04/08/05 標準的電子カルテ推進委員会第4回議事録           第4回標準的電子カルテ推進委員会議事次第                   日時:平成16年8月5日(水)14:00〜16:00                   場所:厚生労働省5階 共用第7会議室 1.開会 2.議事    (1) 前回の委員会以降の動向について    (2) 主要な検討事項と検討体制について    (3) 今後の委員会等の開催予定 3.閉会 配付資料 資料1:標準的電子カルテ推進委員会 中間論点整理メモ 資料2:主要な検討事項と検討体制について 参考資料1:医療情報ネットワーク基盤検討会 合同作業班で検討された今後の主要な       論点及び重要事項 参考資料2:経済産業省における保健医療福祉分野の情報化に向けた取組 参考資料3:今後の委員会等の開催予定 参考資料4:第4回 標準的電子カルテ関連研究報告会について 議事内容 ○高本補佐  定刻になりましたので、ただいまから第4回標準的電子カルテ推進委員会を開催させ ていただきます。  委員の皆様には御多忙のところ、御出席を賜りましてまことにありがとうございま す。本日のこの委員会は公開形式で行われるものでございます。なお、報道関係の方が 撮影等をされる場合は、議事に入るまでとさせていただきたくお願いを申し上げます。  それでは、最初に委員会開催に当たりまして、医政担当大臣官房審議官  岡島よりごあいさつを申し上げたいと思います。よろしくお願いします。 ○岡島審議官  医政担当審議官の岡島でございます。  本日は、委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきましてあり がとうございます。  既に御承知のとおり、厚生労働省におきましては、平成14年度から概ね5ケ年の計画 としまして、保健医療分野における情報化に向けてのグランドデザインを公表しまし て、経済産業省等との有機的な連携の下、各般の情報化推進施策に取り組んできている ところでございます。  今年度はグランドデザインの折り返しの年にも当たりまして、電子カルテシステムの 普及に関連しました産・官・学のこれまでの取組の評価を行い、今後、医療機関におき まして、電子カルテシステムが健全に普及・定着していくというための課題の抽出、あ るいは課題解決のための具体的な方策などを検討することは極めて有意義なことである というふうに考えております。  これまでの本委員会におきましては、厚生労働科学研究事業の標準的電子カルテ関連 研究班からの研究報告を受けながら、包括的な視点で検討を行ってきていただいたとこ ろでございます。そして議論の中間的な論点整理メモが取りまとめられたところでござ います。  本日の委員会におきましては、整理されました検討の視点や方向性に基づきまして、 標準的電子カルテシステムの推進に係る最終的な御提言に向けまして、引き続き御議論 を深めていただきたいというふうに考えております。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○高本補佐  続きまして、本日、御出席の経済産業省サービス産業課医療福祉機器産業室の藤本室 長よりごあいさつをちょうだいしたいと思います。 ○藤本室長(経済産業省)  御紹介いただきました経済産業省の藤本でございます。  第2回の委員会のときにもごあいさつをさせていただき、また、経済産業省の基本的 な考え方を後ほど資料とともに御紹介させていただくことになっておりますので、一言 だけごあいさつをさせていただきます。  我々、今年度の事業をいよいよスタートさせられる時期となりました。手続的に遅れ た部分がございまして申し訳ないのですけれども、中身をきちんとしたものにすべく、 かつ厚生労働省が出口を見据えて取り組んでおられる全体的な流れをうまく下支えして いけるような、そういう事業にしていきたいというふうに考えております。私どももこ ういう議論に参加をさせていただいて、いろいろ勉強させていただく非常に貴重な機会 だと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。 ○高本補佐  ありがとうございました。  委員の交代がございましたので、この場を借りまして御紹介申し上げたいと思いま す。  日本医師会常任理事の松原謙二様が西島前委員と交代され、今回の委員会から御出 席いただくことになりましたが、本日は御都合によりまして、欠席されるとの御連絡を 承っております。  続きまして、日立製作所公共システム事業部医療情報システム本部本部長の大久保道 久様が、藤田前委員と交代され、今回の委員会から御出席でございます。引き続きまし てよろしくお願いいたします。 ○大久保委員  よろしくお願い申し上げます。 ○高本補佐  また、阿曽沼委員と石原委員が御都合により欠席されるとの御連絡を承っておりま す。それから、阿曽沼委員の代理として、本日、東京大学大学院クリニカルバイオイン フォマティックス特任助教授の小出大介様に御出席いただいております。 ○阿曽沼委員(代理:小出)  よろしくお願いいたします。 ○高本補佐  なお、事務局におきましても人事異動がございまして、医療技術情報推進室長の新村 が、関前室長と交代しまして今回の委員会から出席をいたしております。  それでは、以降の議事進行につきましては、大江座長にお願いを申し上げたいと思い ます。 ○大江座長  委員の皆様にはお忙しい中、また大変な猛暑の中をお集まりいただきましてありがと うございます。外は猛暑ですが、中は涼しいですけれども、その分、ホットな議論をお 願いしたいと思います。  それでは、議事に入ります前に、まず事務局の方で資料の確認をお願いいたします。 ○高本補佐  まず、議事次第の下に委員の出席者名簿がございます。  その下、資料1、3ページのもの、標準的電子カルテ推進委員会中間論点整理メモと いうものがございます。  その下に、資料2といたしまして、1枚紙の主要な検討事項と検討体制について(案 )というものがございます。  そのほか参考資料1といたしまして、医療情報ネットワーク基盤検討会 合同作業班 で検討された今後の主要な論点及び重要事項という1枚紙のものがございます。  参考資料2といたしまして、経済産業省における保健医療福祉分野の情報化に向けた 取組というものがございます。これは横向きのカラー刷りの6ページのものでございま す。 参考資料3といたしまして、今後の委員会等の開催予定(案)でございます。  参考資料4といたしまして、厚生労働科学研究、第4回 標準的電子カルテ関連研究 報告会の資料がございます。  以上が資料でございますけれども、資料の未配付等、不備がございましたら申し出て いただくようにお願い申し上げます。よろしゅうございますでしょうか。  以上で資料の確認は終わります。 ○大江座長  ありがとうございました。  それでは、本日の議事に移りたいと思いますが、まず議事、1つ目の「前回の委員会 以降の動向について」、これを事務局から御説明をお願いいたします。 ○高本補佐  最初に資料1を御覧ください。標準的電子カルテ推進委員会 中間論点整理メモでご ざいます。  これにつきましては、前回までの本委員会での検討状況とともに、ほかの関連する委 員会の動向にも留意しつつ、その後、ちょうだいいたしました委員からの個別の御意見 も踏まえまして、最終的に座長に調整をしていただきまして取りまとめたところでござ います。今後はこの中間論点整理メモに従いまして基本的な検討を進めていくところで ございますので、御留意いただきたいというふうに存じます。  それから、参考資料1を御覧ください。特に本委員会と密接に関連した検討会といた しまして、医療情報ネットワーク基盤検討会が現在開催されているところでございま す。前回の本委員会以降、5月から7月にかけまして、第8回から10回の3回の検討会 が開催されたところでございますが、検討会のワーキンググループとして合同作業班、 これは公開鍵基盤についての作業班、書類の電子化についての作業班、診療録等の電子 保存についての作業班の3班が合同で1月以降開催しているところでございますけれど も、そこで検討された今後の重要事項を整理したものでございます。  御覧のとおり、専門的かつ重要事項について御審議をいただいているところでござい ますけれども、特に3の総合的な情報セキュリティ対策のあり方との関連にも留意しな がら、1の医療における公開鍵基盤のあり方、また2の適切な電子保存の推進と診療録 等の外部保存、これらのテーマにつきましては、合同作業班の中からサブワーキングを 募りまして、これも電子保存、外部保存のガイドライン、サブワーキングにつきまして は計6回、PKI、医療の公開鍵基盤のあり方につきましては、PKI、基本ポリシー サブワーキングを計5回開催いたしましてかなりタイトなスケジュールで検討なり、ガ イドラインの改訂作業などを行っていただいているところでございます。これにつきま しては、後ほどまた時間があれば、合同作業班長の山本先生の方から補足をちょうだい したいと思います。  次に参考資料4を御覧ください。  審議官のごあいさつにもございましたように、本委員会には厚生労働科学研究、標準 的電子カルテ関連研究報告会の様々な研究成果をちょうだいしながら、これまで検討し てまいったところでございますけれども、15年度の研究成果につきましては、第4回  標準的電子カルテ関連研究報告会として、5月29日に会を設けまして、班の相互の情報 交換とともに今後の研究の方向性などが提示されたところでございます。これにつきま しては、後ほどゆっくりと御覧いただきたいと思います。  以上で、前回の研究会以降の動向についての事務局からの御説明でございます。 ○大江座長  ありがとうございました。いろいろ御意見、御質問がおありかもしれませんが、もう 一つ、続けて説明をして、後でまとめて意見交換をしたいと思います。  それでは、引き続きまして、関連する事項として「経済産業省における保健医療福祉 分野の情報化に向けた取組」の説明を、経済産業省商務情報政策局サービス産業課医療 ・福祉機器産業室の藤本室長にお願いいたします。 ○藤本室長(経済産業省)  お手元にございます参考資料2を御覧いただければと思います。この資料は、主に今 年度、我々が取り組む事業の方向性について御説明をさせていただく資料でございま す。一番最後にこれまでやってきた内容も書いてございますけれども、1枚めくってい ただきまして、今、我々が医療の情報化施策の方向性としてどういうふうに考えている かというのが最初の1枚でございます。  ちょっと言葉がきつくなっている部分もありますけれども、4点考え方としてござい ます。まず1点目は、一生懸命情報化に取り組んでおられる病院も多いということは承 知しておりますけれども、歴史的に大きな病院がカスタムメイドで情報システムをつく ってきた歴史があると思いますので、そういう中心に病院を考えると、なかなか情報技 術の力を100 %発揮できるような、そういう産業を持って下支えしていくような、そう いうアプリケーションの分野になってないのではないかという疑問がスタートラインと してはあると思います。ユーザーがいいところ取りができて、かつ供給側がどんどんい いところをアピールして、それが縦横無尽に競争していくような、そういう分野にはみ んながなろうとしているとは思いますけれども、今のところなってないのではないか、 そういう意味でございます。  2番目でございますけれども、そういう世界にしていくためには、ある程度、今申し 上げたように、ユーザー、病院があるベンダーにはここをお願いして、また別の分野は ここをお願いするということをうまくできるような世界にならないだろうかと。