04/08/19 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成16年8月19日議事録     薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成16年8月19日議事録 1.日時及び場所   平成16年8月19日(木) 14:00〜   厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(12名)五十音順   井 上 和 秀、 岩  崎   学、 小 嶋 茂 雄、 堺   秀  人、   首 藤 紘 一、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、  ○長 尾   拓、 長谷川 紘 司、 樋 口 輝 彦、 村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(5名)   金 井   淳、 河 村 信 夫、 谷川原 祐 介、 南 部 鶴 彦、   早 川   浩  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   國 枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありが とうございます。当部会委員数17名のうち現在11名の方に御出席いただいております ので、定足数に達しております。なお、河村部会長でございますけれども、都合により 本日は御欠席との御連絡を頂いておりますので、部会長代理の長尾委員に座長をお願い いたします。  それから恐縮でございますが、審議に入ります前に7月23日付けで事務局の人事異動 がございましたので、御紹介させていただきます。まず、大臣官房審議官医薬担当の黒 川でございます。 ○審議官 黒川と申します。よろしくお願い申し上げます。 ○審査管理課長 それから申し遅れましたけれども、私は審査管理課長の川原でござい ます。どうぞよろしくお願いいたします。それから、審査管理課審査調整官の林でござ います。 ○事務局 林です。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 それから医薬品医療機器総合機構の関係でございますが、新薬審査第 二部長の坂本でございます。 ○新薬審査第二部長 坂本でございます。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 同じく、新薬審査第三部長の牧野でございます。 ○新薬審査第三部長 牧野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 また、本日の審議事項の議題3及び4、肝炎の関係でございますが、 参考人としてまして、国立病院長崎医療センター名誉院長の矢野先生にお越しいただい ております。よろしくお願いいたします。それでは長尾先生、以後の進行をお願いいた します。     ── 永井委員着席 ── ○長尾部会長代理 急に代理ということで、議事進行をさせていただきます。不慣れで すが、よろしくお願いいたします。  それでは審議に入ります前に、事務局から配付資料の確認と資料作成に関与された委 員の報告をお願いいたします。 ○事務局 事務局から資料の確認をさせていただきたいと思います。まず資料1〜6ま でが、あらかじめお送りした資料でございます。また本日席上配付資料といたしまして は、議事次第、本部会の座席表、本部会委員の先生方の名簿。それから資料1-2として、 「注射用GHRP科研100特別調査・調査計画骨子(案)」というタイトルのものでござ います。次に資料7といたしまして、「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会における 取扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の指定の要否につ いて(案)」という横長の資料でございます。それから資料8といたしまして、専門委員 のリスト。資料9といたしまして資料5の正誤表でございます。資料10といたしまして、 「優先審査品目の指定について」。以上を配付させていただいております。  それから、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づきます資料作成に関係され た委員の確認でございますけれども、本日の議題について確認いたしましたところ、関 与された委員はいらっしゃいませんので、御報告申し上げます。 ○長尾部会長代理 それでは審議に入りますが、審議事項が5議題、報告事項が1議題 となっております。本日は矢野先生にお越しいただいておりますので、順序を変えまし て議題3及び4から審議を始めたいと思います。それでは、議題3について総合機構か ら説明をお願いいたします。       ── 医薬品副作用被害対策室長着席 ── ○機構 それでは、議題3、資料3の医薬品ヘプセラ錠10の輸入承認可否等及びゼフィ ックス錠100の輸入承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構 より御説明申し上げます。  ヘプセラ錠(以下、本剤)の有効成分アデホビルピボキシルは、ヌクレオチド系逆転写 酵素阻害剤で、B型肝炎ウイルスの増殖を阻害する作用を有しております。B型肝炎ウ イルスに対する抗ウイルス薬として、本邦では平成14年9月にラミブジンを有効成分と するゼフィックス錠が承認されておりますが、ラミブジンを長期間投与することにより、 ラミブジンに抵抗性を示す変異ウイルスが出現することが明らかとなってきておりま す。本申請は、ラミブジン投与中にウイルスが持続的に再増殖し、肝炎が再燃したB型 慢性肝炎及びB型肝硬変患者に対する、本剤とラミブジンとの併用療法になります。ラ ミブジン耐性ウイルスの増殖により肝炎が再燃した患者に対して、既存の治療が有効で はない患者が存在すること、肝炎の再燃はときに急性増悪し肝不全に至るおそれのある 重篤な疾患であることから、優先審査品目に指定されております。なお、海外におきま して本剤は、B型慢性肝炎の適応について平成14年9月に米国、平成15年3月に欧州 で承認され、このほか平成16年8月現在39か国で承認されております。  本品目の専門協議では本日おいでいただきました参考委員の矢野先生を始め、本日の 配付資料8の3ページに示しましたように、大野委員、小池委員、高木委員、谷本委員、 中江委員、米谷委員、吉村委員が専門委員として指名されております。  本剤について品質、薬理、吸収・分布・代謝・排泄及び毒性に関して提出された資料 に大きな問題はないと判断いたしましたので、臨床試験成績について述べさせていただ きます。  まず、有効性に関してですが、国内第III相試験として、ラミブジン投与中にラミブジ ンに耐性を示すYMDD変異ウイルスが増殖し肝炎の再燃が認められたB型慢性肝炎又 は肝硬変患者36例を対象に、ラミブジン100mgに本剤10mgを併用する16週間の非盲検 非対照試験が実施され、主要評価項目である血清B型肝炎ウイルスDNA量の投与16 週間の加重平均値とベースライン値との差は平均値-3.02log10 copies/mLであり、ウイ ルス量の減少が認められました。また本試験に引き続いて実施された長期投与試験にお いて、通算48週間投与時の血清ウイルスDNA量の加重平均値とベースライン値との差 は、平均値で-3.84log10 copies/mLであり、抗ウイルス効果の持続が確認されました。  海外で実施された本剤とラミブジンの併用投与試験については、YMDD変異ウイル スを有するB型慢性肝疾患患者を対象とした第II相試験及び第III相試験が評価資料とし て提出されております。第II相試験では、代償性B型肝疾患患者に対する本剤とラミブ ジンの併用群とラミブジン単独群の二重盲検比較試験、並びに非代償性肝硬変患者にお ける併用療法の有効性及び安全性が検討され、代償性B型肝疾患患者を対象とした比較 試験において、主要評価項目である投与48及び52週時における血清B型肝炎ウイルス DNA量の持続改善率は、併用群では84.8%であり、ラミブジン単独群の10.9%と比較 して有意な改善を示しております。また第III相試験では、ラミブジン単独、本剤単独及 びラミブジン・本剤併用群について二重盲検比較試験が実施され、主要評価項目である 血清B型肝炎ウイルスDNA量の投与16週間の加重平均値とベースライン値の差にお いて、本剤単独群及び本剤・ラミブジン併用群では、ラミブジン単独群に対する有意差 が認められております。  安全性につきましては、国内第III相試験で高頻度に発現した有害事象は、鼻咽頭炎、 頭痛、β-D-N-アセチルグルコサミニダーゼ増加、下痢及び倦怠感であり、いずれも軽 度又は中等度でした。海外の第II相及び第III相試験において併用療法で認められた主な 有害事象は、鼻咽頭炎、頭痛、倦怠感、疲労、ウイルス性気道感染等であり、国内外で 異なる傾向は認められませんでした。本剤における特徴的な有害事象として、海外の本 剤単独投与試験において、本剤30mgを20週間以上投与したときに高頻度で腎機能障害 の発現が認められております。これまでのところ10mgの投与では、国内外の試験におい て、免疫抑制剤の併用等を背景に有する肝移植施行例及び肝移植待機例を対象とした試 験以外では、臨床的に問題となるクレアチニン上昇は認められておりません。しかしな がら、本併用療法を受けた患者及び投与機関に関する情報は現時点では限られており、 市販後においても本剤投与中には腎機能検査を実施して注意する必要がありますことか ら、添付文書の「重要な基本的注意」欄及び「副作用」欄に記載し、注意喚起を行って おります。  また、本併用療法によって肝炎が沈静化した患者に対するその後の治療についてでご ざいますが、今後国内での市販後調査及び海外の情報を踏まえて適切な本剤又はラミブ ジンの中止基準を探索し、肝炎沈静化後の併用療法と単独療法の比較臨床試験の実施を 検討することといたしております。  