04/08/26 医療情報ネットワーク基盤検討会 第11回議事録            第11回医療情報ネットワーク基盤検討会                      日時 平成16年8月26日(木)                         15:00〜                      場所 厚生労働省 5階共用第7会議室 ○本補佐  それでは「第11回医療情報ネットワーク基盤検討会」を開催いたします。現在、座 長が遅れておりますが、まず資料確認などの必要なことは事務局で進めておき、その後 審議等に入りたいと思います。最初に新村室長にご挨拶をお願いします。 ○新村室長  本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本検討会は、昨年の6 月に設置されて以来、委員の皆様方には1年余りにわたり熱心にご検討をいただきまし てありがとうございます。当初より、本年夏ごろまでには検討会としての結論を出すこ とを目標にしてきたところです。本日は本検討会としての最終報告(案)を用意いたし ましたので、これについてご審議をお願いします。  この報告(案)は、先週開かれた合同作業班でのご議論も踏まえて作成したものです が、事務局としての案です。なお、電子保存・外部保存ガイドライン及びPKI認証局 共通ポリシーについては、それぞれのサブワーキンググループにおいて精力的にご検討 をいただいているところです。今後も細部にわたる技術的な検討を継続していただくこ とが必要と考えていますので、それらが完成した時点で委員の皆様方にはご披露したい と思います。それでは本日は最終報告(案)について十分なご検討をいただきますよう お願いいたしまして、ご挨拶とさせていただきます。 ○本補佐  申し遅れましたが、本日のこの検討会については公開形式で行うものです。なお報道 関係者の方が撮影等なさる場合は議事に入るまでとさせていただきます。石垣委員、奥 村委員、西原委員については、本日ご都合により検討会には参加されない旨を承ってお ります。松原委員については、若干遅れるという連絡をいただいています。それでは議 事に入る前に、お手元の資料の確認をお願いいたします。  最初に「議事次第」、資料として、「今後の医療情報ネットワーク基盤のあり方につ いて」医療情報ネットワーク基盤検討会最終報告(案)、参考資料として「合同作業班 及びサブワーキング開催状況」、「文中で使用した用語の補足解説」です。さらに委員 の皆様には、参考資料「e−文書法通則法案の概要」があります。以上が用意した資料 です。議事1の「合同作業班及びサブワーキング検討状況」について、合同作業班長の 山本委員からご説明をお願いします。 ○山本委員  それでは参考資料の「合同作業班及びサブワーキングの開催状況」をご覧ください。 ここには非常に多数の合同作業班会議、サブワーキングもこの夏に入りまして、ほとん ど毎週のように開いております。今日の最終報告(案)にも多少内容がありますが、考 え方が少し変わった部分や、これまでのガイドライン、解説書等のわかりにくかった点 を改める意味で電子保存・外部保存のガイドラインの作成を鋭意進めています。だいぶ 形がついてきまして、70頁程度の塊にはなっていますが、まだ細部が詰まっておりませ んので、これは引き続き検討を続けて、しかるべき時期に委員の皆様にご意見を伺うよ うにしたいと思います。  もう1点、現在進めている作業は、保健医療福祉分野での公開鍵基盤のうち、医師等 の電子署名を実現するための共通ポリシーの作成を進めています。これも8割がた作業 が終了していますが、まだごく一部作業が残っていまして、これも鋭意進めて、まとま りましたら委員の皆様方にお見せしたいと考えています。それ以外にも、合同作業班と しては、今回事務局からお出しになった最終報告(案)の内容について議論をしてまい りました。今後は、この最終報告(案)がまとまったのを受けて、電子保存・外部保存 のガイドライン、電子署名用の公開鍵基盤の共通ポリシーの作成をできるだけ早くまと めたいと考えています。 ○本補佐  ありがとうございました。それでは座長がお見えになりましたので、以降の進行につ いては大山座長にお願いします。 ○大山座長  遅れてしまい、誠に申し訳ありません。山本委員には先に一部説明をいただきまし た。合同作業班、特にワーキングの皆様方には大変なご努力をいただき、時間を使って いるのを見せていただいてもものすごい量だと思います。今日はその他の委員の方もい らっしゃいますので、いまの件については是非ご意見を承ればと思います。確認です が、最終報告(案)という形になっていて、これは委員の皆様にはどれぐらい前に渡り ましたか。 ○本補佐  2日前でございます。 ○大山座長  十分な時間というよりも、短い時間で内容をお読みいただけたかどうか気になるとこ ろです。もし内容等で不明な所、あるいは山本委員の補足等があればと思います。本当 に検討状況はご苦労いただきましたが、これでよろしいですか。  それでは最終報告(案)に入ります。まず、事務局から説明をいただき、それからご 意見をいただきたいと思います。 ○本補佐  お手元の資料の「今後の医療情報ネットワーク基盤のあり方について」本検討会の最 終報告(案)の冊子をご覧ください。これは、5章で構成されており、「はじめに」か ら「おわりに」ということで、報告書の形式をとっています。なお、資料の最後3頁に は、別紙として「法的に保存が義務づけられている医療関係の書類の電子的保存につい て(e−文書法通則法案への対応など)」がございますが、本件につきましては、本年 7月に検討会としての考え方をとりまとめたところですが、診療録等の電子保存に係る この検討会の見解として、この報告書(案)に盛り込んでいます。  1頁の「はじめに」については、本検討会が昨年6月から検討されて、近年の医療情 報技術に基づく医療施設間のネットワーク化への関心の高まりを踏まえて、国民の医療 を受ける際の利便性の向上や医療の質の向上といった観点から、検討を進めてきたこと を記載しております。今回この報告(案)については、これまでの検討のとおり、公開 鍵基盤、書類の電子化及び書類等の電子保存の主要課題を中心に、検討会としての考え 方を取りまとめたものと最初に位置づけています。「文中で使用した用語の補足解説」 という2頁の資料をご覧ください。最初に「医療情報」としておりまして、医療情報と いうのはさまざまな意味に解することができるが、この検討会の中間とりまとめでは、 主として医療施設等が保有する検査、診断、治療に関連した情報を指していると定義し ています。これを前提に検討状況をとりまとめておりますことを予め申し添えておきま す。  Iの「はじめに」では、医療分野の情報をとりまく制度の動向、またそれを踏まえた 制度基盤等のあり方の明確化などをまとめたものです。最初のパラグラフについては、 先駆的に電子媒体の保存の容認を通達によって認めたところですが、その制度について の説明、すなわち、平成11年4月に医療法と医師法、あるいは医療法に規定されている さまざまな諸記録について一定の要件、真正性、見読性、保存性の3基準を各医療施設 の責任において担保した上で、電子的に作成して電子媒体で保存することが容認された ということを書いております。  この通達が出てから、いわゆる電子カルテシステム等が結果として徐々に普及してき ており、まずは制度の重要な節目として位置づけられたことが書いてあります。一方 で、診断書、処方せん、出生証明書等、法令の定めにより、医師等の署名または記名押 印が必要なものについては、この時点では電子的に交付したり、運用したり、保存する ことは認めておりませんでした。  次の2つのパラグラフについては、国全体の保健医療分野の情報化計画、いわゆるグ ランドデザインのことについて書いています。すなわち平成13年12月には、情報技術を 活用した今後の望ましい医療の実現を目指して、当該グランドデザインが公表されたと ころであり、平成14年度から5カ年の計画として、医療の情報化の到達目標や推進方策 を記載しています。  グランドデザインでは、電子化や電子保存の推進にとどまらず、施設間でこれらの電 子化された情報等を交換や共有を行うためのネットワーク化についても言及していると ころです。2頁目にございますように、関連してこれらの電子化された診療録等の保存 場所について、自施設でなくても一定の基準の下では、オンラインで他の医療施設等に 保存することが認められています。いわゆる外部保存を容認した通達が、平成14年3月 に出されたことが書いてあります。  次のパラグラフは、これらの制度的な経緯を経ながら、地域で取り組まれているさま ざまな取り組みの進展とその限界について述べております。すなわち実際の診療に係る 情報、検査データや医療画像等の情報が、地域の関連する施設や患者等の間でネットワ ークを介して、電子的に交換される取り組みが、当省の補助事業も含めて、モデル的・ 先進的に実施されてきており、この場合、個人情報保護法が全面的に施行されていない 現状等において、まずは個人情報を保護するために患者等の同意を前提として、さらに は専用回線等を通じて限定的に運用されてきたという事実関係を書いています。  次のパラグラフについては、医療分野での医療の制度の特性を踏まえた基盤の必要性 が書いてあります。すなわち今後、医療機関等の機能分化がさらに促進される状況下に おいては、国民皆保険制度で運用されていることを前提とし、患者等のフリーアクセス を担保しつつ、病状等に応じて適時適切に診療が継続されるようなあり方が望ましい。 その際のネットワークについては、情報セキュリティの確保や個人情報保護を前提とし て、情報を安全かつ円滑に伝送するための技術的、運用上の基盤が必要であると強調し ています。  一方、医療分野以外での社会環境の整備については次に記しています。具体的には電 子署名及び認証業務に関する法律、以下、電子署名法としています。また、行政手続オ ンライン化三法の制定等があります。いわゆるオンラインで電子情報を取り扱うための 社会環境が整えられたということであり、このような制度の動向を踏まえながら、医療 分野におきましても、基盤のあり方を明確化することが求められている。具体的には医 療施設におけるセキュリティ対策(ファイアウォールの設置)はもとより、ネットワー ク上の解決すべき課題を克服するための基盤のあり方の明確化が求められていることを 述べています。  3頁には、このような背景を踏まえて、本検討会でどのように検討してきたかを整理 しております。