04/07/30 過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会第5回議事録        第5回過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会                       日時 平成16年7月30日(金)                          13:30〜16:30                       場所 厚生労働省6階共用第8会議室                     照会先)厚生労働省労働基準局安全衛生部                                労働衛生課健康班                         TEL03−5253−1111                                 (内5492) ○和田座長  ただいまから「第5回過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会」を開催 いたします。本日の主な作業としては、前回の議論などを踏まえて、報告書の取りまと めをしていきたいと思います。本日は安福委員が欠席されております。中嶋委員と西村 委員が途中で退席されます。人事異動によりまして事務局側のメンバーに交代がありま したので、ご紹介をお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  先週の人事異動でメンバーが交代しています。まず安全衛生部長は前任の恒川から小 田に、労働衛生課長は中林から阿部に交代しています。本日は欠席しておりますが、環 境改善室長が高橋から中村に交代しています。 ○和田座長  今回の資料について、事務局から資料の確認と説明をお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  資料No.1は「過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会報告書案」です。 これについては後ほど内容についてご検討いただきたいと思いますので、説明は省略い たします。  資料No.2は「平成15年中における自殺の概要資料」です。これは警察庁のほうで、 先日取りまとめて公表されたものです。公表文をそのまま付けています。新聞等でもだ いぶ掲載されていましたのでご承知かと思いますが、平成15年中の自殺者の総数が3万 4,427名ということで、平成14年に比べまして2,300名ほど増加しています。職業別で見 ると被雇用者、管理職というように、労働者と考えられる者が合計しますと9,000人を 超えて、こちらも前年に比べて増加している状況です。これは参考までに配らせていた だきました。資料に関しては以上です。 ○和田座長  どうもありがとうございました。資料について、何かご質問はありますか。  それでは本日は資料No.1の「過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会 報告書案」について、具体的に議論を進めていきたいと思います。今回はこの報告書案 について、まずご意見をいろいろいただき、8月にもう一度検討会を開催して、最終的 な取りまとめをしたいと考えています。それでは事務局から前回と同じように、 資料No.1を順次読み上げていただき、その後委員の方々からご意見をいただきたいと 思います。前回と同じように区切って進めます。最初は「はじめに」、2番目は「労働 者の健康に関する現状と課題」についてお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  資料の1頁から4頁にわたりますが読み上げさせていただきます。  1 はじめに・・・(読み上げ部分省略)  2 労働者の健康に関する現状と課題・・・(読み上げ部分省略) ○和田座長  「はじめに」が主な目的、2番目は、現状の解析と背景、課題、問題点を挙げている わけです。これに関してご意見はありますか。 ○保原委員  中身の問題ではなく表現の問題ですが、2頁目の最初の○の4行目、「云々に基づく 業務軽減措置を怠った場合は」は、少し足したほうがいいと思います。 ○和田座長  どんなふうに足したらいいでしょうか。 ○保原委員  はい。例えば「業務軽減措置を怠ったことにより、労働者が上記のような疾病に罹患 した場合」としたほうがいいと思います。 ○和田座長  実際に結果が出た場合ということですね。理論的にはそのとおりだと思います。 ○保原委員  3つ目の○のいちばん下の行ですが、これは私もいい考えがないのですが、あえて言 えば、「確保を推進する」とか、ただ「推進」もあまりよくないのですが、ここはお考 えいただきたいと思います。 ○和田座長  「健康を向上する」ならいいですが、「健康を確保する」はおかしな感じですね。4 頁の2つ目の○の3行目に「13例」と出ていますが、これはいちばん上の51件のうち13 例という意味ではないですよね。 ○主任中央労働衛生専門官  別の調査です。 ○和田座長  そうすると、「何例中」と書いていただきたいと思います。 ○主任中央労働衛生専門官  確か労働者に関しては、全体で101例であったと思います。 ○和田座長  全体数がわからないと、13例がどういう意味を持っているかわかりませんので。ここ は課題提起ですが、他に問題はありませんか。それでは次に移ります。3番目の「基本 的考え方」について事務局から説明をお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  5頁の「基本的考え方」を読み上げます。  3 基本的考え方・・・(読み上げ部分省略) ○和田座長  以上、基本的考え方、方向づけ、事業者の責務、是非、労使による自主的な取組をし てくださいということ、労働者自ら取り組んでほしい、産業医保健スタッフは非常に重 要であるため活動を促進してください、健康情報の保護には気をつけてくださいという 流れでしたが、何かご意見はありますか。 ○東委員  5頁の3行目の(3)「労働者の健康管理に係る措置の徹底の確実な実施を図る」はく どいので、「の徹底」は必要ですか。「措置の確実な実施を図ること」でよろしいです か。 ○主任中央労働衛生専門官  これは通達の内容を引用したものですから、こういう形になります。通達の文章を確 認し、あまりくどいようであれば見直して、直させていただきます。 ○藤村委員  5頁のいちばん下に、(2)事業者の責務があり、6頁の1つ目の○に「具体的には 事業者は健康診断結果、産業医による職場巡視、時間外労働時間の状況と様々な情報か ら把握しようと」ですが、健康診断結果というのは、産業医がチェックして、それを事 業者に知らせる形が望ましいと思うのです。この文章を読むと、事業者は健康診断結果 をまず見て、産業医におけるこれこれ等を併せて、職場の状況を把握すると読めます。 ですから、「具体的には事業者は産業医による健康診断結果、職場巡視、時間外労働時 間の状況」としたほうが誤解がないように思います。 ○主任中央労働衛生専門官  産業医が選任されるのが50名以上ということがあり、健康診断はすべての事業場でと いうことで挙げていますので、別に書いています。産業医のほうは産業医の職務とし て、職場巡視をすることを求めており、これは産業医が選任されている事業場に限定さ れますが、そういう情報もあるということで、例示として挙げております。産業医によ る健康診断結果というと、どうしても事業場の一部になるので、このほうが、趣旨から は適当と考えています。 ○和田座長  産業医による健康診断結果の聴取も含んで、全体として考えていただきたいというこ とだと思います。事業主は健康診断の結果、すべて入手するのが前提になるのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  法的には事業者が健康診断を行い、それを踏まえて必要な措置を講じる流れになって います。 ○和田座長  いまは結果をすべて事業主が把握するようになっているのですね。 ○藤村委員  保原先生の健康情報保護の検討委員会での考え方ですと、なるべくこういう健康診断 結果等を、事業者がすべて把握する形でないほうがよろしいという結論ではなかったか と思います。 ○和田座長  産業医が把握して、それから必要に応じて聴取するということですか。 ○藤村委員  そうです。悪いものだけを知らせる。 ○保原委員  藤村委員がおっしゃったとおりですが、ただ、産業医がいない事業場もたくさんあり ますから、現行法をいきなり変えることは難しいと思います。専属産業医がいるような 所では、健康診断のデータは専属産業医が直接受け取り、必要な範囲で事業者や労働者 にも知らせるのが望ましいという方向になっています。ただ、小規模事業場やいろいろ ありますし、あるいは嘱託産業医で実際は毎日事業場にやってこない人もいますので、 一概に健康診断のデータは全部産業医が握ることになると、たくさん漏れるところが出 てきますので、いま言ったような方向で考えようということです。 ○和田座長  この記載でそんなに抵触はないのですか、その辺はどうですか。 ○保原委員  現行法ではやむを得ないと思います。 ○藤村委員  6頁の(5)「産業保健スタッフの活動の充実」とあり、7頁に、「このため事業場 に対する支援、特に、小規模事業場への産業保健サービスの提供の充実が望まれる」と ありますが、小規模事業場への産業保健サービスの提供の充実を、産業保健スタッフが 役割として担うということですか。 ○主任中央労働衛生専門官  いま藤村委員がおっしゃるとおりで、確かに「産業保健スタッフ」と言うと、産業 医、衛生管理者、事業場の中で産業保健に携わる人を想定しています。後ろの産業保健 サービスの提供は、おそらく外部機関が中心になると思いますので、表題と若干そぐわ ない面はあります。この部分は何らかの形で読み込める整理にしたいと思います。 ○和田座長  事業場に対する支援というのは、誰による支援なのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  国がということになります。表題は単純に「等」を入れるとか考えさせていただきま す。 ○和田座長  次に4番の取り組むべき対策の方向、(1)過重労働による健康障害防止対策の在り 方に入ります。アの健康診断の実施とその結果に基づく適切な事後措置と、イの疲労の 蓄積によるリスクが高まった場合の面接指導、この2つについて事務局からお願いしま す。 ○主任中央労働衛生専門官  それでは7頁から9頁にかけて読み上げます。  4 取り組むべき対策の方向  (1)過重労働による健康障害防止対策の在り方  ア 健康診断の実施とその結果に基づく適切な事後措置・・・(読み上げ部分省略)  イ 疲労の蓄積によるリスクが高まった場合の面接指導・・・(読み上げ部分省略) ○和田座長  少しずつ具体的な対策を盛り込んでいるわけですが、これに関してご意見を伺いま す。 ○大野委員  8頁の3つ目の○の「この医師による面接指導が云々」とあり、「又は2ないし6か 月間に月平均80時間」とありますが、これは2か月でもそうするのか、それとも6か月 待つのか、それは明確にされなくてもよろしいですか。 ○主任中央労働衛生専門官  ここは2か月でもそうする想定です。 ○和田座長  1か月ずつ調査をしてデータを取って、2か月にわたって80時間になったらすぐやる とか、3か月取ってみて80時間超えたらやりましょうという意味だと思います。 ○大野委員  2か月と6か月と随分差があるので、どうかなと思ったのです。 ○主任中央労働衛生専門官  2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、それぞれにわたり80時間超えているかを チェックすることを想定しています。 ○和田座長  もちろん6か月経ってから調べるのは非常に手遅れになってしまいますから、2か月 ごととか、3か月で区切って調査することになると思います。9頁の2行目、問題がな い、変化がないと判断するときは、「面接指導に代えて調査票による健康チェックを行 う」ですが、いま通常の事業場でやっているのは、時間がオーバーした人に対して、ま ず健康チェックを調査票でやって、それを見て産業医が面接・指導をする所もかなり多 いようです。 ○主任中央労働衛生専門官  西村委員が調査された結果では、そういうところもあると聞いています。基本的には 産業医等による面接と言っていますので、ここはむしろ若干緩めた表現にしています。 ○和田座長  まず「面接をしろ」ということをきちんと出したいということですね。 ○主任中央労働衛生専門官  この部分はご意見いただければと思います。毎月必ずやれというところまでは必要な いのではないか、前のヒアリングの中でも、あまり頻繁にやるとかえって無駄だと、労 働者が感じてしまう向きもあるという話もありまして、取りあえず事務局の案として書 かせていただきましたが、これでは緩すぎるとか、ご意見をいただきたいと思います。 ○和田座長  あまり省略を強調すると、こちらのほうがメインに見えて、省略、省略といってしま う可能性があるので、基本的にはちゃんとやって下さいと強調して、場合によっては省 略してもいいというニュアンスのほうがいい感じもします。 ○藤村委員  調査票の具体的な内容は何かモデルがあるのですか。 ○和田座長  1つは中災防が出している自己診断チェックリスト、それから厚生労働省の研究班で 作られた簡易調査票があります。 ○主任中央労働衛生専門官  いま労働者の疲労度自己診断チェックリストがあります。これはあくまでも自分自身 が自らをチェックするという意味ですので、これで足りているかと言われると自信はあ りません。 ○藤村委員  これは大体の事業場で活用されているのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  ここは、まだこういったチェックリストを使うという話は具体的には出していませ ん。いま申し上げたのは、労働者自身が自らの疲労の具合をチェックしてみようと。も し問題があれば医師に相談するなり、自己管理をするきっかけにしようとしているもの で、医師によるチェックという視点とは違うので、その意味では不十分なものと言える かもしれません。 ○藤村委員  ここでは産業医が面接の間隔をやや長くするために、その間見落としがないように行 う調査票と考えてよろしいですね。それに対応できているものだと。 ○主任中央労働衛生専門官  基本的には、8頁の下に「医師が」と書いてあり、医師の方が省略して構わないと判 断したときには、省略できる、そのときにただ判断するのではなく、チェックリストを 見た上で判断するという手法もあり得るのではないか、これはそういったやり方をして いる所もあるという調査の結果等もあり、事務局で例示的に書かせていただきました。 ここは評価していただき、それでは手ぬるいということであれば、また見直しをしたい と思います。 ○和田座長  産業保健スタッフに対して提出して、それを産業保健スタッフがチェックするという 感じでどこでもやっていますね。 ○藤村委員  その内容は、例えば階段を上るとき息切れがして、時には休まなければならないと か、あるいは不整脈があるとか、頭が痛いとか、そういうことが全部チェックできるの ですか。 ○主任中央労働衛生専門官  これは行政のほうから示したものはなく、各社でそれぞれやっておられると思いま す。ですから、その中におっしゃるような項目が入っている所もあると思います。そこ は医師が必要と認めた項目を書いていると思います。面接票というものを書いてしまっ たものですから、そういったものが具体的に確立しているという印象を与えたとした ら、そこまでのものではございません。 ○和田座長  一般的に使われているのは、数年前に作られた「職業性ストレス簡易調査票」と、も う一つは厚生労働省が中災防に委託して作成された「労働者の疲労蓄積度自己診断チェ ックリスト」の2つを皆さん使っているようです。8頁のいちばん下の「ハイリスクグ ループ」は、毎月の残業が80時間以上の者か、それとも45時間以上の者を指しているの ですか。 ○主任中央労働衛生専門官  ここはそういった危険性が高い方ということで、基礎疾患のあるような方ですと、そ ういった短い時間外の場合でも当てはまる可能性はあると思います。 ○和田座長  個人の面接指導は、原則として80時間以上ですよね。 ○主任中央労働衛生専門官  想定ではそうです。「不安を感じたとき」「周囲の者が異常を疑ったとき」も面接指 導しなさいということです。 ○和田座長  そういう場合は、面接指導を優先したほうがいいではないですか。「チェックリスト でやっていいよ」と言うよりも、80時間以上の者は必ず面接指導はやらなければいけな いわけですから、そういった人や、非常に調子が悪くて不安な人は面接指導をすると。 不安や症状を持っている人をグループ分けして、ハイリスクグループとするのにチェッ クリストを使うという感じになると思います。 ○黒木委員  8頁の下から4行目、「衛生委員会等の意見を聴き、自主的な基準により制度化して いく」は、具体的にどういうことを期待されているのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  ここの部分は、時間外労働は短い時間と言って、どこに線を引くかという問題もあり ますが、80時間まで達していない人であっても、調子がおかしいと思ったときには、面 接指導を受けられる仕組みは必要ではないかということです。ただ、そのときにそれを どこまで拾うかという場合、いろいろな知見が集約されているとまでは言いづらいとこ ろもあり、そこは事業場の実態に応じて労使の間で話をして、衛生委員会の意見も聴く 等により、うちの会社ではこういうふうにやろう、ということで決めていただくやり方 がいいのではないかということです。80時間以上の所は必ずやっていただく。それより も下の部分の所はギリギリ決めることはしないで進めていただこうという趣旨です。 ○西村委員  8の下の○で、例えば産業医が時間的な余裕がないとか、いくら呼び出しても来ない ような人がいて、毎月呼び出すことがかえって慣れを生んでしまい効果が上がらないと か。ここのニュアンスとしては、たくさん対象者がいたときに、産業医が対応できなく なるので、その中でさらに選別という考え方はあるのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  対応ができないというのは言い訳になりにくいところがあります。おっしゃるよう に、何回も呼び出されて、面接そのものが無駄だという印象が全体に広がることはどう か。ここは医学的なご意見をいただければと思いますが、若い方で健診結果とか、それ までの面接結果を見ても、あまり問題がないと。例えば残業があるにしても、来月過ぎ ればゆとりができるだろうから、この一時をしのげばいいという意味ではストレスがさ ほどかからないだろうといったケースとか、そこはあまり立ち入った話はできません が、医師の判断によっては省略できることもあるのではないか。 ○西村委員  スクリーニングした上で個別化して、それがちゃんと将来的なことを考えて、うまく いっているのか、あるいは行きそうもないのかということを見ながら、柔軟に対応する こともあるのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  ある程度の柔軟性を持ってもらってもいいのかなと。毎月、必ずやらなければいけな いのか、という意見が前のヒアリングでもありましたので、前回の議論のまとめの中 で、省略というか、毎月必ずやるとしなくてもいいのではないか。省略するといって も、事業者が省略するのではなく、あくまでも医師が判断して省略するという前提です が、そういうことも選択肢としてはあり得るということで、議論がありました。 ○西村委員  この前のアンケートですと、面接をして、その後は事業場ごとでいろいろな対応をさ れて、幅が広いように思いますので、いまおっしゃった考え方を書くほうがいいかもし れません。調査票は1つの事例に過ぎませんので、いろいろな対応をされているのが現 実的だと思います。ここは非常に重要なところです。 ○和田座長  基本的には80時間以上の人に対しては、そんなに数は多くないので、100%面接指導 をしてほしいという考え方があるわけですね。 ○主任中央労働衛生専門官  原則としてはそうです。 ○和田座長  要するに個別化して選択するのは、45時間から80時間の人だと思ったのですが。 ○主任中央労働衛生専門官  そこはあまり切り分けないで想定していましたので、ご意見をいただいた上でと考え ています。 ○西村委員  80時間以上で、毎月、毎月呼び出さないといけない人が出てくる事業場もあるわけで すね。 ○主任中央労働衛生専門官  あまり望ましいとは思えませんが。 ○東委員  8頁の2つ目の○で、「さらに、事業者は、医師による面接指導の結果に基づき、必 要に応じて」というのがありますが、できれば医学的に必要な措置というのを1つ加え ておいて、例えば「健康診断」や「より精査できる」を加えたほうがいいと思います これは謳っていないから事業場ではできないという話になっては困りますが。  もう1つはそういうことがありますから、長時間の残業等については、負担がかかる から制限すべきだということを盛り込んでおきたいという気がします。それを受けて、 いまお話になっている部分が出ているのですが、初めから除外措置だけが前面に出てい るという認識がありますが、原則としては医師による面談を長時間の人たちにはする、 ということがまずあるべきです。医師の判断か、産業医の判断か、どちらにするかわか りませんが、一応医師のほうがいいですね。医師による判断によって、別の手段をとる ことも考えられるというニュアンスで良いと思います。「省略する等とすることも考え られる」と、あまり強く謳ってしまうと少し怖いような気がします。 ○主任中央労働衛生専門官  原則として、「面接はする」と謳うと。 ○和田座長  そこはちゃんと謳ったほうがいいと思います。 ○主任中央労働衛生専門官  例示にしたものですから、逆にやらなくてもいいという印象を与えたかもしれませ ん。これは文章を変えます。前のまとめでは、そういうことも考えられるという書き方 をしています。 ○和田座長  個人面接しなければいけないのは80時間以上ですが、現在では、それよりも引き下げ て45時間から80時間の人もなるべくピックアップして、実際は面接をやっているので、 そういう所にはこういう方法で、取捨選択してやったらどうでしょうかということで す。実際に80時間以上の人は、全体から見てそんなに多くはないので、やれないことは ないと思います。 ○主任中央労働衛生専門官  その点はもう1度見直して、場合によっては、委員の方たちの意見を個別に出してい ただくことも考えます。非常につまらないことですが、8頁の○の3つ目で、「具体的 には」と書いていますが、これは書く必要もないかなと思いながら書いていたのです。 