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三位一体改革と社会保障

平成16年9月14日
厚生労働省


基本的な考え方

   社会保障は、全国民に対して一定水準のサービスを保障していくという国民的合意の下で実施されてきた。

 また、今日、急速な少子高齢化が進行する中で、将来に向けて給付と負担の均衡を展望しつつ、社会保障制度全般の一体的見直しを進めているという重要な時期に差し掛かっている。

 したがって、国において責任を持って施策を推進することができる実効性のある手段を確保するとともに、地方においても自主性を活かしつつ社会保障について応分の責任を持って取り組む必要がある。


地方六団体の提案の問題点

   地方六団体の案は、介護費用、老人医療費、国民健康保険医療費、生活保護費等の負担金に関しては具体案を示さないという基本的問題がある一方で、少子化対策に係る補助負担金及び裁量的補助金の全般について廃止することとしている。

 廃止に係る補助金に関しては、国と地方の役割分担という観点から、次のような問題がある。

 (1)  国民の安心と安全を守るべき社会保障について、どの地域においても一定水準のサービスを格差なく保障するという国の責任が果たせなくなる。

 (2)  毎年の介護・医療の給付費の相当部分が国税や労使の保険料で賄われているにも関わらず、介護施設の整備や生活習慣病対策の補助金などが廃止された場合には、国はこれらの給付費の適正化について責任を果たせなくなる。

 (3)  本年6月には少子化社会対策大綱が策定され、来年度からは次世代育成支援法に基づく10ヵ年計画が実施されるなど、国を挙げて少子化対策に取り組もうとしている矢先にも関わらず、国が施策の実施について責任を果たせなくなる。

 (4)  障害者施策については、入所施設の運営費のうち18歳までの障害児は地方が、18歳以降の障害者は国が、それぞれ担うこととし、支援の一貫性が分断されることとなる。他分野を含め、当事者たる国民の立場に立った提案とは思われない。

 (5)  SARS対策などの健康危機管理、被爆者対策などの国家補償的な事業、電子カルテ導入などの先駆的・モデル的取組の実施や検討について、国が責任を果たせなくなる。

 (6)  事業主拠出金など租税財源でない国庫補助金も廃止移譲対象としているが、これは今回の趣旨にそぐわない。


厚生労働省としての対応方針

   厚生労働省としては、社会保障の基本的な考え方に立って、これらの問題点について地方六団体と十分に議論を行い、対案を示していくこととしたい。



地方公共団体向け国庫補助負担金の状況

地方公共団体向け国庫補助負担金の状況の図



三位一体改革に係る地方六団体の提案概要
(厚生労働省関係事項)

 平成17年度及び18年度に廃止して税源移譲すべき国庫補助負担金として挙げられているもの。 【総額約9,444億円】

〔施設整備関係〕 【約1,677億円】
(主なもの)
 ・ 社会福祉施設等施設整備費負担金・補助金 約1,300億円
 ・ 保健衛生施設等施設整備費補助金 約100億円
 ・ 医療施設等設備整備費補助金 約170億円


〔運営費・事業費関係〕 【約7,766億円】
(主なもの)
 ・ 養護老人ホーム運営費負担金 約570億円
 ・ 保健事業費等負担金 約290億円
 ・ 精神保健対策費補助金 約20億円
 ・ 保育所運営費負担金 約2,670億円
 ・ 児童保護費等補助金 約510億円
 ・ 児童入所施設措置費等負担金 約710億円
 ・ 障害児施設措置費負担金 約750億円
 ・ 在宅福祉事業費補助金 約780億円
 ・ 母子保健衛生費補助金 約30億円
 ・ 母子家庭等対策費補助金 約26億円
 ・ 医療施設運営費補助金 約190億円
 ・ 医療関係者養成確保対策費等補助金 約90億円
 ・ 疾病予防対策事業費等補助金 約60億円
 ・ 職業転換訓練費負担金・交付金 約65億円
 等



(PDF:440KB)


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