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資料7

厚生労働省ホームページ掲載資料

「痴呆」に替わる用語に関するご意見の募集について

平成16年9月 日
厚生労働省老健局

I 趣旨

 厚生労働省では、「痴呆」という用語には侮蔑的な意味合いが含まれていること等から、これに替わる用語を検討するとともに、併せて、「痴呆」に係る誤解や偏見をなくす一助となることを目的として、『「痴呆」に替わる用語に関する検討会』を設置し、検討を進めています。
 「痴呆」に替わる用語については、広く国民や関係者の方々のご意見やお考えを伺いながら結論を得ていくべきものとの考えから、ご意見等を募集いたします。
 皆様方からいただいたご意見等については、『「痴呆」に替わる用語に関する検討会』での議論において活用させていただきます。


II これまでの検討会での検討状況

 『「痴呆」に替わる用語に関する検討会』では、これまで用語変更の必要性や新しい用語の要件などについて議論されてきました。議論の結果、整理された内容を紹介します。

  痴呆という用語の変更の必要性

  (1) 高齢者の尊厳に欠く表現であること。
 「痴」には「おろかなこと、ばか」という意味があり、また、「呆」には「おろかなこと、あきれる、あっけにとられる」という意味がある。「痴呆」という用語そのものは、「あほう」という意味から由来しており、「痴呆」と呼ばれる高齢者に対する尊厳やいたわりを欠く表現である。
 また、当事者本人や家族にとっては苦痛を感じたり、より一層不安にさせられる表現である。
 さらに、介護の現場においては、本人なりの生活の仕方や潜在する能力を極力大切にし、本人の人格を尊重してその人らしさを支えることを基本とする方向で取り組みが進んできており、こうした新しい「痴呆ケア」の基本的な理念になじまない表現である。

<「痴呆」という用語について>
 (1) おろかなこと。
 (2) 精神病理学で、獲得した社会生活を営むために必要な精神的能力が、持続的・本質的に失われる状態をいう。

<「痴」という文字について>
 ○ 物事を考え判断する力がたりないこと。おろかなこと。ばか。あほう。しれもの。

<「呆」という文字について>
 ○ おろか。あきれる。

(日本国語大辞典(第2版)(小学館))

  (2) 「痴呆」の状態や症状について、誤解を招く表現であること。
 「痴呆」という用語は、「痴呆」になると「なにもわからない」、「なにもできない」状態になるという誤解を生じさせる一因となっている。こうした誤解があるために、本人が抱いている不安や焦りの気持ちを周囲が理解することの妨げとなっており、本人ができることまで周囲がやってしまい本人の能力を更に低下させることにつながっている。

  (3) 痴呆の診断や予防が進みにくいという弊害があること。
 「痴呆」という用語は、「痴呆」と判断されることに対する恐怖心や恥ずかしさを感じさせ、このことが痴呆の早期診断や痴呆予防教室への参加が進まない一因となっている。

  代替用語の要件について

  (1) 一般の人々にわかりやすく、できれば短いこと。

  (2) 不快感や侮蔑感を感じさせたり、気持ちを暗くさせたりしないこと。

  (3) 「痴呆」と同一の概念をあらわすものであることについて疑義を生じさせず、混乱なく通用すること。
 なお、「痴呆」の内容を正確にあらわし、他の疾病や状態と明確に区別できることは望ましいことではあるが、(1)ないし(2)のメリットのためには、正確性はある程度犠牲にされてもやむを得ないこと。


III ご意見募集

 「痴呆」という用語について、どのようにお考え、またはお感じですか。(1)、(2)それぞれの場合についておたずねします。

(1) 一般的な用語や行政用語として使用される場合
(1) 不快感や軽蔑した感じを伴う。
(2) 不快感や軽蔑した感じを特に感じない。
(3) わからない。

(2) 病院等で診断名や疾病名として使用される場合
(1) 不快感や軽蔑した感じを伴う。
(2) 不快感や軽蔑した感じを特に感じない。
(3) わからない。

 上記1の(1)、(2)のいずれか、または両方で(1)を選んだ方にお伺いします。

(1) 痴呆の本質・特徴は、「記憶、認識、理解、思考、判断、言語、学習、計算などの知的な面での障害(「認知障害」と呼ばれています。)により、社会生活や職業上の活動に支障を来す状態・症状である」と言えます。こうしたことから、「痴呆」を「認知障害」や「認知症」と呼び替えることが考えられます。このことについてどうお感じですか。

(1) 「認知障害」がよい。
(2) 「認知症」がよい。
(3) 「痴呆」の方がまだましである。
(4) わからない。どれとも言えない。

(2) また、痴呆の特徴として「記憶障害」を伴うことや、最も多い症例は「アルツハイマー型痴呆」であることが挙げられます(「アルツハイマー」は人名です)。したがって、こうした特徴を踏まえて、「記 憶 症」や「もの忘れ症」、「アルツハイマー症」と呼び替える案も考えられます。「認知障害」・「認知症」も含めておたずねします。お一つお選び下さい。

(1) 「認知障害」または「認知症」がよい。
(2) 「記憶症」がよい。
(3) 「もの忘れ症」がよい。
(4) 「アルツハイマー症」がよい。
(5) 「痴呆」の方がまだましである。
(6) わからない。どれとも言えない

(3) 上記の候補以外に、「痴呆」に替わる良い用語のお考えがありましたら、ご記入願います。
(                                    )



IV 提出先
 (1)電子メールの場合
(1) アドレス …………@mhlw.go.jp
(2) テキスト形式、又はファイルを添付する場合は、Word(2000年版以前のバージョン)、一太郎(バージョン11以前のバージョン)のいずれかによりお願いいたします。

 (2)郵便の場合
〒100−8916
厚生労働省 老健局 痴呆対策推進室 あて

 (3)FAXの場合
03−3595−3670
厚生労働省 老健局 痴呆対策推進室 あて

 (4)意見の提出上の注意
(1) ご意見は、日本語でお願いします。
(2) ご意見には、必ず『痴呆に替わる用語に関する意見』と明記してください。
(3) 個人の場合は、氏名、性別、年齢、住所を記載してください。
(4) 法人の場合は、法人名、所在地、担当者名を記載してください。
(5) 電話でのご意見は、お受けできませんのでご了承願います。


V 意見の提出締切日
 平成16年10月 日( )(必着)


VI その他
 『「痴呆」に替わる用語に関する検討会』において配布した資料等は厚生労働省ホームページ「https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0621-5.html」から入手できます。



(参考)

「痴呆」に替わる用語に関する検討会員名簿

(五十音順・敬称略)
氏名役職
 いべ   としこ
井部 俊子
聖路加看護大学長
たかく ふみまろ
高久 史麿
自治医科大学長・日本医学会長
 たかしま としお
高島 俊男
エッセイスト
 たつの  かずお
辰濃 和男
日本エッセイスト・クラブ専務理事
 のなか  ひろし
野中  博
日本医師会常任理事
 はせがわ  かずお
長谷川 和夫
高齢者痴呆介護研究・研修東京センター長
聖マリアンナ医科大学理事長
 ほった  つとむ
堀田  力
さわやか福祉財団理事長
(注)◎:座長



厚生労働省老健局計画課
痴呆対策推進室痴呆対策係
(内線)3868・3869


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