04/07/23 第3回総合施設に関する合同の検討会議議事録             総合施設に関する合同の検討会議                              第3回議事録                             厚生労働省雇用均等・児童家庭局                      総合施設に関する合同の検討会議(第3回)                            議事次第                                    日時:平成16年7月23日(金) 15:05〜16:56                  場所:ホテルフロラシオン青山3階「クレール」 1.開会 2.事務局の異動について 3. 議論の整理について 4.自由討議 5.閉会 ○岩男主査  それでは、ただいまから、第3回「中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育部会 」と「社会保障審議会児童部会」の合同の検討会議を開催いたします。  本日は、大変お暑い中、また、お忙しい中を御参集いただきまして、ありがとうござ いました。  本日の司会は、児童部会側が担当することになっておりますので、私が本日の司会進 行をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、議事に入ります前に、事務局に異動がございましたので、その御紹介をい ただければと思います。 ○尾崎保育課長  それでは、失礼いたします。厚生労働省側の人事異動の方から御紹介をさせていただ きたいと存じます。  雇用均等・児童家庭局総務課長、高井康行でございます。  それから、私は保育課長を拝命しました、尾崎春樹でございます。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○蒲原幼児教育課長  それでは、続きまして、文部科学省側の人事異動について、御紹介をさせていただき ます。  初めに、銭谷初等中等教育局長でございます。  続きまして、山中大臣官房審議官でございます。  最後になりました、私、蒲原と申します。幼児教育課長になりました。よろしくお願 いいたします。 ○岩男主査  ありがとうございました。  それでは、議事に入らせていただきます。まず、前回の会議の最後に、これまでの議 論を整理した資料を作成していただくとことを事務局にお願いしておりましたので、用 意してくださった資料の御説明をお願いできればと思います。  それでは、事務局から、お願いをいたします。 ○尾崎保育課長  まず、資料はお手元に3点、お配りをさせていただいてございます。  最初が、右上に「資料」と書いた枠で囲まれました「議論の整理」というものでござ います。これから、これについて御説明をさせていただきたいと思います。  そのほか、2点ございまして、参考1、参考2でございますけれども、参考1は、前 回、第2回の合同会議でもお配りをいたしました、幼児教育部会、児童部会における議 論の概要を幼稚園制度、保育所制度と並べて表にいたしたものでございます。前回と同 じ資料でございます。  参考2は、過去2回のこの合同の検討会議における主な意見の概要をそれぞれの項目 で整理をさせていただいたものでございます。  それでは、最初の資料「議論の整理」、というものをごらんいただければと思います 。全部で4ページございますけれども、総論で2ページ、各論で2ページで整理をさせ ていただいております。  まず、総論の最初でございますけれども「就学前の教育・保育をめぐる現状と課題」 についてということで、5、6点の整理をしております。子どもを取り巻く環境が変化 する中で、子どもたちの育ちにつきまして、そこにございますように、基本的な生活習 慣や態度が身に付いていない、運動能力が低下している、他者との関わりが苦手になっ てきていいる、自制心や規範意識が十分育っていない。こういった課題が指摘をされて いるという点がございます。  また、2点目に、集団活動、異年齢交流に関わりまして、少子化の進行等を背景とい たしまして、乳幼児の成長、発達にとって大切な、このような集団活動、あるいは異年 齢交流といった体験が十分に得られない。そういう困難な状況になってきているという 点がございます。  3点目、多様な教育、保育ニーズへの対応ということで、就業形態の多様化。例えば 、パートタイム労働などを指すのだろうと思いますけれども、そういったものによりま して、保育ニーズ自体が多様化をしてきている。  他方、幼稚園教育の側から見ましても、その幼稚園教育の機会が地域的に偏在をして いるという状況がある。  更に、親の就労等の事情によりまして、幼稚園教育を希望しながら、これを受けられ ないという状況も見られるといったような課題があるということでございます。  4点目でございますけれども、子育てを取り巻く環境の変化と、家庭や地域の子育て 力の低下ということで、核家族化の進行ですとか、そういったことは背景としまして、 子育てが孤立化していると。子育てに不安や負担を感じる親が増えてきているのではな いか。特に幼稚園とか保育所の通っていない在宅の3歳未満の子どもの子育て支援、あ るいはその親子を含めた交流といったものの必要性が高まってきているのではないかと いったような御指摘がございました。  次に、仕事と子育ての両立負担ということで、共働き世帯が半数を超える中で、待機 児童の解消を図るための取り組みですとか、男性を含め、すべての人の働き方を見直す 、そういう見直しが求められてきているのではないかという御指摘もございました。  最後に、幼稚園・保育所をめぐる諸課題ということで、地域によりましては、既存の 保育所、幼稚園、これはそれぞれ各地で幼稚園、保育所の連携というものもいろいろ進 みつつあるわけでございますけれども、そういう連携だけでは必ずしも各地のニーズと いうものに柔軟な対応できていないという状況も指摘されてきているのではないか。  更には、子どもの発達の連続性という観点から、幼稚園、保育所の幼児教育、保育施 設と小学校との連携の強化が必要になってきているのではないかという御指摘もござい ました。  このような現状の分析と課題というものを前提といたしまして、その次でございます けれども、総合施設の「意義、理念」ということで、まず検討の観点でございますが、 総合施設の在り方につきましては、まず生涯学習の始まりとして、人間形成の基礎を培 う幼児教育の観点から検討を進めることが必要なのではないかと。  更には、社会全体で次代を担う子どもの育ちを支える次世代育成支援の観点というも のも併せて必要ではないか、この両観点が必要ではないかということでした。  こういうことを踏まえて、もう少し具体的に子どもの視点に立って、子どもの幸せを 第一に考える必要がある。  あるいは、子どもを育成する家庭や地域の子育て力が高まるような、子育て力のプラ スにつながるような支援を考える必要がある。  子育てをする人が子育てに喜びを実感できるような社会を形成していくという基本的 認識が必要なのではないかという御指摘がございました。  地域の実情等に柔軟に対応できるような、新たな枠組みを考える必要があるという観 点から、例えば、規制改革、地方分権等の流れも踏まえて、地域が自主性を持って地域 の実情、親の幼児教育、保育のニーズに適切、柔軟に対応できるような新たなサービス 提供の枠組みを提示しようという考え方に立つべきではないかということ。  したがいまして、必ずしもその施設を、例えば、ハコモノとして新設を目的とすると いう考え方に立つのではなくて、既存施設からの転用、転換ですとか、既存施設の連携 といったソフトの枠組みを含めて、可能な限り柔軟な制度とする方向で検討する必要が あるという御指摘もございました。  こういうものを踏まえまして、総合施設に期待される効果といたしまして、幼児教育 の機会の拡大、地域の子育て家庭に対する支援の充実が図られるという効果が期待され るということ。先ほど触れましたような幼稚園、保育所をめぐる諸課題の解消、あるい は待機児童の解消にもつながるといったことが効果として期待されるのではないか。  なお、総合施設という、これはあくまで仮称でございますけれども、この名称につき まして、この検討を深めていく中でその理念や機能を踏まえた適切なものを考える必要 があるのではないかという御指摘もございました。  以上が「意義・理念」でございまして、その次に、基本的な機能をどのように考える かということでございますけれども、総合施設につきまして、親の就労形態等で区別す ることなく、就学前の子どもに適切な幼児教育、保育の機会を提供し、その時期にふさ わしい成長を促す機能を備えることが基本であろうということかと思います。  家庭や地域の子育て力の低下、そういう状況を踏まえると、今、触れました幼児教育 、保育の機会を提供するという基本的機能に加えて、地域の実情に応じながら、在宅を 含めて地域の子育て家庭に関しまして、必要な助言、支援を行うとともに、親子がだれ でも交流できる場を提供するということが期待されるのではないかといったこと。  この場合に、親の育児を単に肩代わりするのではなく、これは現状分析のところにも ございましたけれども、親とともに子育てに参加し親の育児力の向上の支援を通じて、 子どものよりよい育ちを実現するものと考えるべきだろう。  今、触れましたような基本的な考え方のほかに、地域のニーズに応じて、さまざまな 機能・サービスというものをその実情を踏まえながら、地域地域で付け加えていくとい ったことが考えられるのではないかという御指摘もございました。  以上が、総論でございます。  次に3ページでございますけれども「対象者と利用形態」ということで、以下、各論 でございますが、今、触れました基本的な機能を踏まえまして、その利用対象者をいか に考えるべきかということでございますが、就学前の子どもの育ちを一貫して支えると いう、この総合施設の最初のコンセプトだったわけですけれども、そういう観点から0 歳から就学前の子どもとその保護者、これを全体としてとらえるということを基本とす るべきではないか。  しかしながら、例えば、0〜2歳児につきまして、親子登園ですとか親子の交流の場 の提供といった親と子の利用に供するスタイル。こういったものを考えて、幼児教育、 保育については、主として3〜5歳児を対象とする。こういった地域の実情やニーズに 柔軟に対応できるような多様な形態も可能とすることが適当ではないかというような御 意見があったかと思います。  また、利用形態につきまして、利用者と施設が直接向き合う直接形態が望ましいと考 えられると。ただ、この場合に、配慮が必要な家庭が排除されないような何らかの仕組 みを検討することが必要ではないか。  利用時間につきましては、例えば、保護者の就労の形態に関わりなく、すべての子ど もの育ちを支える共通の教育・保育時間を考え、それに加えて必要に応じ長時間の保育 などを利用できるようにすることが考えられるのではないかという御指摘がございまし た。  次に「教育・保育の内容」でございますが、現在の幼稚園教育要領、保育所保育指針 を踏まえて、子どもの発達段階に応じた共通の時間、内容というものを確保しながら、 子どもの視点に立って、個々の子ども状況に応じたきめ細かな対応に留意しつつ、来年 度に予定をしております試行事業も含めて検討していくことが必要だろうと。  遊び、あるいは食事といった乳幼児の成長にふさわしい環境づくり。あるいは、課題 にもございましたけれども、小学校教育との適切な連携といった、さまざまな観点が求 められるということかと思います。  