最初のパラグラフでは、本検討会の第1回から第4回に位置づけられる と思いますが、電子化された医療情報のネットワーク環境を検討するに当たっては、今 日までの技術や制度の進展ならびに先進事例の取り組み状況を評価しつつ、具体的な事 例なども紹介していただきながら、新しいテクノロジーである電子署名や電子的認証の 技術の医療分野への適用、実際に運用していく仕組みである公開鍵基盤のあり方につい て、これらを中軸に置きながら、さらに電子化されていない文書の電子化や、電子保存 のあり方についての検討を行ってきました。  さらに、より技術的かつ専門的な事項について論点の整理を行うために、昨年の10月 から検討会の下に、いわゆる公開鍵基盤、書類の電子化、診療録等の電子保存の3課題 について各作業班を設けて、現場に則した詳細の検討会の報告を行ってきております。  国民にとりまして、また関連する施設にとりまして、双方にとって分かりやすいメリ ットがあるということがネットワーク化を促進すべき理由だということであり、具体例 として、投薬や検査の不要な重複の防止や、体質等により投与してはいけない薬、いわ ゆる禁忌の情報などを共有したり、円滑に診療の予約を行うという、具体的なユースケ ースを想定して、安全性、患者サービスの質、利便性の向上等を期待していることが書 いてあります。  一方、国民の理解を前提として、いわゆる医学や医療の向上につながるものとして、 さまざまな診療データが解析しやすい形で統合的に保存される、ということが容易にな ることも掲げられております。  また、このメリットの反面、国民の皆様にとりましては、瞬時に対応の個人情報が流 出するような恐れ、不安を招く要素がありまして、プライバシーの保護や情報のセキュ リティに係る十分な対策に講じることはもちろんのこと、これらをわかりやすく、、安 心感が持てるように説明していく必要性が強調されました。  また本検討会の姿勢ですが、、昨年の12月に3作業班から検討会に報告していただい た「中間論点整理メモ」、さらには4月に取りまとめていただいた「検討状況の中間取 りまとめ」は幅広く関係者、各機関にお示しして、多様な意見を頂戴したところです。 こうした現場の意見等、現時点における関係者等の考え方を踏まえて、より適切で積極 的な取組みを促すための検討を行ってきました。以上がIの「はじめに」に関する説明 でございます。  4頁の中段以降については、II章「医療における公開鍵基盤PKIのあり方について 」となっております。最初のパラグラフは公開鍵基盤についての概要の説明と、医療に おける具体的な2つのケースについて述べております。すなわち公開鍵基盤は、電子的 な認証、タイムスタンプまたは電子署名等を安全かつ適切に実施するための情報基盤で すが、そのユースケースとしては、まず地域内で幅広い医療に関する施設の間で電子化 された診療情報が交換や共有されること。次のユースケースとして、国民が自宅から電 子政府等への医療に関する行政手続を電子的に行えるなど、こうしたことを実現するた めに必要不可欠なシステム、基盤であることと書いてあります。  次の段落については、電子署名の活用、特に個人の利用を前面に出して検討したこと を述べております。すなわち、電子署名法に適合した電子署名の技術を適切に用いるこ とによって、これまで認められてこなかった書類等については、紙媒体と同様に安定的 に取り扱うことができ、さらに医療に係る関係書類等の電子化が進み、電子保存が促進 できるといった点、また、ネットワーク上でやり取りされる情報の改ざんや、なりすま し等のトラブルの防止につながることもあり、まずは医師等の個人が電子署名を活用す るための基盤としての公開鍵基盤のあり方を優先的に検討したことが書いてあります。  5頁の最初の段落です。まず、ユースケースとして最初に書いてあったさまざまな医 療の関連施設が、ネットワーク環境を構築することについては、書類の様式や電子的メ ッセージの交換、こうした規格の標準化という非常に重要な点についても言及しつつ、 関係者・関係機関の合意の下に、医療の分野に適した公開鍵基盤の構築を進めるべきで ある。すなわち、様々な公的な資格を有する関係者が、医療現場において勤務している ことを踏まえると、電子化による効果が最大限に発揮されるためには、署名がそうした 確認機能を持つような公開鍵基盤を構築していくべきである。これをこの検討会では保 健医療福祉分野の公開鍵基盤、ヘルスケアPKIと称していますが、これらを整備して 目指していくべきであると強調しています。  次のパラグラフは、ヘルスケアPKI認証局の開設についてです。開設にあたりまし ては、国際的な標準との整合性も念頭に置くべきである。ついてはISO/TS170 90(国家資格の記載等については拡張領域であるhcRole)を参酌基準として位 置づけ、さらに認証局は階層構造になることを想定して進めるべきであるといったこと が書いております。当面、早期に進めるべきものとして、ヘルスケアPKI全体が整合 性を確保するためにも、ヘルスケアPKI認証局が準拠すべき証明書の共通ポリシーを 作成し、公表すべきであるということです。併せて、これらの共通ポリシーへの準拠性 を担保するための審査の仕組みの必要性についても書いています。  5頁目の最後のパラグラフについては、こうした開設に当たりまして併せて進めてい くべきものとして、国家資格のさまざまな情報、特に資格を登録するための台帳を電子 化して整備していくべきであると謳っています。具体的には移籍登録の情報のデータベ ース化などが書いてあります。なお、今後は免許取得時に、ICカード等に署名ができ るような秘密鍵を格納する等のさまざまな諸施策も念頭に置くことが書いてあります。  6頁は、想定されるもう1つのユースケースとして、電子政府等への申請のことが書 いてあります。この際は電子署名ができる基盤の整備だけではなく、申請書本体に添付 する診断書等の総合的な電子化の必要性が指摘されています。これらが非常に多岐にわ たることは、検討会の委員の皆様にはご確認していただいていますが、この中で使用頻 度の高いものや、国民生活に直結するようなものを優先しながら、電子化を進めていく べきであると改めて述べています。  以降については、ヘルスケアPKIが整備されるまでの当面の対応として、既存の制 度の活用について書いています。これらはいずれも医師と個人の自然人としての認証に なりますので、資格の確認は電子的には取り扱えないが、一応、紙レベルと同等の所属 機関への確認、照会等の手段により、実際の運用ができるのではないかということで す。まず、公的個人認証サービスの活用については、その下のパラグラフですが、これ はすでに公的に整備されていますので、整備費用はもちろんのこと、運用費用等、実際 には数百円で証明書が入手できることもあり、非常に安価に運用できる利点がある反 面、現在その証明書の有効性を検証できるものが、行政機関等に限定されているので、 民間の医療施設間で情報伝達等には利用できないということ。  一方、電子政府等に申請を行うことは可能ですが、その際、医師等についてはいわゆ る住民基本台帳の4情報を基本にした認証ですので、それらが公開されることの問題が ある。さらには、いまのところ電子署名を付すためのアプリケーションの提供の仕組み が構築されていないといった問題が、実運用を考えますと存在しております。  6頁の最後のパラグラフには、いわゆる電子署名法に基づく認定特定認証業務を行う 認証局が発行する証明書を用いる場合のことが書いてあります。これらは整備・運用費 用等が相対的に高価ですが、必要な情報による証明書の運用が可能である。また、署名 アプリケーションも必要に応じて入手できます。  7頁をご覧下さい。認証局について、その他、医療機関等を組織として認証すること については、今回あくまでも個人を認証することを中心に考えていましたので、そのよ うな当該組織を代表する者、個人を自然人として認証することと併せて、いわゆる属性 情報である開設者や管理者の情報を、例えばhcRoleに位置づけることにより、結 果として組織の認証を行うという方法が合同作業班等から提示されたところです。  その他、電子署名以外の役割に基づく権限管理等に公開鍵基盤を使用することについ ては、今後の標準化、特に医療分野での利用の進展を踏まえつつ進めていくことが望ま しいということに言及しております。  7頁の次の章は、医療に係る文書の電子化です。最初に、これまでに電子的な交付、 運用、保存等が認められない文書についての考え方を書いています。これらについては 電子化することにより、さまざまな医療分野での効果が期待できるもの、すなわち医療 の質的な向上、効率化、利便性の向上、それらが期待され、かつ制度的な特徴等の実情 に照らし合わせて、電子化による負の影響が克服可能かどうかも勘案して、個々の文書 に必要な要件を明らかにして電子化を進めるべきであるという基本原則を謳っていま す。  次のパラグラフは、現行では認めていない放射線の照射録や臨床修練外国医師の診療 録、これらは署名や記名押印が必要ですが、電子署名を行うことで、紙媒体と同等の扱 いをしてよいという考え方が表明されています。一方、特に診断書については、実効性 ある電子化を図るためには、さまざまな標準化を進めることが不可欠であることが指摘 されています。  8頁には書類の電子化のうち、処方せんの電子化についての考え方をまとめていま す。最初のパラグラフには、処方せんの特性と言いますか、制度運用上の特徴について 書いています。いわゆる院外処方せんについては、国民生活にもなじみが深い利用頻度 の高い書類であるということですが、そもそも医薬品の安全性確保といった観点、いわ ゆる医薬分業の目的を達成するために、法令上の作成・交付者(医師または歯科医師 )、交付を受ける者(患者またはその看護に当たる者、以下、患者等)、調剤者及び保 存義務者(薬局または病院)が異なる等の制度運用上の特性があります。また、現行で は医師または歯科医師等の記名押印が必要なため、電子的な作成が認められていないと ころです。これらの処方せんについての電子化についての考え方が、次のパラグラフに 書いてあります。  そもそも処方せんは麻薬、向精神薬も含む薬剤の調剤の根拠になるもので、直接、国 民の健康に影響を及ぼすといった観点から、まず処方せんの電子化に当たっては、交付 者である医師または歯科医師、あるいは処方せんにより調剤を行う薬剤師の国家資格の 認証機能を含む電子署名の実現を前提とすべきである。それに加えて、別紙の2頁から 3頁にかけては、さまざまな種類の電子的な作成と保存についての考え方を書いていま す。IIの2は処方せんの電子的な作成・保存です。すなわち(1)電子的に作成され、 処方せんの電子的な保存を実現するためには、以下の各課題をすべて克服する必要があ るということで、3頁にかけて6点の課題を書いています。そこには医師・歯科医師に よる無診察診療の防止、患者等による処方内容の確認を可能にすること、患者等による 薬局の自由選択(フリーアクセス)を保証する必要性、また処方せんの期限内、この期 間に病状が変化し、当初の処方に沿った調剤では不適切な場合があること。