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資料番号
No.2−2

採石業労働災害防止規程の設定について


1.背景・趣旨

(1) 労働災害防止規程(以下「災防規程」という。)は、労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号。以下「団体法」という。)第36条第1項第1号の規定に基づき、労働災害防止協会(以下「協会」という。)が自主的な労働災害防止活動を行うことを目的として設定するものであり、団体法第41条第1項の規定により協会の会員に対して当該規程の遵守義務が課せられている。各協会は、業種別に事業の実態に応じて、労働安全衛生関係法令で定める基準以上のきめ細かい具体的な基準を設定することにより、労働災害防止の徹底を図っているところである。また、この災防規程の設定については、厚生労働大臣の認可を受けなければ効力を生じないこととされており(団体法第38条第1項)、厚生労働大臣は認可に係る処分を行おうとするときは、労働政策審議会の意見を聞かなければならないこととされている(同条第4項)。
(2) 鉱業労働災害防止協会(設立昭和39年10月。以下「鉱災防」という。)は、定款において会員資格を鉱業法に基づく鉱業権者及び鉱業権者の団体に限定していたが、近年の鉱山労働者以外における労災死傷者数の状況等を鑑みて、平成15年3月に定款変更を行い、採石法に基づく採石業者及び採石業者の団体についても新たに鉱災防に加入することとなった。このため、採石業に係る災防規程の設定の必要が生じ、関係労働者を代表する者及び学識経験者から意見を聴取し、実態に即して、よくとりまとめられており、内容に異存はないとの報告を受けた後、鉱災防の通常総会においての全会一致の可決を経た上で、今回、鉱災防から厚生労働大臣あてに災防規程の設定の申請がなされたものである。

2.主な内容
 (1)安全衛生管理体制の整備
 (2)労働安全衛生マネジメントシステム等の導入
 (3)安全衛生教育の実施
 (4)健康の保持増進のための措置
 (5)快適な職場環境の形成のための措置
 (6)採石業に係る労働災害の防止のための措置
 (7)環境保全及び公害防止のための措置
 (8)その他所要の整備

3.認可日
労働政策審議会の答申後、遅滞なく

4.適用日
認可日から起算して90日を経過した日(予定)


鉱業労働災害防止協会の概要


1 設立年月日 昭和39年10月1日

2 目的鉱業権者及び鉱業権者の団体並びに採石業者及び採石業者の団体による自主的な労働災害防止活動を促進するための措置を講じ、もって労働災害の防止に寄与する。

3 設立の根拠労働災害防止団体法(昭和39年6月29日法律第118号)

4 所在地東京都港区芝5−35−1(産業安全会館内)

5 会員210 団体

6 代表者会長  西川 章(三菱マテリアル(株)代表取締役会長)

7 役職員役員   2名
職員  19名(平成16年度)

8 組織本部部門(3部)

9 事業の概要
(1)技術的な事項について指導及び援助を行うこと。
(2)機械及び器具について試験及び検査を行うこと。
(3)労働者の技能に関する講習を行うこと。
(4)情報及び資料を収集し、提供すること。
(5)調査及び広報を行うこと。
(6)安全衛生物品の普及を図ること。


採石業の概要


 採石業について

 採石業とは、岩石の採取の事業をいい、「当該岩石の採取を行う場 所で当該岩石の採取に付随して行う岩石の破砕及び破砕した岩石の洗 浄を含む」ものとされている(採石法第10条第1項3号)。

 採石業において採取等の対象となる「岩石」は、花こう岩等(採石法第2条)をいい、鉱業権者に係る金鉱、石炭等の「鉱物」(鉱業法第3条)とは異なる。
 なお、鉱業労働災害防止協会の「鉱業」には鉱業法の鉱業のほか採石業も含まれる。


 採石業における労働者数及び死傷者数

労働者数  14,995人(平成15年度末)
死傷者数  208人(平成15年)

(参考)鉱業全体(採石業を含む。)
労働者数  34,357人(平成15年度末)
死傷者数  669人(平成15年)


(参考)

採石業における労働者死傷者数(過去10年)

  平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
採石業(死傷者数) 356 342 300 336 335 267 266 245 248 200 208
採石業(死亡者数) 17 16 7 17 17 11 18 15 15 13 6
※資料出所:平成11年までは「労働者災害統計年報」、平成12年からは「労働者死傷病報告」


図


採石業における事故の型別労働者死傷者数(過去3年)

