04/08/24独立行政法人評価委員会第15回労働部会議事録       厚生労働省 独立行政法人評価委員会 労働部会(第15回)                        日時:平成16年8月24日(火)                        場所:厚生労働省専用第22会議室 出席者:井原部会長、今野委員、川端委員、篠原委員、竹内委員、寺山委員、古郡委員、     松田委員、本寺委員、横倉委員 1.開会 〇井原部会長  それでは、定刻がすぎましたので、今野委員がまだお見えになっていないのですが、 後ほど御出席いただけると思います。ただ今から第15回独立行政法人評価委員会労働部 会を開かせていただきます。委員の皆さまにおかれましては、お忙しいなかをお集まり いただきまして、誠にありがとうございます。  今回は、保原委員と村山委員が御欠席でございます。  それでは、初めに事務局から本日の議事について簡単に説明をお願いいたします。 〇岩渕政策評価官  それでは、本日の議事について御説明申し上げます。  本日は、初めに総合的評価についてのとりまとめをお願いしたいと存じます。総合的 評価書案につきましては、それぞれの法人担当の起草委員の中からあらかじめお願いし ております4名の委員に、今回の総合的評価の概要・ポイントについて御説明をお願い したいと存じます。そのあと、4法人分まとめまして御審議をいただければと考えてお ります。  二つ目の議題といたしまして、財務諸表に関する意見につきまして、また、雇用・能 力開発機構につきましては剰余金の使途に関する意見も含めてでございますが、これら のとりまとめをお願いしたいと存じます。これらにつきましては、担当の起草委員でい らっしゃいます篠原委員に、8月9日の各法人に対するヒアリングの結果などを踏まえ て作成をいただいておりまして、意見書案の説明のあと、御審議をいただければと考え ております。  なお、これまで4回にわたって評価していただきましたそれぞれの法人の個別評価に つきましては、各委員のお手元に御記入されました評価シートの原本を置かせていただ いております。御参照いただければと存じます。  また、委員の皆さま方につけていただきました個別評価の5段階の評価結果について は、本日、参考資料1ということで集計表を用意しております。その中で、採点者の欄 についてはお名前は消して空欄にさせていただいておりますので、よろしくお願いいた します。  以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 2.議事 (1)総合的評価について 〇井原部会長  それでは、議事に移りたいと思います。  これから、まず総合的評価書案の審議に入りますが、これは勤労者退職金共済機構、 高齢・障害者雇用支援機構、雇用・能力開発機構、労働政策研究・研修機構の順番で各 法人担当の起草委員から総合的評価書案についての御報告をいただきまして、そのあと で4法人まとめて御審議をいただきたいと思います。  なお、議事運営の関係上、御報告時間は各法人とも10分程度でお願いしたいと思い ます。  実は、最初に勤労者退職共済機構担当の今野委員から報告をお願いしておったのです が、まだ見えておりませんので、順番を入れ換えさせていただきたいと思います。それ では、まず高齢・障害者雇用支援機構の起草委員の代表といたしまして、寺山委員から お願いいたします。 〇寺山委員  保原委員が御欠席ということで、急遽、私が代理を務めることになりました。よろし くお願いいたします。  お手元の資料2、「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の平成15年度の業務実績 の評価結果」の1ページを開けていただきます。評価の視点ということですが、この法 人は昨年10月に独立行政法人になりましたので、本年3月までということで6箇月間の 評価ということになりますが、実質的にはそれ以前の13年度、14年度の業績の流れのな かで継続的にその延長線上で評価させていただいたという面もございます。  その次に実績全般の評価でございますが、概ね目標を達している、あるいはそれを上 回っているということで、適正に業務を実施したと全般的に評価できる、というのが委 員の全体の意見でございます。  ただし、1ページの下に三つほど、留意点ということで指摘しておきました。  第1番目は目標達成全般についてですが、ここにカッコで、この言葉が適切かどうか わかりませんが、初年度の頑張りともいうべき効果は大変あったと考えられますが、今 後とも一般管理費とか人件費の削減その他に向けて一層の努力ということで、職員のモ ラルも考えながら努力を大いに期待する、ということでございます。  第2点は、実績につきましては、概ねアンケート調査の満足度と件数、数値に対して は大変よい結果が出ておるわけですが、業務の性質上、たとえば高齢者雇用アドバイザ ーとかジョブコーチとか職業開発訓練校とか職業カウンセラーのお仕事だかと、そうい うところがこれからどのように高まっていくのかというような質的側面の評価は、今回 は不十分というか、今後に期待するということでございます。  第3番目は、昨年10月に日本障害者雇用促進協会と国及び高年齢者雇用開発協会が合 体をして物理的に同じ建物になったということで、始まったばかりでございますので、 高齢者と障害者が別々に運営されてきたという面がなきにしもあらずということでした が、今後、両方の組織がもっている専門的な人材とかノウハウとかさまざまな面、そう いうものを連携と協働することによって業務の質が一層あがることが期待されるのでは ないかということで、この辺の御努力もお願いしたいということです。  たとえば地域就労支援ということで、特に重度の障害者の場合には地場産業を利用し てということがありますし、そういう地域就労支援の場では、高齢者、障害者ともに枠 を設けずに延長線上で考えていくことも大事なのではないかということで、ぜひ御努力 いただきたいということでございます。  2ページは、これはお読みいただくとわかるのですが、いくつか指摘したいと思いま す。  具体的な評価内容ですが、業務運営の効率化につきましては、竹芝事務所へ統合した ということでこれから始まるという部分がございますが、初年度の頑張りで適正以上に よくやったということでございますが、逆に職員のモラルは大丈夫かということが評価 者のほうでは心配なので、先ほど申しましたようなことに配慮しつつ、さらなる取り組 みをお願いします、ということです。  2番目は、サービスの質の向上のお話です。全般的に外部評価も入れたりして大変し っかりと体制が整備されつつあるので、これからに期待するということでありますし、 ホームページの活用についても、視覚障害者への配慮などを行いつつ大幅に件数を上げ たことは大変評価をいたします。  高齢者の雇用支援業務につきましては概ね計画どおりの実績と認められております が、いくつかあります。たとえば高年齢者支援アドバイザーの相談援助については、個 別対応で質的な対応は大変評価しますが、企画立件案数が少なかったこととか、企業診 断システムの活用が十分でなかったというような点はあるので、御努力をお願いした い。  次の調査研究及びその次の啓発広報については、なかなか成果をあげていると思いま すが、今後はこの成果物が高年齢者雇用アドバイザーの方たちなどにも十分に活用でき るような方向に活用いただけるとありがたいということでございます。  それから、在職者を中心とした高年齢者のこれからの問題ですが、高齢期の職業設計 に関する相談は非常に精力的に取り組んだということで、数的にも評価いたします。  そのほか、高年齢者に対するセミナーその他ですが、これは非常にニーズが高いとい うことで、当事者の方たちからも要望があるということで、今後は土・日、夜間のセミ ナーなど、積極的により一層打って出ることが望まれるわけでございます。  次に、障害者雇用支援業務については、全般的に概ね平成15年度の計画どおりの実績 が認められると評価いたしました。  職業準備支援事業については、これは養護学校からその次の就労への移行期というの は非常に大事でございますが、そういうところで実績を高く評価いたします、というこ とです。  ジョブコーチ支援事業も大変ニーズが高いということですが、これは数的には問題が ありましたが、質的な問題、より重度の方を着実に定着させたということでは評価いた します。今後ともこの意気でやっていただきたいということです。  職業リハビリテーションの専門人材の育成については、大変これは多様な取り組みが なされて感服いたしましたということで、これも今後とも努力をいただきたい。  調査研究は、大変精力的な調査研究で質も高いと認めますが、成果物の活用というこ とについては、これもよろしくお願いいたします。  障害者の職業能力開発校でございますが、最近、大変重度の障害者が増えまして、個 別的にしっかりと指導をしなければなかなか就職に結びつかないということでございま すが、ここでは試みが精力的になされてチームティーチングという手法を取り入れて、 79.1%という高い就職率ということでは高く評価いたします。  このほか、広報についても、テレビで取り上げたりして大変精力的に頑張った機構と いうことで書いてございます。  その次の財政内容については、みたところ、平成15年度計画どおりに実施していると いうことで、適正に業務を行っていると評価いたしました。  以上でございます。 〇井原部会長  ありがとうございます。  それでは、続きまして勤労者退職金共済機構担当の起草委員の代表といたしまして、 今野委員から御報告をお願いいたします。 〇今野委員  それでは、お手元の資料に沿いまして、評価の結果について話をさせていただきま す。  1ページの1「平成15年度業務実績について」の(1)でございますが、評価期間 は、第2パラグラフにありますとおり中期目標の初年度の半年間ということでございま す。  