さらには処 方せんの偽造や再利用を防止すること、対面による薬剤師の服薬指導等を確保する必要 があることなどが書かれております。  8頁に戻りまして、それに加えて、薬剤師が処方医に対していわゆる疑義照会を行う とか、調剤済み処方せんに薬剤師が署名を付して保存すること等を可能にするさまざま な課題がありますので、現時点では、処方せん自体を電子的に作成して、制度運用する ことはできないとしております。  その下のパラグラフには、しかしながらということで電子化への展望を書いていま す。当面、患者等の要望等を踏まえて、処方せんに記載されている情報を関係者が幅広 く電子的に共有すること等を進めながら、医療機関と薬局等がネットワーク化された状 況の実現を図っていくこと、将来的には、処方せんの作成と制度運用が可能な環境を整 備していくことが望ましい。具体的には、国民、患者などが理解しやすいような理由と して、医療安全の向上が挙げられますが、その際は、バーコードなどの情報媒体を活用 して、誤処方や誤調剤を防止して、また医薬品等のトレーサビリティを向上させること で電子的な情報の共有を進めていくことが具体的に掲げられています。  9頁のIV章には、医療に係る文章の電子保存についてです。1として、適切な電子保 存の推進について3点書いてあります。最初のパラグラフは、いわゆる医療現場への情 報的な支援ということで、これまで電子媒体への保存を平成11年に認めていますが、そ れに関連した諸資料、また診療録等の保存場所に関するさまざまな通知をはじめとする 諸資料については、この検討会の検討結果を反映させて、適切な電子保存を支援するた めに、内容を改めてガイドライン等を作成することが必要であると謳っています。それ に当たりましては、最新の技術的な内容にも言及すること、さらに対象者は当面は医療 施設における電子化の責任者がガイドラインの使用者であることを想定して作成する。 また、技術の進展があるので定期的な更新を行うことが望ましいとしております。  次のパラグラフは、電子保存の適切性の評価についてです。いわゆる行政による行政 監視の他、医療に係る施設が適切に技術仕様や運用体制を講じる点では、ガイドライン に安全基準を示すことは当然ですが、さらに当面は個人情報保護に関する適切な保護措 置が講じられている体制を整備していることの有無についての審査を認定するプライバ シーマーク制度、これはお手元の「用語解説」の2頁に解説がありますのでご参照くだ さい。これは、財団法人日本情報処理開発協会が、1998年から始めている個人情報保護 に関する事業者認定制度の1つです。いわゆるJIS Q 15001に基づいて審査を 行いまして、基準に満足していると認定された場合、該当事業者の事業活動に対して、 ロゴマークである「プライバシーマーク」を使用することを認めています。なお、医療 分野の個人情報の保護については、財団法人医療情報システム開発センターと共同で認 定指針が作成されており、同財団が指定機関となり現在運用を行っています。  関連しますので、その下、JIS Q 15001は、日本工業規格による個人情報保 護に関するコンプライアンス・プログラムです。すなわち、事業者が自ら保有する個人 情報を保護するための方針、組織等々を含むマネージメントシステムの要求事項を規定 しているものです。こうした既存の制度等の活用を今後推進すべきであると謳っていま す。なお、さらに医療分野に特化したような、医療分野の情報の電子保存の技術面や運 用面での適切性に特化した監査制度のあり方も、今後検討していくべきであるとしてい ます。  その下の、「なお」以降については、いわゆる別紙で取りまとめたe−文書法通則法 案への対応を含む今後の電子保存のあり方について、いわゆる電子政府全体のIT化へ の対応について書いています。後ろの別紙の最初の1頁目のIでは、診療録、処方せん、 照射録等のスキャナによる読み取り保存について書いています。最初に共通する条件を 整理しつつ、2頁以降にあるように、診療の都度電子保存をする場合の条件、過去に蓄 積された紙媒体等を一度に電子保存する場合の条件ということで、区分して必要な要件 等を厳しく定めております。これに基づいて進めていくべきであるという考え方を、検 討会としてはすでにとりまとめているところです。  2頁目の下は、先ほど一部参照していただきましたが、IIとして電子的な作成と保 存。最初から電子媒体に保存するような場合ですが、診療録等の電子的な作成・保存に ついては、先ほどのガイドライン等の作成について書いています。2番については、処 方せんの電子的な作成・保存ということですが、これについてはあらかじめ委員の皆様 にはメール等で情報提供させていただいております。先ほどの克服すべき課題の下に、 3頁目の(2)「処方せんの電子的な作成」以降については、6月にご検討いただいた 際には、十分に情報提供がされなかった制度の問題について、正確性を期すために、若 干書き直しているところです。具体的には、法令上、作成者と保存義務者が異なる書面 については、同一法令でなければ対象にならないとしていましたが、基本的に作成者と 保存義務者が異なる法令に規定されている場合も、電子的な保存が認められる場合は電 子作成も認めるということを最近内閣府が決定したと情報提供されましたので、それに ついて述べています。  お手元には参考として、6月の検討会でも提示したe−文書法通則法案の概要の資料 ですが、(3)電磁的記録による保存等、(2)に相当するのがいまご説明申し上げたと ころです。すなわち、保存ができる場合は保存だけではなく、書面の作成、縦覧、交付 等についても、書面に代えて行うことができる規定ですが、そうした規定を踏まえて書 き直していますので、ご了解をいただきたいと思います。  報告(案)の10頁にお戻り下さい。別紙「法的に保存が義務づけられている医療関係 の書類の電子的保存について」は、この別紙について考え方を整理すべきであるとして います。10頁の2番は、診療録等の医療機関外での電子保存についてです。これは前回 の検討会でもご検討いただいた項目です。いわゆる医療機関以外の場所でオンラインに よる保存が現在さまざまな関係団体等から求められています。次のパラグラフに、診療 録等のオンラインによる外部保存については、システム堅牢性の高い安全な情報の保存 場所の確保、こうしたセキュリティ対策の向上や災害時の危機管理につながるといった メリット、さらには保存コストの削減や負担の少ないASP型の電子カルテシステムの 導入等がメリットとして期待できるとしております。  ASPについては「用語解説」の2頁の下から2つ目にも書いてあるように、 「Application Servise Provider」の略です。インターネット等を介して、ソフトウ エア・アプリケーションの機能を提供するサービス事業者です。  その下のパラグラフについては、一方でオンラインにより行う場合は、患者等の情報 が瞬時に大量に漏えいする危険性がある一方で、漏えいした場所等、あるいは責任者等 の特定が困難になること、そのために常にリスク分析を行いつつ、万全の対策を講じな ければならないこと、また一層の改ざん防止等の措置を行う必要性が高まってくるなど により、管理、監督の責任者である医療施設等の責任が相対的に大きくなる。さらに は、蓄積された情報を外部保存受託機関等が独自に利活用することへの国民等の危惧が 存在する。  これを踏まえて、前回ご検討いただいた外部保存を受託できる医療機関以外の機関の 要件について10頁から11頁の冒頭にかけて整理しています。  1つ目の要件としては、トラブル発生時のデータ修復作業等の緊急時の対応を除き、 原則として保存主体の医療機関等のみがデータ内容を閲覧できることを技術的に担保で きること(例えば、外部保存受託機関に保存される個人識別に係る情報の暗号化を行い 適切に管理すること、あるいは受託機関の管理者といえども、アクセスできないような システム制御機構を有すること)が挙げられています。  2番目として、11頁ですが、外部保存機関受託機関の健康情報を取り扱う個人に対し て、いわゆるモラルハザードを抑止するような要件です。情報漏えいや保存した情報を 独自に利活用するなどを抑止するために、厳格なルールを、例えば、公的機関であれば 地方自治体の条例や、民間事業者であれば委託契約書等で管理者や電子保存作業従事者 へのペナルティも含めて設定していること。3番目は、こうした要件も含めて適切な外 部保存に必要な技術及び運用管理能力を有することを、先ほどのプライバシーマーク 等、、公正かつ中立的な仕組みにより認定されていること。これによりまして、結果と して、管理監督責任者である医療機関等が適切な保存事業者を選択できるといったよう なこと。これら3点を満たしていることを要件とすることを提言しております。なお、 適切な外部保存のための技術や運用管理の詳細については、ガイドラインで提示するこ ととしています。  さらに現在、医療機関においても、患者のプライバシー保護に留意しているところで すが、これらを対外的にも説明責任を果たすために、例えばプライバシーマーク制度等 の認定を受けることが望ましいとしています。  11頁目の3段落目については、外部保存と利活用の区分について補足しています。す なわち保存主体の医療機関のみが、患者に対して保健医療サービス等を提供するため に、当然ながら保存された診療情報等を利活用できることを強調しております。一方 で、外部保存受託機関や保存主体でない他の医療機関等が、外部保存された当該情報を 独自に利活用することについては、さらに詳細で厳密な責任分担のルール設定や個人情 報保護のあり方の検討等が必要となるため、現状では容認することは困難であると述べ ています。  しかしながら、本項については、現在地域で取組まれている各医療機関の責任のもと で、医療機関相互に診療情報を個人情報保護の趣旨を遵守しつつ、交換したり共有する ことをを妨げるものではないことも併せて述べています。  12頁目のV章「おわりに」ということで、この報告書の考え方に基づいて、今後、必 要な措置や制度の整備を推進していく必要があるということを最後に書いています。一 応、ひと通りの説明を事務局からさせていただきました。特にこの報告(案)が委員の お手元には2日前に送られたということで、少し詳細にご説明させていただきました。 ご質問やご意見等がありましたら頂戴したいと思います。 ○大山座長  いまご説明された内容を基にご質問、ご意見等があれば承ります。また、内容によっ ては意見交換、あるいはフリートーキングになる可能性がありますが、まだお時間があ りますので、議論を進めさせていただきたいと思います。何かご発言等はありますか。 