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平成17年度 雇用均等・児童家庭局
予算概算要求の概要

次世代育成支援対策の更なる推進と公正かつ多様な働き方の実現

 少子化の流れを変えるため、子どもが心身共に健やかに育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会を構築していく必要がある。
 このため、本年6月に策定された「少子化社会対策大綱」に基づき、政府全体で少子化の流れを変えるための施策を強力に推進することとし、平成16年中に、重点施策の具体的実施計画として、新エンゼルプランに代わる新たなプランを策定することとしている。
 厚生労働省においては、専業主婦家庭の子育て負担感の緩和も含めた地域における子育て支援対策や、児童虐待防止対策の充実を図るとともに、待機児童の解消に向けた取組みを引き続き推進し、これらにあわせて、子育て生活に配慮した働き方の改革を進める。
 また、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇を進める環境整備を行うとともに、男女雇用機会均等の確保など公正な働き方を推進する。


《 主要事項 》

◎ 次世代育成支援対策の更なる推進

 地域における子育て支援対策の充実 3,508億円
 多様な保育サービスの推進 3,443億円
 子育て生活に配慮した働き方の改革 36億円
 児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実 186億円
 子どもの健康の確保と母子保健医療体制等の充実 242億円
 母子家庭等自立支援対策の推進 3,299億円
 施設の運営の充実

 新エンゼルプランに代わる新たなプラン
(新新エンゼルプラン)の策定



◎ 公正かつ多様な働き方の実現

 多様な働き方を選択できる環境整備 20億円
 男女雇用機会均等確保対策の推進 15億円


(雇用均等・児童家庭局予算の状況)

  16年度予算額 17年度概算要求額 伸び率
局合計 10,537億円 11,082億円 5.2 %
 児童福祉関係 10,429億円 10,971億円 5.2%
 (うち 特別会計) 336億円 330億円 ▲1.8%
 
  労働関係 108億円 111億円 2.8%
 (うち 特別会計) 96億円 93億円 ▲3.1%
 
   一般会計 10,105億円 10,659億円 5.5%
   特別会計 432億円 423億円 ▲2.1%


次世代育成支援対策の更なる推進

《 326,842百万円 → 350,833百万円 》
1 地域における子育て支援対策の充実

(1)地域における子育て支援体制の強化

  つどいの広場事業の推進3,175百万円
 子育て中の親子が気軽に集い、相談・交流できる「つどいの広場」について、身近な場所での設置を推進する。
500か所 → 1,000か所

  地域子育て支援センターの整備5,666百万円
 子育てサークルの支援や育児相談を行う地域子育て支援センターの整備を推進する。
3,000か所 → 3,300か所

  育児支援家庭訪問事業の推進2,021百万円
 出産後間もない時期や様々な原因で養育が困難になっている家庭に対して、育児・家事の援助や、具体的な育児に関する技術指導を行うことにより、個々の家庭の抱える養育上の諸問題の解決、軽減を図る事業の実施を着実に推進する。

  乳幼児健康支援一時預かり事業の充実2,214百万円
 保育所に通所中の児童等が、病気回復期のため集団保育が困難となる間、児童の保育所・病院等における一時預かり等の事業を行う。


(2)放課後児童や地域児童のための健全育成事業の充実

  放課後児童クラブの拡充9,746百万円
 ・ 放課後児童の受入れ体制の整備を推進する。
放課後児童クラブ 12,400クラブ → 13,300クラブ
 ・ ボランティア派遣事業の充実
 障害などに関する知識を有したボランティアを派遣して、放課後児童指導員に対する援助を行う事業を従来の事業に追加して実施する。
 ・ 障害児受入環境改善事業の創設
 障害児の受入れに必要な設備の整備や障害児用の遊具・器具等の購入などに必要な経費を助成する。