評価方法については、(1)の最後から2行目以降にあります「厚生労働省所管独立 行政法人の業務実績に関する評価の基準に基づき評価をした」ということでございま す。  (2)以降が全体の評価の結果について書いてございます。  ここの機構の場合には、大きくいうと二つの基本的なミッションがございます。(2 )は、第1パラグラフの2行目からありますが、「退職金制度への着実な加入」という のが第1番目のミッションでございまして、第2番目が「将来にわたる確実な退職金給 付」ということです。したがって、この2点についてどういう成果があって、さらにこ の2点に貢献するような仕組みづくりがどれだけできたのかということが、評価の基本 的な視点になります。  第2パラグラフ以降は、今いった2点の成果の評価について書いてあります。  まず第1番目のミッションの加入促進の実績に関してですが、この点については、重 点数値目標である加入者数目標がほぼ達成されていること、昨年度に比べ加入者数に一 定の増加がみられること、厳しい雇用情勢と加入促進を取り巻く環境が必ずしも良好で はなかったことなどを考慮すると、初年度としての目標は概ね達成されたと評価をして ございます。  第2番目のミッションは、将来にわたる確実な退職金給付についての成果になりま す。この点については、加入促進に取り組むなどして掛け金収入が改善したこと、運 用、評価体制が整備され、資産運用が的確に行われたこと、経費削減の取り組みが積極 的に行われたこと等から、累積欠損金の減少があるという成果が出ているということ で、肯定的な評価をしております。  さらにそういう成果を支える先ほどいいました基盤の面でございます。ここでは、 (1)、(2)、(3)という三つの点からみておりまして、(1)は組織体制と内部管理体制の 面、(2)は業務の効率性の面、(3)は加入者のサービス体制の面、この三つから、先ほど いいましたミッションを達成するための基盤の面でどういう成果が出ているかというこ とを総合的に評価しております。  (1)については、組織体制と内部管理体制の改編と外部専門家からなる組織の活用、 (2)の業務の効率化については、業務の改善、外部化、電子化の推進などによる運営の 効率化、(3)の加入者へのサービス体制については、諸手続の見直し等による加入者負 担の削減、契約審査期間の短縮、情報提供体制の整備等を進めることよってサービス体 制の充実を進めたということで評価をしております。  以上が全体的な評価ですので、それを踏まえて総論的には、平成15年度の業務実績に ついては適正な業務を実施したと評価ができる、と総合的に評価をしております。  ただ、そうではありますが、いくつかの留意点あるいは課題について指摘をさせてい ただきます。それが、1ページのいちばん最後の(1)以降でございます。  まず加入促進については、先ほどもいいましたように成果をあげているわけですが、 今後も15年度の対策の効果について十分な検証を行って、それをもとにした効果的な加 入促進体制の実施を今後とも進めてもらいたいということです。  第2番目の課題は、先ほどの言葉でいいますと成果達成のための基盤整備の面でこう いうことをやってほしいということが(2)に書いてあります。いろいろ書いてあります が、上から5行目以降を見てほしいのですが、「15年度は独立行政法人化の初年度とし て、今後に向けた適切な体制整備を行ったと考えるが、その体制を的確に活用し、具体 的な成果を得ること、あるいはより高い成果を得るために、体制やその運用について不 断の見直しを行うことが、今後求められるところである。特に適材適所の人員配置や職 員の意識改革等、人材面での体制整備が求められる」。つまり、成果を達成するための 基盤としての仕掛けとか箱ものは整備しています。それは評価をいたします。しかし、 その箱ものは人材面がきちっとしていませんと動きませんよ、その辺についてはまだ課 題があります、そういう趣旨でございます。  以上が全体の評価なのですが、最後の(3)は、ここの機構は複数の事業から構成をさ れておりますので、全体としてよくても一部の事業があまりよくないということがあり ますので、その事業についてはもう少しきちっと考えてください、という趣旨でござい ます。  以上が全体的な評価でして、具体的なそれぞれの内容について評価をしてございます が、今申し上げたことと重複をいたしますので、それを避けるために、以降、少し重要 なポイントだけを指摘をさせていただきます。  まず(1)の業務運営の効率化についてですが、3ページの上を見ていただきたいの です。その前は先ほど総合評価でいったようなことが細かく書いてありますが、そうい うことを踏まえまして1行目から、「組織体制内部進行管理、経費の節減、ともに計画 で求められている以上の実績をあげており、中期目標を達成するために積極的に業務を 推進していると評価をする」と私どもは評価をいたしました  ただし、先ほどもいいましたように組織・人員体制と内部進行管理については、上記 のような組織管理体制の整備が進んでいるが、それを成果に結びつけるための人員体制 の課題があります。つまり、適材適所の人員配置を行うための基準が必ずしも明確でな いとか、職員の意識改革は大丈夫ですか、もう少しやってください、というように、人 材面での課題を少し真剣に考えてください、ということでございます。  次の(2)のサービスその他、業務の質の向上についてです。  まずサービスの向上については、先ほどの言葉でいうとサービス体制の整備がどれだ け進んだかということですので、(1)の下から6行目から結論が書いてあります。「こ れらを踏まえ、サービスの向上についてはほぼ計画に沿った形で着実に進展しているも のと評価をいたします」というのがわれわれの評価でございます。  (2)の加入促進対策の効果的実施については、特に上から3行目以降を注意していた だきたいのですが、その前までは、適格年金が廃止されていい状況にありますよとか景 気回復がどうですよとか環境条件についてありますが、それをここでは「こうしたなか で」と受けております。「こうしたなかで、理事長自らによるトップセールスの実施 や、林野庁の緑の雇用との連携強化など、組織として加入促進に向けて積極的な努力、 意欲的な取り組みが行われた」ということで、トップセールスとか林野庁との連携強化 とか、こういう具体的な対策がなされたことを評価をしておりまして、したがってそれ を受けて、数行あとに結論ですが、「加入促進が着実に実施されたものと評価をする」 ということがわれわれの評価の最終結果です。  ただ、いくつかの課題がありますということで、「しかし」以降です。しかし、積極 的な取り組みにもかかわらず、最大の一般の中小企業退職金共済事業においては、加入 者目標数が達成されておらず、15年度の取り組みは今後の課題ですよと、先ほどの総合 評価でもお話しをした点でございます。  次に、3ページの(3)財務内容の改善についてであります。  (1)の累積欠損金の処理については、上から3行目にございます「550億円の累積欠損 を解消しており、総合的にみて計画以上の成果が得られたものと評価をする」というの が結論でございます。  ただ課題がありますよということで、次のパラグラフの上から3行目以降に書いてあ りますが、「今後も資産運用について安全かつ効率的な運用を基本としつつ、経費節減 や加入促進などと合わせ、さらなる対策の実施に努める必要がある」と考えておりま す。  (2)の健全な資産運用等については、評価としては2行目の後半から書いてあります が、「外部の専門家を積極的に活用した」ということを評価をしておりまして、「活用 し、健全かつ効率的な運用を実施する体制が確立され、資産運用については中期目標を 達成するために積極的に業務が推進された」とわれわれは評価をいたします、というこ とです。  (4)については、少し細かいので省略をさせていただきます。  全体としてですが、ここには書いていなくて、担当いたしました本寺さんと私が雑談 風に話をしたことを、この文章とは別にお話しをさせていただきます。  いろいろな目標は階層構造があると思うのですが、ここの場合の目標の階層構造とい うと、私が先ほどからミッションといっていますが、制度への加入促進と確実な退職金 給付というのがいちばん上位のミッションとしてある。それを実現するための一つの仕 掛けがあって、たとえばここでいうと組織体制の問題、あるいは管理体制の問題、サー ビス体制の問題、要するに仕掛けの面と、今度は仕掛けを使って成果に結びつける人材 の面、本当は情報システムなどでもあると思うのですが、これは最近の経営でいうとバ ランスコアカードといわれるような方式をイメージして今しゃべっているのですが、な にかそういう3ランクがあるということです。  今回は、まん中の箱ものというか仕掛けづくりについては評価をいたします。成果に ついても、先ほどいいましたように、ああ、ちゃんとやっていますね。ただ、箱もの を、あるいは仕掛けを最後の成果に実現するための人材体制の面で少し課題がありそう だ、ということがわれわれの全体的な評価のスケルトンです。  もう1点だけ、そうやって構造をつくるとそれぞれの評価指標はウエイトは一緒じゃ ないよな、という話をいたしました。単純にいってどれだけ数値的にウエイトづけるか というのはいろいろありますが、少なくともいえるのは最初にいった二つのミッション のところの成果の部分がとにかくウエイトがいちばん高い。そして、それを実現するた めの仕掛けづくりと人材というのはそれに続くウエイトの成果目標になりますよね、と いうことを二人で雑談、参考のために議論をしたということをつけ加えさせていただい て、私の話を終わらせていただきます。 〇井原部会長  ありがとうございました。  続きまして、雇用・能力開発機構の起草委員を代表いたしまして古郡委員から御報告 をお願いいたします。 