1か月間の時間外労働が100時間を超えた場合として、例えば7月30日から前日までの分 で、1か月間、毎日チェックすることは過重な負担になると思いまして、月単位で残業 手当等支給していますので、そういう取り扱いでいいのではないかということで、こう いう文章を考えましたが、その辺りはいかがでしょうか。 ○和田座長  本来から言えば、毎日やって、次の日がきたらその次の日にやるというのはいいので すが、実際上は大変なことですよね。 ○主任中央労働衛生専門官  毎日、面接しなければならなくなります。 ○和田座長  ただ、必要なのは、2か月も3か月も遅れて、産業保健スタッフに情報が来るのは非 常にまずいことで、必ず迅速に情報が来るシステムを作るほうが重要だと思います。こ れは月単位ということでしようがないと思います。  次にウ 事業場における労使の自主的な取組、エ 労働者自身の取組の促進につい て、事務局から説明をお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  9頁の中ほどです。  ウ 事業場における労使の自主的な取組・・・(読み上げ部分省略)  エ 労働者自身の取組の促進・・・(読み上げ部分省略)  ○和田座長  ウとエに関してご意見を伺います。 ○中嶋委員  ウの最初の○のところですが、下から3行目で特に業務と脳・心の発症との関連性が 強いとされるのは、月100時間を超える場合だけが挙げられていますが、8頁の3つ目 の○だと100時間と並んで同等な場合として、2ないし6か月間に月80時間を超えると なっています。ここは100時間だけに絞ったのは特に何かあるのですか。 ○和田座長  この前、データ、文献等でお示ししたように、また前の調査もよく見直してみると、 大体月100時間に相当する場合に、必ず有意な差が出てくるということですから、した がって、100時間にしています。ただ、月100時間ということは1日の残業が5時間で す。そこで有意性がみんな出ていたということで、特に100時間を強調したいというこ となのです。そういうこともあって、できれば100時間以上は絶対にさせないでくれと いうのが我々の希望だったものですから。特に強い関係があるという意味なのです。  80時間以上は関係があるというデータもあるし、ないというデータもあるし、月単位 で実際の対策に入っていった場合に、月で100時間できちんと押さえて、それ以上絶対 にやらないでくれといったほうがわかりやすいと思います。2か月、3か月にわたって 80時間あったからやめさせると、時間的にもずれが生じてしまうと思います。そういう 意味もあります。文献的にも100時間というのが非常に強く出ているということもあり ます。80時間を超えることはやむを得ない場合もかなりあるだろうと思います。ただし 100時間だけは絶対守ってほしいという願望を込めて、それでここのところだけ100時間 を強調したということです。 ○中嶋委員  ご趣旨は理解しました。ありがとうございました。 ○主任中央労働衛生専門官  前のほうと同じ表現ぶりで、「発症との関連性が強いとされる」と同じ言い方をして いるので差が見られないと、ここは座長の意思を踏まえて、もう少し文言を強調する形 にしたいと思います。 ○藤村委員  揚げ足を取るみたいで申し訳ありませんが、ウの最初の○の特に業務と脳・心臓疾患 の発症というので、「脳・心臓疾患」という言葉がいくつも使われています。これは正 確には脳血管疾患とか。 ○和田座長  脳血管疾患や虚血性心疾患などとしておいたほうが、いいかもしれませんね。 ○藤村委員  そうですね。そうでないとアルツハイマーから脳腫瘍などすべて入ってしまうわけで す。それが100時間の時間外労働と、どういう関わりがあるかという問題になってきま すから、全体的に脳血管疾患あるいは心臓疾患にしたほうが誤解がないと思います。 ○和田座長  そうですね。前のときはこういう表現ではなくて、あれはどういうふうにしましたか ね。心血管疾患で、血管のほうには脳の血管も含めるというニュアンスで確か記載して ありましたから、そういう言葉を使わせていただきます。 ○主任中央労働衛生専門官  省略してということなのかもしれませんけれども、前の通達ですと脳・心臓疾患とい う言い方で使っていました。 ○和田座長  過重労働による脳・心臓疾患と言っているので、それは虚血性の心疾患と。 ○主任中央労働衛生専門官  わかりました。そこは定義を「脳血管疾患及び虚血性心疾患等」といい、そこら辺を まとめて脳・心臓疾患というような呼び方をしている形がありますので、そこは誤解の ないようにしたいと思います。 ○和田座長  きちんと書くのだったら、脳血管疾患及び虚血性心疾患等としてこれを脳・心臓疾患 と呼ぶと書いておけばいいです。 ○主任中央労働衛生専門官  そこは前のほうで定義するなりして整理させていただきます。 ○藤村委員  虚血性心疾患でまとめるわけですか。 ○和田座長  虚血性疾患等と「等」と言っていましたね。 ○藤村委員  虚血性(ischemic)ということですが、これは要するに冠動脈の閉塞などのことのみ ですよね。 ○和田座長  そうですね。 ○藤村委員  例えば過重な肉体労働によって心肥大を来す。そういうものは虚血性心疾患に入らな くなってきます。 ○和田座長  でも心肥大は対象疾病になっていないですよね。 ○藤村委員  要するに心筋梗塞、狭心症ということですか。 ○和田座長  ええ。虚血性心疾患等というふうに分類して、「等」には致死的な不整脈を含めてい ます。 ○藤村委員  これはischemicですか。 ○和田座長  ischemic等と「等」を入れてあるのです。虚血性疾患等ということです。2つに大き く分けて脳血管疾患と、虚血性心疾患等ということにしています。 ○藤村委員  わかりました。 ○西村委員  前のときは、「脳血管疾患及び虚血性疾患等」として、「以下、脳・心臓疾患と言う 」ということで最初に括っています。その「等」というところに不整脈と急性大静脈解 離が入っているという分類になっています。 ○藤村委員  わかりました。 ○和田座長  そういうことを、いちばん初めのところに書いて、「以下、脳・心臓疾患と言う」と しておけばいいと思いますが。事務局から何かありますか。次に移ります。10頁の(2 )メンタルヘルス対策の在り方というところで、アの計画の策定、イの職場のストレス の把握と改善、ウの個人のストレス対処力の向上、この3つについて事務局からお願い します。 ○主任中央労働衛生専門官  10頁から11頁にかけてです。読み上げさせていただきます。  (2)メンタルヘルス対策の在り方  ア 計画の策定・・・(読み上げ部分省略)  イ 職場のストレスの把握と改善・・・(読み上げ部分省略)  ウ 個人のストレス対処能力の向上・・・(読み上げ部分省略) ○和田座長  ありがとうございました。この段についてご意見を伺いたいと思います。ご自由にご 発言ください。 ○藤村委員  11頁のイの最初の○、「他方、個人の対応として」というところですが、何らかのチ ェックリストなどによってスクリーニングをしなければ、実効は出ないのではないかと 考えます。評価手法が確立していないことと、フォールス・ポジティブが出た場合に不 利益になるということで、結論としてはこれをしないということなのですね。しかし、 事業場に5,000人なり1万人なりの労働者がいるときに、何をもって面談をするのか。 面接の前段階としてのスクリーニングの方法が他にあるのでしょうか。  2頁の上から5行目に、「業務による心理的負荷を原因として精神障害を発病し、あ るいは当該精神障害により自殺に至る事案が増加し」と書いてあります。これは業務に よる心理的負荷、つまり職場の配置替え、上司との軋轢、仲間とうまくいかない、仕事 が合っていないといった心理的負荷を原因としてと、画一的に書いているわけです。  こちらでは面接をしなさいとしている。 5,000人もいる労働者に産業医が、どうや って前段階としてスクリーニングをして面接をするのでしょうか。スクリーニングをす るためにチェックリストを使ったほうがいいのではないでしょうか。  それと不利益になると言いますが、チェックリストで危ないと思って呼び出し、「本 当に眠れないのですか」「夕べ、何時間眠りましたか」という質問をして、それがなぜ 不利益になるのか。フォールス・ポジティブの例で面接を行うことが、なぜ労働者の不 利益になるかがよくわからない。 ○大野委員  藤村委員のご意見に全く同感です。先日私が申し上げて少し調べてみたのですが、チ ェックリストだけでスクリーニングをするというのは難しい。ただ、チェックリストに 加えて医師なり専門の者が面接を併用すると、スクリーニングの効果が上がるというデ ータは確かにあるのです。  ですから、そういうところを含めて、例えばここでスクリーニングしようとすること については、単独で評価を行うだけの手法が確立していないこととする。つまり単独で してしまうと、確かにこの人はおかしいといったことで不利益になる可能性もあるわけ です。そういうふうにしていただいて、その次に個人のストレスの状況を把握するとす れば、スクリーニングに加えて、専門的知識を有する者による面談を実施して行うよう な適切な評価が併用できること。問題を抱える者に対して云々という体制が存在してい ること等が前提となるとすれば、両方を含むことができるのではないかと思いますが、 いかがですか。 ○和田座長  そういう意味を含んでいますね。チェックリストだけでやらないほうがいいと言って いるわけです。 ○藤村委員  大変結構なご意見だと思います。そうしていただければ大変ありがたいです。ただ、 ここで問題のない労働者を精神疾患として捉えてしまうこと、つまりチェックリストで スクリーニングすることが、精神疾患をスクリーニングしていると考えられている。そ うでなくうつ状態でも何でもいいのです。あるいは疲労が溜まっていて多少精神的に不 安定になっている者、つまりメンタルヘルス不調を捉えればよろしいわけですから、こ れを精神疾患と書くからいけない。精神疾患をスクリーニングというのは難しいです。 ○和田座長  いまのチェックリストは、うつ状態とかは判定で出てくるのですか。どんなふうな チェックリストになるのでしょうか。実際にやったことがないので知らないですけれど も。 ○大野委員  それはいろいろありますが、例えば先日、黒木委員もご指摘になった厚労省の研究班 で作ったものですと、うつ状態とか不安の強さ、あとは職場のストレス状況など、いろ いろなものが評価できることにはなっています。 ○安全衛生部長  過去の経緯はよくわからないのですが、これはスクリーニングという形にしなければ いけないのですかね。例えば本人が自己点検のためのチェックリストという形でやって いって、本人がどうも該当するなと思うときに産業医に相談するとか、そういう形では まずいのですか。何となく精神疾患のスクリーニングという感じで引っかけていくと、 ちょっと抵抗があるかなという気がします。 ○藤村委員  精神疾患のスクリーニングとは一切していない。 ○安全衛生部長  あるいは精神症状のスクリーニングですね。 ○藤村委員  メンタルヘルス不調のスクリーニングなのです。 ○安全衛生部長  スクリーニングのほうは、よろしいのですかね。 ○藤村委員  スクリーニングしなければ、面接することもできない。 ○安全衛生部長  スクリーニングというのは、自己評価のためのチェックリストにするという形ではま ずいですか。 ○藤村委員  ですから前の会でも何回も申し上げています。 ○安全衛生部長  過去のことは分からないので、申し上げているのです。 ○藤村委員  要するに本当の精神疾患、いわゆる精神病に分類される者は一般的に病識がないので す。つまり自分は病気であるという認識がないわけです。そういう人たちに自己でチェ ックしろと言われても、これは無理なのです。 ○安全衛生部長  そういう認識はないけれども、客観的なデータとしてチェック、チェック、チェック と上がってきて、やるということは。 ○藤村委員  それは結構なのです。本人にみんな渡して、これでチェックしてください、チェック したものを全部集めて産業医が見て、危ないなと思ったリスクの高い人たちを呼び出し ても構わないわけです。なぜ本人がやることにこだわるか私はよくわからないです。 ○大野委員  ご本人にしていただくことの問題点というのは、いま藤村委員が言われたこともあり ますし、もう1つはご本人が問題だと認識しても、自己申告をしない可能性が非常に高 いと思います。例えば私は中央官庁で保健管理をしていたことがあるのですが、結構ス トレスを皆さんが感じていらっしゃるはずなのに、ほとんどどなたもいらっしゃらない のです。そういった意味で、自己チェックして自己申告しなさいということでは、事業 者はそれを把握できないだろうと思います。そのためにどうすればいいかを考えて、こ のスクリーニングというのが出てきたと理解しています。 ○和田座長  全体として見ると、スクリーニングをやってはいけないとは絶対言っていないので、 やってくださいということ。ただ、先ほど大野委員が言われたように単独で評価しない で、是非、専門家の面談を含めて評価してくださいということを、きちんと書けばいい のではないでしょうか。 ○藤村委員  そうです。それがわかれば全く問題はない。 ○主任中央労働衛生専門官  例えば我々が心配していたのは、規模の小さいと言うと無責任な言い方かもしれませ んが、あまり産業保健に関心のないような所で、こういう市販の物があるからとパッと 配り、点数を付けてみて、彼はちょっとおかしいのではないかという話が出てきたと き、それがきちんと適切に情報管理されて、適切な対応ができる保障がない中でそうい うふうになると、まさに問題のない労働者をうつ状態も含めて捉えてしまって、不利益 を与えるということも起こりかねないと思っています。  そこまでやるということは問題が生じる可能性があるのではないかという意味で、や ることは悪いことではないけれども、やるならばきちんとしてほしいということだけ を、とりあえず出しておくことでいかがでしょうかというので、この文章にしているわ けです。 ○藤村委員  いまの小規模は産業医もいないから、事業主が適当にチェックしてやるのは危険があ るというお話ですが、厚労省の立場としては、小規模事業場は産業医の配置等を今後、 どんどん進めていく。あるいは地域産業保健センターみたいなものをどんどん利用する という立場ではなく、小規模事業場でこういうことが問題になるとおっしゃっているこ とは、厚労省がそういう小規模事業場の産業医活動は諦めてしまっている。これを推進 するつもりはないと聞こえるわけです。 ○主任中央労働衛生専門官  もしそう取られたとしたら、そういうつもりはありません。事業場がすべてきちんと した認識でやられている所と、残念ながらそうでない所もあるのではないかということ で、そういった所での問題の発生を危惧したということです。別に進めるつもりはない とか、そういうことでは全くありません。 ○藤村委員  是非、これは小規模の事業場において進めていただきたいのです。日医の認定産業医 は6万人いるわけでしょう。グループ体制をいろいろ考えたりしたら6万人でかなりの ものがカバーできるわけですから、これを是非厚労省が音頭を取って、指導力を発揮し て進めていただきたい。 ○主任中央労働衛生専門官  産業保健活動を推進したいということは、おっしゃるとおりです。ただ、心の問題と いうのは若干難しい部分も、普通の身体的なものに比較するとそれだけセンシティブな 部分があるということで、慎重さが求められるのではないかという認識がありますか ら、いまのようなことを申し上げた次第です。繰り返しになりますが、スクリーニング そのものをやってはいけないということを、行政として考えているということでは全く ありません。それはできる体制にある所は、適切にやっていただければいいのではない か、ということをここに書いているつもりです。そういうふうにご理解いただければと 思います。 ○大野委員  先ほど藤村委員がご指摘の、問題のない労働者をという文章で、確かにこれがはっき りしないのは、例えば安易にスクリーニングを使用して労働者に不利益が発生する恐れ があることとか、そういう形にされれば、安易にというところが出るのではないかと思 います。  もう1点、そういった意味で誰が今度面接をするのかということで、専門的知識を有 する者というのは、どういう人たちが対象になっているのか。これはどこかにご説明が あるのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  こういった心理的な評価を行うということが、そういう専門的な知識を持った方でな ければできないのではないかということで、これは書いているつもりです。 ○黒木委員  この専門的知識を有する者というのは、例えばどういう職種ですか。 ○主任中央労働衛生専門官  具体的には精神科の先生です。そういう方になるのかなと思っています。 ○大野委員  この場合は精神科医だけではなく、例えば産業医の先生も当然入りますね。 ○和田座長  能力のある先生であれば構わないわけです。 ○大野委員  あとは保健師とか、いわゆるコメディカルの人も含めたようなことをされたほうが、 広く活動ができるかなと思います。 ○和田座長  そういう意味で専門的知識を有する者としたわけで、精神科とは書いていないので、 そういうのも含めてという意味でいいのではないでしょうか。 ○藤村委員  面談までがスクリーニングなのです。 ○和田座長  両方合わせて、やったほうがいいというご意見ですから、チェックリストを見て専門 家が面談してということです。 ○藤村委員  だんだん狭めていって、最終的には専門家に見てもらう。 ○和田座長  そういう手立てでやるということで、ここのところはよろしいですね。 ○主任中央労働衛生専門官  ここはまた後で相談させていただきたいと思います。 ○和田座長  基本的にはそういう線でということにしたいと思います。ほかには何かございます か。 ○中嶋委員  最後のところで質問票というのは、これはチェックした後は産業保健スタッフだけが 見るものですか。これは人事部とか総務部とか、そういう産業保健スタッフ以外のセク ションの人も見る可能性があるのですか。 ○和田座長  それはないのではないでしょうか。 ○中嶋委員  それはあり得ないという前提ですか。 ○主任中央労働衛生専門官  それは、やるべきではないという話なのだろうと思います。 ○和田座長  産業保健スタッフが質問票をチェックして、振り分けたりとかをやるということでし ょうね。 ○主任中央労働衛生専門官  中嶋委員のご懸念は、そういったチェックリストをもし仮に使ったときに、そういっ た人事とかに出すことは適当ではないと。 ○中嶋委員  非常に危険な人事上の不利益措置なのです。これを人事部が見たら通常は企業という のはやるのです。だから産業保健スタッフは守秘義務がかかっているから、それだけで 不利益にするはずがないのです。だから私の感じでは矛盾している。産業保健スタッフ がやるなら、問題のない労働者を精神疾患と捉えてしまうという不利益は、発生はしな いのではないか。 ○主任中央労働衛生専門官  要するに専門家だけの中できちんとやると。 ○中嶋委員  これを人事等がやるから発生するのではないか。 ○労働衛生課長  いまの中嶋委員のご意見は、この間の情報管理の守秘義務の範囲にかなり出てくるも のだと思います。実際、医学的な判断をするときは質問票だけで何かわかるというもの ではありません。必ずスケールや何かで判断してから、ある程度の判定が下るというこ とになると思いますので、そこの情報範囲をどこにするのかというのが、この間の「労 働者の健康情報の保護に関する検討会」で、範囲を決めてしまうことになっていくべき だろうと思います。そのような方向で、両方の検討会で筋を付けていくのがいいだろう と思っています。 ○中嶋委員  内部的に相当セルフコントロールで自制した、しっかりした企業は別ですが、質問票 が人事部の目に入ることは日本の企業では大いにあり得る。むしろそちらのほうが多い のではないかと私は思っています。だから不利益が人事措置等で生ずるからという趣旨 なのかなと思ったのです。 ○主任中央労働衛生専門官  そういう危惧も若干はございます。 ○労働衛生課長  だからといってやるなというのは、先ほどのでいくと言えない。 ○中嶋委員  だから書くときに認識をはっきりして書いていただきたい。どの場面を想定して我々 の報告書が出来上がっているかです。 ○藤村委員  それはいくらでも工夫できると思います。判断をするのに、一般の人では判断できな い形のものはいくらでも作れると思います。専門家でなければ判断できないようなもの です。 ○和田座長  そういう認識で、もちろん進めるということです。 ○中嶋委員  そういう認識で進めていただければいいと思いますが、全体的には必ずしもそうなっ ていないのではないかという懸念があるわけです。 ○保原委員  例えば定期健康診断の一環としてやるということになると、現行法では資料はすべて 事業者の所に行ってしまうということですから、いま中嶋委員が指摘されたようなこと は当然起こり得るということです。専属産業医がしっかりしている所はいいのですが、 そうでない所は常にこういう危険はあるということだと思います。 ○中嶋委員  そうすると、まさしく不利益が発生する恐れがあると私は思いますので、私が申し上 げているのはこれでいいという意味なのです。 ○和田座長  表現をもう少し明確にしなければいけない。もう少しうまく表現して、不利益になる ということは残していいのではないでしょうか。そうしないようにということを注意し たいということです。 ○東委員  この一連の流れの中で、いまの部分ですが、専門的知識を有する者を拡大して保健師 まで入れてもいいかもしれません。ただ、この後に書いてある「事業場において事後措 置が適切に実施できる体制にあること等」というのを、かなり慎重に扱っておかない と、例えばここに診断という行為があります。それは医師しかできないことになってい ますが、その制限が明確でない。ここで出てきた「適切な措置」というのが、例えば臨 床心理士とか、もしくは検査の人たちだけのチームの中で、行われることになり、事例 に対して対応しなければならないとき、会社の対応で何ができるかとなれば、医療機関 に回すことのほかに、該当者に対して仕事を外すとか、ある種の不利益行為になるよう な措置があり得ることも、ここで完結していたら起こり事後措置が適切に実施できる体 制の中に、医師も入れておかないといけないと思います。あまり拡大した専門的知識を 有する者だけにしておくと、ひょっとすると先ほどの利益の侵害が起きてしまう可能性 が無きにしも非ずという気がします。 ○和田座長  ただ、では実際に医師で全部まかなえるかといったら、たぶんできないだろうと思い ます。 ○東委員  専門的知識を有する者は、どなたでもいいというわけではないという制限を加えてお かないと、何か怖い気がします。 ○大野委員  それに関して臨床心理士とかのいわゆる国家資格がないですから、ここは国家資格の ある人が基本的には関わる。