次に「職員配置・施設設備」につきまして、これはいずれか低い基準に合わせること なくという御指摘、御意見いろいろございましたけれども、そこを踏まえて、経営の効 率性のみを重視するという観点に立つのではなくて、子どもの健やかな育ちを中心に置 いた上で、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるように検討していく必要がある だろうと。この場合に、来年度に実施される試行事業も含めて検討することが適当では ないかということかと思います。  次に「職員資格等」でございますけれども、一定の教育保育の質を確保する観点から 、保育士資格、幼稚園教員免許につきましては、併有が望ましいけれども、地域の実情 等に応じて、そのいずれかのみでも可とする方向で検討することが適当ではないかとい う整理をしております。職員の資質及び専門性を向上させるためには、研修の機会やそ の内容につきましても、引き続き検討することが必要ではないか。  最後の4ページ「設置主体・管理運営」の方式につきまして、安定性、継続性、質の 確保の仕組みを整える必要があるけれども、それを整えた上で可能な限り弾力的なもの とするよう配慮することが適当ではないか。  また「利用料・保育料」につきまして、幼稚園、保育所の設置者、例えば、利用料の 在り方、利用者負担の在り方、それぞれにいろんな相違がございます。制度的な相違も ございますけれども、そういった相違を踏まえながら、そこにございますようなサービ スを利用している家庭と利用していない家庭との負担の公平の観点、あるいは、応益負 担と応能負担との観点、地域における既存の幼稚園、保育所の負担との均衡といった観 点。こういったことを踏まえながら、利用料、保育料の在り方を検討していく必要があ るのではないかというふうに整理をしております。  「財政措置等」でございますけれども、利用者からの利用料だけでなくて、子育てを 支えていく次世代育成支援の理念に基づき、社会全体が負担する仕組みとしていくこと が必要ではないか。幼稚園、保育所の費用負担の仕組みは、制度的にいろいろな相違が あるわけでございますけれども、今後、総合施設の意義・理念に照らして、新たな枠組 みにふさわしい表負担の仕組みを更に検討していくことが必要だろうと。  地方公共団体における設置等の認可・監督、あるいは管理運用体制につきましては、 事務の簡素化、効率化を図るという観点から、行政の縦割りによる弊害を是正する必要 があると、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるように仕組みを考えていくべき だと。  最後でございますが「幼稚園及び保育所との関係」につきまして、地域の幼児教育、 保育のニーズに対しまして、既存の幼稚園、保育所、いろんな組み合わせ、連携の強化 といったものが、現在なされつつありますし、今後もまた強化されていくだろうといっ たことで対応していくのか、あるいはこういった対応を基盤としながら、新しいこの総 合施設というものを組み合わせて対応していくかということにつきましても、画一的、 全国的な取り扱いをするというよりは、地域の実情に応じて判断をしていくべき事柄だ ろう。  また、総合施設を制度化するといっても、既存の幼稚園、保育所の意義、役割といっ た厳然としたものがあるわけですので、そういったものを大切にしながら、両々相まっ て子どもの健やかな成長を支える役割を担うといったことを意図していくべきであろう と。  また、この新しい総合という枠組みで、既存の幼稚園、保育所についても改善のイン センティブとなればという観点から、適切な観点が加えられるべきということで、整理 をいたしております。  以上でございます。 ○岩男主査  ありがとうございました。  この会議につきましては、7月中を目途として議論の中間的なとりまとめを行うこと を予定しております。とりまとめに向けて、本日の御議論で総合施設の基本的な在り方 につきまして、おおむね委員の合意が得られるようになれば、大変結構だと思いますの で、ただいま事務局から御説明いただきました資料を基に、そのようなことを念頭に置 きながら御議論いただけると幸いでございます。  それでは、どなたからでも結構でございますので、お手をお挙げいただきたいと思い ます。  中村委員、どうぞ。 ○中村委員  この総論の中にあります「子どもを取り巻く環境の変化と子どもの育ちの課題」につ いてですけれども、基本的な生活習慣や態度が身に付いていない、運動能力の低下、他 者との関わりが苦手、自制心や規範意識が十分育っていないという課題がある。  それから、乳幼児の成長、発達にとって大切な体験を十分に得ることが困難な状態と いうふうにありますけれども、今の就学前の子どもたちは、保育園か幼稚園、もしくは 家庭にいる子どもさんが何割かあると思うんですけれども、半数以上は保育園、幼稚園 に入園していると思います。そういう中で、保育園では1日の生活の流れの中で遊びを 通して学ぶことがたくさんあります。各年齢の発達領域、領域別発達段階を踏まえた指 導計画がきちんと確立されておりますし、その指導の効果が評価されています。  また、基本的生活習慣の自立に向けて、一人ひとりの発達に個性に合わせた働きかけ が細やかに行われております。多くの友達とか保育者と関わることで社会性をきちんと 見つけております。就学前の人格形成をすると言われる大事に時期をそうして有意義に 過ごしております。よって保育園における総体的な幼児教育はしっかり確立されている と自負しております。  加えて、3歳未満児の保育、特に乳児の保育については情緒の発達が盛んで、健康状 態の不安定な時期でもあり、保育者の経験と判断、知識に基づく専門性が要求される分 野でもあります。それは長年の経験に裏づけされた信頼できる技術でもあります。  近年、保育園において乳児保育が一般化されまして、保育界では乳児保育の実際や小 児保健の研修会が盛んに行われております。  ですから、この状態というのは、多分、家庭時のことを差しているのではないかと思 います。私は保育指針の3歳以上と幼稚園教育要領がほぼ同じ内容であるということか ら、就学前の幼児教育と保育の一元化を保育園において確立されていると思っておりま す。ですから、総合施設の職員は保育のエキスパートで構成されなければなりません。 相手は日本の未来を担う大切な子どもたちですから、だれでも運営できるように見境の ない規制緩和をして、総合施設の目的がそれたり、大きな格差が生じてはいけないと思 っております。  以上です。 ○岩男主査  いかがですか。  北條委員、どうぞ。 ○北條委員  ただいまの御意見、中村先生のお立場からだと極めてごもっともで、私もそういうふ うに当然お考えだろうと思うんですね。しかし、そうであるならば、先生のお立場から は総合施設は必要ないということになりますね。 ○中村委員  やはり家庭とか、いろいろな育ちをしている子どもさんがあるわけで、それは必要だ と思っております。そして、やはり育児の孤独化というのが一番大きな問題だと思いま す。すごい虐待が急増しておりますので、総合施設は幼児教育だけではなくて、地域の そういう孤立した親子をサポートしていく立場として、これは大きな役割を果たすもの だと思っております。 ○岩男主査  北條委員、どうぞ。 ○北條委員  私もほぼ同じ認識でございます。そういった観点からまとめを見させていただきまし た。いろいろな意見が出ておるわけでございますので、事務局の方で大変御苦労された 上でのまとめということで、その点はよく承知しておるつもりでございますが、しかし 、やはりこういうまとめ方になりますと、どうしても実際の議論の内容は抽象化されま すので、どうしても、もう少しぼんやりとした表現になってくるのはやむを得ないんだ ろうとは思います。  しかしながら、この先いろいろ、今後、実際に試行段階を迎えるということでござい ますので、その段階に向けて具体的な詰めが行われていくとすれば、仮にこの資料がこ れでいいということになっていった場合、現実に交わされた議論と相当離れてしまった 具体的な動きが出てくる可能性というのが、こういう性格のものは常に持っておるわけ でございますけれども、このたびのことは子どもの生活、子どもの人権に関わることで ございますので、慎重に考えてまいりたいというふうに思います。  その上でございますが、まず1ページのところです。ただいまの中村先生のお考えに 基本的に賛成でございますから、そうしますと、この最初のところの、仕事と子育ての 両立支援という部分、とりわけ待機児童の解消の部分ですね。これは私が記憶する限り では、この合同会議では一切議論されていない観点だと思います。その観点がここに入 ってくることに大変疑問を感じております。この合同会議での議論というのは、中村先 生の御発言にありましたように、在宅で支援がないまま、不安の中でそれでも一生懸命 第一義的な子育ての責任を果たそうとしている保護者を支援していこうではないか。そ ういう保護者を励まそうではないか、そういうメッセージを出そうよという議論がなさ れていたのであって、待機児童の解消を図るというような観点では全くなかったという ふうに考えております。  2ページ目でございますが、もう一つ、この議論をしていく上で重要な点は、ハコモ ノは意味しないということだったはずでございます。確かに、この地域の実情等に柔軟 に対応可能な新たな枠組みというところで、そのことにお触れはいただいておりますが 、これはそもそも地方が柔軟に対応するためにそういうふうにしようよという議論では なかったはずでございます。そもそも、このいわゆる総合施設というものをどう考える かというところで、第1回のこの合同会議において、私はこの点を真っ先にただしたと ころでございます。それに対しまして、岩男先生から懇切にお答えをいただきまして、 そんな新しいハコモノなどを建てたら、膨大な無駄遣いが発生するんだと、そんなこと だれも考えていない、まさにこれはシステムあるいはプログラムということで考えてい くんだということがありまして、大変結構というか、ありがたい観点だというふうに考 えておりました。  しかし、そういう観点から行けば、ここでの表現は「必ずしも施設の新設を目的とす るものではなく」という表現になっておりますから、そうしますと原則は新規にハコモ ノをつくるんだよ、だけど、そうではないことがあってもいいよと、これは逆転してし まっている。この表現は、私は納得できない。是非、ただしていただきたい。しっかり ハコモノをつくるのではないということを明確にしていただきたいというふうに思いま す。  3ページでございますが「利用時間」のところでございます。この合同会議の検討で は、第一義的に大切な観点として、子どもの視点に立つということが常に言われてきて おります。その中で子どもの視点に立つという中に含まれる考えとして、これは特にこ の幼児教育部会側の委員から強く出された点でございますが、いわゆる極端な長時間保 育というものに対しては、これは受け入れないんだという姿勢をはっきりこの際出しま しょう。例えば、どんなに長くたって8時間でとめましょうという議論を提起させてい ただいたとこでございます。その一方、8時間を超える、いわゆる長時間保育を積極的 にやろうという議論はなされておらないわけでございますので、にもかかわらず、この 中でこういうふうに「必要に応じ、長時間の保育などを利用できる」という表現をする ことには納得がまいりません。  