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第19回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成16年9月29日(水))


1.委員の出欠
神田委員が欠席。

2.概要
(1)表示方法について

 事務局より資料1について説明。
座長代理: まず、P6の表示の充実についてご意見いただきたい。
委員: 特色ある原材料表示の対象範囲を拡大することは、生協組合員にとっても歓迎すべき事である。生協では黒酢入りドリンクを製造しているが、黒酢の使用量について組合員からの問い合わせが多い。最近、強調表示が増えてきており、何らかの基準が必要であろう。ただ、P6の問題点にあるとおり、現行の%表示は厳しすぎると思う。特色ある原材料の規定ができる前、フロリダのオレンジとブラジルのオレンジを混合して製造したオレンジジュースに、「ブラジル産、フロリダ産」のように表示していたが、この規定ができてからこのような表示がダメになり、結局、産地表示自体ができなくなってしまった。今回の原料原産地表示においては、特別な事情のある場合ということで、このような場合についても考慮されているので、両方の規定をうまく組み合わせて表示が可能になると思う。
座長代理: 特色ある原材料の範囲はどうなるのか。
事務局: P7の例に限らず、商品表面に「○○入り」や「○○使用」と強調表示される原材料は特色ある原材料であると捉えてはどうか。
委員: 例えば、ムラサキイモ使用の製品など綺麗な色をしているが、家庭でムラサキイモを使って作るときたない色にしかならない。製品はムラサキイモをパウダー状に加工して使用しているから綺麗な色になるそうで、そのかわり味は劣る。つまり、「ムラサキイモ使用」と表示してあっても正確には「ムラサキイモパウダー使用」ということもある。加工によっていろいろなものが出てくるということを一言申し上げたい。
委員: 事務局案について良いことだとは思うが、微量表示、すなわち、香辛料など変わったものを使用したことを強調表示したい場合、%やg表示させることには意味がないと思う。強調表示される原材料全てを対象とするのではなく、クッションをおいた方がわかりやすい。
事務局: 割合表示には、全体の割合での表示と類似の原材料の中での割合の2通りの方法がある。香辛料の場合、後者の方法により類似の香辛料の中での割合を表示することには意味があると思う。
委員: 類似の原材料がなく微量使用の場合、全体の重量との比較で%表示しても意味がない。
事務局: そのような場合は100%使用ということで割合表示は必要ない。
委員: 「アミノ酸使用」といった表示がウソになるおそれがある。
座長代理: 少し研究が必要だろう。参考資料にあるとおり、JAS協会でも相当議論されたようだ。ここで決定せず方向性を決めるだけにとどめたい。これが心配、ということがあればこの場で出して欲しい。よろしければ、P8「割合表示の弾力化」の議論に移る。
委員: P8の例では「50%以上」となっているが、「○○%以下」表示も可能か。
事務局: 少ないことを強調したい場合は可能である。
座長代理: 「○割」は便利な言葉で、「8割」といった場合には、89.99%まで読める。「80%」だと81%でもダメになる。
委員: 現在、使用割合は%で表示しなくてはいけないのか。
事務局: そのような縛りはないが、「○割」表示が可能であることを明確化したいということである。
座長代理: 現在、「○割」表示を行っている例はあるのだろうか。
委員: 「○割」表示もある。%表示が推奨されていることを知っている人が損をしている。弾力性を持たせることは大切である。ただ、原材料は多い順に書くので、「○%以上」ではどうなるだろう。
委員: P8のコシヒカリの例で、「十分分別して管理した上でのコンタミネーションは許容」とあるが、具体的には何%まで可なのか。どのように決めるのか。IPハンドリングでも現在の5%で良いのか議論がある中、妥当なコンタミを示すのは難しいのではないか。
事務局: ご指摘のとおりである。おそらく原材料毎に幅が変動するものであるから、明確に何%と示すのではなく、考え方として、分別する努力を認めることとし、数字を示すことは考えていない。
