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資料IV

企業ヒアリングにおける質問事項に対する回答(エイブリック)


●質問項目

(1)「大卒である以上、一流企業」という期待値の調整をどのように行っているのか。

採用の決定した事例で相場観・実現可能性を話し期待値調整する。
大手企業求人の必要とされる経験・能力を求人票・事例をベースに話しリアリティを持ってもらう。
大手企業の人事担当に置き換えて実際のところを考えてもらう。
ご本人に実際に何社か受けてもらって現実の採用条件や相場観をご自身で経験してもらう。

解説)
 これは、新卒の大学生の場合も同じ。就職活動初期(3年の2〜3月)くらいは、ソニー、NTT、ホンダ、トヨタなどしか学生は見向きもしません。ただ、5社程度落ち、そのうえ、時間が過ぎると、切迫度が増し、自然と市場がわかってきます。ただ、ここで問題が発生。「超一流」はあきらめても、一流企業はいくらでもあるのです。ところが、新卒も社会人も、企業としてイメージがつくのは20社程度、名前・事業がわかる程度でも100社程度。世の中の良い企業がわからないのです。自己の転職活動だと、知っている企業を全部受けて、そこでさてどうする、となるのですが、人材紹介業だと、あなたは知らないけど、けっこういい企業、というのを根拠をもって説明できるところが良いのだと思います。他のやり方だと、大半は何も説明されないから、知っている企業を受けた後は、無味乾燥とした膨大な企業の山しか目の前に現れず、求職者はどうしようもなくなるのでしょう。ようは、どういう軸で本人が良いと思うのか、を理解し、それにそって、文字ではなくわかりやすく口で説明することが、期待値調整につながります。質問から推測すると、「一流企業なんて高望みせず、その辺の零細企業に行きなさい」という形の紹介が成り立つかという意図を感じますが、これはかなり難易度が高いと思われます。ある程度の一流企業へ、特に本人の希望とかなう企業へいざなう、と言うのが限界です。

(2)小売業でのアルバイトを取り上げた場合、どのようなアルバイト経験(仕事の内容、店長代行などの役職、経験など)であれば、次のキャリアに移行する際に企業から評価されるのか。

人材バンクではあまり販売・サービス業に紹介実績がありません。バンクに来るような求人は、販売サービス系でもかなりスペックが厳しく、「同業同規模で、店長職を経験している人。とりわけ、店舗の開店立ち上げをした人」といった詳細の指定を受けます。同業同職同規模というのが、一つの「売れる経験」だと思われます。
ただ、こういう上流求人ではなく、20代前半の単なる販売や店員といった求人であれば、
接客経験がある
アルバイトやパートの管理経験がある
同業もしくは類似業での経験がある
程度で十分、差別化できると思われます。ただ20台後半だと、これだけではつらいかもしれません。


(3)「能力の高い人材」の転職を支援しているようだが、企業がそのような中途採用を行う主な理由はどのようなものか。

まず、「能力の高い人材」の要件定義が必要です。
「能力の高い人材」=国公立、有名私大出身・ハイテクエンジニア・エグゼクティブだけではありません。もっと、幅広く設定した(ご経験・ご経歴・能力・人物タイプ等々)中でのそれぞれの企業ニーズに合った「能力の高い人材」を定義し支援します。

質問にお答えする前に、転職市場の中身について簡単にご説明しておきますと
転職人口は年間330万人強といわれますが、これを40歳未満の大卒ホワイトカラーに限定すると、わずか18万人前後になってしまいます。仮に、これが偏差値正規分布で見てみると、偏差値50以上の人は9万人。一方、日本全国の200万ある法人のうち、「普通の大卒社会人を中途採用したい企業」というのはものすごく多くあります。こういう意味で、人材が需給が逼迫しているのです。更に少子化の影響がその現状を押し上げ始めているのも事実です。

求人企業に保有できていない能力を持った人材を新たに採用したい、または更に強化する為に採用したいという背景があります。
(1)製品サイクルの短期化による (2)ビジネスモデルの変更による (3)事業フィールドの拡大による (4)経営課題解決による (5)組織風土の変革推進による (6)過去の景気変動による採用ストップ世代の補充による (7)マネージメント強化(チェンジマネージメント等) 等々、各企業の抱える状況によって「能力の高い人材」ニーズと「能力の高さ」の定義が変わってきます。