〇古郡委員  報告いたします。  この法人は、平成16年3月に新たに独立行政法人として発足したものですから、実績 の評価というのは、中期目標の初年度1箇月間の達成度について評価したものでありま す。ですから、他の法人に比べて比較的楽だったかなと思います。  評価の視点ですが、これは今野さんが説明されたのと同じです。厚生労働省の所管の 独立行政法人の業務実績に関する評価の基準に基づいて実施いたしました。  全般的な評価ですが、法人設立から1箇月間という短期間の実績評価ということもあ りまして、いずれの評価区分についても、平成16年度中の実施に向けた検討準備事項が 多くなっています。したがって、中期計画に掲げるような定量的な実績の評価は非常に 困難な部分が多くて、実績の評価については判断するのが難しい面があります。  そういうことで、16年度が本来の初年度であると認識して、さらに中期目標計画の達 成に向けて業務の着実な遂行及び効率化を図ることを望む次第であります。具体的な評 価内容ですが、それについてはこれから説明したいと思います。  最初は、業務運営の効率化についてです。これは、平成15年度の業績の評価、効率化 の観点から実施する事業については、特に今回、対象としていません。  次は国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上についてで、第1は、雇 用開発業務です。これについては、労働者の新たな雇用機会の創出を図るためにいろい ろなセミナーを開催している。新規・成長分野企業等の雇用管理改善のためのセミナー とか雇用創出セミナーなどを開催して、受講者も大変多かったということで、このよう な形で雇用管理等や創業に必要な経営管理に関する情報のノウハウを提供したというこ とを考えると、一応計画どおりの実績であったことが認められます。  ただ、セミナーによる成果、効果については、アンケート調査によるセミナー受講者 の満足などだけではなくて、創業の状況等のアウトカム指標による評価を行う必要があ ると考えます。  雇用開発関係の助成金については、制度の理解を促進するための説明会を開催したと いうこと、それから、申請内容の適正化、不正受給の防止を目的として事業所を直接訪 問する等の措置をはかっている。  これらについて、概ね計画どおりに実施されたと認めました。  第2は、職業能力開発業務です。職業訓練の受講促進にかかわる取り組みについて、 特に相当件数にわたるキャリア・コンサルティングを実施した。そして、そのことによ って離職者本人の意欲、適性、能力等を把握して、適切な職業訓練の受講に結びつくよ うな支援をしていることは、大変評価できると思います。  職業訓練の実施段階における就職支援については、施設内訓練とか委託訓練などを行 っています。これらの支援については、そのことによって就職率の向上を図って、職業 訓練修了者の就職率の達成を今後、図るように努めていく必要があると思います。  また、新分野等への事業展開の支援については、起業・新分野展開支援センターにお いていろいろな専門的な相談、情報提供などを行う。それから、公開講座や起業家養成 セミナーなども開催している。ということで、対象者のニーズを考慮して夜間のセミナ ーも実施したことなどは、大変評価できると考えます。  若年者対策については、職業意識を高めるということで、ヤングジョブスポットにお いてさまざまな事業、職業ふれあい事業とかフォーラム事業等、それぞれ何回か実施し ています。  「中高生に対する仕事ふれあい活動支援事業」についても、職業人の講話とか仕事体 験施設の活用、職場体験、就業体験等の活動などを行っている。これも計画どおりの実 績と判断いたします。  また、私のしごと館でのいろいろな展示・体験事業、ライブラリィ事業等、各事業 は、これも若年の職業意識の涵養に資すると認められると判断いたします。  キャリア・コンサルティングについては、各都道府県センター等に配置したアドバイ ザーによって、労働者に対してはキャリアシートの作成指導等といったキャリア・コン サルティングなどを通して情報を提供しているとか、事業者団体及び事業主に対しても 技術的な相談援助、情報提供を行っているということで、その活動は非常に活発かつ意 欲的と評価できます。  あと、職業能力開発関係の助成金については、これも申請内容の適正化、不正受給の 防止を目的として事業所を直接訪問することなどを行っています。これも計画どおりと 認められます。  第3は、勤労者の財産形成促進業務です。これについても、平成15年度計画のとおり 適切に実施されているところであります。  次は、財務内容の改善について。これも、計画どおりということです。  その他の業務運営については、一般管理費や事業経費の効率的な利用に努めることと 人員削減を行う必要がありますが、その人員削減を行った結果が士気の低下につながる ことがないように配慮する必要があると思います。  以上です。 〇井原部会長  ありがとうございました。  それでは、最後に労働政策研究・研修機構の起草委員を代表いたしまして、私から報 告させていただきます。資料4でございます。  この労働政策研究・研修機構は、特殊法人の日本労働研究機構と労働研修所が統合さ れて平成15年10月から独立行政法人として発足したものでございます。したがいまし て、中期目標の初年度は15年10月からの半年間ということになります。  その評価の方針、方向については、ほかの機構とほぼ同じようなものでございます。  当機構の目的でございますが、これは、業務の効率化は当然でございますが、わが国 の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経 済の発展に資するものであったか、これがあるというのが目的で、それが実際に実現さ れているかどうかが評価の視点になります。全体的にいいますと、個別評価を拝見いた しますと非常に高い評価を得ております。それで、全体的にはほぼ適切に行われている というのが全体的な評価でございます。  ほかの機構の場合にはこのあとに留意点が入ってくるわけでございますが、どうもこ の機構の場合には最後に全体の現実に行った業績とちょっと独立した注文がございます ので、それを3番目として最後に「今後の課題と留意点」という形でつけ加えさせてい ただいております。  具体的な評価内容でございますが、この機構は、当然、機構の効率化は最初にあるの ですが、あとは研究活動なり情報を収集するなりいたしまして、その結果について社会 に提供していく、その体制はちゃんとやっておるか、そういうところに視点がございま す。もちろんもう一つございます研修というのも含めてでございますが、それを個別に ここに書いてございます。  まず、業務運営の効率化でございますが、これは省エネルギーの推進とか一般競争入 札導入等々、いろいろの工夫をいたしまして相当経費の節減を行っておりますので、こ こは高く評価できると思います。  2番目として、国民に提供するサービスその他の業務の質の向上でございますが、ま ず業務全般に関する措置、これはシステムづくりです。これは、外部評価機関をつくっ たり、内部の評価を実施したり、月ごとに業務の進捗管理を行うという大変きめ細かい 進行を行っており、これが業務の質の向上をはかるものとして評価できると判断してお ります。ホームページを通ずるアンケート調査と有識者に対する調査の実施を通じて、 世間からの意見を広く把握することにも努力しておるということです。  (2)は、調査研究に関する業務です。ここのところも、外部から労使とか学識経験者 から意見を聞いてこれを研究計画に反映させて、これに沿った計画の推進がなされてい る。それから、いろいろなプロジェクト研究を中心にした部門編成、中期計画に沿った 適切な体制整備がうまく行われておる。今後は、政策提言機能をより強化していくこと が望まれる、というのが一つの注文でございます。  (3)の研究成果に関しては、外部評価等々でかなり高い評価を得ているわけです。当 然、研究をするためには人材の確保と育成が重要でございます。まず人材の確保です が、初年度から学会からの表彰者が出るなど、かなり成果の芽が着実に出ていると思い ます。それから、任期付き研究員を4名採用するという積極的な取り組み姿勢がみられ ます。ところが、一方におきまして4人の人材が大学のほうに流出するということも起 こっておりますので、今後は優秀な人材を流出させないような方法も大事なのではない か、ということをここに書いてございます。  (4)として研究の評価でございます。これは、内部評価及び外部評価を行っておりま すが、これが途中で研究活動へうまくフィードバックさせる体制をつくっていることは 評価ができる点ではないか。  (5)は情報の収集。いろいろな調査を行っておりまして、ここでも幅広く質の高い情 報を収集して、これを公表する努力がなされていることは評価できるのですが、もう一 つ、設定された目標数値が適正かどうか、これに疑問があるという意見も出されており ますので、ここに書いておきました。それから、研究者、有識者の海外からの招へい、 海外派遣、これは年度計画どおりに進められております。これについては、後ほど注文 を出します。  (6)は、研究結果等の普及及び活用。これは必ずサマリーを添付する、これは大変な 工夫でございます。それから、いろいろなニュースレターとか和文メールマガジン等々 がございますが、これを通じて公表を行っております。ホームページ、データベースへ のアクセスも目標をはるかに上回っているという結果になっております。  それから、政策論議の場を提供しておりまして、ここでも参加者の高い満足度が得ら れております。  こういう研究成果等は、研修への活用という形でうまく対応しております。これは、 労働大学校の研修への参加とか、外部機関からの講師の派遣の要請ということを積極的 にやっておりますが、各研究員にかかる負担についても留意する必要があるという意見 がごさいますので、ここに書いております。