スッと聞くと、スッと頭に入るほどやさしくはないように思います。ある意味、厳密に 書こうとするとこうなってくると思います。報告書もわかりやすく書きなさいと言われ ても、これは難しいですね。  私から先に言うのは変かもしれませんが、ふと思い出した件があり、どう書くかです が。6頁目の3つ目の黒ポチの中身で、「プライバシー保護上の問題」と書いてありま す。どうしてこの文章が出てきたかは、いままでの検討経緯をよく知っているのでよく わかっていますが、そう言えば、たしか国会で氏名、生年月日、性別、住所は公開して も構わないという話になっていたと思います。こういうことが1回あって、それで住基 のときに、話が「4情報については」と出ていたような気がするので、確認したほうが いいと思いますが、この4情報が出るから、プライバシー上の問題ではなく、これに医 師ないし他の属性が付いて出るからなのですよね。たしか、そういう議論でしたね。そ こをどう書けばいいかまだわからないのですが。今日、ここには住民基本台帳ネット担 当の人はいないので、何も言われないと思いますが、ただ、そういうことは言われるか なという気もします。私は関与していたので、向こうから「お前、知っていたろう」と 言われるのは嫌なので、そこのところ、良い言葉があるかなと思いますが。 ○山本委員  「プライバシー保護上の」を消せばいいのではないでしょうか。 ○大山座長  そうなのですが、それは安易なのですが。ただ、そこは議事録に残していただくため にも、私から申し上げておかなければいけないと思い、あえて言わせていただきまし た。 ○矢野委員  6頁に関連して、公開鍵基盤のあり方の書き方ですが、前回の中間取りまとめでは、 流れとしてあり方があって、民間というか医療機関等から行政への書類の提出、その 後、民間同士、医療機関同士という流れでしたが、今回ご説明いただいた中で、医師と 個人に対する検討を優先したという形で、流れが変更されているという感じを受けま す。ただ、6頁は、民間から行政へという流れだと思いますが、そこがわかりにくくな っているような印象を受けます。例えば、2番目のポチの4行目の後方の中間取りまと めでは、「情報の受け手の機関が」となっているところを「情報の受け手の行政機関が 」と書いてあったかと思いますので、「行政」という形に明確にしていただく必要があ ると思います。  もう1点は、プライバシー保護上の問題もありましたが、アプリケーションの問題と プライバシー保護上の問題もまとめられているような印象を受けます。「プライバシー 保護上の問題」はご検討をいただいた上で、「問題があり、」例えば「難がある」と か、「もう少し検討が必要だ」というのと、それで文書を区切って、もう1つ「診断書 等のアプリケーションにもこういう問題がある」と、今後のためにも課題をはっきりさ せておいたほうがいいのではないかと思います。  6頁の最後に、特定認定認証業務を行う認証機関が、自然人と医師等として認証がで きるのですが、ここに「医師資格」と「資格」を載せていくことについては、前段にあ るような共通ポリシーを作成している観点からも、自然人等の認証のみであって、資格 を載せていくことについては、今後検討も必要である気もしますので、そこも併せて入 れていただければと思います。 ○大山座長  いまの件は頭の中が混乱したのですが、「医師等の自然人としての個人認証」という のはどういう意味ですか。「資格」と言いましたよね。確かに資格は「自然人」に付く のは属性なので、「医師等」ではなく、「医師資格等」の属性が付くという意味になる と思いますが。 ○矢野委員  あくまでも医師個人、矢野であれば矢野という個人に対しての認証を、いまのところ は検討しているという流れだと思うのです。資格に関しては、共通ポリシーの話でもや っているように、今後も検討は進めていきますが、今後出てくる話である。これを読ん でいると、「医師等の自然人としての個人認証」に混乱が多少生じるのではないか。 ○大山座長  ここにあえて「自然人」と入っているのはどういう意味でしたか。 ○山本委員  資格を含まないという意味です。 ○大山座長  資格を含まない。 ○山本委員  はい、特定認定認証業務の場合は、資格を含まない自然人としての個人認証。 ○大山座長  「医師等の」は付かないということですね。 ○山本委員  「医師等」は、医師であっても、看護師であっても、薬剤師であっても、患者であっ てもいいのですが。保健医療、福祉上の資格を含まない自然人としての個人認証という 意味です。 ○大山座長  「医師等の自然人」と、ここがつながって見えてしまうからおかしくなるのですね。 ○矢野委員  そうです。 ○大山座長  どちらにしても、最後は事務局と打ち合わせて、文章も見なければいけないので、確 認のために聞かせていただきました。 ○山本委員  いま矢野委員がおっしゃったところと同じですが、6頁の3つ目のポチの個人認証サ ービスのところで、実運用上は支障が生じるというのは、少し言い過ぎではないかとい う気がします。こういう問題は確かに医師として署名をした署名内容に、住所、生年月 日が含まれることは問題ではありますが、私は構わないと言って、医師が署名したらそ れは使っても構わないわけです。例えば公的機関に対する申請書に対してはアプリケー ションが提供されますから、使える場合もあると。ただ、これをすべてに提供すること は問題があるという程度だと思うのですが、「支障が生じる」は少し強いという気がし ないでもないのです。 ○大山座長  個人的なことを言っていいかわからないですが、私はそういうところはすごく嬉しい のですが。公的個人認証サービスは、育てなければいけないという意識があるからいけ ないかもしれないので、あまりここから先は申し上げませんが。ただ、しっかり確認が できるものとして作ってきたので、アプリケーション等の提供の仕組みが構築されてい ないということは逆で、構築しなければいけないと個人的には考えたいのですが、そこ を克明に書いても事実を淡々と書けばこうなることもあると。山本委員から、もう少し 柔らかく言ってもいいのではないかという意見をいただきました。 ○山本委員  こういう問題があるけれども、それを承知で使うことはあり得る、ということを念頭 に置いた書き方がいいだろうと思うのです。ただ、これを例えば保健医療、福祉分野の 有資格者に、これを全部使いなさいと言うのは、やはりこれだけの問題があると難しい と思いますが、使いたいという人が使う分には構わないと思います。資格を確認できな いという問題は、依然としてありますが、それは将来解決するとして、特に行政機関に 対する書類の署名等には有効ではあるだろうと思います。  7頁の2つ目のポチが非常に完結に書かれていて、少し理解しにくいのではないかと 危惧しまして、少し補足させていただきます。公開鍵基盤は電子署名、いわゆる印鑑の 代わりの署名だけではなく、ネットワーク上で相手を確認する認証や暗号化にも使える わけです。今回の報告(案)では、まず個人の電子署名について検討して、最後のパラ グラフは、電子署名以外のことをどうするか、ということについて触れているわけで す。例えば病院の中で医師であることを認証するのに公開鍵基盤を使うことは、現在で も結構大学病院等でやられていることはあるわけです。ここに書かれていることは、そ れをするなという意味では全くなく、これは厚生労働省の検討会として、こういったこ とに対して案を出すことは、かなり広い範囲の地域医療であるとか、広域医療の中で資 格を認証していくというアクセス権をきちんと分類していくことに用いる。そのために は、例えば地域医療の中で診療所の先生が病院のコンピュータを自分の資格で自由に扱 う、というような広域の中での権限管理といったものがまだ十分議論がされておらず、 いますぐそれを実装することはほとんど不可能に近い。したがって、この検討は少し先 延ばしにしようという意味で、決して公開鍵基盤自体を、例えば、ある病院の中やある 医院の中でアクセス権の管理に使うことを妨げるものではない。それを日本で共通のも のにしよう、ということは少し議論が早いだろうという意味です。 ○三谷委員  別紙「e−文書法通則法案への対応など」の2頁目から始まる電子的な作成と保存と いう中で、2の(2)のところで、処方せんの電子的な作成は、現在、医師法上認めら れていないが、今般のe−文書法通則法案では、作成・保存について異なる法令に規定 されている書面や、作成者と保存義務者が異なる書面についても電子的な作成を認める 対象とすることとされている、というのがあります。事前にメールでこの部分が変わっ たという説明をいただいたのですが、この辺の背景でわかるところがあればお聞きした いのです。このe−文書法通則法案でこの点が変わったという理由というか背景を。当 初は、作成者と保存義務者が異なるので、この中では特別規定しなくてもいいというこ とがあったかと思うのですが、今回の変更の結果、2番の最後のほうに「法案の規定等 を踏まえて、適用対象外とする措置を講じる必要があると考えられる」とあります。今 度は「適用対象外とする」とあえて述べているのですが、この辺の変更の背景で、ほか の分野でこのような作成者と保存者が違うというケースが医療以外の分野であったので すか。わかることがあれば教えてください。 ○本補佐  例えば、通称、廃棄物処理法につきましては、いわゆる法律と省令で作成者及び保存 義務者が異なるということがあり、運用上それが認められないとした場合、現場が困る ということです。同一の法令というのは、法律と省令という場合も別のものというよう に以前はされていましたので、今回はそのような場合であっても、基本的に電子保存を 認める場合は、作成なり縦覧、あるいは交付など認めていこうという考え方になったと 聞いております。現時点ではそのような情報しかありません。 ○三谷委員  そういうケースの場合には、作成者と保存者が異なっていても、あえてこの通則法案 を活かしていこうという趣旨での変更ですか。 ○本補佐  電子保存といっても、本来は電子的に作成されていることが望ましいわけです。しか しながら、書面等においては異なる法令、あるいは同一の法令の中で、保存者と作成者 が異なって規定されているということもあり、そこを整理するために考え方を整理した と聞いております。 ○三谷委員  それに対して医療の分野というのは難しいので、前向きな対応というよりも、当面は 適用対象外とするということですか。 ○本補佐  処方せんについては、そのような考え方になっていると承知しております。 ○三谷委員  はい、わかりました。ありがとうございます。 ○原委員  折角ですので、いまの部分の整理をしたいのですが、e−文書法でいくと、いわゆる 保存を認めるということは、作成も認めるという基本的な考え方になる。