以上のとおり、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、ラミブジン投与中にウイル スが増殖し、肝機能の悪化が認められた症例に対する本剤とラミブジン併用療法の有用 性は認められ、肝炎沈静化後の本剤単独療法への切替試験の実施を検討することを条件 に承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが妥当と判断いた しました。なお、本剤は再審査期間6年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品 及び特定生物由来製品には該当しないと判断いたしました。また、ゼフィックス錠の本 剤との併用療法に係る再審査機関は6年と判断しております。薬事分科会では報告を予 定しております。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。それでは矢野先生、補足があればお願い したいと思います。 ○矢野参考委員 矢野でございます。ただいま報告がありましたように、B型肝炎の治 療といたしましては、4年前にラミブジンが認められました。この時点で、期待されま したインターフェロンで根本的な治癒が望めなかったわけでございますけれども、ラミ ブジンはB型肝炎ウイルスに抗ウイルス効果が非常に強いということで、期待されたわ けでございます。そして、DNAウイルスが測定感度以下まで抑えられるというのです けれども、それで良くなってやめると再燃が起こるということがほぼ全症例に起こりま した。そういたしますと、やめられないということになってきたわけでございます。そ こで肝臓の関係者の中では、これはパーマネントユーズで、ラミブジンは一生続けなけ ればいけないというのが大体のコンセンサスになってきたわけでございます。  しかし、そうして続けていますと、先ほどのお話にありましたように今度はYMDD のところの変異が起こりまして、YIDDとかYVDDとかいうラミブジンに抵抗性の ウイルスが増えてきて、飲んでいる間に急性再燃を起こしてくるという現象が出てきた わけでございます。現在のところ大体のコンセンサスとしましては、長くパーマネント ユーズにしますと全体の60%くらいにそういう変異ウイルスが出てくるということで す。変異ウイルスが出てきたら必ずすべてが非常に悪くなるというわけではないのです けれども、中に非常に取り返しがつかない症例が出てくるということで、ラミブジンに つきましては警戒することになってまいりまして、使用が頭打ちになってきたというこ と。また、今現在でも16,000人くらいの人たちが使われている中で、変異を抑える方法 がないわけでございまして、そのためこのアデホビルという薬が並行輸入の形で使われ てきたわけでございます。こういう何かの抑えがないと、現場では非常に困っていると いう状況になりまして、この治験が行われているわけでございますけれども、結果的に も欧米で言われていますように、抗ウイルス作用は非常に強いということがクリアにな ってまいりまして、この審議会にかかったというふうに理解しています。  ただ専門協議の結果と比べまして、この承認の可否につきましては積極的に単剤でや れるというものではなく、一応今のところ非常に困っている状態を何とか第二の抗ウイ ルス剤で抑えるという格好での承認が必要だろうということでございますし、第二番目 の用量につきましては10mgと30mgということで、10mgの承認でございますけれども、 30mgでは文献上言われていますような腎障害に対して日本での実績は非常に少ないの で、これから10mgの中で量的なことを更に検討していかなければいけないだろうという ことが議論されました。  また、YMDDの変異株が起こったら使うということでございますけれども、このア デホビルという薬は変異が起こらないウイルスにもよく効くわけでございますので、わ ざわざ保険外の検査をそこで行わなくても、ラミブジンを使っていてもウイルスの量が 上がってくるというのは、臨床的にまず間違いなく変異株が上がってきていると見てい いということで、これは検査をしなくても使っていいだろうということが討議されたわ けでございます。  もう一つ大きな問題は、この慢性肝炎以外に非代償性肝硬変にどう使うかということ でございます。これにつきましては、やはりラミブジンの効果というのは抗ウイルス作 用だけではなくて、アルブミンを非常に上げて臨床的に症状が非常によくなります。お まけに非代償性肝硬変というのは予後悪い病気ですから、メリットとデメリットをとり ますと、メリットの方が非常に大きいということで、ラミブジンが余計に使われるわけ でございます。したがいまして、そういうときのラミブジンの使われ方に対してもこの 抑えのアデホビルということの必要性があるのではないだろうかということになってい ます。  それから、アデホビル単剤についてはどうかということも議論されました。これは30 mgくらいに使いますと、むしろラミブジンより抗ウイルス効果はいいわけでございます けれども、副作用との兼ね合いということがまだそこまでデータがそろっていないとい うことで、現在では併用ということでの議論が進んだわけでございます。  最後に現場の感じといたしまして、やはりラミブジンは非常に抗ウイルス作用が強い のですけれども、それに対する障害を何とか緩和するような抑えの薬をもう一つという ことでこれが是非望まれる薬だというのは、現場の希望として、恐らく肝臓学会その他 で皆さんが思っていらっしゃることだろうと思います。以上でございます。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。既に出ていますラミブジンの非常な有効 性を維持するという意味で、是非この新しい薬を取りあえずは併用で使いたいという非 常に強い現場の要請があるというお話を頂きました。何か御質問がございましたら、ど うぞお願いいたします。メカニズムの違う薬ですので、相補的になるということは予想 されるところでありますけれども、いかがでしょうか。腎障害の問題があって30mgでは なく10mgにしたということですが、もし使われた場合、これはどのようにフォローされ ていくのでしょうか。 ○機構 事務局より御説明させていただきます。市販後におきましては市販後調査を実 施いたしまして、実際にそういった腎障害に関連のあります有害事象の発現状況等も確 認してまいりたいと思っております。また、実際に使用していただく上での注意事項と いたしましては、添付文書の「2.重要な基本的注意」のところに「本剤の投与中は腎機 能検査値の測定を行う等腎機能障害の発現に注意すること」と記載させていただいてお ります。またさらに、同じく添付文書の「(1)重大な副作用」の項にも腎機能障害が現 れることがあるということで、実際の臨床試験での結果も含めて記載させていただいて おります。こちらを通じて十分な注意喚起を行いたいと思っております。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。どうぞ、岩崎委員。 ○岩崎委員 10mgでずっといっていると思うのですけれども、10mgの根拠というのはあ ったのでしょうか。 ○機構 海外の本剤単剤での用量設定試験が行われましたときに、5mgと30mgでは明ら かにウイルスに対する反応性が違うというところから、用量と抗ウイルス作用の部分を モデルを使いまして算出いたしました。そういったところから、10mgと30mgでは効果 がほぼ等しいであろうという推測を行いまして、10mgを使用した臨床試験を実施し、そ こで実際に抗ウイルス効果を確認いたしております。 ○岩崎委員 というのは、海外の話ですよね。国内では…。 ○機構 国内では10mg1本のみの試験を実施しただけです。 ○長尾部会長代理 よろしいですか。もし、ほかのことで何かございましたら。 ○堺委員 腎臓の機能の話が出ましたけれども、私はたまたま内科の腎臓の方が専門な ものですから。高齢者で腎機能障害を伴う方というのは、今日本ではかなり増えてきて おります。腎臓の側から見ますと、そういう方々の中に肝臓にも問題のある方は当然ご ざいますが、恐らく肝臓の方から御覧になっても、肝疾患の方、肝障害のある方で高齢 の腎機能障害者が占める割合は少しずつ増えているかと思いますが、いかがでございま すでしょうか。 ○長尾部会長代理 それでは、矢野委員。 ○矢野参考委員 C型肝炎は特に高齢者が非常に増えて、治療対象も60〜70歳代になっ てきますので、当然おっしゃるように基本的には増えてきていると理解していいと思い ます。ただし、これは日本でやりましたわずかしかこういう試験がいっていないのです けれども、その中では目立ってそういう腎障害が上がってきているということは現在捕 まえられていないのです。文献的に言いますとそういうものが欧米で出てきていますけ れども、何しろ日本ではまだ対象例が少ないので、明確に上がった事例がそれほどない というのが現状でございます。 ○堺委員 ありがとうございます。そうしますと、今機構の方から説明がございました けれども、腎機能障害者は注意して腎機能をフォローするようにという添付文書上の注 意がございますが、高齢者の場合には特に注意していただきたいということ。それから、 恐らくこういう場合の慣例ですからこの表現でいいと私は思うのですけれども、腎機能 を一体どのくらいの頻度で、何を使って調べるのだということがあります。普通臨床の 者は、そういうふうに言われれば1か月か数か月に1回血清クレアチニンを測ることな のだろうなと解釈して、そのように実行いたします。恐らく、これはこれまでの慣例と いうものが表現上あるのかなと思いますが、何か腎機能の慣例というものはあるのでし ょうか。 ○長尾部会長代理 事務局、お願いします。 ○機構 それでは、事務局からお答えさせていただきます。実際に腎機能の障害がある ことをどのようにモニターするかということも審査の中では話が出まして、臨床の先生 方に御意見を頂きましたところ、通常血清クレアチニンを測定するといった形で管理し ていくのが良いのではないかと。測定の頻度に関しましては、先生がおっしゃいました ような通常臨床上行われている月1度といった頻度で観察をしていくことで、通常の診 察の範囲の中で可能ではないかという御意見を頂いております。