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経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(抄)
(労働政策関係部分)

平成16年6月4日
閣議決定


はじめに 日本経済の現状と構造改革が目指すところ

2.「集中調整期間」から「重点強化期間」へ

 第四に、「人間力」の抜本的強化に取り組む。その際、雇用のミスマッチ縮小に力点を置く。このため、約10%の高い失業率を示す若年層に対する能力開発施策等の拡充、地域の実情に応じた雇用政策の展開、利用者の立場に立った雇用関連事業の再編・ワンストップ化に取り組む。


第1部 「重点強化期間」の主な改革
2.「官の改革」の強化
(特別会計改革)

関係府省は、各特別会計について、それぞれの性格に応じ、必要性について厳しく検証しつつ徹底した見直しを行い、年内に改革案を策定する。改革案には、成果目標及び中期的な抑制の目標を設定するとともに、今後の取組工程を明示する。とりわけ、「特別会計の見直しについて−基本的考え方と具体的方策−」(平成15 年11月26 日財政制度等審議会)で提起されている保険事業についてはその存廃も含めて検討する。改革案及びそれに基づく各年度における取組を経済財政諮問会議に報告する。

4.「人間力」の抜本的強化
(1)「人間力」強化のための戦略の検討

関係4大臣による若者自立・挑戦戦略会議等の場で、平成16 年中に雇用や教育面での課題を含む「人間力」強化のための戦略を検討する。その一環として、雇用のミスマッチを縮小する施策に取り組む。
フリーター・無業者を重点に若年者の雇用・就業対策を強力に推進するとともに、個人の選択を機能させた若年者の能力開発施策の拡充、専門高校・国立高専の教育内容見直しと地域との連携強化等を行う。
少子高齢化社会の急速な到来等に対応するとともに、男女共同参画社会の実現を目指して、性別や年齢にかかわらず、仕事と生活のバランスをとりつつ、能力と意欲に応じて多様な働き方ができる環境を整備していく。
障害者の雇用・就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード・ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化を図る。

(2)利用者の立場に立った雇用関連事業の再編
国、都道府県、市町村、独立行政法人、公益法人が実施している雇用関連事業について、利用者の立場に立ったワンストップ化を進め、複数の機関で実施している事業がある場合には、機関の間で調整を図り、効果的な運用を行う。
ハローワークをはじめとする雇用関連事業において、より効率的・効果的な実施に努めるとともに、民間で行うことがより効率的・効果的な分野については、民間への開放を促進する。
雇用保険3事業の29 助成金をはじめ、雇用関連各種事業の一層の整理統合を推進し、雇用維持支援・雇入助成から労働移動支援・ミスマッチ解消支援への重点化を進める。


第2部 経済活性化に向けた重点施策
1.地域再生
(3)地域の基幹産業等の再生・強化
(建設業の新分野進出支援策の取りまとめ)

地域の中小・中堅建設業の新分野進出への取組が円滑になされるよう、情報提供、中小企業対策や雇用対策の活用、農業、福祉、環境等の分野への進出に係る規制・制度の見直しや構造改革特区の活用、施設の管理運営を行うPFI事業への参入支援等の支援策を関係省庁が連携して本年秋までに取りまとめ、速やかに実施する。

2.雇用政策・人材育成施策の新たな展開
(1)職業教育の強化と「若者自立・挑戦プラン」の強化
(「若者自立・挑戦プラン」の強化)

「若者自立・挑戦プラン」については、民間委託等を活用する範囲を大幅に拡充することや、国から地域への支援を競争的・選択的に行うこと及び成果評価に基づき適切に見直しを行うこと等により実効性・効率性を高めていく。そのため、平成16年中に若者自立・挑戦戦略会議でアクションプランを取りまとめる。

(フリーター・無業者に対する働く意欲の向上等)
若年者雇用への関心を喚起する国民運動の推進、働く意欲の涵養、向上を図る取組、労働体験や職場定着の推進のための施策など、若年者に働く意義を実感させ、その意欲や能力を高める総合的な対策を講じる。

(2)地域主導の雇用政策
労働移動円滑化や能力開発等の雇用政策において地域の実情に応じた対応策を取るため、地域からの提案を受けた競争的・選択的支援の仕組みの創設について検討する。

(3)労働移動の円滑化等
平成16 年度より長期失業者を対象に導入されたハローワーク事業の包括的な民間委託について、評価結果を踏まえ、より効果的・効率的な就職支援となるよう民間事業者の活用を拡大する。
有料職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収できる範囲(現行 年収700 万円超)について、施行状況を踏まえ、更なる拡大に関し検討する。
ハローワーク及び雇用保険3事業について、平成16 年度より開始された数値目標の明示を今後も進めるとともに、保険料負担者への説明責任の徹底、外部評価の活用による厳正な評価を行い、その結果を踏まえて重点化・効率化を一層推進する。

3.「新産業創造戦略」の推進、市場環境の整備及び発展基盤の強化
(1)「新産業創造戦略」の推進
(産業人材の育成)

製造現場の中核人材やサービス産業人材、IT人材等の産業人材の育成を図るため、産学連携による人材育成プログラムの開発やベテラン人材の活用等を促進する。また、企業内人材投資の促進、優秀な産業人材のスキル標準の策定を含む顕彰制度の充実・普及、草の根eラーニング・システムの整備等を促進する。


第3部 経済財政運営と平成17 年度予算の在り方
2.平成17 年度予算における基本的な考え方
(4)主要予算の改革
(2)  雇用については、政策効果や実績を検証し、雇用維持支援・雇入れ助成から労働移動支援・ミスマッチ解消等に重点化するなど、メリハリのある見直しを行う。


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