その中に産業医がきちんと関与することが必要ではないか と思います。 ○東委員  それを入れておかないと、確かにちょっと危険な気がします。 ○和田座長  そういう意見を踏まえて、事務局のほうで原案を作ってください。時間の関係で次に 移ります。エのメンタルヘルスの不調に早期に対応する方策の中の(ア)のセルフチェ ックの実施と、(イ)の長時間の時間外労働を行った者等に対する医師等による面接指 導の2つをお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  読み上げます。  エ メンタルヘルスの不調に早期に対応する方策  (ア)セルフチェックの実施・・・(読み上げ部分省略)  (イ)長時間の時間外労働を行った者等に対する医師等による面接指導・・・(読み 上げ部分省略) ○和田座長  ありがとうございました。これについて何かご意見を伺いたいと思います。具体的な ことがある程度盛り込まれていますけれども、こういうことでよろしいですか。 ○大野委員  13頁の上から3行目ですが、「その結果を事業者に提出することができる仕組みを作 ることが必要である」ということで、具体的にはどういうことを想定されているのか。 これだと非常に義務的な印象を与えるのですが、どの程度のことを考えていらっしゃる かをお聞きしたいと思います。 ○主任中央労働衛生専門官  いま健康診断でも、事業場が健康診断をするということになっていますが、労働者自 身がその会社で設定したところを希望しないときは、自ら別の望む所へ行って健診を受 けて、その結果を出せるという仕組みがあります。こういったメンタルヘルスの問題な どですと、会社が設定した医師が面接することになりますが、それはちょっと行きにく いという場合とか、まずは別の所で診てもらった上で判断したいというケースもあるの ではないか、そういう形で外の方の面接指導を受けた場合でも、それは労働者がその意 思を持たないと駄目ですが、その結果を事業場内の事後措置に繋げられるようにしてい くことが必要ではないかと考えています。 ○藤村委員  メンタルヘルスの場合、具体的には診断書ということですか。 ○主任中央労働衛生専門官  診断書というか、どういう言い方になるのかはありますけれども。 ○藤村委員  労働者が希望して外部へ行って持って来る診断書は、要するに健康診断とは違います からね。 ○主任中央労働衛生専門官  健康診断のように項目が決めてあって、その結果をというのとは違うようになりま す。 ○藤村委員  精神科の診断書と具体的には考えられるのですね。 ○主任中央労働衛生専門官  そういうケースはあると思います。 ○大野委員  診断書もそうですし、例えばそれに対する精神科医の意見だとか、場合によっては上 司が精神科医に相談に行くとか、そういうことの全体を含めた取組を進めることを推奨 していらっしゃると私は理解したのです。上司というか関係者ですね。 ○主任中央労働衛生専門官  そこはご意見をいただければと思っていました。どういう繋ぎ方が問題がないかとい うあたりで、例えば周囲の方で、いま言われた上司が部下の心の健康が問題ではないか と見たときに、おそらくそれは産業医とか医師に繋いでいくという話になるのでしょう が、どういう形がいいのか、あるいはどういう点に留意する必要があるのかは、報告書 に書くかどうかはともかくとして、こういうことは注意しておいたほうがいいというこ とがあれば、そこはご意見をいただければと考えていたところです。 ○黒木委員  企業の中でこれが問題になるときに、例えば上司が部下の様子がおかしいと思う場合 も深刻な状況があると思いますが、大企業の中でも1週間以上休むとか遅刻するときに は診断書を上げる。それは精神科でなくてもとにかく診断書を上げる。その診断書によ ってこれはメンタルが絡んでいるということになれば、次に専門医の受診とか、あるい は精神科医が関わる形で、一応、システム的にはどういう形で上がって来るかによっ て、対応が違ってくるのではないかという気がします。 ○大野委員  もう1点注意しておいたほうがいいと思うのは、外部の専門医と連携するというのは 1つのあり方ですが、ただ、職場の様子だとか具体的な仕事の付与の仕方となると、専 属産業医でもなかなか分からないところがあると思います。そういった細かいところに 関しては職場の関係者が、むしろ外部の専門家と相談していただくほうがいい場合が多 々あるのです。ですから、そういう幅を持ったことを考えておいていただいたほうがい いかなと思います。 ○藤村委員  これは私よりも保原委員からご発言いただいたほうがいいと思いますが、保原委員が 座長をなさっている「労働者の健康情報の保護に関する検討会」で、これが前回のとき に大変な議論になったのです。というのは、「うちの会社の誰々が先生の所を受診しま したね。大変心配しているのですがどうでしょうか」という問合せをしたときに、医師 は絶対答えない。医師の守秘義務として一般にどこの医師でも絶対に答えない。会社の 上司あるいは人事担当者が実際に診察室に来て、こういうことで非常に問題になってい ますが、いかがなのでしょうか。どうしたらよろしいのでしょうかと一般に聞かれた場 合、医師は絶対答えません。これは医師の守秘義務ですから本人か家族以外には答える ことはできませんので、それは非常に難しい問題があると思います。 ○大野委員  私が申し上げたのは、ご本人の了解を得た上でということなのです。 ○藤村委員  了解を得ても、現実上はちょっと難しいのです。 ○大野委員  現実に私たちが実際にやる場合には、了解を得た上で職場に働きかけるというのは非 常に重要なファクターです。本人を通して言うだけではなかなか伝わらないことがあり ますので、それでは本人の了解を取って来ていただくとか、本人と一緒に来ていただい てお話をするとか、そういう形で職場に対応をお願いするということが必要になりま す。個人情報を保護することを前提とした上で職場なりが関与していくことは、メンタ ルヘルスの対策上は大切だろうと考えています。 ○黒木委員  確かにいまの問題は非常に重要なのですが、結構我々のところにも、例えば受診して いることについて状況を聞きたいということで、会社の人事あるいは上司から連絡はあ るのです。それがどう使われるか非常に危惧するところがあるので、大野委員が言われ たように外部で診るときは、家族あるいは本人と一緒に来て、そこで話を聞くというの が前提だと思います。  ただ、大企業の中で外部の医師にかかっていて、その情報をなかなか流さないために 非常に困ることも現実にあるのです。そうすると産業医が外部の先生に話をしてもなか なか出してもらえない。しかし産業医のほうにも守秘義務があるし、ある意味では本人 を守る義務がありますから、むしろ産業医が関わることによって、メンタルヘルスがう まくいくこともあり得るのではないかと思います。 ○藤村委員  先日の「労働者の健康情報の保護に関する検討会」で問題になったのも、その点で す。医師同士だったら何とでもなるのです。産業医に聞くことは、医師として両方に守 秘義務がありますからうまくいくと思います。ですから産業医が聞いてもらうのは結構 ですが、例えばゴルフ仲間の会社の社長が来て、うちの会社の社員の誰々が先生の所で 診てもらって、こうなんだというけれども、それはどういうことですかと聞かれても、 一般には医師はゴルフ仲間であろうと答えません。それが医師の守秘義務を意識してい るのではなくて、習慣としてそういう状態になっています。産業医が話し合っていただ けたら十分連絡が取れるはずです。 ○保原委員  それはちょっと。 ○大野委員  産業医でも、私は連絡があっても答えないと思います。 ○黒木委員  産業医が連絡するにあたっても、それは本人の同意が前提だと思います。 ○大野委員  もう1つは、産業医がどれだけ職場のことを把握しているかは私は非常に疑問だと思 います。そのあたりも含めて考える必要があるかなと思います。それと先ほどから家族 という話が出ていましたが、精神科的なところで言えば家族にも説明は、本人の了解が なければしないというのが大前提になると思います。 ○和田座長  現実の問題として、そういった情報が入らないと先へ進まないということもあります よね。そういう場合はどうするのですか。 ○黒木委員  例えば、どういう場合ですか。 ○和田座長  会社でいろいろ事件を起こしたり、トラブルを起こして困る場合がありますね。何と かしたいということで、精神科の先生に話に行っても情報はくれないということになる と、会社のほうとしては困ることもあり得るのではないかと思います。 ○大野委員  本人が納得すれば、本人と一緒に例えば保健師なり産業医が。 ○和田座長  納得すれば、もちろん一緒に行けばいいですが、本人が納得しないと医師からの情報 も得られないわけです。そういう場合にどうするのですかね。 ○大野委員  その場合は2つの問題が混在していると思います。1つは精神的な疾患を抱えてい て、それを治療しないといけないという医療的な問題と、職場で問題を起こしていると いう管理上の問題とがあると思います。その管理上の問題は精神科医なり専門医がどう こうということでなく、管理的な立場から対応する必要があると思います。その中で精 神医学的なことが本人にとって利益になるということであれば、そのことを話していた だいて本人に了解を取っていただく。その2つの面からのアプローチが必要かと思いま す。ですから、もしもそういう問題を起こしている場合には、管理的な立場から会社は 対応することは必要だろうと思います。 ○和田座長  普通の会社は、例えば3日以上休んだ場合は診断書を出すことを義務付けています ね。その場合は当然、本人が求めた場合に医師は診断書を出さなければいけない義務が あります。そういった場合はどうなるのでしょうか。 ○保原委員  実際に裁判になった例ですが、分裂ぎみの方で会社の命令をなかなか聞かない人がい ました。ある時、配置換えをするというので、その人だけでなく全員が新しい配置に付 くために部屋もみんな変わることにしたら、その人だけ頑張って俺は前の部屋の前の席 でないと駄目だということで、会社全体の業務が阻害されたことがあったのです。何か 月か経ってやっとその人は会社指定の場所に移ったのですが、今度はそこで同じ部屋の 人達とトラブルを起こして、誰も彼と同じ部屋で働きたくない状況になり、結局、会社 はその人を解雇したのです。精神科に行ったとか行かないという話は裁判では全然出て きませんでした。一般的には、会社は3日休んだら解雇だとかやらないで、かなり丁寧 にやっていますね。しかし、どうしてもという場合は解雇になって、この事件でも確か 解雇はやむを得ないという判決だったと思います。 ○黒木委員  その方は治療は受けていたわけですよね。 ○保原委員  それが全然出てきません。 ○黒木委員  例えば外部の精神科医が治療していたということも、全然出てこないということです か。 ○保原委員  うろ覚えて恐縮ですが、医師の話は出てこなかったと思います。一般の企業はかなり 丁寧にやっていると思います。 ○大野委員  管理的なそういう部分と、疾患の部分とが混乱してしまうと、精神科の診断なり治療 なりが今度は管理に使われてしまう危険もあります。そこのところは区別して考えてい ただいたほうがいいように思います。 ○黒木委員  例えば分裂病でも急性期の状態になって、異常言動が職場の中で明らかに出てくると きは即対応しないと、大変なことが起こってしまうということで介入はできると思いま すが、むしろ分裂病でも例えば妄想型であるとか、あるいは人格障害である程度人格が 保たれている方が、いろいろなトラブルを起こしてなかなか介入がしづらいということ が、たぶんあるのだと思います。 ○保原委員  別な例では、タクシーの運転手がやはり分裂ぎみで、病院に入院していたのですが、 退院し、病院では「就労可」という証明書をもらってきた。会社は不安だったのです が、就労可という証明書があるから仕方がないというので乗車勤務をさせたら、早速事 故を起こしたという事件があり、その運転手は解雇無効の訴訟でも負けています。私が 記憶している限りでは、2件ぐらいですね。 ○黒木委員  「就労可」という診断書は、精神科医としては、その本人なりあるいは家族なりが、 とにかくもう安定しているから仕事をしたいと頼まれると、書いてしまうということも 多分あるのかもしれませんね。 ○保原委員  車の運転ですから怖いですよね。 ○黒木委員  だから、どこまで業務に配慮して、本当に遂行できるかというところまで考えて診断 書を書いているか、本来はそこまで必要なのでしょうが。 ○和田座長  個人情報の関係は、その検討会で結論が出たところで、少し具体的な例を出すなら出 さざるを得ないのではないかと思うのですが。では、(ウ)の介入が可能となる仕組み づくりから、(オ)の管理監督者に対する教育というところをよろしくお願いいたしま す。 ○主任中央労働衛生専門官  13頁です。  (ウ)介入が可能となる仕組みづくり(・・・読み上げ部分省略)  (エ)相談体制の整備・・・(読み上げ部分省略)  (オ)管理監督者に対する教育・・・(読み上げ部分省略) ○和田座長  これに関して、ご意見を伺いたいと思います。(ウ)の最初の○、上司とか同僚が気 付いたとき、あるいは家族が気付いたときに、繋げることが必要だと書いてあります が、どのようにして繋げていけばいいかが問題になると思うのです。この辺で何かご意 見はございますか。 ○東委員  具体的に家族の方が、こういう問題があって、会社でもどうなっているかが心配なと きに、どこに相談していいかというと明確でないですね。上司に言って、本人の不利益 になっては困るし、直接人事に言って、また不利益になってもいけないと思うでしょう から。そういう意味での守られた場所があるということを提示することが1つあります ね。 ○和田座長  それは非常に重要だと思います。 ○東委員  これはそれでいいと思うのです。怖いのは逆のパターンで、家族に情報を提供してい いものかどうかというのはどうなのか。例えば、離婚訴訟中の奥さんとか、非常に問題 のある家族の場合もあると思うのです。家族は民法上はどうなのか、一体なのでしょう か。実は、これに近いトラブルがあった事例があるのです。離婚訴訟がどっちに有利に なるとか、おかしな行動が会社であったということで、理由に使われるケースもあった ものですから、一般に、本人の許諾を得て、奥様をお呼びしましょうとか、親とか、高 齢者の場合にはお子さんをと、そういうことをやっているのですか。 ○黒木委員  基本的には、本人の同意がなければ家族にも情報を提供しないというのが原則だと思 います。 ○東委員  逆に言うと、産業医の側で気が付いたことがあって、家庭ではどうかということにつ いて聞きに入るということは。 ○黒木委員  むしろ、本人の同意があれば、企業の側の例えば保健師が、家族のほうに情報をもら う。特に過重労働で、いろいろなところで引っかかってきますね、残業時間にしても、 産業医の面接にしても、非常に疲労が強い、そして、メンタル面でもちょっと問題があ りそうだという場合に、家族が企業に連絡をしてくるということは、あまりないのでは ないかと思うのです。むしろ保健師や産業医スタッフのほうが、ある程度情報を聴く。 そこで初めて家ではこういうことだということが分かって、早目に対応できるというこ とになっていくのではないかという気がします。 ○東委員  ご本人の許諾を得て、家族に話を聴くことができる。では、家族に話を提供すること はどうなのか。例えば、会社でこういう行為があるのですがとか、そういうことを。 ○黒木委員  例えば、医療に繋げなければいけないような状況が、会社の中で起こっているという ことであれば、これはやはり家族に協力を求めないと精神科の治療は始まらないですか ら。 ○東委員  そのときは、本人の許諾は要らないですか。 ○黒木委員  一応、本人にも話はしなければしようがないと思うのです。話をした上で、了解が得 られない、しかし本人に事故が起こるような危険性がある場合には、治療をまず優先し て考えることが必要ではないかと思います。 ○大野委員  その場合は、自傷他害といいますか、危険性が高い場合でないと、やはり情報は提供 すべきではないと思うのです。いま東委員がご心配のように、ちょっと行動に問題があ るからということで提供してしまうと、何か家庭の中にトラブルがある、離婚の問題や 遺産の問題があるときに、それが使われてしまう危険性は十分考えられますので、そこ を勘案した上で、伝えるかどうか、誰にどういうように情報を伝えるかは、かなり慎重 に検討する必要があると思うのです。 ○東委員  そうすると、この部分は例えば会社の環境白書と同じように、「私どもの会社はこう いうような形で仕事をしています。こういうストレスがあるかもしれませんので」とい うことで、情報提供を受ける仕組みを作り、その中に「何かお気付きになったことがあ ったら、この窓口にご相談ください」ということでするのが1つの限界になりますね。 ○黒木委員  そういう意味では、例えば外部のEAPのような所で、家族が相談に行けるようにす る。あるいは健康管理にしても、会社の中での健康管理だけではなく、外部のどこでも 相談ができるという所を示しておくと、家族はやはり相談しやすいのではないかと思う のです。そうすると、例えば以前にもこういうことがあったとか、やはり本人の不利益 になることを家族は言いませんから、そういうことからすると、外部のほうがむしろ話 しやすいということはあるかもしれませんね。 ○大野委員  どの程度EAPを使うかというのは、私は疑問を持っている。EAPと会社との連携 がうまくいかない場合を往々にして耳にするのです。EAPに家族が相談に行ったのだ が、それが会社にうまくフィードバックされないという問題も出てきますので、ここに 盛り込むかどうかは別ですが、その辺は今後の課題になってくるかと思います。 ○東委員  そうですね。ただ、大きな企業の場合は別として、小さな企業になってくれば、そう いう内部人材を抱えることはできませんから、1つの便法、オプションとしてはあるか もしれないですね。 ○和田座長  なかなか難しい問題ですね。何か事務局でお聞きしたいことはありますか。 ○主任中央労働衛生専門官  この中で、家族による気付きが重要であるというのは、これまでも議論いただいてい ましたが、それを繋いでいく具体的な1つの例として、面接指導に繋ぐというのを1つ 挙げたのですが、これは例示として問題はないかどうか。さっき言われたように、会社 の誰に連絡するかの窓口は明確にしておかなければいけないということはあるだろうと 思います。EAPという方法もあると言われましたが、これをどうするかは、ちょっと 難しいところがあると思うのです。この程度で足りるかどうか、例示としてはこれでよ ろしいでしょうか。 ○黒木委員  自殺防止という観点で、某企業で外部の機関に委託するなり、あるいは外部の機関を 使うことによって、かなり減らすことができたというレポートもあったものですから。 ○主任中央労働衛生専門官  それは、例示として入れておいたほうがいいのではないですか。 ○黒木委員  盛り込むのはちょっと難しいかもしれませんが。 ○和田座長  では、次に移りたいと思います。オの健康づくり・快適職場づくりの取組、カのメン タルヘルス等による休業者の職場復帰の支援についてお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  14頁です。  オ 健康づくり・快適職場づくりの取組(・・・読み上げ部分省略)  カ メンタルヘルス不調による休業者の職場復帰の支援・・・(読み上げ部分省略) ○和田座長  非常に難しいところだと思うのですが、ご意見を伺いたいと思います。初めの健康づ くり・快適職場づくりはいいとして、特に職場復帰のほうについていかがですか。産業 医の職務が非常に増えて大変な感じもするのですが、いま実際には、産業医はこういう ことをやっているのですか。 ○東委員  産業医がいちばんこの点は一生懸命やっていると私は思っています。 ○和田座長  現実には、やはり産業医がこういう活動をしているわけですね。 ○東委員  だんだん整備されてきて、これがいちばん重要な仕事に入っているのではないでしょ うか。 ○和田座長  そういう意味で、是非頑張ってほしいということで、こういう書き方でいいですか。 具体的な進め方は、最後に「今後研究していく必要がある」ということで、ちょっと逃 げているところもありますが、とてもまとめられないわけですよね。 ○黒木委員  きりがなくなります。これは無限で、配置転換する場所など、ないという所もありま すね。ケース・バイ・ケースで、非常に多様だと思います。 ○大野委員  実際に、厚労省の研究班でこういうのもやっていますね。 ○主任中央労働衛生専門官  今回の検討では、予防策という点に重点を置いておりました。 ○和田座長  そういうことでよろしいですか。 ○保原委員  法律的には、職場復帰のときは、産業医に相談しなければいけないとか、医師に意見 を求めなければいけないとかという制度はありますか。 ○黒木委員  企業の中では、やはり産業医が復帰できるかどうかということを判断する。専門医も それに関わりますが、それを事業主が許可をするかどうかということになります。やは り、就労可という診断書が上がってきても、本当に本人ができるものがどこにあるかと いうことは、十分考えなければいけませんし、支援プログラム、復帰プログラムをどう やっていくかは、個別で違うと思うのです。企業によっては、職場復帰プログラムを数 か月と定めて、例えば半日勤務、半日から3時、それから1日という形で、大体2か月 を目処に通常に戻していくというプログラムを作る。その段階で、毎週レポートを、保 健師が面接をして、本当に大丈夫かどうかを確認しながら、復帰に戻していくというよ うにやっている所もあると思うのです。 ○保原委員  職場によってまちまちですね。 ○黒木委員  これはまちまちですね。 ○東委員  標準的な仕組みがあり、会社の職制や人事を含めた管理系と、現実の職場の人間と産 業医、場合によっては家族も含めてやっているのが、大きな会社の場合は一般的になっ てきつつあります。法的な根拠はどこにあるかということですね。 ○保原委員  伺った範囲では、いまのところ会社の自主的な組織、手続ということになりますね。 ○東委員  そうですね。これは基本的には医師が関与しないで職場に復帰させた場合、健康上の 問題を抱えている場合、その判断ができているのかどうかということが問われてきます ので、企業としては防衛的にそうやっている。安全配慮義務がありますので、そういう ことでやっているわけです。 ○和田座長  広い意味での産業医の職務の、健康管理というところに入るのですか。 ○主任中央労働衛生専門官  安衛法の中での産業医ですので、健康管理は予防対策を主に書いてあります。職場復 帰ということを省令上明記してあるわけではありません。 ○和田座長  法律的には、その中に入って広くかぶさってくるということになるわけですね。 ○主任中央労働衛生専門官  そういう考えです。 ○安全衛生部長  オで「健康づくり・快適職場づくりの取組」というのが出てくるのですが、座りがこ こでいいのかと思うのです。