同じページでございますが「職員配置・施設設備」のところで、「来年度に実施され る試行事業も含め」という表現がございますが、試行事業については何も議論を行って おりませんので、試行事業についてまで触れられるのでは、これはこの場を構成してい る者の責任は果たせないというふうに思います。  4ページでございます。ここが先ほどのハコモノの考え方と関わりますが、一番最後 の「幼稚園及び保育所との関係」の問題で「さらに総合施設を組み合わせて対応してい く」という表現、これがまさしく、そうではないよという御説明もあり得ますけれども 、普通に読めば、これはハコモノとしての総合施設というふうに読む人が普通だと思い ます。そうではなくて、ここでの議論は新しいプログラム、システムを考えていこうよ ということでございますから、まずもって既存の幼稚園、保育所が今回議論されている さまざまな在宅のお子さんへの支援ということ、また一義的に見据えた新しい支援の活 動をもっともっとそれぞれが強めて取り組んでいこうよという話が中心であったはずで ございますので、ここの表現も異義がございます。  以上、いろいろ申し上げましたが、よろしく御議論をお願いいたします。 ○岩男主査  いろいろな点、御指摘がございましたけれども、それでは、津崎委員、お願いいたし ます。 ○津崎委員  花園大学の津崎です。今、いろんな立場からの御意見がありましたけれども、私の方 も提起していただいた論議の整理に基づいて、意見を述べさせていただきたいと思いま す。  今の委員の御発言の中で待機児童の解消という論議はなかったというような御指摘も ありましたけれども、確かに具体的な言葉での論議というのはなかったような気もしま すけれども、ただ現状として特に都市部等で、保育のニーズがあるにもかかわらず、そ れを受け入れるような体制がないということに対しては、やはり何らかの対応をしてい かないといけないといのうが、当然の在り方だと思いますので、そういうニーズに対し て、どういう新たな施設あるいは既存の施設の拡充も含めて対処するのかということは 、当然考えられていい視点だと思いますので、それを全部削ってしまうということにな ると、かえって問題ではないかなというふうな気がします。  1ページのところの下の方に「小学校との連携強化の必要性」というふうに書いてい ただいています。これは特に幼児教育と小学校以降の教育との連続性みたいなものを意 識した表現だと思いますが、私はそういうことも重要ですけれども、一方で小学校が少 子化の影響で子どもが少なくなっている。そうすると、その小学校の施設、設備。例え ば、そこの空き教室等の活用みたいな形で、新たな保育あるいは幼児教育のニーズに対 して、どううまくそこの設備、施設を使うのかというふうな論点も非常に現実的で具体 的な点だと思いますので、そういう設備の設置等についての連携みたいなことも一方で 意識していただいた形を取っていただく必要があるのではないかなというふうに思って います。  2ページ目「意義・理念」ということで、黒丸をして幾つかのことを書いていただい ています。そこに書いていただいていることは、それぞれ特に異論はありません。「子 どもの視点に立ち、子どもの幸せを第一に」であるとか「家庭や地域の子育て力が高ま るような支援」。  あるいは「子育てをする人が子育てに喜びを実感できるような社会の形成」、そうい うようなことは非常に重要な視点ですが、場合によっては、もっと素直に、これだけ保 育のニーズが拡大しているという状況は、やはり社会参加が非常に求められていて、そ のニーズが非常に高いと。それと子育てが両立しないということがこういう少子化現象 の大きな課題になっているわけですから、社会参加する親が子育てと共存できるような 社会の実現ということに対して、新たな施設も寄与するんだというようなことを率直に 入れておいていただく方が、もっと一般的にはわかりやすいというような気がします。  「総合施設に期待される効果」ということで、これは3つほど黒丸で書いていただい ています。私は、この点に関しては、せっかく新しいものをつくるのであれば、従来、 何回か言いましたけれども、0、1、2、ここの家庭での子育てが今、崩れてきている わけですね。いろいろお話を聞いていても、幼児教育は主に3歳以上を対象にした考え 方を示しておられていて、0、1、2というのは余り視野に入っていないような気がす るんですね。そういう意味では、この新たな施設は3歳未満児に対する、そこの崩れか けている部分の家庭支援をどういう形でサポートするとそこが崩れないのか、そういう 新たな支援の具体的な在り方を、場合によっては、試行する場、あるいはまた特に0、 1、2、がある意味では教育の対象になるとするのであれば、例えば、エリクソン等が 指摘していますように、信頼関係の獲得とか、あるいは自発性とか自律性の獲得が重要 な発達のテーマであるとすれば、そういうテーマに沿ったサポート、それは多分、従来 の知育の教育とはまた違った視点の教育の在り方だろうと思うんですね。場合によって は、その親も含めて何らかの新たな教育の手法をそこに持ち込まないと、そういうもの が育成できないと思うんですが、そういうことも、また新たな教育のテストの場という ふうな位置づけをしていただいてもいいのではないか。せっかく新しいものをつくるの であるから、新しいものに対するチャレンジの場というふうな位置づけがあってもいい のではないかというふうに、思っています。  3ページ目ですが、「教育・保育の内容」でいろいろ書いていただいていますが、こ この一連を通して見ておりましても、要は障害児のことが一切触れられていないんです ね。障害児をお持ちになった親御さん等は、この新しい施設が障害児を全部削除して考 えているのではないかという印象を持ってしまうと思うんですね。そうではなくて、こ の新しい機能の中には障害児をも含み込んだ新たな機能なんですよというふうに位置づ けておく必要があると思いますから、そういう文言も取り入れることも重要な点ではな いかというふうに思っています。  4ページのところですが「設置主体・管理運営」あるいは「利用料・保育料」という ことを書いております。その下にも「財政措置等」と書いています。社会全体で負担す る仕組みということをお書きいただいているわけです。1つの流れで見ていきますと、 これは少子化が影響して、労働の方のニーズはどうなっていくかというと、新たな労働 力として、やはり家庭の主婦を取り入れざるを得ないという社会情勢があるわけです。 そうすると、要は企業が子どもを抱えている親を労働力として取り込むのであれば、企 業がその部分において、保育の負担を一定図るべきではないかというふうに考えるわけ です。ある意味では、その新たな設置ということは、場合によっては企業と一体化した 運営ということもあってもいいように思うんですね。  実は先般、アメリカの方の企業の紹介のテレビ番組があったんですが、そうすると一 昔前の日本の福利厚生を重視したような新たな、例えば保育機能も全部企業の中に取り 込んで、昼の時間は一緒に親御さんと子どもさんが接触されているんですね。そうして 、その家族もろもろ、その企業がバックアップすることによって、かえって労働者の働 く能力、意識が高まって、企業の生産性が上がったというような番組だったわけですが 、特に今後、主婦層を取り込んでいくということであれば、特に女性を職場の労働者と して考えるような企業については、やはり当然、保育が連なって出てくるわけですから 、そういうものともうまく融合できるような新たな保育なり、場合によって、そこに幼 児教育的なニュアンスも含めたものというものをもっと積極的に誘導していくというふ うな政策はあってもいいと思いますので、その辺の負担なり設置なりというふうなこと に関する企業の役割ということが1つにはある程度、意識化してもいいのではないかと いうふうに思います。  以上、とりあえずは意見表明とさせていただきます。 ○岩男主査  ほかの委員会の御発言、いかがでございますか。  柏女委員、どうぞ。 ○柏女委員  4点申し上げたいと思います。比較的よく論点も整理していただいているのではない かなと思っています。  まず、第1点目は、先ほどの津崎委員の御意見の「仕事と子育ての両立負担」のとこ ろですけれども、やはり私自身も削ってしまうということについては問題だというふう に感じております。同意見です。  2点目は、3ページになりますが、ここのところで、やはり津崎委員と同じ意見を持 ったのですが、1番の「対象者と利用形態」のところの「(利用形態)」のところの2 つ目のにポツですね。この場合、配慮が必要な、例えば、子どもが排除されないような というような書き方で障害の問題についても対応していったらどうかなというふうに思 います。  3点目なんですが、4ページの一番下のところ「幼稚園及び保育所との関係」という ところですけれども、ここについては既存の施設で関連のする施設としては、幼稚園、 保育所だけではなく3つ目のものとして、言わば集いの広場と言いましょうか、0、1 、2歳の親子の子育て支援、あるいは就学前支援のための事業がこれから大幅に広げら れようというふうにしておりますので、ここでは幼稚園及び保育所集いの広場等との関 係という形で入れていただいて、総合施設が勿論この0、1、2歳の親子に対して支援 をするということは新たにあってしかるべきだというふうに思いますが、総合施設だけ が行うということではないと思いますので、NPO等々が集いの広場をたくさんつくり 始めてきておりますので、そうしたものとの関係をここに入れておくと。そして、ポツ で1つ、集いの広場等々のサービス等の関係を入れておくということが必要ではないか と思います。  4点目が、この後に、幼稚園及び保育所、集いの広場等との関係の後に、就学前保育 、教育の在り方に関する広範な検討をといったようなジャンルを少し設けていただいて 、この総合施設の検討あるいは、その実現の契機として、北條委員がおっしゃられたよ うに、さまざまな動きが起こってくるのではないかというふうに思われます。それらを 契機としながら、この次世代育成支援あるいは就学前保育、教育の望ましい在り方につ いて、更に広範な検討が進められていくことが必要だという視点も入れておいていただ いた方がいいのではないかというふうに思います。  以上、4点です。 ○岩男主査  ちょっと1点だけ細かいところの確認をさせていただきたいんですけれども、先ほど 、集いの広場というふうにおっしゃったんですが、集いの広場の方が一般名詞なのか、 あるいは子育て支援拠点とか、どちらの方がより一般的、より広く包摂することができ るのでしょうか。  個々のセンターはそれぞれ、いろんな名前を付けているわけですけれども、それを一 くくりにして。 ○柏女委員  センターということではなくて、例えば、一軒家を借りて親たちがそこに自由に集っ て来れるような場をつくっていますね。そういうようなものがたくさんできていくだろ うと。総合施設はそういうものの1つ、機能として担いながら。 ○岩男主査  おっしゃることはわかるんですが、名称の問題。つまり、先週、私が見に行ったのは 。 ○柏女委員  集いの広場という名称を使ったらいいかと。 ○岩男主査  使った方がいいのか、それとも子育て拠点と言った方がいいのかということです。 ○柏女委員  どうでしょうか。これは集いの広場というふうになっているようですけれども、何か いい名称があれば広場事業とか。 ○無藤委員  集いの広場というのは厚生労働省の事業の名称です。 ○柏女委員  集いの広場はたしかそうだったと思います。ですから、それにこだわる必要はないと 思いますけれども、そういう場です。