ですので、特段添付文 書の方には検査頻度等の記載はしておりませんけれども、腎機能にはそういった通常の 診察の範囲内で十分注意をしていただくという形でよろしいのではないかと思っており ます。 ○長尾部会長代理 もしよろしいければ、これを承認を可としたいと思いますけれども、 ほかに何かございますでしょうか。どうぞ、土屋先生。 ○土屋委員 直接これとはあれなのですが、今回の場合は併用ということで限定的にや っているわけですけれども、その併用を担保するようなやり方と言いますか、実際は薬 そのものではなく、使用の安全ということを担保するためにどちらかの飲み忘れを防止 するとか、例えばランサップ、あれがいいとは言いませんけれども、これは1つのシー トの中に併用する薬がすべて入っているわけですね。患者の意識が高いので恐らくそれ は余りないとは思うのですけれども、こういう併用の飲み忘れ防止などというのは、こ ういう併用療法というか、飲みが認められているときに考えられるという話はないので しょうか。 ○長尾部会長代理 よろしいでしょうか。 ○矢野参考委員 一般的に使われるときに、最初から併用というわけではないのです。 恐らくこれはラミブジンを使っていて上がってきたときに使うということでございます ので、基本的に最初から併用の流れというお話とはちょっと違うのではないかというふ うに思っています。 ○長尾部会長代理 ほかにいかがでしょうか。今出ました高齢者のことや安全性の問題 は注意してやっていただくということで、これはお認めいただいてよろしいでしょうか。 どうもありがとうございます。それでは承認を可といたしまして、薬事分科会報告とさ せていただきます。  それでは次に議題4に移ります。総合機構の方からお願いします。 ○機構 議題4、資料4-1〜4-3、医薬品ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mLほかの輸 入承認の可否等、並びにレベトールカプセル200mg及びイントロンA注射用300ほかの 輸入承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し 上げます。  本申請は、ペグイントロンとレベトールによる新規併用療法と、既承認のイントロン とレベトール併用療法におけるレベトールの用法・用量の一部変更等でございます。  ペグイントロンの有効成分ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)は、血 中薬物消失時間の延長を目的に、既存のインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え) に平均分子量約12,000のモノメトキシポリエチレングリコールを結合比率1:1で共有 結合させたインターフェロンの誘導体であり、米国シェリング・プラウ社において開発 されたものでございます。類似のポリエチレングリコール化インターフェロンとしまし ては、昨年10月にペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)がC型慢性肝炎 に対する単独療法で承認されております。  イントロンとレベトールの併用療法は平成13年11月に承認されておりますが、イン トロンの投与は治療初期に2週間の週6回投与を行い、以後週3回の間歇筋肉内投与と されておりました。ペグイントロンとレベトールの併用療法では、ペグイントロンは週 1回皮下投与とされており、コンプライアンスの向上が期待されます。また、対象とな る疾患が将来的に肝癌に進展するおそれのある重篤な疾患であることから、優先審査品 目に指定されております。なお、海外においてペグイントロンとレベトールとの併用投 与は、欧州では平成13年3月、米国では平成13年8月に承認され、平成16年8月現在 68か国で承認されております。  本品目の専門協議では、本日参考委員として御出席いただいております矢野先生を始 め、本日の配付資料8の4ページに示しますように、川西委員、小池委員、小長谷委員、 高木委員、中江委員、米谷委員、吉村委員が専門委員として指名されております。  ペグイントロンとレベトールの併用療法において品質、薬理、吸収・分布・代謝・排 泄及び毒性に関して提出された資料について大きな問題はないと判断いたしましたの で、臨床試験成績について述べさせていただきます。  まず、有効性に関してですが、C型慢性肝炎の中でも難治とされておりますウイルス のジェノタイプが1bでかつ高ウイルス量の患者506例を対象とした国内第III相試験に おいて、主要評価項目である48週の投与期間終了後経過観察期間24週時のウイルス陰 性化率は、週1回体重1kg当たり1.5μgのペグイントロンに連日600〜1000mgのレベ トールを併用した群で47.6%であり、対照群であるイントロン・レベトール併用群 の44.8%に対する非劣性が検証されました。また、今回の第III相試験ではペグイントロ ン併用群及びイントロン併用群とも48週間の投与が行われましたが、イントロンとレベ トールの併用療法を承認いたしました平成13年時の24週間投与によるウイルス持続陰 性化率はジェノタイプ1bかつ高ウイルス量の患者に対して16%であったことから、両 群共にイントロン併用療法承認時と比較して高率のウイルス持続陰性化が得られており ます。  ただし、48週間の投与中に治験薬の減量、休薬又は中止を要した患者が、ペグイント ロン併用群で71.7%、イントロン併用群で68.3%に上っております。これはイントロン 併用療法においてヘモグロビン減少及び白血球減少等の血球系の減少が高頻度に発現す ることが知られていたことから、本試験開始前に被験者の安全確保のために設定した治 験薬の減量基準に従って、多くの患者で治験薬の減量等の措置が採られたことによるも のです。減量・休薬を伴いながらもペグイントロン併用群では79.5%及びイントロン併 用群では78.6%が48週間の投与を完了したことから、審査において、用法・用量は体 重1kg当たり1.5μgとするものの、患者の状態に応じた減量の必要性を明記すること とし、さらに投与前ヘモグロビン濃度、好中球数及び血小板数が低値の患者、並びに女 性及び高齢者は減量を必要とする可能性が高いことから慎重投与とし、減量を要する頻 度が高くなる旨の注意喚起を行うことといたしました。  次に安全性に関してですが、国内第III相試験において、ペグイントロン併用群ではイ ントロン併用群と比較して注射部位紅斑等の投与部位障害が多く発生した点、治験薬の 減量を要した血球系有害事象の発現時期及び減量後の検査値の回復に関して、検査値の 回復に若干遅れが認められた点等の差が認められております。そのほか白血球減少、ヘ マトクリット減少等、血球系の有害事象が多く報告されておりますことから、添付文書 の「用法・用量に関連する使用上の注意」において、血球系検査値に関する開始基準、 減量基準及び中止基準を明記するとともに、検査結果より重篤な有害事象発現が懸念さ れる患者については投与開始から2週間は原則入院させるよう記載することといたしま した。また、「重要な基本的注意」の項には、国内第III相試験における治験薬の減量を 要した血球減少の発現時期を考慮し、投与開始後8週間は毎週、以後は4週間に1度検 査を実施することを記載いたしました。  さらに海外での市販後安全性情報において、本併用療法の有害事象に起因した可能性 のある死亡例が報告されておりますことから、医療機関に対しては説明資料等を通じて 十分な説明を行うこととしております。  なお、市販後におきましては、本併用療法におけるペグイントロンの低用量での有効 性及び安全性を検討するための臨床試験、並びに本申請でレベトールは体重60kgと80kg を境に投与量が区分けされておりますが、その体重による区分けを、より安全性を重視 した区分に変更することを検討する臨床試験が実施される予定となっております。  以上のとおり医薬品医療機器総合機構での審査の結果、ジェノタイプ1bかつ高ウイ ルス量のC型慢性肝炎患者におけるウイルス血症に対するペグイントロン・レベトール 併用療法の有用性は認められ、ペグイントロン及びレベトールの更なる臨床的有効性及 び安全性に関する情報を得るための市販後臨床試験を行い報告することを条件に、承認 して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが妥当と判断いたしまし た。なお、ペグイントロンは再審査期間6年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物 由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断いたしました。また、レベトール のペグイントロンとの併用療法に係る再審査期間は6年と判断しております。薬事分科 会では報告を予定しております。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。    ○ 長尾部会長代理 どうもありがとうございました。これはペグ化した製剤ですので、1 週に1回の皮下投与で使えるということで、従来のものよりは利便性が高いというのが 売りであります。矢野先生、何かございましたか。               ○ 矢野参考委員 御存じのように、C型肝炎に対するインターフェロン治療は長い歴史が できまして、ルーチンの検査にもなってきたわけでございますけれども、どうしても高 ウイルス量でサブタイプが1bというような日本で一番多いジェノタイプを持ったC型 肝炎患者に効きが悪いということが問題になってまいりました。それで、ここにありま すように、平成13年11月にイントロンとレベトールの併用が承認されたわけでござい ます。ただこのときの承認は、先ほどのお話にもありましたように、持続的にウイルス がいなくなって肝機能が全く正常になるという完全治癒率がわずか16%であったわけ でございます。  ところが、今回のペグイントロンとリバビリン、あるいはイントロンとリバビリンで ペグ化していないものと比較いたしましても、44.8%、47.6%と高率に治癒が期待され ることになったわけでございます。