  児童ふれあい交流促進事業の推進287百万円
 児童館等を活用した中・高校生等が乳幼児と出会いふれあう場づくり、中・高校生の交流の場づくり、絵本の読み聞かせ、親と子の食事セミナー等の事業を実施する。


(3)ファミリー・サポート・センター事業の拡充1,861百万円
 乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、送迎や放課後の預かり等の相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置要件の緩和を図り、設置を促進するとともに、働くひとり親会員が同センターを利用する際に支援を行う。
(本部)355か所 → 395か所


(4)児童手当国庫負担金317,478百万円
  支給対象年齢 小学校第3学年修了前
  手当額 第1子・第2子 5,000円
 第3子以降 10,000円
 ┌
 |
 └
平成16年改正(支給対象年齢を義務教育就学前までから小学校
第3学年修了前までに引上げ。)の満年度化等に伴う所要額を計上





《 345,626百万円 → 344,254百万円 》
2 多様な保育サービスの推進

(1)待機児童解消に向けた保育所の受入れ児童数の拡大31,326百万円

 待機児童の解消を目指し、保育所受入れ児童数を約5万人増やすとともに、施設整備を推進する。


(2)多様な保育サービスの提供

  延長保育の推進32,353百万円
 11時間の開所時間を超えて実施する延長保育を推進する。
13,100か所 → 14,000か所

  一時・特定保育の推進3,348百万円
 専業主婦等の緊急・一時的な保育を行う一時保育及び、保護者の就労形態の多様化などに伴う柔軟な保育を行う特定保育を推進する。
5,000か所 → 7,500か所

  休日・夜間保育の推進416百万円
 保護者の勤務形態による休日や夜間の保育需要に対応するため、休日・夜間保育を推進する。
750か所 → 820か所


(新)(3)総合施設モデル事業の実施551百万円
 就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設については、平成16年度中に基本的な考えを取りまとめた上で、平成17年度中に試行事業を先行実施するなど、必要な法整備を行うことも含め様々な準備を行い、平成18年度から本格実施を行うこととしている。
 このため、平成17年度において総合施設の教育・保育の内容や職員配置、施設設備のあり方に関する検討を行うためのモデル事業を実施する。

モデル施設 30か所



《 2,714百万円  →  3,599百万円 》
3 子育て生活に配慮した働き方の改革

(新)(1)子育てと両立する働き方の実現に向けた地方自治体の取組の推進629百万円
 次世代育成支援対策推進法に基づく都道府県及び市町村行動計画の趣旨に沿って、地域の実情を踏まえ、仕事と家庭の両立や、勤務時間短縮、在宅就業の普及等の働き方の見直しに向けた積極的な取組みを行う地方自治体を支援する。

(2)男性も育児参加できる職場環境の実現464百万円
 改正育児・介護休業法(案)の内容も含め、育児休業制度等の規定整備の徹底を図るとともに、経営トップリーダーからなる有識者会議の開催、モデル的取組を行う企業への支援、地方公共団体等と連携した周知広報等を総合的に展開し、育児休業の取得等、男性が育児参加できる職場環境の実現へ向けた取組を推進する。

(3)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・実施の支援  2,002百万円
 一般事業主行動計画が適切に策定・実施されるように、一般事業主に対する啓発、指導、次世代育成支援対策推進センターの活用等を図るなど、次世代育成支援対策推進法の円滑な施行を図るとともに、育児・介護雇用安定助成金の支給要件を事業主行動計画策定等の取組を反映させたものに見直す。



《 18,068百万円 → 18,550百万円 》
4 児童虐待への対応など
 要保護児童対策等の充実

(1)児童虐待防止対策など児童の保護・支援の充実

  育児支援家庭訪問事業の推進(再掲)2,021百万円

  児童相談所の機能強化 558百万円
 児童相談体制のより一層の充実強化を図るため、新たに夜間休日を問わず対応する「24時間・365日体制整備事業」、「児童福祉司資格取得のための研修」を実施する。
 なお、従来、家庭支援体制緊急整備促進事業で実施してきた「児童虐待対応強化事業」、「潜在保健師研修」及び「児童虐待機関連携強化事業」については廃止する。