要するに、メンタルヘルスの対策の中で、初めに「不調に 早期に対応する方策」ときて、「職場づくり」がきて、「メンタルヘルス不調による休 業者の職場復帰」となっていますが、これは体制整備の後の(3)の話ではないかとい う気がしたのです。ここに置いておく理由は何かあるのですか。(3)の体制の整備の ほうに、この健康づくり・快適職場づくりの取組を入れて、全体の中でそういう体制も 整備していかなければいけないというほうが、感じとしては受け入れられるかと思った のですが。 ○和田座長  この中で具体的なメンタルヘルス対策を厚生労働省が謳っているのは、THPの心理 相談のところぐらいしかないという感じもあるわけです。そこも利用してほしいという ことですね。 ○主任中央労働衛生専門官  前に出した検討のまとめでは、これはもう少し前に置いていました。計画の策定の次 ぐらいに置いてあったと思うのです。計画を作り、積極的な健康づくりをやり、それか ら職場のストレスの把握というように、流れとしてはこうかなということで置いておい たのですが、すでにある施策ですし、特に今回の議論では、介入の仕組みづくりという 辺りが重要ではないかということが議論されていましたので、前に置くよりは、こうい うのもありますという形で後ろがいいということで、事務局として場所を後ろに移動し たということです。 ○和田座長  そこは、座り心地はどこがいいか検討してみてください。では次に移ります。(3) の体制の整備、アの事業場内の体制整備をお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  読み上げます。  (3)体制の整備  ア 事業場内の体制整備(・・・読み上げ部分省略) ○和田座長  これについて、ご意見を伺いたいと思います。3つ目の○のところに、衛生管理者や 保健師を活用することが非常に重要であると書いてありますが、実際にどのような活用 が考えられるでしょうか。選任していない所と断っていますが、選任している所でも、 当然活用しなければいけないということはあるでしょうね。 ○東委員  ここで難しいと思ったのは、この場合、もし最後に責任がとれるような、例えば診断 ができるというと医師になってくると思うのですが、それが介在しない所で、自己完結 的にやってしまっていいかどうかという問題ですね。  活用ということについては、全く問題はないと思います。おそらく基本的には、普段 の面接を行ったり、スクリーニングの対策を果たすということだと思うので、問題はな いと思うのですが、ここで衛生管理者がどこまでそういうことができるのか。それはち ょっと難しい部分がある。「指揮を受け」とあるのですが、キーになる医師がいる場合 において初めて成立するスタッフの活用になるわけで、ここはマニュアル的に少し整理 をしないと危険度が伴いますね。 ○主任中央労働衛生専門官  衛生管理者が医学的な判断に関与するというのは無理があるだろうと思います。た だ、必ず医師が全部を仕切るというのは実態的には難しい事業場も多かろうと思いま す。そういう中で、こんなような使い方ができるのではないか、あるいはこういうこと に気をつけて、こういうことをやるべきではないかというご意見がいただければありが たいと思っています。 ○東委員  医療職のように、守秘義務等を厳格にかぶせた別の法律がないわけですね。 ○主任中央労働衛生専門官  そこはまた別途手当をすることも可能かもしれません。 ○東委員  それが1つの要件であることと同時に、やはり会社の専従職として、雇われていると いうところがあって、例えば企業規模自体が小さい場合について、専従職の人が雇われ ていないとすると、基本的には会社の中で、他の仕事に就きながらやっている衛生管理 者ということになりますね。その方が主体的にこういう業務に取り組んでいって、経営 者の理解が得られるかどうかという問題もあるような気がします。  業務的なものの定義という形で、後で詳しいことができるのかもしれませんが、身分 的、職種的に、かなり難しい場合があるのではないか。大企業の場合は、こういう形で 活躍する場があると思うのですが、小さい企業の場合は、活用しなければならないとい う事情がある一方で、存在としてメンタルヘルスの問題については、不利益を本人に与 えてしまうことがありはしないかという危惧が持たれるのです。 ○主任中央労働衛生専門官  衛生管理者などの場合に、例えば仕組みづくり、計画の策定などということをこの中 でコメントしていますが、そういうものを作っていくとか、あるいは中の体制整備につ いて企画していくとか、そういったことは可能かとは思うのですが。 ○東委員  それは大賛成です。ただ順番として、「産業医等の医師の指揮を受けつつ、円滑に対 策が進められるよう衛生管理者、衛生推進者、保健師等」と書いてあり、ここがちょっ と気になったところなのです。保健の部分と、衛生対策上の部分と、少し様相が違うと いう気がしたものですから。 ○主任中央労働衛生専門官  管理的な部分と、医療・保健職の部分は分けて考えたほうがいいだろうということで すね。 ○和田座長  大野委員、メンタルに関しては、保健師の活用などはどうなのですか。かなり活用し て進めるのですか。 ○大野委員  やはり重要だと思います。 ○和田座長  身分としては、産業医がやるのを肩代わりしてやってもらうという感じになるのです か。 ○黒木委員  どちらかというと、繋ぐような形ですね。 ○和田座長  では、次に移らせていただきます。イの事業場外の機関の活用、特に行政の支援措置 ということですが、よろしくお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  16頁です。  イ 事業場外の機関の活用(・・・読み上げ部分省略)  ウ 国の支援措置・・・(読み上げ部分省略) ○和田座長  これについて、ご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 ○藤村委員  事業場外の機関の活用の○の2つ目の最後に、「産業保健について理解した専門精神 科医の育成が望まれる」というのがありますが、これは今、厚労省のほうで産業保健推 進センターを使って、精神科医に呼びかけて、産業保健の知識を講習しようということ になっていますね。知識を持つということは非常にいいことなのですが、それがどう実 際問題として仕事に繋がっていくかとか、どう反映されるかというところが全然ないの です。  例えば、この講習会を受けて、産業保健について理解を深めていただいた精神科医の 先生には、会社のかかりつけ医になることを推薦しますよとか、あるいは会社の相談医 として、何らかの報酬を出して連携しましょうとか、そういうものが何かないと、ただ 講習をするから来なさいというだけでは、どうも実効がないし分かりにくいですね。何 か作っていただけると非常にありがたいと思うのですが。 ○主任中央じん肺審査医 藤村委員の言われたことは、まさに理想的な姿で、最終的に はそれが目標かもしれないのですが、とりあえずは最近、地域の精神科医にかかる患者 の中で、職場でメンタル的なストレスを受けた人が多いにもかかわらず、産業保健や労 働衛生のことを全く知らない精神科医が多いので、そういう人たちに労働衛生のいろは のい、基礎的なことを知っていただこうという研修なのです。これがきっかけとなっ て、いま藤村委員が言われたようなことが実現していけば理想的なのですが、まだその 段階には至っていないというところです。 ○黒木委員  研修を受けると認定書か何か出すのですか。 ○主任中央じん肺審査医 4時間の研修ですから、労働衛生の基礎的なことを知ってい ただくということです。 ○安全衛生部長  難しい話ではなくて、例えばそこの保健センターに、研修された先生方のリストを並 べておいて、何か問合せがあったときに、とりあえず、そういう先生を紹介するという ところから始めてもよろしいわけですね。 ○藤村委員  何かがあればよろしいですね。 ○大野委員  精神科医の立場からしますと、それは非常にありがたい反面、ちょっと負担が多いで すね。つまり、患者さんが来たときに、患者にも会わなければいけないし、家族や会社 とも連携をしなければいけないというと、非常に多大な時間がとられるわけです。例え ば今、開業されている精神科医のクリニックなどですと、1日に30人、40人、場合によ っては100人以上診察されるわけです。その中で、そういう時間をとるというのは逆に非 常に難しくなるわけです。そのことを考えますと、それなりの保険点数なり、財政的な バックアップがないと、あまり協力は得られないのではないかということも考えられま す。 ○安全衛生部長  そういうお金が絡んだ話は簡単にはいかないですね。とりあえず、リストを置いて、 先生方が「私の所では、こういう時間でこういう条件だったら受けるよ」とか、そのよ うな話があったらそれを繋げると、そんなところから始めていく。せっかく研修を受け てもらったら、そういう方に動いてもらったほうがいいに決まっているわけですから、 何らかの活用方法が考えられればと思っています。 ○黒木委員  こういうものができると、それは医療課で診療報酬は扱うのでしょうが、こういうも のが必要だ、時間もかかるということになれば考えていただけるのではないか。それ は、もちろん時間はかかると思いますが、第一歩としてはいいのではないかと思いま す。 ○藤村委員  いま部長がおっしゃったように、産業保健推進センターに名前を登録して、かかりつ け精神科医として、必要があったら紹介しますよぐらいのバックアップでもいいので す。これはお金は絡まない。 ○安全衛生部長  制度的にきちんと定着していくようになれば、それは診療報酬上の要望も出せないこ とはないと思いますが、とりあえずは一歩一歩。 ○藤村委員  定着してから考えるのではなくて、講習をする時点で、「こういうバックアップ体制 を一応考えております、ですから講習をお受けなさい」と。実は、私の所に、こういう のを回しますということで、文案を見せていただいたのですが、産業医とタイアップす る体制を作ってくださいということを入れていただけないかと申し上げて、文章を変え て出したのです。何かそういう形のものを初めから作っておくと、参加者も多いですし 実効が上がる。 ○安全衛生部長  藤村委員がおっしゃっているのは、活用方法をある程度考えた上でということです ね。それを先生方にも理解していただいて、研修なり何なりをやる。 ○藤村委員  そういうことです。 ○和田座長  認定産業精神科医というような資格を作ってはどうですかと言いましたら、それは非 常に難しいと却下されてしまったのです。そういうものを作るということはあるのでは ないかと思ったのですが。この前、横浜の精神科医の先生方で、地域産保が中心になっ て、ネットワークを作ってという話がありましたね。そういうのが出来ればいいのでは ないかと思うのですが。 ○東委員  統合的な専門家ということで考えていくのであれば、精神科医のほうからも、産業医 の側からも、診療内科の側からも、基本的に、これらはメンタルヘルスとしての専門家 と謳っていると思うのですが、この整理は難しいとして、産業保健にも造詣があって精 神的な部分も詳しい、そういう専門家という形で、法律的にどうこうではなく、認証と いいますか、要するにサーティフィケートを出していく手はあるかもしれない。1つ質 問があるのですが、精神科の先生方の中で、どのくらいのパーセントが認定産業医をお 持ちになっていらっしゃるのですか。 ○藤村委員  数は分かりませんが、少ないですね。 ○東委員  いま医師の中では6万人ぐらい、全医師の中の20%以上が持っているという計算にな りますが、精神科の先生は少ないのですか。 ○藤村委員  少ないはずです。 ○和田座長  ほかにご意見がないようでしたら、最後に5「おわりに」に入りたいと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○主任中央労働衛生専門官  最後のところです。  5 おわりに(・・・読み上げ部分省略) ○和田座長  いかがでしょうか。これはこのとおりということでよろしゅうございますか。ほかに 何か付け加えることはございませんか。 ○保原委員  直接関係ないのかもしれませんが、先ほど藤村委員もおっしゃいましたように、産業 医をもうちょっと何とか範囲を広げるようなことを、ここでは場違いで書けないのかも しれませんが。平成6年の産業医の検討会の報告書では、労働者30人以上の事業場で産 業医を選任すべきだということを書いたわけです。聞くところでは、財界などの反対 で、景気の悪いときにとんでもないという話で終わりになってしまったような感じなの ですが、やはり何か、そういう提灯はずっと上げておきたいという気がするものですか ら。うまくどこかにはまればいいのですが、なかなか急には。 ○主任中央労働衛生専門官  過重労働対策、メンタルヘルス対策について、専門的知見に基づいてということをメ インにしておりましたものですから、あまり踏み込むのはつらいと思っているのです。 ○保原委員  私も、どこかにうまくはまる所があるかと思ったのですが、なかなかないものですか ら。 ○和田座長  この前、中小事業場における産業保健のあり方に関する報告書が出まして、あの中に 30人が出てくるかと思ったのですが、一言も触れていなかったですね。そこで検討して も、まだそこまでいっていないという感じかと思っていたのですが。 ○東委員  30人にしたら、随分カバー率されるは上がるのはたしかですね。 ○主任中央労働衛生専門官  地域産業保健センターや産業医の共同選任事業、あるいは前の報告書を受けて、産業 医ではないけれど、まさにかかりつけ医といった形のもの、ああいうものの選任に事業 主は努めなければならないという形での手当はしてきております。そういったものを、 また粛々と進めていくということが、まず基本かというようには考えております。 ○和田座長  一応、一通りご意見を伺いましたが、全体を通して何かございましたらどうぞ。 ○安全衛生課長  全体の構成の中で、1つは過重労働等をさせるなと、した場合は100時間、80時間、 面接をきちんとしなさいという構成になっているわけですが、前の、この基になりまし た通知のところで、休息について結構しっかり書いてあるのです。年次有給休暇の取得 を促進する、十分な睡眠時間を確保するなど、その辺りがここでは「面接指導の結果に 基づいて、必要に応じて労働時間の制限、休養・療養の適切な措置を実施」という、そ の部分が少し弱くなったかという感じがしますので、もう少しはっきり打ち出せない か。疲れたら休ませるように、そういう体制をとりなさいという話をですね。 ○和田座長  こうしなさい、こうしなさい、これはやってはいけないというのを実際にやった場合 に、どのような対策を立てたらいいか。有給休暇は別にして、2、3日、長時間やった ら1日休ませなさいとか、そのような短期間の疲労回復の何かをどこかに入れたほうが いいかということですね。 ○安全衛生課長  エビデンスがあると、とてもいいと思うのですが。 ○和田座長  疲労の研究などというのが昔はよくあって、急性疲労、慢性疲労というので、これは 1か月にわたってあれするとかいうのがありましたね。 ○保原委員  睡眠5時間ということをここで議論したのではないですか。 ○和田座長  それは議論したのですが、それ以下になった場合に、必ず回復させるような措置をと りなさいということですね。睡眠5時間ということは、計算すると月の残業が100時間 ということになる。ですから、100時間以上は、ほぼ絶対にやらないようにしてほしい というのが基本にあると思うのです。 ○主任中央労働衛生専門官  疲労が蓄積されている、休養しなさいということは、医師の判断で。 ○和田座長  それはやらなければいけない、健康指導ですよね。そのほかに、もうちょっと明記し ておくか、何かそういったことを考えなさいということですね。 ○保原委員  この研究会ではなかったですか。 ○主任中央労働衛生専門官  それは労災の平成13年の検討会のほうで、和田先生がまとめられたものがあります。 それを踏まえてということで、今回議論をしているわけです。 ○保原委員  これは、それを前提にした報告書ということですか。 ○和田座長  そうです。前提にしているわけです。そのときは、6時間睡眠でプラスとマイナスの データがあったわけです。6時間ということは80時間で、80時間を入れるか入れないか でかなり論議をしたのです。しかし、その時点では、まだ明確に結論は出なかったの で、80時間以上ということで対処したわけです。その後、いくつかデータが出てきて、 やはり睡眠時間5時間が非常に問題だというデータが多かったのです。前のものを否定 するわけにはいかないのですが、今回もそういったデータで、できれば100時間以上は しないでほしいという線を出したらというように考えたわけです。 ○黒木委員  精神疾患は睡眠と随分関係があると思うのです。例えば、不眠不休でやっていて、睡 眠時間がどのぐらいで精神疾患の発症に至るかという。例えば、病気になったために眠 れないということで、睡眠障害が起きるというのも含まれるので、仕事で、過労で睡眠 時間がとれないために発症したというのを断定するのは非常に難しいと思うのです。こ れは、……の研究の中では、大体4〜5時間で1つの線が引けるのではないかというこ とですね。 ○労働衛生課長  休暇と休養については、もう少し書き込む必要はないでしょうか。 ○和田座長  是非どこかで、有給休暇も含めて、疲労回復の対策を立ててほしいということを書き 込む必要がありますね。 ○保原委員  前の繰り返しになってもですね。 ○和田座長  それはかまわないですよね。 ○主任中央労働衛生専門官  過重労働対策の中に、休養の取得の促進のような形で。 ○和田座長  メンタルヘルスも4時間の睡眠ということですから、過重労働だけではなく、それも 含めて全体的な対策として、初めのほうに入れていただければと考えます。 ○藤村委員  全くこれとは直接関係がないのですが、精神科の専門の先生にお伺いしたいのです。 自殺に関係する、関係しない、自殺のおそれがある、おそれがないというのは、気分障 害、あるいはうつ傾向というのがあると思うのですが、我々一般診療をしていますと、 かなりの率で自律神経症状を訴える人がある。例えば、手足にものすごく汗をかき、人 と話をするとべったりになって、すべって何も仕事にならないとか、上司に怒られたり すると、急に顔が赤くなる。紅潮、発汗、頭痛を訴える。ときによると、頭の中で鐘が 鳴るとかいうような表現で訴えてくる人がたくさんおります。  もちろん、これは気分障害ではないのでしょうが、「皮膚から虫が出る、ほらここに 出てくるでしょう」というような人たちがいっぱいいる。また、局所、例えば外陰部の 臭いが非常に気になるとか、脇の下の臭いが気になるとか、そういう患者がいっぱい来 るのです。会社で仕事をしていると私を無視するとか、横を向くとか、そういう訴えを するのが非常に多いのですが、こういうのは自殺に繋がる危険性、あるいは仕事をやっ ていく上で治療が必要かどうか。こういう患者がかなりの頻度で一般診療科に来るの で、ちょっと教えていただきたいと思うのです。 ○黒木委員  いま言われたのは、様々な病態が入っているようで、一言ではちょっと答えられない と思います。ただ、うつの初期症状としては、身体症状が多いと思うのです。疲労感と か、だるいとか、うつの1つの身体の症状が前面に出るというタイプは非常に多いと思 います。そこからうつがどんどん進行していくということもあるのではないか。無視す るとか、いまおっしゃった心気的なものは、ちょっと違う疾患ではないかという気もし ます。自殺とそれが関係があるかどうかは、いまの話だけでは一概には言えないと思い ます。  もうちょっと個別の事例で、どうかということを見てみないと、希死念慮がどこから どう出てくるのかというのは、非常に難しい問題だと思いますし、うつが非常に重症化 して、もう死ぬしかないと思ってしまうタイプもあるでしょうし、あるいはうつの入口 で、来なくなってしまう。あるいは、疲労の大変な状況になって死を選ぶというものも あると思うのです。ですから、自殺そのものは、様々なレベルとタイプがあるのではな いかという気がします。 ○藤村委員  一般診療科で診ていてもかなりの頻度でありますから、6,000万労働者の中には、か なりそういうものが多いのだろうと思います。ですから、何とかそれをスクリーニング だけはして、自殺防止をするぐらいはできるのではないかと思いましたので伺ったので す。 ○大野委員  いま黒木委員がおっしゃったように、いろいろな症状なり疾患が入っていると思うの です。特に、専門的には、身体表現性障害というのがあり、要するに身体の症状を訴え るのだけれど、器質的な原因がはっきりしない。これは、10年ぐらい前、やはりWHO でプライマリーケアで非常に多い、だから治療をきちんとする必要があるということで 研究をしたことがあります。それが自殺とどのように関係するかというのは、はっきり しないのですが、自殺の観点から見ると、必ずしもうつ病だけが問題ではなく、精神疾 患そのものが問題になってくるわけです。  一般的には、9割以上の方が精神疾患にかかっている。その中で多くの方が身体症状 を訴えて、プライマリーケアを受診されているということがあります。また、疾患で言 えば、若い方の場合には、統合失調症も自殺が多い。中年になるとアルコールが絡んで いる方が多い。高齢者になると、うつ病が多いというバラつきがあります。ですから、 やはりそういう精神疾患に関して、いわゆるプライマリーケアといいますか、かかり付 けの医者がきちんと対応するということは、自殺予防の意味でも非常に重要だろうと思 います。 ○藤村委員  大変よく分かりました。ありがとうございます。 ○和田座長  時間の関係もありますので、本日の議論はこれで終わりたいと思います。本日の議論 を踏まえて、報告書をまとめていくことになりますが、今後のスケジュールにつき、事 務局からお願いします。 ○主任中央労働衛生専門官  次回は8月18日(水)午後3時からということで予定させていただいております。次 回で最終回にできるよう、事務局として取りまとめたいと考えております。まだこうい うところを修正すべきであるという意見がございましたら、来週の水曜日ぐらいまでに 事務局のほうにご連絡をいただければと思っております。それらを反映させた形で最終 案を出したいと考えております。  今日の議論の中で、大きな部分では、原則、面接は必要であるということが1つ、メ ンタルヘルスの関係で、個人のメンタルヘルス上のチェックの話をもう少し見直すとい うこと。「ただし、こういうことに留意が必要である」という辺りを、この形を維持し つつ、今日の議論を踏まえた形で修正をさせていただきたいと考えています。また、健 康づくりということのコメントの場所の話も含めて、衛生管理者や保健師の活用の部 分、疲労回復のことなどを修正した上で、ご提示申し上げたいと思っております。 ○和田座長  それでは、本日の検討会はこれで終了といたします。どうもありがとうございまし た。