04/08/18 独立行政法人評価委員会第12回医療・福祉部会議事録          厚生労働省独立行政法人評価委員会医療・福祉部会                  第12回議事録 日時: 平成16年8月18日(水)13:27〜14:36 場所: 厚生労働省省議室 出席委員 浅野委員、石井委員、遠藤委員、大石委員、小林委員、岡田委員、川原委員、      白石委員、宗林委員、橋本委員、山崎委員、山村委員 1.開会 〇岡田部会長  それでは、定刻より早いかもしれませんが、委員の皆さまにはお集まりいただきまし たので、ただ今から第12回独立行政法人評価委員会医療・福祉部会を開催させていただ きます。委員の皆さまにおかれましては、お忙しいなかをお集まりいただきましてまこ とにありがとうございます。  本日は、全委員、ご出席をいただいております。  まず初めに、事務局から本日の議事につきまして簡単にご説明をいただきたいと思い ます。よろしくどうぞ。 〇政策評価官  本日の議題でございます。  まず、総合的評価についてのとりまとめをお願いしたいと存じます。総合的評価書案 につきましては、本日、資料としてお配りをしておりますが、一昨日にはのぞみの園、 昨日には福祉医療機構のご担当の起草委員の方がたにご参集をいただきまして、そこで ご議論いただきましてとりまとめられたものが、今日、ここに提示させていただいてい るということでございます。  この総合的評価の次に、財務諸表に関する意見について、また、福祉医療機構につき ましては、剰余金の使途に関する意見も含めましてこれのとりまとめをお願いしたいと 存じます。これらの意見の案につきましては、担当起草委員でございます石井委員に、 7月30日の各法人に対するヒアリング結果などを踏まえて作成をお願いしておりまし て、本日、ここに提示させていただいているということでございます。  以上が終了しましたあと、今回、評価結果に対するそれぞれの法人の方がたのご感想 を頂戴したいと考えております。  それから、個別評価に関する委員の皆さま方につけていただきました評価結果の集計 表を、本日、参考資料1−1ということで用意しております。前回の部会で委員の先生 方に評価の修正をしていただいた結果を反映したものでございます。結果的には、A、 Bで申し上げますと、福祉医療機構につきましては、A、B評価としては変更のあった 部分はございませんでした。それからのぞみの園につきましては、上から三つ目の項目 の「業務運営の効率化に伴う経費節減」のところが、前回はB評定だったのですが、こ れがA評定にアップしている、そこが変わった点でございます。  なお、前回は全体を通して単純平均の数値を計算して下につけておりましたが、前回 のご議論を踏まえまして、今回はそれは外しまして、あくまでも個別項目に対する評価 ということで整理をしております。  以上でございます。 2.議事 (1)総合的評価について 〇岡田部会長  ありがとうございました。  それでは、本日の主たるテーマの一つであります総合評価につきまして、議事に移り たいと思います。  まず、総合的評価書(案)、財務諸表及び剰余金の使途の承認についての意見(案) の起草に際しまして、起草委員の方がたには大変お忙しいなかをご尽力いただきまし て、ありがとうございました。これから、総合的評価書(案)の審議に入りますが、最 初に福祉医療機構、引き続いてのぞみの園の順で、各法人担当の起草委員から総合的評 価書(案)についてご報告をいただきまして、その後、2法人まとめて審議したいと考 えております。  なお、議事運営の関係がございまして、ご報告いただきます時間は、各法人担当とも 概ね15分程度ということでお願いをしたいと思います。  まず最初に、福祉医療機構担当の起草委員を代表いたしまして橋本委員からお話を頂 戴したいと思います。橋本先生、よろしくどうぞお願いいたします。 〇橋本委員  それでは、福祉医療機構の評価につきましてご報告いたします。  起草委員は、遠藤委員、川原委員、山崎委員、そして私の4人でございました。  この機構を検討するにあたりまして、非常に事業を多岐にわたって実施しているとい うことを念頭において評価させていただきました。本年度、すなわち平成15年の10月か ら16年の3月、半年間でございますが、事業実績に関する評価を総括いたしますと、次 のようなことがいえると思われます。  一つは、機構の設立目的に対して事業は適正に実施されているということ。  二つ目に、中期目標と計画に基づく平成15年度事業計画に対しても、目標は達成され ている。また、事項によりましては目標以上に達成されているものもある、ということ でございます。  本年度事業の実績の中で特に評価できることを3点挙げますと、次のようなことでご ざいます。  一つは、業務の運営管理改善のための新たな取り組みが積極的に行われたというこ と。  二つ目に、業務運営の効率化に伴う一般管理費の経費節約などにつきまして積極的な 努力がなされたということ。  三つ目に、サービス利用者に対するサービスの向上についての取り組みがなされまし て、たとえば審査期間を短縮するというようなことについての努力がなされている。  こういうようなことが大きな評価でございます。  私どもがさらに希望いたしますことは、時代は非常に大きく変化しているわけでござ いまして、この時代の大きな変化に即応して事業展開を積極的に推進していただきたい ということでございます。  評価結果の案、きょうの資料の1−1でございますが、この構成は、業務実績全般の 評価と、そして事業が多岐にわたっているということがございますので、具体的な評価 の内容、そのなかで一つは事業に共通したこと、二つ目に事業ごとの評価、こういう構 成にして書いてございます。  具体的な内容につきましては、資料1−1に沿いまして事務局に読み上げをお願い申 し上げたいと思います。  以上でございます。 〇岡田部会長  ありがとうございました。それでは、事務局から読み上げていただくようにお願いい たします。 〇事務局  『独立行政法人福祉医療機構の平成15年度の業務実績の評価結果(案)  1.平成15年度業務実績について  (1)独立行政法人の発足と評価の視点  独立行政法人福祉医療機構の前身である特殊法人社会福祉・医療事業団は、高齢化社 会の到来等、時代の変化に対応した新しい観点から社会福祉の増進、医療の普及向上を 図っていくという要請に適切に対応するため、福祉貸付事業、社会福祉施設職員退職手 当共済事業及び心身障害者扶養保険事業を行っていた社会福祉事業振興会と医療貸付事 業を行っていた医療金融公庫が、昭和60年1月に統合して設立された特殊法人である。 