今、も ちろんベンダーがいくつか入っている病院もありますけれども、統一的にまとめてやっ ていくということが前提で相当程度手を入れているのだと思います。そこの手を入れる 程度というのはいろいろ定義もあろうかと思いますけれども、ある程度パッケージング みたいなものを買ってきてぽっとのせるとうまくいくような、そういうインターフェー スなり、データベースの共通な部分というものができてくるとマルチベンダー化の基盤 になるのではないかと。その上で皆が競争していくと。その上でユーザーがきちんとし たリクエストを出していくという産業にならないだろうかという思いがございます。  そうであるとすると、かなり効率的で値段が安くなるという期待もありますし、かゆ いところに手が届くシステムがいろいろ存在し始めると。1つの会社が病院の隅から隅 まで使い勝手のいいシステムをつくるのはなかなか無理だと思いますので、得意なとこ ろをつくっていくと。そこに資源を集中していく。その資源がうまく重なり合っていい 産業としてやっていけるのではないか。それをもって付加価値として国際的にも貢献し ていくことができるのではないだろうかと。  もちろん一番最後の点ですけれども、今後、医療機器の情報化がどんどん進んでいく と思います。ソフトを入れ替えれば全く別の検査機器になるというのもあると思います し、そういうゼロと1の信号でいろんなものがやりとりされるときに、本当にシームレ スにつなげていくという可能性も出てくるだろうと。そうすると情報化という投資が、 さらに情報化を生んでいくような、そういう大きな流れができていくのではないだろう かと。こういうところを経済産業省としては下支えをしていけるようなことができない だろうかというのが基本的な問題意識でございます。  2ページ目でございますけれども、「厚生労働省と経済産業省の役割分担」と書いて ございますけれども、私ども基本的には医療は厚生労働省が責任持って見ていかれる分 野だと思っておりますので、そういう世界で、医療の情報化というのはこうあるべきだ と、こういう方向なのではないかということが見えてきた段階で、実際に使う方々が後 ろを振り返ったときに、産業としてそれがうまくリクワイアメントに応えられるものを 提供していけるような活気のある産業になっているか。そこについて我々は非常に気に とめる立場にあるのだろうというふうに理解をしております。  今まで我々がやってきた施策ですけれども、今、だんだん厚生労働省がいろいろ苦労 されて制度的なところを変えていかれていますので、本当の意味の情報化というのが議 論の俎上に乗ってきたのだと思いますけれども、昔そうではなかった時代に、我々技術 的な可能性を見せるという意味で、平成11年ですとか12年度の補正では電子カルテを用 いたネットワーク化の実証実験ですとか、レセプトのオンライン化の実証実験、技術的 にこういうこともできるぞということをやってみようではないかという実証実験を公募 を通じてやっておりました。  14年、15年度には、将来的には認証基盤が大事だろうということで、これも技術的に 可能性を見きわめるという意味で実際にやってみようということでモデル的にやってみ たということでございます。  今後の課題でございますけれども、こういう技術的な可能性云々ということに加え て、全体の社会的な流れも踏まえて言いますと、システム構築では、厚生労働省が標準 的な電子カルテの機能ですとか基本要件の確立、こういう方向性をお示しになると。  経済産業省は、そういうものを産業として成り立たせていくために必要なものは何だ ろうかと。そうするとマルチベンダー化を図り、ベンダーの方々が一生懸命、今でもそ うですけれども、さらに競争していいところをアピールしていけるような、そういう環 境をどうつくっていくかと。それをもとにセキュリティというのは当然大事になってき ますので、認証基盤の構築という課題があろうかと思います。  さらに、もう一つ大事なことは、【人材の育成】と書いてございますけれども、ベン ダーなりメーカーの方が非常にいい製品を提供していったとしても、それをきちんと理 解して、何が情報化なのだということを医療機関の側が正確に理解をしていく必要があ ると思います。何が可能で何が可能でないのか。医療情報システムを入れたときに一体 今までできなかった何ができるようになってくるのかと。それが目標なのかどうかとい うことをちゃんと見きわめていけるような人材が、今でももちろんおられると思います けれども、もっと増えてくるという必要があるのではないかというふうに考えておりま す。  1枚めくっていただきまして、経済産業省が考える相互運用性とはどういうことを言 っているのかということでございますけれども、相互運用性というのは非常に言葉の定 義としては広うございますので、いくつかの例をちょっと挙げさせていただければと思 います。  【現状と課題】のところは、今申し上げたところなのですが、これも申し訳ございま せん、ちょっと言葉がきついままになってございますけれども、今、歴史的に各ベンダ ーが病院などとオーダーメードでつくってきた部分がありますので、それが若干、全体 で見ると非効率になっていると。本当の意味の情報化の基盤になってないのではないか ということがございます。  そうなってくると、一度でき上がったシステムのメンテナンスも大変ですし、そこに アドオンでいろいろ入っていくこともできないということで、2番目にあります「産業 の活性化を阻害」と。これはだれが悪いという意味ではないのですけれども、今の構造 でいくと、どうしても一度つくったシステムに気軽にくっついていくわけにはいかない ので、「大手ベンダーによる囲い込み」、これは表現が適切ではないと思うので訂正さ せていただきますけれども、結果として、そういうふうに小さい、例えば参入したいと 思うベンダーから見ると見えてしまうのだと思うのです。ベンダーの方も囲い込みたく て囲い込んでいるわけではなくて、いろいろカスタムメイドでつくっているうちに、な かなかそれ以外のベンダーが手を出せない。あるいはベンダーの中でも時間がたつと少 し不得手になってくるような、そういう状況になってしまっているのではないかと。で すから、どこをきちんとした標準的なものにしていくのか、そういうものをちゃんと議 論した上で、そこの部分はオープンにしていくと。そこを見きわめてシステムをつくっ ていくとうまくつながるようにするというのが理想ではないかと考えております。  右側にある絵は、これは皆さん釈迦に説法だと思いますけれども、こういういろんな システムがありますと。特にこのうちのデータベースのところは非常に肝になる部分だ と思いますので、例えば、このデータベースのシステムのところ、ここを各社共通のも のにするというのはなかなか難しいと思いますけれども、ミラーリングのような形で中 間媒体をつくって、そこのフォーマットには必ず皆でアクセスできるようにしておこう と。そこはオープンにするとか、そういうのも1つの方策だと思いますし、こちらの予 約とか手術とかいくつかありますけれども、こういうもので、例えば循環器科といった ときに1本マルチベンダーで全部通して組んでみるとか、そのときに出てくる課題なり インターフェースをちゃんと標準化をしてオープンにしていくと。これは当然画像関係 でもそういうことはあり得ると思いますし、画像とか電子カルテ的なこういう世界も含 めて全部一気通貫でやってみるというのも1つの課題かと思います。ですから、そうい うショールーム的な話をやるという部分とデータベースみたいなものを共通化していく 試みというのを、縦と横のような形でうまく組み合わせていけないかというふうに考え ております。  今、ちょうど先週の末ぐらいから、今、お話したような相互運用性に資する実証実 験、かつどこの標準化を目指していくのかというものを含めた、その開発のための実証 の公募を始めております。8月の終わりが締め切りになっておりますけれども、また、 その時点で、今、アイディア募集の段階でございますけれども、厚生労働省とも相談し ながら、どれを取り上げていくのかというのを議論していきたいと考えております。  1枚めくっていただきまして、今、ちょっとお話をさせていただきました実証事業の ところでございますけれども、「実施スキーム」と書いてございますけれども、このス キームの絵の意味するところは、いくつか実際にインターフェースなり、フォーマット を開発する、あるいはキラーアプリケーション的なものをつくって、それをあるシステ ムにつないでみるとか、先ほど申し上げたように、部門で一気通貫でやってみるとか、 何かの形のアプローチで、既存のシステムの横串を通していく。その通すために必要だ ったものをオープンにしていくと、そういう実証テーマをいくつか募集をすると。それ をうまく組み合わせて、その成果を標準化していくと、そういう推進母体も併せて考え るというのがこの表でございます。  「考えられるポイント」のところは、最初に申し上げた1つ肝になるようなデータベ ースのところですけれども、我々はこんなことができたらいいなと考えておりますの は、データベースの可用性を高めるために、共通データベースのフォーマットみたいな ものを構築していくと。各社がある程度それにシステムを合わせていくと。そういうも のをある程度の時間をかけてやっていくと。  当然それからデータの閲覧・利用性というのを考えるために、そういう参照システム をつくりますし、それから部門間の通信規約もつくってみるということで、こういうも のを徐々に実装していく、そういうスケジュールも含めて議論できればと、そういうふ うに考えております。  最後のページでございますが、これはこれまで我々経済産業省が具体的な事業として やってまいりましたものの流れでございまして、一番上の政府の目標として13年度に厚 生労働省がお示しになられたグランドデザインがございますし、その目標を踏まえて、 e−Japan重点計画というのが毎年できてきています。そういうものを見ながら、 我々11年度、12年度は、先ほど申し上げたように、技術的な可能性を示すという段階で ございまして、13年度から15年度は、主に診療所というところで気軽に使えるシステム はどんなものだろうかということ考えて開発した部分がございます。それから、16年度 が今申し上げた、制度的にいろいろ整い始めている中で、本当に情報化を進めていくに 医療の分野で情報技術が使いやすくなっているだろうか。そのためには相互運用性とい うものを高めていく必要があろうということで、それを高める事業ということを3年、 4年かけてやりたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○大江座長  ありがとうございました。  それでは一通り説明いただきましたので、まず資料1、参考資料1、参考資料4につ いて何か御質問、御意見ございますでしょうか。  まず資料1が、前回までの議論、電子メールでの修正を反映させて最終的な本委員会 の中間論点整理メモとさせていただきましたが、いかがでございましょうか。何か最終 的に御質問とかございますでしょうか。よろしいですか。何かありましたら、後でもま た意見交換したいと思いますが、引き続いて、参考資料1は、医療情報ネットワーク基 盤検討会の状況について御報告がありましたが、いかがですか。廣瀬委員、どうぞ。 ○廣瀬委員  質問させていただいてよろしいですか。2つあるのですけれども、1つは、VPNが クローズアップされているのがどうしてなのかなということです。