  児童福祉施設における被虐待児一時保護委託の促進 15百万円
 一時保護委託された被虐待児にきめ細かな支援を行うため、被虐待児の一時保護委託を受け入れた児童福祉施設に対して、心理的なケア等を行うための経費に充てる加算を創設する。

  児童家庭支援センターの拡充 322百万円
 地域に密着した相談、支援体制を強化するため、虐待や非行等の問題に対し相談に応じる児童家庭支援センターを拡充する。
60か所 → 68か所

  施設の小規模化の推進 2,574百万円
 児童養護施設で実施している小規模グループケアの対象施設を、乳児院、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設まで拡大する。

  里親支援の推進 494百万円
 里親からの求めに応じて援助者を派遣する「里親養育援助事業」、相互の交流により里親自身の養育技術の向上等を図る「里親養育相互援助事業」など里親への支援を推進する。
 また、専門里親への委託対象児童について、従来の被虐待児童のほか、非行等により処遇困難な児童も対象に加える。

  総合的な自立支援の拡充 238百万円
 自立援助ホームのか所数の増を図るとともに、自立援助ホームが行う就労先の開拓や住居の確保等関係機関との対外関係調整について一層の体制整備を図るための対外関係調整事業を推進する。
 児童養護施設等の各施設における入所児童のケアに関する創意工夫、自立に向けた取り組みを反映した事業や早期家庭復帰につながる事業等を支援する、自立促進等事業を推進する。
自立援助ホーム 40か所 → 44か所


(2)配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策等の推進

  配偶者からの暴力への対策1,498百万円
 本年6月に改正された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する 法律」(DV防止法)の円滑な施行のため、婦人相談所、婦人保護施設等にお ける相談・保護等の各種施策の一層の推進を図る。

  DV被害者一時保護委託費の人身取引被害者への対象拡大
 DV被害者に対する民間シェルター等への一時保護委託について、その対象 を人身取引被害者に拡大する。



《 23,514百万円 → 24,155百万円 》
5 子どもの健康の確保と母子保健医療体制等の充実

(1)子どもの健康・医療の確保

  子ども家庭総合研究の推進1,427百万円
 乳幼児の障害の予防、母性並びに乳幼児の健康の保持増進や児童の健全育成等に関する総合的な研究を行うとともに、国民的関心の非常に高い小児医療や児童虐待などの社会的課題及び健やかな子どもの心身の育ちを支援するための研究を行う。
 また、小児疾患について根拠に基づく医療を推進し、効果的な保健医療技術を確立するため、倫理性、科学性及び安全性に留意した質の高い臨床研究等を行うとともに、根拠に基づく医療の推進に不可欠な人材の育成を行う。

  「食育」等の推進60百万円
 食を通じた子どもの健全育成をねらいとした地域における食育に関する先駆的事業の推進を図るとともに、乳幼児栄養調査などを実施する。


(2) 小児慢性特定疾患対策の推進12,843百万円
 小児慢性特定疾患治療研究事業を実施するとともに、日常生活用具の給付を行うなどの福祉サービスを実施する。


(3) 周産期医療体制の充実

  周産期医療ネットワークの整備175百万円
 母胎が危険な妊産婦や低出生体重児に適切な医療を提供するための一般の産科病院等と高次の医療機関との連携体制を確保する。

  総合周産期母子医療センター運営費の拡充779百万円
 高次の周産期医療を提供する総合周産期母子医療センターの安定的な運営に資するため、運営費について支援する。
33か所 → 37か所


(4) 不妊治療に対する支援2,674百万円
 不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、医療保険が適用されず、高額の 医療費がかかる配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成する。