事故型




墜落

転落
転倒 激突 飛来

落下
崩壊

倒壊
激突され はさまれ

巻き込まれ
切れ

こすれ
踏み抜き おぼれ 高温

低温の物との接触
有害物等との接触 感電 爆発 破裂 火災 交通事故(道路) 交通事故(その他) 動作の反動

無理な動作
その他 分類不能
平成12年 57 (1) 20 (0) 9 (0) 32 (2) 15 (3) 13 (0) 66 (7) 5 (0) 0 (0) 0 (0) 5 (0) 0 (0) 1 (1) 0 (0) 2 (0) 1 (0) 4 (1) 0 (0) 13 (0) 2 (0) 0 (0) 245 (15)
平成13年 57 (1) 20 (0) 9 (0) 32 (2) 15 (3) 13 (0) 66 (7) 5 (0) 0 (0) 0 (0) 5 (0) 0 (0) 1 (1) 0 (0) 2 (0) 1 (0) 4 (1) 0 (0) 13 (0) 2 (0) 0 (0) 245 (15)
平成14年 44 (5) 18 (1) 20 (0) 29 (1) 11 (4) 15 (0) 40 (1) 8 (1) 0 (0) 0 (0) 1 (0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 1 (0) 0 (0) 0 (0) 2 (0) 10 (0) 1 (0) 0 (0) 200 (13)
平成15年 55 (2) 19 (0) 13 (0) 23 (0) 11 (2) 17 (0) 51 (2) 1 (0) 1 (0) 0 (0) 4 (0) 1 (0) 0 (0) 0 (0) 2 (0) 0 (0) 1 (0) 0 (0) 8 (0) 1 (0) 0 (0) 208 (6)
資料出所:「労働者死傷病報告」
( )内数は死亡者数(内数)



採石業における起因物別労働者死傷者数(過去3年)

起因物




原動機 動力伝導機構 木材加工用機械 建設用機械 金属加工用機械 一般動力機械 動力クレーン等 動力運搬機 乗物 圧力容器 化学設備 溶接装置 炉、窯等 電気設備 人力機械工具等 用具 その他の装置、設備 仮設物、建築物、構築物等 危険物、有害物等 材料 環境等 その他の起因物 起因物なし 分類不能
平成12年 0 (0) 4 (0) 3 (0) 28 (3) 2 (0) 19 (4) 5 (0) 67 (2) 3 (0) 0 (0) 0 (0) 1 (0) 0 (0) 2 (1) 7 (0) 4 (0) 6 (1) 26 (0) 3 (0) 24 (0) 4 (0) 30 (4) 1 (0) 6 (0) 0 (0) 245 (15)
平成13年 0 (0) 4 (0) 0 (0) 48 (5) 2 (0) 23 (1) 6 (0) 56 (3) 2 (0) 0 (0) 0 (0) 1 (1) 0 (0) 1 (0) 10 (0) 9 (1) 3 (0) 28 (1) 2 (0) 21 (0) 3 (0) 24 (3) 1 (0) 4 (0) 0 (0) 248 (15)
平成14年 0 (0) 4 (0) 3 (0) 22 (5) 2 (0) 10 (1) 6 (0) 45 (2) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 1 (0) 0 (0) 0 (0) 9 (0) 12 (0) 6 (0) 19 (0) 0 (0) 34 (0) 0 (0) 21 (5) 2 (0) 4 (0) 0 (0) 200 (13)
平成15年 0 (0) 3 (0) 1 (0) 23 (1) 1 (0) 11 (0) 2 (0) 55 (3) 5 (0) 0 (0) 0 (0) 1 (0) 0 (0) 0 (0) 4 (0) 11 (0) 9 (0) 26 (0) 2 (0) 22 (0) 3 (0) 23 (2) 0 (0) 6 (0) 0 (0) 208 (6)
資料出所:「労働者死傷病報告」
( )内数は死亡者数(内数)


    採石業労働災害防止規程 参照条文

○ 労働災害防止団体法(昭和三十九年法律第百十八号)(抄)

(業務)
三十六条 協会は、次の業務を行なうものとする。
 労働災害防止規程を設定すること。
 (略)
〜4 (略)

(労働災害防止規程)
三十七条 労働災害防止規程には、次の事項を定めるものとする。
 適用範囲に関する事項
 労働災害の防止に関し、機械、器具その他の設備、作業の実施方法等について講ずべき具体的な措置に関する事項
 前号の事項の実施を確保するための措置に関する事項
 協会が労働災害防止規程に違反した会員に対する制裁の定めをする場合には、これに関する事項は、労働災害防止規程に定めなければならない。

(労働災害防止規程の認可)
三十八条 労働災害防止規程は、厚生労働大臣の認可を受けなければその効力を生じない。その変更についても、同様とする。
 厚生労働大臣は、前項の認可の申請に係る労働災害防止規程が次の各号のいずれにも適合すると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。
 内容が法令に違反しないこと。
 設定又は変更の手続が法令及び定款に違反しないこと。
 不当に差別的でないこと。
 労働者の利益を不当に害するおそれがないこと。
 (略)
 厚生労働大臣は、第一項の認可に関する処分又は前項の規定による変更の命令若しくは認可の取消しをしようとするときは、労働政策審議会の意見を聞かなければならない。

(関係労働者等の意見の聴取)
四十条 協会は、労働災害防止規程を設定しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、関係労働者を代表する者及び労働災害の防止に関し学識経験がある者の意見を聞かなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。

(会員の順守義務等)
四十一条 会員は、労働災害防止規程を守らなければならない。
・3 (略)

(適用除外)
五十八条 (略)
 第二章(労働災害防止規程に係る部分に限る。)の規定は、鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第二条第二項及び第四項の規定による鉱山における保安(衛生に関する通気及び災害時の救護を含む。)に関しては、適用しない。
 (略)


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