もう一つは、権限管 理はどうなっているのかなと。全部に含まれて実現されるといえば全部に含まれるかも しれませんが、枠組みは少々別といえば別のような気がしますので、この2点、御質問 させていただきたいのですが。 ○大江座長  VPNがクローズアップされているように見えるというのはどの部分でしょうか。 ○廣瀬委員  2の(3)なのですけれども、PKI、利用者識別技術、これはわかりますし、それ とログとを連携させてセキュリティやコンフィデンシーが確保されるというのはわかり ます。ただ、確かにVPNがセキュアなチャネルをつくるという意味では極めて有用な 方法ですが、一方で、実際に使ってみるとレスポンスが非常に遅いとか、コストが嵩む とか、導入にあたっては検討しなければならない問題もあると思うので選択肢は1つで はないような気がするのですけど、そういった意味でどうしてなのかなと。今ある技術 だからといえばそれまでなのでしょうけれども、という意味で質問させていただきたい と思いました。 ○大江座長  これは、どうしましょう、事務局の方からお答えになりますか。検討会の方のメンバ ーでもあられる山本委員にお願いします。 ○山本委員  この合同作業班の班長をしております山本ですけれども、特にVPNを強調している わけではないのですね。ただ、単にここに偶然入ったというふうにお考えいただければ いいと思うのですけれども、もう一つは、外部保存の外部にオンラインで診療録を保存 するとか、ASP型の電子カルテを考える際に、実はこの検討会で、これは厚生労働科 学研究班の検討会の班長が大山先生なのですが、大山座長がやられている住民基本台帳 カードの仕組みを利用したオンデマンドの認証付きのVPNといいますか、そのデモを されたので、そのデモの印象があってここに入っておりますけれども、特に2番に関し ては、我々は今利用可能な技術をカウントアップするというのですか、取り上げて、そ れに対して、そういうのを利用する場合はこういう方法がありますよというようなこと を具体的に提示したいということで、特定の技術を特に取り上げているわけではありま せん。  それから2番目のPMIといいますか、プリビレッジ・マネジメントですけれども、 議論はしておりますけれども、現時点でこういう検討会で、ある種のガイドラインと か、そういうふうなものとして、今まとめきれるほど合同作業班はもちろんですけれど も、恐らく我が国でも、それをきちんと標準的な形で記載できるほどはまだ成熟してい ないというふうに考えておりまして、したがって、公開鍵基盤のあり方も、当面は認証 ではなくて署名だけをターゲットにしていると。それで将来この委員会等で診療情報の 権限管理に関してきちんとした方針が定まった時点で、PKIの認証基盤も考えていこ うというふうな議論になっております。 ○大江座長  ありがとうございました。よろしいですか。 ○廣瀬委員  はい。 ○大江座長  ほかに何かございますか。今、話題に出た利用者権限の管理のあり方というのは、今 後、標準的電子カルテの機能を考える上でも多分非常に重要な枠組みになるだろうと思 いますが、その前にどういう利用者区分があり得るのかということを議論しないといけ ないので、これはメモにとどめておいて、また、今後、議論していきたいと思います。 ほかに何かございますか。 ○木村委員  多分、去年、私、一言申し上げたと思うのですけど、これはタブーもたくさんある話 ですが、やはり施設IDというものがやはり避けられないのだろう。その辺の議論はい かがでしょうか、避けましたか。 ○大江座長  これは山本委員の方に質問ということでよろしいですか。 ○山本委員  合同作業班ですか。議論はちょっとしました。結論は出ておりません。 ○木村委員  多分これはいろいろと関係することが多いかとは思うのですが、やはり避けがたいこ とではないかと思いますので、ここはやる、やらないは別として、どうあるべきぐらい は要るかなと思います。 ○大江座長  今のお話大変重要な話で、中間論点整理メモの2の(4)ですか、ページ数で言うと3 枚目になりますが、それの1つ目にちらっと「未だ確立されていない医療機関コード」 云々というのが含まれておりまして、後ほどこれに基づいて少し検討体制をどうするか 議論したいと思います。よろしいでしょうか。 ○木村委員  はい。 ○大江座長  ほかにございますでしょうか。参考資料4は、この前の報告会の報告ですので、特に これについて質疑応答はないと思いますが、何かお気づきの点がありましたらお願いし ます。  引き続きまして、経済産業省の藤本室長から御説明いただいた参考資料2ですが、こ れについて少し議論をしたい。議論といいますか、質問があればお伺いしたい。木村委 員、どうぞ。 ○木村委員  いつもIHEの御支援ありがとうございます。お世話になっております。私はここの テーブルでは、特に療・施連携というお話を特にやらせていただいておりまして、現実 にもう一つ、きょう夕方静岡に戻るのですけれども、静岡県の電子カルテプロジェクト というので施設間の連携ということを重視して、ここにいろんな部品をマルチベンダー で組み合わせてというふうにおっしゃっていたことは、まさに我々はそれを目指してい て、昨年に一応部品集などというものをつくりましたものですから、藤本氏にはお送り してないので、一度お送りいたします。  この話でぜひ伺いたいのは、共通データベースのどのレベルのなんですよね。多分デ ータベースエンジンではないだろうと、その次のデータベース構造なのか、それともデ ータベース項目なのか、あるいはこれも含めてどの部分まで線を引くべきかということ も検討すべきなのかということですよね。これの大体のイメージを、いろんな方に伺っ てもこの件はいろんなイメージでおっしゃるので、何か指針をいただけたらと思いま す。 ○藤本室長(経済産業省)  今、我々がまずできそうだと思っているのは、診療データなどの項目のフォーマット に近い部分です。これの各社共通フォーマットがもし可能であればできないかと。そこ に各社必ず出すようにしておいて、それはオープンにして、だれでもアクセスできるよ うにセッティングしておくというふうなものを、必ず実装するようにしておけば、少な くともデータが拾いにいけるようになるだろうと。  次の段階としてデータベースのもうちょっと下の方までいけたら、いくのではないと いうことだと思います。それは別に役所が強制する話ではないので、みんながデータを 少なくともやりとりできるようにする部分は、それなりに役所が旗を振ってもいいので はないかと思っております。 ○手嶋委員  私からも2点お聞きしたいです。藤本室長、この資料なのですけど、気になる点が何 点かあります。我々業界からも、この辺に関して若干意見させていただきたいというふ うに思っています。申し訳ありませんが、ご理解いただけると有難いのですが。 ○藤本室長(経済産業省)  もちろん、はい。 ○手嶋委員  わかりました。では、この点につきましては別途とさせていただきます。2点目は、 先ほど木村委員からも、マスターというか、データベースの共通化ということが触れら れていましたが、この点についてもう一歩踏み込んだ議論が必要だと思っています。そ れは、先ほど室長もおっしゃっていますように、『診療データの共有化』というテーマ です。これには多分2つテーマがあります。1つはマスター関係の共通、あるいは医療 と診療報酬請求の世界をマスタ上どうリンクしていくか。あるいはそのマスターをどの ようにメンテナンスしていくかです。もう一つは、でき上がった診療データそのもの が、その形で本当に各社が、あるいは各システムが共通化を図れるのか、です。これに は大きな課題があると思っています。これを追求するよりは、むしろ中間的な標準を何 か設定することが必要ではないか、といった議論が本当はもう少し必要ではないでしょ うか。その辺の御意見はいかがでしょうか。 ○藤本室長(経済産業省)  今ちょっとお話したように公募を始めておりまして、我々が期待しているのは、公募 を見ていただくと、概ねこんなことができないでしょうかという御提案を我々の方から しつつ、あるいは業界の中で全体でまとまっていただいて御提案をいただくとか、そう いうのも期待しておりまして、内々いろんなお話をいただいたりはしているのですけれ ども、それをきちんと提案にまとめていただいて、どこまでが可能であって、可能でな いのかというのは、今の公募期間中にもお考えいただいているのではないかというふう に考えているのですね。  ですから、どこまでできないとダメだというのは、役所がなかなか今の段階では言い にくいなと。つまり何が可能かというのをいろいろ教えていただいた中で、どこまで予 算との兼ね合いも含めてやろうかという議論になっていくのではないかと思っておりま す。ちょっとお答えになっているかどうかわからないのですけど。 ○大江座長  手嶋委員がいろいろ物申したいことがあるけれども、別のところでとおっしゃいまし たが、ぜひここでもということがございましたら、遠慮なく、せっかくの機会ですか ら。 ○手嶋委員  時間的な制約もありますので別途とさせていただきます。 ○大江座長  わかりました。ほかにこの参考資料2の御説明について何か御質問なり、御意見ござ いますでしょうか。 ○井上委員  よろしいですか。 ○大江座長  井上委員、お願いします。 ○井上委員  私も2つほどお尋ねしたいと思うのですけれども、1つ目は、「医療情報に詳しい経 営者等々の人材育成」ということを挙げていただいて、これは大変重要なことだし、い いことだと思いますので、ぜひ、ひとつ推進をお願いしたいと思います。  御承知のように、医療情報学会が中心になって昨年からいろいろ情報技師の育成とい うのを始めておりますが、日本医療情報学会と日本病院管理学会、日本診療録管理学 会、この3つの学会で、将来的には医療情報技師よりももう少し上級の、ここに書かれ ておりますような経営者、CIOというのでしょうか、一般に言うと、そういった人材 というものを日本の医療界ではぜひ必要ではないかと。そういうものを育成することを お手伝いしようというふうに考えておるのでございますけれども、経済産業省の方でお 考えになっていただいている、これは何か具体的には経済産業省の方が主導して、例え ば国家資格のようなことでやっていただけるのか、それとも民間の方でやることをお手 伝いしていただくということなのか、その辺はまだ決まってはおりませんでしょうか。 ○藤本室長(経済産業省)  基本的には医療情報学会ともお話をさせていただいて、なるべく国が国家資格を定め るということではなくて、皆さん学会などでやられているものをうまく支援していきた いと。それに必要な例えばカリキュラムの作成をお手伝いするとか、そういう方向にな るのではないかと考えております。今、言われた経営者でなくて、実際の医療情報技師 の方ですけれども、この場をかりて宣伝をさせていただくと、我々は今、事業の公募を 始めておりますけれども、公募の1つの考え方として、応募して来られる方は、その中 にぜひ医療情報技師が入っていることは我々としても望ましいと思っていますよという ことを書かせていただいていますので、そういう形でうまく連携をとらせていただくと いうのが一番効果的なのではないかというふうに思います。 ○井上委員  ありがとうございます。もう一つの質問はちょっと難しい質問かもわかりませんけれ ども、医療情報産業を膨らませていくということについて、今、お聞きしますと、1つ の考え方として、ユーザーとベンダーとの関係を調整していくというそういう考え方が あるかと思います。