そして、その回数よりも、今後は効果と内 容も留意する必要があるということをつけ加えております。  それから、研修生からの評価も高かったということでありますが、その内容分析、こ れも後ほど注文をつけます。  財務内容等につきましては問題がありませんので、そのほかのいろいろな上に書けな かったこともちょっと書き加えております。  3番目として、ここに「今後の課題と留意点」としてまとめてございます。上記の評 価結果を踏まえまして、今後の課題として以下の点について次年度以降の評価の際に留 意する必要がある。評価の際に留意するという意味は、われわれがそこでその点を注視 するわけですが、機構のほうでもそれにこたえるようにやってください、という意味を 含んでおります。  (1)ですが、機構の業務実績を評価するにあたっては労働政策の企画立案に資する という目的の達成ということが重要な課題になっておりますが、この直接的な尺度を設 けることが非常に難しかったということがございまして、間接的な評価によらざるを得 なかった。したがって今後は、この評価の対象となる調査研究等の活動が機構の目的と 乖離することのないようにチェックしておくことが必要。これの具体的な意味は、当機 構が学術研究をやめて労働政策の企画立案に資する研究をやるのだ、そういう宣言をし ておりますので、そこが研究成果というところにだけ注目しておきますと、それが学術 研究のほうに偏ってしまう危惧があるということをここに含んでございます。したがい まして、その乖離が起こらないように常にチェックしておく必要があるという意味でご ざいます。  評価の尺度がそういう間接的なものでございましたが、直接的な評価に近づけるため の工夫を行う必要があると書いてございます。  調査研究結果は大変高い評価を得ているわけでございますが、これには短期のものと 長期のものがあるはずだ。いったい機構として長期の目標はどこにあるんだい、それに ついてちゃんと目標に沿ってやっておるのか、そういうことでございます。だから、中 長期的な視点に立った評価の仕組みも検討する必要があるということが、(2)として 書いてございます。  (3)として、各種アンケート調査を実施する場合には、有意義だったとか有効だっ たというのは非常に高い結果を得ておるわけですが、どこのところで有意義だったのか という内容を把握しませんと、これからの業務のよりよい改善につながりませんので、 その理由まで把握・分析する必要があるということをここに書いてございます。  (4)として、研究者・有識者の海外からの招へいとか海外への派遣というのは、そ の数は機構の計画どおりにやっておりますが、海外への派遣とか招へいの数を増やすと いうのはコストがかかることでございますので、それが実績であるということはちょっ と不十分である。したがいまして、機構の目的に沿って実施されているかどうか、目的 の達成に寄与しているかどうか、これもきちんと把握しておく必要があるんだよ、そう いう注文をここに出しております。  以上でございます。  ということで、ただ今の4法人の総合的評価書(案)につきましてこれから御審議を お願いしたいと思います。御意見がありましたら、どうぞお出しいただければと思いま す。 〇横倉委員  3番目の雇用・能力開発機構の関連で、私も担当ということで発言を追加させていた だきたいのです。評価の結論につきましては、先ほどの御報告はそのとおりであります が、初年度はいろいろな仕掛けの段階についての認識ができていることは高く評価でき るのですが、それをそのまま達成の成果という形には出ていないので、とりあえずは留 保したわけですが、むしろ今後への期待といいますかそういう面で3点ほど意見を申し あげたいと思います。  第1点は、この機構は非常に今、大切ないろいろな役割を担おうとしているわけです ね。特に新しい課題がいくつか起こっております。創業、仕事をもっと発掘していく分 野とか、あるいは能力開発を今までの企業主体から個人主導型に切り換えていく要素と か、あるいは今問題になっている若者の就業促進とか、そういう新しい重要な課題が非 常に起こってくるわけです。そういったところから、いくつかの着手テーマはみられま すが、ぜひこのあたりを中期の4年間で国民の期待する方向でやっていただきたいとい うことです。  第2点に、そういうことを推進する場合に法人自らが実施する、例えば施設で就職率 の改善などをやるという直接成果ということより、それも大事ですが、地域とか学校と か、あるいは相手側の企業と連携しながらやっていくオーバーライズ機能みたいなも の、そういう機能も非常に大事ではないかということで、ぜひ連携ということを今後、 重点に運営していただければと思います。  最後に、今までは法人の前身や財団法人の業務とか、あるいは一部、国の業務とか、 いくつかを一本化して今、体制ができつつあるわけですが、そういったもののなかで、 単なる足し算ではなくて、できれば重点目標に対する経営資源の再配分とか効果的な運 営とか、そういう法人の裁量制のようなものを重点に傾斜して今後運営していただきた い。  以上3点を、むしろ期待といいますか要望として申し上げます。 〇竹内委員  この個別評価表ができて評価が行われている、その意見が出ていることは、機構にと って将来の課題とか留意点を指摘していただければ大変参考になって役に立つと思うの ですが、前にも御議論があったように、重みが違うわけですね。機構の主な使命とミッ ションはどこにあるかという点で、同じように個別評価だけではわからないところがあ って、ここの総合評価のところを見せていただきますと、ニュアンスが違って書いてあ るのですね。「適正に目的を達成した」とか「ほぼ適切にできた」とかというふうに文 章は書いてあるのですが、この辺の総合的に機構がどこまで到達した、あるいはどこま で達成したかという総合評価の数量化というか評価というのは、ある程度ニュアンスで やられているので、この表現の仕方で若干差をつけてみえるのか、あるいはもうちょっ とそれは今後やる必要があることなのか、御意見があったらお伺いしたい。 〇井原部会長  たしかにそれは大変難しい話だろうと思うのですが。 〇松田委員  これは当初から出ている問題でありまして、先ほども今野先生が言ったように、それ ぞれの機構が何をなすべきかということからその年度の大きなテーマがあるはずなので すが、最重点課題、重点課題、そういうのがはっきりしていないのです。だから総合評 価は出しようがないということなのです。次回からは何が最重点課題で次はなんなのか ということを出しませんと、重みも決められない、ウエイトも決められない、だからこ ういうことになってしまう。  それはとっくに私も何度も言っていますから。ですから、次回からはそれをはっきり させてもらいたなということです。これは委員の皆さん、みんな疑問に感じることなの ですよ。当初からそれを出しています。だから、結果がこうなってしまっている。 〇本寺委員  今の松田委員の御発言にも連動するのですが、個別評価に関しては、SとかAとかB とかとやって、全体は総合としてどうだったかは言葉である、というルールなのです ね。そのルールは全独立行政法人が共通なのですかね。そういうこととして理解してい いと。この労働部会だけではなくて、たとえば国立病院機構とかなんとか、そういうこ とも含めて一緒なのか。 〇井原部会長  少なくとも厚生労働省の評価委員会ではそうなっています。他の省庁はどうなってい ますか。 〇政策評価官室  今の点につきましては、部会長がおっしゃったとおり、厚生労働省の他の部会につい ては同じようなやり方でやっておりまして、個別の評価はそれぞれ付けておりますが全 体は文章でということで統一させております。他の省庁は情報がありませんので、この 場ではわかりかねるということです。 〇本寺委員  前に総務省から出ていたメモで、Aをつけるのにはそれなりのことがないとだめよみ たいな何かあったような気がして、あれはいかにも会社の人事が文書を発令しないうち にやっているのと似たような趣旨のメモだなと思って読んだ記憶があって、そういう意 味では総合的に組織としてもそれをやっているところもあるのかなと思ったのですが、 それは省庁によって違うということなのですか。 〇政策評価官室  違うかどうか確認できておりません。 〇本寺委員  ということは、基本的な趣旨として松田委員もおっしゃっていましたし、われわれも 今野先生とかとかお話しして、たしかに目標は10とか15とか出てくるのですが、組織が なんのために存在して、結局は大きな目標のためにいろいろな活動があって、だから結 果としてどうだった、というところはクリアにするということは、国民に対する説明責 任という観点から必要なのかなという気がしたものですから。 〇井原部会長  その点については、他の部会もありますので、そこと調整しながら今後そういうテー マを、本当の留意点になると思うのですが、検討していただくしかないと思います。  こういうこともありますよね。初年度というのは体制づくりのところに相当力が入っ ていると思うのです。ところが、初年度が終われば大体体制整備というのは終わるわけ ですから、そうすると今度は当然のことながら重点の置き方も違ってくるわけですね。 そういうところもありますし、それからミッションというのがはっきりしていれば、そ れに従ってまず何が重要で、その結果としてたとえば人材が重要だとかここが重要だと かシステムが重要だとか、それもくっついてきますから、そういう一種の物語のような ものがきちんとできれば、それに従って外部に説明がすごくしやすくなるような気がす るのです。だけど、そういう物語が一つあって、もう一つ全体、他の省庁、他の部会を 通じた決まった形式というのは別途あるわけですね。そこのところをうまく調整してい くことを、また工夫しなければいけないのだろうと思うのです。  