先ほどもお話があったかと思いますけれども、これ までと違って治療薬の長期投与がこの治験で行われたということで、今まで肝臓学会の 常識でありましたリバビリンを加えることによって難治性群でも20%治療効果を上乗 せできますと言っていたのが、これで言いますと40%以上の上乗せができるものが出て きた。その原因は、やはり長期の治療が行われてきたというようなことになって、長期 投与が完全治癒には非常にいいこととなってくるということでございます。   そこで、先ほど長尾先生からのお話にありました使い方の利便性ということで、 Pegylateして週1回の筋肉注射で済むという使いやすさは治療のコンプライアンスに 非常な利点が出てまいりまして、単なるイントロンの週3回の注射よりもはるかにコン プライアンスを上げられることを考えますと、計画治療が非常に済みやすいというよう なことで治療効果が上がってくるという側面もありまして、臨床的には非常に有用では ないかというふうに、皆さんの意見も一致いたしているところでございます。  ただ、ここにありますリバビリンについての副作用、ヘモグロビン及び他の血球に対 する減少というようなことに対しては以前と同様でございまして、3週から6週に至る までにかなりのヘモグロビン低下が来ますけれども、それから一定になる、ある例では それよりも下がってくるという、非常に厳しいことがございます。計画どおりに進まず に、それこそ最初の計画よりも70%以上も減量しなければならないという事態は一緒で ございますから、そこさえ用心して使いますと、50%近い完全治癒率という効果は非常 に有効だと皆さんの協議の中では議論されたところでございまして、これは是非進めて いただきたいという結論でございました。以上でございます。           ○ 長尾部会長代理 どうもありがとうございます。非常にポジティブな御意見を頂きまし たけれども、御質問がございましたらどうぞ。 ○堺委員 ちょっと妙なことを言い出すようですけれども、せっかく良い、あるいは有 効な望ましい薬ができまして、ここの場で薬効あるいは安全性を中心に採用すべき薬と いうものが論んじられるわけでございます。それが承認されました後に今度は市販後調 査という段階に移ってまいりますけれども、有望な薬が本当に我が国で広く使われたか どうかというようなことも、機構のお仕事にそこまで含まれるのかどうか分からないも のですが、いい機会なのでちょっと申し上げようと思っております。  どういうわけで使われるか、あるいはどういうわけでせっかくの薬が使われないかと いうことを、可能ならばお調べいただくことを御考慮いただきたいと思って発言してお ります。何を言いたいかといいますと、今までは特にDPCになりますと入院中の患者 さんは薬が全部包括されましので、インターフェロンなどは実は薬剤によって非常に価 格差がございます。DPCになって少し使いにくいというものも実際にそういう現象が 起こっておりますが、一方ではこのように1週1回ということになりますと外来治療が できるという点で、そういう方面からもコンプライアンスが期待はできるかなと思って おりますが、このように機構で御承認になってその後調査をなさいますときに、普及し たかどうか、使用頻度が上がったかどうか、もしそれが増えていかない場合に、一体ど ういうわけで増えていかないのかということも将来検討するかどうか御考慮いただけれ ばと思って発言させていただきます。この会の本来の議題とはちょっと外れるかもしれ ませんが、申し上げさせていただきました。 ○長尾部会長代理 どうもありがとうございました。せっかくの機会ですので、どなか たコメントを頂けますか。では、安全対策課長。 ○安全対策課長 市販後につきましては、安全性を中心に、例えば市販直後から6か月 間の市販直後調査というものがございます。これにつきましては、今のところ情報提供 をきちんとやっていただくことと、それから副作用が発生したときにいち早く情報収集 するというところが眼目で、特にどのくらいの患者さんで使っていたかとか、その辺の 情報までは集めるようにはなっていないわけでございますけれども、その辺りの状況等 を含めて、情報を取れるような工夫をこれから少し考えていければというふうには思っ ております。 ○長尾部会長代理 では、矢野先生。 ○矢野参考委員 今インターフェロンのことが出ましたので、一言。そういうことに関 しまして、その後やはり学会ではかなりいろいろな評価が出ているところでございます。 特にインターフェロンにつきましても10数種類ありまして、その価格差がべらぼうに高 いわけでございます。ただし、天然型インターフェロンになりますと、これは静注で非 常に短期に済むとかいうことがございまして、非常に利便性もあるわけでございますけ れども、高いということと、腎障害がくるということがございます。また、今度は遺伝 子組換えになりますと、うつ病が出てくる、これが出てくるというように、ばらばらで ございます。値段もばらばらですが、特徴もばらばらということで、その辺で大体チョ イスが出てくるということでございますので、インターフェロン一括ではなかなか難し いところがございます。  また、一般的にそこまできれいに区分けして使っていられるかはちょっと別なのです けれども、専門家の間では大体その評価が決まっていると思います。特に今日ここに出 ましたイントロン アルファとベータにしましても、先生御存じのように市販された需要 は全然違ってまいります。したがって、同じリバビリンを加える加えないにしても本当 に評価していいかどうかというくらいの違いがございますので、その辺はやはり学会の 評価などになってくるのではないだろうかと思っています。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。今の堺先生の話には制度的な問題もちょ っと含まれているような印象だったのですけれども。では、岩崎委員。 ○岩崎委員 先ほど用量のことを言ったのですけれども、今回かなり減量、休薬が多い ということは、ちょっと用量が多めなのかなという気がするのです。したがって、そう いった治療の方がいい、普通だったらだんだん上げていくという治療もあると思うので すけれども、今回のように少し多めに入れておいて休薬する方が治療効果が高いという 理由があるのかどうかということが聞きたいことの第一点です。  第二点目は、統計サイドとしては中間集計の話が大分書いてあったのですけれども、 それに関して質問が終わったときにちょっとコメントを頂ければと思います。 ○長尾部会長代理 では、お願いします。 ○機構 本剤の用量が高いのではないかという御指摘を頂きました。こちらの医薬品に つきましても、国内では1用量でのみ試験が実施されております。この用量が設定され た理由といたしましては、海外でペグイントロン単剤の試験を行ないましたときに、体 重当たり1μgと1.5μgの比較臨床試験を行いまして、1μgと1.5μgでは投与中のウ イルスの陰性化率に差があったと。そのまま再燃が起こりましたので、最終的に1.0と 1.5は持続的なウイルス陰性化率は同じということで、欧米の方では単剤につきまして 1.0μgで承認が下りております。しかしながら、1.0と1.5では投与中のウイルス陰性 化率が異なるということになりますと、ここにリバビリンを乗せたときに、リバビリン にはウイルスの投与終了後の再燃を予防するという作用があることが確認されておりま すので、投与中のウイルス陰性化率の高い方を選んだ方がよりリバビリンの効果が出る のではないかと申請者は判断して、1.5μgの1本で試験を実施しております。  ただ、やはり御指摘のように、実際にやってみるとその用量で耐えられる患者さんは 非常に限られた方であるというところから、確かに投与量が高い方が抗ウイルス効果は 高いのですけれども、特に女性ですとか血球の低い患者さんなど、すぐに用量を下げな ければいけない方の場合は、最初にこのような高い用量からスタートする必要が本当に あるのかどうかという点が当然疑問として出てまいります。そこの点に関しましては、 市販後に市販後臨床試験という形で1.0μgと1.5μgの有効性と安全性を比較する試験、 また減量の用量につきましても、今は一律半量ということにしておりますけれども、二 段階に分ける形で減量の用量の妥当性についても検討し、場合によっては用法・用量の 見直しを行うことを計画しておりまして、またその部分は承認条件として付させていた だいております。一点目に関しましては、そういうことです。 ○長尾部会長代理 よろしいですか。 ○岩崎委員 臨床でないので分からないのですけれども、要するに、普通だともうちょ っと低めのところからやるというのが今までのやり方だったと思うのです。ですから、 そのときに高めのところからいって、ある種の、例えば女性とかそういったところはす ぐに下げるようなことにするというのは、ちょっと今までとは違う感じだったので質問 したのですけれども、もしその方が効果が高いというのであればそれはそれで構わない のですが、ちょっと安全性の面から疑問かなとは思います。 ○機構 分かりました。投与量の高い方が抗ウイルス作用が高いということからこのよ うな用量を選んでおりますが、安全性を考えると、更にもう少し国内での検討が必要と いうことを考えております。  それから中間集計のことに関してなのですけれども、国内第III相試験に当たりまして は、4回にわたる中間集計が行われたということがございます。今回の試験はオープン 試験で行われましたので、この中でこういった何回も結果を集計するというのは実際に 試験を行う上で適切であったとは審査側の方でも思っておりません。申請者の方には、 なぜそういうことをやったのかという理由を聞くと、結果が早く知りたかったというこ とに多分尽きるようでございます。  それで、実際それが一体どのような影響があったのかというのは審査においては非常 に重要なポイントになりますので、実際に中間集計を行った時点と行った前と後で、こ の場合有効性に関しましてはウイルス陰性化率でして、操作が行えるようなものではな いのですけれども、例えば患者さんの取扱い、評価対象であった患者さんが評価対象で なくなったりといった操作が万が一にも行われますと結果に影響しますので、そういっ た事例がないかどうかというところに関しては審査側で確認いたしました。