事業団発足後においても、昭和60年に経営診断・指導事業を、昭和63年、平成元年、8 年、10年及び12年の各年度に政府からの出資を受け、その政府出資の運用益を財源とす る長寿・子育て・障害者基金事業を、平成2年に福祉保健医療情報サービス事業を行う ようになった。  さらに、平成13年には年金福祉事業団の廃止に伴い、年金担保貸付事業を承継し、よ り多岐にわたる業務を行うようになり、そのすべての業務を承継する独立行政法人福祉 医療機構が平成15年10月に発足したものである。  また、平成16年4月より労働福祉事業団の廃止に伴い、労災年金担保貸付基金事業を 承継している。  今年度の福祉医療機構の業務実績の評価は、平成15年10月に厚生労働大臣が定めた中 期目標の初年度の達成度についての評価である。  なお、福祉医療機構の業務は非常に多岐にわたり、それぞれの業務の性質が異なって いることを特記しておきたい。  (2)平成15年度業務実績全般の評価  福祉医療機構は、福祉医療貸付事業を初めとして、福祉医療経営指導事業、福祉保健 医療情報サービス事業、長寿・子育て・障害者基金事業、社会福祉施設職員等退職手当 共済事業、心身障害者扶養保険事業、年金担保貸付事業など、国の福祉・医療政策等に 密接に連携した多様な事業を公正かつ効率的に運営していかなければならない。  平成15年度においては、ISO9001の認証取得に向けた取り組みや、目標管理型 人事評価制度の試行的運用など、業務の運営管理の改善のための新たな取組みが積極的 に行われている。また、業務運営の効率化に伴う一般管理費の経費節減等については、 計画を上回る実績をあげている。  福祉医療貸付事業については、国の福祉政策及び医療政策に即して、民間の社会福祉 施設、医療施設等の整備に対し貸付が行われている。当該貸付業務については、リスク 管理体制の強化が重要となっていることから、リスク要因の分析等の取組みを積極的に 進めていかなければならない。  心身障害者扶養保険事業については、中期目標で定める当該事業の見直しについて検 討が進められることとなっている。  他にも、国民・利用者に対するサービスの向上についての取組みがなされており、審 査期間の短縮などの実績をあげている。今後とも引き続き、計画の達成に向けて一層の 努力が期待される。  これらを踏まえると、中期目標の初年度に当たる平成15年度の業務実績については、 全体としては福祉医療機構の設立目的である「社会福祉事業施設及び病院、診療所等の 設置等に必要な経費の融通並びにこれらの施設に関する経営指導、社会福祉事業に関す る必要な助成、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の運営、心身障害者扶養保険事業 等を行い、もって福祉の増進並びに医療の普及及び向上を図ること」及び「厚生年金保 険制度、船員保険制度及び国民年金制度に基づき支給される年金たる給付の受給権を担 保として小口の資金の貸付を行うこと」に資するものであり、適正に業務を実施したと 評価できる。  なお、福祉医療機構の多岐にわたる業務内容について積極的に周知に努めるととも に、今後とも時代の状況に的確に対応して業務を展開していくことを期待する。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目 に関する評価結果については、別紙として添付した。』  なお、個別評価シートの添付資料は省略をさせていただいております。 『2.具体的な評価内容  (1)各事業の共通事項に関する評価  (1)効率的な業務運営体制の確立  @)ISO9001の認証取得に向けた取組みについて  ISO9001の認証取得に向けた取組みについては、福祉医療機構の全事業を対象 とし、平成17年5月の取得に向けた順調な取組みが行われているが、認証取得の意義を より明確にしていく必要がある。  A)人事評価制度の構築及び試行的運用  人事評価制度については、中期目標期間中に導入する予定であった福祉医療機構の経 営方針や中期計画、年度計画の事項等を個々人の業務目標に落とし込み、その実施状況 を評価する仕組みに関し、平成16年4月からの実施に向けて試行的運用などの順調な取 組みが行われており、これにより、個々の職員の意識向上を通じて機構全体が活性化さ れる等の波及成果が期待される。  B)トップマネジメント機能の発揮  トップマネジメント機能については、経営企画会議等の設置や企画調査部門の強化な ど、経営管理を有効に行うための業務管理のルール化等の体制整備が進められた。  (2)業務管理の充実  @)業務管理のための仕組みの検討  業務管理のための仕組みについては、人事評価制度における職員の目標管理を活用 し、その実施状況を評価する仕組みが設けられた。また、定例報告など、報告体制も構 築された。これらを通じて、管理者と一般職員のコミュニケーションの向上や業務管理 のさらなる質の向上につなげていくことが期待される。  A)リスク管理体制の強化  リスク管理体制については、業務管理委員会及び事務リスク管理部会を設置し、リス ク管理を徹底する仕組みがつくられた。さらに、事務リスクの洗い出し、信用リスクモ デルの開発に着手し、客観的な管理の仕組みがつくられ、リスク管理債権比率を中期計 画期初の1.53%から平成15年度末において1.50%に減少させた。  B)ALMシステムの活用等、りん議・決裁システムの開発  ALMシステムの活用については、4テーマのシミュレーション分析が行われた。ま た、平成15年度中にりん議・決裁システムを完成させ、平成16年4月からの稼動体制を 整備するとともに、操作手順書の作成、全役職員に対する研修を実施した。これらの業 務の電子化を通じて、業務管理の効率化について充実が図られた。  (3)一般管理費等の経費削減  一般管理費等の経費削減については、基準年度である平成14年度に対して通年換算で 2%削減した予算を計画し、その効率的な実施に努めた結果、計画の97.5%の執行(14 年度に対し95.4%相当)となった。今後とも、中期目標及び中期計画において設定され た経費削減目標の確実な達成に向けて努力する必要がある。  (2)各事業ごとの評価  (1)福祉医療貸付事業  福祉医療貸付事業の業務運営の効率化については、国の福祉及び医療の政策目標に沿 った融資が行われている。