そこのところはぜひ事務局でうまく検討していただければ、説得力のあるものが出て くるのではないかと思いますが、なにかアイデアがあればと思います。 〇横倉委員  形式の部分ではある程度の整合性が必要だと思うのですが、それに盛り切れないもの が、評価という場合の意見といいますかそんなもので行われることが盛り切れないもの でしょうか。A、B、Cとかいう範疇以外に具体的な要素を、やはり行政が中心になっ てやらなければならんテーマはいっぱいあるわけですね。そういったものの着手などは 非常に重要な視点がありますので、そういった意見みたいなものを、その場合の方法論 を言っていただければと思います。 〇井原部会長  そうすると、どこに重点を置いてやったのかということが筋道を通してはっきりして いれば、それに従って文章としてちゃんと意見が出せる、そういう話ですかね。今野先 生、どうですかね。重点の置き方を先ほどお話しいただいたという話がありましたが。 〇今野委員  ただ、機構の性格がそれぞれ違いますので、やりやすい機構とやりにくい機構はある と思いますが、私の担当した機構は比較的やりやすい機構なのかなと思いますが。た だ、私が評価の文章を検討するときに便利だったわけです。機構は、最初に一種の目標 の連鎖みたいなものを1枚にちゃんと書いてきたので、それがベースですね。ですか ら、この機構の大目標はこれとこれ、これを実現するためには中目標はこれ。その絵自 身が完成版かどうかは別なのですが、そういう一つの整理をしてきているので。  ですから、最後の総合評価のところは個別評価で順番を変えて書かれているはずなの ですね。だからいってみると、個別評価の順番でほかの機構との並びで順番を項目つく ってみたいなところがありますが、前半の総合評価の場合は重点目標を一番前にもって きたりとかいうことをして整理をしているので、それが各機構の性格が違ってやりにく いところがある、やりやすいところもあるということはあったとしても、その辺は整理 をしないと、われわれも評価がすごくしにくいのではないでしょうかね。ですから、一 種の目標ツリーみたいなのが少し整理をされるといいかなとは思います。 〇井原部会長  そういう感じですかね。それは今後、検討していきたいと思いますが。  あと、なにかこの御報告に関して。 〇寺山委員  四つの法人、それぞれ異口同音に業務の効率化の成果があがったのだけれども職員の 士気が非常に心配だ、ということで配慮点に書いてございます。その点はちょっと気に なるのですが、次回の評価の側からすると、配慮したか、効率は上がったか、どうやっ て評価するかなということを考えていたのですが、その辺で何かお教えいただくとあり がたいのですが。 〇井原部会長  士気が上がるか下がるかというのは心配の対象になるわけだけれども、われわれはそ れについて見るわけにはいかないし、おそらく表現されて何かの指標を出されても困る 話だろうと思うのです。だけれど、われわれは各機構の活動の成果について評価するわ けで、機構の士気が下がるのではないかというのは心配事としてあるのですが、そこを うまく管理しない限りは、機構としてよい成果はあげられないわけですから、直接にそ このところを評価するというのは大変難しいように思うのですが。 〇本寺委員  人事制度を変えるときに、一つのモラルだとか意識調査をやって定点的にとります。 ところが、私が見たなかで一番それを徹底してやっているのは日産です。これはゴーン さんが着任して、そのあと、会社に対する愛着心がどうだとか、とにかくクオリティ・ オブ・マネジメントということですので、すごく気にしているのです。やはり社員の動 機付けという観点からこれはデータとして定期的にとって、それがどの程度改善したか とか、そういうことはやっています。できればそういう仕組みを全独立行政法人で、ひ ょっとしたら共通の質問票でもいいのではないかと思うのですが、やって、ぜひとも半 年とか1年、1年よりも半年の単位がちょうど重なっているので、やって、とりあえず そうしたほうがいいかなという気がします。 〇井原部会長  そういうアイデアもありますので、できるかどうか。 〇今野委員  今の本寺さんの意見の続きなのですが、箱ものというか仕掛けづくりで今回はいった ので、仕掛けづくりでガーッといくと消耗戦に陥る可能性があるなという感じなのです ね。本寺さんがいわれたような案は非常にいいと思いますし、ですからその辺は十分注 意しないと、短期の消耗戦で終わってしまうことがすごく心配なものですから。  これは、個別の機構の話をしていいですかね。 〇井原部会長  はい、どうぞ。 〇今野委員  他もたぶんそういうことはあると思うのですが、労働政策研究・研修機構の場合でち ょっと気になったのですが、今度、新しい機構ができたときに合併したりとか事業内容 を変えたりとかしているわけですね。企業でいうと事業分野の選択と集中を行ったわけ ですね。そうすると、従来の人材のマッピングと、また能力のマッピングと事業構造は 狂うわけですね。そうすると、そこは教育とかそういうことで一生懸命埋めなければい けないわけですね。特に労働政策研究・研修機構は研究という専門がはっきりしたよう なミッションをもっている分野ですので、そこのズレがあれば、教育とかそういうこと にもっとお金をかけるということが最後の課題の中にというか注文の中にあってほしか ったなというのが私の感想です。箱ものでいってプロセス評価を入れて、業績評価へい って締めるけど、どこかで加えるものがないとですね。  いろいろな職種の人が働いていらっしゃると思いますが、いずれにしても事業分野は 変わっているわけで、働いている人はそれに合わせなければいけないわけだから、教育 機会を豊富につくるとか、そこにはお金をかけるとかいうことがなければいけないかな と思いましたので、たぶん他もそういうことがあるかなと思いますが。 〇井原部会長  他にどうでしょうか。よろしゅうごさいますか。今野先生の教育にお金をかけてくれ というのは、ぜひ入れてほしいという話ですか。 〇今野委員  そういう意見があった、でけっこうです。 〇井原部会長  それでは、いろいろ意見が出揃ったようでございますので、基本的にはこのままでよ ろしいということでございます。この平成15年度の業務実績の評価結果につきまして は、各法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会ということもございます が、そこへお伝えするとともに、これを公表したいと思います。  なお、このあと、万が一、誤字・脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合 に対応しなければいけませんが、この点につきましては私に御一任いただきたく存じま す。よろしゅうございますでしょうか。 (2)財務諸表に関する意見等について 〇井原部会長  では、次に移りたいと思います。今度は財務諸表に関する意見等の審議でございま す。財務諸表及び剰余金の使途につきましては、独立行政法人評価委員会の意見を聞い たうえで厚生労働大臣が承認するということになっております。先ほど同様に各法人の 報告を受けて、そのあと、4法人まとめて審議したいと思います。  なお、議事運営の関係上、報告時間は全体で30分程度でお願いします。  そして、財務諸表及び剰余金の使途の承認についての意見につきましては、担当の起 草委員でございます篠原委員からの御報告をお願いしたいと思います。 〇篠原委員  それでは、財務諸表及び剰余金の使途についての検討結果を発表させていただきま す。他の業務実績の評価結果とこの資料5から8までを比較しますと、簡潔なものにな っています。まずこれのそれぞれの意見書について説明し、その後、私からの要望と課 題については口頭でさせていただくということでお願いしたいと思います。  提供された財務諸表等の資料を私がレビューしまして、いろいろな質問事項を各法人 に出しました。それを8月9日、各法人がそれ以上の詳細な資料も加えていただいて説 明を受け、それから追加の質問もさせていただきました。その結果、勤労者退職金共済 機構、高齢・障害者雇用支援機構と、労働政策研究・研修機構の3法人については、ほ ぼ同じ文章になっています。これは、財務諸表及び利益処分に関して申請どおり適当で あるという結論を得ています。  それから雇用・能力開発機構なのですが、先ほどの三つの法人は3項積立という目的 積立金はありませんでした。雇用・能力開発機構は、剰余金の使途ということで目的積 立金を計上しています。これは中期計画の中に書いてある第5の剰余金の使途に規定さ れたものとして剰余金を積み立てることになって、その財源はその限りにおいてしか使 用できないことになっていますが、これは他とちょっと違う点がありますので法人に説 明していただきたいのですが、ここの目的積立金の出た利益は運営費交付金ではなくて 自己収入に基づいて出たもので、全額それぞれ目的積立金に計上されている特徴があり ます。ということで、まず内容について簡単に説明していただきます。 〇石井雇用・能力開発機構経理部長  雇用・能力開発機構でございますが、私どもの剰余金の使途に関しまして御説明を申 し上げたいと思います。資料7−2をごらんいただければと思います。  独立行政法人通則法第44条第3項により、主務大臣の承認を受けようとする額、これ は剰余金の使途にあてるための主務大臣の承認を受けようとする額、すなわち当期の剰 余金を使用目的のある目的積立金として成立することの承認を受けようとする額につい てでございます。その全体承認申請額は1に記載のとおりで、当期未処分利益でござい ます27億3,259万156円でございます。  この金額の利益処分の方法とその内訳は、2の(2)(2)に記載をしておりますが、 使用目的のあるいわゆる目的積立金に整理しようというものでございます。一つは、宿 舎等業務に充てるための積立金、これに25億5,998万5,937円、もう一つは雇用促進融資 業務に充てるための積立金に1億7,260万4,219円、これを整理しようとする申請内容で ございます。  