座長代理: 「コシヒカリ」と袋に表示してある米を原材料として使用したら「100%使用」と表示して良いということだろう。
 続いて、P9の原料原産地制度の活用の部分に移る。ここは問題ないように思うがよろしいか。よろしいようなので、先へ進む。ここからは座長にバトンタッチする。
座長: 今回は原材料表示の充実と表示の簡素化についてご議論頂くこととなる。現状では一括表示欄の表示への規制は厳しいのでゆるめる方向で提案されている。ここでは個別の議論ではなく方向として問題ないかどうかをご議論頂きたい。
 P13の表示例のように、アレルギー表示が入っていると特に煩雑になり問題がある。P14に今後の方向の提案がされているがコメント頂きたい。
委員: 重量順が4番目のものは省略可能ということであるが、例えば、26%,25%,25%,24%の場合であれば、4番目の24%のものは多く含まれていると言えるのではないか。「その他表示」を広げると、消費者が知りたい情報が隠れてしまう可能性がある。
委員: 作る側から言うと、そのような重量の場合は4つ全部表示することが普通である。完全に重量が少ないときにその他と書いている。役所は4つ書いてはダメとの指導はしていないので、実際には問題ないだろう。
事務局: 委員の指摘どおりである。例えば、遺伝子組換えの「主な原材料」の「上位3位かつ5%以上」のように、原材料のボリュームも勘案して指針を作ることでクリアしたい。
座長: Q&Aで解決できる見通しがあればよい。他に何かあるか。
事務局: 一点、補足説明したい。例えば、あんパンではパンを作る、あんこを練るという工程が考えられるが、最近は効率化が進み、パン生地については既にどこかでこねたものを冷凍輸入するとか、あんは加糖あんを使用するということも有り得る。現在の原材料表示ではどの段階の原材料を使用したのかということは読みとれない。直前の原材料を表示するようにすればこのような情報も読みとれるようになる。これから先、ますます効率化が進み、一次原料を使用した製品が増えると思われる。そのこともにらんで原材料表示を検討したい。
委員: 基本的には事務局案に賛成である。どのような場合にバラして表示してよいのか明確にして欲しい。原材料について、おおまかには見て判断できるものでも原型が残っていなければ中身がわからないことも考えられる。バラして表示することがわかりにくくならないような判断基準が必要だろう。
 また、P16について、現場では弁当の表示は非常に難しい。透明のふたのものであれば中身が見えなくならないように裏貼りすることがやむを得ない。
委員: 前々から現物を見てもらっているが、プライスラベルが大きく中身が見えないものも多い。特に添加物表示やアレルギー表示など、表示を見て買う人も多いと思う。本当は表に一括表示したいが、現実としては難しいので、裏貼り表示を容認してもらうことはありがたい。
委員: 同様に賛成である。味付け肉のパックを製造する時など、ラベルの印字機の関係で表示方法に限界がある。P18の案は弁当、惣菜に限られるのか。味付け肉についても見れば肉であることはわかるので弾力的に運用して欲しい。
事務局: 添加物及びアレルギー表示についてだが、できるだけ見やすいところに表示することとしており、表示の簡素化は大切ではあるが、裏面を見ることが困難である場合は表面に書くべきである。
委員: P18について、おかずのアレルギー表示にさけが入っていない。消費者としては知りたい情報がおもてにないとわからない。えびも表示して欲しい。ものによってはひっくり返して裏を確認することができないものもある。目が悪い人など刻んだものが確認できるように、また、揚げ物が少ない方がいいなどの選択ができるように、中身を知ることができるように表示することが重要である。
委員: 食べる立場から、弁当の表示は細かすぎると思う。ご飯、おかずで構わないと思う。一方、P23の使用量がわずかなものを省略できるようにするという案について、以前、香料で違法の問題があったので、少量のものでも省略せずに書いて欲しい。安全・安心の担保は重要である。焼きさけ(さけ、食塩)などは必要ないが、添加物の表示は欲しい。
