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資料1
表示方法について(その4)
−原材料表示をめぐる問題−表示について

 加工食品の一括表示のうち、原材料表示のあり方について検討。
 1.基本ルール
 2.見直しの視点 [充実、簡素化、運用改善]
 3.原材料表示の充実
 4.原材料表示の簡素化
 5.原材料表示の運用改善



1.基本ルール

JAS法に基づく加工食品品質表示基準(以下、「加工品表」という。)により、原材料名は、使用した原材料を全て重量順に表示するのが原則。(加工品表第4条(2)ア)
食品添加物は、それ以外の原材料と分けて記載。(加工品表第4条(2)イ)
原材料名欄に、アレルギー、遺伝子組換え、原料原産地に関する表示を含む。

基本ルールの図



(参考)加工品表における原材料名の表示方法(抜粋、一部要約)
第4条(2)使用した原材料を、ア及びイの区分により、次に定めるところにより記載すること。
 食品添加物以外の原材料は、原材料に占める重量の割合の多いものから順に、その最も一般的な名称をもって記載すること。
 ただし、2種類以上の原材料からなる原材料(以下「複合原材料」という。)については、当該複合原材料の原材料の名称の次に括弧を付して、当該複合原材料の原材料を当該複合原材料の原材料に占める重量の割合の多いものから順に、その最も一般的な名称をもって記載すること。
 この場合において、複合原材料の製品の原材料に占める重量の割合が5%未満のとき又は複合原材料の名称からその原材料が明らかなときは、当該複合原材料の原材料の記載を省略することができる。
 食品添加物は、原材料に占める重量の割合の多いものから順に、食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)第21条第1項第1号ホ及び第2号、第11項並びに第12項の規定に従い記載すること。



2. 見直しの視点
[キーワード:表示の充実、簡素化、運用改善]

原材料表示は、食品の特性を表現する重要なツールで、今後も充実が必要
原材料名の表示は、加工食品の一括表示中最も複雑であり、表示内容も多いことから、「表示全体のわかりにくさ」の大きな要因
加工食品の多様化に伴い、中間原料や多様な形態の原材料が使われ、表示されている用語に難解なものがある。
記載順(重量順)の判断、表示すべき原材料の範囲など、運用を改善すべき点がある。

原材料表示のわかりやすさ(食品の表示の「わかりやすさ」に関するアンケート結果(日本生活協同組合連合会(2002.12〜2003.1実施))の図



3. 原材料表示の充実

(現状)
特色ある原材料を使用したことを商品上でアピールする際には、消費者の誤認を防止する観点から、使用割合が100%の場合を除き、当該原材料の使用割合を併記することが規定されている。(加工食品品質表示基準第5条)

(例)A県産ばれいしょを使用した旨の強調表示の図



(問題点)
○「特色ある原材料」の範囲が不明確。
(現行の運用上、適用が明確化されている特色ある原材料が(1)「特定の原産地のもの」(2)「有機農産物・有機農産物加工食品」(3)「(非)遺伝子組換え」の3種に限定されている。)
○規定が厳しすぎて、活用しづらい。
 現行の割合の表示方法は、%表示が一般的であるが、原材料の使用割合は変動する場合も多く、使用割合の自由度がない。



  (今後の方向)
(1)「特色ある原材料」の範囲の拡大
 強調表示されている原材料については、特色ある原材料に該当する原材料として加工品表第5条を適用することを明確化してはどうか。
(現行運用に加え、特色ある原材料に該当すると認められる例)
品種名(とちおとめ使用、コシヒカリ使用 等)
種類(紫いも使用、抹茶入り、海洋深層水使用、黒糖使用 等)
ブランド名(松阪牛使用、越前かに入り 等)
商品名(○○の塩使用 等)
製造方法(炭火焼き地鶏肉使用 等)
原料加工食品の製造地(北海道で製造されたバターを使用しています 等)
農薬等を節減した農産物(特別栽培茶使用、農薬不使用にんじん入り、農薬節減米使用おにぎり 等)
等級等(本醸造しょう油入り、エキストラバージンオリーブ油使用 等)  ・・・
上記のような場合にも使用割合の表示が義務付けられ、実際の使用量が少量にもかかわらず、100%特色ある原材料が使用されているとの誤認が防止される。



(2)割合表示の規定の弾力化
(1)概数で表示できることの明確化「○%以上使用」「○割使用」等の概数で表示できることを可能とするとともに、100%使用の場合のコンタミネーションに関しては無視しうることをQ&Aで明確化してはどうか。

(可能とする表示例)
「A県産○○50%以上使用」(使用割合は時々に変動するが、最低ラインとして、50%を保証)
「A県産○○8入り」(80%以上90%未満の範囲で変動)
「コシヒカリ100%使用」または「コシヒカリ使用」→十分分別して管理した上でのコンタミネーションは許容