3に記載してありますのは、この額の発生事由、すなわち当期利益が発生をした理由 でございます。これについて御説明申し上げますと、まず当機構の勘定区分の一つでご ざいます宿舎等勘定において発生した利益についてでございます。宿舎等勘定は、福祉 施設の譲渡業務と雇用促進住宅の管理・運営業務にかかる経理の区分でございますが、 前者の福祉施設の譲渡業務は補助金を財源としております。しかし、後者の雇用促進住 宅の管理・運営業務については入居者からの家賃等の収入を財源としておりまして、こ れがこの勘定の財源の大半を占めているところでございます。当期利益は、補助金以外 の収入として得ました住宅の家賃等の収入から管理・運営経費を差し引いた結果、発生 したものでございまして、資料の3ページ目に参考として抜粋を掲げさせていただいて おります。  独立行政法人会計基準第73の参考記載の経営努力認定の考え方を掲げております。こ れに示されておりますとおりに、経営努力により生じたものに該当するものと考えまし て、宿舎等業務積立金に整理することについて、今回、申請をしているところでござい ます。  続きまして、1ページ下段に記載しております一般勘定において発生した利益につい てでございます。一般勘定におきましては、独立行政法人雇用・能力開発機構の業務運 営並びに財務及び会計に関する省令附則第8条第4項の規定に基づきまして、事業内容 ごとに区分経理を行っているところでございます。そのなかの雇用促進融資業務、これ は旧機構法の規定に基づきまして中小企業等労働者の雇用管理改善あるいは雇用福祉向 上のために、事業主や事業主団体に対しまして貸付業務を行うものでございますが、特 殊法人等整理合理化計画に基づきましてこの業務は平成14年度から新規貸付を廃止をし ておりまして、現在は貸付資金の債権の回収が終了するまでの債権管理と回収を行って いるものでございますが、この業務にかかる経理区分において、主に貸倒引当金の戻入 によりまして当期利益が発生しましたので、これを雇用促進融資業務積立金に整理する ことについて、今回、申請をしているところでございます。  この貸倒引当金戻入利益が発生しました主な要因は、貸付金の破産更生債権等につき まして資料の2ページに(1)から(3)まで記載をしておりますが、このそれぞれに記載し た内容のような回収努力に基づきまして貸倒引当金が減額されたことによるもので、債 権管理と回収業務の成果によるものと考えまして今回の申請に至ったものでございま す。  最後に4番目に記載の、これらの剰余金を整理しようとする目的積立金の使途につい て御説明申し上げます。  まず、宿舎等業務積立金につきましては、全国1,500箇所余りの雇用促進住宅がござ いますが、この管理運営上必要な修繕費に充てることにしております。  また、雇用促進融資積立金は、今後の貸倒れの増加に伴う貸倒引当金の増額に応じて これを充てることとしているところでございます。  以上、当機構の剰余金の使途に関して御説明を申し上げました。 〇篠原委員  ということで、資料7−1のいちばん下に記載されていますように、この剰余金の計 上は承認することが適当であるという結論を得ました。そこで、先ほど言いましたよう に、いくつか課題等について述べさせていただきます。  まず、この法人以外の三つは、先ほどの業務実績の評価結果の報告でも経費削減とい うことが報告されているのですが、実は目的積立金が積まれていません。これは前回の 評価委員会でもいいましたが、さまざまな理由があるとは思いますが、今後、目的積立 金を積めるような体制を確立し、いろいろな指摘については整理した上でぜひ目的積立 金を計上できるようにしていただきたいということです。  次に、目的積立金の計上にもかかわる2番目としてコスト情報。業務実績でさまざま な事業を説明しているのですが、いくらかかったというコストが示されていないし、来 年、再来年になってくると、評価においてコスト情報がどうなったということが重要に なると思います。これについては、パブリックの場合は従来、コスト情報をきちっと把 握していなかったという状況があるので、すぐの対応が難しいと思いますので、長期的 な検討に基づいてやらなくてはいけないのですが、これもそれぞれの法人で検討してい ただきたい。  というのは、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会においても、各府省に対し てコスト情報をきちっと把握してください、というお願いは出ています。それと、3月 30日の厚生労働省の独立行政法人評価委員会で、やはり私はコスト情報の把握の検討を してくださいということもありますので、この点についてはぜひ検討していただきた い。  それと3番目として、先ほど出てきましたように公的機関については説明責任という ことから、財務諸表を見ますと通り一遍といいますか、これは様式集に従っていること ではあるのですが、さらにわかりやすく理解しやすいような工夫がいるのではないかと 思います。たとえば区分勘定についても、それぞれ関係者にはわかるような名称なので すが、これは国民の立場で見たときに何をやっているかわからないということで、簡潔 に注記か何かで、あまり長い文章はいらないと思うのですが、一般の人が見て、完全に は理解できなくてもある程度は理解できる、そういう部分の工夫が要るのではないでし ょうか。  たとえば行政コスト実施計算書で、今期、多くの法人が発生していますが、引当外退 職給付増加額がマイナスになっています。ということは益になっているのですね。これ は当然、退職規程が変わったことによる益になっているのですが、それも単なる益とい うことで、普通の人がみれば、当然、退職給付がマイナスになっていることに対して疑 問が出ると思います。また、行政コストの最終的な部分は、国が負担すべき費用という 前提になっているのですが、自己収入が多い法人にとってはマイナスになっている場合 があります。そうすると、一般的にそれをみると、これは国に返還するのかなと理解す ると思うのですが、そういう義務はないと思うのです。そうするとその部分については 何らかの説明をしておく必要があるのではないでしょうか。そういう、よりわかりやす い工夫がいるのではないかという気がしています。  最後に感想なのですが、会計監査人の出した監査で適正といわれている状況で、評価 委員として何がいえるかという部分は非常に悩ましいことなのですが、今回、検討して いる過程で、会計監査人が適正であって、監査上、何の問題がなくても、評価委員とし て限定付き適正とか、あるいは適正に対するある種のものを暗に書かざるを得ない状況 が出てくるのではないかと感じました。これを今回、行わなかったというのは、制度的 にも独立行政法人会計基準の解釈においてもまだまだ未熟なところなのではっきりして いない部分が多い状況から明確な判断が下せませんでした。  たとえば運営費交付金債務残高の内容をみても、評価の点からみるといろいろと問題 があると私は感じているのですが、これは関係者においてさまざまな解釈があるので、 留保とか不適正という段階までいかないのですが、今後、この部分は何年かして関係者 と議論されて成熟してきた場合には、会計監査人が適正であっても評価委員会としても 何らかの意見をつける場合もある、ということも配慮していただきたいような気がしま す。  以上、お願いということでございます。 〇井原部会長  ありがとうございました。では、ただ今の4法人の財務諸表の御報告につきまして何 か御意見がありましたら、お願いします。 〇川端委員  これは教えていただきたいのですが、今の御説明の中で、監査の方たちは適正であっ て評価委員会としては意見というのは、たとえば具体的にはどういうことが想定される のか。 〇篠原委員  監査上は規程に基づいてやればいいということで、たとえば運営費交付金の収益化の 基準が、費用進行基準以外に期間進行基準と成果進行基準があります。今は100ぐらい の独立行政法人があるのですが、五つか六つ以外は費用進行基準なのです。費用進行基 準というのは、あえてこれを厳しい言葉でいうと予算消化型と同じで、従来と文化は変 わらないではないか。管理の仕方も。やはり期間進行基準とか成果進行基準を採用しな いと、個々の業務の管理が適切に行うことができないのではないかと思われます。会計 上の選択の問題とすると、その部分の判断は監査上はノーとはいえない。ですが、われ われ評価の点でみると、きちんといっていないと。独立行政法人の設立の趣旨の目標管 理ということからみると、やむを得ないものだけが費用進行基準であって、それ以外の ものはそれぞれのプロジェクトだとか組織に予算を割り当てて、それとの実際の費用と の差を分析して、その内容が努力したものなのか、あるいは予算が足りなかったとか多 かったとか、そういう分析した集合として出てくるはずです。単に会計上の仕分けでは ないのではないでしょうか。 〇川端委員  経営上の財務管理のところにそこらは出てくる。 〇篠原委員  出てきます。、監査上はそこのところはなんともいえないなと。ですが、ここでその 部分を言わないと目標管理がぐずぐずになってしまうのではないかという心配があるも のですから、あえて評価委員会としてその部分に踏み込むべきかなと。これは個人的な 意見で、いろいろな関係機関とかと議論しないと難しいのですが、せっかく業務実績で は目標管理を行っていますが、会計的な部分が目標管理にうまくマッチしていないとい う感想を抱いているのです。これを一歩踏み出してもらいたいということで、今いった 部分があり得るとみているのです。 〇井原部会長  あと、何かございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。  