そのような 中間集計によって患者さんの取扱いが影響を受けたというようなことはないと実際の患 者さんの取扱いの状況を見て判断し、この資料によって評価することは妥当であると判 断いたしております。 ○長尾部会長代理 ありがとうございます。矢野先生、その減量の仕方で何か御意見ご ざいますか。 ○矢野参考委員 御存じのように、インターフェロンはいろいろ量が違っているわけで ございますので、このときの本当の力価自体が、ここに挙げてある単位を丸々生物学的 な反応の一単位ととられるかどうかというところも疑問でございます。どちらかという と、これは今各インターフェロンでかなり違った量の中で決められていると理解してい ますので、そこのときは正確にaとbが一緒かどうかということなど、ちょっと難しい 判定ではないかと思っております。 ○長尾部会長代理 分かりました。ほかの点について何か御意見ございますでしょうか。 よろしいでしょうか。それでは承認を可といたしまして、薬事分科会報告とさせていた だきます。矢野先生、どうもありがとうございました。             ── 矢野参考委員退席 ── ○長尾部会長代理 それでは、次に議題1に移ります。総合機構から説明をお願いいた します。 ○機構 議題1、資料1、1-2、医薬品注射用GHRP科研100の製造承認の可否等につ いて、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。なお、本品目の審査は医薬品医 療機器審査センターの時代から行われていたものですが、平成16年4月1日に独立行政 法人医薬品医療機器総合機構が設立されましたことから、以後は医薬品医療機器総合機 構としての審査の概要を述べさせていただきます。  塩酸プラルモレリンは、アミノ酸6個からなる合成成長ホルモン放出ペプチドです。 視床下部及び下垂体に作用して成長ホルモン分泌を促進する薬剤であり、成長ホルモン 分泌不全症の診断薬として開発されました。  本申請の専門委員としては、資料8にありますとおり、岩崎委員、内村委員、大澤委 員、金井委員、寺元委員の計5名が部会長名で指名されました。  各試験成績について御説明いたします。まず、非臨床試験の成績としては、本剤には 生体内各部位での成長ホルモン放出因子(GHS)受容体を介した機能が考えられます が、毒性試験では血漿中ホルモン濃度の変動以外の関連する各所見は臨床用量の300倍 以上で発現しておりました。また、本剤は成長ホルモン放出因子(GHS)受容体アゴニ ストであり、消化管に対して一過性の作用を有しておりますが、その作用は弱く、重篤 な消化器系障害を示す可能性はないと考えております。その他、特に留意すべき所見は 認められませんでした。  臨床試験の成績といたしましては、第I相試験に引き続き第II相試験で、健康成人男 性を対象とした成長ホルモン分泌能に対する用量反応性と再現性検討の試験、低身長を 主訴とする小児を対象とした成長ホルモン分泌能に対する用量反応性検討の試験、完全 型成長ホルモン分泌不全患者を対象とした成長ホルモンの分泌能を調べる試験の計3試 験が、第III相試験として、完全型成長ホルモン分泌不全症の診断における基準値検討の 試験、及び成長ホルモン分泌能に対する年齢、性別、肥満の影響を検討した試験の計2 試験が実施され、評価資料として提出されました。  第II相試験の成績から、成人の用量は最大の成長ホルモン分泌刺激作用が得られる 100μg、小児については2.0μg/kgと判断されました。第III相試験では、本剤投与によ りインスリン負荷試験よりも強い成長ホルモン分泌作用が認められ、感度・特異度曲線 の解析により、基準値が15ng/mLとなると判断されました。また、臨床試験の副作用発 現率は32.6%(74/227例)であり、主なものは熱感35件、腹鳴28件、発汗12件であり ますが、症状は軽度、一過性のものでありました。本剤に特有な副作用として腹鳴があ りますが、本剤はグレリンと同様に成長ホルモン放出因子(GHS)受容体アゴニストで あり、消化管に対して一過性の作用を有していることから、この発現に関与している可 能性はあると考えています。  申請時には効能・効果が「成長ホルモン分泌機能検査」と設定されていましたが、専 門委員との協議において分泌機能低下患者のみならず分泌機能亢進患者にも使用可能と 考えられてしまうこと、さらに市販後に重症に限定しない診断基準値に変更される可能 性等が指摘され、効能・効果を「成長ホルモン分泌不全症の診断」と変更し、「効能・ 効果に関する使用上の注意」の項を新設して分泌機能低下患者への使用を明確にすると の回答が申請者から示されたことから、機構としても効能・効果を「成長ホルモン分泌 不全症の診断」とすることが適切であると判断いたしました。  また、診断基準値について15ng/mLの妥当性については専門委員からも現時点では容 認できるとされたものの、市販後に診断基準値の妥当性の確認、及び小児を含む中等症 成長ホルモン分泌不全症の診断基準値が設定できるような適切な市販後調査を行う必要 性が指摘され、機構としても市販後調査が必要であると判断したことから、指導事項と して市販後調査(特別調査)の実施を申請者に求め、本日お配りしております資料1-2に ありますような調査計画の骨子が提出されております。なお、当然のことながら、本剤 の副作用についても市販後に詳細に調査されます。  以上のような審査の結果、本剤は既存の診断薬と比較し、成長ホルモン分泌刺激作用 が強く、再現性も良好であり、また重篤な副作用も認められていないこと等から、安全 性に特段の問題はないものと判断しています。さらに本剤投与により、投与後60分まで に血清中成長ホルモン濃度が頂値に達することから、他の負荷試験よりも拘束時間が短 くなり患者の負担の軽減にもなることから、本剤は重症成長ホルモン分泌不全症の診断 に有用であると考えられ、市販後調査の実施を指導事項として付した上で、本剤を承認 して差し支えないと判断いたしました。  本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当で あると判断しております。なお、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せ ず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しており ます。薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたしま す。                                      ○長尾部会長代理 ありがとうございました。これは成長ホルモン分泌受容体アゴニス トということでメカニズムは新しいし、それからこれは世界的にもまだ使っていないの ですよね。今回ここで承認されると最初の実用化というものであります。特異的な受容 体を刺激するということですので、従来使われている方法よりは副作用が少ないとか、 再現性がいいとか時間が短くていいなど、いろいろなメリットがあるようでありますが、 御意見、御質問ございましたらお願いします。はい、村勢先生。          ○ 村勢委員 薬剤そのものに関しては特に異議はございません。確かに既存の診断薬と比 較して有用であるということで、そうであろうと私も思います。問題は添付文書の方な のですけれども、「判定方法」とあっていろいろと書いてあるのですが、要するにこう いうものに診断基準のところまで考察するということは必要なのかなという気がいたし ます。しかも添付文章の「判定方法」の一番最後から3行目の「しかし、本試験での血 中成長ホルモン値が15ng/mLを超えても、他の所見から重症成長ホルモン分泌不全が疑 われる場合は、他の刺激試験を考慮すること」という項目が入っています。確かに成長 ホルモンの分泌不全を証明するのはインスリンは特に低血糖が怖いということもありま すが、これはスタンダードになっているらしいのですけれども、あとはグルカゴンにし てもアルギニンにしてもいろいろあるわけですので、いろいろな混乱を起こしかねない と。しかも添付文書のところにこういう「判定方法」で、「他の刺激試験を考慮するこ と」という表現まで書いてあるのですけれども、ちょっと何となく添付文書のあれがな じまないというか、あるいはここまで書く必要があるのでしょうか。例えば他のアルギ ニンとかグルカゴンなどの添付文書にはこのような表現は余り使われていないのです が、こういう注射用の診断薬を使うときの添付文書の慣例表現とか内容というのは、何 か決められたものがあるのでしょうか。その辺をちょっとお聞きしたいと思っておりま す。○長尾部会長代理 事務局の方から、どなたか。                  ○機構 では、機構よりお答えいたします。「添付文書(案)」の「効能・効果に関連す る使用上の注意」のところに関する御指摘かと思います。「判定方法」のところですが、 このお薬が従来作用機序によるインスリンなどの負荷試験等にかなり異なる成長ホルモ ン刺激試験ということで、今分かっておりますのが重症成長ホルモン分泌不全症の患者 でカットオフインデックスが15μg/mLということだけでございまして、先ほど御説明申 し上げように、その後どういうふうに基準を作っていいかというところはまだ今後の市 販後調査による数字の蓄積等で判定基準を明らかにしていきたい。そういった点におい て、このような書きぶりをさせていただいたところでございます。         ○ 村勢委員 分かりました。機構の説明のところも確かにそのとおりで結構なのですけれ ども、ほかの添付文書をちょっとのぞいてみたのですが、アルギニンの方はただ下垂体 機能低下の診断ということしか書いておりませんし、それからグルカゴンの方も成長ホ ルモン分泌機能検査時に使われるということでございます。具体的にこれでやったとき のピークは幾つくらいだというようなことと、フォルスポジティブがどのくらいあるか とか、ネガティブがどのくらいあるのかというような、これはどこでそういうフォルス ポジティブ、ネガティブが引き出されたのか、恐らくインスリンによる刺激試験を基に しまして、それに対する比較で出されているのだろうと思うのですけれども、そのよう なことしか書いていないのですね。