井戸端会議のような、そういう場ということです 。 ○岩男主査  できるだけ広く包摂できるような。わかりました。  小笠原委員、お願いします。 ○小笠原委員  私も基本的には、津崎委員、柏女委員と全く同じでございます。私は現場から見まし て、口幅ったいことで幼稚園の先生方には失礼かと存じますが、私は九州でございます が、総合施設がこういうところで俎上に上がりまして話題になりまして、私の方にいろ いろな問い合わせがあるのは、幼稚園経営が非常にうまくいっていないというところの 先生からたくさんお声が上がります。それは幼稚園と保育園を両方経営されている方で して、幼稚園経営がどうもうまくいかないと。特区のなかで、民間で幼保一体施設をさ れている殆どは、幼稚園のみを経営されている方ではなくて、保育園と幼稚園経営され 、幼稚園経営のイメージ的に強い先生が、何とかこの幼稚園という施設を社会資源とし て有効に活かしていきたいという方がございます。片方で全国の保育所は197 万人とい う急減な右肩上がりであり、待機児童も生じています。幼稚園では、非常な右肩下がり で172 万人という、この二十何万人という大きな差があるわけです。こういう現状を見 ますと、総合施設の役割が保育所の待機児童解消策のすべてに当てはめても良いし、全 国津々浦々、待機児童解消策として果たす必要のない地域もあるでしょう。この文面に もありますように、そこは地方自治体がその地方自治体の力量によってお考えになれば いいわけではないでしょうか。しかし小泉総理は、当初、幼保一元化の論争の中では、 総合施設の第1番目の問題は、待機児童の解消を図るのだ、とおっしゃっています。私 どもの持ち合わせている養護と教育という社会資源も含めて地方自治体にお任せしても いいのではないかと思います。  現在の幼保一体施設を運営されている方たちも含めて、幼稚園を何とか総合施設に切 り替えたいという声があります。実際に私のところに幼稚園経営をされている4人ぐら いの方が来ておりますが、そのような方たちは、わざわざ新たらしいハコモノをつくる ということはせずに、今の幼稚園をリニューアルしたりリフォームしていけば、今の幼 稚園という資源をうまく使えて非常にいいのではないかと思います。以前に北條先生も おっしゃいましたように、ピカピカのハコモノを全国むやみやたらにつくっていくとい うのは、私も同様にこれはいかがなものかなという感じでおります。新しい施設を造る ということと、新しいスタイルの変えていくこととは、何も一緒ではないと思うのです 。私はそういう意味で今日まで継続して、そういう認識できております。保育園と幼稚 園のもう一つ新しい3つ目の機能が生まれるんだ、という解釈の方が利用者にはもっと もっと選択肢が広がって子育て、あるいは教育という営みが広がっていくのではないか と、このように考えている次第でございます。  以上でございます。 ○岩男主査  酒井委員、お願いいたします。 ○酒井委員  確かに、待機児童の解消というのは、現在そういう子どもがいるわけですから、必要 なことではあるだろうと思います。ただ、今、検討している総合施設の中で、待機児童 解消を強調しますと、待機児童解消が更に待機児童を生むというようなことも表れるだ ろうと思うんです。そういったことはエンゼルプラン、新エンゼルプラン等が功を奏せ ずに、というようなところもあると思いますので、そこは総合施設の中では、ある程度 の歯止めをかけながら慎重にやっていくということは、私は必要だろうというふうに思 っています。  ちょっと話は変わりますけれども、先ほど、小学校のことが出ました。今回の資料の 中に、まず1ページに小学校との連携強化というのが上がっていますし、3ページにも 上がっています。これは多分、両方の部会とも異議のないことであろうというふうに思 うんですけれども、その際、私は幼稚園にいて、小学校が大変身近なところにある公立 におります。そういう中で常々感じていることは、小学校の先生方からも相当強く幼稚 園教育との連携が必要である、あるいは、保育所と連携があるということは聞いてはお りますが、実際は日常の業務の忙しさに負けてというんでしょうか、なかなかそういっ た連携が進まないということがございます。本当に進んでいるのは国立の付属とか、そ ういったところでは内容的なものまで踏み込んでやっていますので、ここで教育委員会 の関与というんでしょうか、そういうものを小学校との連携ということを重視するので あれば、挙げておく必要があるのではないかなということを1点感じました。  この報告書は本当に双方の議論をまとめていく上で御苦労があったろうなというふう に思うんですけれども、御苦労があった分だけ大変ファジーになっている、いかように も解釈できるというようなことが随所にあると思うんですね。そこら辺をこれまでのそ れぞれの議論を踏まえて、今後、報告書をつくっていくときには、きちんと述べていた だきたいなというふうに思うんです。  例えば、3ページ辺りにあります一番下ですね。「研修の機会やその内容についても 」というところでは、職員の資質向上ですとか教育や保育の質を確保するためには研修 は本当に重要な地位を占めるわけで、第1回のこの合同検討会議でも、それは出たと思 うんですけれども、このようにさらっと述べられておしまいになってしまうのではなく 、是非この後の報告書の内容には、これまでの議論を踏まえて、きちんとした文言で入 れていただきたいなと思いますし、前回やはりここのページで少し上の方に「利用時間 」とか「教育・保育の内容」にありますけれども、ここでは「共通の教育・保育時間に 加え」という共通という言葉を使っておりますけれども、4時間程度を標準とするよう なことを前回、私も強調させていただきました。そういった、どの程度の時間が子ども にとってふさわしいのかというような辺りのこともしっかり書き込んだ報告書にしてい ただけたらというふうに思っております。  そういった意味から言いますと、もう一つ欠けているのは、評価というような視点だ ろうと思います。評価もこの後ろの記録を見ますと、資料3、そこを見せていただきま すと、自己点検、評価に加えて、第三者評価という言葉がありますけれども、第三者評 価だけでなく、私は常々自己点検、自己評価を踏まえた上で、関係者による外部評価と いうものが極めて大切だろうというふうに思うんです。そこが保育の質、教育の質に大 変関わってくるところだろうと思いますので、そういったこれまでの議論を踏まえた書 き込みを是非お願いしたいと思います。 ○岩男主査  評価の点につきましては、私も落ちているということを気が付きましてので、是非入 れていただきたいと思うのと、評価するだけではなくて、やはり情報公開が伴わないと いけないので、その2つをセットとして是非入れていただきたいなというふうに思って おりますので、申し添えます。  吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員  今日はさすがに少し時間があるようでございますので、私も幾つか申し上げますが、 1つは、先ほど、北條委員が新設ハコモノのお話をされまして、基本的には私も相思い ます。あえて総合してそのために新設する必要はないと思うんですが、ただ、地方自治 体のいろんな状況を見ていますと、ちょうど園舎が老朽化をして建て替え時期を迎える というところがかなりタイミング的にございます。しかも、公立幼稚園とかはかなり園 児が減って、ある種の統廃合と園舎改築がダブルでくる。その統廃合再編の流れの中で 、では、これを総合施設にしてということは十分あり得る話ですから、わざわざの新設 の必要はないと言いますか、単純にその新設が好ましくないというニュアンスを出すと 、逆にまたそういうものにブレーキをかけてしまうという点の配慮は必要かと思います 。  8時間を超える長時間。ここでは長時間としか書いていないので、何時間かというの はわからないんですが、一般論として確かに長時間というのは決して好ましいものでは ないと思いますが、ただ、問題はそれを保育サービス側でばかり考えるのか、働き方の 見直し等をもっともっと強調して、かつ現実に8時間を超えざるを得ない就労形態の親 の子どもがいた場合に、余りそこを強く出し過ぎるとそういう子どもが逆にその総合施 設から排除されてしまうということにならない、そういう配慮も一方で私は必要だと、 実は思います。  今度は私の私見でございますが、このペーパーはそれなりによくまとまっていまして 、別に細かい表現にこだわる気はございませんで、大体基本的にこういう流れだろうと 思います。その際、総論的なことを幾つか先に申し上げますが、前回ヨーロッパでイギ リス版の総合施設を見てきたという話をちょっといたしましたが、あそこでは、いわゆ るユニバーサル・チャイルド・ケアという発想、つまり人種だとか親の経済状態だとか 地域性とかに左右されずに、とにかくあらゆる子どもが適切な教育や保育を受けられる ように、だれでもが簡単にアクセスできる総合施設という観点だったわけです。その福 祉的な観点だけではなく教育的な観点からも言われていた。その後、いろいろ調べてみ ますと、イギリスに限りませんが、ある種のソーシャル・インクルージョンの発想が根 底にやはりあると。つまり、いろんな方が共にみんなで生きていきましょうという、い わゆる共生の発想がある。私は、やはり今回の総合施設の議論でも、ある種のソーシャ ル・インクルージョン的な発想は大事にしたいと。例えば、親の就労状況とか、あるい は経済状況その他の理由で子どもの教育環境、保育環境が大きく左右されないような、 そういう総合施設を1つは目指すべきであろうと。  もう一つは、このペーパーに余り強調されていなかったんですが、子どもとか親とか に対する、いわゆる直接的な機能ではなくて、やはり地域連帯と言うんでしょうか、子 育ての社会化と言うんでしょうか。そういう観点でもっと地域の活性化にもつながって いくような何らかの機能をやはり持つという視点を大事にしたい。その際、特にある種 のコーディネーター的役割ということも期待されるわけですから、単に小学校との連携 のみならず、その近隣地域の幼稚園、保育園や勿論、小学校あるいは保健所も児童館も 含めて、そういったさまざまな、子どもに関連する機関、組織とのネットワーク機能と いう部分をもう少し表現した方がいいのではないか。しかも、それは一方通行ではない 双方向という観点でのネットワーク機能と、その1つの起爆剤的な役割を総合施設に期 待したいということです。  あと、個別的なことで申し上げると、対象年齢的には私も0、1、2、3、4、5す べてが原則として対象になるのが望ましいのではないかと思います。そのことは決して 幼児教育機能を重視するということと矛盾はいたしませんし、3歳未満の子どもが月曜 から金曜まで朝から晩までという定型的な別に前提する必要はないので、週に2日、3 日という非定型的なことも念頭に置けば、年齢としては別に区切る必要はないのではな いかと。ただ、特に乳児を中心とした、より低年齢の子どもについては保育という観点 以上に働き方とか職場環境とか、そちらの部分をやはり、もう少し出すべきではないか と思います。  基準については、このペーパーにも書いてございますが、もう一つは、では、ある種 の基準、水準を国のレベルでナショナルミニマム的に抑える観点と、地方自治体なら地 方自治体がある程度自由に弾力的扱える部分と、このバランスのありようというのが、 やはりこれも配慮する必要があるのではないかなと思います。  