経済産業省としては当然そういうお立場だろうと思うのですけれど も、医療というのは他の民間企業と違って、公共事業的なところもあるわけでございま して、今、ここに挙げられているユーザーということは、恐らく病院経営者であると か、あるいは診療所を対象にされているのだろうと思うのですけれども、やはり公共事 業的なものがありますので、日本の医療を一体どういうふうにやっていくかという、厚 生労働省としても、政府も実は非常に大きな影響力を持つユーザーではないかなと思う わけでございます。  今まで医療のITが、他の産業分野のIT化に比べてなかなか伸びてこなかったとい う1つの起因はやはりそういうところにあるのではないかと思いますので、その辺の考 え方は非常に難しいかもわかりませんけれども、国が関与すべき事業であると。そうす れば医療ITについても、こういう目的を実現できるようなITだという、そこのとこ ろのリードがかなり必要ではないかなと。もしそういうことが日本において成功すれ ば、おっしゃるように医療ITを日本から世界に向けて輸出できるような産業になり得 るかなというふうに感じます。その辺のところは、社会主義経済とか自由主義経済とい うところの難しいところでもあるかと思うのですけれども、どこかにユーザーの一部に 国というものが入っているというお考えは持っていただく方がいいのではないかという ふうに感じます。 ○藤本室長(経済産業省)  経済産業省もそれは十分わかっていると言ったら変ですけれども、理解をしていま す。そういう意味では、厚生労働省ともうまく連携をしていければというふうに考えて おりますので、e−Japan重点計画ですとか、政府の目標を具体的にしていくには どうしたらいいか、ちゃんとビジョンを考えながらやっていくことではないかというふ うに思っております。 ○大江座長  ほかにございますでしょうか。高田委員、お願いします。 ○高田委員  ただ今井上委員より、ベンダーとユーザーの関係というお話が出ました。また、経済 産業省の藤本室長より本年度開始される事業についてのご説明をいただきまし た。  昨日たまたま私はJAHISにおりまして、JAHISの皆さんが経済産業省の事業 への対応について非常に熱心に討論されているのを聞いていて、相互運用性の推進につ いて非常に心強く思ったところです。JAHISも設立後10年を経過したということ で、JAHISが果たすべき役割を次の段階に進める準備をされているのではないかと 思いますし、それは非常に高く評価されるべきだろうと思います。経済産業省の事業と いうことですから、どうしてもベンダー側の関与が強くなると思いますが、やはりユー ザー側の関与というのも非常に重要ではないかと考えます。情報システムは工業製品と はいえ、ある1つの工場でつくられた製品が、日本中、世界中にそのまま流通するとい うものではありません。各ユーザーが情報システムを導入運用する時点での対応という のも非常に今後重要になると思います。経済産業省が公募される事業に、ユーザー側か らも提案をさせていただくということにも御配慮をいただければと思います。 ○大江座長  ありがとうございます。ほかにございますか。廣瀬委員、お願いします。 ○廣瀬委員  5枚目の下の「考えられるポイント」を見て感じたことを少しだけコメントさせてい ただきたいと思うのですが、初めにちょっと否定的なことを言いますね。ベンダー各社 とも、データベースと言われてしまうとかなり抵抗感があるのではないかな、と。聞き ようによっては勇気ある御提案という気もするのですけれども、でも、この絵を好意的 に解釈すると、これこそなのかな,という気もしないでもないのですよね。先ほど木村 委員がおっしゃったようにレベルの問題があるのですが、あと、システムアーキテクチ ャという問題もありまして、例えばミドルウエアというのはかなり広い意味で使われま すよね。単なるODBC的なそういったモジュールの場合もありますし、あるいはもっ と高機能な場合もあると思うのですが、だから、「データベース」という言葉にあまり 拘泥されない方がいいのではないかと。それから、応募する人もそこにあまり拘泥する 必要はないのではないかという気がするのです。  実現したいことは、要するにインターオペラビリティーですよね。必要なときに必要 な情報が得られるということですよね。そうすると、各社の様々なノウハウが集積され た部分に対して、いきなり切り込むような言い方、考え方ではなくて、もっと合理的な 運用が可能なようにも思えます。そのためにはこのあたりの概念的なデザインの言い方 呼び方というのは、省内におかれましても、もうちょっと柔軟に考えられた方がいいの ではないかなという気がいたしました。簡単なコメントですが。 ○藤本室長(経済産業省)  我々も相互運用性を何で担保していくのかというのはかなり議論をしましたし、ある 意味で広く考えております。この資料の考えられるポイントは、おっしゃるように、ち ょっとインパクトが大きそうなものを載せさせていただいたということなので、相互運 用性自体についてはいろんなやり方があるのではないかと考えております。それは我々 が我々の知る範囲で議論しているだけではなくて、広くいろんなアイディアがあるので はないかということで公募みたいな形をとらせていただいているので、それを見てまた 検討したいと思います。 ○大江座長  今、共通データベースはかなり抵抗がある考え方ではないかというようなコメントも ありましたが、どうでしょうか。ベンダー系の委員の方々で、いや、これからは、こう いう枠組みはそれほど抵抗がないということか、あるいは抵抗あるのか、どんな状況で しょうか、何かコメントいただける委員ございますか。お願いします。 ○御船委員  データベースの共通化ということでは、私ども弊社では今まで10年ほどずっと自社の データベースでシステムを構築してきていますので、いきなり共通なデータベースの項 目を定義されて、それに合わせるようにというのは、今、私どものシステムの運用を賄 っているものをそのまま変えるというのは多分無理だとは思っています。  ただ、ここでおっしゃっているのは、各ベンダーのシステムで使っているデータベー スとは別に、この2番目のポイントにありますように、「データの閲覧・利用性」とい う観点から見ますと、共通なプラットフォームなんかデータベースを各ベンダーから、 そこに落とし込むような仕組みを構築すれば、運用とはまた別ですね。各病院さんの電 子カルテのシステムとは別にシステムを構築することができるのではないかと思いま す。  ただ、現在、各ベンダーが持っているデータベースを、これから標準化したものに変 えるというのは大変難しいとは思います。 ○大江座長  これは、今、御説明いただいたように、恐らく既に保有でしているデータベースをど うこうというよりは、むしろそれと別のシステムとの相互運用性を確保するために、中 間的な、共通的なフォーマットを考えてはどうかというような例だということだと私も 思いますが、そういうことですか。 ○藤本室長(経済産業省)  そういうことです。各社が持っているデータベースを共通のものにするとは、とても 経済産業省は実情もわかるので、それは言うつもりはございません。 ○大江座長  それでは、いろいろまだ御意見があるかもしれませんが、少し先に進みたいのです が、ちょっと私、座長の立場を離れて、委員の立場で少しだけコメントをさせていただ きたいと思います。1つは、先ほど井上委員からも御意見があった人材育成ですが、恐 らくこの医療情報に詳しい経営者ももちろん必要なのですが、こういうふうにマルチベ ンダーで相互運用性を確保したシステムを実際1つの医療機関の中で動かそうとします と、ベンダー間の調整やテストをマネジメントする、いわゆるシステムインテグレータ ーのかなり有能な人、あるいは部隊がないと医療機関としてはとても怖くて導入できな いと。それを医療機関側が持つのか、それともそういう専門のインテグレーターの業者 に発注するのか、それは別として、いずれにしても、そういう人材、チームが日本の場 合非常に少ないのではないかと思いますから、むしろそういうシステムインテグレー ションに詳しい医療技術者あるいはシステム技術者というものの養成もぜひ考えていた だきたいと思います。もし、それを医療機関で持つ場合には、恐らく経済産業省だけで はなくて、厚生労働省でも、そういう医療技術者を養成するというようなことを今後考 えていただくことがかなり重要なポイントではないかと思いました。  それから、もう一つ、これは時間的なこともありますので、あまり深入りしたくない 議論ですが、今のデータベースの部分でして、1つの医療機関のサブシステム間の相互 運用性を確保するという目的で、その間にデータベースを置くという発想は、つまり一 たんデータベースを出力して、そのデータベースをまた次のシステムが見るというよう な形ですから、研究や参照にはいいんですけれども、オンラインでリアルタイムに相手 のシステムにメッセージを送らないといけないような、リアルタイムのトランザクショ ン系のシステムの場合ですと、かなりオーバーヘッドが問題になったり、それから、い くらデータベースのフォーマットを決めても、相手に投げるのはどっちかとか、トリガ ーをどっちが持っているかとか、セッションの管理をどうするかというそのレベルのこ とをかなり厳密に決めておかないと、恐らく各ベンダーとも怖くて使えないというよう なことが起こるのではないかと想像しますので、その部分についても、ぜひ相互運用性 の事業の中で考えていっていただく必要があるかなというふうに思いました。  それでは、次に進みたいと思いますが、次の議事は「主要な検討事項と検討体制につ いて」ということで、先ほど資料1で中間論点整理メモを取りまとめたということで御 報告をいたしましたが、具体的にこれから今年度、この論点整理メモに従って議論を深 めていって、年度末の報告書に反映させるということをしていきたいと思っておりま す。  そのためには、この委員会でこれを全部議論して議論を深めるというのは時間的にも 体制的にも少し難しい面がありますので、総論的に重要なことについてはもちろんここ でも議論を深めたいと思いますが、同時に、少し担当を決めさせていただいて、それぞ れの担当あるいは研究班に少しその点の議論をしていただいて、この委員会に持ち上げ ていただくというようなやり方をしたいというふうに考えましたが、まず、そういう方 針について御了解いただけますでしょうか。特に研究班をやっておられる委員の方々に は負担がいくかもしれませんが、研究班のワークの1つとしてとらえていただきたいと 思っておりますが、いかがでしょうか。よろしいですか。               (「はい」という声あり) ○大江座長  実はそのつもりで、資料2に穴埋め式の表が用意されておりまして、資料2を御覧い ただきたいと思いますが、資料2に14項目、これは中間論点整理メモから少し整理をさ せていただきまして、項目をピックアップしたものでございます。大体この中間論点整 理メモの主要なものがカバーされているはずでございますが、これについて、まず座長 案として、この検討事項については、この研究班、あるいはお世話役としてお願いする 委員を少し示させていただいて、その上で問題がございましたら御意見をいただくこと にしたいと思います。よろしいですか。  まず「電子カルテが提供すべき機能と構成」ということで、これは論点整理メモとも 併せて見ていただきたいと思いますが、論点整理メモで言いますと1ページの一番最 後、2の(1)あたりになりますが、これは標準的電子カルテの機能という意味で非常に 重要なテーマですので、委員会全体でも議論いたしたいと思います。