また、国からの要請に基づき、金融環境の変化に対応した緊 急融資がなされた。さらに、民間資金の活用策について、協調融資制度の導入に向けて 検討が行われた。  具体的には、福祉貸付について、国の政策と密接に提携し、ゴールドプランに21、 新エンゼルプラン、新障害者プランなどに基づく重点分野の施設整備に対し、優先的に 貸付を行っている。(老人福祉関係施設589件、障害者福祉関係施設232件、児童福祉関 係施設323件等)。  また、医療施設の地域格差の是正と機能の向上を図るために、病床等不足地域に対す る融資(病院70件、診療所239件)や、医療機関の機能分化に応じた融資(療養病床を 有する病院86件、純増4704床、転換1898床等)などに実績をあげた。また、平成15年度 においては、「金融環境の変化に伴う運転資金に対する緊急融資」を実施し、前回融資 実績(平成10年度から3か年の貸付件数152件、契約額3102百万円)に対し、貸付件数 で5倍、金額で3倍の成果をあげた。  なお、新規契約分の利差益の確保の水準に関し、政策金融としての観点から、今後、 検討が求められる。  福祉医療貸付事業の業務の質の向上については、審査業務及び資金交付業務の迅速化 において目標数値を上回る実績をあげ、サービスの向上がみられた。また、借入申込書 等の簡素化や融資説明会及び融資相談会の実施など、利用者サービスが向上した。今後 とも、業務の質の維持・向上をはかりつつ、業務の効率化に向けて努力することが必要 である。  (2)福祉医療経営指導事業  福祉医療経営指導事業の業務運営の効率化については、集団経営指導の開催経費を受 講料収入で賄う実績をあげている。また、個別経営診断の処理日数を目標より3日短縮 している。  福祉医療経営指導事業の業務の質の向上については、医療と福祉の診断体制を一本化 するとともに、集団経営指導の延べ受講者数が年度計画における目標を7.6%上回り、 平均満足度指標も中期計画における目標に達している。職員の専門能力向上及び調査研 究能力強化のための組織改正、個別経営診断、開業医承継支援事業については、計画を 上回る実績をあげている。  (3)長寿・子育て・障害者基金事業  長寿・子育て・障害者基金事業の業務運営の効率化については、資金の運用実績に関 して妥当と認められる。今後は、独創的・先駆的な民間の取組みを支援するため、助成 事業の効果の一層の広報に努め、より適切な事業の発掘に努めるとともに、審査の質の 向上を進めるべきである。  長寿・子育て・障害者基金事業の業務の質の向上については、第三者による基金事業 審査・評価委員会が設置され、業務評価が実施されている。  (4)退職手当共済事業  退職手当共済事業については、社会福祉施設職員の雇用の安定をはかるとともに、福 祉サービスの質の向上の観点からも意義ある事業である。当該事業の支給期間の短縮に ついては、機械処理手順の見直しを図ったところであるが、予算制約による支給の遅延 の影響があった。  (5)心身障害者扶養保険事業  心身障害者扶養保険事業については、財務状況の定期的公開、安全性を重視した運 用、地方公共団体事務担当者会議の開催による日常業務の正確な事務の遂行の促進が計 画どおり進展しているところである。なお、当該事業の繰越欠損金については、その解 消に向けて検討が進められることとなっている。  (6)福祉保健医療情報サービス事業  福祉保健医療情報サービス事業の業務運営の効率化については、行政機関や関係団体 が直接入力することにより、情報の蓄積、活用が同時に行えるというWAM NET事 業の特性に基づいた情報収集の効率化や利便性の向上のためにさまざまな試行をしてい る。平成15年度に行った機器更新による基盤整備を、今後の業務の効率化に反映させて いくことが求められる。  福祉保健医療情報サービス事業の業務の質の向上については、満足度調査において利 用者等から高い評価を得ている。また、提供情報の内容の充実、操作機能の改善等が図 られた結果、平成15年度通年のアクセス件数が600万件を超え、前年度に比して約74% 増、利用機関の登録数約8%増を達成するとともに、医療機関情報提供システムの拡充 がはかられている。今後とも、引き続き内容の充実を図るとともに、情報発信の迅速 性、情報検索の利便性について一層の改善を行っていくことが課題である。  (7)年金担保貸付事業  年金担保貸付事業の業務運営の効率化については、当該事業の業務運営コストを分析 し、その増加を抑制するための管理を適切に行うとともに、これを反映した適切な金利 設定に向けて、さらなる取組みが求められる。  年金担保貸付事業の業務の質の向上については、当該事業に関する周知の取組みが認 められるほか、悪質な貸金業者に関する注意喚起を行うなどの努力がなされている。ま た、事務処理期間の短縮については、事務処理方法の見直しにより、平成17年10月を目 途に、1週間の短縮を図るための取組みが行われている。』  以上でございます。 〇岡田部会長  ありがとうございました。  それでは引き続きまして、のぞみの園の起草委員を代表して私からご報告をさせてい ただきます。  まず、私どもの起草委員は、私のほか、白石委員、山村委員の3人でございました。 月曜日に協議をいたしまして、今日の文案を作成したわけであります。  総括的なことを先に申し上げます。私どもの担当のなかでは、のぞみの園の歴史的経 緯の重要性ということが強く指摘されました。ご存じのように、のぞみの園の場合に は、発足当時から昨年の秋までは、全く異なる目的と機能を果たすべき施設として存在 しておりましたが、10月からはその新しい方向を目指して発足をするという形をとって いる点について十分な配慮が必要である、という認識でございます。  そして、昨年の10月から3月までの6か月間というものは、新しい方針への準備期間 という形で理解をすべきであろう。特にそのなかで、入所している方がたの保護者、あ るいは勤務している職員たちに対して、この方向転換の意味、そしてまたそれに対する 理解と協力を求める努力、これらは数字やあるいは評価項目にあらわれない事柄である けれども、重要視しなければならないだろう。そして、そのあいだにさまざまな試みが なされた点を高く評価したいという雰囲気でございました。  