委員: 同感である。省略しないと細かすぎだが、かといって添加物、アレルギー表示は選ぶときに見たい。さば(国産)は見たい人とそうでない人が別れるかと思うが、アレルギー表示は必要な人には欠かせない。一方で、表示は複雑化しており、簡略化することは必要だろう。
委員: P18の例は確かに見にくいので、案のような簡素化も必要だと思う。ただ、省略できるのは、見てわかる、店員に聞けばわかる等の代替方法がある場合に限る方が良いのではないか。省略される表示を必要とする人もいるかもしれない。表示できるかはともかく事業者が情報を伝えられるようにはしておくべきだろう。
座長: 生産履歴などスーパーで見ることができるものも出てきた。代替方法もやろうとすればできるのではないか。
事務局: 肯定的なご意見が多いことに感謝する。2点申し上げたい。一つは簡略化についてだが、弁当、惣菜に限っているのは、すぐに食べる、短時間で店頭に出す等の通常の加工食品とは異なる特徴があるためである。それ以外のものについては、透明容器などに入っていて中身は見えるが、切り離して表示するなどで対応すべきと考えている。二つ目は、バックヤード加工について、今後仮に加工食品品質表示基準で手当てすることとすると、店の裏で作った弁当、惣菜に表示できるかといった現実的な対応に不安がある。バックヤード問題については、今後別途議論することが必要だが、このことも考慮して検討することが必要である。
委員: 弁当は他の食品とは違う。本来、食堂で食べるものをコンビニエンスストアーを簡易食堂と見なして購入するという認識。製造者との信頼関係は食堂で食べるときと同様に前提としてあり、ネガティブファクターは表示するようにすべきであるが、プラスのファクターは食べることを楽しめる範囲でよい。
委員: 弁当についても様々な利用の仕方があり、食育の意味からも自分の食べているものを知るということで表示が必要なこともあるのではないか。
座長: 弁当、惣菜については、その特殊性も考慮して検討を進めたい。続いて、P19「5.原材料表示の運用改善」に移る。
委員: 最近、ダイエットを気にする人が多く、P21の例のコロッケなどの場合、揚げ油の記載順が気になるのではないか。栄養成分表示があればよいが、あまり入っていないと勘違いしないような表示が必要であろう。
事務局: もっともである。P21の例について、「小麦粉、揚げ油」の重量順は難しいが、その他にもっと少ないものがある場合は、「小麦粉、揚げ油」の後ろに表示する必要があろう。若干の前後は有り得るという考え方についてはどうか。
委員: 若干のズレを許容してもらえるとありがたい。少量で重量順が前後するものについては、若干の前後を容認すれば解決する。現在の規定は厳密に過ぎる。
委員: 消費者の理解を得られるかが心配。最近、問い合わせではそうでない傾向があり、同じような商品なのに原材料の順序が異なっているのはおかしいのではといった指摘も受ける。参考資料のJAS協会の報告書をまとめたときには、難しい問題があるのでルールを作って普及するという方向でまとめている。
座長: 揚げ油などは染み出るので使用量順の表示が意味をなすのか疑問ではある。基本的な方向は事務局案のとおりで良いだろうか。個別の点は検討して、次回あたりに文書化したものを元に議論したいと思う。
委員: P18の黄色の囲みの記述についてだが、消費者の選択に資するようにすべきであり、簡素化しすぎはダメであろう。「外部から確認でき、かつ、中身がわかるもの」という視点から検討すべき。天ぷらなどで、アジ、キスが区別できるようにして欲しい。
座長: そのとおりである。メンチカツとコロッケの区別についてもわかるようにすべきだと思っていたところ。

(2)その他
  ア.「アレルギー物質を含む食品に関する表示について」に対して寄せられた意見について(案)

事務局より資料2について説明。
(委員より意見なし。)

  イ.品質表示基準改正についての報告

事務局より上記について報告。
(委員より意見なし。)



(事務局より、次回以降の日程について、第20回を11月24日(水)に開催する予定である旨、説明があった。)

以上


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