ただ全然作用機序が違うから改めて評価しなければ いけないという気持ちは分かるのですけれども、添付文書に書いてあるのは非常に有り 難いのですが、恐らくこの試験を使うのは大体内分泌の専門家だと思いますので、そう いうことも含めて実際こういう添付文書の表現が必要なのかなと感じたわけです。本当 はその辺のデータまで全部きちんと出してくださればいいのですけれども、それはまた 別の問題かなと思っております。別のというのは、こういう添付文書にまで書かないで、 専門のことに書けばいいのかなというような気もいたします。      ○機 構 確かに今の先生の御指摘のとおり、この新しい塩酸プラルモレリンといいますのは 既存品に比べますとかなり細かく書いてあります。その理由といたしましては、今村勢 先生がおっしゃいましたように、塩酸プラルモレリンが既存品に比べるとどういうふう に新しいお薬なのかということを特徴付ける過程の中で、既存の試験薬、検査薬に対し ての特徴を書かねばならなかった。前のお薬というのはそういう分泌不全症の検査がま だ発展途上にある中での承認ですから、当然まだ分からないところが多い中での書きぶ りになっておりました。それに対して今回の塩酸プラルモレリンについては、既存の検 査薬に比べてどういうところが違うのかという点を突き詰めていきますと、こういうよ うな書きぶりになってしまったと。  それからもう一点、基準についてここまで書かなくていいではないかという御意見で ございますが、確かにそのとおりでございまして、あえて「効能・効果」のところに挙 げずに実際の使い方なり判定基準というものが今後変わっていくことを見せまして、こ の「判定方法」という形で1段落として記載したところでございます。     ○ 村勢委員 ありがとうございました。何ら異論はないのです。24ページの「機構は、本 剤と他の負荷試験について直接その再現性、偽陰性の生じる程度等を比較したデータは 示されていないものの」というところで、心は十分に分かるのでございます。本来はそ れを一番知りたいわけですし、あるいは将来はこの辺まで盛り込めばいいのでしょうけ れども、しかしそうすると、何か教科書が出来上がるような感じになってきてというよ うなことをちょっと感じたもので。蛇足ですけれども、何ら異議を唱えるものではござ いませんで、印象だけお話ししました。 ○長尾部会長代理 どうもありがとうございました。追加ございますか。 ○新薬審査第二部長 このものについて、特にこの基準値につきましては、本日お配り していますように市販後も重症のみならず中等症の症例も集めてデータを取って、でき るだけそこを検証したいと考えております。したがって、現時点の審査の段階で最もい い情報提供が何かと検討したら、書き過ぎではないかという御指摘を頂いたのですが、 案としてはあの形ができたということでございまして、当然今後情報が取れてくればあ の辺の表現というのは変わってくることがあり得るところとなっております。     ○長尾部会長代理 とにかく、これから実用的に使えるような形に仕上げていかないと いけないと思うのですけれども、なるべく速やかにやっていただければいいのかなと思 います。ほかに…。どうぞ。 ○岩崎委員 私は本剤の専門委員だったのですが、そのとき隣にいた内村先生にいろい ろ教えてもらったのですけれども、小児に関するデータが余りなかったと思うのです。 したがって、今回ROC曲線などを見て15ngという数字はもちろん出ていて、この承認 のデータではクリアだったわけですね。ところが、今言ったように小児に関して余りデ ータがなかったのですけれども、この資料1-2の特別調査の骨子で小児のデータがかな り集まると見ていいですか。 ○新薬審査第二部長 資料1-2の「6.調査例数」のところに括弧書でありますように、 まず申請者側としてもできるだけ早く100例程度集めてみて、どれくらいデータが集ま って解析可能かというのを見た上で全体像をセットしたいということになっております ので、集める方向で努力するように今指導しておりますけれども、ちょっとこの案の段 階でも最終的にこういうパッケージでこれだけ集めますというのは、正直書き切れてい ないところがあります。ですから、そこは今後データを取りながら見ていかなければい けないところと考えております。 ○長尾部会長代理 初めてのものなので、臨床経験とかデータが積み重なっていかない となかなかすっきり書けないのかもしれませんけれども、是非よろしくお願いします。 どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 薬剤ではなく添付文書の表現の問題なのですが、「用法・用量」のところ で、「投与直前に添付溶解液10mLで溶解し」というように、添付溶解液を使うことに限 定しているような表現に見えるわけですね。実際に生理食塩液ということでございます ので…。実はヒヤリ・ハット事例を見ておりますと、溶解液だけを使ったという事例が あるのですね。その場合どうしてかというと、例えば今日見本も出ておりまして、これ は本物ではないと思うのですが、こういうときに「溶解液」と書きながら「注射用」と いってそこに製剤の名前が書いてあるのです。生理食塩液と書いてなくてこの名前を信 じて、これがそれだと思ってしまう人が現実としているのですね。ですからそういうこ とを考えると、溶解液というものの選択性と言いますか限定性の話とこの溶解液の表示 の仕方を結構考えないと、やはりそういう事例が…。本体とばらばらになっているもの ですから、実際現場でもう溶かして出されるわけではなくて、用事溶解するわけですか ら、そこのところをちょっと考えていただかないといけないのかなという気がいたしま す。 ○新薬審査第二部長 申し訳ございません。審査結果の「用法・用量」というところで は「本剤を投与直前に生理食塩液10mLで溶解し」となっておりまして、原文の記載の方 がちょっと不整合になっておりました。記載的には「生理食塩液10mL」ということで、 誤解がないように整理させたいと思います。 ○土屋委員 実は先日承認されたものでも溶解液の方に「要溶解」と書いてあったりし ました。それを見たら恐らくみんながこちらが本体だと間違えるだろうという事例があ ったものですから、やはりそこのところについては表示方法についても是非御検討いた だきたいと思います。 ○長尾部会長代理 貴重な御意見をありがとうございました。いろいろ参考にして詰め ていっていただきたいと思いますが、内容的にはいかがですか。よろしいでしょうか。 よろしければ承認を可として、薬事分科会報告とさせていただきます。  次に議題2に移ります。総合機構の方から説明をお願いします。 ○機構 それでは、議題2、資料2、医薬品スピリーバ吸入用カプセル18μgの輸入承 認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。なお、本品目の 審査は医薬品医療機器審査センターにおいて審査を開始し、機構で引き続き審査を実施 していたものでございます。  スピリーバの有効成分である臭化チオトロピウム水和物は、ドイツ・ベーリンガーイ ンゲルハイム社によって開発されたムスカリン受容体拮抗薬であり、今般、慢性閉塞性 肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)に対する開発が進められ、承認 申請が行われたものです。本剤は、米国、EU加盟国、オーストラリア、カナダ等40 か国以上で承認されております。  本申請の専門委員としては、資料8に記載されておりますとおり、河野委員、永井委 員、貫和委員、林(眞)委員、林(正)委員、堀江委員、三森委員、宮川委員、安田委員、 吉岡委員の計10名の委員を指名いたしました。  審査内容について簡単に御説明させていただきます。規格ですが、審査の過程で記載 整備等を行っておりますけれども、最終的に適切に設定されたと判断いたしました。本 剤は2年間までの安定性が確認されております。  毒性については、抗コリン作用に基づく所見等について確認を行っておりますが、臨 床上で大きな問題となることはないと判断しております。  薬理作用については、ムスカリン受容体拮抗薬としての作用がinvivo、invitroで確 認されており、受容体サブタイプの選択性、心循環系への影響等について検討しており ます。  ADMEについてですが、本剤の血中濃度と腎クリアランスとの関係について検討し ており、腎機能低下患者への投与については慎重投与とし、添付文書において高齢者で は腎クリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある旨、リスクとベネフィッ トを勘案して慎重に投与し、有害事象の発現に注意する旨の注意喚起を記載し、具体的 な薬物動態パラメータについても記載するよう指示しております。  臨床成績ですが、本申請はE5ガイドラインに基づくブリッジング申請であり、今回 提示されたデータパッケージは審査報告書の26ページに記載しております。国内外で実 施された用量検討試験で、本剤の効果は18μgでほぼプラトーに達し、36μgでは口渇 等の有害事象発現率が高かったことから、至適用量としては18μgが選択されておりま す。また、国内外で実施された第III相試験で、1秒量のトラフ値の変化量で有意な改善 が認められており、1年までの長期試験で効果の維持が確認され、長期投与時に増加す るような有害事象は認められておりません。  安全性については、口渇、尿閉等の抗コリン作用に基づく有害事象のほか、心循環系、 呼吸器系、上気道感染等に関連する有害事象について注意が必要であると考えておりま す。  本剤については使用成績調査のほか、長期使用に関する特別調査を実施することとし ており、この中で本剤投与時の副作用、併用薬の影響、腎機能低下患者での安全性等に ついて調査するよう指示しております。  堺委員からも事前にコメントを頂いておりますけれども、腎クリアランスと安全性と の関係性については、市販後調査の中で重点調査項目として調査する予定としておりま す。  