処方せんの場 合は、報告書の最終のほうでも理由等が述べられておりますが、局における保存等に関 しては、いわゆるe−文書法でいける。ただし、その作成については事情があって適用 するのが難しいという解釈でよろしいのですか。 ○本補佐  はい、そのような理解で結構だと思います。この通則法案全体で見まして、当該事項 を規定している条文が違い、いわゆる交付とか縦覧は、4条とか6条の条文に規定され ていますが、それを適用除外にするということで、電子的な作成の部分だけを適用除外 にするという考え方になります。 ○大山座長  法律で縛っていたものが官を対象にしているものと、民を対象にしているものがあ り、官のほうは電子政府、電子自治体を推進するためのオンライン三法を含めてだいぶ 整備されたのですが、民側が遅れていたということですよね。そこをこれで整理したの だと思います。  松原委員は遅れてお出でになるんですよね。保存についてご意見がおありと伺ってお りますので、でも、話を始めてもいっこうに構わないと思いますので、全体を通してい かがでしょうか。 ○三谷委員  いまの同じIIですが、電子的な作成と保存の1番目の診療録等の電子的な作成・保存 で、現在の技術状況や今後の医療分野における個人情報を保護ガイドラインの検討状況 等を踏まえつつ、本検討会としても今後さらに必要な運用指針を検討する、と本検討会 で検討するというのは、この後まだこれが続くということですか。 ○本補佐  冒頭に室長のほうからご挨拶がありましたように、この検討会で、最終報告(案)の 検討結果を踏まえ、現在進めているサブワーキング等での取組みを完成させた暁には、 各委員にもう一度お目通しいただく機会を何らかの形で設けたいと考えております。 ○樋口委員  全体的なことで2点だけ、これから申し上げることは文章を直してもらいたいという 趣旨ではなく、簡単なコメントです。3頁の出だしの3つ目ポツなのですが、情報技術 により医療施設間のネットワーク化を促進するメリットがここに書いてあり、これで十 分かもしれないのですが、国民と医療に関連する施設の双方にとってわかりやすいメリ ットということで後に例示がある。こういう形でも結構だと思いますが、個々の患者に とってどういうメリットがあるのかが3つぐらい書いてある。それから、個々の病院と いうか、医療機関にとってどういうメリットがあるのかということは、書いてあるよう でよくわからない。  もう1つは、個々の患者や医療機関を離れてということはあり得ないのですが、それ 以外という言い方は難しいけれども、社会全体、あるいは全体的な医療経済、経済的な 話まで持ってくるかどうかは問題なのですが、何かもう少しメリットを並べてもいいな というのが私の感想の第1点です。  第2点は保存に係る部分で、私自身が前からよく理解できてなく、申し上げているこ との繰り返しになるかもしれません。11頁ですが、これは前の10頁から出てきており、 今回は外部保存を電子保存という形で行うことをこういう条件のもとで認めましょう と。保存ということが第一歩で、これが認められて、その後の利活用は次の話ですよと いうことで、一歩一歩慎重にやっていく姿勢がにじみ出ているというか、にじみ出てい るどころかはっきり出ている。それ自体はいいことだと思います。  その上で質問なのですが、11頁のいちばん下のパラグラフで、私の理解では、外部保 存というのは保存主体の医療機関にとって、内部ではなかなかこういうことをやってい られないので、とにかく外部へ保存するのですが、それを自分が内部で持っているのと 意味合いとしては同じということであれば、ここには患者に対して保健医療サービス等 を提供するために、同じように外部保存された、電子保存化された診療情報等を利活用 できるというわけですが、本当はこれに限りませんよね。内部にある情報を、医療監視 であれ何であれ活用して自分の所の医療の効率、改善など、何らかの形でその情報を活 用する分には何の問題もないという趣旨ですよね。  ところが、患者は医療機関を信頼していろいろな情報を預けている、預けているとい う言い方がいいかどうかはわかりませんが。ただ、全然別の所へいき、自分とは見も知 らない外部機関が独自に利活用、だから独自にというのは勝手にということを意味して いると理解してよろしいのでしょうね。  その上で、勝手にということが本当にできるのか。勝手にとはどういう意味なのかと いうことですが、患者の同意という言葉を使っていいのかわからないのですが、同意な くというのか、あるいは目的外利用という話を想定しており、それにはさらに詳細で厳 密な責任分担のルールの設定や個人情報保護のあり方の検討等が必要になる。しかし、 現状では容認することは困難であるということですが、そういうことができれば何らか の可能性があるということを、逆に意味しているということでもあるのですか。  最後のは質問になりますが、全体的なところで私の理解が不十分なところがあれば、 教えていただければありがたいと思います。 ○大山座長  確かに。 ○三谷委員  「独自に」という言葉にちょっと違和感があるのです。「独自に」という言葉自身、 そう悪い文脈の中では使わないと思いますが、ここにおけるものはおっしゃったように 無断にというか、勝手にというか、同意を得ないでということだと思うのです。「独自 に」という言葉自身は、そんなに悪くない言葉なので、10頁下のほうの「独自に」とい う言葉と、11頁3行目の「独自に」と、この辺の「独自に」に違和感を感じました。 ○山本委員  「独自に」という言葉にするのか、「勝手に」という言葉にするのか、「無断で」と いう言葉にするのかは、合同班会議でも結構議論になりました。これを「無断で」と か、「目的外」という書き方にすると、その言葉によって、逆にかなり制限が弱まって しまう。無断というのと無断でないというのとか、望まれるとか望ましいとか、合法的 とかいろいろあり、ギャップがあると思います。つまり、外部委託機関からすると断わ った。しかし、患者からすると「そんなことを了承した覚えはない」ということが起こ り得る可能性がゼロとは言えない。  こういう議論をこの場でするかどうかは少し問題だとは思いますが、ただ、医療の世 界で同意原則というのは、なかなか難しい面がある。やはり、知識格差もあり、自分が 痛いときに主治医から同意を問われると、同意をしないと治してもらえないというよう な場合もないではないでしょうし。  したがって、現時点では単純に同意をすればいいとかいうのは、少し危険だという判 断で、ここは同意があろうがなかろうが、預けた医療機関の責任のもとで、いまの時点 では利用することを促進すべきであり、第三者が介入することは十分検討をしないとい けないのではないかという意味で、こういう文章になったのではないかという気がして いるのですが、慎重すぎるかもしれません。  いろいろな試みがされており、データセンター的に情報を預かる代わりに、例えばそ こからデータマイニングをして疾病の傾向などを探り、それを価値ある情報として再利 用することでデータセンターの費用にするといった発想が当然生じてくるだろうと思い ます。そのこと自体はすべて悪いとは思いませんが、現時点ではその安全性を確実に検 証することは難しいという意味で、やや慎重な書きぶりになっていると私は理解をして おります。 ○大山座長  そこは、樋口委員が座長をされている個人情報保護と、もう1個ペアで研究用の話が 厚生科学審議会の専門のほうで動いていますが、いまの議論はそちらでも出ています。 そちらの結果を待っているとこれを出せないので、そうすると、言葉を選んだほうがい いというのは再考している意味はあるかと思うのですが、背景にあるのはそういうこと ではないかなと思います。  樋口委員、最初のほうの話は、いままでこの辺のメリットはいろいろ言われており、 全部書き出すよりはすっきりとこれぐらいと思ってこうなったのだと思いますが、いま までに結構いろいろ出ていますよね。ただ患者さん、あるいは個人と医療機関、関連機 関等にそれぞれでもいいから何かというのを書くのは確かに。中ポチを1つ増やして書 くと、却って文章がすっきりするかもしれませんね。 ○山本委員  外部保存の話になったので、合同作業班の議論を少し追加させていただきたいと思い ます。10頁いちばん下のポチから、医療機関以外の機関で診療情報をオンラインで外部 保存できる条件が(1)(2)(3)と上がっています。合同作業の議論は、これ自体 も議論したのですが、実はこれ以外に健康情報を含む個人情報を扱う者に対して包括的 に守秘義務を課すという法整備をしてはどうかと。現在は職種、事業者単位で、個人情 報保護法の法規制まで含めても事業者単位でしかあり得ないので、そうすると、民間の 外部保存受託機関の場合は、どうしても契約によらざるを得ない。契約によった場合 は、契約に違反したところで「契約違反」としてしか扱えない。医療機関が患者様の情 報を預かる、医師であれば刑法ですけれども、それ以外の法律で罰則を定められた法律 に比べるとやはり弱いと。そういう意味では、これでは安心感を十分得ることが難しい のではないかという議論がありました。職種、事業者を対象ではなく、対象となる情報 に対して罰則を伴う法整備をし、その上で外部保存を認めてはどうかという議論があり ました。そういう条件が満たされれば、この(1)(2)(3)を全部満たすというの はかなり厳しい条件なので、もう少しゆるめても大丈夫だろうということでした。  そういう法整備が難しい、いまのところその可能性があるともないとも言えない報告 書に書けない状況では、この(1)(2)(3)のすべてを満たすことはかなり厳しい 条件なのですが、これをしてはどうかという2つの議論が合同班会議であったというこ とを追加させていただきたいと思います。 ○岸本委員  11頁(2)のところを見て、いま山本委員がおっしゃったことと全く同じ感想を持ち ました。ここで扱われる個人情報は、医師ならば守秘義務を課せられるぐらいの、漏え いされてはならない情報であるのに、民間の受託機関に対しては、違反のときはペナル ティを含めた契約をするぐらいの書き方は非常に弱い。同じ情報を扱っている他の人た ちに課せられている要件と比較、考慮してどうなのかということを知りたく思っていま したので、その疑問が解けて少しホッとしています。これからこうした情報を管理する 当事者になる人がどんどん多くなっていくことを思えば、是非包括的な法整備を検討し ていただきたいという立場です。この前の委員会でもここはAndでいくかOrでいくかで いろいろな意見が出たところですが、今現在は縛る法律がないのでAndのほうを取った のだろうなと理解しておりました。 ○大山座長  それに関係して、後で樋口委員から法整備の話をしていただけると思います。話は多 分2つあり、個人の医療に関係する情報等を保存するというだけの、言い方は悪いので すがあえて言うとそれだけの仕事をする人が、漏らす、漏らさないではなくて見ている ということが一方であるのです。