焼成卵殻カルシムは抗原性が失活していると考えられることから、表示が免除されていますが、これ以外の卵殻カルシウムについては卵の表示が必要とされています。これらについては、通知(平成13年3月21日食企発第4号・食監発第48号)等で具体的に示しているところです。

 大豆レシチン、乳たんぱくの様な表示を認めてください。(2件)

 例えば、大豆レシチンに関して、現在は植物レシチン(大豆由来)となりますが、これは添加物名として「植物レシチン」が指定されているためで、この表記方法を変更するには添加物表示方法の変更が必要となってきます。このように現在の表示方法はアレルギー表示以外のルールも関係するため、それらとの整合性を図ることとしています。

 食品に関するデータベースを構築し、一元的に製品情報を手軽に入手できるシステムを開発してください。(2件)

 現在流通している食品は多種、多様であり、これらすべてについて、一元的に把握することは困難であると考えられます。

 表示が適切でない食品を摂食し、健康被害が生じた場合、適切な対応が行われるようにしてください。(2件)

 食品に関して問題があると思われる場合には、最寄りの保健所等にご相談ください。

 スクリーニング検査についての開発支援を行ってください。(1件)

 現在、乳、卵、小麦、落花生、そばの5品目についての検査法を示しておりますが、今後、推奨品目についての検査法の開発を進めていく予定です。

 5年程度で検査法が変わらないように十分検討を進めてください。(1件)

 新たな科学的知見に応じて、適切な検査法を示す事が健康被害防止の観点からも望ましいと考えています。

 NPOとの連携を進めてください。(1件)

 今回のように意見募集等を通じ、各方面のご意見を検討材料としたいと考えております。


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