(2)原料原産地表示制度の活用:強調する産地だけでなく、全ての産地を使用した割合の多い順に表示(上位3位以降は、「その他」と表示可能)した場合は、割合表示は不要である旨明確化した。(9/○付け原料原産地表示Q&A問○で明記済み。)
(例)原料だいこんとして国産70%、A国20%、B国10%を混合使用した場合


(例)原料だいこんとして国産70%、A国20%、B国10%を混合使用した場合の図

これらにより、強調表示が行いやすくなり、自主的な情報開示の取り組みが促進されることが期待される。



4. 原材料表示の簡素化

(現状)使用した全ての原材料を表示することにより、必要以上に表示が複雑化しており、「表示のわかりにくさ」の原因となっている。

(1)複合原材料
複合原材料とは:2種類以上の原材料からなる原材料
(現状)
複合原材料の表示は、複合原材料名の後に括弧書きで個々の原材料を多い順に記載するのが基本
要件を満たす場合、個々の原材料名の記載を省略できる

(例)複合原材料と個々の原材料名の記載の図



 (例外規定)
(1)以下の場合、複合原材料の個々の原材料の記載は省略できる。


(1)当該複合原材料が製品に占める割合が少ない場合(重量割合の5%未満)
(2)複合原材料の名称からその原材料が明らかな場合
[原材料の名称から明らかな場合とは・・](加工品表Q&Aで明示)
複合原材料の名称に主要原材料が明示されている場合(例:鶏唐揚げ、さば味噌煮等)
複合原材料の名称に、主要原材料を総称する名称が明示されている場合(例:ミートボール、魚介エキス、植物性たん白加水分解物等)
JAS規格、品質表示基準で定義されている場合(例:しょうゆ、ハム、マヨネーズ等)
上記以外で一般にその原材料が明らかである場合(例:がんもどき、ハンバーグ等)

(2)個別品質表示基準で規定された一部の原材料及び弁当(惣菜の盛り合わせを含む)については、複合原材料の個々の原材料を記載する際、使用量が少ないものについて「その他」と記載できる。
[「その他」と記載できる場合の例]
ウスターソースの野菜・果実→上位4位以下
弁当のおかず→上位4位以下(表示例: 煮物(里芋、人参、ごぼう、その他)



(「複合原材料」制度の背景)
(1)加工食品の原材料は、多くが2種類以上の原材料(複合原材料)から構成されており、これらを遡って表示しようとすれば膨大な原材料表示となる。

(例)調理冷凍食品(豆腐の挽肉包み揚げ)の場合

(例)調理冷凍食品(豆腐の挽肉包み揚げ)の場合の図


※添加物については、複合原材料中の添加物を抜き出し、製品中の添加物を全て合計して表示することとなっている。



(2)弁当のように、日毎、時間毎におかずが入れ替わるような商品について、複合原材料の個々の原材料を正確に表示するのは極めて困難。

(例:幕の内弁当の表示)

(例:幕の内弁当の表示)の図



(「複合原材料」制度の問題点)
(1)原材料名は「一般的な名称」で記載することとされているが、複合原材料の名称及び個々の原材料の名称が一般には理解しづらい名称の場合、記載方法が難しい。
(2)複合原材料の個々の原材料の記載が省略できるか否かが不明確。
(3)複合原材料の個々の原材料を記載する際、一般には「その他」表示が認められていないため、表示が困難。
↓
  (今後の方向)
(1)複合原材料の記載方法の考え方の明確化
○複合原材料の規定は、使用した原材料についての情報を十分に提供し、かつ、表示が必要以上にわかりにくくならないとの観点から活用されるべき。

○このため、一般に理解される用語で記載することを基本とし、この観点から複合原材料の省略規定を適切に活用すべきではないか。

(2)複合原材料の個々の原材料の表示簡素化
○現状では、弁当と一部の加工食品のみに認められている、使用量が少ない個々の原材料の「その他」表示を、一定の条件を満たす場合には可能となるよう、明確化してはどうか。



 (複合原材料の記載の考え方のイメージ)

(複合原材料の記載の考え方のイメージ)の図

最終製品を製造する事業者が使用する状態の原材料を、一般的名称で記載するのが基本。(原材料名:A、・・)
Aが一般に理解しにくい名称の場合、a,b等個々の原材料を記載。この際、重量順が4位以下の場合「その他」と記載。(原材料名:A(a、b、c、その他)、・・)
Aを記載するとかえってわかりにくい場合は、わかりやすい原材料名にばらして表示することも可能。(原材料名:a、b、c、・・)
この場合、複数の複合原材料に同じ原材料が含まれる場合、合算して記載。
Aが現行の複合原材料の省略規定に合致する場合(量が少ない、又は名称から明らか)は、個々の原材料の記載は不要。



(2)弁当・惣菜の表示
(現状)弁当、惣菜は、以下のような商品特性を持っているが、表示方法は通常の加工食品と同様の規定に従って表示されている。
(1)構成原材料の内容を外部から確認して購入する。(2)製造後短時間で消費される。(3)弁当の場合、複数のおかずを組み合わせており、組み合わせは日々変化する。