特に、16項目中、われわれが強く注目いたしましたのは、3番目にあります「効率化 に伴う経費の節減」、特に職員給与の3.5%のカットといいましょうか減額、これにつ いては非常に困難を伴うものでありましたけれども、英断であったという点で高く評価 をされております。  それから、6番目に自立支援のための取組みでございます。これは、入所者を近い将 来、3割から4割という数で地域生活に移行させるというための努力でございますが、 そのための努力をさまざまに行っている点も強くわれわれとしては意識したということ になります。  全体的に委員の基本的な姿勢として、のぞみの園の存在や、あるいは現在行っている 業務の内容につきまして、肯定的、支援的な方向での評価であったと思います。  なお、その評価を行うにあたりまして、のぞみの園の将来の姿はどのようになるのか という点について、われわれ委員としても多大な関心をもつということを指摘しており ました。  こういうことが総括的なことでございますが、具体的な総合評価につきましては、事 務局から文案を読み上げていただくことにいたします。よろしくどうぞ。 〇事務局  『独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成15年度の業務実績の評 価結果(案)  1.平成15年度業務実績について  (1)独立行政法人の発足と評価の視点  独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の前身である特殊法人心身障害 者福祉協会は、昭和30年代、重度の知的障害者を受け入れる施設は極めて少なく、障害 者本人やその家族の生活が深刻な状況におかれていたことから、親なきあとも安心して 任せることのできる施設、いわば「終生保護」の場としてのコロニーの設置が切望され たことを背景に、重度知的障害者が必要な保護及び指導の下に社会生活を営むことがで きる総合的な施設を設置・運営することを目的として、昭和46年1月に設立され、同年 4月から「国立コロニーのぞみの園」を開園した。開園時の定員は550名規模で、以来、 全国を対象に入所者を受け入れてきたが、平成15年10月から、新たに独立行政法人国立 重度知的障害者総合施設のぞみの園として発足したものである。  今年度ののぞみの園の業務実績の評価は、平成15年10月に厚生労働大臣が定めた中期 目標の初年度の達成度についての評価である。  なお、のぞみの園が行う業務のうち、重度知的障害者の自立支援のための取組みは、 法人の設立目的の変更により、「終生保護」の施設から「地域生活への移行」を推進す るモデル施設へと大きく転換するものであるが、入所者の平均年齢が54歳、入所期間が 30年を超える知的障害者が8割を占める実態を踏まえ、業務の推進、また評価のあり方 においても、入所者本人及び保護者・家族等の意向が第一義的に考慮されなければなら ないことを特記しておきたい。  (2)平成15年度実績全般の評価  のぞみの園は、新たに制定された独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの 園法により、その前身である特殊法人心身障害者福祉協会と比較して法人の設立目的が 変更され、これにより新たな設立目的に沿った業務運営への転換が求められるととも に、他の独立行政法人と同様に効率的な業務運営が求められている。  このようななかで、平成15年度においては、法の定める設立目的に沿った業務運営へ の本格的な取組みを行うため、とりわけ、現に入所している重度知的障害者の自立に向 けて、職員の意識改革や地方自治体等関係方面への説明及び協力要請を行う等、環境づ くりに努力しているものと認められる。  また、入所者の多くが長期にわたり入所し高齢化していることを勘案し、入所者本人 及び保護者・家族等の意向を尊重しつつ、障害特性に合わせたより具体的な地域生活へ の移行に向けてのメニューの作成に取り組むなど、一人ひとり丁寧に手順を踏んで、真 に入所者の幸せにつながる地域移行の実現を目指して、着実な取組みがなされているも のと認められる。ただし、平成15年度においては、地域に移行したケースの実現には至 っていない。  一方、業務運営の効率化の観点から、効率的な業務運営体制の確立のための組織の改 編が検討され、職員数の抑制や給与水準の見直し等の経費節減の努力が行われているほ か、地域の知的障害者のための「通所部」の開設準備が進められ、デイサービスの拡充 等による収入増が図られている。  なお、新たな法人の設立目的に沿った調査研究や研修の実施に努力していることが認 められるが、それらの一層の充実と人材育成の分野でのプログラムの検討を進め、本格 的に実施していくことが望まれる。  これらを踏まえると、平成15年度の業務実績については、全体としてはのぞみの園の 設立目的である「重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提 供、知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うことにより、知的障害者の福祉の 向上を図ること」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できる。とりわ け、重度知的障害者の自立支援のための取組みとして極めて困難とされていた地域移行 の準備状況については、高く評価できる。  なお、中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個 別項目に関する評価結果については、別紙として添付した。』  同様に、評価シートの添付資料については省略させていただいております。 『2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  まず、業務運営体制の整備については、地域移行推進機能を重視した組織再編の本格 的な検討、地域移行のスキルを有する人材確保の取組みの面で、計画どおり進展してい る。  内部進行管理の充実については、モニタリングシステムの構築、感染症対策のさらな る充実、苦情解決システムの構築の面で、計画どおり進展している。  経費の節減については法人運営に要する経費の大部分を占めている人件費の節減に意 欲的に取り組んでいることを高く評価する。また、業務委託費等、人件費以外の経費の 縮減や、収入の確保対策としての通所部の開設準備、デイサービス事業の拡充等につい ての努力も見受けられる。  