それでは修正意見もないようでございますので、平成15年度の財務諸表及び剰余金の 使途についての意見書といたしまして、この御意見のとおり厚生労働大臣に提出したい と思います。  なお、このあと、万が一、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の 対応につきましては、私に御一任いただきたく存じます。それでよろしゅうございます でしょうか。  それでは、そのようにさせていただきます。  本日御審議いただきました総合的評価と財務諸表及び剰余金の使途の承認についての 意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づ き、当部会の決定が評価委員会の決定となり、法令に基づく通知先への通知、公表等の 手続が行われることになります。  あとは、これが1回目の評価で、いろいろな問題点等々が相当浮かび上がってきたと 思いますが、来年に向けてどのようにもっていったらいいのかということに関して、せ っかくの機会でございますので御意見をお伺いしたいと思います。先ほどもある程度出 ておりますが、それに追加として何かございますればと思います。  はっきり出ていることは、重点項目を出すべきである。それにつきましては、今野先 生からもおっしゃってくださったように、各機構の目的、ミッションをはっきりさせ て、それを達成させるために必要な要素をそこにツリーのような形でひっつけていくよ うな姿、それを出していただいて、それに対して評価をしていく。それができれば大変 評価が明快になるのではないかということです。それはよろしゅうございますよね。  そのほかに何かお気づきの点がありましたら、ぜひこの際、出していただければあり がたいと思います。 〇古郡委員  この評価の作業の過程で感じたことなのですが、私たちは評価のための評価をしてい るような感じがするのです。より地道な評価をするには何が必要なのかということを改 めて考えることが、今後の大きな課題ではないかと思います。目標はできるだけ数値化 するようにということをいわれているわけですが、なかには数値化できないものもあり まして、そういうものに対する評価をどうするかというようなこともあろうかと思いま す。  それから、なんでも数値化するとなると何か問題が出てくることもありまして、定量 化したときの諸条件をもう少し明確に提示してもらう必要があると考えます。いくつか の法人で、そのときにも特に質問はしなかったのですが、たとえば満足度が90%とか95 %といいましても、調査数が15人とか20人だったとすると、いったいその出てきたもの の意味はなんなのかよくわからなかったりしました。そういうことで、なんでも数値化 すればいいというものではない、評価のための評価をやっているという感じが強くしま した。  それから、中期目標と中期計画がありまして、それを毎年の計画に落としてくるわけ ですね。毎年毎年で、たとえば前年度の計画、業務実績に対して、では今年度、次年度 の計画をどう考えるか、そしてさらなる業績アップを心がけることになるわけです。そ うしますと一生懸命頑張っていくわけですが、大学の場合は目標期間というのが大体6 年だと思うのですが、この場合は法人によって4年とか5年となっていますが、4年た たないうちに目標が達成されてしまうということもあるのではないかと思います。そう したときに目標自体がブレてくる。そうすると、中期目標、計画期間内に目標がブレて きますから、それをまた変えてもいいのではないかと思うのですが、そのようなところ はいったいどうなっているのかと疑問に思いました。 〇篠原委員  職員の士気のことがいろいろと問題になっていましたが、独立行政法人を設立した目 的が人員削減、費用削減になっているので、私も実際に法人にかかわっていますが、士 気というのは重要だと思うのです。総務省の方が説明していましたが、新たな業務とか 何かでこういうのが必要ということで赤字になっていても、この評価委員会で、それは 適切であると評価すれば、予算において考慮されるのでは、ということです。スクラッ プ・アンド・ビルドのビルドの部分もないと、士気が落ちのではないかと心配です。こ ういうチェックがかかっているのだから、必要なものでやるという新たな提案という部 分をされていいのではないか。そうすれば、ここで検討して積極的にそれは重要なので あると判断したら積極的に評価していく、そういう部分も必要なのではないかなという 感じを受けました。 〇松田委員  今の件は、その予算をどこに重点配分するかということによって、モラルが上がるか 下がるかなのですね。ですから、ただ人件費だけの節減をやっていますとどんどん下が っていくということでしょうね。  私は、先ほどの井原先生の労働政策研究・研修機構の中の一つは、ちょっと異論があ るのです。いい研究者をどんどん輩出して、どんどん外に放り出せばいいではないです かね。なにもテーマにとどめておくことはない。もちろん、テーマの枠を外れてはだめ ですよ。すそ野をもっと広げなかったら、限られた中での全く使いものにならない研究 者ばかり増える。外にどんどん要望があって出ていって、また新たな人がそれを追いか けていくような組織にしたほうが、労働政策研究・研修機構としてはいいのではない か。引く手あまたぐらいのいい人材をつくってもらいたい。中にとどめておくことはな い。  ただし、補えるような人材をつくらなければいけないとなりますと、今野先生が言っ たとおり、どのように教育をやって早く戦力化するのか、外に通用する人材をつくるの か、これは労働研修だけではなくてほかにもあると思うのです。そういう活気あるもの にしませんと、限られたなかでの云々だったら、もっとやる気がなくなっていくのでは ないか、そういうふうに感じました。  それから、古郡先生もお話ししていたように、数値の問題ですね。「よかった」「大 変よかった」「満足だった」、その裏のデータを出した法人もありましたよね。こんな 分厚い資料を見ますとね。ただし問題は「受けてよかった」「満足だった」というの で、その後どうなったんですか。ですから今後、5年計画があるわけだから、その5年 がどうだったか。受講した人がどうだったのと、効果測定をやってもらいたいと思うの です。  まず、「よかった」「満足だった」という具体的な中身はどうなの、それをどのよう に役立てていくのか。それを受けた人が1年後、それをどのように活用するようなこと になっているのか。全部はできないかもしれませんが、できるものはやってもらいた い。効果測定がなかったら、予算の無駄遣いと同じですよ。この辺がさっぱりわからな い。ですから、ただ90何%がよかったというのは、私はあまり意味がないなと思ったの です。数だけではなくて、中身の後追いもやってもらいたいということが希望です。 〇川端委員  われわれがこの機構の評価をしていくときに、機構のことは当然、いろいろ説明を受 けます。だけども機構以外の、たとえば企業セミナーみたいなものを、別にこの機構だ けではなくていろいろなところでやっているわけですね。経済産業省の関係もあれば、 県もあれば市もある。そういう機構と関連するような仕事はどういうものがあって、そ ことの関係がどうで、どういうネットワークがあるのか、一段外からの大きい視点から 機構の存在の意義とか、だから、より何に重点をおくべきだ、こういうことをみていく 必要があるのではないか。  だから、機構のもともと定められた目的、役割は当然ありますが、そのもののなかで どういう目標を置き、何を重点にしているか、あるいは場合によっては役割そのものを どう変えていけばいいのかということを含めたときに、機構だけをみていくというので は、少し狭すぎるのではないか。  そういう意味で、ほかのさまざまな関連、あるいは同種のものにどういうものがある のか、それとどういう関係があって、今後、そことはどういうネットワークを形成して いくのか、これは横倉委員がいわれたコーディネートとかそういうところに絡んでくる 話ですが、行政と大いに絡むわけですが、ほかのところとも非常に関連が出てくるはず ですから、そこのところも次回、少し計画、あるいはいろいろ説明をいただくときに含 めていただきたいと感じます。 〇横倉委員  意見というよりも質問に近いのですが、私もこういう行政の法人の運営経験がないの で、むしろ教えていただきたいのです。この行政法人は政策運営のための実施機関であ るという法的な枠組みがあって、それに対する給付金とか予算が設定されて、目的に対 する達成をやるわけなのですが、実際にやっている間に、これがもっと重要だとか、こ の分野についてはむしろ絞り込むべきだとか、いろいろな環境判断が出てくるわけです ね。そういったものをその次の予算に入れ込むときに、なにかの意見とか結果レビュ ー、自己レビュー、そういったものが反映するような項目があって、それが政策運営の 予算にフィードバックしてなにか、そういう仕組みはあるのでしょうか、または、それ はできるのでしょうか。その辺が私はわからないわけです。  したがって、枠組みがあって決められた予算が、先ほどの進行基準みたいな形でこう やってくると、第一線にありながら第一線のじりじりした感情が政策にフィードバック できるような方法は、ここの評価委員会で取り上げてもいいような気がするのですが、 いかがでしょうか。どなたから御返事をいただけるかよくわかりませんけど。 〇井原部会長  何か説明ができますか。 〇横倉委員  質問のポイントが不明確ですか。なにかやりました、やりましたという報告だけで、 それで評価するわけで、われわれが第三者的に勝手に追加意見をいえばそれですむとい うけれど、もう少し材料が、実際に仕事を執行しているあいだにいろいろなことがある と思うのです。それが予算の未消化になったり、あるいは不足である結果をもっと、そ ういうことがどこに出てくるのかなと。法人の報告書の中にそういうものがもっと出る のであれば、そういうものも見せていただきたいのです。 〇井原部会長  それは、1年間なら1年間の活動のなかで。 