それに連動して、その財源問題もございますが、ある部分はナショナルミニマム的に 国として、この総合施設構想をつくるわけですから、私は当然、国も何らかの財源は考 えるべきだろうと。構想して口だけ出して1円も出さぬというのは決して好ましいこと ではない。その場合には、総合施設で総合的な機能ということを考えれば、今、地域再 生の計画でも出されていますが、緩やかな総合的な何か助成措置という方策はやはりあ っていいのではないか。  最後に今、議論が出てましたが、新しい何らかの評価システムをやはりここで考える べきだろうし、評価だけではなくて総合施設というのは新しいわけですから、利用者や 地域住民に対する徹底したアカウンタビリティーを発揮するという担保も付けなければ いけない。設置主体もこれはいろんな議論がありますが、ある程度自由な設置主体とし ても、その法人なら法人のガバナンスが今、問われる時代ですから、いわゆる法人ガバ ナンスを総合施設にふさわしい形で確立するという視点も大事にしていただききたい。  以上でございます。 ○岩男主査  一言、申し訳でございません。北條委員からも御指摘があり、今の吉田委員の中でも 出てまいりました、ハコモノのお話ですけれども、これはやはり2ページ目の表現が必 ずしも適切ではなくて、これは北條委員が御指摘のとおりだと思いますので、第1回の 議論で、ここでほとんど合意が得られていると思いますので、そちらのニュアンスに戻 していただくような方向でお願いをすれば、よろしいのではないかというふうに思って おります。  國分委員、どうぞ。 ○國分委員  このペーパーの現段階での性格に関連すると思うんですが、この見出しを見ますと「 議論の整理」とこうなっているわけですね。まとめではないわけで、どうも事務当局に 大変申し訳ないんですけれども、御苦労があって、まとめよう、まとめようとしていて 、今までの議論をした対立点とか意見の相違というものが何か潜り込んでしまっている ような感じがするわけでね。  先ほど、酒井委員からのお話もありましたように、例えば、共通の時間と言ってみた り共通の内容と言ってみたり、共通ということでくくってしまうと、そこに何の対立も 意見の相違もなかったように見えてくると。そういう観点から言うと、例えば、2ペー ジのところの「基本的機能」というのが下の方にありますが、まず最初のパラグラフの ことが基本であると言っておいて、次に基本的機能に加え、1つは「必要な相談・助言 ・支援」、2つ目に「交流の場を提供」と。更に上記のほか、さまざまな機能やサービ スを付加することが考えられる。つまり、最初が基本だと言う。2つ目に言っているの は基本なのか、基本でないのか。「基本的機能に加え」と言っている。しかも、その中 身は別の指導助言的なものとその場を使った交流の場の提供と、異なることを言ってい る。更に、サービスを付加することができると。これはどういうことなんだということ だろうと思うんですね。かなりこの総合施設の基本に関わるところではないかと思いま す。  同じような観点から言うと、次の3ページの最初のところ「対象者と利用形態」です が、ここにも2行目のところに「子どもとその保護者とすることを基本とする」。0〜 就学前の子どもと言っておいて、例えば、0〜2歳について、ここで「柔軟に対応でき る多様な形態も可能とする」といっているわけですね。これはどういう意味なのか。基 本とすると言って、その基本の中の1つの対応として、例えば以下があるのか。基本の 例外として、例えばがあるのか。その辺のところがかなり問題なのをかなりあいまいな 表現でくくってしまっているというところがあると思うんですね。これは一つの例です けれども。とすれば、現時点で無理やり、最終的にはまとめなければならないわけでし ょうけれども、まとめるというよりも、意見の相違というものがある程度明確になるよ うな整理の方が現時点ではいいのではないかなというふうに思いますので、私の意見と して申し上げております。 ○岩男主査  中間的なまとめを、現在ここで議論をし、何とか合意できるような方向にということ で、今日の会合も開かれているわけで、事務局がいろいろと御苦労なさったに違いない のは、一同、十分以上にわかるところでございますけれども、ただいまのような御指摘 について事務局の方で、もしお答えいただければと思います。今の例えば、という扱い 。あるいはお答えが難しければ、勿論可能な範囲で結構でございます。 ○尾崎保育課長  事務局の方から申し上げるべき事柄かどうかわかりませんが、まだ今、主査がおっし ゃっていただきましたように、中間まとめということですので、基本のコンセプトで合 意をしていただけるところ、なるべく原則論的なところをまず合意をしていただく。そ のために決して対立点をあいまいにするということではなくて、おっしゃったようなと ころ、まだ議論を深めていただく必要があれば、そのことはそういう前提でテイクノー トとしていくということが必要なんだろうと思います。  そういう意味で、まだ実際いつが最終リミットか具体的にはわかりませんけれども、 遅くとも秋口くらいまでに詰めていく、そのプロセスの中ではっきりさせていっていた だければというふうに思っております。 ○岩男主査  門川委員、どうぞ。 ○門川委員  それぞれお話しいただきましたので、言い尽くされてきたなとは思うんですけれども 、私はあえてここで強調したいのは、小学校入学段階で見ると、幼稚園で学んだ子ども 、あるいは保育所で学んだ子ども、そして、家庭。純粋な家庭児というのはほとんど今 はいませんですけれども、率直に言って、それほど大きな差がないと思います。今、子 どもの学び、育ちのいろんな指摘されている問題点というのは、そういうところを超え ている問題ではないかなと。それぞれの幼稚園、保育園が懸命な御努力をいただいてお ります。しかし、その中でもまたその格差も非常に大きくて、その格差をなくし、レベ ルアップをしていくことも非常に大きい課題。そのためにこの総合施設が大きな役割を 果たしてほしいということも思うわけですけれども、根本は親、家庭、地域、社会全体 が本当に子どもの育ち、学びにきちんと焦点を合わせたものになっているのか。それを 考え直す子育て支援が重要です。前回も申し上げましたけれども、そのことをきちんと 踏まえながら、何のニーズに応えていくのか、例えば親の長時間勤務のニーズに応えて いくのか、今、吉田委員や各委員からのお話もありましたけれども、親の働き方、社会 の在り方に対する鋭い問題提起もしていくのか。そうでなければ、この総合施設も当初 の理想としているものにならないのではないかなということを非常に危惧します。   日本の場合、本当に今、この就学前の子どもたちの学びと育ちの場が保育所と幼稚園 に分かれている。こういう議論の場ができたことは非常に私どもはありがたいと思って いますけれども、何か利害が対立するような議論が一部にある。しかし、それを超えら れるきっかけの1つとして総合施設がなってほしい。これは切望するところであります 。  そして、本当に家庭と地域、親がともに育っていく、そのための総合施設であり、そ の総合施設が既存の幼稚園、保育園に対しても、いい影響を与えてくる。そして、長い 目で見れば、幼保二元化が当分の間は三元化ないし多元化になるんでしょうけれども、 将来的には一元化にし、そして、小学校教育へつながっていくような改革につながって いかなければ、私はだめなのではないかなということをあえて申し上げたいと思ってい ます。  今、國分委員からもお話がありましたけれども、共通の時間というような書き方です けれども、もう一点、基本とするカリキュラム、系統的な総合施設における教育活動を 何時間にするかという話ですけれども、やはり小学校1年生でさえ、4、5時間という のが子どもたちの発達の上から適切だろうということになっていますので、いろんな条 件を抱えた子どもたちに選択でそれよりも長い、4、5時間よりも超えて8時間、場合 によれば、それを超えるということも当然ニーズによって、応えていかなければ総合施 設の役割は果たせないだろうと思いますけれども、基本が一定時間という表現になりま すと、解釈が自由になって、家庭でそういう力があるにもかかわらず、サービスを提供 ということで、あるいはサービスを受けるという形で長いサービスをしているところに 人気が集まるというような形になりかねない。幼稚園でいろんな預かり保育等を実施し ますと、一部にですが、その親が楽だからとか、親が生涯学習という部分でも非常にい いわけですけども、テニスをやる何をするというような形で、本当の子育てや働くため のニーズということではなしに、子育てをアウトソーシングするような形のニーズにも 偏ってしまいかねないというの声も聞きます。少し誤解を生むような発言をして恐縮で すけれども、子どもにとって何が大事か、その辺はきちんと押さえておいていただいた 方がいいのではないかと。子どもの育ちというのは、やはり親子、家庭、地域、社会が それぞれの役割を果たす。一番それが大事ではないかなというふうに感じます。  以上です。 ○岩男主査  田村委員、どうぞ。 ○田村主査  先ほど、2ページ目のところに「総合施設に期待される効果」ということで、3つ並 んでいるわけですが、これはしかし、全体的にはよくおまとめいただいたとは思います けれども、これは内容をよく精査して見ると、かなり違うことを目的としてしているも のをただ並べているという感じなんですね。  先ほど、津崎先生がエリクソンの話をおっしゃられましたので、あえてその例で申し 上げれば、人間の一生というのは、生まれて信頼性とか自主性というのもあれば、いわ ゆる自発とか自己抑制とか、そういうものを育てていきながら成長していく。それはそ の年齢に応じた発達課題があるわけですから、それで一つずつやっていくという中で、 いつも同じように指摘していることで、ある年代における重要な発達課題として、結婚 、家庭をつくる、出産、子どもの養育ということを挙げているんですね。更に言えば、 十代の子どもを教育するというのは非常に重要な発達課題だということを指摘しており ます。  つまり、人間として成長していくためにも、その課題に参画しているというか、自分 の問題ですから参画でもないんですけれども、それをやるということは実は人間にとっ て非常に重要なことで、ある意味ではそれは自己実現のすばらしい機会なんですね。そ れがどうも今の社会では、自己実現というと社会参加ではないかというように誤解され る部分がかなり出てきています。それを助長するような仕組みとして総合施設が働くと いうのは、ちょっと問題があるのではないかという気がするんです。ですから、待機児 童の解消という言葉は、私はちょっと慎重に使った方がいいというふうに思います。た だ、それを書くと、今、門川委員のおっしゃったような、その自己実現の重要なチャン スをアウトソーシングをしてしまう。こういうような、それをむしろ助長してしまうと いうような仕組みにこの施設が働くとなれば、これは何もならないではないかという気 がしますね。ですから、総合施設をつくるという意味は、私も一番必要だなと思うのは 、幼児教育を高度化するというか、本当に内容のあるものにするというためにやるんだ ということを考えることが正しいのではないかと思っております。  その結果は副次的に、待機児童になってしまうような状況の人たちの助けになること はあるとしても、基本的には総合施設というのをつくるのは、幼児教育というのは日本 は本当に今までまじめにやってきたんだろうかと思えるようなこともあるんですね。で すから、それを本気になってやるいいチャンスではないかと考えますので、その辺はこ の整理のところでかなり慎重にやらないと、育児のアウトソーシングをますます強めて しまうという方向にだけは持っていかないようにしないといけないのではないかと。