今後とも、サービスの質の確保及び職員の士気の維持・高揚に留意しつつ、このよう な努力を継続し、中期目標及び中期計画において設定された運営費交付金の13%以上の 節減という目標の確実な達成に向けて努力する必要がある。  効率的な施設・設備の利用については、地域とのふれあいフェスティバルに地域の多 くの人びとの参加を得たこと、また、通所部の開設に取組み、平成16年度当初からの開 設につなげたことを評価する。他方、診療部門に関しては、知的障害者の生活を支える 医療の担い手としての診療所として、今後も地域の医療福祉に貢献することを望みた い。  合理化の推進については、外部委託や競争入札件数の拡大の実現には至らなかった が、委託費の減少に努めたことは評価する。しかしながら、施設の特性を考慮しつつ、 競争入札の導入の可能性を追求すべきである。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について  (1)自立支援のための取組み  平成15年度に地域生活に移行した具体的なケースはないが、入所者の平均年齢が54 歳、入所期間が30年を超える知的障害者が8割を占める実態を踏まえ、地域移行に向け た体制の整備と職員の意識改革のための取組みが行われていること、また、法人設立か らの実施期間が6か月間と短期間ではあったが、入所者本人及び保護者・家族への説 明、関係者への協力要請、入所者の地域生活体験事業の実施など、考えられる具体的な 方策に積極的に取り組んでいることは高く評価する。  なお、3割から4割の数値目標の達成が望ましいことはいうまでもないが、これまで 法人が行ってきた処遇方針を大転換するような目標であることも事実である。  本事項は、最も重要かつ困難な課題であり、単に数値目標の達成を目指すだけでな く、入所者の多様性を踏まえた地域社会への移行を目指して、現行の計画を、あせらず 時間をかけて進めることを強く希望する。  (2)調査・研究  調査・研究については重度・重複の知的障害者の地域生活移行に関する研究、重度・ 高齢化の知的障害者の援助に関する研究等の取組みが行われている。また、調査・研究 の成果の積極的な普及・活用については、これまでの成果をホームページで掲載してい るが、さらに、ニュースレターの発行、講演会や学会での発表、一般誌や学会誌での公 表などにより、広く周知していくことが必要である。  (3)養成・研修  養成・研修については、大学等で行われている養成・研修コースの学生を初め、今以 上の実習生の受け入れが望まれる。また、養成研修事業に関しては、平成17年度からの 本格的な実施に向けて、のぞみの園の専門性を生かしたプログラムを工夫する必要があ る。  (4)援助・助言及びその他の業務  知的障害者援護施設の求めに応じた援助・助言については、従来からの相談事業も含 めて、合理的な体制の整備が必要である  その他の業務については、たとえば診療部門において、診療対象を地域に拡大したこ とによって、地域の知的障害者の利用が急増している。  (3)サービス提供に関する第三者評価の実施及び評価結果の公表  中期目標に示されている有識者、保護者、地域代表等からなるサービス提供に関する 第三者評価委員会については、人選が行われたものの、その開催には至っていない。計 画どおり実施し、評価結果の公表を行う必要がある。 (3)財務内容の改善等について  運営費交付金以外の収入の確保については、通所部の開設準備、デイサービス事業の 拡充、実習料の引き上げ等の収入増に向けた努力が見受けられ、計画どおり進展してい る。  また、職員の採用等の人事に関する計画については、定年退職者の後補充として非常 勤職員を活用しているほか、平成15年度に給与水準の見直しを実施したことにとどまら ず、平成16年度からの給与水準の大幅な引き下げを検討するなど、課題となっている人 件費の縮減に意欲的に取り組んでいる。  なお、人事評価システムの構築に向けて試案を検討中であるが、その着実な実施を期 待する。』  以上でございます。 〇岡田部会長  ありがとうございました。  二つの法人の総合的評価の案につきまして、今、ご報告を申し上げましたので、ここ でご意見あるいはご指摘がありましたらお願いしたいと思います。どうぞご自由におっ しゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 〇橋本委員  のぞみの園の評価でございますけれども、全般的に私も同感でございまして、しっか りよく書いておられると思いますが、一つだけ質問させていただきたいと思いますの は、3ページの(2)の(1)です。「自立支援のための取組み」ということで地域生活 に移行していく努力というものを掲げておられるわけですけれども、ほかに自立支援と いう言葉を使ってございます。特にここの(1)では、これは自立支援といっていらっしゃ いますけど、内容的には地域生活への移行ということについて書いておられるやに思わ れます。もしも自立支援ならば、今までののぞみの園も入所者に対して自立支援を目標 にした処遇はやってこられたはずでございますので、ここの自立支援というのは、どち らかというと地域に出ていって、そして、よりその人らしい日常生活を維持するという 意味で使っていらっしゃるように思いますので、もしもこのまま使うならば、もう少し 書き足したいし、そうでなければ、許されるならば「地域生活移行のための取組み」と か、そのほうが適切ではなかろうかという感じかいたしますけれど、いかがでしょう か。 〇岡田部会長  ありがとうございます。これにつきましては、各委員もちょっとひっかかるものがご ざいましたが、中期目標、中期計画の中からこの言葉が使われておりまして、その意味 するところが、今、先生がおっしゃったような地域移行を意味して使っている、こうい う文脈がございましたので、私どももそのまま使ってしまったというのが実態だと思い ますが、いかがでしょうか、事務局としてのこれについてのコメントはありませんか。 〇政策評価官  部会長が今、おっしゃいましたとおり、中期目標の中で自立支援のための取組みとい うことで、内容として地域への移行の推進ということが目標に掲げられている関係上、 こういった記述になっているものと考えております。 〇岡田部会長  そういう意味でご理解いただくということでよろしゅうございますか。ありがとうご ざいました。  ほかにいがかでしょう。福祉医療機構につきましては膨大な内容だったという、その 作業の大変さを想像すると、とてもご苦労が多かったのではないかと思いますし、のぞ みの園の場合には、新しいスタートを切ったという点での評価の視点が非常に注目され たということでございます。