(4)企業が仲介を求めている「能力の高い人材」とはどのような人材か。
職種・経験分野を問わずに共通する傾向はあるのか。

一般的に企業が仲介を求めている「能力の高い人材」とはどのような人材か。職種・経験分野を問わずに共通する傾向はあるのか。という意味で絞ると、以下のとおりが一般的です。
(1).学歴が良い
(2).経験企業の中身が良い
(3).転職経験が少ない
(4).転職間にブランクがない。
(5).経験分野・経験年数
このような条件で20代なら、どこでも決まる「能力の高い人」です。

一般に言われる、ポーダブルスキルとかパーソナルコア・コンピタンスとかは、確かに面接時点以降で、けっこう決め手になる場合がありますが、何よりも(1)〜(5)の面で余りにも大きく外れる場合は、書類通過しないので、次善の能力と思われます。

さて、面接以降で強みとなるポータブルスキル(パーソナルコアコンピタンス)ですが、(1)コミュニケーション力(2)課題設定・解決力 (3)主体性 (4)ストレス耐性 (5)誠実さ等々を面接で重要視する企業が一般的です。


(5)転職希望者の能力を把握して仲介を行う場合、いわゆる「行動特性」のようなものはどの程度重要か。また、それはどのように把握しているのか。
新卒採用ではSPIの試験・適正検査などが採用基準によって利用される例が多いようだが、転職希望者にも何らかのテストを行うことが評価の上で有効なのか。

コンピテンシー(行動特性)については、重要度が最高ではありません。
●一番が前項の学歴・経験企業・経験年数・転職少・ブランク小、●二番が、経験職務(詳細内容まで見ます)、●三番が資質、●コンピテンシー(行動特性)は4番目以降になるでしょう。

経験職務は、そのような経験をうまくこなせた、という意味でコンピテンシーの明示尺度となりうるため、コンピテンシー代替要素でもあります。ただ、この場合のコンピテンシーは一般の「行動特性」というよりも、たとえば、業界作法を心得た上での根回し、とか、職務ローカルでの煩雑行為への忍耐、といった、限定的に発現される能力が主体を占めるはずです。
経験がもう一つ意味を持つのは、そのような経験をうまくこなせたということは、当然、それに必要なナレッジやスキルを持っている、と判断されるからです。ナレッジとスキルの明示尺度となりうるわけです。

コンピテンシーは再現性が非常に乏しい部分があります。今いる会社・業界・地位などのバックグランドがあって、初めて発現するコンピテンシーがかなり多いため、会社が変わるとただの人、になるケースが見られるからです。また、似たような意味で、表面上同じに見えるコンピテンシーでも、条件設定が違う場合、発現内容は異なる、と考えられるためです。たとえば、「顧客のニーズをつかみ、的確な企画提案を行う」能力を考えた場合でも、顧客が官公庁の営業マンと、50代主婦を相手にするセールスマンではまるで、企画提案の仕方が異なる訳です。官公庁営業で鳴らしたの「顧客への提案能力」が50代主婦相手に通用するなどとは限らないのです。

その人の「経験の分類(構造化)」が「経験ベースの類似求人案件」(ある一定の共通した環境や業態)によって強みの再現性を発揮できる。
 ex営業職 「取扱商品」が小額高額 「顧客」が新規既存 「営業形態」が新規中心固定 「顧客」が法人個人 の様に過去の経験した業態や特性で身に付けた経験・能力が、類似した環境では再現されやすいともいえます。こうした場合、コンピテンシーよりも、より似た環境でのマッチングという方がキーになりうるわけです。そこで、私たちが力説しているのが、「コンピテンシー」ではなく「経験の分類(構造化)」そして、「経験ベースでの類似案件マッチング」なのです。
ハウスメーカーの営業マンが医薬のMRで転職。
旅行業界から学習教材業界へ(「個人向け・若者向け・単発・短期・単独型」という同類経験要素)


(6)非正規(非典型)型の社員への対処はどのようなものか。

日本社会では、非正規なハイパー従業者、アメリカでいうところのインデペンデントコントラクターやPEOなどがまだ未成熟です。そのため、ほとんど人材バンクでは紹介ができておりません。異なるわけです。

徐々に常用目的型雇用(一旦、非正規入社⇒正規社員へ)が増え始めている実感が・・・。
ex.(1)50代のアナログの開発エンジニア (2)50代の幹部候補 (3)営業・販売系の職種  (4)専門性の高い職種
金型のエンジニア55才契約社員入社 ・営業有期限定社員化

受け入れ側のマネージメントにも課題が
非正規型社員へのモチベーション醸成がうまくできず、返って生産性を落としたケース
定型業務が業界によってはコア業務であり、非正規社員にして顧客満足度や生産性・収益性を下げたケース


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