研究班としては、 直接は、私が担当しております電子カルテの機能のモデリングが該当するかと思ってお りますので、私の班で取りまとめといいますか、たたき台をつくらせていただきたいと 思っております。  2番目の「電子カルテを普及させていくための方策」というのは、これはかなりいろ いろな臨床現場でのこともあると思いますし、担当の委員としては、本日は御欠席です が、松原委員にお願いし、担当の研究班としては、阿曽沼委員の研究班で少しまとめて いただきたいと思っております。  それから、ちょっと説明が前後しましたが、どの研究班がどういうことをしているか というのは、先ほどの参考資料4の2枚目、発表プログラムを見ていただくとそれぞれ の研究班の担当している内容が表題になっておりますので、それも併せて見ていただき たいと思います。  3番目の「電子カルテの導入効果を評価する方法の明確化」、これはかなり難しいテ ーマでして、ここで議論するだけ、あるいは研究班で方針を出すだけというのは非常に 難しいと思いますので、次年度以降も何らかの研究班なり体制をつくった上で検討する 必要があるかと考えておりますが、まずはそのたたき台を出していただくということ で、研究班としては、これが直接扱っている評価、効果及び影響に関する研究をされて いる阿曽沼委員の班及び、松山班というのが、今年度これは事務局の方で、今年度から 始まるわけでしたか。 ○高本補佐  昨年度採択しております研究班のほか今年度から新規に何班か御参画いただく予定に しておりますが、これについてはまだ詳細は決定しておりませんけれども、関連するも のとして、松山先生のところの研究班があるということでございますので、これは阿曽 沼班の分担研究者でもございますので、関連するものとして御紹介いただきたい。 ○大江座長  研究班としては阿曽沼委員の班でお引き受けいただいて、これは持ち上げていただい て、委員会で次回以降議論したいと思います。  4番目の「電子カルテが備えるべき共通の機能及びこれらの機能を満たすためのシス テム要件」ということで、これは先ほど1番のこととかなり密接に関係していることで すので、共通で、私、大江の班で行っていきたいと思います。  5番目の「様々なモデルの開発における優れたマン・マシンインターフェースの実現 」ということですが、これは今年度予定されているマン・マシンインターフェースの研 究班というのがあるそうですので、そちらの方にお願いして、取りまとめの委員として は、木村委員にお願いしたいと思います。 ○木村委員  研究班長を御紹介申し上げたい。作佐部先生いらっしゃいますか。 ○大江座長  来ておられますか。 ○木村委員  静岡大学工学部の作佐部助教授。 (作佐部氏起立あいさつ) ○大江座長  よろしくお願いします。まだ、正式には決まってないのですけど。 ○木村委員  そうですか。 ○大江座長  よろしいですか。 ○木村委員  大丈夫です。 ○大江座長  6番目の「共通の機能に対応するソフトウエア部品の標準化」ということですが、こ れは高田委員の研究班で、標準的電子カルテシステムのアーキテクチャ、フレームワー クに関する研究をJAHISとともにやっていただいておりますので、それから、もう 一つ、電子カルテの標準的な業務フローモデルに関する研究、飯田先生の班がございま すが、この両者が共通する部分ですので、研究班としては飯田班にお願いし、取りまと めを高田委員にお願いしたいと思います。  それから、7番、8番、9番は、いずれもセキュリティ、あるいはシステムの運用、 個人情報保護、3原則、そのあたりになりますので、これは本委員会で直接取り扱わず に、先ほど御報告もありました医療情報ネットワーク基盤検討会、医療機関等における 個人情報保護の検討会などがございますので、そちらの方で議論いただいて、随時、山 本委員に御報告いただくという形で進めたいと思います。そのうち9番については、そ の中でもとりわけ電子カルテに直接影響のある部分ですので、問題が大きいということ もありますが、今後、来年度以降も新しい体制が必要であればそれを確保した上で進め ていきたいと思います。  10番の「医療安全の確保に電子カルテが寄与できる領域等の検証及び安全性の確保の 視点からのシステムのあり方等」ということで、前回でしたか、この委員会でも報告さ れましたが、厚生労働省からも医療安全確保のための医療技術、医療情報のシステムの 対応のあり方ということが重要であるという報告がありまして、それを受けた検討事項 になっていますが、これは非常に大きなテーマでありますし、医療全般の安全の確保と いう視点から幅広く議論したいと思いますので、この委員会で全体的な議論をしたいと 思います。ただ、一応たたき台を出していただくということで、九州大学の澤田先生に していただいている電子カルテのための処方設計支援の基礎技術、これは処方オーダリ ングにおける安全確保の視点なども含まれておりますので、澤田班にお願いしてこちら に持ち上げていただこうかと思っております。  ただ、これは実際に実現するには、当然処方だけではありませんで、いろいろな領域 が関係しますし、特にベンダーの方々が様々な技術についての見解をいただく必要もあ ると思いますので、次年度以降、新研究班が必要であれば新研究班を立ち上げると。あ るいは必要であれば澤田先生の御意見もお聞きした上で、企業系の委員を中心にワーキ ンググループを発足させたいというふうに考えております。  11番の「用語・コード標準化の一層的確な推進、維持及び未確立コードの標準化」と いうことで、これは先ほども木村委員からも、医療機関コードの話などもありました が、まだできていないコードの標準化ということで、これはかなり個別の中身の議論あ るいは体制をつくる必要がありますので、本委員会では提言をするにとどめ、実際に標 準的コードを推進されているMEDIS−DC、あるいは支払基金などに働きかけると いう形で進めたいと考えております。  同じく12番の「基盤的技術やマスター等のメンテナンス体制を含めた仕組みの構築 」、これも11番と密接に関係した維持体制、提供体制の話ですので、同じく両団体にお 願いしたいというふうに考えております。  13番の「新旧システム間での円滑なデータ移行、異なるシステム間での互換性確保」 ということで、これはまさに今日、相互運用性の話が出ましたが、それにも関係します し、それから、新旧システム間でのデータ移行という意味では、電子保存の3原則の特 に保存性にも関係する部分ですので、委員会全体で議論したいと思います。ただ、これ はかなり技術的な面もありますし、システム間の交換規約も絡んでくるということで、 関連する研究班としては、木村委員の施設間診療情報交換に関する研究をされている研 究班、神戸大の坂本先生がされているHL7に関する研究班と合同でたたき台をお願い したいと思います。  それから、これは新旧システム、特にベンダーが変わった場合のシステム間のデータ 移行の議論もしないといけませんので、企業系の委員及びJAHISとも共同でワーキ ンググループを立ち上げさせていただきたいというふうに思います。  14番目の「関連組織・団体の有機的な連携体制の構築」ですが、これは2〜3回前の 本委員会で、高田委員の御発表、プレゼンテーションで非常に強調されておりましたの で、まず、この体制のあり方について、高田委員の研究班でおまとめいただき、本委員 会に上げていただくという形ではどうかと思っております。  駆け足で14事項について、担当を一方的に提案させていただきましたが、いかがでご ざいましょうか。あるいはぜひ我々も関わりたいというのは大歓迎でございますので、 ぜひ、そういう話がございましたら、おっしゃっていただきたいと思います。 ○木村委員  4番は医療情報学会で2年ほど前につくりました。さすがにそろそろ夢のつぶれたも の、新しいもの、やっぱり見続ける夢いろいろ出てきたように思うので、医療情報学会 の立場からもお手伝いさせていただきたいと思いますものの、副会長の私が、学術担当 の理事長先生にお願いするかもしれませんし、大江班の班員が私でもありますので、そ ういうことですね。 ○大江座長  ありがとうございます。これは研究班に加えて医療情報学会としても、これに参画し ていただいて、おまとめいただくということにしたいと思います。ほかにございます か。 ○高田委員  10番目に、医療の安全性の確保に電子カルテがどう寄与できるかという項目がありま す。これは多分、今後電子カルテが導入されるときの非常に重要なインセンティブにな る点であろうと思います。以前、ある医療事故が起こった時に、情報システムにそれを 防ぐ機能がなかったので事故が起こったというお叱りをいただいたことがありました。 その時から、新しいシステムの開発と導入を始めたのですが、非常に苦労が多いです。 1つの大きな理由は、過誤が起こらないようにするためには、どういうチェックをどう いう情報を組み合わせて行い、それをどう判断するかということを考える必要があるの ですが、その根拠となる情報が非常に欠乏している、あるいは非常にあやふやで、情報 システムで扱う事を前提に作成されていないということです。  具体的には、処方に必要な医薬品に関する情報の問題が大きいと思います。添付文書 はあるわけですが、作成段階で情報システムで活用するということが想定されていない ため、あいまいであったり統一性を欠いた表現や病名等の記述など、たくさんの問題点 があります。これはある意味では厚生労働省の方で管轄されている事柄ですので、政策 としてこういった点についてお取り組みいただく事が必要だと思います。  そういった理由から、この安全性の課題については、厚生労働省からも御参画をいた だいて、政策のレベルから考えていただくということが必要ではないかと考えていま す。 ○大江座長  ありがとうございました。具体的にはこれはどのようにしたらいいでしょうか。事務 局の方で何か名案はございますか。 ○新村室長  何かたたき台をつくるような研究班の集まりとか、あるいはワーキンググループなど がつくられる場合には、そこに私どもではなくて、多分添付文書ということであれば、 薬務の担当部局だと思いますけれども、そういうところにも声かけて入ってもらうと か、そういうことが具体的なやり方としては考えられるかと思います。もちろん後で内 部で相談したいと思いますけれども。 ○高田委員  ぜひお願いしたいと思います。やはり製薬メーカーなど情報を作る側の方々にも御参 加いただいたり、日々こういった問題で非常に苦労されている薬剤師の方々にも御参画 いただけるようなものが、今後の医療の安全性を確保するために必要なインフラとなる と感じています。 ○大江座長  そうですね。非常にテーマか大きいですし、極めて重要な領域ですので、まずはこの 委員会としては、先ほども御説明しましたが、企業系の委員を中心にワーキンググルー プをつくって、それで澤田先生の研究班とともに、例えば、今の技術でこういうことが できるのだけれども、それをするためには添付文書がこういうふうになっていないとい けないというような課題を上げていただく。その上で必要ならば次年度以降、その問題 を解決する具体的な研究班を組織するなり、別途、何かワーキンググループ委員会をつ くっていただくと。そこには必要であれば製薬協なり、厚生労働省の関係する局担当の 方々に入っていただいて議論いただくと、そういう手順にしてはいかがでしょうか。 ○阿曽沼委員(代理:小出)  今の関連した話としまして、私のバックグランドが薬剤師ということもありまして、 医薬局とのつながりがありますので、ちょっと状況を御説明しますと、医薬局の方では ICHという国際的な議論する場がありまして、そこでつくられた医薬統制用語として メドラというものがありまして、そのメドラを基本的に用いて添付文書等の病名の記載 を今後推進するということが決まっているのですけれども、そういう情報が多分こちら の方にうまくフィードバックされていないのか、伝わってないのかなという気はいたし ますけれども、そういうことも踏まえて、そういう方々、ぜひ入っていただくなりして 議論されることは非常に望ましというふうに思いますけれども。 ○大江座長  ありがとうございました。今の病名の問題、例えば添付文書の病名はメドラの表現で いくというふうになると、電子カルテの方の病名は標準病名マスターの病名用語が入っ ている。そうすると医療安全確保のためのチェックシステムを開発しようとすると、そ の間での互換性がとれるような仕組みなり体系を取り込まないといけないわけですね。 そのあたりの調整が必要だというようなことが認識されないといけないので、そのあた りをこういうワーキンググループからまとめて出していただく。それを報告書に盛り込 むというようなことをして、次年度以降に続けていくということが大切ではないかと思 います。 ○高田委員  今後作成される情報もあるのですが、既に添付文書として認められ出回っているもの に対しても、やはり見直しを図っていく必要があります。それから、治験を含めた薬の 承認を得る段階で使われる病名や医薬品コードが、医療情報システムや物流システム等 での利用を考慮せずに決められ、同じ概念の疾患が様々な表現で表記され、同じ医薬品 が様々なコードで表現されている現状があり、保険請求や診療情報提供等を含め、臨床 現場での正確な情報共有を非常に困難とするな大きな影響を及ぼしていることも、制度 として問題があるようです。行政面、運用面、法制面での見直しも必要であると伺って います。 ○大江座長  ありがとうございました。それから、7、8、9はかなり医療情報ネットワーク基盤 検討会の方で関連する部分を検討いただいているようですので、それを山本委員の研究 班を通じてまとめていただいてこちらに上げていただき、それをこちらで議論すること ができるかどうかちょっとわかりませんが、参考にさせていただくという形にしたいと 思いますが、何か特別にこちらの委員会で分担すべきことがありましたら検討したいと 思います。山本委員、いかがでしょうか。 ○山本委員  何といいますか、ある程度のことはできると思うのですけれども、例えば電子カルテ みたいなものをターゲットにすると、やはりきちんとした機能モデルがないとなかなか セキュリティというのは定義しにくいところがありますので、多分今年度できるのは相 当ジェネラルな話にとどまるとは思いますけど、それでよろしければそういうふうにさ せていただきます。 ○大江座長  例えば電子カルテの機能、構成、そういったところと組み合わせて、来年度以降さら に絞り込んでいくという方がいいということですね。 ○山本委員  そうですね。より進めるためにはその方がいいと思われます。 ○大江座長  ほかにございますか。この中で、この委員会全体で議論をしていかないといけないと 先ほどお話したのが、まず1番の機能ですが、これについては研究班の方で少したたき 台が出てきた後で議論をする必要があるかと思います。  それから、3番の導入効果の評価、これは非常に難しい、多分学術的にも難しい点だ と思いますが、これも阿曽沼研究班の方から出てきたものを受けて議論をした上で、来 年度以降、さらに具体的な評価方法の研究に入っていくというようなことが必要かと思 います。  それで、ぜひ、ここで今日議論しておいた方がいいかと思うのは、13番の「新旧シス テム間で円滑なデータ移行……」、それから相互運用性といいますか、「異なるシステ ム間での互換性確保」、これは恐らく1つの医療機関の中で、同時に複数のシステムを 相互運用するという以外に、リプレースに伴ってデータの消失がないことをいかに保証 するかとか、そういうことがかなりポイントになっているかと思いますが、これについ ては、先ほどお示しした案では、木村委員の班と坂本先生の班とで検討いただくと同時 に、システムについてはマルチベンダーの話にもなりますので、企業系の委員の方々で ワーキンググループをつくって議論をいただくというふうにしたいわけです。議論のポ イントといいますか、こういう点をぜひワーキンググループで考えておいた方がいいと いうようなことがいくつかあるのではないかと思いますので、少し御意見を自由にいた だきたいと思いますが、いかがでしょうか。  特に担当の木村委員、企業系の委員の方々で、ベンダーが変わるというのは、ベンダ ーにとってはうれしくないことかもしれませんが、常にこれから起こり得ますし、同じ ベンダーのシステム同士でも、新旧のバージョンでデータの移行がスムーズにいかない ということが、ひいては先ほど話があったように、医療安全の問題にも関係してくると 思いますので、非常に重要なテーマだと思うのですね。このあたり、どういうふうに議 論していったらいいか、少し御意見をいただきたいと思いますが。 ○木村委員  この話、しつこくなりますが、これは静岡県でこれから起こる話なんですね。現実に 今日これからここで議論するのですけれども、結局、可能、不可能な部分、既にあるデ ータ、いくらなんでもこれでは活きないという部分がやっぱりあるという話と、つまり 段階的に考える必要がある。これからつくるのであれば、こういうモデルに基づけば大 丈夫、こういう標準的なコードを使えばある程度大丈夫と、こういうガイドラインはで きます。  現実にガイドラインもつくって県の病院の皆さんに申し上げているのですけれども、 あともう一つ、多分費用負担の問題が、これをどう考えるべきかというのが一番県の議 論でもつらかったし、私、個人的にもつらい部分でもあるのですね。それを減らすため にいろいろと標準化の活動が必要であるということなのですけれども、費用の話は、こ れは要ると、どうするべきかということですね。  技術的なガイドラインは、ある程度、割とすぐ出ると思うのですけれども、そういう 意味で座長おっしゃるようにベンダーの方に入っていただく必要は絶対ありますね。 ○大江座長  廣瀬委員どうぞ。 ○廣瀬委員  質問ですけれども、ちょっと私、混乱し始めているのですが、この委員会は基本的に はこれからの標準的な電子カルテがどうあるべきか、ということを考える委員会ですよ ね。もちろん現状の足元を見据えなければならないことは理解できるのですけど、現状 の全てのシステムとデータ互換でリプレース可能という話になりますと、ちょっとその あたり、コンタミネーションが起こり始めているのかなという気がしたので御確認させ ていただきたいのですが。つまり、今あるシステムからリプレースということなので しょうけど、そこへあまり踏みすぎてもどうなのかなという気もしないでもないのです が。 ○大江座長  標準的電子カルテが将来あるとして、今あるシステムからそれへのリプレースという 視点ではなくて、あるベンダーのある標準的な電子カルテのあるバージョンから、次の バージョンへ移行するときに、そういう円滑なデータ移行なり、互換性確保をする上 で、標準的電子カルテにはどういう要件が必要かというようなことを考えておく必要が あるだろうと、そういう意味ではないかと思っています。どうでしょうか。 ○廣瀬委員  だとすると、非常に乱暴な言い方をすると、今のシステムがどうあれということはち ょっと棚の上に置いておいても構わないといえば構わないということになりますよね。 ○大江座長  逆に言うと、ただ、今のシステムのままだと、こういう点がまずいのであれば、そこ は標準的電子カルテのところを議論をする上で考えておかないといけないという、そう いうことだと思いますね。  いい例かどうかわからないのですけど、私の病院で少し差し障りのない話で経験談を 話しますと、去年の4月に、当然私の病院も、今、標準的電子カルテシステムではない わけですけれども、古い検体検査のシステムでは、例えばある検査の数値は6桁まで数 値で持っていたと。ところが新しいシステムでは8桁まで持てるというようなときに、 今まではそういう6桁以上の数値がくると警告を出していた。ところが新しいシステム では、特に警告を出さずに変な値がくると、新しいシステムを送るときに格納するかど うか、ロジックが違うのですね。そのためにどうなったかといいますと、非常に桁数の 多い、例えば9桁の検査結果が出たというときの取り扱いが古いシステムと新しいシス テムで違う。そのために診療現場では、今までの取り扱い方と違うので、患者さんの検 査結果の判断を誤ると、そういうような事例があるのですね。  こういう数値の桁数とか、そういったことというのは、標準化で解決できるのかどう か検討の余地はありますけれども、一定の何かルールがないと、桁をオーバーしたとき にどう取り扱うかがベンダーによって違うとか、バージョンによって違うことによって トラブルが起こるということがあり得ると思うのですね。そういったことも些細なこと ですけれども、標準的電子カルテでデータの互換性を確保するという意味ではきちんと 取り決めておかないといけないだろう。  そういうような問題が、恐らく今のシステム間交換規約だけとか、データベースの項 目を決めただけでは多分解決しない問題としてあると思いますので、そういったことを こういう互換性確保の検討事項の中で挙げていただく必要があるのかなと思っていま す。  企業系の委員の方、どなたか、この点について、はい、どうぞ。 ○手嶋委員  リプレースという件については、先ほど廣瀬先生のおっしゃっていたとおりだと思い ます。また、互換性につきましても、先ほど木村先生がおっしゃっていましたように、 例えばあるベンダーから別のベンダーへのデータ移動、あるいはあるシステムから別の システムへのデータ移動そのものの標準化ということを追求していくということは、結 局、そこには、費用の話がついてまわる。そして、その費用の問題というのはこういう 議論の場にはふさわしくないし、しにくい。むしろそうではなくて、先ほど大江先生も おっしゃっていましたけれども、標準的電子カルテが備えるべき条件として、先ほどの 例で言えば、あるデータ要件を持っていることが必須条件である。というような、ある 決まりができれば、費用につきましても、当然その要件を満たしてのシステム費用の設 定をさせていただく。そして、そこには結果的に互換が保たれる。  そういうような考え方で、標準的電子カルテが備えるべきデータの標準化としてのあ るべき、あるべきというか、持ってないといけないというデータを決めていくという考 え方をしていかないと、データ転送に伴う費用の問題をどんどん追求していくというの は議論しにくいと思っています。 ○高田委員  J−MIXという、医療情報システムで使われる基本的なデータ項目セットがあり、 これを拡張する作業も必要ではないかと思います。各ベンダーが提供する情報システム のデータベース構造から、そういったものも導くこともできるかと思いますが、各ユー ザーのところで実際に使われているシステムのデータを比較検討して、共通的なものを つくっていくことも必要ではないかなと考え、ユーザーの参画が必須ではないかと思い ます。  ただ、データの項目セットだけでは、何のために、どういう局面で、どんなデータと 併せてそれが使われ、どんな役割を果たすかということを把握することが必要です。そ のためには、業務分析の結果を踏まえた上でのモデル化の作業が必要になってくると思 います。 ○大江座長  いかがでしょうか。そのあたりは今の13番にも関係する話ですね。 ○高田委員  さっき藤本室長の方から御紹介があった経済産業省のプロジェクトでもそういった部 分を含めたモデル化ということが進むのではないかと期待しています。 ○大江座長  何か御意見ございますか、よろしいですか。 ○木村委員  私ばかりで申し訳ないのですけれども、やはりこの議論はJ−MIXをお決めになっ たときもなさった議論だったと思うのですけれども、どこまでが標準的であって、どこ からはそれぞれのやりたいこと、モデル、プロセスに応じてそれぞれが決めるべきこと との線引きをしたのがJ−MIXの仕事だったと私は理解しているのですよ。例えば例 にとれば、いろんな行政が求める書類、届出の書類とか、病院の計画書とか、いわゆる 病院の運営にかかわる書類ございますね。これは目的がはっきりしていますね。ビジネ スロジックはっきりしていますね。ところがこれがまたよく変わるのですよね。  そういう1つの、本当に標準的なかたいものができるという夢を、私はあのいろんな 各種届出あるいは計画書等の医療関係の書類ですらあんなに変わるのに、より臨床的な 内容に踏み込むものについて、これをつくることは多分とても困難だと思っておりまし て、したがって、13番のことで、坂本先生の班ということでするならば、私の第一印象 としての見解は、どこまではさすがに共通化しようということを示すので仕事だなと。 そういう意味ではJ−MIXで行われた仕事というのは非常にその基盤のほとんどをし ていただいているという感があります。 ○大江座長  むしろ臨床の現場で必要な項目や理想的な項目というのはあまり変化しないもので、 むしろ行政的な制度の変革とか、そういうことによって必要とされる情報項目の方がよ り変化が激しいというか、そういうことはないでしょうか。つまり行政上必要な項目と いうのは、制度がちょっと変わるとすぐに項目が1つ新規に必要になったりしますけれ ども、臨床医学上必須の項目は、それほど突然ある日をもって一個増えるとか、そうい うことはないという気もするのですね。 ○木村委員  表現を変えて、どちらも同じぐらい変化する。それがそんなにグローバルでかたいも ののようにはとても思えないです。 ○大江座長  スタンダードとして決められるものではないということですね。 ○木村委員  例えば、私の出身の放射線診断の分野は、本当に新しいモダニティーによって目標及 び手法もどんどん変わってきたのですね。IRDコードというお医者さんの診断のコー ドがございますけれども、さすがについていけないですよね、コンセンサスを待ってい たら。画像の分野というのはどっちかというとベンダー主体のコンセンサスが早くとり やすい形での標準化が進んできているということを考えると、やはりどこまでが標準的 なということを見極めてないと、きっと議論している間に古くなると思います。 ○大江座長  このあたりは、先ほど出た共通データベースの話ともかなり密接に絡むもので、議論 をするとどんどん深まっておもしろい議論なのですけれども、まずは担当の研究班とワ ーキンググループでたたき台を出していただくということで進めたいと思います。廣瀬 委員いかがですか。 ○廣瀬委員  そうなってくると、結局、互換性はとれないじゃないのかという危うい話にもなって しまう危険性があるようにも思えるのですが。今まで互換性がとれなかった、あるいは リプレースが困難だったのは、システムとシステムの問題のみならず、ドキュメンテー ションの問題も極めて大きかったように思えます。そうすると単にデータ形式などを標 準化するといったアプローチのみならず、ドキュメンテーションをこのような形で残す といったようなあり方、ポリシーに含まれるような気もするのですけれども、そういっ たものを決めるだけでも随分と違うのではないでしょうか。その際にはいろんな決め方 があるでしょうけれど、私としては ASN.1(ASNドットワン) なども1つの有効な方法 ではないかという印象を持っています。以上です。 ○大江座長  ありがとうございました。個々の事項について議論を深めることは、少し各担当の研 究班でたたき台を出していただいた後で、次回以降に進めていきたいと思いますが、全 体的な進め方、それから、一応この中間論点整理メモを14個の検討事項に整理いたしま したが、何かぜひこれも取り上げた方がいいのではないか、あるいはこの14の中で、委 員会全体でもう少し議論を深める必要があるとかというような御指摘がありましたら、 御意見をいただきたいのですが。  今後の進め方についてはそういう方針でよろしいでしょうか。                (「はい」と声あり) ○大江座長  それでは、あと、先ほど御説明した中で、いくつかワーキンググループをつくってい ただく10番と13番がございますが、これは具体的にはワーキンググループの作成はどの ようにしましょうか。事務局の方で何かお考えはありますか。今日例えば取りまとめの 方を暫定的に決めた上でするのか、それとも後日していただくか、どちらにしましょう か。 ○高本補佐  この場で何らかの御相談ができればそれにこしたことないと思いますけど、決まらな ければ、関連研究班を通じて別途御相談させていただきたいと思いますけど。 ○大江座長  何か案を出していただきたいのですが、10番は安全の確保に関することですが、どな たか企業系の委員の方でワーキンググループの取りまとめ役をお世話いただく方はおら れませんでしょうか。できれば手を挙げていただけると助かりますが、特にお世話役と いう立場で結構ですのでぜひお願いしたいところですが、どなたか推薦でもしていただ けますか。ございませんか。今、「佐藤さん」という声が少し聞こえたように思いまし た。佐藤委員、いかがでしょうか。お願いしてよろしいでしょうか。 ○佐藤委員  これはJAHISの方でまとめて相談するようにちょっと手配しましょうか。 ○大江座長  とりあえず、この場は佐藤委員にその辺の取りまとめ、JAHISとの協議をお世話 いただくということでよろしくお願いします。細かいメンバーは、また決まった時点で 御報告いただきたいと思います。  それでは、恐らく13番も同じような状況になると思いますので、一旦、大変恐縮です が、この2つの事項については、佐藤委員にお持ち帰りいただいて、JAHISと協議 の上でメンバーを決めていただくということにしたいと思いますが、事務局の方、それ でよろしいですか。 ○高本補佐  はい。 ○大江座長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、次の議事3で「今後の委員会等の開催予定」について、 説明を事務局からお願いいたします。参考資料3を御覧ください。 ○高本補佐  参考資料3、横向きの資料でございますけれども、「今後の委員会等の開催予定(案 )」を御覧ください。  もう既に申し上げるまでもなく、これまで標準的電子カルテ推進委員会につきまして は、関連の研究報告会と相まって開催してまいったところでございます。今年度につき ましても、関連研究報告会を医療情報学会等の共催で予定をいたしておりまして、まず 15年度の研究報告会につきまして、まだ情報ネットワーク系、認証セキュリティ系関連 の研究班につきましては御報告をちょうだいしておりませんので、9月に省内で開催す る予定でございます。これにつきましては追って御連絡を申し上げたいと思います。  それから、第6回の標準的電子カルテ関連研究報告会という位置づけになりますが、 これは平成16年11月28日、日曜日だったかと思いますが、医療情報学会の御配慮の下で 会場等を確保していただきまして、学会と共同開催ということで、この関連研究報告会 を開催させていただく予定でございます。事前に木村委員などには大変御配慮いただき ましてありがとうございました。  一応、関連研究報告会のいわゆる研究に関連したご発表は比較的短時間で、むしろ今 後の標準的電子カルテ推進のための様々な議論をしていただきたいということでプログ ラムを考えていこうと考えております。特に標準的電子カルテの医療分野導入の目的の 明確化など、本日も委員の方から御指摘ございましたけれども、そうしたものの明確化 などもぜひ関係者の方々とともに議論していただくような場にしていきたいと考えてい ます。  また、本委員会でございますけれども、本日、検討体制につきまして、座長の方から 案をいただきまして担当が決まったところでございますけれども、今後そのような検討 の状況を踏まえながら、できるだけ多く開催したいと考えておりますけれども、少なく とも3回程度は事務局として考えておりまして、10月以降に主要な検討事項等につきま して、検討体制の下でなされた検討結果をいただきながら開催してまいりたいというふ うに考えております。できますれば、3月の本委員会で何らかの委員会としてのお考え をお取りまとめいただくように進めていただければ幸いに存じます。  以上が今後の開催予定、事務局案でございます。何か御意見があればちょうだいした いと思います。 ○大江座長  何か御質問とかございますか、あるいは補足で。 ○木村委員  11月28日、名古屋国際会議場、医療情報学会 医療情報学連合大会が26日から28日ま で、金、土、日でございます。日曜日の最後の1時半から4時の2時間半を予定して、 300 人クラスの部屋を用意していただいているようです。ちょっと時間の細かいところ は少しずれるかもしれませんが、基本的にこの28日の午後の2時間半ということで、現 状はそういうことです。 ○大江座長  よろしいでしょうか。  それではきょうの担当の委員、あるいは研究班では、次回予定されている10月ごろの 次回委員会までに少し項目立てだけでも結構ですので、御議論をいただいて御報告をい ただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、本日の予定した議題は以上ですが、少し時間もありますので、フリーディ スカッションといいますか、最近の状況でこんなことがあるとか、何か情報がございま したら交換したいと思いますが、何か特に御発言ございますか。きょうまだ発言されて おられない委員の方がおられますので、少しお名前を出させていただいて、何か一言、 感想なり御意見なり、どんなことでも結構ですのでお話しいただけたらと思いますが、 佐藤委員は先ほど取りまとめ役をお願いしましたが、何かございますか。 ○佐藤委員  取りまとめて御報告します。JAHISもそうなのですけれども、各企業とも、これ に関しては積極的にいろいろ御意見をまとめてやりたいと、各メーカーも思っています ので、今後ともいい意味でのディスカッションできるように、きょうも非常にいい場だ ったと考えております。 ○大江座長  医療安全に関係したJAHISのメンバー企業だけでいいのか、それともJAHIS に入っておられないいろいろな関連ベンダーも関係してくるのではないかと思います が、そのあたり、できればうまくタイアップして、こういう問題を検討いただけたらと 思うのですけど、その辺は可能でしょうか。何か別の方法でバックアップが必要でした ら、御意見をいただけたらと思うのですけれども、大体カバーされているのでしょう か。 ○佐藤委員  かなりの企業は参加していただいているので、そういう意味でJAHISの方で、公 開形式でいろんな意見を取り寄せるということでいろんな意見、ここに出ているメーカ ーだけではなくて、いろんな意見の情報は入るというふうに考えております。 ○大江座長  小川委員、何か御発言ございますか。ぜひ何か一言。 ○小川委員  言いたいことの話がありましたが、電子カルテというのはどこが対象かということに なるわけですが、我々の会社の中でも、医師の指示された内容から、今、古いシステ ム、新しいシステム、どんどん進捗というか、作業進捗とか、そういうものもみんなシ ステムにどんどん入ってきている状況に、特に病棟用どうするとかなってきていますの で、我々の中でもどんどん日進月歩しているものを我々の中でも一考するのは結構大変 なわけですね。だから、どの対象というところも結構大変かなという気は、我々は旧の システムから新のシステムに移行するときにおきましても、そういうような問題があり ますので、特に指示と結果のところだけというのではなくて、途中というのはいっぱい あるのかなという、対象というのは非常に難しいというふうには考えています。 ○大江座長  大久保委員、今日初めてですが、何かご発言お願いします。 ○大久保委員  今日初めて参加させていただきました。我々としても、メーカーというか、ベンダー の立場でむだな仕事はしたくないですし、そうするとまた余計な仕事が出ますし、結果 的にお客様、病院様にも無理問わないという中で、標準化できる部分はぜひしていただ ければ、我々もぜひその方向でやっていきたいと思いますし、ない知恵を絞って頑張り たいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○大江座長  新倉委員、いかがですか。何か最近の状況でも結構です。 ○新倉委員  今日のお話でより具体的なお話が出まして、非常に聞いておりまして胃が痛くなるよ うな話も結構出ていました。最初の経済産業省さんの各システムを共通インターフェー スみたいな形で標準化するだとかいろんなお話を聞いたり、あるいはデータ移行の話と かいろいろ聞いていまして、根本的にはいろんなデータのことの定義やシステムの定義 だとか、そういったものをきちんと1つひとつしていかないとなかなかこういった標準 化やいろんな連携というのが、どこかで出発地点ではうまくいったとしても、だんだん それを使っていく間に、また標準化から外れていくというような形になるのではないか なということでちょっと感じました。  その辺も含めて、最初出発点でその辺のこともある程度決めてスタートしないと、最 初はよかったのだけど、何年か後に標準化のシステムでなくなってきたとか、あるいは 連携ができなくなったとか、そういったことがないような形でやるのであれば、やるの であればというか、こういった標準化を進めていくについては、その辺も十分検討して ぜひやっていきたいというふうに思います。以上です。 ○大江座長  今、御指摘いただいたことは非常に重要なことを含んでいると思うのですね。標準的 電子カルテを決めて運用を始めたけれど、だんだん標準的でなくなっていくというのは 往々にしてありそうなことなので、それを維持し続けるためには何をしたらいいかとい うことを議論する必要がありますでしょうかね。今の検討事項の中ではその辺は確かに 入っていないので、どちらかというと個々の内容についてのことは多いですけれども、 あえて言うならば、14番、連携体制の構築というようなことにも関係していくのでしょ うけれども、今の標準的電子カルテを標準的であり続けるための体制のあり方というよ うなことは、今後のこの委員会でも議論する必要があると思いますので、記録に残して いただけたらと思います。  水口委員、いかがですか。 ○水口委員  私もJAHISのシステム部会の方を担当させていただいているのですけれども、数 多くのベンダーさんが自由に意見が述べられるような形にぜひこの委員会もそういう場 を広げていただけるような動きをお願いしたいと思います。結構ベンダーだけで言いに くい部分も随分たくさんありまして、医療の根幹に入るようなところになってくると、 どうしても技術的な議論でとどまってしまうというようなところがその中の議論でも見 受けられるところございますので、ぜひそこのところをもう少し広い形で議論の場がオ ープンにできるような形をつくっていただければと思います。 ○大江座長  具体的にはどうしたらいいでしょうか。 ○水口委員  例えば、今、かなりホームページ等も出してはおりますけれども、なかなか書き込み にくいのですね。枠内の例えばベンダー名明かさない状況でも出ていくと。先ほどSI ヤーの話も出たと思うのですけれども、結構企業の中にもベンダーの中にも優秀なSI ヤーがいるのですけれども、個人の意見として、匿名等でも出られるような形で仕組み をつくれればなと、JAHISの中でもそういう考え方を持っているのですけれども、 そこのタイアップをさせていただければと思います。 ○大江座長  こういう場ではなかなか難しいでしょうから、確かに別途匿名無責任フォーラムみた いなものを用意して、意見交換を自由にするという、多分必要なのかもしれませんね。  ありがとうございました。ほかに何か御意見ございますか。  最近、いくつかの病院を見て回って、電子カルテの見学をしたことがあるのですが、 少し気になったことは、例えばHL7の交換規格やコードだとか、標準化の材料は割と でき上がってきているものもあるのですが、実際にはそれがデフォルトで使われていな いというものが結構あるのです。例えば実例挙げますと、クリニックの電子カルテのパ ッケージを何も言わないで導入すると、民間の臨床検査センターとのデータのやりとり は独自フォーマットになります。それで医療機関がHL7にしてくださいというと、じ ゃあ、しましょうと言ってやりますけれども、何も言わなければ最初に設定されている 独自規格でやりますというようなソフトがいくか見受けられました。  臨床検査センターの方は、これは自分たちの方でHL7には対応できるけれども、医 療機関側に言われなければしないということで、どちらも言われなければしない、やれ と言われればやるのですけど、別に言われないので、そのまま初期値でインストールす れば違う標準規格でないフォーマットになってしまうというような、そういう状況がど うも起こっているような印象を受けました。  これはなかなか難しい問題で、恐らく標準規格や標準コードをつくってありますよと 言っているだけでは進まない何か別の問題があるように思ったのですが、こういう問題 は、今の例で言えば、ベンダーの方々の何か方針でこういうふうにやりましょうという ような指針ができれば進むのではないかと思うのですけど、なかなか難しいものなの か、何が障害なのかちょっとよくわからなかった。何かこうしたらいいのではないかと か、この辺が解決しないとそれは難しいのではないかとか、そういうことを出していた だかないと、この委員会で標準的電子カルテ推進委員会ですから、標準的電子カルテの 規格作成委員会ではございませんので、そういう規格を実際に普及させるための具体的 な方策、あるいは障害というものをちょっと出していきたいというふうに思うんです ね。  その辺について、今、フリーディスカッションタイムですけど、こんなことやらない とだめなんじゃないですかというようなことがもしお気づきの点があればお伺いしたい のですけど、いかがでしょうか。廣瀬委員。 ○廣瀬委員  アイディアでなくて障壁について、一言申し上げたいと思います。コードもそうなの ですけど、特にモデルの場合にはバージョンアップが頻繁だと、ベンダーとしては、こ れはついていくのはきついと思います。これは大きな問題で、モデルとはシステムの根 源的な枠組みですから、モデルのバージョンアップが頻繁だったらば、営利企業として は、まあやめておこうかと思ってしまっても当然な話ではないかという気がします。 ○大江座長  今のお話は、例えばHL7バージョン3のモデルとか、そういうことですか。 ○廣瀬委員  具体的な名前を挙げるのは避けたいと思います。 ○大江座長  電子カルテのパッケージに含まれている、そういう標準規格対応部分というのが、言 われれば用意できるけれども、言われなければ入れませんというのは何か障害があるの でしょうか。なかなかここで言いにくいのかもしれませんが。あまり具体的な技術的な 障害はないということでしたら、何かそれを進める方策を出せば進められるということ なのでしょうか、どうでしょうか。 ○木村委員  今の件は、独自のデータで持っていたら、次にリプレースのときに、さていくらかか ると思いますかということを結構私は講演でよく言います。大規模病院はとりあえず物 だけ入れてから1回とか2回とかのリプレースをして、また、近隣の病院でベンダー変 えたときにどんな目に遭ったかという噂も聞いているので、ある程度、この話に現実感 があるのですね。今、例えばクリニックの電子カルテのパッケージだと、新婚気分で離 婚のときの項目は考えてないので、ここをやはりアピールするべきだと私は思ってい て、その機会を多く持っています。 ○大江座長  それは、つまり医療機関に対して、もっとそういうことを勉強してもらうというか、 言うようにするのが一番いいだろうということですね。 ○木村委員  私の立場では、そういう講演のとき、例えば医師会さんの講演とか、そういうときに は、電子カルテを選ばれるときに、これだけは聞いてくださいね。あなたのベンダーや めて、次のところに変わるときに、あなたは何をしてくれますか、と聞いて、ぜひ、そ れをお聞きになってくださいと、私の立場でそういう講演のときには言っています。 ○大江座長  この委員会では、先ほどお話したように、なるべく既にある標準化されたものという のができる限り普及していくような方策、何をしていけばいいかということも併せて議 論したいと思いますので、ぜひ、今のような話で、後でまたお気づきの点がありました ら、個別にまたメールででも出していただいても結構ですし、あるいは次回のこの委員 会でぜひご発言いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、大体時間が終わりに近づいてきましたが、ぜひ、御発言されたいというよ うなことがございましたら。 ○高田委員  経済産業省の事業では、日本の医療情報システムを将来的には海外でも販売するとい うような視点を含めて説明をいただき、そういった視点は非常に重要だと思います。デ ータベースがどんどん変化するというお話もありましたが、それも実際そうだと思うの です。それから、システムのドキュメントが残っていないので後で非常に困るという話 もありました。こういった課題に対応できるような開発手法というか、システムのつく り方というものも模索していくことは、ベンダーにもユーザーにも必要ではないかと考 えます。既存のシステムでそれをやるのはなかなか難しいと思うのですが、コンピュー タ環境が変わりますから、いずれ各社が、次のシステムというものをお考えになる必要 があると思いますので、そういった段階でどういう手法を採用するのがいいかというこ とについて探求していくことが必要ではないかと感じています。 ○大江座長  重要な御指摘ありがとうございました。次回に、また、そのあたりも議論したいと思 います。  それでは、そのほか何か事務局から連絡事項ございますか。 ○高本補佐  次回の本委員会でございますけれども、本年10月以降に開催する予定でございます。 時期につきましては、本日、検討体制のリーダーもお決めいただきましたけれども、逐 次、御連絡をとりながら適切な時期を検討したいと考えております。したがいまして、 詳細な日時等は今後委員の皆様のご予定を確認した上で追って御連絡を申し上げたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○大江座長  それでは、本日は長時間にわたり熱心な御議論ありがとうございました。 (了) 照会先 医政局 研究開発振興課 医療技術情報推進室 企画開発係 中内 TEL 03-5253-1111(内 2588) FAX 03-3503-0595