それらについて何か、ご感想でもけっこうでございます が、ございませんでしょうか。  もし、今ご報告した内容で概ねよろしい、あるいは重大な誤りはないとおっしゃって いただけるのでしたら、それをお認めいただきまして、今後、これを整理して報告しな ければなりませんので、万が一、その中で誤字脱字、あるいは事実誤認のうえで重大な 誤りがあったりしたようなことがありましたら、それは私の責任において事務局と協議 をいたしまして修正をさせていただくということでお許しいただければ、そのようにさ せていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、一応ご報告いただきました事柄を原則的にご承認いただいたということで 進めさせていただきます。ありがとうございました。  (2)財務諸表に関する意見等について  次に、財務諸表に関する意見等でございます。財務諸表に関する意見等の(案)の審 議に入りますが、財務諸表及び剰余金の使途につきましては、独立行政法人評価委員会 の意見を聞いたうえで厚生労働大臣が承認することとされております。先ほどと同様、 福祉医療機構、のぞみの園の順でこの問題についてご報告をいただきまして、その後、 2法人まとめてご審議をいただきたいと思います。  なお、議事運営の関係上、ご報告時間は2法人合わせて概ね15分程度でお願いできれ ばと願っております。  それでは、福祉医療機構の財務諸表及び剰余金の使途の承認についての意見(案)並 びにのぞみの園の財務諸表についての意見(案)、それぞれにつきまして、担当いただ きました起草委員であります石井委員からご説明をお願いしたいと思います。よろしく どうぞお願いいたします。 〇石井委員  お手元に資料1−3と1−4という意見書の案がそれぞれ1枚紙で2枚ございます。 ということで、財務諸表等の厚生労働大臣の承認にあたり意見を行うという作業と、そ れから損益計算における残余の処理の厚生労働大臣の承認にあたり意見を行うという二 つの項目に関して、それぞれの1枚紙の中に一緒に記載をされております。  のぞみの園の意見書をごらんいただきますと、「記」の下が3行で1項目になってお ります。それに対して、福祉医療機構のほうは2項目ございます。これはなぜかといい ますと、前回のご説明の段階で縷々お話しを申し上げましたように、のぞみの園のほう は損益プラスマイナスゼロで、赤字が出ない、黒字も出ないという形の処理になってお ります。それに対して福祉医療機構のほうは、大きく分けた五つの事業くくりの中の一 つについて2800億円の基金を使っている長寿・子育て等の部分につきまして、9000万ほ どのプラスが出たということで剰余金が発生して、その使途に関するところの意見を表 明するという形になってございますので、2項目となっております。  非常に短い文章ですので、事務局に一読いただいたほうがよろしいかと思いますの で、まず先にご一読いただければと思います。 〇岡田部会長  そうでございますね。では、事務局からご一読いただいて。短い文章でございます が、お願いいたします。 〇事務局  では、資料1−3から一読させていただきます。  『独立行政法人福祉医療機構の平成15年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項に 規定する財務諸表及び通則法第44条第3項の規定により厚生労働大臣の承認を受けよう とする額について、通則法第38条第3項及び第44条第4項の規定に基づく厚生労働省独 立行政法人評価委員会の意見は、下記のとおりである。                   記  1.通則法第38条第1項に規定する財務諸表については、独立行政法人福祉医療機構 から平成16年6月30日付け経経第0630001号をもって行われた承認申請のとおり 承認することが適当である。  2.通則法第44条第3項の規定により、厚生労働大臣の承認を受けようとする額につ いては、平成15年度の長寿・子育て・障害者基金勘定の損益計算において生じた利益の 全部である9216万5599円を、中期計画の「第6 剰余金の使途」に規定されているとお り、「剰余金が生じた年度の翌年度以降の助成の業務の財源」に充てることを承認する ことが適当である。』  続きまして資料1−4。  『独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の平成15年度に係る独立行政 法人通則法第38条第1項に規定する財務諸表について、通則法第38条第3項の規定に基 づく厚生労働省独立行政法人評価委員会の意見は、下記のとおりである。                   記  通則法第38条第1項に規定する財務諸表については、独立行政法人国立重度知的障害 者総合施設のぞみの園から平成16年6月23日付け国重総総発第114号をもって行われ た承認申請のとおり承認することが適当である。』  以上でございます。 〇岡田部会長  ありがとうございました。二つの法人の意見書(案)につきまして、今、読み上げを 行っていただきましたが、石井委員から何かこれにつきましてご説明はありますか。 〇石井委員  ということで少し固い文章になっておりますが、意見を厚生労働大臣が承認をされる にあたり行うということでありまして、評価委員会自身が財務諸表そのものに対して何 か証明行為を行うというのとはちょっと異なるであろう。  これからは完全に私の私見になるかと思いますが、毎事業年度、独立行政法人評価委 員会が行うべき業務は、いちばん最初に前段でおやりいただきましたところの各事業年 度の業務の実績に関する評価を行うという作業でありまして、これとのかかわりのなか で財務諸表ないしは残余の処理にかかわるところの意見を行うというつながりであろう と理解してございますので、そういう観点からみますと、業務の実績に関する評価、短 くすると、まさにそれは業績評価ということになりまして、言い方を変えると経営の評 価というような話になるのだろう。  そういう観点からどうなのかという話をしたときには、ともに設立第1期で6か月し か経過をしていない。そして全体としての総合評価は、今お話しいただいたような形に なっておりまして、財務諸表そのものに関する議論は専門家が、あるいはそれぞれの職 制の方たちが証明書等をお出しいただいているので、適当という処理をして問題ないの ではないかと私は考えております。  