血小板製剤に係る保存前白血球除去の実施について


 <導入スケジュール等>
 日本赤十字社では、かねてより準備を進めてきた成分採血由来の血小板製剤(一般名:人血小板濃厚液)について、本年7月1日から、白血球数の低減化が全く期待できない機種、及び白血球除去フィルターが装着されていないため白血球低減化に対応できない採血キットを用いた採血を中止した。なお、本年10月下旬を目途に白血球数低減化が可能とされている成分採血装置又は採血キットを用いて採取したものへの切り替えを完了する予定である。


 <自主基準の設定>
 血小板製剤1バッグ中の残存白血球数の基準は、平成15年4月23日の薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会において示された1×10個以下とし、生物学的製剤基準が改正されるまでの間は、日本赤十字社の自主基準として白血球数に関する品質管理を行ってゆくこととしたい。導入にて工程のバリデーションを行い、必要な場合は成分採血装置の再調整等を実施する。また、導入後は出荷前の全数検査は行わず、抜取り試験により白血球数を測定して統計学的に解析し、基準に適合しているかどうかを判定する。

 なお、バリデーションの状況は以下のとおりである(平成16年8月30日現在)。
 (1) 白血球除去フィルター付き採血キットが必要な成分採血装置(4機種)
 4機種全てのバリデーションは全て終了した。
 各機種とも≦1×10の検体が99%以上であった(適合率…機種A-1:99.3%、機種A-2:99.7%、機種A-3:100%、機種A-4:100%)。
 (2) 白血球除去フィルターがなくても白血球数低減化が可能とされている成分採血装置(3機種)
 2機種(機種B-1及び機種B-2)について、7月30日現在設置されている機台についてはバリデーションは終了しており、両機種とも≦1×10の検体が99%以上であった(適合率…機種B-1:99.7%、機種B-2:99.8%)。なお、8月以降に新規設置した機台については、現在、バリデーションを実施中である。
 1機種(機種B-3)については、採血キットの不具合による度重なる回収により、現在、当該機種を用いた採血を行うことができないため、バリデーション作業を中断している。


 <添付文書の改訂>
 血小板製剤への保存前白血球除去の導入に伴い、血小板製剤の添付文書を改訂し、血小板製剤の使用基準(平成6年7月11日薬発第638号厚生省薬務局長通知)等に従ったベッドサイドフィルター使用の推奨等に関する使用上の注意事項について10月下旬を目途に削除する。


 <1,2単位の休止及び小分けの実施>
 1、2単位の血小板製剤については、現在、全血採血由来で製造しているが、今後導入を予定している全血採血由来製剤の保存前白血球除去を行う際には、血小板が白血球とともに白血球除去フィルターに吸着されてしまうため全血採血由来で製造することが出来なくなることを踏まえるとともに、日本未熟児新生児学会の意見を踏まえ、さらに適正使用の推進の観点からも成分採血血小板からの小分け製造を推進していきたいと考えるが、必要な整備や制度上の問題が解決されるまでの間は、1、2単位の血小板製剤の供給を一時休止する。

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