別に漏らしたら個人情報保護法云々というのができた としても、見ていることがいいのか悪いのか、どう思うのか。これは個人で違うと思い ますので、ですから、どちらがいい、悪いかをいまここで議論して決めるつもりはあり ません。  そこが10頁の、外部保存を受託できる医療機関以外の機関は、という(1)のところ の要件で、見られない形と書いて、いまは安全策をとっている。それに加えて、(2) の情報漏えいや保存した情報を独自に利活用することに対する、ペナルティの話がここ で書かれている。そう言っても本当にやっているかどうかの確認をするために、3番目 に外部からの確認という、こういうセットになっています。  法律をいま作ったとして、この(1)(2)(3)の要件を満たすほうがいいと思う のであれば、法律ができた時点で3つおとしてもいいのかをもう1回考えなければいけ ないと思います。いまいろいろご苦労いただいておる樋口委員からご紹介をお願いしま す。 ○樋口委員  いま大山座長がおっしゃったことを繰り返させていただきます。この(1)(2) (3)というのは立派なセーフガードであり、守秘義務というのは立法上難しいという ことがあります。ある資格を持った人に守秘義務を課すというのは簡単なのですが、あ る情報を握ったときだけこういう守秘義務が発生するというのは難しいので、法制化に なじまない、あれは難しいというような議論がまず1つです。  私はもう少し別の観点から、私は別に法学部を代表して来ているわけでもないので、 こういう人もいると思ってもらいたいのですが、法学部にいる人が罰則大好きかという と、本当はそうではない。何でも罰則つけてというのは、守秘義務を課せばもう大丈夫 だと思うのは、あらゆる人が周りに警察官がいて、みんな悪いことをした場合は全部発 見されるのだということを素朴に信じていられればいいのですが、そういうことを信じ たら本当は恐ろしい社会だとも思うのですが、そういうことが1つです。  もう少し実質的な理由としては、例えば、刑法上の医師等に対する守秘義務で、秘密 漏示罪と言っているのですが、あれはもちろん故意なのですね。故意に秘密を漏らした 場合は駄目だという話なので、私の考えでは、世の中の人で悪い人よりも不注意な人の ほうが多いと思います。不注意のほうがたくさんあり、その場合は守秘義務違反だから 不注意の者も全部刑罰だという話には普通はなりません。刑罰というのは基本的には故 意犯ですから、不注意の場合も全部守秘義務違反で警察が出てくるという話は普通には ないと思います。だから守秘義務ではカバーできない話が多くあり、それをきちんと、 そもそも不注意が起きないようにする体制を整えるほうが大事なので、この(1)(2 )(3)のほうが筋がしっかりしている。大変だとは思いますが、守秘義務をちゃんと 定めて、みんな安心ですよという幻想にひたるほうがむしろ本当は楽なのかもしれな い。それが法制局にいくとそれは難しいですよと言うかもしれないのですが、法制局な んて気にせず作ってしまったんだと言って、みんなが安心するというのは、幻想のよう な気がします。ただ、こういうふうに頑張るのがいいような感想を私は持ちました。 ○山本委員  樋口委員のおっしゃることはよくわかるのですが、問題は普通の患者さんにどの程度 安心していただけるかということで、いかに技術的にこう担保しましたとか、契約書は こうありますとか、Pマークが張ってありますとかいうことで、それで安心をしてもら えるかどうかというところだと思います。  法律を作るのが難しいというのは樋口委員のご説明でよくわかりましたし、できたら 安心だというつもりは毛頭ないのですが、法律があった上でこういう対策のところが、 (1)(2)(3)全部かないしはこのうち2つかという程度の緩みはあるかもしれま せんが、それぞれの条件が全くなくなるわけではなく、3つ全部揃えなくてもいいので はないかと思うのですけれども、その辺の対策が必要なことは間違いない。ただ、それ をした上で、普通の国民の方にそれで大丈夫だと思っていただけるかどうか。樋口委員 がこれで大丈夫だと言っていただけると相当心強いかもしれませんが、なんとなくそう いう危惧があります。 ○大山座長  山本委員のお話は産業振興策から見るとすごくわかりやすいのですが。ここについて 意見はいろいろとあると思いますが、三谷委員どうぞ。 ○三谷委員  10頁に(1)(2)(3)というのがあり、その次の中段に、監督責任のある委託側 の医療機関もプライバシーマーク制度等の認定を受けることが望ましい、というのがあ り、受託する側の所がこういう担保するというのはわかるのですが、委託する側の医療 機関がこういう制度認定をどこまで受けられるかという現実問題があると思います。  先般のご報告でも関東で1件、関西で1件というところから始まっていて、多少増え ているかと思うのですが、医療機関がプライバシーマークの認定を受けるのは相当難度 が高いと伺っています。まず、実際にこういういろいろなものが動いていたときに、医 療機関の中で管理し得ないので、外部の安全な所に任そうかということになると思いま す。その場合、委託する医療機関にも同じレベルの保証が求められるのかどうか。そう すると、医療機関がプライバシーマークの認定等を受けられないと、外部にも保存でき ず、何も利用されない、発展しないということが、結果として出てこないかということ が心配されるわけです。  ということで、医療機関側においてはプライバシーマーク等の認定を受けることが望 ましいというところまで求めるのか。あるいは、プライバシーや個人情報について注意 が必要であるというところに留めるのか、プライバシーマークを取るということがゴー ルなのか。そのゴールに達しないから、自分の所は力がないから諦めてしまう。諦める ところが結構恐いなと思います。そこに至るまでの努力が大事だと思いますので、ゴー ルだけを示すのではなく、一般的にそういうものが大事であると言った上で、1つのゴ ールとしてこういうのがあればいいなと思うのですが、この2行はそういう結果をもた らすのではないかと思いました。 ○大山座長  プライバシーマークがどうして出てきたかの背景を説明しないとわからないと思うの ですが、いまのことについて作業班のほうから何かありますか。 ○山本委員  作業班でPマーク制度を取り上げて議論したことはなく、これは事務局、大山座長、 班長の間でディスカッションをし、ここではなく上にプライバシーマーク制度というの を書き、下はどうしようかということが議論になりました。三谷委員がおっしゃるよう に、現時点では認定まで必要かどうかという議論があるところだと思います。  ただ、「JIS Q 15001のコンプライアンス・プログラムの策定指針」という のはかなりよくできており、あれを医療機関として一読され、例えば自分の所に本当に 個人情報はどのように存在するのかということをきちんと調べ、それに対して責任者を 決め、計画を立て、守っていくことを実施していくという過程自体は推薦できる。推薦 しても何も問題はないと思うのです。ただ問題は、認定まで受けるかどうかのご議論は 確かにあると思います。ですから、「望ましい」がどれぐらい強い意味かというのが問 題であり、取られて何も悪いことはないと思いますが、私は取らないとできないという 意味ではないと考え、現時点で非常によくできた指針として使える。個人情報保護とい う JIS Q 15001 はレベルが高いのですが、高すぎて悪いということもないで すから、それを手がかりとしてプライバシー保護に努めていくという意味だったらいい かなと思います。 ○喜多委員  望ましいというのは義務ではなくて、望ましい。目標として取れるなら取ったほうが よいという。 ○大山座長  折角こういう議論になっているので、私がどう考えたかということを簡単に申し上げ ます。三谷委員の指摘だとそうなるけれども、ここに書かなくてもよかったなというの が実はあります。即ち、医療機関外部の電子保存の中に書かれるので、これは要件のよ うに見えるということ。  これはもともと違い、例えば自治体の話も同じなのですが、前にも申し上げたように 個人情報が漏えいしている例というのは、先ほど樋口委員が言われたように故意でやっ て云々、処罰の話はあるとしても、本当に内部犯罪の故意なのです。そういう流れでい ままで動いているのですが、もう1つ気にしないといけないことは、過失でやっても困 るわけです。過失防止というのは重要であり、即ち気付きませんでしたとか、患者さん の情報を出し、そのままにしていましたという、そういうことはいままで危なくないと 思っていたのが実はそうではないということを知ってもらわなくてはいけない。これを 知ってもらうには、研修を含めていろいろな方法で自発的に御理解いただくことが必要 であり、その観点からレファレンスとして使えるのが、この考え方がはっきりしている という意味なのです。ですから、「望ましい」よりももう少し弱い言葉にしてしまう と、何という言葉になりますかね。何しろいまのが趣旨なのです。  前に言ったように、医療機関と言えども、アルバイトの人がいたりいろいろな状況が ありますので、やはり十分気を付けてくださいということを、少なくとも知らなかった というのはなしにしてほしい。やはり知っていただくし、職員の人にもこういうことは 気を付けようということをやってもらうものがありますね。もちろん厚生労働省から旧 自治でいまの総務省が自治体の職員に対する研修を行ったのと同じように、医療機関の 人にそういう研修をやるようにしましょうと書くのも方法の1つではあるのですが、そ こまでここに書いてしまうのは、まだ受け取ってもらえるかどうかの話を全然していま せんので、やはり自発的にやるというとこういう話ではないかなと思います。 ○三谷委員  そうすると、基本的な義務のところなので、あえてここで特定の制度を上げる必要は ないと思いますが。 ○大山座長  逆に個人情報の保護を含めたいまのような観点でやっていくものは、法律か自主規制 のJISのようなものしかないので、こちらを取ったということなのです。このプライ バシーマーク制度等の認定のところは、少しきつすぎるというのであれば、文章を直す ことは山本委員を含めてまたご相談させていただくことはできると思います。 ○三谷委員  その自主基準等を運用するとかそういう。 ○大山座長  いつも言いますが、セキュリティーポリシーの問題なのですがうちのポリシーがこう ですというものが何のためにあるかというと、周りの人に信用してもらうためなんです よね。ですから、自分たちがやっているということを分かってもらえるようにしなくて はいけなくて、したがって規定があるだけではなく、その規定に則ってやっているとい うことが必要ではないかと思います。