あと、一、二、私的な見解を述べさせていただくとすれば、先ほどごらんいただいた ところの評価結果の資料1−1に関して、その中の記載で、4ページのちょうどまん 中、(5)でありますが、心身障害者扶養保険事業に関する3行目のなお書きで、これは 前回、私からご説明、ご指摘を申し上げた点を明記をしていただいています。「なお、 当該事業の繰越欠損金については」、これは三百数十億円という数字でありますが、 「その解消に向けて、検討が進められることとなっている」ということで、事実関係は 明確にここに表示をしていただいています。  そしてもう一つ、福祉医療機構に関しては剰余金の使途の問題がございますが、これ も前に申し上げましたように、複数ある事業の中の一つだけで余剰が出ている。それに 関する処理が流れとしては必要になって、こういう結果になるわけですが、このこと自 身は、最終的な中期期間が終わったあたり、ないしはそれの前の段階で出てくる役員退 職金の評価ということのかかわりはございますということで、それは評価委員の先生方 にご理解をいただいている点である。  そして、少しそれに関して考えてみますと、5事業の中の一つしか黒字が出なかった 場合に是とするか否とするかという議論は、整理をしていくと大変難しくて、たとえば 今の保険事業の場合、過去からの積立不足の三百数十億は独立行政法人移行前から存在 する事実でありまして、それをもってして行政機関における評価に直結をしていいかど うかというと、どうもそうでもないような感じもしてくる。そうした場合に、この行政 機関に関するのみの評価しかできないのかなという結論にも至りまして、1事業をもっ てして今のような処理をすることが絶対に望ましくない、あるいは不適切だということ も言いきれないかもしれない。  このあたりはまだ確定的な取扱いが決まっていないかと思いますが、私自身も実は非 常に難しい問題だなという認識をしつつ、これからもたぶん議論をされるのだろう、こ こだけはご理解をいただければと思っています。  それからのぞみの園に関しましては、評価結果の案の2ページの下から2行目に、 「効率的な施設・設備の利用について」という記載がございます。ここに記載していた だいている事項に関しましては、それはそれで大変けっこうなことだと思うのですが、 たぶんこれもこれから年を経るにしたがって現実の実績として現在、入所されている方 たちが一部、地域移行をされていくような過程の中でも議論されるかと思いますが、効 率的な施設・設備の利用の前提に、前回のご報告でも申し上げましたように、固定資産 は総額で150億ほどあるということになりまして、効率的な施設・設備の利用というの は、この150億の施設をどのようにしてこれから活用していくのかなという視点が、当 然必要なのだろうと思われる。  この点も、今期のこの6か月の事業年度の議論ではないのですが、たぶん非常に重要 な要素として出てくる。これは、今後とも認識をしていかなければいけないのかなと、 こんなふうに思っております。  結果的には、今読み上げていただきましたような形の意見書でよろしいというふうに 判断をいたしました。  以上でございます。 〇岡田部会長  ありがとうございました。大変、石井委員から指摘されて、われわれしろうとは、な るほど、そういう点についてはほんとうにこれから考えていかなければいけないなあ、 ということを教えられたような気がいたしますが、この財務諸表の関連の審議につきま して、何かご議論はございませんでしょうか。今、石井委員がおっしゃったような点に ついても、何か示唆をいただけるようなお話があればありがたいと思いますが、どうで しょうか。川原先生、何かございませんでしょうか。 〇川原委員  特にございません。 〇岡田部会長  この黒字になり得る部門というのは、今後、まだほかにあるのでしょうか。 〇福祉医療機構経理部長  各勘定における利益ということでしょうか。 〇岡田部会長  はい。 〇福祉医療機構経理部長  それは金利等の関係から、あり得るかと思います。今ここではっきりした意見は申し 上げられませんが、あり得るとは思います。 〇岡田部会長  そうですか。ありがとうございました。  それから石井委員がおっしゃったように、150億の資産があって、その資産の効率的な 運用という観点に立てば、また評価の仕方も変わってくるだろうというご意見を頂戴し たわけですが、これにつきましては、のぞみの園側としては何かお考えはありますか。 〇のぞみの園理事長  貴重なご意見として今後もよく検討したいと思いますが、その固定資産のうち、かな り土地が含まれております。土地というのは、実は平地でいろいろ活用できるところが 比較的少ないものですから、そういうことも含めて、これから法人全体として施設業務 を中心にしながらどのように業務展開していくか、検討課題としてやっていきたいと思 います。 〇岡田部会長  ありがとうございました。  委員の方がた、ほかに何かご意見、ご指摘事項はないでしょうか…。  もしなければ、大変短い表現ではございましたが中身は非常に濃密なものだとわれわ れは理解させていただいております今の財務諸表関連の意見書につきまして、ご承認い ただけますでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、これにつきましても、先ほど申し上げたとおり、万が一、誤字脱字あるい は事実誤認のうえで重大な誤りがあったりした場合には修正を必要といたしますが、そ れにつきましても一応は委員長の責任において処理をさせていただくということでよろ しゅうございますか。  ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。  なお、今までの議論のなかの繰り返しになりますが、本日、ご審議いただきました総 合的評価と財務諸表及び剰余金の使途の承認についての意見につきまして、厚生労働省 独立行政法人評価委員会運営規定第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委 員の決定となりまして、法令に基づく通知先への通知、公表等の手続が行われることを 申し添えておきます。よろしくお願いいたします。  (3)その他  それでは、予定していた時間よりだもだいぶ早く進捗してまいりましたが、最後の議 題になりますその他といたしまして、今回の評価結果について二つの法人の方がたか ら、ご感想なりあるいはご希望なり、なんらかのご意見を頂戴できればありがたいと思 いますので、よろしくお願いいたします。  