以上の審査を踏まえ、本剤について承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品 第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬 品であることから、再審査期間は6年間、原体は劇薬、製剤は毒薬及び劇薬のいずれに も該当せず、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断 しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほど お願いいたします。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。これは、いわゆるCOPDという疾患の 世界的には標準的な薬になりつつある、あるいはなっているものだと思います。何か御 質問、御意見ございましたらどうぞ。「効能・効果」のところが「慢性閉塞性肺疾患(慢 性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」ということで、要するに 目的、例えばCOPDとかそういうところのイメージというか、そこは使用上全く問題 がないという表現なのでしょうか。 ○機構 この「効能・効果」の記載につきましては、慢性閉塞性肺疾患という国内外の ガイドラインが整備されたことも踏まえまして、こういう記載をサルメテロールのとき から効能・効果として承認させていただいております。その括弧としては、ガイドライ ン上慢性気管支炎、肺気腫の二つが該当することになっております。「効能・効果」の 記載については、既に承認いただいております薬との整合性を持たせたということにな っております。 ○長尾部会長代理 分かりました。薬理学的には非常にクラシカルなメカニズムだし、 薬なのですけれども、要吸煙なので余りあちこちに入る心配もないし、局所投与という ことになっているのですが。土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 同じく薬剤そのものについては全然問題がないのですが、まず一点は、包 装がこのようなブリスター包装で、次のところに行かないようには一応してあるけれど も、これは次のところへ行ってしまったときには捨てなさいということを現実として患 者さんに指示するわけですよね。そこのところが本当に包装技術としてこういう方法し かないのか、要するに患者に捨てろとまで言うわけですから、そういったことをどうす るのかということ。  それから二点目は、そもそも「用法・用量に関連する使用上の注意」のところに「内 服しないこと」と書いてございますが、ほかの外用のカプセル剤の添付文書はすべて「適 用上の注意」のところで投与経路として内服しないことということを書いているのです。 ところが、ここの「適用上の注意」は、確かに文書の中には「内服しても効果は見られ ない」と書いてありますけれども、そこのところはもっとはっきりと、ほかのカプセル 剤で外用で使われるものと同じようなところに同じように書いておかないと、やはり見 るところがいろいろありますので、そういう統一ということは常にお考えいただきたい ということ。  三点目は極めて些末な話でございますが、この包装単位でハンディヘラー付きのもの とそうでないものがありますが、ハンディヘラー単独というものはないのですか。もと もと薬価上の扱いとしてはハンディヘラーなどは器具で、貸出の形をとるのかと思いま すが、そうするとよく患者さんから現場で来ますのは、これだけが壊れたからこれだけ 換えてくださいということが現実としてはあるわけですね。これは抱き合わせ販売…、 こういう形で外用剤で販売になっているものはほかになくて、すべて薬剤単独なのです けれども、これがどうしてこういう形になるのかについて、ちょっとお伺いしたいので すが。 ○機構 事務局の方からお答えします。まず一つ目、カプセルを廃棄するよう指導する ことにつきましては、この薬は吸湿性がございまして、まずめくってしまうと長くは持 たないということで、はがしてしまったカプセルをそのまま飲むと恐らく固まってしま ってうまく到達しないだろうという有効性の面から使わないようにということで、添付 文書上にも書かせていただいておりますし、患者には交付する前に十分指導してくださ いということになっております。そもそも、この10ブリスターではなくて個別に包装す ればいいではないかという話も確かにございまして、そういうやり取りもしております。 実際に今申請者の方でも検討中ということで、将来的にはそういうブリスターも出てく る可能性はあるということでございます。  それから二つ目の、必ず吸入しなさい、内服しないことということを「用法・用量に 関連する使用上の注意」でわざわざ書かせていただいたのは、御覧のとおりこの薬はカ プセルだけを見ていると内服剤と余り変わらないということで、そこを徹底させるため に、まず強調する意味でここに注意喚起レベルを少し上げたという審査課の意図がござ います。確かに先生がおっしゃるように、今までの外用剤と整合性を持たせて、もしか すると適用上の注意しか読んでいただけない方もいらっしゃるかもしれませんので、そ こはもう少し整合性のとれたような形の記載もできないか、更に検討したいと思います。  それから三つ目のハンディヘラーにつきましては、これは基本的に無償提供という範 囲でございまして、これが付くからといって薬価が変わるという話ではないと我々は今 のところ理解しております。実際にこれが今後薬価の方でどういうふうに算定されるか は我々とは少し別のところでの検討でございますので、今聞いている範囲ではそういう 状況でございます。先生が御指摘のように、ではハンディヘラーだけ欲しい患者さんが いた場合にどうするのかということでございますが、恐らくこれまでの意図だとそれだ け配っていただけるのではないかと思っておりますけれども、申請者の方に再度確認さ せていただきたいと思います。 ○土屋委員 別に「内服しないこと」というのが「用法・用量に関連する使用上の注意」 に書いてあることが悪いというのではなくて、書いてあっていいのですけれども、それ と他の外用のカプセル剤と同様のところにもきちんと書いておくことが必要ではないか ということでございます。やはりこれは薬局の立場にしてみますと、30カプセルでハン ディヘラー付きとかそうでないものとか、それから、例えばオーダリングシステムでこ ういったものをやろうとしたときには、かなりいろいろと選択エラーなどということも 出てきます。実際のものがどうなっているのか分かりませんが、やはりこういうものの 器具は別だということはある意味で今まで常識になっているところもありますので、こ れは極端な話、もしバーコードを付けるといった話になったときに、この上のものと下 のものが違うバーコードになることだって現実としてはあり得るのです。そういったこ とからいっても、やはりなるべく余分なことはしない方がいいのではないかなという気 がいたします。 ○長尾部会長代理 ではそういう御意見を参考にして、いろいろ御検討ください。この 件に関して、ほかに何かございますでしょうか。よろしいければ承認を可として薬事分 科会報告とさせていただきます。それでは、次に議題5について事務局から御説明をお 願いします。 ○事務局 資料5を御覧いただけますでしょうか。資料番号が振ってあるページが諮問 書となっておりまして、1枚めくっていただくとピンク色の紙が挟まっております。そ の次に、「希少疾病用医薬品の指定に関する審査報告書について」という表紙がござい ます。その次のページから審査報告書の本文が始まりますので、それに沿って簡単に御 説明させていただきたいと思います。   まず、今回の希少疾病用医薬品としての指定の可否に係る医薬品でございますけれど も、名称はFTY720。対象疾病は腎移植後の拒絶反応の抑制。申請者は三菱ウェルファ ーマ株式会社とノバルティス ファーマ株式会社の2社でございます。平成16年3月12 日に申請がございました。  審査結果でございますが、まず「1.対象者数について」というところでございます。 希少疾病医薬品として指定するかどうかところで、対象患者が5万人以下であるかとい うことをクライテリアとして判断しておりますが、この1の第2パラグラフのところを 御覧いただきますと、平成14年までの累積腎移植患者数は約16,000人であると。腎移 植患者の生存年数、移植片生着年数を勘案いたしますと、免疫抑制剤の投与が必要な患 者数としては、現在約1万人くらいだろうということで、希少疾病用医薬品の指定の要 件でございます5万人以下を満たしていると認められます。  それから、「2.医療上の必要性について」でございます。本邦における腎移植後の1 年生着率は、シクロスポリンとかタクロリムスが出てまいりまして飛躍的な向上を遂げ ましたけれども、5年及び10年の長期生着率は生体腎移植、死体腎移植それぞれで、ま だ満足できるレベルには達していないのではないかと。既存の急性拒絶反応治療に抵抗 するものがあるということでございます。  この腎移植廃絶の主な原因といたしましては、免疫学的要因と非免疫学的要因に大き く分かれます。免疫学的要因といたしましては、移植後数か月から数年後に発現する慢 性拒絶反応に由来するものが大部分であると言われております。次のページでございま すが、また非免疫学的要因といたしましては、シクロスポリンやタクロリムスといった 薬剤によります薬剤性の腎障害、腎炎の再発、血清クレアチニン値の上昇などが長期生 着を阻害する因子として考えられておりまして、中でも免疫抑制剤による腎機能障害な どの合併症の発現が重要な臨床的問題だと言われております。  このFTY720は子嚢菌代謝産物をリード化合物として合成されたスフィンゴシン1 リン酸受容体アゴニストでございまして、海外での第II相試験におきましてはシクロス ポリン及びステロイドの併用下で、このFTY720は6か月及び12か月時点における急 性拒絶反応発現率において、対照薬でございますMMF(ミコフェノール酸モフェチル) に対して非劣性であったということが確認されております。