そこのところは、いまのJISを含めたここに書 かれている条件であるのでこのように書いたということで、もう少し緩めるというか、 元々緩めている気もしますが、望ましいと書いているのは。 ○三谷委員  自主基準の運用もしくはそれを担保して、保証するための第3者の評価認定を受ける と。 ○大山座長  そういう書き方はあると思いますね。 ○山本委員  9ページの2つ目のポチに、「医療に係る各施設が」というところに、「認定するプ ライバシーマーク制度やその基礎となるJIS Q 15001等の活用を推進すべきで ある」とか、この程度ですから。 ○三谷委員  これで一旦出ているわけですよね。 ○山本委員  はい。 ○三谷委員  それは、もう変えられたということなのでしょうか。 ○大山座長  でも、民間機関に対して外部保存の話が出てくるとなると、やはり出す側については 十分そちらは理解してくださいねという思いがあるので、ここに書いたというのがあっ たのですが。 ○松原委員  遅れてまいりまして申しわけありません。是非一言申し上げねばならないと思いまし て何とか駆けつけました。私ども医療機関は患者さんを診ているわけですが、例えば癌 の方、非常に難しい病気の方、遺伝疾患の方といろいろな方がいらっしゃいます。内科 的以外にも、例えば婦人科であれば、カルテには出産歴から何から何まで書いておりま す。また精神科疾患であれば、その方の小さいときのトラウマから何から何まで書きま す。これがどれだけの意味をもつかといいますと、個人にとっては非常に重たいもので す。その重たいものをなぜこれまで医療機関が担ってきたかといいますと、非常に高い 職業的な倫理規範に基づいて、これを外に漏れないように守るということで、歴史的に もそれを国民が評価し、医療機関に掛かっていれば自分が喋ったことは外に漏れないと いうことで原則として運営されてきたわけです。そういった、これが歴史的に安全だっ たという事実を踏まえたうえで、例えばプライバシーの中には住民票、戸籍、名前、住 所、家族構成といった非常に大きな問題が当然含まれているわけですが、それを扱って いる地方自治体が果してそれを外部保存することを考えるかというと、私はやはり国民 としてそれは正しくないのではないかというご判断をいただけると思います。それと同 様に、それ以上のプライバシーが入っているものを外部保存することが果して正しいか どうかと考えますと、私は一医師の立場としては正しくないと思います。もしガイドラ インがあっても、またこのようなマークを付けていても、個人にとって大事な情報が一 旦外に出てしまうと、これは取り返しのつかないことです。どんなに法律で罰則を規定 してもその方を罰しても、それによって被害を受けたいちばん大事なプライバシーが外 に出た場合には、その個人にとっては取り戻しようがありません。そういったことを考 えれば、これはガイドラインや法律などでどんなにカバーしても外に出てしまった以上 は元には戻らないものですから、やはり歴史的に高い職業倫理規範で護られてきたとい う背景をもたないものには、私は任せるわけにはいかないと思っています。  百歩譲って、例えば地方公共団体のようなものであれば、住民票などに対しての倫理 規範によって護られて、それを国民は信頼しているわけですから地方公共団体までは許 せてもそれ以外は私は一医師として、外部機関に対してどのような法律があってどのよ うなマークを付けていても賛成できません。したがって、このことを明記してくださ い。 ○大山座長  という意見です。 ○山本委員  やっぱりこれは、電子化の有無に拘らずですか。 ○松原委員  特に電子化は、かなり大量のデータが外に出る可能性があります。したがって、電子 化というものについては、私がいま申し上げた何倍ものエネルギーが掛けられるべきも のだと思いますので、少なくとも電子化においてデジタル化したデータを外部保存する のは、私は一個人として一医師として認められません。 ○山本委員  それは、オンラインであろうがなかろうが、例えばCD-RM、DVD、テープなど での外部保管もですか。 ○松原委員  一遍に大量の方のデータが外へ出るという可能性がある以上は、やはりそれは難しい のではないかと思います。 ○山本委員  松原委員のおっしゃることは、私も医師としてよく分かりますが、例えば現在大きな 病院でオーダー・エントリー・システムなどを運用しているところは、地震でその病院 が壊れたらその患者さんのデータがありませんとは言えないので、本当にリアルタイム ではありませんが1日単位でデータを遠隔地の倉庫に保管しています。それは公的機関 でも自分たちの持ち物でもなく、単に倉庫事業者なのですが、そのような運用も認めら れないのでしょうか。 ○松原委員  そういう管理が医療機関の下において行われるのであれば、倉庫の所有権がどうこう という議論はあると思いますが、あくまでも責任者は医療機関であるべきだと思いま す。 ○山本委員  もちろんそうだと思いますが。 ○松原委員  簡単に問題を言いますと、例えば1事業者に頼んで万が一そこが経済原理にしたがっ て倒産して責任者がいなくなった場合に、一体誰が責任を取るのだということも十分考 えて判断すべきだと思います。例えば医療機関であれば、そのときには倫理規範にした がって、データをきちんと管理することをいちばん最初にすると思います。民間の1事 業者が倒産した後まで責任をもつかというと、この経済の普通の状態から見て100%補 償はできないのではないかと思いますので、そういったことを勘案すると許されるのは 地方自治体までです。地方自治体も破産することはありますが、普通は瞬時になくなる ことは考えられませんので、医療機関でなければ地方自治体までが限度だと思います。 ○山本委員  もう1つしつこいようですが、いまのお話はオンラインでデータを保管する場合と考 えてよろしいですか。オフラインと言いますか、媒体でも。というのは、平成13年に厚 労省として多分通知が出されていて、オンライン以外はすべて民間の委託業者に認めて いて現実に運用されている。例えば我々の病院でも外部の倉庫にデータを預けていて地 震が来て壊れても、何とかあとでそれを戻せる対策を取っているわけですね。そこまで 遡ると、かなり厳しい議論にはなると思いますが。 ○松原委員  あるべき姿は、医療機関の中で安全なところで保管すべきですが、現実問題としてそ のように運用されているのであれば、それはいたしかたがないと思います。しかし、オ ンラインは更にそれが速やかに移動するものですし簡単に外に出るものですから、厳重 な管理をするべきですので、少なくともオンラインに関しては認められません。これは 私の考えで、皆さんがどのように考えるかは分かりませんが、やはり国民の幸福を全体 に考えたときに、1個人にとってその人の秘密が出るということは、どんな法律で縛っ ても補償されて元に戻るものはありませんので、やはり国としての考え方として対応す べきではないかと思います。 ○大山座長  ありがとうございました。いまのことについて、もう少し議論があればあれですが、 そのほか何かありますか。 ○矢野委員  今回扱う情報は、やはり国民不安がいちばん国民のためという形で重要ではないかと 思います。例えば、年金の未納問題があったときに、社会保険庁にある年金データベー スで一体何が起こったのかを考えていただければ、おそらく見られた方々は誰を見よう ということではなく、もしかしたら自分の情報がどうかという形で500人程度が見たの かもしれません。それは一概に何が悪いということは言えませんが、今回はそれを医療 の情報に置き換えた場合に、本当に見ただけとかそのようなことがあったとき、しかも それがオンラインにデジタル化されたデータが大量に流出していくと思いますので、い ま松原委員が言われたように、国民的議論も含めて1歩1歩確実に進めていかないとい けないと思いました。確かに今回はいろいろなものがありますが、民間業者については 罰則等あればいいかというと、少なくとも抑止力の1つとして考えられるという立場も あるかと思います。今後のことを含めて、もう少し国民的に大きく議論を重ねていく余 裕があるといいと思います。 ○大山座長  予定からすると、松原委員がいらっしゃる前に室長からお話がありましたが、このあ とガイドラインを含めて作ったものをまた皆さんにご覧いただくことになっていまし て、場合によってはお話を今日この時点で打ち切りではなく、そもそもそのようなやり 方は変だと思います。もっと重要なことで我々が安易に時間がないからこうしましたと いうのは、許されないと思います。やはり社会的な責任はあると思うので、そこはしっ かり対応したいと思います。ただ一方で打ち切りというのはe-Japanに聞かれましたか。 ○新村室長  e-Japan重点計画の中で、2004年9月までに電子化について結論を得るという関係で、 期限が迫っています。 ○大山座長  今日別件なのですが、情報システムのオンライン化等の話の中で、24時間サービス で、本当に24時間1秒も止まってはいけないと思っている人がたくさんいるらしいので すが、これはシステムにもよるのですが、システムの更新やメンテナンスのときには止 まるわけですよ。そうなると電源が落ちたとたんにサービスの質が絶対低下しないよう にと言っていながら、コンピュータに対してそのような要求をしています。一方人員は どうなるのかと、その人の昼と同じように3交替でやるのですよねと聞きましたら、そ んなことは、とてもできませんという話が出ました。だから、同じ24時間といってもサ ービスのレベル、あるいは情報の質によっても違います。本当に夜中まで1秒も止めな いというシステムを組まなければいけないのか、それともこの時間は止まるといっても いいのかということは、違うと思います。私は同じこともあるのではないかなという気 がするので、どのように対応するかですが、いま室長が言われたように、9月中に結論 を得ろということですので、松原委員を含めてもう1度議論をさせていただきたいと思 います。 ○岸本委員  ある時までに整理をするという1つの期限があり、一方でいくつかの大きな問題があ りますね。いままで話してきたことで上げるなら、まず電子化、保存、そして保存の中 でも内部で保存する場合と外部で保存する場合があります。いままでの流れを振り返り ますと、電子化そのものについては割合コンセンサスを得やすいと思います。例えば、 私は一患者の立場ですが、自分に安全な投薬や確実な診察が行われるために、このよう な情報が電子化され、病院間でやりとりされたら、どれだけ安全性、確実性が上がるだ ろうと思うことが多々あります。ですので患者、国民の立場からすると、病院間をネッ トワークで繋ぐことそのものは、比較的乗り越えられる課題であろうと思います。  一方内部保存に関しては、これは紙であれ電子情報であれ、それこそ松原委員が言わ れたように歴史的に安心して預けていたので、これも乗り越えられるだろうと思いま す。