(案)
薬食発第    号
平成16年 月 日


各都道府県知事 殿


厚生労働省医薬食品局長


血小板製剤の使用適正化の推進及び「輸血療法の実施に関する指針」の一部改正について


 血液事業の推進については、平素より格別の御高配を賜っているところである。
 さて、これまで、血小板製剤の使用については、「血小板製剤の使用適正化の推進について」(平成6年7月11日付け薬発第638号貴職あて厚生省薬務局長通知。以下「第638号通知」という。)により、血小板製剤の適正使用について御配慮をお願いしており、また、輸血療法の適正化については、「血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針について」(平成11年6月10日付け医薬発第715号貴職あて厚生省医薬安全局長通知。以下「第715号通知」という。)において、同通知別添2「輸血療法の実施に関する指針」の周知徹底をお願いしてきたところである。
 今般、これらの内容を見直し、血小板製剤の使用については、白血球除去に関する取扱いを下記のとおりとするとともに、輸血療法の適正化については、「輸血療法の実施に関する指針」の一部を改正することとしたので、改正の趣旨等について御理解の上、貴管下医療機関等に対し周知徹底願いたい。

一 血小板製剤の白血球除去について
 趣旨
 日本赤十字社では、かねてより輸血副作用の予防の一環として保存前白血球除去の取組を進めてきたところであるが、今般、成分採血由来の血小板製剤については、採血時に白血球除去を行うことが可能な成分採血装置への切り替えが完了する見通しとなった。これを踏まえ、第638号通知別添「血小板製剤の適正使用について」において推奨してきた白血球除去フィルターの使用について、取扱いの見直しを行ったものである。
 新たな取扱いの内容
 平成16年12月1日以降、血小板製剤の使用に当たっては、第638号通知別添「血小板製剤の適正使用について」4の2)のdの(2)の記載に関わらず、白血球除去フィルターの使用は推奨しないこととする。

二 「輸血医療の実施に関する指針」について
 趣旨
 厚生労働省では、平成16年7月、より安全・安心な輸血医療が行われることを目指し「輸血医療の安全性確保のための総合対策」を取りまとめた。同対策では、輸血前後の感染症マーカー検査の在り方について検討を行うこととしているが、今般、当該検討の結果がまとまったことから「輸血医療の実施に関する指針」を見直し、所要の改正を行ったものである(別添参照)。
 改正の内容
 「輸血医療の実施に関する指針」(平成11年6月10日付け医薬発第715号貴職あて厚生省医薬安全局長通知別添2)の一部を次のように改正する。
 VIIIの4及び5を次のように改める。
4.輸血後肝炎
 本症は早ければ輸血後2〜3ヵ月以内に、肝炎の臨床症状あるいは肝機能の異常所見を把握できなくても、肝炎ウイルスに感染していることが診断される場合がある。特に供血者がウインドウ期にあることによる感染が問題となる。このような感染の有無を見るとともに、早期治療を図るため、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合などには、別表のとおり、肝炎ウイルス関連マーカー検査等を行う必要がある。
(別表)
  輸血前検査 輸血後検査
B型肝炎 HBs抗原
HBs抗体
HBc抗体
核酸増幅検査(NAT)
(輸血前検査の結果がいずれも陰性の場合、輸血の3ヵ月後に実施)
C型肝炎 HCV抗体
HCVコア抗原
HCVコア抗原検査
(輸血前検査の結果がいずれも陰性の場合又は感染既往と判断された場合、輸血の1〜3ヵ月後に実施。
5.ヒト免疫不全ウイルス感染
 後天性免疫不全症候群(エイズ)の起因ウイルス(HIV)感染では、感染後2〜8週で、一部の感染者では抗体の出現に先んじて一過性の感冒様症状が現れることがあるが、多くは無症状に経過して、以後年余にわたり無症候性に経過する。特に供血者がウインドウ期にある場合の感染が問題となる。受血者(患者)の感染の有無を確認するために、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合などには、輸血前にHIV抗体検査を行い、その結果が陰性であれば、輸血後2〜3ヵ月以降に抗体検査を行う必要がある。

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