(加工品表の一括表示様式に従った表示)の写真 (原材料名を裏に表示)の写真
(加工品表の一括表示様式に従った表示) (原材料名を裏に表示)



(問題点)
商品の内容を包装外部から確認して購入する性格上、貼付できるスペースは限定されている。
原材料表示のみを切り離して裏貼りする商品も多いが、商品特性上、裏面の原材料表示を確認することが困難。
おかずの組み合わせの変化に、表示が対応できない。

弁当・惣菜の表示の図



 (今後の方向)
(1)弁当の原材料表示の現実的記載方法
○包装外部から内容物を確認できる弁当(惣菜の盛り合わせを含む)に限っては、優良誤認の生じない範囲で、「外部から確認できる」一般的な複合原材料(おかず類)について、記載を簡素化することを可能としてはどうか。

弁当の原材料表示の現実的記載方法の図

○上記によっても全ての表示事項を表面に表示できない場合には、事業者の判断によって、原材料名その他の一括表示事項を切り離して裏面に表示することも容認してはどうか。

(この場合、店頭での表示の確認方法について検討する必要があるのではないか。)



5. 原材料表示の運用改善

(現状)原材料表示にあたって、記載順(重量順)の判断、表示すべき原材料の範囲等、運用を改善すべき点が存在。

 (1)原材料の記載順について
 (2)くくり表示(同種の原材料ごとに分けて表示)の活用について
 (3)使用量がわずかであって、最終製品に影響を及ぼさない原材料の表示省略について



(1)原材料の記載順について
○原材料名は、原則として重量順に記載することとなっているが、重量順の判断に困る事例が存在。
ア.商品特性を考慮して原材料の表示順を決めている例が一部の個別品質表示基準にみられるが、将来的には重量順に表示するよう基準を統一すべきではないか。

(例)果汁入り飲料の表示

(例)果汁入り飲料の表示の図



イ.(1)つけだれや揚げ油など、その原材料が最終製品に全て残るのではなく、一部が製品に吸い込まれるような原材料の場合、
(2)ハーブのようにエキス分を抽出して廃棄してしまう場合のように、
使用量が特定できない場合、食品添加物以外の原材料の一番最後に表示することもやむを得ないのではないか。

(例(1))コロッケの揚げ油の表示
(例(1))コロッケの揚げ油の表示の図


(例(2))エキス分を抽出するためハーブ(香辛料)を加えた野菜煮込みの表示
(例(2))エキス分を抽出するためハーブ(香辛料)を加えた野菜煮込みの表示の図



(2)くくり表示(同種の原材料ごとに分けて表示)の活用について
○現行では、同種の原材料ごとに記載する表示方法(くくり表示)は、一部の加工食品で行われているが、わかりやすさの観点からこれを活用すべきではないか。







(現行の個別品質表示基準で規定されている例)
農産物漬物・・「漬けた原材料」(原料野菜等)、「漬け原材料」(ぬか、食塩等)に分けて記載
即席めん・・「めん」「調味料」「かやく」「やくみ」等に分類して記載
レトルトパウチ食品・・「野菜・果実(たまねぎ、にんじん、りんご)」とまとめて括弧書きで記載








(くくり表示を活用すべき例)
○複数の食品を組み立てた食品(例:納豆(本体、タレを別々に表示)、セットもの等)

○「野菜」「食肉」等、同種の原材料を複数使用した場合(例:コロッケ(使用した野菜を「野菜(じゃがいも、玉ねぎ、人参)」等くくって表示)



(3)使用量がわずかであって、最終製品に影響を及ぼさない原材料の表示省略
○食品添加物の賦形剤(食品素材)のように、使用量がわずかであって、最終製品に影響を及ぼさないような原材料については、表示を省略できることとしてはどうか。

 (使用量がわずかであって、最終製品に影響を及ぼさない原材料の例)







(1)調味料製剤の「乳糖」、香料製剤の「デキストリン」のように、添加物に賦形剤として配合されたもの
(2)発酵に使用される菌であって、最終製品には残存しないもの
(3)包装資材への製品の付着を防ぐためのでん粉等、食品を構成する原材料ではないもの







※基本的には、食品添加物のキャリーオーバーと同様の考え方となるが、最終製品に少量残存するものであっても、記載の省略を可能としてはどうか。



(4)その他原材料表示の運用改善
上記以外にも、
詰め合わせ食品の表示方法
(例えば、個々の食品ごとに表示するのか、一括して外装に表示するか等)
特定の原材料のみを強調することによる優良誤認の防止
(例えば、高級な食材のみを目立つように字を大きくしたり色を変えたりして記載するような表示について、アレルギー表示との関係に留意しつつ規制方向を検討)
等、原材料をめぐる多くの課題が存在しており、今後Q&A等で明確化する必要があるのではないか。

これらにより、原材料表示の方法が明確化され、消費者にとってわかりやすい表示となることが期待される。


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