いちばん国民の不安が強く個々の医師の方々から抵抗があるのは、外部保存をして いいのかどうかというところかと思います。9月という期限があるのであれば、ここま でについては委員会でコンセンサスが取れたが、取れないところについては更に要検討 というように、分けて結論を出すことができるのが最善ではないかと感じました。 ○大山座長  そういう意味では、ここの報告書はある一定の前提の元に書かれているので、それを 含めてすべて整理したものを1度皆さんにご覧いただくようなことをやるべきだと私は 思います。作業班の人たちがものすごく時間を掛けているので、すごく分かります。そ れ以外の人に説明するときには、これで十分かどうか、もちろん松原委員の言われる指 摘事項に対して、きちんとそれに対する対応、考えを出さなければいけないと思います ので、少し努力をさせていただきたいと思います。 ○山本委員  ちなみに、いま整備している電子保存、外部保存のガイドラインは、外部保存のオン ラインは医療機関に限定したガイドラインにはなっていて、もし何らかの緩みが出るの であれば、それを繁栄させようということですから、ここでのご議論があればそれを反 映させてガイドラインを整備していくことになるかと思います。 ○大山座長  ただ1点だけ理解していただきたいのは、物理的に外にあるか中にあるかというのは ネットワークでやっている以上は実はあまり意味がありません。要は情報に対する管理 責任とその保護がしっかりできているかどうかです。多分松原委員が言われたのは、そ こだと思います。そのときに、医療機関側にとっても現状から見て、あまり言いたくは ないのですが近未来危い可能性が出てくるのが、実は外部からのアタックの話や、内部 の何らかのミスが起こることなのです。これは同時に防止しないと、本来の目的は達成 してないと思います。そのようなことから、自治体も同じようになっていますが、変な 言い方ですがやは小さな裏の情報システムの安全性を管理するのに責任者を置けばいい という話では済まないと思うわけです。それだけの人を育てなければいけないし、全国 にそのような人を配置できるかというと、時間が掛かります。それよりは、いくつかま とまったしっかりした建物も作り、そのシステムを厳重に守れる人たちを配置するほう がいいのではないかという話もあります。多分それが山本委員が言われることだと思い ます。したがって、私が思うには、皆さんが言っていることをもう1度整理して提示す る必要があり、先ほど岸本委員が言われたようにその辺の比較綱領を得るものと失うも のという言い方をすると、絶対に失ってはいけないという言い方もできるので、そのと きはなかなか議論が難しくなります。我々は現実を見据えることが重要だと思います。  実は、ここから先は事務局とは相談をしていない話でして、これをすべて引き取って 云々というだけでは済まないと思いますが、これは室長とも審議官とも何も話をしてい なかったのですが、いかがでしょうか。この委員会をこういう形で開くかは別ですが、 なにしろ1度整理したものを出して見ていただく話があるのではないかなと思います。 ガイドラインの話はいつごろの予定でしたか。10月ですか。要するに、9月末までに先 ほどの岸本委員が言われた3つのことを含めて、できればコンセンサスがあれば欲しい と、私はまとめ役をやっている以上そう言わざるを得ないのですが。皆さんのお考えは いかがでしょうか。 ○松原委員  岸本委員がおっしゃったように、医療においてのIT化は国民のためのものですか ら、それを粛粛として発展させるのは当然だと思います。それから内部においては、こ れまでの歴史で守ってきたと同じに、完璧に外に出ないようにするのは、当然外からの アタックの問題をもって完全にそれは防がねばなりません。問題はいま申し上げたよう に外部に出したときの安全性が個人にとっては取り返しのつかないものですから、やは りそれが1事業者においてされるのは問題だと思いますので、そういったものの管理は あくまでも歴史的に役割を果してきた医療機関、あるいは百歩譲って地方自治体に任せ るまでが限度ではないかという意見で、そこまでの意見を否定するものではありませ ん。要するに、現実問題として外部保存のオンライン化を外に出すのは、やはり間違っ ていると思います。 ○大山座長  予定の時刻になりました。多分いまから1時間伸ばしても無理ですので、それよりは しっかりと議論を整理したいと思いますが、山本委員、何かありますか。こちらもお手 伝いをしますが、ただ前提条件がたくさんあって書かれてないんですよね。 ○山本委員  いまの松原委員の意見を踏まえて、多少モディファイが要るでしょうし、それからい ま申し上げたようにガイドラインは現時点では医療機関に限定したものになっています ので、それをどうするかを合同作業班でもう1度検討してご報告させていただくという ことでいかがでしょうか。 ○大山座長  まずは順番に審議官にそういう部分に、どのように集って議論をするかは別の話です が、何らかの会を設け、お会いするチャンスを作りたいと思います。逆にいうと、9月 いっぱいまで何とか努力し、もう少し整理をして分かりやすくしたいとは思うのです が、それを認めていただけるかどうかということですが、いかがですか。 ○岡島審議官  時期的には、9月いっぱいといってもなかなか難しいと思いますので、日程的なこと も含めてまたご相談させていただければありがたいです。 ○大山座長  皆さんが不安になるといけないので、室長に了解いただけるかということだけお聞き したいのですが。 ○新村室長  最初の挨拶でも申し上げましたが、山本班長以下ご尽力いただいていますガイドライ ン等は、まだ引き続き作業が必要ですし、個人情報保護のガイドラインの行方も見る必 要がありますので、おそらくまだ1、2カ月はかかると思います。本日議論いただいた 点については、再度整理をして大山座長を初め委員の皆様方とも相談をしたうえで、な かなか皆様お忙しいので確かに会議を開けるかはちょっと分かりませんが、E−メール 等も通じてご意見を踏まえつつ、どのような書き方にするかをできれば9月中にひとつ の結論として出したいと思います。当然ガイドライン等を含めて残る部分もありますの でそれは必要ですが、とりあえず9月を目処にご相談させていただきたいと思いますの で、よろしくお願いいたします。 ○大山座長  松原委員に言っていただいて最後のほうに議論したもの以外のところなのですが、こ れについては今日貴重なご意見をいただきまして、まず最初にお礼を申し上げたいと思 います。  この文章、あるいは用語の使い方等に関して、最終的な確認をいただくことはもちろ んですが、それについては事務局を主としてこちらで引き取って対応するという形でよ ろしいですか。 ○松原委員  もちろん私はいま申し上げた1点のみを今回読ませていただいて、大きな問題だと思 いますので法律やプライバシーマークでは補償できないものを補償できるようにするに はどうしたらいいかということを主張しているわけです。 ○大山座長  ほかの委員の皆様方、いまのまま対応させていただければと思いますが、了解いただ けますでしょうか。 ○三谷委員  最終報告(案)というのは、この場で検討するのは今日が最後ですか。 ○大山座長  このような形で検討できるかどうかが、ちょっと気になっていることで、言い方を変 えるといちばん望ましいのは9月エンドではなく、もう少し前までにはここの検討会と してはきちんと報告をしたいと思ってはいます。以降はガイドライン等次のステップの ものについての検討という形を考えています。  いちばん大きな課題として残っているのは、今日松原委員に指摘していただいた点で すので、それはこの場で次に結論というわけにはいきませんので、その他についてはと りあえずこちらで引き取らせていただき、作業させていただきたいと思います。もし意 見がありましたら、急いでメール等もらえれば、それを共有することは問題ないと思い ます。形を作らないと全然進みません。 ○三谷委員  ちょっと文言というか用語で細かなところで恐縮なのですが、詰める時間がなかった ので、できればメールではなくいまこの場で議論ができればと思います。 ○大山座長  いまですか。 ○三谷委員  はい。まだ終わってないと思うのですけれども。 ○大山座長  それでは、5分、10分というお話ですので、よろしいですか。 ○三谷委員  改めてやると大変ですので、この報告書の中の用語の使い方なのですが、用語の補足 解説という分かりやすい表を作っていただいています。医療情報というところから定義 していただいているのですが、診療情報についての言葉がここにもあったほうがいいの ではないかと思いました。2ページの1つ目のポチに、「このような制度的な経緯を経 ながら、実際の診療に係る情報(検査データ、医療画像等)」とあります。ここは、実 際の診療に係る情報という言葉で表現されるところです。11ページの下から3行目は、 「電子保存された電子情報等」となっています。それから最後の12ページの上から2、 3行目は、「保存義務のある診療録等を」。この辺は、いずれも多分診療に関わる情報 のことをいっているかと思いますが、診療情報とかというようなところが1つあり、そ の定義もあったうえで、全体の表現にしたほうが用語の共通理解という部分で理解しや すいのではないかと思いましたので、診療情報といういちばんコアになるキーワードに ついての説明、用語を統一していただいて、なおかつその補足説明に入れていただいた ほうが分かりやすいと思います。 ○大山座長  ほかにご発言はありますか。この報告書の取り扱い、進め方については、先ほど申し 上げたとおりやっていただければと思いますが、ご了承いただけますでしょうか。  今後の予定といってもまだ決まらない話が出ていますが、それ以外のところでは事務 局側から最後に何か状況のお話がありますか。 ○本補佐  特にありません。 ○大山座長  最初に申し上げた合同作業班ワーキングにて作られる電子保存のガイドラインの内容 については、また議論いただきたいと思います。ほかに何かご発言はありますか。 ○岡島審議官  またこのような形の場が設定できるかどうか分かりませんので、とりあえずお礼だけ 申し上げさせていただきます。短期間で非常に濃密な議論を重ねていただきまして、あ りがとうございました。本日いろいろと意見をいただきましたので、大山座長のご指示 の下にいろいろ検討させていただき、またこのような場か別の形かは分かりませんが、 相談させていただきながら取りまとめたいと思います。 ○大山座長  それでは、これで第11回医療情報ネットワーク基盤検討会を終了いたします。ありが とうございました。 (照会先) 医政局研究開発振興課医療技術情報推進室管理係 03−5253−1111(内線2587)