《 311,763百万円 → 329,882百万円 》
6 母子家庭等自立支援対策の推進

(1)母子家庭等の自立のための就業支援

(新)○ 母子家庭の母等に対する職業訓練機会の拡大657百万円
 就労経験がない又は就労経験が乏しい母子家庭の母等に対し、民間教育訓練機関等を利用した幅広い職業訓練を実施し、職業能力開発の機会・効果を向上させ、母子家庭の就業支援を推進する。

 母子家庭等就業・自立支援センター事業の推進832百万円
 母子家庭の母等に対して、就業相談から就業支援講習会の実施、就業情報の提供など一貫した就業支援サービスや養育費の相談など生活支援サービスを提供する母子家庭等就業・自立支援センター事業の定着・推進を図る。


(2)母子家庭等の子育てと生活の支援の推進2,750百万円
子育てと生活支援策として日常生活事業等の着実な推進を図る。
母子生活支援施設における支援の推進
小規模分園型母子生活支援施設の整備(事項要求)


(3)自立を促進するための経済的支援

  母子寡婦福祉貸付金の充実5,110百万円
 技能習得資金の据置期間の延長等、母の就業に係る貸付金の改善及び就学支度資金の貸付限度額の引上げにより、母子寡婦福祉貸付金の充実を図る。

  児童扶養手当319,741百万円
 平成16年の消費者物価の下落分(マイナス0.2%)の児童扶養手当額の改定を行う。
  (平成17年4月実施)



《 339,412百万円 → 350,698百万円 》
7 施設の運営の充実

  保育所の受入れ児童数の拡大(再掲)

  事務職員雇上費加算の対象施設の拡大(10月実施)
  特別保育事業等実施保育所  定員61人以上 → 46人以上

  児童福祉施設における被虐待児一時保護委託の促進(再掲)

  施設の小規模化の推進(再掲)

  入所児童処遇費の改善
  里親手当、就職支度費等の改善

  里親支援の推進(再掲)

  DV被害者一時保護委託費の人身取引被害者への対象拡大(再掲)


公正かつ多様な働き方の実現

《 2,126百万円  →  2,036百万円 》
1  多様な働き方を選択できる環境整備

(1) パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の推進493百万円

 企業におけるパートタイム労働者と正社員との間の均衡処遇を進めるため、均衡処遇の確保に向けた先駆的な取組を行おうとする事業主に対し、均衡処遇に向けた相談等を行うコンサルタントの派遣を拡大する。


(2) 在宅就業対策の推進68百万円

 在宅就業者を支援するため、eラーニングによる能力開発の修了段階における知識・技術の到達度や仕事の適性等を自己確認できるような能力評価システムを開発するとともに、各種情報提供、相談援助を行う。


(3) 多様就業型ワークシェアリングの普及促進208百万円

 多様な働き方の選択肢を拡大するため、短時間正社員制度等の導入に向けたモデルの開発を進めるとともに、多様就業型ワークシェアリングに関する普及啓発を行う。



《 1,524百万円  →  1,454百万円 》
2 男女雇用機会均等確保対策の推進

(1) 実質的な均等取扱いを確保するための積極的な行政指導の展開及び均等施策の更なる推進に向けた検討  334百万円

 男女雇用機会均等法の適正な施行に努めるとともに、いわゆる「コース別雇用管理」制度の適正な運用に向けた周知徹底と行政指導の一層の強化を図る。

 また、男女雇用機会均等政策研究会報告を受け、男女双方に対する差別の禁止や妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの問題への対応等、均等施策の更なる推進に向けた検討を行う。


(2) ポジティブ・アクションの促進790百万円

 個々の企業がポジティブ・アクション(女性の能力発揮促進のための企業の積極的取組)を推進するための目標を設定する際に活用できるベンチマーク(自社の状況を知ることができるものさしとなる値)の提供や企業における取組の具体的なノウハウを提供するセミナー等を開催するとともに、経営者団体と連携して協議会を開催すること等により、ポジティブ・アクションの一層の促進を図る。


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