まず、福祉医療機構のほうはございませんでしょうか。どうぞよろしくお願いいたし ます。 〇福祉医療機構理事長  ご指名でございますので、ひと言だけ申し上げさせていただきますと、私どもも初め てこういう経験をさせていただくわけですし、15年度というのは独立行政法人となりま して初めての、しかもわずか半年間の事業期間にかかわることでございました。また、 当機構は、たびたびお話にございますように広範囲にわたる大変な多岐にわたる事業を 実施していることもありまして、限られた時間内に十分私どもがご説明ができなかった 点もあるかと思いますし、また、私どもの思いが通じなかったのではないかという面も ございますけれども、そういう制約の中で各委員の先生方におかれましては、福祉医療 機構の役割、機能、それから15年度の私どもの実績等を十分にご理解をしていただいた うえでご評価をいただけたものと、私どもは受けとめております。  この評価のなかで厳しい評価をいただきました事項、あるいはこのご評価をいただく 過程でいろいろとご指摘のあった事項につきましては、私どももしっかりとこれを受け とめまして、今後の事業の発展あるいは機構の発展につなげていかなければならないと 思っております。ありがとうございました。 〇岡田部会長  ご感想をいただきましてありがとうございました。  それでは、同時にのぞみの園のほうからもご発言いただければと思いますが。 〇のぞみの園理事長  初めての実績評価のこういう部会ということでありましたけれども、委員の先生方は 大変お忙しいなか、長い時間をかけて熱心にご議論いただいて、細部まで非常に丁寧に 評価していただきまして、ほんとうにありがとうございました。  また、当法人が中期目標に取り組むなかで直面している容易でない事情、特に入所利 用者の地域移行をめぐる諸問題について十分ご理解いただいたうえで、建設的なご意 見、ご示唆を多くいただきました。ほんとうにありがとうございました。  今回のこの部会における質疑とか議論、あるいは本日の議題となった評価結果の案な どを自分なりに総括してみると、当法人に対して残りの4年間、一層尽力せよ、そうい った叱咤激励をいただいたものと受けとめております。評価結果の案の中でも記述され ておりますように、独立行政法人化に伴いまして目的変更されたということで、私ども の職員はやや戸惑いながらも新しい方向の業務に日々一生懸命取り組んでおりまして、 今回の評価の結果、その内容は職員にとって大きな励みになるのではないかと考えてお ります。  平成16年度からは法人内の体制も整いまして、中期目標に掲げられている諸課題の達 成に向けて本格的に取り組んでいるところでありますけれども、特に今回の評価で平均 点3点に満たないものが16の項目のうち6項目もございまして、これらについては重点 的に取り組んでいきたいと改めて考えております。  来年度のこの部会でまたしかるべき実績をご報告できるように、引き続き役職員一体 となって全力をあげて取り組んでまいりたいと思っております。今後ともどうか委員の 先生方におかれましても、当法人についてご指導、ご鞭撻いただくようにお願いいたし ます。 〇岡田部会長  ありがとうございました。二つの法人の理事長先生からお話を頂戴いたしました。委 員のほうから、何かこの事柄につきましてご意見、ご発言はございませんか。 〇小林部会長代理  この表の評価に関しては、私の私的な考えから申し上げれば、二つの法人とも、この 6か月という限られたなかで、かなりの努力を費やしたのだろう、できる限りのことを やったのだろうと、私はどちらかといえば誇りをもって今後もよろしくお願いをしたい と願っております。立派なものだと思います。 〇岡田部会長  ありがとうございました。おそらく委員の方がた、それぞれ同じような思いをおもち になっているのではないかという気がいたします。ほかにどうでしょうか、もうひと言 いただければありがたいと思いますが、特によろしゅうございますか。  もしなければ、大変精力的な作業をやっていただいたわけでございますが、これをも ってきょうの議論を終わりたいと思います。 3.閉会  最後に私から申し上げさせていただきたいと思いますが、独立行政法人制度がスター トして非常に日が浅うございます。この評価につきましても、まだ未知数のことが非常 に多かったといわざるを得ません。そしてまた、当部会での評価作業自体が、知らない 事柄を理解しながら評価をするという部分も決して少なくなかったわけでございます が、そういう意味では私どもにとりましても大変貴重な勉強になり、またそれがいい経 験になったと思います。  それから、実際の評価作業を通じて委員の皆さま方から出されました問題提起につき ましては、来年度以降、その作業に役立つような形で他の部会の状況とも合わせなが ら、できるだけフィードバックさせていくように事務局にお願いをしておきたいと思い ます。  特にことしの夏の厳しさは例年以上でございましたし、オリンピックがあり、高校野 球があり、お盆のさなかというこういう時期に、ほとんどの委員の方がたも、あるいは 事務局の方がたも、法人の方がたも、時間をこれに費やしてくださったのだろうと思い ます。そういうことに対してはほんとうに心から敬意を表しまして、とりあえずこの評 価作業を終わりたいと思います。  それでは、事務局から何かご連絡事項を頂戴して終わりたいと思いますが、いかがで しょうか。 〇事務局  事務局からご案内申し上げます。  本日は、ご審議をありがとうございました。本日のものにつきまして、事務手続を進 めさせていただきます。事務手続が終了して確定したものにつきましては、後日、先生 方に改めてご送付をさせていただきたいと思います。  以上でございます。 〇岡田部会長  ありがとうございました。  それでは、きょうは比較的早く終了することができましたが、7月末以来、ほんとう に長いあいだ、精力的な作業をやっていただきまして、終わることができました。ほん とうにありがとうございました。きょうはこれをもって終了させていただきます。どう もありがとうございました。                                     −了− 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係 電話 :03-5253-1111(内線7780)