このように、腎移植後の急 性拒絶反応の抑制が重要な要因の一つでございまして、さらに移植術後安定期に移行し た後の慢性拒絶反応及び既存の免疫抑制療法において発現する薬剤性の腎障害の抑制も 必要とされております。本薬FTY720は、海外第II相試験におきまして急性拒絶反応 の発現率でMMFに対して非劣性が認められております。また、既存の免疫抑制剤とは 異なる作用機序を有するということで、薬剤の選択肢を増やすものであるということも 期待されるということで、医療上の必要性があると判断いたしております。  次のページを御覧ください。後ろより2番目のパラグラフでございますが、「3.開発 の可能性について」でございます。これはお配りいたしました正誤表の方で直っている 箇所でございます。現在第II相の二つ試験がございますけれども、そのうちのA121と いう試験の方が継続投与試験が実施中であるほか、新規腎移植患者を対象とした日本を 含む国際共同試験が1試験、及び海外での腎移植を対象とした検証試験が2試験実施中 でございます。それから、その上のパラグラフでございますけれども、安全性につきま しては重篤な有害事象の発現頻度はFTY720群とMMF群とで類似しておりまして、 主なものは血中クレアチニン値増加、リンパ嚢種、移植腎廃絶その他ございます。FT Y720群において特に注意すべきとされた有害事象は徐脈がございましたけれども、多 くの症例では軽度から中等度であり、管理可能なものであったということでございます。  以上のような審査の結果、本品目を希少疾病用医薬品として指定して差し支えないと 判断するという報告書でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。          ── 医薬品副作用被害対策室長退席 ── ○長尾部会長代理 FTY720を腎移植用の医薬品として希少疾病用医薬品に指定する ということでありますが、よろしいでしょうか。よろしいですね。では指定を可といた しまして、薬事分科会報告とさせていただきます。次からは報告事項でございます。総 合機構から説明をお願いします。 ○機構 報告事項の議題1、「医療用医薬品の再審査結果について」御報告いたします。 資料は資料6-1の「モフェゾラク『ヨシトミ』」、「ジソペイン錠75」から、資料6-8 の「エムピーディ」、「アイピーディカプセル」、「アイピーディカプセル100」まで の合計八つの再審査報告書になります。  これらの品目につきましては、市販後の使用成績調査・特別調査の成績等に基づいて 再審査申請が行われ、それぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第2 項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用 量等の承認事項については変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものでありま す。以上でございます。 ○長尾部会長代理 非常にすっきりと報告していただいたのですけれども、ルール上問 題のあるものはなかったということでございます。何かお気付きのこととか、ちょっと 気になることがあったら聞いてください。たくさん有名な薬がございますが、よろしゅ うございますか。それでは、報告事項について御確認いただいたものといたします。議 題は以上でございます。事務局から何か御報告ございますか。 ○事務局 本日資料10というものをお配りいたしているかと思います。こちらに基づき まして、優先審査品目の指定について御報告させていただきたいと思います。  三菱ウェルファーマ株式会社及び協和発酵工業株式会社より平成16年4月27日付け で申請がございました「グルトパ注」と「アクチバシン注」につきまして、8月6日付 けで優先審査の対象品目と決定をいたしております。  資料の1枚目の真ん中にあります「(参考)」というところを御覧ください。まず、「1. 優先審査を行う医薬品等」としては二つございまして、一つ目は希少疾病用医薬品、い わゆるオーファンドラッグと言われているものでございます。それから二つ目といたし まして、次のいずれかの要件に該当するものということで、「ア 適応疾病が重篤である と認められること」、「イ 既存の医薬品又は治療方法と比較して、有効性又は安全性が 医療上明らかに優れていると認められること」という二つがございました。この従来の 運用に関して昨年の9月に検討会を設置いたしまして、この優先審査品目の選定の考え 方について御検討いただきました。その結果に基づいて、今年の4月から以下の取扱い に変更いたしております。特に適応疾患の重篤性と医療上の有用性の二つを総合的に評 価して選定するということでございます。  「(1)適応疾病の重篤性」でございますけれども、まず一つは生命に重大な影響があ る疾患(致死的な疾患)である。あるいは病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影 響を及ぼす疾患。それから、そのどちらにも当てはまらないその他ということでござい ますが、これは重篤でなくても画期的な効果を持ち医療上の有用性が非常に優れている というものがもしあれば、そういうものがここで読み込めるようなするというものでご ざいます。それから「(2)医療上の有用性」の方は、既存の治療法・予防法・診断法が ない、あるいは有効性、安全性、肉体的・精神的患者負担の観点から見て、医療上の有 用性が既存の治療法・予防法・診断法よりも優れているものが対象となるということで ございます。  「2.優先審査品目指定の手続き」でございますけれども、メーカーの方から優先審査 希望が提出されました時点で専門協議を行いまして、医薬食品局におきまして薬事法第 14条第5項の規定、つまり医療上特にその必要性が高いと認められるものということに 該当するかどうかの判断を行いまして、申請者に通知を行います。この判断につきまし て、本日のような形でございますけれども、事務的に薬事・食品衛生審議会の担当部会 に報告させていただきまして、御了承いただくという手順を踏むことになっております。  次のページに「優先審査に該当すると判断した理由書」というものを付けてございま すので、そちらの方を簡単に御紹介させていただきたいと思います。まず、「(1)開発 の経緯」というのがございますが、その第2パラグラフにありますように、既にこの薬 は日本を含む世界各国で、主に急性心筋梗塞に対する効能・効果で承認・販売されてお ります。今回の効能追加申請を行います対象は、「発症後3時間以内の虚血性脳血管障 害」ということでございます。この虚血性脳血管障害につきましては、平成15年12月 時点で既に世界40か国で承認を受けております。海外においては、従来有効な治療手段 がなかった急性虚血性脳血管障害に対しまして、本剤が初の本格的な治療薬として医療 現場で用いられ、米国、欧州における脳卒中治療ガイドラインにおいても本剤の使用が 推奨されているという現状にございます。日本でも平成11年8月に、日本脳卒中学会か ら旧厚生省に対しまして本剤の早期適応取得を求める要望書が提出されているところで ございます。  本剤を発売しております協和発酵と三菱ウェルファーマは、このものを医学・薬学上 公知と判断いたしまして、適応外通知に従って申請を行うということをまず考えたので すが、ただ虚血性脳血管障害につきましては、日本人の方が欧米人よりも低用量で同じ 程度の薬効が得られるのではないかということが想定されたため、その点についての試 験を行っております。それから平成16年2月にも、また改めて日本脳卒中学会より要望 書が提出されているという現状にございます。  次に「(2)対象疾患の重篤性」でございます。脳血管障害は死因の第3位で、寝たき り、要介護の原因疾患としても非常に大きな部分を占めているということでございます。 特にこの虚血性脳疾患に関しては、虚血に陥りますと脳組織が傷害されますので、意識 障害や手足の麻痺などを起こしまして、そういった症状が残存すれば日常生活にも大き な障害を残すということで、重篤と認められるということでございます。  それから「(3)既存療法と比較した本剤の臨床的優位性」でございます。虚血性脳血 管障害の大部分は時間経過と共に不可逆的な細胞死に至りますので、できるだけ早い段 階での血流回復を行う必要がある。米国では発症3時間以内の虚血性脳血管障害に対す るプラセボ対照二重盲検比較試験が行われており、この結果に基づき平成6年にFDA の承認を受けまして、以後世界各国で承認されております。一方国内におきましては、 虚血性脳血管障害に対する治療薬として承認されたものは幾つかございますけれども、 いずれも必ずしも十分とは言えないという状況にございました。また、最近脳卒中合同 ガイドライン委員会の方から「脳卒中治療ガイドライン2004」というものが公表されて おりますけれども、このガイドラインでも脳梗塞急性期に対する薬剤・療法と、その推 奨グレードが記載されております。3ページでございますが、推奨グレードAとなって いるのが、表の下にありますように本剤とアスピリンのみであるということでございま す。  4ページには日本人における想定至適用量を用いた臨床試験を行っておりまして、そ の概要が書いてございます。  以上のように、本剤の対象となる疾患は重篤かつ予後不良であり、本剤は本邦におけ る超急性期虚血性脳血管障害に対する唯一の治療薬となり得ることから、本剤の効能追 加申請は優先審査に該当すると判断いたしました。以上でございます。 ○長尾部会長代理 どうもありございました。 ○審査管理課長 それでは最後になりますけれども、次回の日程でございます。事前に 調整させていただいておりましたが、10月18日月曜日、午後2時からとなっておりま す。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長代理 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありござ いました。        ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)     - 1 -