(1) | 精神障害者の雇用率の適用と雇用支援策の充実
 | 雇用率の適用
精神障害者についても、将来的には、雇用義務制度の対象とすることが考えられるが、現段階では、精神障害者を実雇用率に算定すること等により、採用後精神障害者を含め、精神障害者を雇用している事業主の努力を評価する制度を整備することが適当である。
実雇用率に算定するに当たっての対象者の把握・確認方法は、精神障害者保健福祉手帳の所持をもって行うことが適当であるが、プライバシーに配慮した対象者の把握・確認のあり方について、企業にとって参考となるものを示すとともに、手帳制度と職業リハビリテーションサービスの利用についての周知を図っていくことが重要である。 |
 | 雇用支援策の充実
ア. | 在職精神障害者に対する支援
地域障害者職業センターが行う精神障害者職場復帰支援事業(リワーク事業)をさらに発展させ、総合的な支援を全国各地のセンターで実施するとともに、企業内での復職支援を行うスタッフの配置に対して助成を行うことが考えられる。
また、企業において休職者を対象とした復職支援のためのプログラムを作成することが重要である。 |
イ. | 新規雇用に対する支援
実際に職場において雇用ないしは試行的に雇用される機会が設けられることが重要であり、企業等を委託先とする委託訓練の活用を図り、障害者試行雇用事業のさらなる拡充に努める必要がある。
短時間労働に対する支援の充実も必要であり、実雇用率の算定にあたって、週20時間労働から0.5とカウントするとともに、週15時間労働からの雇用支援策をさらに充実させることが適当である。また、期間を限定し、一定の就職実績等を条件とした上で、常用雇用に移行するための訓練として、グループ就労支援を行うことが適当である。 |
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(2) | 在宅就業等多様な就業形態に対する支援策
 | 在宅就業に対する支援策
ア. | 障害者の在宅就業への発注に対する奨励
障害者の在宅就業に対して事業主が仕事を発注することを奨励するような仕組みを設ける方法としては以下のような選択肢が考えられるが、企業が自ら障害者を雇用する意欲を阻害しないことが適当であり、少なくとも現段階においては外注をもって雇用義務と完全に同等に評価するAの方法を採用することは適当ではなく、雇用義務に準じる根幹的な仕組みである経済的負担の調整の中で位置づけること(B)が適当と考えられる。
A | 一定額以上の外注を一人分の雇用とみなして評価する方法 |
B | 雇用率未達成企業が支払うべき納付金を減額したり、雇用率達成企業等が受け取る調整金、報奨金に加算を行う方法 |
C | 雇用率算定、納付金減額等とは別に何らかの経済的な奨励措置を講じる方法 |
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イ. | 在宅就業支援団体の育成
在宅就業支援団体は在宅就業の市場において有効な機能を果たしているといわれており、事業内容や人員等、一定の要件等を満たす支援団体については、障害者雇用促進法上の位置付けを行うことが適当である。
また、支援団体を全国各地で育成していくことも重要であり、福祉施策との連携を図りながら、新たな支援事業を整備していくことが適当である。 |
ウ. | 在宅勤務の環境整備
企業が在宅勤務障害者の雇用管理、業務管理を行うコーディネーターを配置することについて支援を行うことが適当である。 |
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 | 短時間労働と雇用率
障害者の多様な働き方の選択肢を準備する観点から、短時間労働(週20時間以上30時間未満)の雇用率適用について、フルタイム労働との差異を踏まえつつ、現行の重度の身体障害者、知的障害者のみの特例的な適用から重度以外の身体障害者、知的障害者にも適用し、法定雇用率の算定上にも反映させることが考えられる。 |
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(3) | 地域における協働による障害者雇用の支援
 | 関係機関の連携による福祉施設等から雇用への移行の促進
ハローワークが中心となって、障害者が在籍する福祉施設、地域障害者職業センター等の関係者からなる就業支援のためのチームを各地域に設置し、障害者一人一人を潜在的な可能性も含めて適正に評価した上で、障害者の主体的な職業生活設計を支援する個別的なプログラムを作成して、一般雇用に向けた総合的な支援を行うことが考えられるとともに、障害者が在籍していた福祉施設も参加して十分な定着指導を行っていくことが重要である。 |
 | 工業団地等における障害者雇用の推進
工業団地のような企業密集地において、障害者雇用に理解を有する企業どうしがそれぞれ業務の再編、集約によって仕事を出し合い、障害者の雇用の場を生み出すといった取組みも一つのモデルとして推奨していくことが考えられる。 |
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