〇横倉委員  当然、企業であれば企業の経営報告、そういったものの中に次期についてはどうした いとかというのがいろいろありますよね。その種のものが独立行政法人の場合にはない のでしょうかね。 〇井原部会長  本来としては、想定されたとおりにいくはずがないという話ですね。必ず途中で、必 要なものとか必要でないものとかそういうものが出てくるはずだと。出てきたときに、 それをどう処理しているのかという話ですね。 〇横倉委員  そうですね。その執行当事者としての意見があるべきだと私は思うのです。 〇篠原委員  単純に中期計画を淡々とやって評価するというだけではなくて、今いったように状況 が変われば変わるはずですね。私が聞いている限り、他の府省では中期計画を毎年のよ うに変えているところもあります。 〇横倉委員  ローリングプラン。 〇篠原委員  ええ。当然、新たな業務に重点が移っていくのだから、2年、3年、当然合わなくな ってくると思うのです。従来も、その部分も考えながらやればいいよという話ではない という仕組みにはなっているはずだと思うのです。 〇井原部会長  変えることのほうがむしろ自然だという話ですね。 〇篠原委員  と思います。変わらないほうが逆におかしいと。 〇井原部会長  そうすると、中期計画自身に手直しを入れる、と。 〇篠原委員  他の法人ですが、厚生労働省で国立病院の傍聴をさせていただいたのですが、そのと きにある委員の方が、この激動期に5年というのは長すぎるのではないか。3年ぐらい があたりまえ。民間なら当然3年ですよね。ただ、いろいろな関係があるので5年とな ったと考えますが、そういう意味では短くできませんから、いろいろな意見が出てきた 部分をとらえて変更できる可能性があります。そのほうがわれわれも、より時代に合っ て業務を変えているということで、評価につながるという感じもします。  われわれの委員会でも、評価をやっていればいいというよりは、先ほど課題とか留意 事項を出したように、より独立行政法人が目的を達成するためのいろいろな提案をして いますね。イギリスなども調べると、地方公共団体の評価というのは様々な形で導入さ れているのですが、主目的は改善提案なのです。次にステップアップするために評価も 大事なのだけれど、それと同時に、評価委員会とか監査の人たちは改善提案を必ずつけ るようにしています。当然、独立行政法人にとっても、評価だけではなくて、先ほどい ったように、今後こういうことをやるのだとか、そういう部分も積極的にいっていただ いたほうが評価をしやすいし、高い評価になるのではないかと思います。 〇松田委員  一般企業では、目標というのはいじってはいけないことになっているのですよ。計画 は1年ごとの事業年度によってどんどん変わっていくのです。なぜかといいますと、計 画と目標はイコールではないのですよね。ただし、なにか大きな内的条件とか外的条件 が変われば目標もいじらなければいけないかもしれませんから、あくまでもそれにいこ うという意志ですよね。計画が合わなかったら、おっしゃるとおり、直せばいいと思う のです。当然ですね。条件が変われば直さざるを得ない。  ただし、一応5年というものをやりましたら、その到達すべき5年後はどういう姿に なるかという大きなラインは出さなければいけないのでしょうね。それが全然見えない のです、今回は。ですから井原先生もスタートだとおっしゃったのだから、次年度か ら、どういうふうに前年度と対比しながらその道をいくのか、あるいはいじらなければ いけないか、その辺をまずはっきりさせてもらえばよろしいのではないでしょうか。 〇井原部会長  あとはよろしゅうございますでしょうか。  今、いろいろ貴重な御意見をいただいたわけですが、これを現実にどうやって反映さ せていくかという話になりますね。そうすると、これは来年度以降の評価作業に役立つ ような形にしていくという話になります。実はこの厚生労働省の独立行政法人評価委員 会ではほかにも部会がございまして、そこでも同じような意見が出されているという話 なのです。できれば他の部会の状況と合わせまして、来年度以降どうやっていくかとい う、今日いただいた意見をどうフィードバックさせていくかということについて、事務 局でぜひ御検討いただきたいということになると思うのです。実現が難しいところもあ るかもしれませんが、先ほどの、目標はある、中期計画は事情によって変えていくこと が制度として可能なのですね。だから、そこのところも前提としてお考えいただく。  それから、私はよく知らなかったので先ほど事務局にお尋ねしたのですが、16年度の 計画というのはすでにできあがって、それは、もう公表されているのだそうです。私は そこの事情を初めて知ったものですから、ちょっと説明していただけますか。 〇政策評価官室  年度ごとの計画につきましては、この評価委員会で評価してどうこうするというもの ではなくて、それぞれの法人が策定して厚生労働大臣に届け出るという手続なっており まして、その点は中期計画等とはちょっと違うやり方になっております。 〇井原部会長  ということでございます。したがいまして、来年度はもうすでに出ております計画、 それは何を重点としてこうこうこうやったのだよということをはっきりさせながら実績 報告をしていただく、そういう形になると思います。  それから、来年に入りますと各機構が今度は来年度の計画をつくりますが、その段階 においてはもう中期計画を修正する可能性もある、というふうに考えていいのですね。 〇政策評価官室  それでけっこうです。 〇井原部会長  だから、そういう形になると思います。  ということで、事務局でよりよい評価ができるように御検討をいただくということを お願いしたいと思います。そういうことでよろしゅうございますか。あと、何か。 〇篠原委員  年度計画は評価委員会に意見を求めていなくて、先ほどいわれましたように制度上は 単に出せばいいということになっているのですが、各委員の方が、こうだとか、こうな らないとか、ああならないとかいろいろな意見が出てくれば、これは完全に後の祭りに なってしまっているのですが、できれば、制度上そうであっても、前もって何か意見を 聞くというか、単なる討論でもいいのですが、それを参考にして直してもらうぐらいの 機会を設けていただくというのですかね、あってもいいのではないかと。 〇本寺委員  結局、次のプランを立てるというプラン・ドゥ・シー、チェックをやって次のプラン ですよね。われわれがチェックをやって、それとは関係なくプランができる、これはP DCAサイクルを全く無視しているような気がして、ちょっと、あれっ、という感じで す。。 〇川端委員  もしそういうことであれば、たとえば5年計画、中期計画のときにいろいろ意見を、 そして毎年度計画はそれぞれの機構がやるから、われわれは計画の是非を評価できるわ けですね。計画の達成のよしあしではなくて、計画そのものがだめですねという評価を すれば、今のプラン・ドゥ・チェック・アクションが、中期計画レベルで動いていると みれば、考えられないこともないことにはなりますけれど。だから、そこのところをそ うするのか、あるいは今いった、さらに年度ごとになんらかの意見交換を行うのかとい うのは課題だと思います。 〇井原部会長  おそらくそのときの趣旨は、中期目標は評価委員会で承認を受けている。それをなん とか達成するための事業計画を個別に各機構がつくっておるというのが、だから結局は 中期計画は達成するのだよということを前提につくっているというのが建前になってい るのだろうと思うのです。そこに関して、その年度計画が悪ければ中期目標は達成でき ないのだよ、それは自己責任だよという考え方もなきにしもあらずなのですね。そこの ところまでわれわれが口を出すかどうかという話です。 〇篠原委員  責任が重くなります。 〇井原部会長  そう。そして、各年度計画が出てきて、それを見て、こんな計画じゃあ中期目標は達 成できないよということも評価の内容に入っても、それは当然けっこうという話なので はないかと思うのですが。  ということでぜひ御検討をお願いしたいのですが、事務局で各委員の今日の御意見に 関して確認しておきたいこと等があれば、おっしゃっていただければと思いますが。 〇政策評価官室  貴重な意見をいろいろ伺いましたので、本日出てきた意見は来年度以降の評価の進め 方にぜひ生かしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 〇井原部会長  それではここで、今後について事務局から何か連絡事項があればお願いしたいと思い ます。 〇古郡委員  その前に、最初の総合的評価に戻るのですが、先ほど横倉委員から、雇用・能力開発 機構について三つコメントをいただきました。しかし、横倉委員は起草委員になってい らっしゃるのですよ。ですからそういうコメントは、案をここに出してくる前に評価書 の中に入れていただきたかったのですね。ですので、今後の課題のような形で中に織り 込むように少し手を加えていただいたほうがよろしいのではないかと思いますが。コメ ントの内容について。いかがでしょう。 〇横倉委員  それは、入れさせていただければありがたいのですが、なんせ1箇月の評価というも ので保留にしていますので、むしろ。 〇井原部会長  お入れになるほうがよろしいですか。 〇横倉委員  いや、参考意見でけっこうです。この報告は承認していますので。 4.閉会 〇井原部会長  わかりました。  それでは、本日は長い時間にわたりまして、また、7月、8月と長期間にわたりこの 評価を熱心に御審議いただきまして、ほんとうにありがとうございました。これで終わ りにいたします。                                     −了− 照会先  政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係  代)03−5253−1111(内線7790)