や むを得ずに必要であれば、対応できるという仕組みはつくっておく必要があると思いま すけれども、それは幼児教育というものをどう考えるかということとの関わりで検討し ないと、人間としての自己実現という意味でも、教育は自己実現に手助けするという役 割で考えても、その部分はマイナスに働かないようにしていかなければいけないという 気がしているわけです。ですから、その辺のところだけ、ちょっと気になりましたので 、発言させていただきました。 ○岩男主査  津崎委員、お願いします。 ○津崎委員  教育に従事されている先生方の発言をお聞きしていますと、いわゆるサービスを過剰 にすることが親の子育て力をそいでしまう、あるいは親機能を削減してしまって、親に とっても子どもにとってもよくない。だから、サービスを過剰に提供することはマイナ スなんだという論点が非常に明確にお聞きすることができるわけで、この辺がちょっと 実は非常に大きな課題でして、福祉の視点で見ていると、やや違うんですね。  実は、私は長く児童相談所という職場に勤務してきたわけです。昔は母子不分離の原 則と言いまして、やはり母親と子どもが一体になって養育されることが基本的には望ま しいということで、母親が子どもを預かってほしいというふうに相談に来たときに、実 は断っていたんですね。あなたは預けて自分が生活の維持をされるよりは、苦労してで も子どもさんと一緒に生活をする。そちらの道を選んでほしい。そういう思いで母子不 分離の原則というのが、私たち福祉の援助スタンスとして大きな、ある意味では基準と してあったわけです。  ところが、私たちの思いに反して、断られた親はどうするのかとなると、実はもっと 悪い条件のところに子どもを預けるんです。あるいは、子どもをそのまま放置したまま 、自分が働きに行く。だから、実態は、例えば都市部では夜間は子どもを預かってもら えないからどうしているかというと、ベビーホテルにみんな預けているんです。そうい う民間の非常に条件の悪いベビーホテルがうんと繁栄して、そこで子どもが実際にはケ アされている。あるいは夜間、子どもだけが1人で置かれたまま、母親は働きに行って 不在のままで子どもが生活をしている。そういう家庭がいっぱいあるんです。  私たちは、そういう実態を見たときに、原則はあっても、その原則を行使することが 子どもにより悪い状態を現実的にはしてしまうという実例の中で、やはりそれであれば 預かる方がいい。もっと条件のいいところで預かる方がいい。だから、そういうことに 対して原則はなかなかそのとおりにはいかないという実情の中で、実利的な判断をして 預かっていく。そういう状況が実際上、あるわけですね。  そうなってきたときに、今なんで子育てがこれだけ負担になった、あるいは少子化が 進んでいるかというと、結局そういうサービスがないから、やはり子どもを生まないと いうふうな決断をして少子化が進んでいっているわけですから、その原理・原則だけで 処理できないという現実がある以上は、その現実に対してどういう社会的手立てをする のかということも一方でしっかりと押さえた施策を取らないと、この原理でうまくいき ますというふうにならないということを是非知っておいてほしいなというふうに思いま す。 ○岩男主査  どうぞ。 ○田村主査  余り私だけが発言してもいけなんですけれども、今の津崎先生の原則を否定している わけではないんです。ただ、例えば、私どもの世界と言いますか、こういう幼児教育関 係者でこういう議論をしていますと、いろんな幼稚園の現場の人間からいろんな話を聞 くわけですね。私もおとといもやったんですけれども、一番大きな意見は、やはり子育 てをすることに生きがいを感じて一生懸命やっている人がいると。それはもうかなりの 数がいるんだと。その人たちは無視して、どうしてそちらに余り関心を持たないで、社 会参加することに関心持っている方ばかりを気にしてやるんだという意見が出始めてい るんですね。しかも、それはかなりの数で出ているわけです。だから、政策というのは 先生がおっしゃられたとおり、社会正義と言いますかね、いろんな勘案の中でやってい くことが実現していくんだと思いますけれども、それは余り一方を強調すると片方に普 通にやっている人たちのすごい不満が出てくるんですね。  先ほどの数の話がでましたけれども、相当数の数が幼稚園に来ているわけです。その 親は多くは恐らく働きという機会を、自ら自己実現を子育てに向けて、そういうチャン スを生かして生きている。そういう人たちが非常にこの仕組みに対する、もし待機児童 を解消するだけの議論で進めてしまうと不満に思うわけですね。そういう不満に思う者 がかなり出るというような政策は、やはり慎重に考えた方がいいだろうと。そこのとこ ろを申し上げているわけです。だから、余り強く言わない方がいいですよというのが、 私の意見なんです。子育てとか待機児童の解消ですね。そういう意味です。 ○岩男主査  一言申し上げさせていただきますと、これはやはり働くお母さんたちだけを支援する というふうに取られないようにしなければいけないと思うんですね。つまり、同じ自己 実現という言葉をちょっと私は違う意味に使いますけれども、いろんな形の社会参画、 みんな社会の一員で社会に対して責任を負っているわけですから、そういう形でそれぞ れ必ずしもお金のために働いているとは限らず、いろんな形のボランティア活動も含め て、あるいは特定の組織に属さなくても、いろんな可能性があって、それぞれそこに生 きがいを見出してほしいというふうに思いますから、そういう方も全部応援ができるよ うな仕組みということで、勿論その中にはたくさんの働いている方たちもいるわけです から、そういう方にも当然、必要に応え、また支援もできるというようなことで考えた 方がよろしいというふうに、私は思っているんですね。  例えば、たった1人しかいない子どもだけを生きがいにというふうに期待をするとい うのは、若干、非現実的な部分がありましたね。今、本当に家庭の中でする仕事という のも昔ほど多くはなくなって、いろんな便利なものがたくさんある中で、そうすると、 それからまた皆さん、かなり高等教育を受けておられるわけですから、その持っておら れる能力というのをいろんな形で是非発揮していただきたいというふうに思うわけで、 そういう一人ひとりが個性を生き生きと発揮できるような、それを男女共同参画社会と いって推進しているわけですけれども、そういう方向で条件に関わらず、みんながのび のびと生きることができるようなものへの1つの手助けになる。そういう方向で考えて いかれればいいのではないかなと思います。  ついでに申し上げますと、したがって私は必ずしも、労働力云々というふうに考えて いないものですから、企業に負担を求めるということについては、正直申しまして、私 、個人的には若干、実は疑問を持っているんですね。企業ではない、いろんな生き方が あるというふうに考えているものですから、その企業の役割というのも当然考えられま すけれども、それを表に出して求めることが必ずしも適切かどうかということについて は、私は疑問を持っております。 ○田村主査  ですから、丁寧に書いてほしいという意味なんです。でないと非常に短絡的に読んで 、では、働こうというふうになる親が出てくるということは、なるたけそんなことはし ないように書き方を工夫する必要があるだろうというふうに思います。だから、待機児 童を解消しようとしてつくればつくるほど、待機児童が増えるわけですね。それも現実 ですから、その辺を無視して簡単に書けばいいというわけにはいかないだろうという意 味なんですよ。 ○岩男主査  それから働くと言っても、長時間毎日働く必要もない、そういう人だけを想定する必 要はないわけで、いろんな働き方、子育て等うまく両立できるような働き方も皆さん工 夫していただきたいというふうに思いますし、非常にここは柔軟な対応ができるような ものにしていくということが必要ではないかというふうに思います。  吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員  若干、今までの議論で私なりに補足させていただいたんですが、多分根っこはほとん ど同じはずなんですが、視点の当て方がちょっと違って何か堂々巡りをしているような 気もするんですが、子育てのアウトソーシングというのは、私もそれは好ましいことと は思いませんし、これはこのペーパーでも肩代わり支援ではなくということがあるので 、これは私が申し上げているとおり、そうではなくて、親が親として喜びを持って本来 の力を発揮できるように、親をある意味で育てる育成支援だと思っています。  ただ、では、昔の親の方がよっぽど最初からできたかというと、私は決してそうは思 っていませんで、昔の社会は多分、生む子どもの数も多いし、母親も農作業をやる。で は、一人ひとりの子どもに長い時間、親がべったり関わっていたかというと、むしろ今 の専業主婦の方がかえって長く関わって、逆にそのプレッシャーがマイナス要素を引き 出すということもあるのではないかと。ただ、昔は農家の母親でも働きながら、多くの 子どもを生む育てられたというのは、くどいですが、やはり地域が生きていたから、そ ういう意味で堂々巡りにならないためには、単なるアウトソーシングだけでなくて、そ れが可能になるような働き方の見直しと同時に、地域社会の再生というか、活性化とい うことをやはりどうしても避けて通れないのかなと思います。  幼児教育とか保育時間とか、いろいろ出ておりましたが、これも多分根っこは一緒な んでしょうが、言葉のニュアンスがちょっと違っているような気がしまして、私も現実 の意味の教育、あるいは幼児教育というのは3、4時間でいいんだろうと思います。そ れは意図的な計画的な体系的な教育という意味ではいいと思うんですが、しかし、今の 子どもたちはそれを保証するだけで十分かというと、では、それでお昼過ぎにすぐ家庭 に帰りました。マンションの狭い部屋で母親もストレスをためてファミコンやってビデ オしか見ませんということがいいかというと、決してそうではないのではないか。そう いう意味では、教育時間だけではなくて、やはり子どもの生活時間というか、遊びを通 して広い意味の生涯学習につながるような環境の保証をしなければいけない。あるいは 、そこに親も一緒に来ていいだろうと。別に子どもだけを総合施設で預かるのではなく て、専業主婦であれば親も来て、親もマンションの狭い部屋にいるよりは安心で安全で きる。最近、公園ですら危ない時代ですから、むしろやはり安全で安心できて、仲間が いて友達がいて、ほかの大人もいて、みんながそこで過ごせるような場の保証という視 点も時間の中にやはり考えていただきたい。教育時間としては確かに厳格であっていい のかもわかりませんが、必ずしもそれだけで済まないと。やはり広い意味の子ども環境 をどう保証するかという視点を一つ大事にしていただきたいなというふうに思います。 ○岩男主査  北條委員、お願いします。 ○北條委員  吉田委員の意見とほとんど同じですけれども、女性の生き方をああだこうだ言う必要 はないんだと思います。これは当たり前のことでございますけれども、働くという選択 も尊重されて当然だし、女性だけが自分の力で育てるわけではないですけれども、そう いう選択をされることも尊重されるべきだと。  要するに、いろいろな生き方を選択なさるわけですけれども、それを公平に支援する という観点があればいいんだと思うんです。その観点がやはり総合施設という場でもあ ればいいんだと思うんです。ですから、先ほど、津崎先生が御指摘になったような非常 に厳しい状況というのはあるということは、これは全くの事実でございまして、そのこ とに対して、これは総合施設で対応するというようなことではないと思うんですね。そ うではなくて、国がもっとちゃんと公費をかけて、きちんと対応すべき問題だと思いま すが、そういう点は。私どもも全く否定するものではない。  ただし、これからの課題として、幼稚園も間口を広げて取り組もうよ、保育園も取り 組もうよと。場合によっては、過疎の土地では幼稚園、保育園を一遍につくることはば かげているのだから、そういうところではぴかぴかなハコモノということだって、勿論 、可能性としてあっていいわけですよ。そういうところでも、今までとはちょっと広が った視点で子育てに貢献していこうよということだと思うんですね。こういう観点から 、確かに私ども幼児教育部会と児童部会の先生方が考えているということは、基本的に はそんなに違ったことではないけれども、これも従来の文化の違いと言うんでしょうか ね、表現がいろいろ違うので対立はある。ないわけではないですね。やはり、子どもを 家庭で中心にと私どもは確かに考えますし、児童部会の先生方はやはり保育所が子ども の生活の中でより長い時間を扱っていらっしゃるという御経験を持っておりますから、 そこら辺の違いはあるわけですけれども、その違いは違いとしてお互いに尊重して、総 合施設というものを緩やかに、ある種、両方が貢献できるような、そういう形を考えて いただければと思います。 ○岩男主査  酒井委員、どうぞ。 ○酒井委員  ちょっと前に戻りますけれども、津崎先生が先ほどおっしゃったことは、多分、議論 をわかりやすくするという上でおっしゃったんだと思いますけれども、ちょっとそこが いろんな人がいるんだよというところで申し上げたいと思うんですけれども、サービス がないと少子化が進むというようなことをおっしゃったように思うんです。そのサービ スをどうとらえるか、また別の問題になると思うんですけれども、そう考えますと幼稚 園の保護者に対してのサービスというのは本当にほとんどないわけですね。預かり保育 はございますし、多少のことはあるんですけれども、預かっている時間は短いですし、 そういった意味ではサービスがないから、確かにさまざまな調査をいたしますと、子育 てをつらいと感じるのは専業主婦の方が若干ポイントが高いというのはどこでも出てい るんですね。  ですけれども、私は国公立なんですが、そちらの方の調査ですと、確かに子育てはつ らいと感じている人はたくさんいるんです。ですが、そこを上回って楽しさもあるとい う調査結果が出ているんですね。つらいけれども、子どもの成長が見られて楽しい。あ るいは、自己実現ができて大変自分の生活も充実しているということを考えられるよう な社会にしていくと、子どもは増えると思うんです。  実際、子どもの数が私どもの幼稚園などですと、一人っ子というのは3割ぐらいです 。2人、3人、4人、5人というふうに、かなり平均よりはずっと子どもの数は多いの ではないかなというふうに思ったりしています。  要するに言いたかったことは、この1ページにありますように、多様な教育、保育ニ ーズ、多様な家庭環境、本当に今さまざまな家庭があり子育てがありニーズがあるんだ なというところなんだと思うんです。そこで、この総合施設がそういった中でどういう 役割を果たしていくかというのが今の議論であるだろうなというふうにとらえています 。  吉田委員が先ほどから地域ネットワークづくりということをおっしゃっています。私 もこれはとても大切な視点だろうなというふうに思います。幼稚園も子育て支援はして おりますが、子育て支援というのは、まず第一に子どもが育つための支援だろうと。子 育ち支援ですね。  2つ目には、親が育つための支援だろうと。親の力が低下したままでは子育ては楽し くもなりませんし、少子化もなくなりませんから、子育て支援であり親育ち支援であり 、そして3番目が地域再生支援であろうなというふうに思います。  そこについては、もう大賛成です。そのためのさまざまな取り組みを幼稚園も保育所 も全国的にたくさんしているところがあります。幼稚園も本当にたくさんのことをして おりますので、総合施設ではそういったことを是非取り入れて、地域再生、そのための 支援というのもしていくと次世代育成支援にもつながりますし、将来的には、夢のよう ですけれども、虐待等、そういったことをしないで済む大人になっていくのではないか なというふうに思っています。 ○岩男主査  柏女委員、お願いします。 ○柏女委員  今の酒井委員の御発言に賛成をするわけですけれども、実は幼稚園を利用していて、 そして幼稚園の4時間の時間で十分、あとは家庭で楽しく充実した子育てができている 方々にとっては、それは今のままで、私はいいんだろうというふうに思っています。け れども、それだけではちょっとつらいという方がいらっしゃることは事実なんですね。 けれども、そういう方は保育園には入れないわけです。そして、預かり保育というとこ ろはないところもあるわけですね。そういうところでの保護者の方々は非常につらい思 いをしているわけで、そういう方々をこの総合施設が時間で排除するのではなく、そう した方々を是非受け入れていって、そしてその方々に子育てはもっと楽しいことなんだ よ、あるいは子育てを通して人間というのは成長していくんだよ、自己実現の道を進ん でいくんだよということを支援していける。それがやはり幼稚園の先生方が培ってこら れた、今の家庭での子育ての喜びということを十分に御存じの幼稚園の先生方が、その 部分で力を発揮していけるのではないでしょうか。そのための総合施設として、保育時 間は勿論コアな時間が4時間ということになるのは、それはそれで構いませんけれども 、それ以外の時間を排除するということではなく、むしろそこを受け入れていかなけれ ばならないのではないかな。そして、そこにその幼稚園の教育で培ってきたものを親た ちにぶつけていく。そして、親たちもサポートしていくということが大切なのではない かなというふうに思っています。  ですから、是非そのことを広げていくことが大事なのではないか。そして、総合施設 はその機能を果たし得るのではないかというふうに考えています。 ○岩男主査  今、お話がございました、ある意味で具体的に私が先週見学に行ったところのお話を したいと思うんですけれども、そこはいわゆる子育て拠点なんですね。それで平日は幼 稚園に行ったお子さんが幼稚園後にお母さんと一緒に来られるという方が大変多くて、 1回100 円という非常に安い利用料金で、5時までですけれども、何時間来てもいいと いうところで、私、そこで大変関心いたしましたのは、1つは6月1日に開設したばか りですけれども、もう1か月ちょっとでお母さんの表情が変わり子どもたちの表情が変 わったという。  それから、私は少子化のことをいろいろ関わってまいりましたけれども、初めてお母 さんの口から、もう一人子どもがほしくなったという、本当に生の言葉を聞いたのは初 めてなんですね。ああ、こういうものが求められているんだなという、すごく強く感じ ましたので、それは要するに保育園あるいは幼稚園にも通いながら、またそういうとこ ろも利用できるという新たなオプションを提供して、そういうものが非常に求められて いる。したがって土曜日は働くお母さん、お父さんが子どもを連れて来られ、ウィーク デーは家庭におられるお母さん、あるいはパートしているお母さんたちがあいている時 間に連れて来られるという大変柔軟な非常にいいものがようやくでき始めてきたなとい う思いがいたしますので、そういうようなことも可能なものになれば、まさにその地域 の力が活性化する、回復する、そういう一つの非常に大きなきっかけにそこがなってい るという、感心したということでございまして、そんなようなものも視野に是非入れて いただければというふうに思っています。  まだ、あと少し時間がございますので。  津崎委員、どうぞ。 ○津崎委員  再々申し訳ないんですが、もともとこの総合施設の発想は地方の方で、要は保育園、 幼稚園が独立して、運営が難しくなっていっている。少子化現象の中での地方の施設の 在り方ということで、発想されてきたんだと思うんですね。だから、それはそれなりの 地方の総合施設の在り方というのはいろいろ考えていただいたらいいと思うんですけれ ども、ただ、都市部にそれを広げていくときには、また地方とは違った要素をそこに加 味しないと、全国一律の総合施設という形には、ならないと思うんですね。都市部で何 が今起こっているのかというと、やはりライフスタイルが全く異なる家族が集合してい る。24時間の生活都市になってしまっているから、就労時間とか形態とか、それぞれの 家族のニーズもまちまちなわけです。それに対して、全国一律の基準で都市部にもこう いう形の総合施設というような格好だけでは、やはりその意味がないと言いますか、機 能しないと思うんですね。  つまり、都市部の生活スタイルなりに、親、子どものニーズも含めた形によりマッチ する総合施設の在り方ということは、やはり十分踏まえて検討が要るのではないかなと いうふうに思っています。  都市部では、それぞれの家族が今、はっきり言いまして、極めて孤立しています。マ ンション生活で隣の人もよくわからない。家に帰ったらどうしているかというと、本当 に子どもと母親は孤立した状態で生活をしている。そんな状態であれば、むしろ私たち は長時間であっても何でも、もうちょっときっちりとした生活の場で子どもが育つ方が いいというふうに思ったりもしています。  そういう状況を踏まえて、そのニーズに合った形で都市部の総合施設というのは、ど ういう機能を持つべきなのか。そうしたら、24時間のいろんな実際上の労働の状態もあ るんであれば、そういうものに対しても、ある一定程度、対応できるような機能をやは り持たさなければいかないのではないか。  あるいはまた、ずっと各教育の先生方が心配さなっているアウトソーシングなり、子 どもの育ち力がそがれるということであるとすれば、それをそがないで済むような、そ ういう非常にバリエーションのある家族を新たな総合施設の中でどういうふうなサポー トをすれば、それがうまく防止できるのかという戦略的なむしろ拠点になってほしいな というふうな気がします。  例えば、0歳から1、2の教育の在り方についても、あるいは幼児教育というより、 むしろ家族全体に対する教育がこの時点では必要だと思いますけれども、そういう新た な視点の教育というものはどういうものがそこで実践できるのかというふうなことの、 ある意味では試験的な場になってほしいと思いますし、そういう都市に合った形の機能 を是非この総合施設の中で持ってほしいなという思いです。 ○岩男主査  北條委員、お願いします。 ○北條委員  よくわからないので、ちょっとお伺いします。その都市に合った総合施設、具体的に 言っていただきますと、24時間の生活都市になっているという、そういう面は確かにご ざいますね。そうすると、先生がおっしゃるのは都市では24時間開所の総合施設をつく れとおっしゃっているんですか。 ○津崎委員  場合によっては、夜間の一定の保育があったっていいと思いますし、いわゆる孤立し た形で親がそこでケアが行き詰っているのであれば、ショートステイ的な機能をそこに 持たせて、やはりその親が子育てをする力をそこで回復できるような、そういう機能も あったっていいと思いますし、そういういろんな家族、都市部で孤立してしまって子育 てに行き詰っている家族を、そこがどういうふうな形でサポートできるのかということ を多面的に考えてほしいということを言っているんです。 ○北條委員  それが都市での総合施設の役割だと、こういうことですか。 ○津崎委員  そういうことも含めて考えられるのではないかということを提起しているんです。 ○北條委員  勿論、考えようと思えば考えられますけれども、私は違うと思いますね。総合施設と いうのは、再三出ておりますように、もっともっと基本的にこれだけはやろうよという 部分というのは小さいわけですよ。そこにいろいろなことをその地域地域の状況によっ て付加していくんだろうと思うんですね。それで、柔軟ないろいろなシステムができ上 がっていくんだと思うんですね。  今、先生が御指摘になったような、場合によっては24時間開所というようなところま でを都市部の総合施設に求めるというのは、極めて現実離れしておりまして、むちゃく ちゃだと思いますね。そういう機能は逆に、これが現在も、夜間保育とか休日保育とか いう形で大変御努力いただいておることはよく承知しておりますけれども、そういう面 をやはり充実させるということなのではないでしょうかね。 ○津崎委員  だから、そういうものが改めて施策として考えられるというのであれば、総合施策の バランスとして、それはそれでいいんですよ。だけど、逆に言うと、都市部の新たな施 設はそういうものを全部排除していくということも一方的に考え方が狭いのではないか 。やはりそのニーズ、あるいはその状況がどうなっているか、そのことに対して、この 新たな施設がどういう機能を果たして、そこにどう食い込んでいくことができるのかと いうことも、やはり考えていく必要があると。 ○北條委員  先生、そうしますと都市部では何でもありをやれと言っていることと、同じですよ。 ○津崎委員  それは、その状況があって、必要性があれば、そういうものに対する対応ということ は、やはり考えておかざるを得ない。それはこの施設でするのか、新たな施策を考える のかは別にしてですね。 ○北條委員  だから、総合施設ということではないと、私は思うんですね。やはり国として、ある いは地方自治体として、それは取り組まなければならない大切な課題だということは、 それは先生と私は共通ですけれども、でも、それを総合施設も取り組めというのは、私 は全然納得いかない。 ○津崎委員  だから、総合施設は、私はそういう新たな状況に対して、ケーススタディー的な、あ るいはパイロット的な、そういう機能で状況の変化がどんどん進んでいることに対して 、新たな家庭を支える機能、あるいは新たな低年齢の子どもの保育なり教育を支える機 能がどうあればいいのかということをそこで検証できる、そういう機能はあってもいい のではないかということを言っているんです。 ○北條委員  見解の相違としか言いようがございませんけれどもね。 ○岩男主査  どうぞ。 ○田村主査  お話は理屈としてはわかるんですけれども、例えば、子どもは早寝早起きが健康にい いとか、人間が人間になっていく歴史の中で500 万年前に生まれたそうですけれども、 とにかく地球上で育ってきている。やはり、子どもは早寝早起きがいいんだとか、人間 としての生活の原点があるわけですね。それは教育に深く関わるものがあるわけですよ 。そういうのを全く無視してニーズがあるから何でもやれというような考え方で言って しまうと、総合施設はやはり教育機関としての役割があるんだと思うんですね。私は、 幼児教育はちゃんと日本で今までいいものができ上がってきたとは思っていないんです よ。まだまだやらなければならないことがいっぱいあるんだと思うんですね。現に文部 省は初頭中等教育と言っているけれども、幼児教育局というのはないんですね。本当は あるべきだと思うんだけれども。だから、その部分をもっとしっかりやる。総合施設は 、そのきっかけだというふうに受け止めているんです。だから、先生のおっしゃる意味 はよくわかるんですけれども、それはちょっと教育という部分とは離れていることでは ないでしょうか。 ○津崎委員  だから、そういう見方になると、全国都市部でベビーホテルに預けられているような 子は、あれはもう教育の対象外ですよということを言われているのと同じですよ。 ○田村主査  そこは全く違うところがちゃんと見ないといけないということですよ。それはその教 育をする人間がそこまで見ろというのは無理ではないですか。 ○津崎委員  だから、それは別の体制の中で、そういうものも含めてカバーするとしたらカバーす るという考え方はある得ると。ただ、そこは全部教育とは関係ない分野ですと、教育は そこに全然ノータッチですというふうにはならないというに言っているんです。 ○田村主査  よくわかりません。 ○岩男主査  柏女委員、どうぞ。 ○柏女委員  今の北條委員、田村委員、津崎委員の議論は、まさに最初に指摘された2ページの、 総合施設の「基本的機能」のところの、どこまでに基本的機能のところで境界線を置く かというところのニュアンスの違いということなのではないかなというふうに思うんで すね。ここのところは、確かに今のお話を伺っていると、若干の濃淡の違いというか、 それはあるのかなというようなことは感じましたので、少しこの辺のところについては 議論が必要なのか、あるいは整理が必要なのか、押さえておくことは必要ではないかな というふうに思います。  ただ、その3ページ以降、かなりいろんなところで、例えば、対象者あるいは職員配 置、施設設備、職員の資格、指導監督の体制等々をすべてのところに地域の実情を踏ま えという形のところが書かれておりますので、こうしたところをどう理解するのかとい うことと、基本的機能をどう考えるのかというところの整理を少ししていくことが必要 かなというふうに思いました。ただ、そこでクリアーできる問題ではないかなというふ うに思いました。 ○岩男主査  ありがとうございました。私も同じようなことを申し上げようと思っておりました。  それでは、もう時間になりましたので、手短にお願いいたします。 ○酒井委員  今の議論とは違うんですけれども、この報告がどの程度のボリュームになっていくの か、そこがわからないんですけれども、多分、今のような、ここだけはしっかり守りた いという部分があって、あとは付加的にいろんなものが付いていくんだろうと思うんで すけれども、その可能な限り柔軟なという言葉がたくさんありましたから、いかように も解釈できるような内容に多分なっていくのかなという気がするんですね。  そのときに自治体の方々の考えいかんでは、子どもの視点に立つという大前提が崩れ てしまうということも懸念されるわけですね。ですから、この構成の中に例えば、幼稚 園、保育所あるいは幼保一体的に運営している先進的な施設の中で、こういった例は好 ましいよ、総合施設に導入するになかなかいいよというようなものを例として、少しわ かりやすく、ところどころに挙げていくというような提案はいかがでしょうか。 ○岩男主査  ただいまの御提案、もし、それが可能であれば、盛り込めればよろしいと思いますけ れども、そういうふさわしい例がうまく見つかるかどうかという問題はあると思います 。  どうぞ。 ○蒲原幼児教育課長  私も事務局の一員で、恐らく、この報告書をまとめるという意味で、先ほど座長から 最初にありましたけれども、夏の段階で中間的に整理する段階と、更にその基本的な性 格を整理した上で、また秋に向けて整理するという2つの段階があると思います。  それで、最初の段階のところは、大事な基本原則。今、先生がおっしゃったような、 本当に子どもの視点に立つとか、あるいは今、議論に出ましたけれども、地域の話とか 親の育児能力だとか、やはり大事な視点はきちんと整理をする。やはり、いろんなサー ビス面の整理ができませんと、なかなか細かなところが詰められませんので、そこと並 行して秋の段階では具体的なところを詰めていくと、こんな整理だと思います。  そうした中で、恐らくおっしゃるような例示みたいなものも、夏の段階ではどうか、 ちょっとまだわからないんですけれども、やはり細かくいろいろ議論する中で、恐らく 具体的事例を見た上でいろんな形態を考えていくことになると思うんですね。そんな中 で我々もいろんな資料も出したいと思いますし、最終的にいいものが出てくれば、そう いう資料も付けるということになろうかと思います。いずれにしても、いろいろと御相 談しながら進めていきたいと思っています。 ○岩男主査  どうぞ。 ○尾崎保育課長  済みません。ちょっと補足をさせていただきたいんですが、今、蒲原課長からお話が あったとおりだと思うんですが、ちょっと済みません。御報告が遅れてしまったんです が、この御意見を伺う冒頭で、試行のお話が書いてあるけれども、議論がなかったでは ないかというお話がございました。済みません。これまで前2回の中でどれぐらいのア ナウンスがあったのか詳細に承知をしておらないんですが、実はこの総合施設の検討の 基本的な政府の基本の方針と言いましょうか、閣議決定の枠組みの中で本年度中に基本 的な考え方をまずとりまとめていただく。まさに今やっていただいているわけでござい ますけれども、それを踏まえて来年度に試行の事業を先行実施するなどして、そして18 年度から本格実施を行うということは基本のタイムスケジュールと言いましょうか、方 針になってございます。そのことを当然のことながら御検討いただいたものを前提に試 行ということに取り組んでいくことになりますので、事務局の方で勝手ながら、ところ どころではございましたけれども、そういったことを入れさせていただいてということ でございます。  今の最後の御指摘の関係で申し上げますと、恐らくいろんな好ましいなと思われる例 、これはあくまでそうでなければならないという意味で恐らくないと思いますけれども 、いろんな形で取り上げていくということもございまして、それから、今申し上げまし たような、いろんな試行をどういうプログラムの中で実施をしていただくのかといった 中でも、その辺の具体化というのは、いろんな形でもう少し見えてくるのではないかと いうふうにも思っております。そういう形で、取り上げ方はいろんな手法があろうかと 思いますので、両省でその辺は検討しながらやらせていただきたいというふうに思って おります。 ○岩男主査  よろしゅうございますか。  ニュアンスの違いというのが残っているところも当然ございますけれども、しかし、 何らかの形でとにかく私ども、一応中間的なまとめというものをつくり上げる必要がご ざいますので、その起草につきましては、田村主査と無藤副主査と私の方で、一応まと めさせていただくということで、まとめたものを皆様に見ていただいた上で公表すると いうような形にさせていただきたいと思いますのですが、よろしゅうございますでしょ うか。 ○北條委員  済みません。それは時期的にはどんな感じになりましょうか。 ○岩男主査  それは事務局の方で御説明いただいた方がよろしいかと思います。 ○尾崎保育課長  両主査、副主査の御日程を伺いながらになろうと思いますけれども、7月末か8月上 旬ぐらいまでに、そんなに分量は増やすことは勿論できないと思いますし、まだ片付け なければならない問題点も幾つも残るかと思いますけれども、とりあえずの中間まとめ という形で、両主査、副主査と御相談して整理をさせていただきたいというふう思って おります。 ○岩男主査  よろしゅうございますか。  特段の御発言がなければ、本日の会合をこれで終了させていただきたいと思います。  どうも大変ありがとうございました。               (照会先)雇用均等・児童家庭局総務課 (担当)水口                    03−5253−1111(内線7823